愛着のあるQC活動 ダイハツ工業 パワエレキ開発室 相田 孝治 『俺に

∼私の感動体験∼
愛着のあるQC活動
ダイハツ工業㈱
パワエレキ開発室
相田
孝治
『俺にテーマリーダをさせてください』それは私がサークルリーダとなった2年
間で初めて聞く涙が出るほど嬉しい言葉でした。
3年前のサークルはありきたりのテーマを取り上げテーマリーダは輪番制、社外
発表に選出された過去の栄光を新メンバーに自慢げに話し、選出されるためのス
トーリ勉強会など意味のない活動とQC発表会で楽に成果をあげることばかり
考えていました。
そんな活動に未来があるはずもなく、QC発表会は1回戦負けの常連に、それば
かりか改善提案活動はブロックの最下位になってしまいました。
そんなお荷物サークルのリーダに当時、班長に昇格したばかりの私が抜擢された
のです。
やる気満々の私は、俺カラーのサークルに立て直すのだ、などと根拠の無い自信
で会合を始めました。
しかし、新米班長が直ぐにマネージメントできるはずもなく、やることなすこと
空回り、挙げ句の果てにはメンバーに前のリーダの方が楽しかったと言われる始
末。
すっかり自信が無くなった私は部推進員に相談すると『それはピンチだね、いや
絶好の大チャンスだな』と楽しそうに話すのです。私はこの人何言っているのだ
ろう?大丈夫かなと思ったのですが、この推進員こそ過去の栄光をつくりあげた
当時のサークルリーダでした。
私は直ぐに立て直し計画を立案しましょうと進言すると、
『何いっているのだよ、
何事にも現場・現物・現実だぞ、まず俺が会合に参加する、金曜日の 18 時、場
所はお前に任せる』と推進員は言うのです。会合って飲みにケーションか、と私
はあっけにとられました。
次の会合開催日に推進員が突然現れ、いきなり勉強会を始め出しました。
『飲み
会でみんなの思っていることはだいたい判ったよ、これだけ勉強しような』とい
ってQCサークル活動の基本理念をプロジェクタで映しました。【人間の能力を
発揮し、無限の可能性を引き出す。人間性を尊重して、生きがいのある明るい職
場をつくる。企業の体質改善・発展に寄与する。】皆様が良くご存じの基本理念
です。
推進員は『QC活動が生きがいのある職場をつくるというイメージに結びついて
いないのだよ。みんなでQC活動を実施して良かったところを具体的にあげてい
こうよ』というのです。
『調整作業がすごく短くなって楽になったよ』
、
『対策案で恥ずかしい思いをした
けど、すごく勉強になったよ』、
『QC活動で班長と一緒に問題解決できてコミュ
ニケーションがすごく良くなった』など、うわべだけの活動と思っていましたが
それぞれ得るものがあり、それをメンバーで共有できていないのだと認識させら
れました。
不思議と良い点ばかり聞いていると生きがいのある明るい職場がイメージに沸
き、メンバーも自ら進んでQCに時間を割き、会合もかなり活発に行えるように
なりました。
しかし、何回繰り返してもQC活動に納得しない若手がいるのです。
その若手は仕事を一生懸命に行いやる気が無い訳ではないのですが、どうしても
QC活動に納得がいかずやらされ感で参加していました。
私はなんとか納得して活動に参加してもらおうと、手法勉強会やなぜなぜ追求、
ブレスト4原則など普段の業務から密着しながら指導したのですがどうしても
うまくいきません。
もちろん飲みにケーションや社外研修会にも参加していただきました。
推進員のアドバイスで趣味をテーマとしたQCも実施してみましたがうまくい
きません。
途方にくれていたある日、社内のトップサークルと交流会をさせて頂ける機会を
得ることができ、その若手も参加してもらったのですが、いきなり『なぜ発表会
が必要なのですか?発表の為のまとめなんか時間の無駄じゃないのですか』と全
否定。
一瞬沈黙があったのですがそこはトップサークルのリーダです。
『自分が愛着を持って実施したテーマなら自然と発表したくなるよ、学生時代の
部活動は一生懸命練習して、試合という発表の場に参加したくなったのじゃな
い』と軽く答えて頂きました。
私は内心ありきたりだなと思ったのですが、ふと横をみると若手の目が輝きだし
たのです。
後日聞いた話なのですが、実績のあるサークルのリーダの言葉は重く、発表して
認められたい、自分が愛着を持っておこなったQCを他の人にも共感してもらい
たいと思い『俺にテーマリーダをさせてください』と自然に言葉がでてきたそう
です。
私の力だけでは若手をやる気に出来なかったですが、良き先輩と仲間にめぐまれ
今では生きがいのある明るい職場に少し近づけた気がします。
その結果として、昨年度は社内の優秀QCサークル賞を受賞するとともに、改善
提案活動もブロック1位と大躍進することができました。
今回のピンチをチャンスとして活かせたかは判りませんが、今後も愛着を持った
活動をおこない『俺にテーマリーダをさせてください』と毎回メンバーに言って
貰えるサークルづくりを実施していきます。