昭和 年 月 日 第 種郵便物承認 広島県医師会速報(第 第 号) 年(平成 年) 月 日( ) 回尾道市医師会性感染症・エイズ対策市民公開講座 『大切ないのちについて考える』 尾道市医師会広報担当理事 日 下 治 平成 年 月 日掌午後 時 分より、尾道 市しまなみ交流館(テアトロシェルネ)におい て第 回尾道市医師会性感染症・エイズ対策市 民公開講座が「大切ないのちについて考える」 と題して開催された。 これまで私たち尾道市医師会性感染症・エイ ズ対策プロジェクト委員会は、市民、特に高校 生を始めとする若者を対象とした 回の講演会 を開催してきた。第 回は性教育第一人者の家 坂清子先生、第 回は保健師でもあるHIV感 染者の北山翔子氏、第 回はメールで性の悩み 相談を受けている上村茂仁先生に講演していた だき、性感染症やエイズに関する知識を提供し、 その予防がいかに重要であるかを啓発してきた。 また、毎年 月には世界エイズデーに合わせて、 街頭でのHIV無料検査も行ってきた。しかし、 マスコミにはほとんど報道されないが、わが国 のHIV感染者数は現在も先進国で唯一増加し 続けており、ここ備後地区でもHIV感染者が 年々増加してきているのが現状である。 講演会開始までの間、神奈川県の高校生に よって制作されたHIV・エイズについての紙 芝居のDVDが上映された。これはHIV患者 に対する偏見が多い中、他人事と考えていたH IV・エイズが非常に身近な問題だということ に気づき、その間違った偏見を見直すというス トーリーで、高校生が作った作品だけに会場の 若い世代は共感を覚えたようであった。 また、今年からは若者により関心を持っても らおうと、市内の学生にHIV・エイズに関す るポスターを募集した。応募作品の中から今年 は尾道東高校の女子学生が最優秀作品賞に選ば れて、その作品は今回の市民公開講座のポス ターとして使用され、講演会に先立ち表彰状と 記念品が贈呈された。 会場は、昨年を上回る約 名の学生を中心と した聴衆で埋まり、壇上では最初に、片山壽尾 道市医師会長(プロジェクト委員長)と平谷祐 宏尾道市長が開会の挨拶をされた。続く講演会 は、昨年と同様に 部構成で行われた。 まず、第 部は東部保健所の保健師と県立広 ( ) 年(平成 年) 月 日 広島県医師会速報(第 島大学ピアカウンセリングサークルの学生によ る「エイズのお話」で、HIV感染のメカニズ ムと感染防御の方法について、若者の感性と目 線と言葉で熱演してくれた。途中からは聴衆に も舞台に上がって参加してもらい、コップの水 を使ってHIV感染が拡大する様子をシュミ レーションして見せ、舞台裏のわれわれも思わ ずうならされた。自分には関係ないと思ってい ても感染する可能性は誰にでもあるのだという ことを、会場の若者たちはよく実感できたので はないだろうか。そして、非常に身近なものと してHIV、エイズに対する認識を新たにした はずである。最後に、昨年と同様にエイズ患者 の詩を朗読して第 部を終了した。 続いて第 部は、宮野良隆担当理事が座長を 務め、広島市の繁華街で産婦人科ユノ川クリ ニックを開院されている温泉川梅代先生による 「-“性”-って、なに?」と題した講演が行わ れた。先生はシャンソン歌手としても活躍して おられるため、最初に愛を語るシャンソンの一 節を歌い上げて、まず聴衆の心を一気に掴んで から、静かな口調で講演を始められた。 「愛とは 何だろう。 」 「性とは何だろう。 」と聴衆に問いか け、ややもすると具体論になりがちな性感染症 の話を、もう一度原点に立ち戻って考えさせら れるような、かなり哲学的な切り口から話を進 められた。もちろん産婦人科の医師として妊娠、 性感染症についても具体的に話をされた。そし て先生が聴衆に向かって強調されたことは、と にかく自分を大切にすること、現代の情報社会 の中でいたずらに情報に振り回されないこと、 号) 昭和 年 月 日 第 種郵便物承認 性教育は人間教育であり他人に迷惑をかけない こと、他人の嫌がることをしないことなどで あった。最後に、シャンソンをもう一度歌われ て講演を終了した。 その後は質疑応答に移ったが、男子高校生達 の素朴な疑問にも丁寧に答えられていた。また、 フロアから県東部地区エイズ治療拠点病院であ る福山医療センターの坂田達朗先生が発言され、 備後地区特に尾道市の現状について報告された。 本年になってすでに 名のエイズ患者が尾道市 でも発症しており、もう決して対岸の火事など ではなくなっているという事実に、聴衆の若者 たちはかなりの衝撃を受けているようであった。 最後に、温泉川先生にボランティアの男子学生 から花束が贈呈されたが、その直後にフロアの 知人男性からも花束が贈られるというハプニン グがあり、満面笑顔のまま聴衆の温かな拍手に 送られて降壇された。最後に、半田光行尾道市 教育長が閉会の挨拶をし、今回の市民公開講座 は無事終了した。 今回も約 名の方に来場していただき予想以 上に盛況であったが、まだ参加してもらえない 高校が数校あり、今後とも辛抱強く働きかけて 行く必要性を感じている。また、同時に行った HIV無料検査は受検者が 名あり、こちらも 東部保健所と協力して今後ともぜひ継続して行 きたいと考えている。 なお、本年も 月 日の世界エイズデーにち なんで、それに近い日曜日の 月 日に同じ会 場で、HIV無料検査を実施する予定である。
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