マッシュルーム型EBGの吸収特性評価 B-1 Evaluation of - ieice

平成 19 年度電子情報通信学会東京支部学生会研究発表会
講演番号:88
マッシュルーム型EBGの吸収特性評価
Evaluation of absorption properties
by Mushroom-type EBG Structures
B-1
小野田 倫之
Tomoyuki ONODA
齊藤 一幸
高橋 応明
Kazuyuki SAITO Masaharu TAKAHASHI
千葉大学工学部
Chiba University
3. 実験方法
図3に試作したマッシュルーム型EBGを示す.大き
さは4.8×240×240 mm3とし,誘電率は ε r = 2.17 とした.
測定は電波無響室内にて空間定在波法で行った.
反射係数S11は,定在波比sから(1)を用いて求められる.
s −1
S11 = 20 log10
(1 )
s +1
送信アンテナはログペリアンテナ,受信アンテナは
微小ダイポールアンテナを用いた.測定周波数は2.0,
2.2,2.35,2.4,2.45,2.5,2.6,2.8,3.0 GHzの9点と
し,ログペリアンテナとマッシュルーム型EBGの中心
とを結ぶ線上で5 mmずつ微小ダイポールアンテナを
動かし,計測を行った.
4. 結果
図4は計算結果と測定結果の比較を示す.計算結果
において,2.45 GHzより高い2.5 GHz周辺で反射が少
なくなった.一方,実験結果では2.45 GHz 周辺で反
射が少なくなったものの,S11のピーク値が-17dBと計
算値より大きくなった.その理由としては,計算とは
違い,実験では有限のEBGを用いているためと考えら
れる.
1. はじめに
EBG (Electromagnetic Band-Gap) 構造は金属素子を
周期構造で配置したものであり,特定の帯域の電磁波
伝搬を抑制する性質を有する.アンテナの不要放射の
抑制や,電波吸収体などに応用できるため,EBGは盛
んに研究されている.本稿ではEBGの基礎的検討とし
て,マッシュルーム型EBGを設計し,その電磁波の吸
収特性について,計算結果と実験結果の両面から確認
を行う.
2. 解析モデル
図1に,2.45 GHz帯におけるマッシュルーム型EBG
の構造を示す.また,図2に解析モデルの構造を示す.
これは図1に示したマッシュルーム型EBGの単素子の
解析モデルである.解析においては,地板とパッチ部
分は厚みのない完全導体板として扱った.波源はガウ
スパルスの平面波とし,y-z平面に対して垂直に入射
させた.
図 1 に示すモデルは,y,z 方向に対して無限に広
がる周期的な対称構造であるため,電界の接線成分が
0,磁界の接線成分が 0 となる平面にそれぞれ電気壁
(PEC),磁気壁 (PMC)を設定し解析を行っている.シ
ールドの前方後方には吸収境界として Mur の 2 次吸
収 境 界 条 件 を 用 い た . ま た FDTD セ ル サ イ ズ は
∆x=∆y=∆z = 0.0025 λ とした.ただし, λ は 2.45 GHz に
おける自由空間中の波長である.解析領域は
1000×56×56 のボクセルとした.
0.16λ
W
素子の長さ
d
0.02λ
素子間の長さ
h
0.04λ
基板の厚さ
εr
2.17
比誘電率
0
誘電体の導電率 σ
ただし,λ= 0.12 m である.
z
S 11 [dB]
W
y
誘電体
マッシュルーム型EBGの構造
地板
誘電体
ピン
素子
電気壁
Ey
y
Hz
図2
解析モデル
-20
-30
計算値
実験値
-50
2.0
2.2
2.4
2.6
2.8
3.0
周波数 [GHz]
x
図1
-10
d
h
y
0
-40
z
x
伊藤 公一
Koichi ITO
磁気壁
図4 反射係数
5. まとめ
2.45GHz 帯においてマッシュルーム型 EBG 構造
を設計し,試作を行い,反射特性について確認を行っ
た.解析結果と実験結果の両面から,設計したマッシ
ュルーム型 EBGは目的の周波数帯での減衰を確認し
た.ピーク値は計算結果と実験結果でずれが生じてい
るので,実験方法の改良が必要と考えられる.
今後はFSSや左手系媒質などを用いて,アンテナの
不要放射の抑制などの研究をしていく予定である.
x
z
図3
試作したEBG
-88-
Copyright © 2008 IEICE