第 2 テーマ A ブロック 「今後必要な金融リテラシーについて」

平 成 25 年 度 証 券 ゼ ミ ナ ー ル 大 会
5
第 2 テーマ A ブロック
「今後必要な金融リテラシーについて」
10
金沢大学
松浦ゼミナール
15
20
25
30
1
-
5
序章
目
次
-
P.3
はじめに
第 1章
P.4
金融リテラシーとは
第 1節
金融リテラシーの定義
第 2節
金融リテラシーの向上が求められる背景
10
第 2章
15
20
第 1節
日本の金融教育の現状
第 2節
日本の金融教育の比較
第 3章
P.6
日本の金融教育
P.1 1
石川県の金融教育事例
第 1節
小学校の金融教育事例
第 2節
中学校の金融教育事例
第 3節
高等学校の金融教育事例
第 4章
金融リテラシーの向上に向けた提言
終
おわりに
章
P.2 0
P.2 2
【参考文献】
25
30
2
序章
5
はじめに
日 本 の 総 人 口 に 占 め る 65 歳 以 上 の 高 齢 者 の 割 合 ( 高 齢 化 率 ) は 2013 年 に
25.1% と 推 計 さ れ て い る 。 退 職 後 の 生 活 を 不 安 な く 送 る た め に は 早 い 時 期 か ら
将来を見据えた人生設計が必要であり、その指針となるような金融教育の普及
と発展は不可欠である。
10
本論文では、日本の小学校から高等学校までの金融教育の取り組みに焦点を
当てて、金融教育の拡充とその学習成果としての金融リテラシー向上のための
提言を行っている。
本論文は、前半の金融教育の現状に関する諸問題の考察と後半の金融教育の
15
普及と発展に焦点をあてた提言の双方で構成されている。
まず、第 1 章では、金融リテラシーとは何かを定義した。第 2 章では、日本
における金融教育の現状と課題を明らかにした。第 3 章では、石川県金融広報
委員会による支援策を対象としてその特徴や課題を明らかにした。
20
第 4 章 で は 、今 後 求 め ら れ る 金 融 リ テ ラ シ ー と は ど う あ る べ き か を 検 討 し た 。
さ ら に 、政 府 や 団 体 の 連 携 に 着 目 し て そ の 金 融 教 育 の 発 展 の 為 の 提 言 を 行 っ た 。
終章では、本論文の結論を述べた。
25
30
3
第 1章
金融リテラシーとは
本章では、まず金融リテラシーの定義を述べ、次に金融リテラシーが求めら
れるようになった背景や理由について考察する。
5
第 1節
金融リテラシーの定義
金融広報中央委員会によれば、金融教育とは、「お金や金融の様々なはたら
きを理解し、それを通じて自分の暮らしや社会について深く考え、自分の生き
方や価値観を磨きながら、より豊かな生活やよりよい社会づくりに向けて、主
10
体的に行動できる態度を養う教育である」と定義されている。
また、金融庁の「金融経済教育研究会」は、最低限身に付けるべき金融リテ
ラシーを定めている。具体的には、「家計管理」「生活設計」「金融知識及び
金融経済事情の理解と適切な金融商品の利用選択」
「外部の知見の適切な活用」
の 4 分 野 か ら 金 融 リ テ ラ シ ー は 構 成 さ れ て い る 。こ の 4 分 野 の 下 に は サ ブ 項 目
15
として、収支管理やライフプラン、金融取引の基本素養、保険やローン、資産
分 散 投 資 の 考 え 方 と い っ た 知 識 や 技 能 に 基 づ く 15 項 目 が 含 ま れ る 。
以下の本論文でも、金融教育および金融リテラシーを上記のように定義して
考察を進めることにする。
20
第 2節
金融リテラシーの向上が求められる背景
前節で定義された金融リテラシーの向上が求められるようになってきた背景
を「少子高齢化と人口減少社会」に焦点を当ててみてみよう。
図表 1 は、日本の人口推移を示したものである。これを見ると日本の 総人口
25
は 1950 年 か ら 2000 年 ま で の 50 年 間 で 4,000 万 人 近 く の 増 加 を 見 せ た も の の
2000 年 代 前 半 に ピ ー ク を 迎 え て 以 降 は 減 少 に 転 じ 、 2030 年 に 1 億 2,000 万 人
を 割 り 込 み 、2050 年 に 1 億 人 を 下 回 る ま で に 急 速 に 減 少 す る と 推 計 さ れ て い る 。
次 に 、全 人 口 に 占 め る 15 歳 以 上 65 歳 未 満 の 生 産 年 齢 人 口 の 割 合 を み て み よ う 。
1950 年 以 降 に 60% を 超 え る 水 準 で 推 移 し て い た 割 合 は 2020 年 に 60% 台 を 割
30
り 込 む 水 準 に 転 落 し 、 以 降 は 50% 台 を 推 移 す る と 推 計 さ れ て い る 。
4
図 表 1. 日 本 の 人 口 推 移
(万 人 )
(%)
100.0
14,000
90.0
12,000
80.0
10,000
70.0
60.0
8,000
50.0
6,000
40.0
30.0
4,000
20.0
2,000
10.0
0
0.0
1950 1960
65歳以上人口
1970 1980 1990
15~64歳人口
2000 2010 2020
14歳以下人口
2030 2040 2050
生産年齢人口割合
2060
高齢化率
( 出 所 ): 総 務 省 『 国 勢 調 査 』、『 人 口 推 計 』、 国 立 社 会 保 障 ・ 人 口 問 題 研 究 所 『 日 本 の
将 来 推 計 人 口 』、 厚 生 労 働 省 『 人 口 動 態 統 計 』 の 図 表 を 基 に 筆 者 作 成 。
5
65 才 以 上 の 高 齢 者 の 割 合 は ど う だ ろ う か 。 日 本 の 高 齢 化 率 は 2010 年 に 約
23% に 達 し 、2030 年 以 降 は 30% 超 え る 水 準 で 推 移 す る 。2060 年 に は 39.9% 、
す な わ ち 2.5 人 に 1 人 が 65 歳 以 上 に な る と 推 計 さ れ て い る 。 上 図 に 描 か れ た
ように日本の高齢化率は急速に上昇する。それに伴う高齢者への社会保障や年
金等の給付総額も大幅に増加することが見込まれている。その対策として国は
10
2011 年 度 の 国 民 年 金 受 給 者 の 平 均 年 金 額 5 万 4,682 円 、 厚 生 年 金 15 万 2,396
円 を 、2013 年 10 月 に 1% 、2014 年 4 月 に 1% 、2015 年 4 月 に 0.5% と 3 段 階
で引下げることを決定している。
それでも同時期に社会保障制度の支え手である勤労者世代も減少するために
国は将来の社会保障財源の確保が重要な課題となってくる。
15
こうした社会環境の変化に対応して生活を不安なく送るためには早い時期か
ら将来を見据えた人生設計が必要であり、その指針となる様な金融教育の普及
と発展は不可欠である。
5
第 2章
日本の金融教育
本章では、まず日本の金融教育の特徴、現状、問題点を整理する。さらに、
日本の各学校段階において必要な金融リテラシーとは何かについて考察する。
5
第1節
日本の金融教育の現状
日 本 の 金 融 教 育 の 実 施 主 体 は 、「 政 府 機 関 」と「 民 間 団 体 」に 大 別 さ れ る 。
まず、前者の政府機関については、内閣府・金融庁・文部科学省・消費者庁
10
が金融教育等に関する活動を行っている。
内閣府では、金融教育に関する政府内における情報交換・政策連携を図る
ことを目的に関係省庁との連絡会議を設置、さらに「経済教育サミット」の
開催等の活動も行っている。
金 融 庁 で は 、金 融 教 育 の 学 習 支 援・普 及 活 動 が 行 わ れ て い る 。具 体 的 に は 、
15
金 融 経 済 教 育 に 関 す る 学 校 へ の 刊 行 物 を 配 布 、ネ ッ ト で 教 材 を 提 供 す る 他 に 、
有識者等からなる「金融経済教育研究会」を設置して金融経済教育の意義・
目的、最低限習得すべき金融リテラシーとは何かを公表している。
また、金融庁では文部科学省に対して学校における金融教育の推進要請を
行っており、財務局や財務事務所でも都道府県教育委員会を通して教員向け
20
研修会で金融経済教育関係のカリキュラムを取り上げることを要請している。
文 部 科 学 省 で は 、 平 成 18 年 に 改 正 さ れ た 教 育 基 本 法 に 基 づ き 平 成 20 年 か
ら翌年にかけて小学校から高等学校までの新学習指導要領の策定を行った。
こ の 新 学 習 指 導 要 領 で は「 生 き る 力 」を 育 む こ と を 目 標 に 、「 基 礎 的 な 知 識 ・
技 能 を 習 得 し 、そ れ ら を 活 用 し て 、自 ら 考 え 、判 断 し 、表 現 す る こ と に よ り 、
25
さ ま ざ ま な 問 題 に 積 極 的 に 対 応 し 、解 決 す る 力 」の 養 成 を 掲 げ て い る 。ま た 、
これに沿って金融教育に関する各教科内容に関する改訂も行われた。
小学校では主に社会科と家庭科、道徳、総合的な学習の時間の中で金融教
育の指導が行われている。社会科では、第 3 学年と第 4 学年で地域の生産・
販売活動に関する内容を、第 5 学年では、国内産業の経済活動を学習する。
30
家 庭 科 で も 、物 や 金 銭 の 大 切 さ に 気 付 き 、お 金 の 計 画 的 な 使 い 方 を 学 習 す る 。
6
中学校では社会科と家庭科、総合的な学習の時間の中で金融教育の指導が
行われる。社会科では、公民的分野で価格決定と市場経済、租税の意義と役
割 を 学 ぶ 。家 庭 科 で は 、身 近 な 消 費 生 活 に 関 す る 内 容 に 力 点 が 置 か れ て い る 。
高 等 学 校 で は 、主 に 公 民 と 家 庭 科 の 授 業 で 金 融 教 育 の 指 導 が 行 わ れ て い る 。
5
前者は現代社会の政治と経済の関係を後者では消費生活の知識と技術を学ぶ。
消 費 者 庁 で は 、平 成 24 年 に 消 費 者 教 育 推 進 の た め の 体 系 的 プ ロ グ ラ ム の 研
究会を発足させ、そこでの検討成果を「消費者教育の体系イメージマップ」
及 び そ の 「 活 用 ガ イ ド 」 と し て 平 成 25 年 に 公 表 し た 。
このイメージマップは、消費者教育の内容について幼児から大人まで多様な
10
担 い 手 が 共 通 認 識 を つ く る 道 具 と な る と と も に 、自 立 し た 消 費 者 に な る た め に 、
どの時期に、どのような知識やスキルを身につけていくことが必要か一覧でき
るようになっている。また、消費者庁では、消費者教育を担う学校の先生や消
費生活アドバイザー等の消費者専門家向けに冊子教材や授業で利用する小道具
類の提供を行う消費教育サイトも開設している。
15
図表2.日本の金融教育の主な担い手
政府
民間・その他諸機関・団体
内閣府
日本銀行
金融庁
日本証券業協会
消費者庁
金融広報中央委員会
文部科学省
日本ファイナンシャルプランナーズ協会
東京証券取引所グループ
証券知識普及プロジェクト
信託協会
投資信託協会
全国銀行協会
エイプロシス
生命保険文化センター
日本損害保険協会
(出所)各団体のホームページの内容を基に筆者作成。
次に、その他の諸機関・団体については、日本銀行・金融広報中央委員会・
日本証券業協会・日本ファイナンシャルプランナーズ協会・東京証券取引所・
証券知識普及プロジェクト・信託協会・投資信託協会・全国銀行協会・エイプ
20
ロシス・生命保険文化センター・日本損害保険協会等が活動を行っている。
7
上記の諸機関の中でも代表的な機関が金融広報中央委員会である。その活動
は 大 き く 二 つ に 大 別 で き る 。金 融 経 済 情 報 の 提 供 と 金 融 経 済 学 習 の 支 援 で あ る 。
具体的には、前者ではネットによる金融経済情報とシミュレーション・ツール
の提供、テレビ・新聞等マスメディアを活用した広報、ビデオ・各種刊行物・
5
資料等の作成及び講演会・シンポジウムの開催等である。
後者では、地域や学校等における講座、講習会、セミナーなどの開催の他に
地域の小学校から高等学校までの学校を「金融教育研究校・金銭教育研究校」
に指定して金融教育学校を支援するための学習指導教材・資料・実践事例集・
の配布、講師の派遣を行っている。
10
証券知識普及プロジェクトは、日本証券業協会および日本取引所グループ、
東 京 証 券 取 引 所 等 の 証 券 団 体 が 参 加 す る 共 同 事 業 で あ る 。 平 成 13 年 設 立 当 初
から、公平で中立な立場で長期的・継続的に証券知識の普及・啓発を図ること
を目的に活動を行っている。具体的には、学校の金融経済教育を支援する学習
教材の提供や一般消費者向けのセミナーや講演会の開催等である。
15
日本ファイナンシャルプランナーズ協会でも金融教育活動に力を入れている。
具 体 的 に は 、高 等 学 校 の 生 徒 向 け に 教 材 を 作 成 し 無 償 で 提 供 し て い る 。さ ら に 、
教材の無償配布だけではなく同協会のパーソナルファイナンス教育のインスト
ラ ク タ ー を 全 国 の 高 校 に 派 遣 す る 活 動 も 実 施 し て い る 。派 遣 を 受 け た 高 校 で は 、
総合学習や課題研究などの時間を活用して、キャリア教育や進路指導といった
20
内容の授業を受けている。また、同協会は小学生を対象とした全国作文コンク
ールを開催しライフプランニングの重要さを説く啓蒙活動も行っている。
このように日本では金融教育に取組む団体が数多く存在する。各団体は独自
の方針から教育目標を定めて、教育対象とする年齢や学年、学校区分に合わせ
た教材を作成・配布している。各年齢によって必要とされる金融リテラシーの
25
程度は様々で、その内容や難易度の調整は重要である。
次節以降では、各年齢によって必要とされる金融リテラシーとはどのような
ものか、前述の消費者庁と金融広報中央委員会、日本ファイナンシャルプラン
ナーズ協会のそれぞれの基準の特徴を比較し、さらに課題や問題点について論
じていくことにしたい。
30
8
第2節
日本の金融教育の比較
各学校段階によって必要とされる金融リテラシーはどのようなものだろうか。
前節の消費者庁と金融広報中央委員会及び日本ファイナンシャルプランナーズ
5
協会では各学校段階別の基準を独自に定めている。それぞれの基準を比較して
類似点や相違点を論じていくことにしたい。
図 表 3 は 、消 費 者 庁 の「 消 費 者 教 育 の 体 系 イ メ ー ジ マ ッ プ ロ グ ラ ム 」で あ る 。
図表 4 は、日本ファイナンシャルプランナーズ協会の「パーソナルファイナン
ス教育スタンダード」である。図表 5 は、金融広報中央委員会の「年齢層別の
10
金融教育内容」である。両者とも、小学生期、中学生期、高校生期までの各段
階で必要な知識・スキルが記載されている。
まず、消費者庁のイメージマップでは、各学校段階で重点とする要素 が 4 系
列 10 分 類 に 別 け ら れ て い る 。 具 体 的 に は 、「 消 費 者 市 民 社 会 の 構 築 」「 商 品 等
の 安 全 」「 生 活 の 管 理 と 契 約 」「 情 報 と メ デ ィ ア 」 で あ る 。
15
日本ファイナンシャルプランナーズ協会では、2 系統 5 分類(図表には記載
されていないが分野横断的に有しておくべき知識・スキルや行動指針まで含め
れ ば 3 系 統 7 分 類 )で あ る 。具 体 的 に は 、
「ライフプランニング」
「 貯 蓄・投 資 」
「 税 ・ 社 会 保 障 」「 リ ス ク ・ 保 険 」「 消 費 生 活 ・ 契 約 」 で あ る 。
金 融 広 報 中 央 委 員 会 で は 、 4 系 統 13 分 類 で あ る 。 具 体 的 に は 、「 生 活 設 計 ・
20
家 計 管 理 に 関 す る 分 野 」「 経 済 や 金 融 の し く み に 関 す る 分 野 」「 消 費 生 活 ・ 金 融
ト ラ ブ ル 防 止 に 関 す る 分 野 」「 キ ャ リ ア 教 育 に 関 す る 分 野 」 で あ る 。
小学期における 3 表の共通点で目を引くのが「生活を設計・管理する能力」
で あ る 。具 体 的 に は 、イ メ ー ジ マ ッ プ で は「 お 小 遣 い を 考 え て 使 お う 」、教 育 ス
タ ン ダ ー ド で は「 お 小 遣 い 帳 を つ け る こ と が で き る 」、年 齢 層 別 の 金 融 教 育 内 容
25
で は「 お こ ず か い 帳 を つ け る 」と い っ た お 金 の 収 支 管 理 に 関 連 す る 内 容 で あ る 。
また、この時期は、自らが関わるモノや人の範囲に広がりが見られ、学校や
家庭で徐々に社会の中の暮らしやルールを学んでいく時期である。そのため、
小学校期では金融リテラシーに関する知識の基礎の部分を理解すること、金融
リテラシーを身に着け、それを実践するうえで必要な行動の基礎の部分の習慣
30
を身に着けること、この2点に焦点を置かれている事がみてとれる。
9
中学期では、三表の共通項目が増えてくる。イメージマップでは「契約とそ
の ル ー ル を 知 り 、 よ り よ い 契 約 の 仕 方 を 考 え よ う 」、「 買 い 物 や 貯 蓄 を 計 画 的 に
しよう」といった記述がある。他方、教育スタンダードでは「契約の概念を知
っ て い る 」、
「 普 通 預 金 、定 期 預 金 な ど 主 要 な 貯 蓄 手 段 が あ る こ と を 知 っ て い る 」
5
といった、契約への理解や貯蓄に関する内容である。
高等学校期では、ライフプランニングに関連する項目等で共通点が現れる。
具 体 的 に は 、「 生 活 設 計 を 立 て て み よ う 」「 今 後 10 年 程 度 の ラ イ フ プ ラ ン ( 生
活設計)を立てることができる」といった生活設計に関連する能力である。
本節では各学校段階によって必要とされる目標はどのようなものか比較して
10
きた。消費者庁と金融広報中央委員会及び日本ファイナンシャルプランナーズ
協会がそれぞれ独自に定めた各学校段階別の基準から類似点や共通点を見出す
ことができる。そこで本節の最後は、上記を踏まえた上でそこから集約される
金融教育の目的や目標を述べたい。まず、金融教育の目的は、消費者である国
民一人一人が自ら学び、考え、行動することで日々変化する社会に対応できる
15
生 き る 力 を 養 う こ と で は な い だ ろ う か 。ま た 、こ の 目 的 を 実 現 さ せ る た め に は 、
以下の4つ分野で金融教育を構成する必要があると思われる。
一番目は、経済や金融の仕組みに関する分野である。この分野の内容は主に
「 経 済 把 握 」、「 経 済 変 動 と 経 済 政 策 」、「 経 済 社 会 の 諸 課 題 と 政 府 の 役 割 」 等 の
テーマから構成され、国民が現在の社会状況を把握することが目標とされる。
20
二番目は、生活設計・家計管理に関する分野である。この分野の内容は主に
「 資 金 管 理 と 意 思 決 定 」、「 貯 蓄 の 意 義 と 資 産 運 用 」、「 生 活 設 計 」 の テ ー マ か ら
構成され、自分に身近なお金を扱う知識と技術の修得が目的とされる。
三番目は、消費者金融トラブル防止に関する分野である。この分野の内容は
主 に 「 自 立 し た 消 費 者 」、「 金 融 ト ラ ブ ル ・ 多 重 債 務 」、「 お 金 の 功 罪 」 の テ ー マ
25
か ら 構 成 さ れ 、金 融 ト ラ ブ ル に 巻 き 込 ま れ な い た め の 知 識 の 修 得 が 目 的 で あ る 。
四番目は、キャリア教育に関する分野である。この分野の内容は主に「働く
意 義 と 職 業 選 択 」、「 生 き る 意 欲 と 活 力 」、「 社 会 へ の 感 謝 と 貢 献 」 等 の テ ー マ か
ら構成され、前述の三分野とも関連しながら生きる力を養う事を目的とする。
10
図表3.消費者庁の消費者教育の体系イメージマップ
小学生期
各期の特徴
重点領域
消
費
者
市
民
社
会
の
構
築
商
品
等
の
安
全
生
活
の
管
理
と
契
約
高校生期
生涯を見通した管理や計画の重
主体的な消費者行動、社会や環 消費者の行動の範囲が広がり、
要性、社会的責任を理解し、主
境の興味を通して、消費者として 権利と責任を理解し、トラブル解
体的判断力を高め、国際的な視
の素地を形成する時期
決能力を育む時期
点も養う時期
消費がもつ影響 消費をめぐる物と金銭の流れを
力の理解
考えよう
持続可能な消
費の実践
中学生期
生産・流通・消費・廃棄が環境、
消費者の行動が環境や経済に与
経済や社会に与える影響を考え
える影響を考えよう
よう
自分の生活と身近な環境とのか 消費生活が環境に与える影響を 持続可能な社会を目指して、ライ
かわりに気づき、物の使い方など 考え、環境に配慮した生活を実 フスタイルを工夫し、主体的に行
を工夫しよう
践しよう
動しよう
身近な消費者問題及び社会課 身近な消費者問題及び社会課
消費者の参画・ 身近な消費者問題に目を向けよ
題の解決や、公正な社会の形成 題の解決や、公正な社会の形成
協働
う
について考えよう
に協働して取り組もう
商品安全の理
安全で危険の少ないくらしと消費
危険を回避し、物を安全に使う手 危険を回避し、物を安全に使う手
解と危険を回避
社会を目指すことの大切さに気づ
がかりを知ろう
段を知ろう、使おう
する能力
こう
トラブル対応能
力
販売方法の特徴を知り、トラブル
困ったことがあったら身近な人に
トラブル解決の法律や制度、相
解決の法律や制度、相談機関を
相談しよう
談機関の利用法を知ろう
知ろう
選択し、契約す 物の選び方、買い方を考え適切 商品を適切に選択するとともに、 適切な意思決定に基づいて行動
ることへの理解と に購入しよう。約束やきまりの大 契約とそのルールを知り、よりよい しよう。契約とそのルールを活用
考える態度
切さを知り、考えよう
契約の仕方を考えよう
しよう。
物や金銭の大切さに気づき、計 消費に関する生活管理の技能を 主体的に生活設計を立ててみよ
生活を設計・管
画的な使い方を考えよう。お小遣 活用しよう。 買い物や貯金を計 う。 生涯を見通した生活経済の
理する能力
いを考えて使おう
画的にしよう
管理や計画を考えよう
情報と情報技術の適切な利用法
情報の収集・発 消費に関する情報の集め方や活 消費生活に関する情報の収集と
や、国内だけでなく国際社会との
信・活用能力
用の仕方を知ろう
発信の技能を身につけよう
関係を考えよう
情
報
と
メ
デ
ィ
ア
情報社会の
望ましい情報社会のあり方や、情
自分や知人の個人情報を守るな 著作権や発信した情報への責任
ルールや情報モ
報モラル、セキュリティについて
ど、情報モラルを知ろう
を知ろう
ラルの理解
考えよう
消費生活情報
消費生活情報の目的や特徴、選 消費生活情報の評価、選択を通 消費生活情報を評価、選択し、
に対する批判的
択の大切さを知ろう
じ、意思決定の大切さ知ろう
社会との関連を理解しよう
思考力
(出所)消費者教育ポータルサイト掲載の「消費者教育の体系イメージマップ」
の内容を基に小学期・中学期・高校期のみを抜粋して筆者作成。
11
図 表 4 . 日 本 FP 協 会 の パ ー ソ ナ ル フ ァ イ ナ ン ス 教 育 ス タ ン ダ ー ド
a 小学校卒業時点
Ⅰ
ラ
イ
フ
プ
ラ
ン
ニ
ン
グ
○将来の目標・夢に関心を持っている。
a 中学校卒業時点
○自らの目標・夢を考えることができる。
a 高等学校卒業時点
○生涯を見通して今後10年程度のライフプラ
ン(生活設計)を立てることができる。
○仕事をすることでお金が得られることを知って
○様々な働き方・職種を知っている。
いる。
○将来の働き方・職種によって収入が異なるこ
とを理解している。
○お小遣い帳をつけることができる。
○今後10年程度のキャッシュフロー表を作成
し、その収支の概要を理解している。
○日常的な収入と支出の関係を知っている。
○資産などの現在価値と将来価値の概要を
知っている。
○お小遣いやお年玉を、保護者を通じて金融
機関に預けることができる。
○目的を考えてお小遣いやお年玉を貯蓄する ○貯蓄・投資の仕組みや特徴の概要を理解し
ことができる。
ている。
○金利の概念を理解し、預金期間になどに応じ
○単利・複利の計算を理解している。
た利率の違いに関心を持っている。
Ⅱ
貯
蓄
・
投
資
○普通預金・定期預金など主要な貯蓄手段が ○株式、債権、投資信託など主要な投資手段
あることを知っている。
の概要を理解している。
○主要な貯蓄・投資手段のリスクとリターンの関
係、リスクの種類・性質の概要を理解している。
○自己責任原則と預金者・投資家保護制度の
概要を理解している。
Ⅲ
税
・
社
会
保
障
Ⅳ
リ
ス
ク
・
保
険
○公共施設の事例を学ぶことを通じて、公共
サービスの存在に関心を持っている。
○税は公共サービスの対価であることを知って
いる。
○税・社会保険料の支払い義務を理解してい
る。
○収入や物の購入に消費税がかかることを知っ ○税の種類(所得税・住民税・消費税など)の
ている。
概要を理解している。
○社会保障は社会的なセーフティーネットを目
○社会保険の目的と役割を理解している。
的としていることを知っている。
○社会保険の種類(公的年金、健康保険、介
○社会保障の4つの柱(社会保険・公的扶助・
護保険、雇用保険など)の概要を理解してい
公衆衛生・社会福祉)を知っている。
る。
○今起こったら経済的に困ることを考えることに
○事故や災害で生活が大きな影響を受けること ○保険の起源は助け合いの精神であることを
より、その経済的損失の大きさを考えることがで
に関心を持っている。
知っている。
きる。
○保険には、社会保険と民間保険があることを ○社会保険と民間保険との補完関係を理解し
知っている。
ている。
○民間保険の種類(生命保険、傷害保険など)
の概要を理解している。
○保険契約者に対する保護制度の概要を理解
している。
○お小遣い帳をつけることで、何にお金を使った ○消費行動をニーズとウォンツに区別すること
かを知っている。
を知っている。
○消費行動をニーズとウォンツに当てはめてコ
ントロールすることができる。
○消費には様々な決済手段(クレジットカードな ○様々な決済手段が持つ利便性と問題点の概
ど)があることを知っている。
要を理解している。
○契約の概念を知っている。
Ⅴ
消
費
生
活
・
契
約
○契約の成立と契約によって生じる権利・義務
について理解している。
○クーリングオフなどの消費者保護制度の存在 ○クーリングオフなどの消費者保護制度の概要
を知っている。
を理解している。
○多重債務などお金のトラブルが存在すること
を知っている。
○多重債務などお金のトラブルを学ぶことを通
じ、トラブルの深刻さと対処する方法(消費生活
センターなどに相談する)を理解している。
○住宅ローンなどお金を借りる時の利息を計算
○お金を借りることによって利息が発生すること
することによって、金利負担の程度を理解して
を知っている。
いる。
○信用とお金を借りることの関係性を理解して
いる。
○情報機器や情報通信ネットワークなどを活用
して、情報を収集することができる。
( 出 所 ) 日 本 FP 協 会 の 「 パ ー ソ ナ ル12
ファイナンス教育スタンダード」
の内容を基に学校段階のみを抜粋して筆者作成。
図表5.金融広報中央委員会の年齢層別の金融教育内容
目 標
生
活
設
計
・
家
計
管
理
に
関
す
る
分
野
資
金
管
理
と
意
思
決
定
貯
蓄
の
意
義
と
資
産
運
用
生
活
設
計
お
金
や
金
融
の
は
た
ら
き
経
済
や
金
融
経
の
済
し
把
く
握
み
に
関
す
経 経
る
済 済
と
分
変 政
野
動 策
経
済
社
題会
の
諸
課
消
費
生
活
・
金
融
ト
ラ
ブ
ル
防
止
に
関
す
る
分
野
キ
ャ
リ
ア
教
育
に
関
す
る
分
野
と
政
府
の
役
割
自
立
し
た
消
費
者
金
融
ト
ラ
ブ
ル
・
多
重
債
務
健
全
な
金
銭
観
働
く
意
義
と
職
業
選
択
生
き
る
力意
欲
と
活
社
会
と
へ
貢
の
献
感
謝
小学生(中学年)
中学生
高校生
○使える資源には限りがある
○欲しいものと必要なものの区別
○家計の収入・支出について理解
○長期的な資金管理の大切さを理解する
(予算制約)ことを理解する
ができる
を深める
○実践的な収支管理を行う(学校行事等)
○限られた予算の下でよりよい
○資源の有限性、希少性を理解す
○自分に必要なものやサービスの適切
○進路選択などを通じて意思決定の重要性を
生活を築く意義を理解し、実
る
な選択・購入および使用ができる
理解する
践する態度を身につける
○年齢相応の金銭管理をする
○実践的な収支管理(修学旅行等)を
○意思決定の基本を理解し、実
行う
践する態度を身につける
○人には様々な価値観があることを
お金の使い方を通じて理解する
○株や債券について理解する
○お金を投資する意義について考
える
○リスクとリターンの関係について
理解する
○期間と金利の関係(複利計算)を
知り、継続して貯蓄に取り組む態
度を身につける
○生活設計の必要性を理解し、自分
の価値観に基づいて生活設計を
立ててみる
○よりよい生活を築くための工夫に
ついて考える
○ローンのしくみと機能について理解
する
○貯蓄の意義を理解し、貯蓄の
習慣を身につける
○期間と金利の関係を理解し、持
続することの大切さを理解する
○様々な金融商品のリスクとリタ
ーンを理解し、自己責任の下
で運用する態度を身につける
○貯蓄の意義を理解し、計画的に
貯蓄する習慣を身につける
○粘り強くやり遂げる態度を身に
つける
○預金、株式、債券、保険等、様々な金融商
品の内容を理解する
○金融商品のリスクとリターンについて理解する
○資金運用のバランスを考え、自己責任で選
択する意識をもつ
○投資と投機の違いを考える
○生活設計の必要性を理解し、
将来を展望した自分の生活設
計を立てることができる
○生活設計に必要な様々な知識
を身につける
○生活設計と職業選択を関係づ
けて将来を現実的に捉える
○こづかい帳をつける
○お金のはたらきや役割を理解
する
○金融機関の役割、中央銀行の
機能について理解する
○金利のはたらきについて理解
する
○お金は貯めて将来使えることを
理解する
○銀行や郵便局に貯金し、利息に
ついて理解する
○お金の役割を整理して理解する
○金融機関の種類と機能について理
解する
○中央銀行の機能について理解する
○銀行の決済機能について理解する
○各種カードの種類、機能、しくみ
を理解する
○ものやお金の流れと家計、企
業、政府等の役割について理
解する
○市場の働きや機能を知り、市
場経済の意義を理解する
○産業の発展と海外経済との関
係について理解する
○地域の生産活動を調査し、もの
やお金がどう動いているのかを
理解する
○ものの値段がどのように決まる
のかを理解する
○会社のはたらきや役割を理解する
○家計、企業、金融機関、政府、海外の
間のものやお金の流れを理解する
○市場経済の意義を理解する
○円高・円安の意味と生活への影響を
理解する
○株式会社の機能と役割、社会的責
任について理解する
○家計、企業、金融機関、政府、海外の間のも
の、お金、人の流れの全体図を描く
○商品市場、金融市場、証券市場、為替市場の
働きと機能を理解する
○企業の成立、存在意義、社会的機能について
理解する
○経済のグローバル化について理解する
○景気の変動と物価、金利、株
価等の関係を理解する
○中央銀行や政府の経済政策に
ついて理解する
○自分の暮らしや地域の生産活動
と景気変動の関係に気づく
○経済社会が抱える課題につい
て幅広く関心をもつ
○課題解決に向けて合理的・主
体的に考える態度を身につける
○政府の役割について理解する
○社会を支えている様々な公共活
動とそれに必要なお金について
理解する
○経済が変動する理由を理解する
○経済変動とマクロ諸指標の関係を
理解する
○中央銀行が行う金融政策について
理解する
○新聞を読む習慣を身につける
○経済・社会の課題について幅広く
関心をもつ
○歳入・歳出両面から政府の役割を
理解する
○経済変動のマクロ的なメカニズムを整理して
理解する
○中央銀行の金融政策についてその手段や狙
いを理解する
○政府の景気対策と財政赤字について理解する
○関心ある課題について情報を収集し、深く理
解する
○課題の解決に向けて、自ら合理的、主体的に
かかわる態度を身につける
○消費者の権利と責任を自覚する
○安全や環境に配慮した消費生活
○契約の基本を理解する
○契約の意味と留意点および自己責任につ
○自立した消費者として行動で
の大切さに気づく
○消費者基本法を通じて消費者の権利
いて理解する
きる態度を身につける
や義務について知る
○消費者契約法について理解する
○情報を収集し適切に活用する
○製造物責任について理解する
○個人情報の保護について理解する
ことができる技能を身につける
○環境や社会に配慮した消費生活がで
○情報を収集し、自分の消費生活に活用で
きる
○クレジットカードの使用上の留意点に
ついて学ぶ
○インターネット、携帯電話によるトラブル
事例を学び、予防の仕方を理解する
○悪質商法や詐欺商法を見分け、被害
に遭わないようすることを学ぶ
○金利計算能力を身につけ、金利の重さ
を理解する
○クーリング・オフについて知る
きる技能を身につける
○トラブルに対処する具体的方法を学び、
実際に行使できる技能を養う
○各種カードの役割や機能と使用上の留意
点を学ぶ
○多重債務に陥った人の現状を知り、安易
な借入を避ける
○金利の高さとローン返済額との関係を実
感をもって知り、金利の重さを理解する
○多重債務の相談窓口を知り、相談できる
○生活設計を立て、生涯収入、支出の内容を把
握する
○ローンのしくみを理解し、返済方法や金利につ
いて考える
○年金や社会保障制度を理解する
○景気や経済政策と暮らしとの関係を理解する
○職業選択と生活設計を関連づけながら将来
の姿を現実的に描き、なりたい自分と
○お金の役割を理論的に把握する
○決済機能の多様化について理解する
○間接金融、直接金融について理解する
○金利の機能と変動の理由について理解する
○中央銀行の機能について理解を深める
○電子マネー、地域通貨等について理解する
○金融トラブルや多重債務の実
態を知り、巻き込まれない態
度を身につける
○法律や制度を活用して事態に
対処できる技能を身につける
○困った時の対処方法や相談の仕
方を身につける
○欲望を制御する意味を理解し、
○お金の使い方を通じ節度ある生
○少ないお金でも幸せに暮らしている人
○個々人の金銭観と社会のあり方との関係
日常生活の中で実践する態度
活の大切さに気づき、実践する
を知り、その価値観を考える
について考える
○伝記や小説を通じて先人の生き方や
○お金に願いや思いを込めて使う態度を身
金銭観について考える
につける
○労働と賃金の関係を知る
○職業体験などを通じて、勤労実感し、
つきたい職業について考え、情報を
収集する
○勤労の意義と社会における役割を理
解する
○将来の夢や希望をもち、その実現に
向け何が必要かを知り、努力する態
度を身につける
○会社づくりのシミュレーションを通じ、
会社経営のしくみや工夫、努力の必
要性を理解する
○進路選択を通じて具体的に職業選択につ
いて考える
○自分の選んだ職業とその社会的意義につ
いて考える
○働き方によって生涯所得に大きな差が生
じることを理解する
○将来の夢を実現するための実的なス
テップや手段を考え、なすべき努力を
実践する
○起業を考え、それに必要な知識と実践的
な企画を考える
○生活を支えてくれる対象に幅広く視野
を広げ(親、社会、海外、自然環境等)、
感謝の気持ちをもつ
○社会貢献の様々なあり方(勤労、ボラ
ンティア、寄付等)について考え、実
践する態度を身につける
○よりよい社会を展望し、それに向けて必要
なこと、自分がなすべきことを考え、実行する
○企業の社会的責任と社会貢献のあり方に
ついて、自分の職業選択と関連づけて考
える
を身につける
○勤労の意義とお金の価値の重
さを理解する
○自分の職業選択について主体
的に考える態度を身につける
○労働者の権利と義務について
理解する
○付加価値を生み出すために
様々な努力が必要であること
を理解する
○付加価値の創造が経済社会発
展の原動力であることを理解
する
○栽培活動等を通して勤労のつらさ
とお金の価値の重さを理解する
○社会との様々なつながりを理
解し、ルールを守り、他人に感
謝する心を養う
○よりよい社会を築くために何が
できるかを考え実行する態度
を養う
○自分の仕事に責任をもち、最後
までやりとげる態度を養う
○生活を支えている人々に尊敬と
感謝の気持ちをもつ
○ルールを守ることの大切さを理
解する
○お店の人の願いを知り、様々な
苦労や工夫をしていることに気
づく
13
(出所)金融広報中央委員会の「年齢層別の金融教育内容」の内容を一部抜粋して筆者作成。
第 3章
石川県の金融教育事例
本章では、石川県の金融教育事例を取り上げ、その現状と課題について考察
する。具体的には、金融広報委員会の「金銭教育研究校制度」及び「金融教育
5
研究校制度」の対象となった小学校、中学校、高等学校における具体的な金融
教育の内容や目的、効果等を検討することにする。
第1節
10
小学校の金融教育事例
本節では、加賀市立南郷小学校(石川県)の金融教育の事例を検討する。
同 校 で は 、平 成 24 年 度 に 石 川 県 金 融 広 報 委 員 会 よ り 金 銭 教 育 研 究 校 の 指 定
を受けている。これまで取組んできた金融教育の内容や目的、効果について
2013 年 10 月 31 日 に 聞 き 取 り 調 査 を 実 施 し た 。具 体 的 に は 、本 研 究 の 共 著 者
(以下、訪問調査班)の質問に対して、学校の担当者(以下、南郷小学校)
15
が回答するという形式で調査を行った。
訪問調査班
学校ではどのような金融教育がなされているのでしょうか?
南郷小学校
20
低学年は学級活動の時間に、3 年生以上は総合の時間等を使って金融教育を
行っています。具体的には、金融広報委員会から講師を派遣して頂いていて、
そ の 中 で 実 体 験 を 通 し た 活 動 し て い ま す 。例 え ば 、低 学 年 は お 買 い も の ご っ こ 、
中学年がお小遣いゲームや節電教室、高学年は学校の敷地内に児童が経営する
商店街を開催したりしました。また、秋にはお小遣いなどに関する親子講演会
25
やバザーを開催しています。日本銀行にもバスで見学に行きました。
また、特に 6 年生は、お金の価値や値段の決まり方、物価の安定など、お金
に関することについて自分たちで調べたことを全校児童、保護者の方の前でプ
レ ゼ ン 発 表 を 行 い ま し た 。ま た 、金 融 教 育 の 一 部 に 勤 労 活 動 を 取 り 入 れ て お り 、
南郷農園で花や野菜などの栽培・育成もしました。
30
14
訪問調査班
学校で金融教育を導入した目的はなんでしょうか?
南郷小学校
本 校 の 児 童 数 は 70 人 程 で す が 、 そ の 約 7 割 が 定 期 的 な お 小 遣 い を も ら っ て
5
いない、普段はあまりお金に触れる経験がなく自分でお金を管理して使ってい
ないことが児童アンケートで判明しました。そこで、児童が普段あまり意識し
ていない金銭感覚を様々な実体験を通して学んでほしいと思っています。
お金やものを大切にする意識を育むことやお小遣いの有効な使い方、計画を
たてた管理ができるようにすることも金融教育を導入した目的の一つです。
10
さらに、金融教育の一部に勤労活動を取り入れて働くことの大切さを学ぶとい
う狙いもありました。
訪問調査班
学校で金融教育を行った後の効果はどうでしょうか?
15
南郷小学校
効 果 と い う 点 で は 5、 6 年 の 児 童 が 校 内 で 商 店 街 を 開 い て 、 商 売 す る こ と で
お金を稼ぐ活動は効果的でした。この体験活動は、お金を得るためには仕事が
必要なことを児童に知ってもらうことが当初の狙いでした。
学習活動の流れとしては、まず学校の中だけに通用するお金(単位:丘)を
20
発行して、学校のためになる仕事、たとえば掃除等をすれば回数と時間数に応
じて働いた児童はお金がもらえます。この稼いだお金を貯めて学校の校舎内の
土地を買うことで友達と共同で店舗を開くことができます。
ただし、校舎内でも下駄箱の付近や図書室の前など人通りの多い場所は土地
の値段を高く設定しました。一方、人通りのほとんどない校舎の裏側の土地は
25
値段は安い。人通りの多い場所で店を開こうと思えば当然、最初にたくさん働
い て お 金 を 貯 め な く て は な り ま せ ん 。 な お 、 1 年 生 か ら 4 年 生 ま で は 毎 日 10
丘 が 自 動 的 に も ら え ま す 。働 い て お 金 を 得 て 店 を 出 す の は 5、6 年 の 児 童 で す 。
学校内の場所に土地を手に入れたら、次に商売の内容を決めることです。児
童は自分たちの特技を生かして、宝くじ屋や似顔絵屋、掃除屋、心理テスト屋
30
や小物屋等を開きました。ここまでを最初に指導して1ヵ月間の校内の商店街
15
をスタートさせましたが、同じ場所や広告を続けるよりも、途中で商店の場所
を変える、広告方法を変えることで客足が伸びたり減ったり、また、値段も適
切な値段を決めないと、安すぎたら儲からない、高すぎたら客を呼べない。声
掛けや表情、陳列を工夫することで普段より多く売ることができるということ
5
を体験を通して学んでいます。
また、お小遣いゲーム では、全員 1 カ月間お小遣い帳を付けることになりま
す。記録をつけることで必要なものとそうでないもの、支出にはどうしても欠
かせないものがあることが理解できたことや、お金の使い方について考える機
会となったり、収入と支出のバランスを考えた計画性のあるお金の使い方を学
10
ぶのに効果があったと思います。ただし、日常でお小遣い帳をつける習慣を身
につけるとなると家庭との協力が必要になってくると思います。
訪問調査班
学校で金融教育を推進する上で制約となるものがあるとすれば何ですか?
南郷小学校
15
それぞれの教科科目でカリキュラムが決まっている。文科省が金融教育を前
面に押し出している訳ではないので興味ある先生が取り組んでいる状況です。
また、金融教育に興味ある先生でも自分で教材として作り上げられるわけで
はないので、大事だけど専門家でなければ触れられない部分もある。
ま た 、指 定 校 と し て 予 算 が 付 き ま し た 。こ れ が 無 い 場 合 、同 じ 活 動 は 困 難 で す 。
20
今回、金融教育の指定校となってから金融広報委員会が東京で主催する講演
会に参加しました。その際に、金融教育のガイドブックを何冊か頂いた。これ
までの実践事例集を参考にしているが、この実践例のような教材を一からつく
るのは難しい。総合として学校として取り組むテーマは、福祉や環境、歴史、
国際などがあるが、その中に金融教育は位置づけられていません。
25
以 上 、本 節 で は 加 賀 市 立 南 郷 小 学 校( 石 川 県 )の 金 融 教 育 の 事 例 を み て き た 。
ここでは金融に関する実践活動を通して、金融リテラシーに関する知識の基礎
の部分を理解するとともに、それを理解するだけではなく、実践するために必
要な行動を楽しみながら促す試みがなされているのが特徴である。
な お 、実 践 内 容 に よ っ て は 家 庭 の 協 力 が 必 要 な こ と や 金 融 教 育 の 持 つ 専 門 性 、
30
他の科目内容との競合が普及の制約になっていることを留意する必要がある。
16
第2節
中学校の金融教育事例
本節では、小松市立松東中学校(石川県)の金融教育の事例を検討する。
平 成 25 年 度 の 生 徒 数 が 全 学 年 合 計 100 名 と 比 較 的 小 規 模 な 同 校 が 石 川 県 金 融
5
広報委員会より金銭教育研究校の指定を受けてこれまでに取組んだ金融教育の
内 容 、目 的 及 び 効 果 に つ い て 2013 年 10 月 17 日 に 聞 き 取 り 調 査 を 実 施 し た 。
本 研 究 の 共 著 者( 以 下 、訪 問 調 査 班 )の 質 問 に 対 し て 、学 校 の 担 当 者( 以 下 、
松東中学校)が回答するという形式で調査が行われた。
10
訪問調査班
学校ではどのような金融教育がなされているのでしょうか?
松東中学校
授業や学校行事を通して、主に金銭トラブルに巻き込まれないようにするに
はどうしたらよいか、物やお金を大事にすること、仕事とお金のかかわりにつ
15
いて学んでいます。学校で取り組む具体的な活動は 5 つに分類できます。
一番目は、社会科・家庭科などの教科の中での授業実践です。そこでの内容
としては、消費者の権利、消費者トラブル、販売方法、クーリングオフ、製造
物責任法、消費者ホットライン、生活支援センターといった消費生活に関わる
内容。生活設計、生涯賃金の計算、家計のシミュレーションといった暮らしと
20
お金に関わる内容。それに、日銀の役割や景気の変動、株式会社の仕組み、租
税教室、税金の役割といった経済と金融に係る内容です。
二番目は、道徳や特別活動、総合的な学習での実践です。そこでの内容とし
ては、命の値段、自他の権利、おとなになるとは、情報モラルについて、仕事
と社会との関わり、就きたい職業とは、いろいろな職業と賃金を比較するとい
25
った内容です。
三番目は、体験学習です。そこでの内容としては、1 年生でこづかいシミュ
レーション、2 年生で日銀訪問やジョブカフェ訪問、企業訪問、3 年生で租税
教室や世界貿易シミュレーション等です。
四番目は、学校行事を通した金融教育です。具体的には、文化祭で「クリス
30
マスキャロル」を上演し、保護者向けの教養講座では、石川県金融広報委員会
17
の北本講師による資産運用や消費者トラブルに関する講演会があります。
五番目としては、広報誌を通しての広報活動や銀行訪問もあります。
こうした体験活動や授業を通してお金の大切さ、経済・金融のしくみを体験的
に学ばせたい。自分が楽しみながら生きて行く上での役立つ力をつけさせるこ
5
とが目的。
訪問調査班
学校で金融教育を導入した目的はなんでしょうか?
松東中学校
10
社会科公民的分野の中で、日銀の役割、流通、株式会社のしくみ、円高など
経済の基本的なことを学習します。そこでは、海外のように銀行の役割や株や
証券の売買や土地、金融商品の売買、資産の運用について詳しく学ぶことはあ
りません。一番大切な財産を増やす、運用するということは学校では教えてい
ないという現状があります。
15
また、二番目として、大人になって金銭トラブル、クレジットカードによる
債務、契約トラブルなど思わぬ事件に巻き込まれ多重債務に陥ってしまうケー
スが後を絶たない。また大きなものを買う時の知識が希薄で、業者から法外な
請求を受けてしまうなど、社会的な問題となっていること。
さ ら に 、三 番 目 と し て 、義 務 教 育 の 中 で 、ク レ ジ ッ ト や カ ー ド 、利 息 、契 約 、
20
補償、保険などの基本的な知識、金銭の価値に対する感覚、自分の財産の使い
方、計画的な返済など、を身につけること、トラブルや詐欺行為についての理
解などが必要になってきたのだと思う。
四番目として、モノがあふれ、小中学生の持ち物を大切にすると言う感覚が
薄 く な っ て き て い る の で は 。職 業 学 習 の 中 で お 金 の 価 値 に つ い て 触 れ る 場 面 も 。
25
五番目として、赤い羽根募金やユニセフへの募金は積極的に協力するが、そ
の使い途や自分の支払った金額の価値はなかなか分からない。海外に出て行っ
た時のお金の価値というものも学習してほしい。
金融教育を行ううえでの目標を考えた場合、新学習指導要領に含まれる思考
力、判断力、表現力や生きる力の育成とも大きく関連している。
30
18
今年度の研究主題は、豊かに生きる力を育む教育活動の充実、副題は、思考
力、判断力、表現力を高める言語活動と自分の生き方や価値観を磨く金銭教育
を目指して、です。
キャリア教育とタイアップして体験活動を充実させ、生活、経済に関する授
5
業を充実させていくこと。地域、家庭に対する金銭に関する情報提供も行い、
地 域 、保 護 者 の 金 銭 感 覚 も 高 め て い く こ と が 金 融 教 育 を 行 う う え で の 目 標 で す 。
訪問調査班
学校で金融教育を行った後の効果はどうでしょうか?
10
松東中学校
まだ目に見えるような効果は少ない。
訪問調査班
学校で金融教育を推進する上で制約となるものがあるとすれば何ですか?
15
松東中学校
社会科や家庭科の中では単元もあり、単発的には行っているが、年間を通し
て計画的体系的に内容を深めていくことまで行っていない。また、教員の多忙
さ。毎日の授業、部活、研究指定などこんな風に研究校に指定されなければ続
けることは難しいと思います。また、予算的な制約も実際は大きい。
20
以 上 、本 節 で は 小 松 市 立 松 東 中 学 校( 石 川 県 )の 金 融 教 育 の 事 例 を み て き た 。
ここでは社会科等の教科で金融や経済に関する知識を学習するとともに、新学
習指導要領に含まれる思考力、判断力、表現力や生きる力の育成をも考慮した
実践的な金融教育への取組みがなされているのが特徴的である。
25
なお、単発的な講師の講演だけで終わらせずに、計画的・体系的な金融教育
を行っていくために、より効果的な講師招聘とはどのようなものかを考えてい
く必要がある。
30
19
第3節
高等学校の金融教育事例
本節では、石川県立小松商業高等学校における金融教育の事例を検討する。
具体的には、同校が石川県金融広報委員会より金融教育研究校の指定を受けて
5
これまでに取組んできた金融教育の内容、目的及び効果について調査した。
本 事 例 の 聞 き 取 り 調 査 は 、 2013 年 10 月 17 日 に 同 校 で 行 わ れ た も の で あ る 。
本研究の共著者(以下、訪問調査班)の質問に対して、学校の担当者(以下、
小松商業高等学校)が回答するという形式で調査が行われた。
10
訪問調査班
学校ではどのような金融教育がなされているのでしょうか?
小松商業高等学校
1 年生の時、
「 ビ ジ ネ ス 基 礎 」と い う 授 業 の「 金 融 業 者 」と い う 単 元 で 勉 強 し 、
簿 記 な ど の 授 業 で も 金 融 に 触 れ る 。さ ら に 、株 の 模 擬 売 買 を 2 年 間 か け て 行 い 、
15
通じて株式会社の仕組みを勉強する。また、小松税務署や税理士の方を招いて
租 税 教 室 を 行 っ た り 、税 の 作 文 を 書 か せ た り も す る 。日 銀 の 見 学 も 行 っ て い る 。
訪問調査班
学校で金融教育を導入した目的はなんでしょうか?
20
小松商業高等学校
生 徒 の 約 6 割 が 就 職 す る た め 、生 徒 た ち が 社 会 に 出 て か ら 間 違 っ た お 金 の 使
い方をするのを防ぐため。そして、お金とは汗水たらして稼ぐものであり、投
資には大きなリスクがあることを教えるため。生徒の「生きる力」を育むこと
や、ニュースに興味をもたせることも目的の一つです。
25
訪問調査班
学校で金融教育を行った後の効果はどうでしょうか?
小松商業高等学校
毎週、どの会社の株が上がるか予想をさせると、カネボウが問題を起こすと
30
親会社の花王の株が下がる、震災が起こると復興需要を見越して建設株が上が
20
るなどの現象に生徒達が気づくようになり、ニュースに興味を持つようになっ
た。また、勉強嫌いな生徒が株に興味を持つようになったり、キッズセミナー
を 通 じ て 人 と の か か わ り が 苦 手 な 生 徒 が 少 し は 、人 と か か わ れ る よ う に な っ た 。
5
訪問調査班
金融教育研究校として今後どのような教育を進めていくつもりでしょうか?
小松商業高等学校
金融教育と関係のある社会科や家庭科などの先生同士の横の繋がりを強化し
ていく。そして、それぞれの科目の視点から金融教育を行う。
10
訪問調査班
金融教育を専門に行う教員の養成についてどのようにお考えでしょうか?
小松商業高等学校
商業科の教員で構成される石川県商業教育研究会の中の流通国際研究部会で
15
の研究に当てはまる。しかし、ここで金融教育はない。
東証が金融教育で株の模擬取引ゲームの実践報告会を行っている。夏休み、
冬休みに実施され、参加者は商業や公民の先生がほとんどであるが、家庭科の
先生の参加など他の科目の先生同士の横の繋がりが重要になる。
20
訪問調査班
学校で金融教育を推進する上で制約となるものがあるとすれば何ですか?
小松商業高等学校
繰り返しになるが、金融教育と関係のある社会科や家庭科などの先生同士の
横の繋がりを強化していかないと一人の先生では難しい。
25
以上、本節では小松商業高等学校(石川県)の金融教育の事例をみてきた。
同校では、金融教育の一環として株の値動きを観察することを通して経済の
状況と株価の関連性を思考させると共に資産運用への関心を高めている。
ま た 、同 校 で は 卒 業 生 の 約 6 割 が 就 職 す る こ と か ら 生 活 設 計 に も 重 点 が 置 か
30
れていることが特徴的である。
21
本章では、石川県金融広報委員会の「金銭教育研究校制度」及び「金融教育
研究校制度」の対象となった小学校、中学校、高等学校における具体的な金融
教育の内容や目的、効果等を概観してきた。
イ ン タ ビ ュ ー 調 査 の 対 象 と な っ た 前 述 の 3 校 で は 、金 融 広 報 委 員 会 の 支 援 の
5
下で様々な金融教育の取組みがなされ、成果をあげている。担当者からは金融
教育への高い関心と肯定的な見解も得られた。その一方、担当者が今後さらに
金融教育を推進するには幾つかの制約があることも伝えられた。具体的には、
以下の三点である。
第 一 に 授 業 時 間 の 問 題 で あ る 。研 究 指 定 校 に 指 定 さ れ る 2 年 間 は 全 校 で 金 融
10
教 育 へ の 取 組 み を 行 っ て い る が 、社 会 科 や 家 庭 科 の 中 に も 関 連 す る 単 元 は あ り 、
他に教える事項も多い中で金融教育だけに焦点を当てて年間を通して体系的に
内容を深めていくことは困難である。
第二に専門性の問題である。金融教育は内容が多岐にわたり専門性も高い。
先生自身の金融教育に関する知識が少ない場合に専門家の力を借りない限りは、
15
手探りで進める事になり、期待する成果が得られないという事も考えられる。
第三に予算の問題である。指定校には予算が付くため外部講師を招聘する、
金融機関の見学等の教育活動を行いやすいが、それ以外の学校では難しい。
このように現状では、小学校から高等学校にかけて金融教育を実施しにくい
要因が存在する。このような課題を抱える金融教育の実施上の問題を改善する
20
ためには、政府による施策や関係団体などの役割が重要である。
本論文の第 1 章では、金融リテラシーの定義として金融庁の「金融経済教育
研 究 会 」が 定 め た 、最 低 限 身 に 付 け る べ き 金 融 リ テ ラ シ ー を し た 。具 体 的 に は 、
図 表 6 の 通 り 、「 家 計 管 理 」「 生 活 設 計 」「 金 融 知 識 及 び 金 融 経 済 事 情 の 理 解 と
適 切 な 金 融 商 品 の 利 用 選 択 」「 外 部 の 知 見 の 適 切 な 活 用 」 の 4 分 野 か ら 金 融 リ
25
テラシーは構成されている。この 4 分野の下にはサブ項目として、収支管理や
ライフプラン、金融取引の基本素養、保険やローン、資産分散投資の考え方と
い っ た 知 識 や 技 能 に 基 づ く 15 項 目 が 含 ま れ る 。
次章では、この金融庁が定めた最低限身に付けるべき金融リテラシーの向上
に向けた諸問題への改善策を提示することにしたい。
30
22
図表6.金融庁の最低限身に付けるべき金融リテラシー
項
目
1
家
計
管
理
1 適切な収支管理(赤字解消・黒字確保)の習慣化
2
生
活
設
計
2 ライフプランの明確化及びライフプランを踏まえた資金の確保の必要性の理解
【金融取引の基本としての素養】
3 契約にかかる基本的な姿勢の習慣化
4 情報の入手先や契約の相手方である業者が信頼できる者であるかどうかの確認の習慣化
5 インターネット取引は利便性が高い一方、対面取引の場合とは異なる注意点があることの理解
【金融分野共通】
6
3
金
融
知
識
及
び
金
融
経
済
事
情
の
金融経済教育において基礎となる重要な事項(金利(単利、複利)、インフレ、デフレ、為替、リスク・リターン等)や金融
経済情勢に応じた金融商品の利用選択についての理解
理
7 取引の実質的なコスト(価格)について把握することの重要性の理解
解
と 【保険商品】
適
切
8 自分にとって保険でカバーすべき事象(死亡・疾病・火災等)が何かの理解
な
金
融
9 カバーすべき事象発現時の経済的保障の必要額の理解
商
品 【ローン・クレジット】
の
利
用 10 住宅ローンを組む際の留意点の理解
選
択
①無理のない借入限度額の設定、返済計画を立てることの重要性
②返済を困難とする諸事情の発生への備えの重要性
11 無計画・無謀なカードローン等やクレジットカードの利用を行わないことの習慣化
【資産形成商品】
12 人によってリスク許容度は異なるが、仮により高いリターンを得ようとする場合には、より高いリスクを伴うことの理解
13 資産形成における分散(運用資産の分散、投資時期の分散)の効果の理解
14 資産形成における長期運用の効果の理解
4
外
部
の
知
見
の
適
切
な
活
用
15 金融商品を利用するにあたり、外部の知見を適切に活用する必要性の理解
(出所)金融庁の「最低限身に付けるべき金融リテラシー」の内容を基に筆者作成。
23
第 4章
金融リテラシーの向上に向けた提言
この章では金融教育に対する我々の提言をしようと思うのであるが、まずは
現在の金融教育において課題・限界があることを確認しておきたい。
5
私たちが思う問題としては、まず金融教育を行うには予算的に難しい学校が
存在するということである。都市圏の学校や、人数の多い大きな学校であれば
予算的に余裕があり、教材を購入したり、外部から講師を呼んだり、バスを借
りて銀行へ見学に行ったりといったことができるが、郊外の人数の少ない小さ
な学校となるとそういったことが金銭的な理由でできないという現状がある。
10
こうなってしまうと学校によって教育格差が出てくるという問題も出てくる。
「自分たちの学校で先生が直接教えればいいのではないか?」という考えもで
きるが、実際、金融教育をすることができる専門的な知識を備えた教師が少な
いという問題もある。いざ学外から講師を呼ぶとなっても、その教育は単発で
終わってしまい継続性がないため、生徒の身には付かない。また、講師も学校
15
によって異なるため、もちろん教育内容に差異が生じる。これらが現在の問題
として考えられる点である。
これらの問題に対して私たちが提言したいことは、ポータルサイトの設立で
ある。このサイトの主体は政府であり、作成の際には、金融、教育、消費者な
ど様々な分野から有識者、専門家を招いて専門の委員会を作ることとする。ポ
20
ータルサイトの内容は教育と情報交換の2つのカテゴリーに分ける。
教育のカテゴリーでは、小学校、中学校、高等学校、大学・社会人、高齢者
の 5 つ の 段 階 に 合 わ せ た 教 育 を web 上 で 行 う と い う ス タ ン ス で あ る 。具 体 的 に
は、小学校ではまだ金融の複雑な内容を理解させるには早いということで、お
金の使い方・大切さを教える動画を載せ、それを見てもらうことで消費におけ
25
る基本、習慣を学んでもらう。消費者としての行動範囲が広がる中学校では消
費者トラブルに巻き込まれないようにするための方法や税金の仕組み等を教え
る。高校では応用的な株式投資のシミュレーションや就職する生徒のために金
融に関する業務の紹介を行う。大学生・社会人は年金や投資信託、保険、住宅
ローン等の金融商品への投資をより現実的なシミュレーションを行うことで学
30
ぶ。例えば、住宅ローンを組む場合を想定し、固定金利と変動金利、元金均等
24
返済と元利均等返済の違いを踏まえてシミュレーションをしてもらう。高齢者
は、これまで貯めてきた資産を金融商品で運用する傾向にあり、今後、そのよ
うな資産運用はより必要となる。
5
図表6.金融庁の最低限身に付けるべき金融リテラシー
学
○金融経済に関する学習項目の解説
び
銀行や株式会社の仕組み、税金、年金、消費トラブル等、さまざま
の
な金融経済の学習項目を、図やイラストを使い分かりやすく解説する
コ
コンテンツ。教材としても使えるように。
ン
○学んだことを復習できる仕組み
テ
上記のコンテンツで学んだことを反復・復習できる仕組みを提供す
ン
るコンテンツ。楽しみながら復習できるクイズ形式や、印刷して使用
ツ
できる復習プリントなどを用意する。家庭や学校で活用してもらう。
○質問コーナー
パソコンが苦手な人向けに、メールだけでなく電話受付も行う。リ
アルタイムなニュースなどにも対応することが可能。
情
○各機関の活動紹介
報
セミナーや講習会といった活動の日時・場所・内容などをすべてま
交
とめて閲覧できるようにする。分かりやすいように時系列順にし、過
換
去の活動だけでなくこれからの活動も知ることができる。近く行われ
の
る講習会等がトップ画面などに表示されるようにする。
コ
○おすすめ教材の紹介
ン
他の金融経済教育関連のサイトで扱っているコンテンツなど、おす
テ
すめ教材を紹介する。クイズやゲーム、シミュレーションプログラム
ン
など。
ツ
○関連機関へのリンク
他の金融経済教育関連のサイトそのものの紹介。
具体的な教育コンテンツとして、クイズやチェックテスト、ゲーム等でサイ
トで学んだ知識を定着させるコンテンツも加えたいと考えている。マンガで金
融トラブルについて紹介するコンテンツも必要であろう。さらに、ファイナン
25
シャルプランナーや簿記などの経済関連の資格の取得にも生かせるコンテンツ
も加えることでさらなる知識定着・活用を図ることができると考えている。
次に情報交換のカテゴリーの内容は、文字通り、金融教育に関する情報を、
そのサイトの利用者全員でシェアできるようにするというもので、いつ、どこ
5
で、何時から金融教育のセミナーが開催されるかを記載した全国マップや、各
機関の金融教育活動の宣伝、報告ができる掲示板、トラブルに巻き込まれた時
のための相談窓口などが具体的な案として考えているものである。全国マップ
は各地で行われるセミナーの情報を一括して見ることができるため、情報検索
の 負 担 が 軽 減 さ れ る 。掲 示 板 は 学 校 で も 企 業 で も 利 用 で き る よ う に す る こ と で 、
10
学校は他学校の教育を参考にすることができ、企業を学校に招いて金融教育を
し て も ら う 際 に 、ど の 企 業 が ど ん な 教 育 を し て い る か 知 る こ と が で き る 。逆 に 、
企業は自分たちの行っている金融教育活動をアピールすることができる。
ポータルサイトの管理は、最も公的な機関である金融庁が中心となって行う
ことが理想であると考える。管理のための専門の委員会を設立し、諸機関が金
15
融経済教育に関連する活動を行うときは事前事後に委員会に報告・連絡を行う
システムを整え、委員会はそれら集約した情報をポータルに更新する。また、
諸機関から有識者を集め、ポータルの内容や方向性についてなどに関する会議
を定期的に行い、変化を続ける金融経済事情に即した情報を柔軟に発信し続け
られるような仕組みづくりに努める。
20
また、ポータルサイト上での教育は、学校教育やセミナーなどの対面の教育
と異なり、情報が一方向的であるということも課題の1つである。対面教育な
らば、疑問に思ったことがあれば、すぐに教師、あるいは講師に質問し、答え
てもらうことができるが、ポータルサイト上ではそれができない。これに対す
る我々の解決案として、ポータルサイト上に、質問受け付けコーナーを設け、
25
更に無料の電話相談窓口を設けることで、リアルタイムで様々な疑問、相談に
応じる体制を作ることを提案する。これにより、双方向型の情報のやりとりが
でき、ポータルサイト利用者の疑問を解消するのみならず、ポータルサイトを
改善していくのにも役立つと思われる。
他にも、ポータルサイトを開発・運営していくための財源、特に広報活動に
30
は大きな経費がかかると思われるので、その財源をいかに確保するか、といっ
26
た問題も出てくるだろう。これに関しては、金融・証券業界の各団体からの徴
収金で賄うべきであると思う。というのも、金融・投資教育が普及し、消費者
が積極的に投資等を行うようになった際、最も恩恵を受けるのは金融・証券業
界であるからだ。基本的には徴収金で賄い、不足部分は政府が歳出するのが適
5
当であると考える。
これらの案を採用することで生まれるメリットとしては、このサイトを見れ
ば金融教育に必要な情報は得られるということで、情報検索の負担が軽減され
ること。各年代に必要な教育が一括して掲載されているため、効率よく知識を
得られることができる。ネットで教育が行えるため、教材の購入費用がいらな
10
くなり経費が抑えられる。様々な機関がバラバラに行っていた金融教育を体系
化・標準化することで教育の格差を縮めることができる。ネットという、いつ
でも利用できる環境にあるため、自由度が高く、家族で学ぶこともできる。し
たがって教育に継続性が出る。情報交換を行うことで、それぞれの金融教育の
質が高まるなどが考えられる。
15
以 上 の 理 由 か ら 今 後 の 金 融 リ テ ラ シ ー の 普 及 に 対 し て 、私 た ち の 考 え る 提 言 と し
てポータルサイトの設立をすすめる。
20
25
30
27
終章
終わりに
本論文では、日本の金融教育の取り組みに焦点を当てて、金融教育の拡充と
その学習成果としての金融リテラシー向上のための提言を行っている。
5
第 1 章 で は 、金 融 リ テ ラ シ ー の 向 上 が 求 め ら れ て き て い る 背 景 を 明 ら か に し 、
また金融リテラシーとは何かを定義した。
第 2 章では、日本における金融教育の実施主体を明らかにした。また、消費
10
者庁と日本ファイナンシャルプランナーズ協会が掲げる各学校段階別に求めら
れるスキル・技能を比較した。
第 3 章では、石川県金融広報委員会による小学校・中学校・高等学校への金
融教育の支援策を対象としてその特徴や課題を明らかにした。
15
第 4 章 で は 、今 後 求 め ら れ る 金 融 リ テ ラ シ ー と は ど う あ る べ き か を 検 討 し た 。
さらに、政府や団体の連携に着目して金融教育の発展の為にポータルサイトの
設立を提言した。
20
わたしたちが本論文で示した提案の実現がなされ、日本における金融教育が
普及し、日本人の金融リテラシーが向上していくことを望み、本論文の結びと
したい。
25
30
28
【主要参考文献】
1) 大 橋 善 晃 「 英 国 に お け る 金 融 教 育 へ の 取 り 組 み 」 『 証 券 レ ビ ュ ー 』 第 50巻
第8号
5
2) 大 橋 善 晃 ( 2007) 「 英 国 に お け る 金 融 教 育 ( 1 ) FSA主 導 に よ る 「 金 融 に
関 す る 消 費 者 教 育 」へ の 取 り 組 み 」『 証 券 レ ビ ュ ー 』第 49巻 第 2 号 平 成 21年 2
月 30日
3) 大 橋 善 晃 ( 2011) 「 英 国 に お け る 金 融 教 育 の 最 新 事 情 」 『 証 券 レ ビ ュ ー 』
第 51巻 第 7 号 pp.129-159 平 成 23年 7月 12日
10
4)大 橋 善 晃( 2012)「 英 国 の 消 費 者 金 融 教 育 を 主 導 す る 独 立 機 関 MAS」日 本 証
券 経 済 研 究 所 ト ピ ッ ク ス - 資 料 と 分 析 、 2012年 11月
5)小 幡 績 ( 2004) 「 伝 統 的 フ ァ イ ナ ン ス 理 論 か ら の 決 別 」 財 務 省 財 務 総 合 政 策
研 究 所 フ ィ ナ ン シ ャ ル ・ レ ビ ュ ー 70号 pp.50-62
6)金 子 久 ( 2003) 「 個 人 投 資 家 の 投 資 行 動 と 普 及 へ の 展 望 」 証 券 ア ナ リ ス ト ジ
15
20 ャ ー ナ ル 7号 pp.18-31
7) 木 村 俊 文 ( 2006) 「 金 融 教 育 の 現 状 と 課 題 ― 金 融 機 関 が 取 り 組 む 意 義 ― 」
『農林金融』4月
8) 金 融 経 済 教 育 懇 談 会 ( 2005) 「 金 融 経 済 教 育 に 関 す る 論 点 整 理 」
金融庁
平 成 17年 6月
20
9)金 融 経 済 教 育 懇 談 会 ( 2005) 「 金 融 経 済 教 育 に 関 す る 論 点 整 理 」 金 融 庁
10)金 融 広 報 中 央 委 員 会 ( 2008) 「 金 融 教 育 に 関 す る 消 費 者 ア ン ケ ー ト 第 2回 」
11)金 融 広 報 中 央 委 員 会 ( 2010) 「 2010年 度 金 融 広 報 中 央 委 員 会 の 活 動 」
12) 金 融 庁 HP( 2008) 「 金 融 庁 に お け る 金 融 経 済 教 育 へ の 取 り 組 み 」 平 成 20
年 5月
25
13)金 融 庁 総 務 企 画 局 政 策 課「 初 等 中 等 教 育 段 階 に お け る 金 融 経 済 教 育 に 関 す
る ア ン ケ ー ト 調 査 結 果 報 告 書 」 平 成 16年 8月
14) 楠 本 町 子 ( 2006) 「 日 本 の 金 融 教 育 と そ の 課 題 -日 米 高 校 生 の 金 融 基 礎 知
識 の 比 較 を 中 心 に -」 現 代 社 会 研 究 科 研 究 報 告 創 刊 号 pp.143-156
15)小 池 拓 自( 2009)「 金 融 経 済 教 育 」「 総 合 調 査『 青 少 年 を め ぐ る 諸 問 題 』」
30
国 立 国 会 図 書 館 調 査 及 び 立 法 考 査 局 pp.79-99
29
16)児 玉 篤 尚 ( 1984) 「 消 費 者 行 動 の 合 理 性 と 消 費 者 教 育 」 愛 知 教 育 大 学 研 究
17) 財 団 法 人 消 費 者 教 育 支 援 セ ン タ ー ( 2000) 「 経 済 学 習 の ス タ ン ダ ー ド 2
1世紀のアメリカ経済教育」
18)証 券 知 識 普 及 プ ロ ジ ェ ク ト「 平 成 22年 度 教 育 関 係 者 向 け『 金 融 経 済 教 育 フ
5
ォ ー ラ ム 』 開 催 一 覧 」 平 成 22年
19)白 川 方 明 ( 2009) 『 金 融 知 識 の 役 割 』 日 本 銀 行
20) 全 国 銀 行 協 会 ( 2008) 「 金 融 経 済 教 育 の 一 層 の 充 実 に 向 け て 」 平 成 20年 2
月 25 日
21)高 橋 大 志 (2004)「 行 動 フ ァ イ ナ ン ス と エ ー ジ ェ ン ト ベ ー ス モ デ ル 」オ ペ レ ー
10
シ ョ ン ズ ・ リ サ ー チ pp.148-153
22)高 橋 典 孝 (2004)「 証 券 価 格 変 動 の モ メ ン タ ム 現 象 と リ バ ー サ ル 現 象 に 関 す る
考察:行動ファイナンスの考え方の整理とそれに基づく定量分析」日本銀行金
25 融 研 究 所 金 融 研 究 pp.43-70
23)高 橋 文 郎 ( 2006) 『 パ ー ソ ナ ル フ ァ イ ナ ン ス 研 究 』 日 本 フ ァ イ ナ ン シ ャ ル
15
プ ラ ン ナ ー 協 会 第 1章
24) 内 閣 府 ( 2010) 「 第 1 部 第 2 章 第 4 節 い わ ゆ る 、 ニ ー ト 、 ひ き こ も り 、
フ リ ー タ ー 等 の 状 況 」 「 平 成 22年 版 子 ど も ・ 若 者 白 書 」 「 図 録 経 済 成 長 率 の 推
移(日本)」社会実情データ図録
25)農 林 中 金 総 合 研 究 所( 2006)「 金 融 教 育 の 現 状 と 課 題 ― 金 融 機 関 が 取 り 組
20
む意義―」
26) 林 宏 美 ( 2002) 「 英 国 の 学 校 に お け る 投 資 教 育 ― Excellence and Access
プ ロ ジ ェ ク ト が 目 指 す も の ― 」 「 資 本 市 場 ク ォ ー タ リ ー 」 2002年 春
27) 平 田 潤 (2011)「 『 大 学 全 入 時 代 』 が 求 め る 基 礎 力 教 育 と 、 金 融 分 野 に お け
る新たな試み『金融基礎力プログラム』展開による、初心者金融教育の実践」
25
28)福 原 敏 恭( 2008)「 金 融 イ ノ ベ ー シ ョ ン の 進 展 と 米 国 に お け る 金 融 教 育 の
動 向 ― サ ブ プ ラ イ ム 問 題 発 生 後 の 状 況 ― 」 金 融 広 報 中 央 委 員 会 平 成 20年 10月
29) 山 根 栄 次 ( 2006) 『 金 融 教 育 の マ ニ フ ェ ス ト 』 明 治 図 書 出 版
30)若 園 智 明 ( 2007) 「 金 融 教 育 と は 何 か 考 え る 」 日 本 証 券 研 究 所 証 券 レ ビ ュ
ー 20 第 46号 第 11号 pp.87-102
30
31)若 園 智 明 ( 2005) 「 金 融 教 育 の 現 状 」 日 本 証 券 研 究 所 証 券 証 券 レ ビ ュ ー 第
30
45巻 第 11号 pp.63-78
32) エ イ プ ロ シ ス HP http://www.aprosis.com/
33)金 融 広 報 中 央 委 員 会 知 る ぽ る と HP http://www.shiruporuto.jp/
34)金 融 庁 HP http://www.fsa.go.jp/
5
35)金 融 知 力 普 及 協 会 HP http://www.apfl.or.jp/aboutus.html
36) 公 益 財 団 法 人 生 命 保 険 文 化 セ ン タ ー HP http://www.jili.or.jp/ 20
37) 厚 生 労 働 省 HP http://www.mhlw.go.jp/
38)国 民 生 活 セ ン タ ー HP http://www.kokusen.go.jp/
39)証 券 知 識 普 及 プ ロ ジ ェ ク ト HPhttp://www.e-104.net/shoken.html
10
40)消 費 者 教 育 ポ ー タ ル サ イ ト HP http://www.caa.go.jp/kportal/index.php 5
41)消 費 者 庁 HP http://www.caa.go.jp/
42)信 託 協 会 HP http://www.shintaku -kyokai.or.jp/
43)生 命 保 険 文 化 セ ン タ ー HP http://www.jili.or.jp/
44)全 国 銀 行 協 会 HP http://www.zenginkyo.or.jp/
15
45)東 京 証 券 取 引 所 グ ル ー プ HP http://www.tse.or.jp/
46)投 資 信 託 協 会 HP
http://www.tse.or.jp/learning/education/school_index.html
47)ニ ッ セ イ 基 礎 研 究 所 HP http://www.nli-research.co.jp/
48)日 本 銀 行 HP http://www.boj.or.jp/
20
49)日 本 経 済 団 体 連 合 会 HP http://www.keidanren.or.jp/index.html
50)日 本 証 券 業 協 会 HP http://www.jsda.or.jp/
51)日 本 損 害 保 険 協 会 HP http://www.sonpo.or.jp/
52)日 本 FP協 会 HP
http://www.jafp.or.jp/about/personal_finance/standard.shtml
25
53)文 部 科 学 省 HP http://www.mext.go.jp/
54) 日 本 FP協 会 HP http://www.jafp.or.jp/
55) 野 村 グ ル ー プ HP http://www.nomura.com/jp/
56) 三 菱 東 京 U F J 銀 行 HP
http://www.bk.mufg.jp/minasama/topics/pop_seminar1209.html
30
57) 文 部 科 学 省 HP http://www.mext.go.jp/
31