PDF 927KB - 内閣府

中央防災会議
「地方都市等における地震防災のあり方に関する専門調査会」(第7回)
議事録
平成23年12月7日(水)
中央合同庁舎第5号館3階
内閣府「防災A会議室」
開
○越智参事官
会
それ では 、定刻となりましたので、ただいまから中央防災会議地方都市等における
地震防災のあり方に 関す る専門調査会の第7 回会 合を開催いたします 。
委員の先生方には 、本 日は御多忙のところ 御出 席賜り、誠にありが とう ございます。
この専門調査会は 今年 の3月1日に第6回 が開 催されまして、その直後 に 東日本大震災がありま
して、しばらく中 断させ ていただいておりました。半年以上間が開きましたが、今回の会合より引
き続きまして御審議 をお 願いします。
それでは、会議の 開催 に当たりまして、原 田政 策統括官からごあい さつ を申し上げます。
原田統括官挨拶
○原田政策統括官
内閣 府の政策統括官の原田でございます。先生方にはいろいろお世話になって
おりまして、あり がとう ございます。また、本日は、お忙しい中御出席を賜りまして誠にありがと
うございます。
先ほど参事官の方 から お話ししましたよう に、今年3月1日に第6 回会 合をいたしまして 、随分
昔のことのような気 がい たしますが、その直後に東日本大震災が起こりまして中断しておりまして、
9か月ぶりの開催と いう ことになります。
世の中の関心は東 日本 大震災への対応であ ると か、東日本大震災のよう な 巨大災害への今後の取
組みをどうするかと いう ことに大きな関心が 移っ ておりますし、我々内閣 府 防災もそういったこと
に関連して、日々 忙殺さ れているような状況でございますが、一方で言うと、巨大災害とまでは言
わないまでも、全 国どこ でも、いつでも起こるような災害にどう備えていくかということも、同じ
ように極めて大切だ と思 っております。現 に、東日本大震災に関連して、ずっといろいろな地震が
起こっておりますし 、こ れは地震ではござい ませ んけれども、7月 の新潟・福島豪雨であり ますと
か、あるいは台風 12 号 に よる紀伊半島での大きな被害といった災害も起こっております。この会
議は地震関連の会議 でご ざいますが、こういった 災 害にどう備えていく かと いうことも極めて緊急
性 の 高 い 、 必 要 性 の 高 いテ ー マ だ と 思 っ て お り ます の で 、 久 方 ぶ り の 開 催で ご ざ い ま す け れ ど も 、
1
後でまた今後のスケ ジュ ールということで話 があ るかと思いますが、でき る だけ早くこの専門調査
会 も き ち ん と し た 結 論 を出 し て い た だ い て 、 ま た別 の テ ー マ に も 移 り た いと 思 っ て お り ま す の で 、
是非、今日も含め まして 精力的な御議論をお願いいたしまして、簡単ではございますが、冒頭のご
あいさつにさせてい ただ きます。よろしくお 願い 申し上げます。
○越智参事官
どう もあ りがとうございました。
本日は、田中委員、石 川委員、笠原委員、永山委員、星野委員、室崎委員、森地委員、矢田委員
は、御都合により 御欠席 となってございます。吉井委員は、若干遅れて御到着とお聞きしておりま
す。
それでは、早 速お手元 に配付しております資料の確認をさせていただきます。上から順々に議事
次第、座席表、委員名簿。それから、これまでの検討と今後の検討スケジュール。資料1、資料2、
資料3とございます。そ れから、参考資料が参考 資料1、参考資料2、参 考資料3、参考資料4ま
でございます。そ の下に A3 判の非公開資料がございます。非公開資料については、委員の皆様方
だけにお配りさせて いた だいております。
それから、委員の 皆様 には、9月 28 日に公表 されました中央防災会議の「東北地方太平洋沖地
震を教訓とした地震 ・津 波対策に関する専門 調査 会」の報告書をお配 りし ております。
資料はよろしいで しょ うか。
それでは、以下の進行は 河田座長にお願いしたいと思います。座長、よろしくお願いいたします。
報道関係の方は、 ここ で御退室をよろしく お願 いします。
○河田座長
○越智参事官
それで は、 まず、議事に入ります前に事務局から説明があります。
本日 、御 欠席の委員が多くて恐縮ですが、運営要領に基づきまして、座長が調査会
の議題等により必要 があ ると認めるときは、調査 会 の過半数が出席しな い場 合であっても調査会を
開くことができると いう ことで、今日は審 議で、決議ではございませ んの で、座長と相談の 上この
会を開かせていただ いて おります。御報告です。
○河田座長
という こと ですので、今日は何かを決めるわけではありませんので、通常の調査会の
運営の形で皆様方の 御意 見をいただきたいと 思っ ておりますので、よ ろし くお願いいたします 。
まず、議事に入 ります 前に、議事要旨、議事録及び配付資料の公開について申し上げます。これ
までと同様に、議事要 旨は 調査会終了後、速やかに発言者を伏せた形で公表することといたします。
また、詳細な議 事録につ きましては、さ きの専門調査会において専門調査会終了後1年を経過した
後に公表するとされ たこ とを踏まえ、本 調査会につきましても、委員の皆様に御確認をいただいた
上で、本調査会 の報告が とりまとめられた後1年を経過した後、発言者を伏せた形で公表すること
としたいと思います が、 よろしゅうございま すか 。
(「異議なし」と声あり)
○河田座長
ありが とう ございます。特段の御異議がないようなので、このように取り扱わせてい
ただきます。
本日お配りした資 料に ついて、非公開資料 を除 きすべて公開するこ とと したいと思います。
それでは、議事 に入り たいと思います。まず、8か月余りやっておりませんので、これまでの専
2
門調査会における審 議の 状況について審議いたします。事務局より資料の説明をお願いいたします。
資料説明
○越智参事官
それ では 、幾つか の 資 料を使 いま して、できるだけ短 い時 間で御説明いたしま す。
まず、資料番号 を何も 打っていない「これまでの検討内容と今後のスケジュール」という1枚紙
がございます。昨年 4月 26 日に 第1回が開かれまして、第2回以降、孤立集落対策、それから、
被災市町村の地震対 応、ボランティアとの連 携、情報発信・広報、それか ら、物資調達や避難者の
プライバシーという こと につきまして、今年3月 まで6回かけて御審 議い ただいたところです。本
日は、これまで の専門調 査会における審議の状況と、東日本大震災でどのようなことがあったかも
含めて、少し整理した紙 がございます。それについて御説明と、復旧・復興の進め方、コミュニテ
ィ・生活・集落の再 建等 々の審議について、 よろ しくお願いしたいと 思い ます。
第8回以降、これらの とりまとめをさせていただいて、専門調査会報告としてとりまとめていく
ことになっておりま すの で、どうぞよろしく お願 いいたします。
全体のスケジュー ルは 以上です。
も う 一 回 確 認 的 に 、 資料 1 を 出 し て い た だ け れば と 思 い ま す 。 A 4 の 横長 で ご ざいます。「本専
門調査会での検討に つい て」ということで 、東日 本大震災のような海 溝型 巨大地震の場合は 、上の
ような形のいわゆる 国と 地方が一体的になっ たと 、それから、中越地震のように比較的被災範囲が
限られているような もの についての直下型地 震と いうことで、これはそこ に あるような概念図のよ
うな形での体制にな ろう かと思います。第 1回の 会合で、大は小を 兼ねな い、小は大を兼ね ないと
いうことで、こ の小の部 分についてもしっかりとりまとめておくことが大事だということで、この
スタンスについては 引き 続いてこのとりまと めの 形で同じであるということでございます。
次 、 資 料 2 に つ き ま して は 、 こ れ ま で の 専 門 調査 会 の 審 議 事 項 に つ い て整 理 を し た も の で す が 、
これにつきましては 、非 公開資料としてA3 判の大きな資料がございます。そちらにまとめており
ますので、このA 3判で 御説明させていただいて、その後御審議いただければと思いますので、A
3判をお手元に置い てい ただければと思います。
ここは、今まで 御審議 いただいた孤立集落や発災時の円滑な対応というのを、大体A3 、1枚程
度に収めた形で整理 して おります。表の形 は、一 番左に地方都市等の 地震 対策の対策項目が 、そ れ
ぞれのカテゴリーご とに 縦に項目が並んでお りま す。その右隣に「今後の 地 方都市等における地震
対 策 の 方 向 性 」 と い う こと で 、 こ れ ま で 検 討 さ れて き た 内 容 を お さ ら い 的に 整 理 し た も の と 、「 東
日本大震災における 主な 状況」というの を一番右 に書いてございます 。こ ういうところから今 後の
地方都市等における 対策 の方向性で追加すべ き内 容がございましたの で、そ れについて事務局で簡
単に整理しておりま す。ということで、今 後の地 方都市の方向性つい ては 、真ん中の列のと ころを
ごらんいただければ と思 います。
それでは、中身に つい てかいつまんで御説明いたします。
まず、一番左の 列に孤 立集落対策での対策項目が幾つか書いてあります。孤立の発生とか、孤立
3
集落における情報確 認や 平時の備え、それ から、ヘリコプターの的確 な利 用、土砂災害への 備えが
書いてあります。
一番上の「孤立の発生 」につきましては、一番右の「東日本大震災における主な状況」を見てい
ただきますと、避難した 場所で孤立が発生したということが今回あちこちで起きております。そう
いう意味で、「 追 加 す る 内容 」 を 見 て い ただきますと、避難場所ごとの孤立に備えた備蓄を充実さ
せる等、自己完結型 の避 難体制の確保ということが一つの方向性として考えられます。
その下に、情 報通信手 段の確保ということで、これまで検討されてきた衛星携帯電話の配備や防
災行政無線、それ から、ローテクを使った情報伝達手段、通信手段もあるということですが、東日
本大震災を踏まえま すと 、早期に通信機 器等を送 り込む等の迅速な代 替手 段の確保 など、今回も通
信事業者等が積極的 な取 組みを実施したとこ ろで す。
それから、②平 時の備 えということで、物資、燃料、人材不足ということへの対応が必要だとい
うことで、備蓄や 調達体 制、ニーズ把握等々ございました。これにつきま しては、被災地周辺市町
村、都道府県が 民間も含 めて協力するといった体制の確保や、今回課題になりました車両や燃料の
確保といったことが 挙げ られております。
③ヘリコプターの 的確 な利用ということで 、ヘ リポート整備、離 着陸場 のリストアップ、燃料補
給体制、地上要員 の確保 、運用調整等々ありましたが、ヘリコプターの拠点のバックアップ機能と
いうことも考えるべ きと いうようなこと 。それか ら、避難所等へ の医師等 の派遣にヘリコプタ ー等
の活用が考えられる とい うことです。
④土砂災害への対 応に つきましては、専 門家の 連携や調査・監視・観測、発令基準ということで
したが、今年の台風 12 号 のときにもありましたが、被災地での警戒区域の指定など、この判断基
準とか手順の明確化 とい うのも、これからこうい う 地方都市の孤立対策 につ いて準備しておくべき
ことということで入 れて おります。
「2.発災時の円滑な 対応」です 。これは大きく言って①国、県、市町村の連携・支援と②震災
廃棄物対策というこ とで 、今まで議論をいた だい ております。
まず、役所の 被災ある いは自治体職員の被災というようなことがございます。役所の被災につき
ましては、対応 力の強化、BCP の策 定などが挙げられておりましたが、代替施設についての確保と
いったようなことと か、そもそもの予防対策 とし ての庁舎の耐震化 、家具 の固定などが重要で あろ
うということです。
それから、自治 体職員 の被災ということで支援体制の確保といったようなこと、それから、応援
職員が担当すべき業務等を整理した統一的な方針が検討されるべきということを今回追加の項目
として入れておりま す。
後方支援やあるいは関西広域連合でありました四川方式の応援といったような後方支援が大切
であるといったよう なこ と。それから、勿論、自 治体間での支援とい うこ とで、災害時の支援受入
れ体制の確保といっ たこ とがあります。今 回、東 日本大震災では、全国の 自治体が協定に よらない
で、個々の市町村間 での 人的・物的支援も相 当を 行っております。
それから、現地対 策本 部の設置 に つ い て は 、 国 と 地 方 の 共 同 で と い う よ う な こ と で ご ざ い ま す 。
4
それから、海外 の受入 れ、関係機関の連携ということで、応援調整体制の確保といったようなこ
とが挙げられており ます 。
それから、情報整理、共 有の工夫ということで、今までシステム整備みたいな話がありましたが、
災害対応項目の事前 整理 というようなことが しっ かりされておくべきではないかと。
それから廃棄物対 策に つきましては、仮置き場 の 確保や相互協力体制 とい ったようなことがあり
ましたが、そもそも瓦礫 と ならない耐震化の推進といったことが挙げられるということでございま
す。
次に「3.ボラン ティ ア、民間企業の役割 と連 携」でございます。
ボランティアにつ いて は、今まで4項目 、①ボ ランティアセンター 等の 運営、②ボランテ ィアコ
ーディネート、③活 動へ の支援、④民間企業 との 連携と大きく4つほ ど横 に並んでおります。
①ボランティアセ ンタ ー等の運営につきま して は、平時から関 連組織間 の連携、ボランティアセ
ンターの設置、運営 、訓 練。それから、運営に係る研修、資機材等の整理、ノウハウの整理といっ
たようなことが議論 され ておりましたが 、今回、被 災地での受入れ体制 が整 わない場合に備えた周
辺市町村や県の受入 れ体 制の確保といったこ と。
②ボランティアコ ーデ ィネートにつきまし ては 、派遣に係る研修 、体制 の整備、ニーズ把 握、受
入れ側の体制づくり とい うものが受援力とい う形 で言われておりまし たが 、市町村、県 、災害ボラ
ンティアのネットワ ーク との連携体制の確保 とい ったことで、今回も東日 本 大震災で枠組みが新た
にできたようなもの もご ざいますので、さまざまな連携をとっていくということでございます。
③ボランティア活 動へ の支援ということで 、資 機材の事前確保 、注意事 項の周知といったこ とが
ありましたが、今回もボ ランティアの後方支援拠点を準備した地域もございましたし、民間や大学
施設を使ってボラン ティ ア拠点を確保したと いう 事例もありますので、そ う いう工夫も考えられ ま
す。
④民間企業との連 携と いうことで、こ れまで災 害準備金、ボラ ンティア 活動支援プロジェク ト配
備、1%クラブ といった ようなことで、こういうところとの連携を引き続いて 促進していくという
ことでございます。
「4.情報発信・広報 」につきましては、5つほど並んでおります。情報通信手段の確保、情報
整理、共有の工夫、応援 体制、それから、多様な手段の情報提供、風評被害等の防止ということ が
挙がっております 。これ まで検討されてきて 多様 な手段を使って確保 する ということで、これは先
ほど孤立のところで もお 話ししましたので省 略し ます。
情報整理、共有の工夫 については、システム整備、ICT 以外の多様な手段の確保と情報トリアー
ジを実施するという こと でございます。情報の管 理 に必要となる多岐に わた る災害対応項目の事前
整理も発災時の円滑 な対 応で出てきていると ころ です。
それから、広報 対応体 制の構築ということで、記者会見や資料の公表、専任者の配置、対応ルー
ルの明確化などがご ざい ましたが、今回の震 災を 踏まえ、twitter や facebook 等のソーシャルネッ
トワークを活用した 情報 発信についての検討 も必 要ではないかという こと です。
それから、多様な手段と いうことで、さまざまな方法で情報発信していくということです。特に、
5
コミュニティ FM などの 広 報が実を挙げておりますので、こういうものについての検討も必要だ と。
それから、風 評被害の 防止につきましては、災害が起きれば必ずこのようなことが起きてしまい
ますので、これらに 対し ての情報 の 一 元 化 や 正 確 な 報 道 が で き る よ う な 情 報 提 供 と い う こ と で す 。
最後、これまで議論し た中での「5.地震発生後の被災者の生活環境対策」です。これにつきま
しては、2枚にわた って おります。
まず、①避難所の 確保 対策です。運営体制、民間企業との連携、テントや営業所、旅館・ホテル
の確保もございます し、こういうことを実現 する ためには地域コミュ ニテ ィを充実させるとか 、地
域の防災リーダーを 育成 しておくといったような防災力向上の取組みが必要だと。
② 物 資 の 提 供 、 管 理 対策 に つ き ま し て は 、 物 資等 の 緊 急 確 保 、 さ ま ざ まな 団 体 か ら の 物 資 支 援 、
協定の有効活用、ネット ワークも勿論使うと いう こと。それから 、物流事 業者、民間事業者 による
輸送物資の管理体制 等を 挙げております。
今回の震災では 、被災 地以外で物資集積拠点を設置して、そこから物資を配送していくというこ
ともとられておりま すの で、地方都市等にお いて もそのような方法が 考え られ ます。
それから、燃料 不足に つきましては、一定量の備蓄、燃料業者等の協定等による調達体制を とっ
ておく。
③生活環境対策に つき ましては、避難所 での課 題・ニーズ等への 対応と いうことで、トイ レの問
題、入浴の問題 、避難者 の要望への問題、パーテーションなどの課題がありましたが、女性の視点
や生活再建に関する 情報 提供、具体的なニーズの 把 握方法などについて 事前 の準備が必要であると
いうことが今回の震 災か らも出ております。
それから、感染 症、低 体温症等々への対応です。健康管理対策については重要ですが、それぞれ
低温、高温、降雪など季 節 に応じた形で対策項目をあらかじめ整理しておくことも備えとして重要
であるということで す。
④特別な配慮が必 要な 人のための対策です 。こ れにつきましては 、福祉 避難所の設置という こと
が方法として考えら れる ということで、これに つき ましては、協定による 受入 れ施設等の確保の話 、
それから、耐震化、その 立地条件等を考えるということ 、それから、電気の問題、非常用電源や自
家発電の確保といっ たよ うなこと。
それから、生活 不活発 病の発生と、それへの対応です。予防的な措置をやる、あるいは具体的な
指導を的確にしてい くと いうことが大事であ ると 言われておりました が、今回、大川委員 の方で南
三陸町でも調査が行 われ ておりまして、非要介護認定者だった人の1~3割が、7か月の時点で歩
く の が 難 し い と 答 え て いる と い う こ と で す の で 、こ う い う こ と を な く す 仕組 み が 必 要 で あ る と か 、
あるいは専門家と連 携し ながらやっていく体 制の 確保、それから 、正しい 知 識を広く周知していく
といったことが挙げ られ るのではないかとい うこ とです。
それから、災害 関連死 、孤独死等々の対応について。特に災害関連死については、状況について
審査がきちんとでき る体 制の確保が必要であ ろう と。
また、病院等の連 携、 医療チームの調整と いっ たことがあります。
⑤被災者への情報 提供 あるいは治安の問題や詐欺・悪徳商法の問題等ありますけれども、これに
6
ついては住民相談窓 口を 設置したり、警 察等によ る注意喚起等々が挙 げら れております。今回もそ
のようなことが被災 地で 取り組まれたと聞い てお ります。
以上、これま で議論し ていただいたことと、今回の震災を踏まえて地方都市でもこういう取組み
が求められるのではないかといったことを非公開資料の真ん中辺りに整理させていただいたとこ
ろです。いずれと りまと めの際に、この辺りがポイントになろうかと思いますので、今日の御審議
の中で是非、この辺 り御 意見をいただければ と思います。どうぞよろしくお願いします。
○河田座長
ありが とう ございました。
そ れ で は 、 御 発 言 の ある 方 は よ ろ し く お 願 い した い と 思 い ま す 。 冒 頭 に申 し 上 げ ま し た よ う に 、
出席は半分ですので 、倍 はしゃべっていただ くこ とが可能ですから 、遠慮 なさらずに、どう ぞ積極
的に御発言いただき たい と思います。いかが でご ざいますか。
審
議
○●●です。震度7 を3 月 11 日 のときに体験した市で、岩手・宮城内陸地震から3年経って、ま
た地震に遭った 。更に4 月7日の余震によって、半ば倒れかかったのが倒れてしまっ たという悲惨
な状況に遭いました 。幸 いにして、この会議に出席しておりましたので、当然のことながらいろい
ろ議論したものを踏 まえ てすぐに実行してまいりました。したがって、幸 い 死者はゼロという状況
でしたが、一方で 余りに も悲惨な沿岸状況を見て、今言われましたように、地方都市であるからゆ
えにこの議論をして いた だくことについて、 私ど もは改めて感謝した いと 思っています。
そ の 中 で 、 参 考 資 料 2「 東 日 本 大 震 災 の 事 例 (参 考 )」 と 非 公 開 資 料 「 今後 の 地 方 都 市 等 に お け
る 地 震 対 策 に お け る 方 向性 に つ い て ( 素 案 )」 の 中で 、 事 例 や 今 後 の 方 向 性について整理していた
だいておりますが 、私か らは栗原市が直面し た中 で特に深刻だった問 題や 、今後の参考に なると思
われる事例を幾つか 申し 上げたいと思います 。
1点目は、3月 11 日 の 地震発生の際、栗原市では震度7を観測したものの、死者・行方不明者
は出さずに済みまし た。当市においても全域 で停 電・断水となり、ガソリ ンや灯油、軽油、重油な
どの燃料の供給もス トッ プしました。要 するに、電 気と水と燃料の3つ の戦 いであったと私は思っ
ております。最 も深刻だ ったのは燃料の問題でした。県内における主要な供給基地であった太平洋
沿岸部に集中する製 油所 、輸送所はタンクローリーも含め、津波による甚大な被害を受け、県内全
域で燃料の供給が長 期に わたって途絶え、深刻な 燃料不足に陥りまし た。例えば、病院施設 、特定
重油はあと2日でな くな る。更に、灯油・軽油を 使っている病院も、あと 1日で終わりだと。そこ
で県に相談をしまし たら 、県そのものが やられて いて非常に厳しい状 況でありましたので、国の対
策本部から、直ちに石 油連 盟にお話をしていただいて、18kl のタンクローリーを3回にわたって回
していただいて、深刻な 事態は逃れました。今回は岩手・宮城それぞれ対応があっ たと思うんです
が、ちょうど県境 ですか ら、一関までは来るんですよね。県境を越えてくれないんですよ。新潟か
ら来るからの一点張 りで 、こういう点も問題 があ ったのかなと思って おり ます。
病 院 施 設 を 含 め 、 緊 急車 両 、 消 防 や ライフラインの復旧作業用に最低限必要な燃料確保のため、
7
停電によって営業を 休止 していた市内のガソ リン スタンドから御協力 をい ただいて、バキュームつ
きのタンクローリー で各 スタンドの地下タン クか らくみ上げて確保を 図っ たほか、内閣府からアド
バイスをいただいて 、石 油連盟に供給を何度 もお 願いして確保に努め まし た。
被災していない輸 送所 から日本海岸や岩手 県側 からの迂回ルートで 供給 いただきましたが、なぜ
かその大半は今申し 上げ たとおり、岩手県 境で止 まってしまい、供 給不足 と今後の不安から 、ガソ
リンスタンドには連 日長 蛇の列ができ、暴動が起 こるのではと危機感 が募る中、ようやく回復の兆
しが見え始めたのは 3週 間経った3月 28 日ごろでした。
こうした経験を踏 まえ、今回のような広域的な災害発生時においても長期的で深刻な燃料不足に
陥らないような民間 ベー スの供給システムの 構築 が必要と考えますの で、今 後の課題として検討し
ていただければ幸い です 。
2点目は、前からここで 申し上げておりました。復興基金については 10 月 17 日の総務大臣発表
にありましたとおり、被災 9県に対し復興基金 を設 けるための原資とし て約 2,000 億円を特別交付
税で配付することと され 、宮城県においては 660 億円のうち半分の 330 億円が市町村に配分され、
補助金のように使い 道の 制限を受けない形で 復興 事業にあてられる見 込み です。
中山間地域と同様に沿岸地域の生業再生にも長い期間を必要とする第一次産業関連の業種が多
いので、県の復 興基金が 長期間の復興対策に対応できるよう原資の調達、確保 の仕組みをつくるこ
とが今後の課題であ ると 考えています。
3つ目ですが、栗原市 の取組みでは、他の自治体からいただいた御支援の中で、今後の参考にな
ると思われる事例の 一部 を紹介したいと思い ます 。
まず、参考資料2 の 12 ページの役所の被災 につ いてです。栗原市で は電 気・水道の復旧のめど
がついた3月 19 日、発 災 から8日目ですが、被災地である栗原市から南三陸全地域を回って、私
も実際に歩きました 。南 三陸町へ支援するこ とを 決めて、急遽 、被災地支 援プロジェクトを立 ち上
げ、20 日から津波で自治 体の中枢機能を失った南三陸町に対 して、まず災害対策本部の機能を充実
させる必要があった ため 、後に仮庁舎となっ たプ レハブ建設を支援、 翌 21 日に完成させることが
できました。
また、住民基本 台帳、財務会計を初めとした電算システムとデータの復旧、災害救助法、被災者
生活再建支援法に関 する 手続などについて危機管理監をリーダーとして、各分野で経験のある職員
を 派 遣 し た こ と に よ っ て、 失 っ た 機 能 を 早 期 に 回復 さ せ る た め の 一 助 と なっ た と 考 え て お り ま す 。
これは、市と町 との支援 協定をしていったわけですが、私はこれが非常に大切なことだと思ってい
ます。というのは 、西宮 市 の関係者が救援に 来ら れておりました。県には 知事に常に連絡だけ はし
ておいたんですが 、関西 連合の中で神戸市は 仙台 市を応援すると。また、エリア分けがされて いま
して、西宮市と宝 塚市、川西市、猪名川町は栗原市と登米市と支援協定を結んでいた。この支援協
定を受入れをして 、そこ から先、被災して いる南 三陸町と女川町に派 遣を してくれたんです 。それ
はいまだに協定が有 効で 続いております。
こういう意味にお いて 、被害を受けた 町はみん な長期的な支援を要 請し ているわけです 。こうい
うものをどこかでし っか りと課題として受け止めて、短期の 20 日間支援は有効ではありますけれ
8
ども、ロングの応援 が欲 しいというのが切実 な地 元地域の皆さん方、 首長 の要請でした。
また、時間があり まし たら話をさせていた だき ますが、とりあえず 。
○ありがとうござい まし た。
東日本大震災を踏 まえ ての幾つかのお話を 提供 いただきましたが、 ほか にございますか。
○非常によくまとめ てい ただいて、ありが とうご ざいました。これ を見る と、東日本大震災 が起こ
って、なおかつ 、我々の 立ててきた項目は間違っていなかったのではないかと。あと追加する内容
を加えれば、非常によい も のができるのではな いか と自信を持つような おま とめをいただいたと思
っております。
ただ2つ、個別の こと が1つと 、 大 き な 枠 組 み で 1 つ 気 に な る こ と が あ っ た の で お 話 し し ま す 。
個別のことにおき まし ては、2ページ の一番上 の役所の被災という とこ ろなんですが、御存じの
とおり、新潟県 中越地震 でも、もともと の役所で災害対策本部が立ち上げられたというのは1つも
なかったような状況 でし た。今回、被 災地を見せ ていただくと、先 ほども ●●委員からお話があっ
たように、プレハ ブをお 建てになってというようなところなんですが、周りにお聞 きすると、バタ
バタする中ああいう もの を手配して、中 身をどう するんだみたいなこ とが あったと。仮設 住宅は割
とパターン化されて いて 、そういうものが 考えら れているので、例 えば、すぐに役所仮設庁舎 プレ
ハブみたいなものを 検討 することは難しいか と思 うんですけれども、今回 の 内容を踏まえて何かそ
ういうものの工程案 もあ ると、今後非常によ いの ではないかと思いま した 。
あと、費用の面 につい て、これははっきりとお聞きしたわけではないですけれども、かなり借り
ているのにお金がか かる ということも聞いて おり ますので、そういっ たこ とが 1 つ 加えられると、
地方都市でも起こっ てお りますので、そうい った ことが有効ではない かと 。
それから、大き な枠組 みとしては、全体を見せていただくと、いわゆる起こったときを事前に準
備しておきましょう とい う内容になっている と思 うんですが、予 防に関し てがなかなかなくて 、例
えば、簡単にわか りやす く言うと、防災教育であるとか、そういった備えの前段の部分をどうしま
しょうかというお話 し合 いをさせていただく とよ いのかなと。特に、津波 に 関して言ったりする と、
住民の皆さんにどういうふうに行政が一体となって事前認識を深めていくかということも大事だ
というお話もありま した ので、是非その辺り もあ ったらよいのかなと 思い ます。
それから、もし かした ら、今日後半で出てくるのかもしれないですけれども、復旧はライフライ
ンでありそうなんで すが 、復興のところま で書く んですか。これは 応急で したか、復旧でし たかと
いうのを忘れてしま った ので、復興もあ るのであ れば、その辺り も何か書 いていければいいの かな
と感じた次第です。
以上です。
○ありがとうござい まし た。
これは復興まで入 って いなかったですよね 。
○後ほどまた資料で 御説 明させていただきますので、それを踏まえて御意見をいただければと思い
ます。
○●●委員どうぞ。
9
○●●です。ま ずは、こ の たび全国の皆さんから被災地の方に大変御支援をいただきまして本当に
ありがとうございま す、 感謝を申し上げたい と思 います。
この会議で3月1 日に 私はプレゼンをさせ てい ただいておりました。女 性 に配慮した避難所の運
営ということでプレ ゼン をさせていただいた もの が全国発信をされて おり ましたので、大変多くの
方々から問い合わせ がご ざいまして、今回はどう だ ったのかという実際 に避難所の現実というもの
を問い合わせる内容 も数 多くまいりました 。残念 ながら、だからと いって 、なかなか現実は 難しい
というところは、私 ども としても避難所を回 りま して支援をしながら 実感 しております。
ただ、今日は 栗原市長 もいらしております が、実は栗原市の方にも お見 舞い訪問をさせてい ただ
いておりました 。その避 難所を何か所か見させていただいて、どちらも大変対応がいいと言います
か、仕切りもしっ かり使 用されておりましたし、トイレや入浴設備なども男女別になっていて、複
数設置されていると いう 状況がございまして 、岩 手・宮城内陸地震の体験をされたということもあ
り、大変避難所 の運営の 仕方に感心してまいりました。南三陸町の被災者の方々を受け入れていら
っ し ゃ る と い う こ と で 、そ う い っ た 方 々 に も お 話を 聞 き ま し た と こ ろ 大 変感 謝 さ れ て お り ま し た 。
それに比べて仙台市 の方 はなかなかそうはい きま せんで、避難所も 290 か所ほどできましたので、
それぞれ十分な設備 はな かなか難しかったと 思い ます。
避難所運営につい ては 運営主体がバラバラ でし た。これが大変大きな問 題 だったろうと思いま す。
学校の体育館を避難 所と いたしますと、やはり学 校の先生方が運営主 体と なります。地域ですと地
域ですし、公共 施設です と公共施設の職員が運営をするということで、マニュアルも統一化された
ものがございません でし たので、私ども がボラン ティアとして支援に 入る ときも、ルール がバラバ
ラでなかなか入りに くい という現状もござい まし た。
その避難所から 、今は もう閉鎖されておりますので仮設住宅の方に移っておりますけれども、た
だ、仮設住宅という のも 考えますと仙台市の 場合 には 1,500 世帯が仮設住宅に入っておりまして、
8,500 世帯が借上げの賃 貸 のアパートや公営住宅に入っております。仮設住宅に入っております と
支 援 が 届 き や す い の で すけ れ ど も 、 い わ ゆ る み なし 仮 設 に な っ て お り ま すと 点 在 し て お り ま し て 、
個人情報ということ もあ りまして、なか なかボラ ンティアも入れない 、物 資も情報も届きにく いと
いう現実があります 。こ れが大きな課題だろ うと 思います。
ただ一方で、こうした みなし仮設も有効だろうと思いますのが、既存のアパート等既存の住宅を
活用いたしますので 、仮 設住宅を建設するた めに 土地を探し、資材 を準備 し、建設に時間を かけと
いうよりは、既 存の住宅 などを早く手配するということは、避難所の生活を短期にある程度収める
ことができるという 点で は有効だと思っております。ただ、支援をどのような形で十分に届けるこ
とができるかという 辺り が大変大きな問題と なっ ているのではないか と思 っておりまして、その辺
のいわゆる避難所から仮設住宅やみなし仮設に移った後の支援の在り方も十分に考えていく必要
があるのではないか と思 っております。
以上です。
○ありがとうござい ます 。
そのほかいかがで ござ いますか。
10
○直接ではないです けれ ども、今回は県 外避難者 の方が結構いらっし ゃっ た 。そういう人たちの受
入れ体制が各都道府 県で バラバラで、対 応にかな り差があった。こういう県外避難が生じるような
場合に備えて、今回どん な受入れをしたかをちゃんとまとめて、受入れ体制のマニュアルの検討を
是非お願いしたいと 思い ます。
○ありがとうござい ます 。
そのほかいかがで ござ いますか。
○幾つかあるんです けれ ども、今、● ●委員もおっしゃったこともありますし、●●委員からも出
ている話ですけれど も、1つは、小さな 直下型と いうかそういう災害 もあ るいは広域のものも 同じ
なんですが、結局 、被災 地の中で避難所を全部確保するとか、仮設、みなしも含めて調達するの は
非常に難しいという こと で、どうしても 広域避難 というものを考えざ るを 得ない。この広 域避難の
体制というのは今十 分で きなくて、やはり市町村 単 位で被災市町村が中 心に 避難者の面倒を見よう
と思うと、どうし ても広 域になかなかならないということがあって、そうすると、どうしても避難
所に過剰な人が集ま って しまってサービスが 行き 届かない。あるいは仮設 住 宅が十分建たないとい
うことがあるので 、広域 避難の体制を強化す るあ るいは既存の住宅ス トッ クを活用して、場合によ
っては県外というこ とも 多分あると思います けれ ども、ここで想定してい る の は比較的局地的な災
害であれば、県の 中であ る程度対応ができるかもしれない、そういう賃貸を含めて、みなし仮設み
たいなものを拡充し てい くことは必要だと思 うん です。
ただ、みなし仮 設をつ くるときも、あっせんの体制ではなかなか難しくて、せっかく迅速に避難
者を避難所のかなり 苛酷 な環境から移すこと がで きても、手続とかその辺 で 迅速性に乏しいところ
があるような気がす るん です。そこを何とか でき ないかということが 一つ です。
それから、自 治体間の 相互支援の体制にも関係するんですけれども、前にこの会議でも申し上げ
ましたが、もう少 し自治 体間の相互支援が各被災地と、例えば、姉妹都市とかそういう限定的なも
の で は な く て 、 全 体 の シス テ ム と し て 動 け る よ うな 形 で つ く っ て い く 必 要が あ る の で は な い か と 。
そのときに、だれがどん な 基準でどういうふうに支援していくのかを決めなくてはいけないんです
け れ ど も 、 そ れ が 全 国 知事 会 み た い な と こ ろ が でき る の か 、 あ る い は ほ かの と こ ろ が で き る の か 、
あるいは国がしなけ れば いけないのかという こと も含めて、それを詰めて 制 度化をする必要があり
ますし、そのとき 支援す る要員を事前に指定して、例えば、避難所を支援するのだったら避難所支
援 の 経 験 が あ る と か 、 ある い は そ れ な り の 訓 練 を受 け た 人 を 派 遣 す る 必 要が あ る ん じ ゃ な い か と 。
そうすることによっ て迅 速に、しかも 、ある程度 ト レーニングを受けた 人を 被災地の中に送り込ん
で、自治体間の 相互支援 というのは実体化するのではないかという気がします。とりあえず2つだ
け。
○よろしゅうござい ます か。どうぞ。
○●●でございます 。今 回のボランティアに関しましては、統計上は 85 万人という全社協からの
報告がありますが、 それ 以外にも全社協とか ボラ ンティアセンターを 通さ ずに入った NPO もたく
さんありますから、多分 1.5 倍ぐらいいると考えると 120 万人ぐらいだと思うんですけれども、い
ろいろあるんですが 、1 つは現状の課題とし て、ここは復興を語る場 では ないということも先 ほど
11
あったようですが 、私た ちは今までどうやっ て入 るかとか、迅速 に駆けつ けるということにか なり
意識をしておりまし たけ れども、そうい うことも 勿論必要なんですが 、今 の被災地の現状を考 える
と、より個別化し ていく 、あるいは深刻化していく中で、例えば、仮設住宅などでも引きこもりと
か DV とかパ チンコばっ かりやっているとかいろいろな課題がある中で、そうした 状況がそれぞれ
市町村や LSA とかさま ざ まな方が出入りされるんですけれども、ボランティアが果たす役割は非
常に大きいと思って いて、継続的な支援をどう 担保 していくのかという こと が議論としてはまだ成
り立っていなくて、現状 に おいてはお金がなく なっ た団体からどんどん 去っ ているというような状
況が続いていますか ら、どうやって支援の継 続を 図っていくのか 、あるい は地元の方々との更 なる
連携をどうやって深 めて いくのか、そう いうこと を議論として追加し てい く必要が、この 会議では
なくてもいずれはあ るん じゃないかと思って いま す。
一方で、今回の 東日本 大震災を振り返って、現在進行形ですから、まだ振り返る段階ではないと
思っていますけれど も、ボランティア側にと って も想定外で、ガソ リンが ない、食料の補給 ができ
ない、あるいは 極寒の地 であるという最初の条件が、一時的なボランティアの自粛にあったという
ことなんですけれど も、 事実上入れなかった と。 阪神・淡路大震災と よく 比較されますが、阪 神・
淡 路 大 震 災 は 歩 い て で も入 れ ま し た か ら 全 然 状 況が 違 う と い う こ と だ け は御 理 解 い た だ き な が ら 、
ただし、何か危な いから だとか、福島のことがありましたので、ナイーブになった点も非 常に大き
いと思うので、この辺り には行かないでほしいという言葉も出てきたので、大学が学生に行くなと
言ったり、それはいかが な ものかということを少し詰めて考える必要があるんじゃないかというこ
とです。
安全が確保されな いと ころしかボランティ アに 行けないのか、あるいは 安 全な場所かどうかわか
らないけれども 、きちん と訓練を積んだり、それなりの知識と知恵を持っている団体はどんどん入
っていくべきではな かっ たのかと私は思って いま す。
一方で、震災 ボランテ ィア連携室が開設されましたけれども、今から思えば突風みたいな形に思
えて、今まで私たちは 2004 年以降、内 閣府のボランティア検討会で広域連携を含めたさまざまな
議論を尽くしてきた はず なんですけれども、その 連 携があるいは信頼関 係が なかなか生かし切れな
かったという点が最 大の 反省点ではないかと 。連 携室との連携もかな り密 に行われたんですが 、あ
る意味、違う部 署の人と 話しているみたいな感じで、今まで積み上げてきたものの延長線上に連携
室があったらよかっ たん ですけれども、そこにな いということなので 、初 めましてという方々 に対
して、今までの検討内容 も 全然理解されないまま連携室だけができましたというこ とが知らされる。
こういう状況で、本当に 何 を連携しようとした のか よくわからないとい う状 況も正直言ってござい
ました。現在はボ ランテ ィア班というものに引き継がれておりますけれども、ただ、関係性は全然
悪くなくて、いろ いろな 会議に御同席いただいたりして現在でも交流はありますが、ただ、もう少
しやり方があったの では ないかと。これ は政治マ ターの話かもしれま せん が、そういう感 想を持っ
ています。
一方で、私たちが 日本 の災害復旧の中で頑 張っ ているということ以 上に 、国際協力の NGO がか
なり力を発揮しまし て、ここが今まで東日本 大震 災の支援に入らなか った ら、もっと大変 な事態に
12
なっていたのではな いか と思うくらい彼らは 活躍 しています。では、 なぜ NGO が縦横無尽に活動
できたかというと 、経団連 、各企業の本体 から現在ま でに多分 66 億円ぐらいの資金提供があって、
その分配を受けた各 NGO の団体が潤沢な資金 を、 私たちのレベルから いく と1けたも、2けたも
多い数字でやってい らっ しゃるということが あっ たので、ここは 日本の災 害ボランティアが 、今ま
でそうしたネット ワーク を十分に、 NGO 等を見習って物事を仕掛けていくというのがちょっと不
足していたという反 省点 もございますが、今申し上げたように、企業の応援の在り方、あるいは我々
の日本という枠に とどま らず、 NGO という視点からの枠組みの協力も今後は必要なので、検討会
とかいろいろありま すけ れども、もう一 回登場人 物を考え直さなくて はい けないような、もう少し
登場人物を増やしていかないと議論が成り立っていかないのではないかという感想を持っていま
す。
最後に、御存 じのよう に、台風 12 号とか 15 号が各地で被害をもたらしたわけですけれども、東
日本大震災のような 災害 がなかったら、台風 12 号の和歌山あるいは三重の現場は相当悲惨でした
から、ボランテ ィアがた くさん入らなければいけなかったはずなんですけれども、私どもも法人と
してはお隣の三重県 紀宝 町に支援して、ボランテ ィアバスを何回も出したんですけれども、集まら
ないんですね。何 でかわ かりませんが、学生も休みの期間の最後の方でしたが、やはり東日本大震
災というイメージが 強過 ぎて、そこに行 った方々 が少し疲れていたの か、あるいは余りにも水 害の
悲惨な状況が伝わり 過ぎ て敬遠されたのか、よく わかりませんけれど も、台風 12 号、15 号に関し
ましては、和歌 山を支援 した仲間にも聞いてみますと、やはりボランティアが集 まりにくかったと
いう状況でしたので 、こ こも少し分析しなが ら、今までこんなことは なか ったというか、ボ ランテ
ィアのバスを出した らす ぐに集まるような経 験し かないので、連続して起 き た場合の対応みたいな
こともボランティア 側は 考えておかなければ いけ ないのかなというこ とを 感じました。
長くなりましたが 、以 上です。
○ありがとうござい ます 。
私の方からも幾つ か気 がついた点を御紹介 しま すが、1つは 、今回は藤 沼 ダムという農業ダムが
決壊した一例が非常 に注 目されたんですが、例え ば、東海・東南海・南海 地震を想定しますと、瀬
戸内海沿岸には無数 のた め池があるんですね 。こ れは、ほとんど 今は使わ れていなくて放置さ れて
いる。例えば、兵庫県で はため池が2万 4,000 を数えるんですけれども、管理が十分ではないとい
う状態がずっと続い てい ます。ですから 、どれく ら いの周期の地震波が 達す るかにもよるんですけ
れども、大小無数の ため 池がありますので、 その ため池の決壊はやは り要 注意だなと思います 。
それから、重 要な施設 は自家発電を持っていただいているんですが、どうも燃料の備蓄がてんで
ばらばらで、3 時間程度 から1週間程度といいますか、その情報が外に はわからないということで
すから、やはり何 か基準 が要るのではないかと。備蓄の目安といいますか。東京でも丸の内辺りの
自家発電は3時間ぐ らい しかないのが圧倒的 に多 いので、燃料の備蓄があ る からといって安心して
いると電気がだめに なる ということです。
それから、市役 所・町役場あるいは学校、病院等がすべてそうなんですけれども、施設あるいは
職員に大きな被害が 出て、その後どうするかと いう BCP が、今まではいわゆる自治体の BCP とい
13
うのは仕事が増える とい う形が圧倒的に多か った んですが、自らが被害を 受 けたと きにどうするん
だということをきち んと 考えておかなければいけない。これは地震だけではなくて風水害全般にわ
たってそうなんです けれ ども、台風 12 号も実はそういう面があったんですが、要するに、自分た
ちが被災者になると いう 形での BCP をきちんとつくっていく必要があるだろうと。
それから、今 回は津波 ということもあって、避難をしなかった方が非常に大きく被災しているわ
けで、まず、避難場所と 避難所と2つに分けられたところで、避難所というのはきちんと災害時に
ラ イ フ ラ イ ン が 供 給 さ れる と こ ろ だ と 定 義 し ま すと 、 家 に い る よ り も 避 難所 に 行 っ た 方 が 安 全 だ 、
情報があるという明 確な 差をつけて、住 民に避難 を促せるようなイン セン ティブを明示する 。これ
までのように、避難所と いうのは安全な空間なんだという定義だけですと、家にいたっていいじゃ
ないかということが 起こ るわけで、避難 所と言う からには、そこ へ行くこ とが家にいるよりも メリ
ットがあると。勿論、家 に いると命を失うかもわからないと思っていただくのが一番先決なんです
けれども、そこ まで考え が及ばずに天秤にかけて考えるというのが大体普通なんですね。そうする
と、何かはっき りしたイ ンセンティブが避難所にないと、行政からの避難勧告と か避難指示ではな
かなか動いていただ けな いのではないかと思 いま すので、その辺いわゆる 公 的な避難所の高規格化
といいますか、特にス ポッ ト状に被害が出るところでは、その重要性はとても高いと思いますので、
その辺はきちんとや って いくべきではないか と思 いました。
以上です。よろし ゅう ございますか。どう ぞ。
○先ほど御紹介もあ りま したので、南三陸町 のデ ータを御説明いたし ます 。参考資料2の 42 ペー
ジに細かい数値がご ざい ますが、東日本大震災に関して解決すべき非常に大きな課題だと思います
ので御紹介します。
これは南三陸町の 全住 民の調査で、現在1万 3,000 人程度の回答が来ておりますが、早目に警鐘
を鳴らした方がいい だろ うということで、町 と相 談の上で公表した中 間結 果です。
表 の 左 の 要 介 護 認 定 者、 こ れ は 介 護 保険で介護認定を受けている、すなわち介護が必要な方 で 、
右側がそうではない 、今 までいわゆる元気だ と思 われていた高齢者で す。これを 現在お住まい、仮
設住宅が町内か町外 か、または一般住宅で津 波の 波をかぶったか、そうで ない地域か、また、町外
のかで比較したもの です。ポイントだけ申し上げますと、もともと震災の前に介護を要していない、
元気であった高齢者 です ら、1~3割低下しているということです。ですから、一見元気だから大
丈夫だというのでは なく 、高齢だと低下 をする危 険性があるというこ とを 是非、専門家だ けではな
く一般の方々に広く 認識 いただきたい。
実は、これは 新潟の地 震のときから同じような調査をやっていまして、かなり起きるという警鐘
を鳴らしており 、厚生労 働省からも予防喚起の事務連絡が行っておりますが、今回 の震災での状況
をまとめたというこ とで す。
ポイントの2番目 です が、仮設住宅に関心がいきがちですが、仮設住宅の方では非要介護認定者
では約3割、町内・町外 ともに低下しています。しかしながら、そこだけではなく一般住宅の方も
1~2割程度の方が 震災 後7か月の時点で低 下し たままです。是非、一般住宅の方々にもそういう
ハイリスクの方がた くさ んいらっしゃるし、既に低下した人がいらっしゃるということで対策を立
14
てていただければと 思い ます。また 、町外に行っ た 方々は一般住宅でも 4分の1の方が低下してい
るのです。
では、なぜ起 きたのか ということですが、病気をしたのではないかということがよく言われま す
が、そうではなく 、ロジ スティック 回帰分析等の 統計的な解析をしま すと 、震災の前と比べ ると生
活が不活発になった こと による。すなわ ち、生活 不 活発病による全身の 機能 が低下したということ
が非常に大きく影響 して いることが今回の震災で も明らかになりまし た。生 活を活発にさせるため
には、医療や保健や福祉と いう狭い 分野の専門家だけではなく、例えば、最初の時期の避難所で は 、
寝たり、食事を確 保する だけではなくて、いかに生活を活発にできるのか の視点も大事で、避難所
の運営の方や、またはボ ランティアの方の支援の仕方なども含めて是非、御 検討いただければ と思
います。また、現時点で したら、町全体、市全体、県全体のさまざまな行政の専門分野から も 関与
いただければと思っ てお ります。
ですから、今 回の東日 本大震災の今の時期で、特にこれから寒くなっていくという時期において
は極めて大きな課題 であ り、また、具 体的な対策 が余り立てられてい ない ということで、是 非認識
をいただき、お知 恵を拝 借して、克服できればと思います。せっかく生き延びた命ですから、より
充実したいい人生を 送っ ていただきたいと思 いま す。それは御本 人だけで はなく、御家族 にとって
も非常に大事なこと だと 思います。それから、要介護認定を受け 介護サービスを受けることにな れ
ば、自治体の財政に も直 結する問題でもあり ます。
あと、簡単に2 点だけ ですが、1つは、要援護者や福祉避難所 。これは先ほどの問題とも関係し
ますが、実は要援 護者対 策とか福祉避難所という言葉自体はよく使われて、認識されていて、いろ
いろな対策が立てら れて いたとは思いますが、そ の対象者以外にももっと配慮すべき方たちがたく
さんいらした。要 援護者 対策をしたり、福祉避難所があればいいということで、適切な配慮をもっ
とすべき人たちが見 逃さ れ、配慮されなかったこ とは、さまざまな避難所で実際に活動したり調査
をしましても明らか です 。これも 大 規 模な災 害の とき以外でも共通す る課 題かと思っておりま す。
3点目ですが、今まで 申し上げた2点とも 関係 しますが、福祉や 医療や 保健という内容は 、専門
家だけではなくて、是非 そ れ以外の専門の方々 にも 基礎知識として避難 所や仮設住宅運営の中であ
るとか、防災担 当の方々 の基礎知識としてもっと普及できることを考えていただければ、今後の 災
害時に、その規 模とは関 係なしに、さま ざまな観点から効果が上がるのではないかと思っておりま
す。
以上です。
○ありがとうござい ます 。
大変貴重な資料を 提供 していただきまして 、本 当にありがとうござ いま す。これは非常 に難しい
問題で、今、委 員がおっ しゃったように、いろいろな方面の方が入って議論しないと、なかなかい
い解は見つからない とい うことだと思います ので、引き続きこの専門調 査会 でも勿論ですけれど も、
災害に関係するいろ いろ な専門調査会できち んと 統一して、そういうもの に ついてのアプローチを
やっていかなければ いけ ない課題ではないか と思 います。ありがとう ござ います。
○今の話とも関連す ると 思いますが、災 害関連死ですが、前々から災害関連死というのは基準が難
15
しくて、どこま でが災害 関連死なのかということがあるわけですが、今回まだ統一的なデータは出
ていないんですけれ ども 、一つは、認 定基準の問 題があると思います 。ど ういうふうに認定し てい
くのかということが ある んですけれども 、それよ り重要なのは、いわゆる 災害関連死になった 人た
ちがどういう経緯で お亡 くなりになったのか、どう すれば防げたのか、そ こが どうもわからなくて、
不活発になっても困 るん ですが、一番困 るのは亡 くなられるというこ とな ので、どういう 状況かと
いう実態を是非解明 して 対策に結びつけてい ただ きたいということ。
あと、ついでに と言っ ては何ですけれども、情報関係で言うと流言の対策の話で、今は非常にい
ろいろなメディ アが 出て きたの で、 いろいろ新しい形の流言がたくさん出てきて、 twitter もそう
ですし、SNS 関係 もそう なんですけれども、その流言が、ただこんな話があったというところでと
どまっていればいい んで すが、買い占め も困りま すが、もっとい ろいろな 形の困ったことが起 きる
可能性があるので 、流言 についてもちゃんと 調べ ておく必要がありま すし 、それをどうや ってマネ
ー ジ す る か と 。 流 言 と 思わ れ る も の を どうやって集めて、その真偽を 確認して対応するかという、
その辺も少し課題と して 考えておく必要があ るの ではないかと。
そういうことで 、新し い通信手段のメリットもたくさんあって、例えば、ローカルなものだとエ
リアメールも含めて、コ ミュニティ FM も勿論有効なんですけれども、それ以外にもやはり記録性
があるとか、そういう面 で 特定のエリアにいる人たちにメールが送れるという手段も活用できるん
ですが、それは逆 にマイ ナス面もあるので、その辺を是非、今回の実態調査を反映させる形でここ
に入れていただいた らと 思います。
最後に、情報の トリア ージの話が書いてあって、これも重要なんですけれども、要するに、ノウ
ハウの部分が非常に ある わけです。何は 大事では なくて、何が大 事かとい うことを判断しなけ れば
いけない。それを 大規模 なものとか深刻な被害とか、予測がつくかつかないかとか、いろいろなこ
とによって変わって きて 、これを扱う人 、トリア ージを言うのは簡単 なん だけれども、実際 にその
能力を身につけると いう のは非常に大変だと 思い ますので、担当者の事前 の 訓練をしておかない と、
とてもトリアージ能 力は つかないだろうと思 うの で、その辺も是非お願い し たい と思っております。
以上です。
○ありがとうござい ます 。
私もちょっとつけ 加え ておきますけれども 、今 回、避難所に避難 した住 民は、ほとんどが 従前の
避難訓練に参加して いた 人に限られるという こと がいろいろ指摘され てい ますので、いわゆる頭の
中だけではなくて体 を動 かすという意味での 防災 訓練の重要性は、津波だ け ではなくていろいろな
災害に共通すると思 いま す。そうなると 、避難勧 告 の発令のタイミング とい ったことも大変シビア
に な っ て き ま す の で 、 一連 の 避 難 に か か わ る 問 題に つ い て の 見 直 し が 、 警報 の 発 令 な ど も 含 め て 、
もう一度きちんと整 理す る必要があるのでは ない かと思います。地震の場 合 は先に起こってしまい
ますので警報という 問題 はないんですけれど も、か えってリードタイム のあ るものについての方が
対応が難しいという こと が出ておりますので、そ れ についての適切なア ドバ イスが各自治体に必要
ではないかと思って いま す。
16
資料説明
○河田座長
よろし ゅう ございますか。また一巡してまいりますけれども、それでは、次の話題に
移りたいと思います 。中 山間地等の復興、ライフ ライン・インフラ の早期 復旧の審議に移りた いと
思います。事務局か ら説 明をお願いいたします。
○越智参事官
たく さん の御意見をちょうだいいたしまして、ありがとうございました。
そ れ で は 、 引 き 続 き まし て 、 資 料 3 を お 手 元 に置 い て い た だ け れ ば と 思い ま す 。「 中 山 間 地 等 の
復興」「ライフライン ・イ ンフラの早期復旧」ということで2つ大きくあります。
2ページに課題が 右側 に書いてございます 。既 往災害から見た震災 復興 の課題というのが 、ここ
には7点ほど挙げて おり ます。生業と住ま いが同 時に被災する、コ ミュニ ティが分断、孤立 集落の
問題、長期避難が 発生す る。それから、被災によって地域が破壊されて、自然環境や 文化財等の地
域資源が変容してし まう 。それから、復 興に関す るノウハウが不足し てい る。それから、集落機能
が低下・喪失してしまう 。それから、被 災を契機として離農などが進行して、地域が衰退してしま
う、それに加速がか かる といったような、と りあ えず7点ほど挙げて ござ います。
3ページには 、その7 点の課題に対して、どのようなことについて検討しておくべきかというこ
とで、大きく3つ のカテ ゴリーに整理しております。まずは、こういう課題を前提にした復旧・復
興の進め方というこ と。2点目は、コミュ ニティ とか生活、集落を どのよ うに再 建するかといった
ことがございます 。3つ 目ですが、生き ていくた めには産業をどのよ うに 再建するかといった よう
な、それぞれの課 題が左 側にそれぞれ線で引いていますけれども、このような関係性があって、大
きくこの3つぐらい の項 目が整理されるので はな いかということで、以下 こ れに基づいて整理をし
ておりますので、順 次5 ページから御説明い たし ます。
この資料の見方で すけ れども、えんじ 色の部分 は課題と見てくださ い。青で書いてあるとこ ろは
対策としてこんなこ とが あります、あるいは事例 と してありますといっ たよ うな整理をしておりま
す。
まず、復旧・復興の進め 方、1つ目のカテゴリーですが、これについては課題として大きく2つ、
①復興の方向性を検 討す る際の課題と、②復興の 進 め方に関する課題が それ ぞれあるのではないか
と。前段の方は 、方向性 の 場合には将来ビジョンを制約するさまざまな条件を考えておかなければ
ならないということ で、枠 囲いの中に生産の場、生活 の場及び自然が一体 とな っているということ、
一人ひとりに地域の 歴史 が刻まれていて 、被災に よる住民等の復興へ の喪 失感、精神的ダ メージが
大きなものとなるこ とが あるということ。それか ら、ため池とか急 傾斜な ど、先ほどもお話があり
ました災害の再発リ スク のような話、それ から、地域の住民同士のつ なが りが薄くなる、コ ミュニ
ティの断絶といった こと が方向性として課題 が挙 げられると。
それから、進め 方につ いては3つほど。住民の主体性や経験不足ということで、将来の計画づく
りについては自治組 織だ けでは限界がある 。それ から、専門的知識 や経験 の欠如、専門技術 者が少
ないとか、マンパワ ー自 体が少ないなどのよ うな 受援力が小さいとい った 課題がある。
これらについて事 例が 6ページ以降に書い てあ ります。まず 、①復興の 方 向性を考える際に必要
17
な視点というこ とで 、 (1 )将来ビ ジョ ンに基づく復興への取組みです。地域の文化や慣習に合わせ
た暮らしということ に合 わせてやると。あるいは 行政がきっかけをつ くっ てやる、初期活 動を支援
する。枠囲いで輪 島の門 前町の事例が書いてあります。市の環境整備事業が、そのきっかけとなっ
て進められています 。
7ページは (2 )次 の災 害 への備 えと しての復興ということで、対策として地域で防災マップをつ
くって地域の安全を 確認 したということ。
それから、 (3 )コ ミュ ニ ティの 継続 性への配慮ということで、これは先ほども話がありました、
避難所生活から応急 仮設 住宅での暮らしや、恒久住宅への入居などの被災者生活再建の各段階によ
って、きめ細かくコミュ ニ ティを維持していくための配慮などをするということが挙げられており
ます。
9ページは② 復興 の進 め方で 、 (1 )住 民主体の復旧・復興計画策定、合意形成への取組みといっ
た こ と で 、 計 画 づ く り に参 加 や 協 議 の 場 を 用 意 する こ と と い う こ と で 、 小千 谷 市 の 例 が あ り ま す 。
大学や市職員のワー キン グが設置されて、計画づ くりが進められたと 。こ れは、福岡県西方 沖の地
震でもそのような復 興計 画づくりがあったと 記憶 しております。
10 ページ は(2)専門家 、NPO 等 との連携です。事例はそこにあるとおりで、柏崎市の例を挙げ
ております。
11 ページですけれ ども 、(3 )受援方策を準備するということが大事だということで、専門技術者
派遣の仕組みを活用 して、復興対策やそういう もの についての方向性を いた だくといったようなこ
と。それから 、そういう こ とを円滑にするための受入れ窓口の設置みたいなことをやるというよう
なことで、そこに事 例を 幾つか挙げてござい ます 。
2つ目の課題とし てコ ミュニティ・生活・集落 の再建ということで 、こ こは5点ほど課題を 挙げ
ております。
①地域コミュニテ ィ再 建における課題 。従前の コミュニティの維持 の困 難と、コミュニ ティの核
となっている施設等 がな くなってしまうとい うこ とで、その再建に向けて の 基礎となるものが奪わ
れてしまう。
②被災後の集落構 造に おける課題というこ とで 、これは中山間地 等で高 齢化、過疎化 、少子化が
進んでおりますので 、そ ういうことを踏まえ た対 応をしていく必要が ある ということ。要は 、はね
返り係数が非常に小 さい ところで、どういう集落を目指すかということだと思います。
③生業・住宅の 再建を 含む生活再建における課題ということで、被災者ニーズをしっかり、多様
な ニ ー ズ が あ る こ と を 考え て い く と い う こ と と 、そ の ニ ー ズ が 時 間 と と もに 変 化 す る 。 そ れ か ら 、
知識や経済力の脆弱 性と いうようなことで、住宅 再 建における経済的負 担の 問題等に対する対応が
出てくると。
④長期避難所にお ける 課題ということで 、避難 が長期化するという こと で、長期化した 際のリス
クをどう軽減してい くか。それから、生活基盤や財産 への影響、生計維持、長期 化することで生活 ・
事業の再建が困難に なる ことがある。
⑤地域特有のニー ズに 対応した財政・金融上の 支援ということが出 てく るのではないか 。こうい
18
うきめ細かなニーズ が必 要であろうというこ とで す。
これらの課題に対 して 14 ページ以降に対策を 書い てあります。(1 )復興の各段階を通じたコミュ
ニティ維持への配慮 とい うことで、これは 東日本 大震災でもありまし たけ れども、集落ごと に、あ
るいは地域の自治会 ごと に仮設住宅に入居し たり、そういうことをやる こと で意思疎通を図ったり
とか、地域の関係性を 継続 させるといったことが大事だということで、そこに例を挙げております。
15 ページ、(2 )コミュ ニティの核となっている施設等の再建支援ということで、シンボリックな
施設については 、それを 離村した、ある いは遠く離れた人の希望の星みたいな形でコミュニティ拠
点としてつくってい くと いうことも方法とし てあ ると。
次に 16 ページですけ れ ども、再建方策につきましては、原形復旧だけでは安全確保できないと
い う 場 合 に は 、 い ろ い ろな 工 夫 を し な が ら や っ てい く と い う こ と と 、 医 療体 制 や 生 活 交 通 の 確 保 、
集落の維持・活 性化など に向けた人的支援、ハードだけではなくてソフトも考えていかなければな
らないのではないか とい う対策です。
17 ページは 、(1 )将来 ビジョンに基づく復興への取組みということで、さま ざまな分野の専門家
によって相談体制を 構築 していくということ で、い ろいろな課題に柔軟 に対 処できるというような
ことです。
18 ページは 、(2 )中山 間地の特性に応じた居住確保の取組みということで、地域資源を有効に活
用していこうと。そ れか ら、地域の企業など の活 用も考えていきまし ょう ということです。
19 ページは④ 長期避難 中の対応です。(1 )被災者へのケア等ということで、勿論ユニバーサルデ
ザイン化するという こと と、医療や介護 の適切な 提供、避難の長 期化がも たらすストレスケア も必
要ということで、そ れを 軽減するための活動を支援するといったことが挙げられております。
20 ページは、 (2 )財産 保全等への配慮、 (3 )生計維持、事業者の倒産防止などへの措置等々、生
活をしていくための 基盤 的なところを支援す る。
21 ページには 、(1 )中 山間地等のニーズに合わせたメニューの 設定 ということで、住宅再建や生
活再建でいろいろな 施策 を書いております。特 に、中山間地等に特有の メニ ューがございますの で、
こういう事例をいろ いろ と流布させていくこ とが 重要であろうという こと です。
3つ目、大きな産 業の 再建というカテゴリーです。これについては3つほ どあります。
まず、農林漁 業の持続 ということで、長期避難や土地の改変みたいなことで業務再開がなかなか
難しいといったこと 。ま た、商工・地場産 業、観 光業等の再建がまた 難し いと。特に、風評 被害等
によって大きく傾い てし まうおそれがある。
それから、雇用・収入 の維持に関する課題で、経済再建につながらないことが出てしまうと。要
は、被災地以外に 資金が 流出してしまうような話。それから、地域の活性化につなげる意識が不足
してしまう。これ は逆に 、ピンチはチャンスということで、災害に遭った資源をメモリアルとして
活用していくという こと で、ジオパークみたいな取組みもそういうものに当たるのではないかと思
います。
それから、中小企 業の 事業継続、今日も何 回も BCP の話が出ておりましたが、こういう取組み
がまだまだ十分でき てい ないところを支援し たり 、積極的に取り組ん でも らうことが重要だと 。
19
23 ページには 被災地の 支援方策ということで、(1)農林漁業の持続可能性を高める復旧支援、農
業再建の例が書いて ござ います。集約化をして生産組織をつくってやった例の話です。
24 ページには (2 )商工・地場産業、観 光業等の再建支援ということで、地域食材を使 ったり、関
係する部局が新商品 の開 発をやったというよ うな 例が挙げられており ます 。
25 ページは (1 )災 害対 策需要を活用すると。これはまさに弁当プロジェクトというのが中越でも
ありましたし、中越沖地 震でもそういうようなことがありましたので、地域の中でもこのような需
要を生み出していく とい うこと。
26 ページには (1 )災害 対策需要を活用する仕組みの構築の中で、例えば、住宅の建設に当たって
は、地域の素材を 使うと いったようなこと。それから、地域の企業にもあるいは大工さんにも活躍
していただくという よう な例です。
先ほどメモリアル の話 がありましたが、27 ページです。阪神・淡路大震災では野島断層保存館と
か、洞爺湖のジオ パーク 等々、火山の例ですけれども、雲仙等でもいろいろ取組みがされておりま
す。
28 ページは BCP で、そ のためにはライフライン等の産業を支えるインフラの早期復旧が併せて
求められるというこ と。
BCP 策定へインセン テ ィブを与えるということで、29 ページに書いてあります。BCP 融資や防
災格付融資、日本 政策投 資銀行、これは大規模な企業に対しての防災格付けをやって、融資条件を
有利なものにしてい ると いうことでございま す。こういうようなインセンティブを与えるというこ
とで産業の再建に結 びつ けていくということ です 。
もう一つ、ラ イフライン・インフラの早期復旧です。31 ページに必要性と課題が書いてあります。
右側の緑のところ で、生業と住まいの両方 で電 力・上下水道等の機能が 喪失する。それか ら、復
旧作業等での移動・運搬 の困難性。それか ら、地 域外に依存している サー ビスが使えなくなる とい
ったような課題があ ると いうことで、課 題に対し て今後どういう取組 みを するかということで 、被
災状況について 32 ペー ジ から何ケースか書いております。
電力の被害につい ては 棒グラフがあります。中越 地震のときには 10 月 23 日に地震があって、そ
れから 10 日後に停電解 消 みたいな形になっております。その際、多くの作業員の派遣という形で
進んでいるところで す。
33 ページ、上水道、水 も重要な復旧の資源です。グラフがありますが、一番右側 のグラフは、川
口町は簡易水道だっ たの で取組みが若干遅く なっ たと。水道の場合には日 本 水道協会が支援する仕
組みができておりま すが 、それが早期に 使えなか ったということです が、全国からの応援態勢 を敷
いて水道の早期復旧 を目 指すと。
都市ガスにつきま して も、グラフにありますように、例えば、中越の例ですけれども、大体1か
月ちょっとで復旧作 業が 完了しているという こと です。これについ ても、各団体・協会の支 援が行
われていると。最大で 2,600 人の応援部隊が中越沖地震では出ているということです。
35 ページに 、結果的に 職 員派遣や事業者同士の応援が相当効果を上げているということですので、
関係機関間での事前 の相 互応援協定などが有 効で あったり、ある いは復旧 対策においては 、連絡調
20
整会議みたいなもの を周 辺の関係機関で組織 して、情報交換しながら連 携を とって取り組んでい く
ということで、36 ページ には中越地震の山古志インフラ復旧調整会議、関係メンバーがそこに集ま
って、面的に調整を とり ながら復旧の計画を 立て て、それぞれが取り 組む といったような形。
それから、今回の 震災 でも 37 ページにありますように、東日本大震災でここにありますような
形で調整会議がつく られ て、復旧工事 、農業用水 排水機場の復旧などを実施しているということで
す。
以上です。
○河田座長
ありが とう ございます。
かいつまんで要領 よく 説明いただきました 。中 山間地等の復興、ライフ ライン・インフラ の早期
復旧、聞いてい ますと東 日本大震災も同じような問題を抱えているということでございます。改め
てこの地震・津波 という ものがインパクトをいかに与えるかがわかるわけですけれども、一応、総
論として提出させて いた だいておりますが 、何か 抜け落ちがあると困 りま すので、その辺 の御指摘
あるいは新しい見方 を御 指摘いただけたらと 思い ますが。
審
議
○よろしいでしょう か。先ほど●●委員からありましたけれども、中山間地域では被害を受けたら
元に戻るのは非常に 大変 ですから、復旧・復興も 検 討項目に入れていた だき たいということが1点
目。
それから、こ の資料は 本当によくまとめて いた だいていますけれども、これだけの内容をちゃん
と動かすためには 、その 前段として復興計画 をつ くることを義務づけ た方 がいいと思います 。現在
の制度では復興計画 を市 町村がつくる義務はないと思います。ただ、集団防災移転 事業等とか住民
に一番近い市町村が つく った方がいいということで多分やっていると思います 。けれども、策定す
るところとつくらな いと ころがありますから 、や はりつくるようにし てほ しい。あと、復興計画を
つくるときの復興計 画の 役割も整理しておけば、災害にあったとき 、もっとこの資料が具体的に生
きるような形になる ので はないかと思ってい ます。復興計画はいろいろ な復 興事業の基幹事業を総
合調整して、カバ ーする 部分と、住民に立場から議論できる場 となる わけですから、是非復興計画
は入れてほしい。
それから、復興事業に ついては、今回の東日本の津波、雲仙の 土石流、奥尻島の津波、不知火の
高潮のように、嵩上げし て安全な場所を確保するという嵩上げ事業が行われております 。これは公
共事業ではないもの です から、その場その場でい ろ いろな事業制度で実施しているわけですけれど
も、そうすると 、事業に よっては非常にリ スクの高いものになるおそれがありますから、復興のた
めの嵩上げ事業を何 らか の意味での制度化を一つお願いしたい。
ちょっと長くなっ て申 し訳ないですけれど も、22 ページをごらんにな って いただけますでしょう
か。②雇用・収 入維 持、 地域経 済再 建における課題ということで、 (2 )被災経験を地域経済の活性
化 に つ な が る 意 識 の 不 足の 2 番 目 で 、「 考 え ら れ るが 懸 念 さ れ る 」 と い う こと で 、 余 り ポ ジ テ ィ ブ
21
に取り上げていない ので 、ここは も っ と ポ ジ テ ィ ブ に 取 り 上 げ て い た だ い た 方 が い い と 思 い ま す 。
先ほどお話のよう に災 害遺構の保存は地域の活 性化に役立ちます 。加えて、●●委員がおっしゃ
ったように、災害 教訓の 伝承や防災教育にも役立つわけですから入れてほしいです 。ただし、保存
のタイミングは非常 に難 しい。被災者の 方は生活 再建が見えないと、被災した構造物を見たくない
ということで、撤 去して ほしいというのが非常に多い のです。復興のために被災地域の 解体・撤去
事業が終わった後で はど うしようもないわけ です から、何らかの意味で被 災 地域の以外から調査し
て災害遺構を残すよ うな 仕組みが一つ要るんじゃないかと思っています。
もう一つは、三宅島と か玄界島の復興を見てい ますと、震災時にはボランティアとか支援団体が
入って地域の活性と いう か交流が生まれますが、復旧・復興が終わってしまったらパタッととまっ
てしまうことがあり ます。復興計画の段階から他地域との交流を可能にするような交流の場づくり
とか、仕組みづくり を検 討することもお願い した いと思います。
以上です。
○ありがとうござい ます 。
いろいろ重要な御 指摘 なんですが、特に 、例え ば、北海道などは 今、札 幌だけが人口が増え てい
て、ほかは全部人 口減少 ということなんですが、北海道全体の人口が減っているんですね。という
ことは、いずれ 札幌だっ てそれは免れないだろうと。勿論これは非常にプラクティカルな問題意識
で議論しているわけ です けれども、その 前提に国 土のグランドデザイ ンと いいますか、こ ういう長
期低落化していくと いう トレンドを何とか水 平に 持っていくといいま すか、マイナスの方に 振れて
いるところでの被災 とい うのは、とても インパク トが大きくて、それがき っかけでだめになる とい
うことのリスクがと ても 大きいものですから 、勿 論、起こってから の対応 も、この専門調査 会はそ
れが一番の主眼です が、首 都一極集中も含めて 国土 のバランスのとれた 成長 というもの を前提とし
た防災でないと 、なかな か復興事業がうまくいくというようなところが期待しにくいと。むしろネ
ガティブなところをいかに薄くするかということに終始してしまいかねないということになりま
すので、やはりこ の専門 調査会のまとめの前段で、そういった視点での国土の保全の在り方が、こ
ういう場合にこそ重 要で はないかと思います 。
○よろしいですか。● ●委 員がおっしゃるとお りだ と思います。この資料 から は離れますけれども、
今、地震のことが 災害と してテーマになっていますが、あと、中山間地としてどういう地域をイ メ
ージするかによりま すが、今年大きな被害を受 けた 福島県の奥只見の方 とか 紀伊半島の山奥のこと
を考えると、地 震もさる ことながら日常的に土砂災害であるとか、大雪の被害の危険性みたいなこ
とに毎年毎年見舞わ れて いるわけです。そう いっ たところについて、 災害 が起こった場合の復 旧・
復興を考える、あるいは 事前の対応を考える上で、国土政策としてこういった中山間地域というも
のをどう評価して 、ある いはこういった状況 の地 域についてどこまで 肩入 れするのか、あ るいは肩
入 れ す べ き で あ る の か 、す べ き で は な い の か と いう 議 論 も 含 め て 、 そ う いっ た こ と を 考 え な い と 、
本当に深刻な災害が 起こ れば深刻な問題で地 域社 会が崩壊すると思う んで すけれども、そういう崩
壊をどうしていくの か。特に、森林の管理の問題というのは非常に深刻な問題だと思いますが、そ
ういった意味で●● 委員 がおっしゃったよう に、国土政策としてどう 考え るか、国土政策 と防災の
22
問題の関係性をどう 考え るかという視点を持 って 考えないと、単 に普通の 災害が起こって復旧・復
興をこうしましょう とい うだけの問題では、恐ら く こういった地域は済 まな いのではないかという
問題意識を持ってい ます 。
ちょっとこれは別 のあ れになっているんで すけ れども、今、国土交通省 の国土政策局と、あとは
農林水産省等々も入 れて 課長クラスの勉強会 をや っていまして、何か1つ で も2つでも新しい政策
を打ち出せたらいい なと 思って、この研 究会のテ ーマと離れるかもし れま せんが、今やっ ていると
ころです。●● 委員の御 指摘はそういうことで、恐らくこういったところにも前段に問題意識とし
て書いた方がいいか もし れないですね。
○あらゆるところに 書か ないと、特殊な問題にな っ てしまって一般性が ない ということになりかね
ませんので。
そのほかいかがで すか 。
○今の御指摘も本当 にご もっともというとこ ろで 、私はもう少し 防災に寄 って言いますと 、長期ト
レンドで中山間地域 は多 分右肩下がりの中で、災 害 というのは逆に2~ 3ペ ージには大変だぞとい
うことがたくさん書 いて あるので、実は災害が起 こ ることによって全国 から 注目を集めて地域を見
直すよいチャンスに なる と。それから、多 くの資 源、人的・物的 、そして 、多分財源も入って くる
一 つ の 好 機 と と ら え て 頑張 ら な け れ ば い け な い んだ と い う と こ ろ も 書 い ても よ い の で は な い か と 。
明示的に書けるかど うか ですけれども、考え ると ころです。
あと2点ほどある んで すけれども、9ページに先ほど御紹介いただいた小千谷市の市民参画型の
計画づくりがありま すが 、これは結局 、職員がた たき台を作成して 、市民 からワークショップ と称
して参加していただ いた 方に意見聴取をする 。そ して、それが全 体的に正 しいかどうかを調査 とい
うことで、市民全体 に御 意見を聞くというよ うな 方法で進んできてい ます 。
実はこれ、3年 目と5 年目に検証も行われて、検証自体も職員の検証、市民の検証、調査をした
全体の検証と3つ合 わせ て、その差異を見 るわけ です。そうすると 、1つ は、小千谷の今の 復興の
全体像が見えるとい うこ とと、もう一つは、地域の差が見えてくるというところ。そして、3番目
に見えてくるのは 、面白 いんですけれども 、行政 の宣伝不足です。一生懸 命やっておられて 、行政
はうまくやっている のだ と思うんですけれど も、実 は市民には通じてい ない というようなことが明
らかになってきます 。こ の試みは、ここ に御紹介 いただいてすごくい いな と思っていただける かと
思いますが、実は 、これ は神戸市で阪神・淡路のときにやっていたことでして、これが中越地震の
被災地に限って言い ます と、実は小千谷市で しか やられていないとい うの が現状です。
こ れ が い い か 悪 い か とい う 評 価 も あ る と 思 う んで す が 、 た だ と い う こ とで 3 点 目 と い う こ と で 、
先ほどの私の話に戻 るん ですけれども、い わゆる 全体の前段に、防 災教育 もそうですが、ノ ウハウ
の蓄積というような こと を一つ掲げる必要が ある のではないかと。それは 予 防という言い方でいい
と思うんですが、例えば 、危機対策課とい うもの が応急対応をします 。今 、危機管理監とい うのが
全国にたくさんいら っし ゃったり、自衛隊 からた くさん人が来たりも して います。それから 、例え
ば、復興支援課 だとか復 興支援室というのが全国で立ち上がっているんですけれども 、そのノウハ
ウ自体が別に共有さ れる ような場はなくて 、その 行政が汗をかきかき 、前 にあったところに電 話し
23
てつくり上げている とい うのが実態だと思い ます。この専門調査会が毎 回開 かれればいいんですけ
れども、そういう ことに もならないとなると、そういう予防、防災教育だとか専門職としてのノウ
ハウ、先ほどおっ しゃっ ていただいた医療 、保健 、福祉のノウハウ を一般 の行政や対応者にも 知っ
てほしいという枠組 みを 何かつくりましょう とい うような御提言みた いな ものも、予防のところに
あってよいのではな いか と思うところです。
○ありがとうござい ます 。
おっしゃるとおり で、過 去にやったことの蓄 積と いうものがどこかで 利用 できるようになってい
ないと、阪神・淡路大震 災のときにいろいろな試みが行われて、勿論、失敗したもの、成功したも
のもあるんですけれ ども 、そういう情報 が簡単に 利用できるような形 にな っていないというか 、ま
た、初めて経験 するよう な形でトライしていただくというような、行きつ戻りつというようなこと
がずっと繰り返され てい るのが実情だと思い ます ので、どこかで そういう 知恵といいますか 、そう
いったものをきちん と利 用できるような仕組みづくりが必要かもしれません。ありがとうございま
す。
そのほかいかがで しょ うか。
○事務局が言われた こと に対して、●●委員からも御指摘いただいたとおりでございますけれども、
例えば、能登半島 地震の 被災地の、輪島だけが注目されていますが、我々は穴水というところに支
援しているんですけ れど も、そこでも、もともと 商 店街としては限界だ った ところが地震に遭っ て、
その復興を話し合っ てい くということが非常 に厳 しいというのはそう なん ですが、こういう資料に
まとめられると住民 の生 の声がどうしても消 され てしまうと。だ けれども 、丁寧 に人と付き合って
いくと、次の代 の人たち がそれではいけないということにいつか気づいて、今まで商店街の店主同
士で話し合ったこと もな いんだけれども、そ れは だめだということで 、ボ ランティアとか NPO が
先導する形でいろい ろな 方々にお越しいただいて、ワークショップを開いて夢を語ったり、そうい
うことの繰り返しを して いる中で、現在 は、元々人口の少ない地域ですから劇的な変化は望めませ
んけれども、商店 街とし ては非常に充実した活動を継続されている。あるいは栗原のお話でも、日
本災害復興学会のメ ンバ ーも入っていって 、本当 に住民とひざを突き合わせて、どんな町にしたい
のかということをも ろも ろ話し合った結果と して、住民と一緒にまとめ た復 興計画を市に御提出し
て、私たちはこ う掲げて いますということをできた事例もあるので、もともと持っている中山間地
の閉塞感みたいなこ とだ けではなく、プ ラス面、つまり災害によってこのまま放っておくと自分た
ちの地域がなくなっ てし まうという危機感か ら脱 しようとしている力 をも う少し事例として、被災
者の生の声として取 り上 げていただくような 場面 も必要ではないかな とい う感じはします。
○ありがとうござい ます 。
そのほかいかがで すか 。
○今、これまで の蓄積を というお話がありました。私も仙台市の復興計画の検討委員になっており
まして、今回は 仙台モデ ルという形で反省も含め、さまざまなものをすべて総括して仙台モデルと
いう形で全国発信を して いこうと。今回 の震災の ある意味では総括と いう ことなんです。避難所の
問題しかり、避難 の問題 、地域の防災力をどう高めていくかということも含めて、すべてモデルと
24
いう形で参考にして いた だく、あるいは教訓とし て いただこうというこ とで 今取り組んでいるとこ
ろなんですけれども 、先 ほどコミュニティと いう 問題、大変重要な問題だと思いますが、既存のコ
ミュニティを維持す ると いうのは今、大変難 しく なってきているとい う現 実があります。
例えば、今回の 津波で 仙台市の場合には、いわゆる危険地域というものを指定しまして、集団移
転を勧めているわけ です 。それが 2,000 世帯に及びます。そうしますと、その方たちはさまざまな
場に分散するという 、あ る程度土地を用意さ れた としても、希望 がかなう かどうかわかりませ んの
で、いろいろな形 でコミ ュニティが崩れていくというのがあります。それから、福島や岩手の被災
地からも仙台の方に 多く の方たちが移り住んできていらっしゃるということもありまして、やはり
コミュニティの再構 築と いうのが必要ではな いか ということを、まさに仮 設 などに入っております
と、つくづくそれ は思い ます。既存のコミュニティも入っているんですが、そこに入れなくなって
いる、既存のコ ミュニテ ィがなかなか機能しなくなっているという現実もありますので、やはり再
構築というところは 一つ 大きな課題になって いく のではないかと思っ てお ります。
以上です。
○ありがとうござい ます 。
○関連して。今 おっしゃ るとおりだと思うんです。人口が増 加していく場合も似たような局面はあ
りますけれども 、減少し ていくところは特に厳しくて、コミュニティをそのままというのは非常に
難しい。つまり、災害の 復興を考えると 10 年ぐらいかかるとすると、10 年後を先取りしたような
形の復興をしていか ない といけない。そ うすると 、先ほど●●委員がおっしゃったとおりなんです
けれども、10 年後を先 取 りしたような復興計画をふだんから考えておいてもらわないといけない。
ただ、それは災 害から復 興するだけではなくて、生活とか産業を含めた形で考えていかなければい
けない。それに防 災も入 れてもら う。日常生活の中では防災というのは、ほんのわずかな部分しか
占めないわけですけ れど も、防災も含め た 10 年後の計画をある程度つくっておいてもらわないと、
復興というのはなか なか うまくいかない。
その中で生活が今 不便 で、病院も近く にない、だ からこうしようとい うこ とを地域でつくってお
い て も ら う 。 そ れ を 早 くや れ ば や る ほ ど 、 多 分 復興 は 先 に 進 む し 、 そ れ を後 押 し す る よ う な 制 度 、
つまり被災したとこ ろだ けを元に戻すのでは なく て、改良復旧というかコ ミ ュニティ再編を含んだ
計画をつくって、そ れに お金がつくような制 度的 な仕組みも是非必要だろうと思います。
災害の被害という のは 、結局、被害で あると同 時に需要でもあるわ けで す。だから、地 域によっ
てはある意味チャン スで もあるわけで、そのチャ ンスをうまくつかめ るよ うな誘導、イン センティ
ブをもたらすような 仕組 みをつくっておかな いと、10 年後復興したら人がいなくなってしまったと
か、そういうこと になり かねないので、その辺をしっかりやってほしいと。そのためには、中核と
なる人がどうしても 必要 で、地域の防災 は勿論そ うですけれども 、先ほど から出ている人づく りの
問 題 が 重 要 で 、 市 町 村 の中 に そ う い う 人 を 育 て てお い て も ら わ な い と い けな い わ け で す け れ ど も 、
その人たちの現状を 見る と、研修も受け ていない し、ノウハウも 被災して から集め始めるとい うこ
となので、その辺 是非、研修とか人づくり、場合によっては人事制度も含めて少し考えなければい
けないというところ があ るのではないかと思 いま す。
25
○ありがとうござい ます 。
大変重い問題が出 てま いりましたが、確かにそ ういうことだと思い ます 。人がいないと どうしよ
うもないというとこ ろが 続いているのではな いか と思います。
○一言だけつけ加え させ ていただきますと、いろ い ろな地域の中で災害が起こったからこそ頑張ろ
うとする人たちが現 れる はずで、そういう人た ちの 登場と行政とをどう つな ぐかとか、行政が今回、
東 日 本 大 震 災 で と に か くめ ち ゃ く ち ゃ 忙 し く て とい う か 、 表 現 で き な い くら い の 状 態 に 置 か れ て 、
三次補正等の話があ った としても、それ を読んで いる暇がないんだよ 、非 常に国が遠い のだという
本音が市町村役場の 方か ら出るのは、そういう理由からだと思いますけれども、とにかく猫の手も
借りたいぐらいの忙 しさ にまみれてしまって、ふ だ んの住民がどういう こと を言っているかという
ことがだんだん役所 の中 にとどまっていると聞こえなくなってくるわけです。そこを住民の方はこ
う言っていますよと か、先ほど申し上げたよ うに 、こういう意見 は行政に ちゃんとつないだ方 がい
いのでつなげましょ うと いう地域のコーディ ネー ターが要ると思うん です。ここが今のどこの地域
でも不足して いて 、で は 、ど うい う人 たちがやられるか。やはり先生方とか我々 NPO というチー
ムを組んで入ってい くよ うな仕組みが今後必 要で はないかと。これは東日 本 大震災が起きる前か ら、
つなぐ役割の人が要 るな と思っているんです けれ ども、東日本大震災を経 て 更にそういう人たちが
必要だなということ を思 っています。
○ありがとうござい ます 。
○ここの議論の中に 入る のかどうか私もわか らな いんですけれども、今は 福 島県の方もおいででな
いようですし、放 射能の 関連で大変な状況下にあると。風評被害も入れて。地震よりも更に深刻に
なっているという現 状な んですね。私どもの稲わ らから肉が 500 ベクレルを超えたと。また、稲わ
らは 8,000 ベクレ ルを超 えていると。その処理についても市民の理解を得るために大変な苦労をし
ていて、やっと一 時保管 場所をこしらえようとしている。しかし、一時保管の期限、その後の処分
方 法 等 が 明 確 に 示 さ れ てお ら ず 、 出 口 が見えないために住民から拒絶反応が起こっているんです。
これは今回の震災に は関 係ないと言われても 、今 後も何が起こるかわ から ない。その場合 に備えて
の体制を、環境 省または 内閣府も国土交通省も農林水産省もみんな入れて、しっかりとした考えを
出してもらわないと 説明 がつかないような状 況に なっていると。この辺り は 少し議論をしてもらっ
て、いろいろな意見 をも らわないと、今目の 前で 混乱した状態になっ てい ます。
○わかります。それをど こでどう取り上げるかは別として、今の段階でどういうことが 起こってい
るかをきちんと情報 発信 する、共有する という仕 組みを残しておかな いと 、また新しい局 面が出て
きたら、それが置 き去り にされるということですね。災害というのは局所性がありますので、そう
いう特徴は以前から あっ たわけですけれども 、特 に、原子力の問 題はそれ が如実に出ていると いう
ことですね。です から、この専門調査会で直接それを取り上げて云々というのは、この段階ではで
きないと思うんです けれ ども、いずれそれをきち ん と取り上げてやって いく 必要があることは間違
いないと思いますの で、 政府の判断が必要か と思 います。
○福島県の被害につ いて は、言葉に出せ ないくらい 大変な状況の中で、栗原市は原発から約 150km
離れているんですよ。文 部 科学省と県が一緒になって空中からヘリコプターに乗ってチェックする
26
と、風によって放 射性物 質が運ばれ、通常より高いセシウムが出たと。したがって、汚染状況重点
調 査 地 域 に 申 請 を 行 っ て、 恐 ら く 栗 原 市 は ホ ッ トス ポ ッ ト と い う こ と で 指定 に な る と 思 う ん で す 。
そうしたら、今後 どうい う形で来るのか。それも、今からチェックしますからということで自治体
に最初から教えてく れれ ばいいんですが、次 の日 に NHK の全国放送で出 されて、私どもがびっく
りしてどうなってい るん だと。そういう連 携・連絡が十分でなかった 。県 も大変でしょうし 、国も
大変なんでしょうけ れど も、地方自治体は目の前 で 出されると市民がパ ニク るような状況になって
くるところを考えて、も う 少し放射能対策を一 元的 にうまく地方自治体 と県 と国との間で一つのラ
インが出て、ど こがだめ で、どこがいい のかというのをしっかりと見せてもらいたいなという気が
してなりません。い ずれ どこかで是非、機会 があ ったらやってもらい たい と思います。
○内閣府防災は自然 災害 を扱っていて、今回の東日本大震災に関連して自然災害のいろいろな検討
をしているんですが 、そ の際常に、今、●●委員 がおっしゃったよう に、今回の災害というの は単
に地震・津波の 災害だけ ではなくて、そ れに伴って原発事故も起こって複合災害ではないかという
御指摘は常にいただ いて いて、そういう視点も入 れ て今回の東日本大震 災を 考えなければだめだと
いう御指摘はいろい ろな 場で受けていますの で、それは我々も複合災 害だ という視点を持って 、こ
の専門調査会でどこ まで やるかは別にして、今後 の 防災対策を考えてい かな ければいけないという
のが1点。
そうはいっても、原 発事 故は原発事故で原発事故固有のいろいろな問題があって、初めての経験、
初めての大災害です から 、いろいろ混乱し ている ところがあって、徐々に 除染の問題にしても 、い
ろいろな農作物等の 被害 の問題についても対 策が 進んでいると思いま すけ れども、そこは徐々にい
ろいろな体制が整備 され つつあると思います が、まだ不十分なところ があ るかもしれません 。そう
いったところはもう 一回 、原発事故は原 発事故で 取り組んでいるセク ショ ンがありますので 、今の
市長のお考えはきち んと 伝えていきたいと思 いま す。
○地震による結果起 こっ た話ですからね。
○そういう意味では 複合 災害だという視点を 持っ て、今後の対策も考えて い くということが大切な
ことだと思います。
○複合災害といって もま だ終わっているわけ では ありませんで、完全に現 場 が復旧に復す前にま た、
例えば、台風が上 陸する とか、あるいは余震が起こるとか、いろいろな形でまだ閉じたわけではあ
りませんので、新たない ろいろな問題が出てこようかと思うんです。それをきちんとフォローして
いくというか、きちんと 対応しなければいけない組織はきちんとやっていただくし、関連するとこ
ろでも同じような議 論を 重ねて、その意見を合わせてまとめていくという作業が政府の中で出てい
くのではないかと思 いま す。
○ライフラインのと ころ でよろしいでしょう か。31 ページに施設の耐震化という 項目があります。
一 番 心 配 し て い る の は 市町 村 管 理 の 上 水 道 で し て、 今 の 上 水 道 の 耐 震 化 状況 の デ ー タ を 調 べ る と 、
平成 21 年度の段階で全 国 平均で 17.2%です。耐震化の支援のため国庫補助が3分の1ありますが、
その対象地域が地震 防災 対策強化地域、南海・東南海地震防災対策推進地域 および地震による水道
施設の被害経験のあ る地 域だけで、今回の直下地震に対する多くの地域 では国庫補助の基準が満足
27
されない。その辺 も問題 だと思っていますから、直下型地震を考える場合には、上水道の耐震化の
支援制度も一緒に考 えて いただきたいと思い ます 。
閉
○河田座長
会
よろし ゅう ございますか。まだまだ御意見があろうかと思いますが、今日は復習も兼
ねてやりましたので 、御 意見はまたメール等 でい ただきまして、次回の専 門調査会でフォロー でき
るものはしていくと いう 形で進めたいと思い ます ので、よろしくお願 いい たします。
それでは、事務局 から 御連絡をお願いいた しま す。
○越智参事官
本日 は大 変ありがとうございました。
次回の開催日程に つき ましては、調整の 上、御 連絡させていただき ます 。どうぞよろしく お願い
します。
それから、資 料の送付 を希望される方は、机の上にお名前を書いていただきましたら 送付いたし
ます。今日御説 明してい ない資料もたくさんありますけれども、是非一度ごらんいただければと思
いますので、どうぞ よろ しくお願いします。
それでは、以 上をもち まして本日の専門調査会を終了させていただきます。どうもありがとうご
ざいました。
──
28
了
──