患者と家族に向き合い 共に歩む事業を展開中 患者と家族に向き合い

第20号 〈4〉
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ザ・サクセスVol.7∼成功へのプロセス
訪問看護介護事業のNPO
訪問看護介護事業の
訪問看護介護事業のNPO法人を起業
NPO法人を起業
法人を起業
患者と家族に向き合い
共に歩む事業を展開中
Q1.現在のNPO法人の事業概要につい
てご紹介ください。
私が起業した事業の内容は、最初に
訪問看護事業を立ち上げた後、ケアマ
ネジャー(介護支援専門員)部門を含
めた在宅介護支援センター事業、移動
支援の三つの事業を中心に展開してお
ります。
NPO法人として北海道知事の認可を
受けたのは2007年8月で、実際に訪問
看護事業を開始したのは同年10月から
でした。
2009年4月からは、在宅介護事業を
立ち上げ、同じ志を持った仲間たちと
共に、地域の訪問看護と在宅介護に従
事しています。さらには、現在の介護
保険制度では補えない在宅サービスへ
の支援を準備しております。
NPO法人として立ち上げてから7年
目を迎えますが、理想である看護と介
護が一体となったサービスの提供が少
しずつ、できてきたと思っています。
Q2.何故NPO法人として起業されたの
か? 少し踏み込んでご説明ください。
私は看護師資格を取得後、病棟看護
師、訪問看護師として医療現場の第一
線で働いてきましたが、その間、現場
で患者さんとそのご家族との出会いから、
生と死について多くのことを学びました。
そのことは私の人生において、何を大
事にすべきか何を目指すべきかを知る
ことでもありました。
過去の看護師の経験から在宅支援を
行う上で、最も必要な介護部門に力を
入れなければならないことや、または
患者さんのお宅を訪問するときに、そ
の患者さんやご家族の生活空間に入り、
お邪魔しているという意識の欠落と、
コミュニケーション能力の低さに、自
分自身に対し、「今のやり方では行き
詰まる。介護に力を入れなければ終末
ザ・サクセスは、卒業生のなかで難関
の資格免許を取得された方、または起
業され成功を収められた方などを対象に、
その成功までの軌跡を取材します。
今回の取材は、北海道支部の工藤和
香子さんです。工藤さんは2007年に
NPO法人の訪問看護事業所を設立しま
した。急速に高齢化が進展する今日、
地域における医療と介護の二つの課題
に対し、真摯に患者とその家族に向き
合い、理想の事業所を目指し奮闘して
おります。
期医療における『看取り』と重症者の ……………………………………
受け入れもできない。医療従事者は、
その専門性に加え人間性を持ち、相手
との人間関係を構築しない限り、いつ
までも上から目線になってしまう」と
いう自問と反省がありました。
それをチェンジするにはどうしたら
よいのかと考え、最終的には「自分で
理想の事業を立ち上げるしかない」と
いう結論に至ったのが起業への理由で
した。
しかし、一人だけで夢を実現させる
ことは困難です。その夢に賛同され協
力していただける仲間が必要です。私
の場合は、地元の大学院(札幌学院大
学大学院)で学んでいたときの、大学
院の先生からの指導と協力がありました。
インタビューに応じる工藤和香子さん
10名の仲間が事業に加わってくれました。
法人事業には介護福祉法人や医療法
んが、いま振り返れば、この期間の学
人などがありますが、私たちは利潤を
習は、私自身を劇的に変貌させた期間
求め活動している団体ではありません。
だと思っています。(笑)
もちろん無報酬では事業の経営は成り
二つの学位記を得ることができまし
立ちません。しかし、法律や制度の制
たが、自分ではまだ物足りない気持ち
限があるなかで最大限、自分たちの理
があり、さらにその上の階段を上がり
想に近づけて活動するためには、NPO
たいと思い、地元の大学院への進学を
法人でしかできないと考えたからです。
考えました。私に一番マッチする大学
院はどこかと検討しました。いくつか
Q3.起業へと繋がったこれまでの学習
の候補から札幌学院大学大学院の地域
暦についてお聞かせください。
マネジメント研究科を選びました。そ
私は1999年9月に産能大学( 現 産業
の選択が正しかったのです。今日の事
能率大学)通信教育課程を卒業しました。
業実現へと繋がったからです。
在学中は卒業研究にも取り組みました。
修士論文を書きながら起業への計画
論理的に論文を作成する難しさと、そ
と準備に追われました。毎日忙しく大
の反面、物事を掘り下げる研究の面白
変でしたが、とても充実しており、楽
さを学びました。
しかった時期でもありました。
そうした卒業研究で経験したものを
また、リスクマネジメントの資格取
さらに発展・展開させたいと考え、卒
得とカウンセリングについても専門的
業後には武蔵野大学の人間科学部人間
に学びました。現在は、人間関係を構
関係学科(現人間科学科)で学びました。
築する上で必要なコミュニケーション
卒業時には認定心理士を取得できました。
能力のスキルアップを継続して学んで
これまで学んだことが、起業への基
います。
礎になったことは言うまでもありませ