新興国コンサルティング室 新興国ニュースレター - Newsletter Emerging Markets - vol.13 特集「海外子会社における不正・不祥事対策」 新興国ビジネス最新情報 • メキシコ TAX Flash メキシコ議会は10月31日に2014年 度税制改革案を可決しました。連結 納税制度・企業単一税(IETU)・現預 金税(IDE)の廃止及びマキドーラ制 度(保税加工制度)の厳格化の他、 新配当課税ルール(10%源泉徴収)の 導入等、各種改定が行われています。 • ブラジル TAX Alert 連邦政府は7月17日にe-Social(記 帳システム、税金、社会保険および 労働に関する情報の電子登録義務 化)を承認・公布しました。2014年1 月からすべての企業に適用される事 から、企業においては必要な情報の 統合や送付データの定期的な品質 チェック等が必要となります。 • 中国税務および投資情報 国務院は10月25日に最低資本金の 撤廃等に関する通達を公表しました。 本通達は投資に関する登録手続の 簡素化、平等な競争条件の確保や小 規模投資の促進ならびに生産性向 上を目的としています。 新興国セミナー開催情報 2013年12月5日(木) 中国ビジネスの最新動向 (EY Japan/福岡) 2013年12月9日(月) アジアと共に、日本企業のさらなる成長を ~ 台湾上場セミナー ~ (EY Japan/東京) 2014年1月15日(水) 中東税制アップデートセミナー (EY Japan/大阪) ※詳細はWebsiteにてご確認下さい。 HOT TOPIC 「海外子会社における不正・不祥事対策」 2013年9月に弊法人FIDS(不正対策・係争サポート)では、アジア5カ国6拠点における日系企業の日本人 マ ネ ジ メ ン ト の 方 々 合 計 141 人 を 対 象 に 不 正 関 連 の ア ン ケ ー ト を 実 施 し ま し た 。 そこから浮かび上がってきた海外子会社における不正・不祥事対策に関連した課題は次の通りです。 新日本有限責任監査法人 シニアマネージャー 田谷 直樹 1.海外子会社の課題 ①子会社の日本人マネジメントは、拠点の実態が把握でき • 略歴 不正調査、不正・不祥 ていないケースがある、もしくは拠点の実状については間 事 対 策 ( 発 見 ・ 予 防 ) 、 内 部 監 接的な報告を受けての把握にとどまっている。 査・内部統制構築支援等、アド ②子会社の日本人マネジメントも当該子会社に係るリスク バイザリー業務に20年以上従事。 会計監査業務、株式公開 支援 把握ができていないケースがある。 業務、ロイ ヤル ティ 監 査 など、 ③親会社からの内部監査について、必ずしもリスクに適合 業 務 経 験 は 多 岐 に わ た る 。 した監査が実施されておらず、その頻度についても十分と 日本国公認会計士。 はいえない。特に拠点向けの監査頻度の不足を感じている。 2.親会社の課題 ①事業部や海外統括部門など子会社を管理する部門では、業績管理に主眼が置かれる傾向にある。 また、子会社の日本人マネジメントからの報告内容に依存してしまうことが多い。 ②内部監査のリソースには限界がある他、ネガティブな情報は積極的に伝達されない傾向にあり、現場の 実状が把握されにくい。 ③内部通報やセルフチェックだけに頼るのは限界がある。 不正が起きた場合、一般的には従業員へのインタビューを中心に実態解明にあたりますが、従業員から、組織 風土は属人的だった、この統制活動は実は実施されていなかった、あの人(実行犯)は夜中に出勤していた、 最近生活が派手になっていた、といった兆候に関する証言が堰を切ったように出てくることがあります。 しかし、このような情報は必ずしも全てが不正に直結する情報ではないため、事前に通報されることは、ありま せん。 不正・不祥事対策においては、子会社が抱える不正リスクを特定した上で、従業員が把握している組織風土や 統制活動の運用の実状や兆候情報を積極的に入手し、分析することで、これらの情報を子会社の拠点ごとに 把握し、要改善事項があれば、問題が起こる前に各子会社の拠点に改善指導を行います。 この情報収集により私たちは、現場管理者へのインタビューと従業員全員への匿名サーベイを実施することを 提案しています。 子会社を管理する部門は、内部監査部門とこのインタビュー結果及びサーベイ結果を共有した上で、子会社の 改善状況をモニタリングすることで、上記の課題を解決するとともに、不正・不祥事に対する効果的な子会社管 理を実現することが出来るのです。 新興国コンサルティング室 新興国M&Aニュース 新興国ビジネス分析 拡大する市場をまだ取り込めていない医療機器企業 南アフリカの鉱業セクター 主要課題トップ10 先進国における高齢化の進行、そして新興国においては人口の増加 および経済水準の向上により、高度な医療サービスの需要は高まって います。しかしながら、医療機器市場において日本は貿易赤字であり、 輸出比率は減少傾向にあります。日本の医療機器メーカーは技術力 に優れているものの世界の市場成長を十分取り込めていない状況 です。今後は、医療機器と 高度医療サービスを一体 として新興国市場を開拓 していくことが推奨されて います。 Cost control and margin protection in the South 本冊子は南アフリカの鉱業・金属企業のコスト管理と利益確保 のための優先課題トップ10を分析・解説したものです。 過去10年間のコモディティ価格の上昇により鉱業・金属セクター は生産の拡大に動きました。その一方でコスト競争力と生産性 は悪化する結果となりました。このコストの 急上昇には多くの複雑な理由がありますが、 南アフリカ特有の状況としては、価格変動の 影響を受けやすい金とプラチナが主要生産物 であること、これまで安価だった人件費が急騰 していることなどが挙げられます。 出典:経済産業省 商務情報政策局ヘルスケア産業課 医療の国際化~世界の需要に応える医療産業へ~より ここが知りたい!新興国税務会計 新興国専門家からのワンポイント 【フィリピン編】 インドネシア 現地法人の管理体制の強化を Q. フィリピンでの会計帳簿の保存期間について教え 日本からインドネシアへの直接投資(2013年1-9月)が昨年同期比144%と 加速しています。 最近の特徴は中堅・中小企業が増えていることです。そういった規模の企業 が海外進出する場合、派遣される駐在員は、どうしても製造や販売の担当 者に偏り、経理財務、人事総務など管理部門は現地に任せることが多くなり ます。もちろん、現地管理部門が適切に業務を行える体制を構築することは 大事ですが、日本の本社が必要とする情報・データを必要な時に入手できる システムを構築することも重要です。現地法人だけに任せるのではなく、本 社を巻き込んだ内部統制、内部監査の視点からの管理体制の強化が望ま れます。 てください。 A. 従来は、税務調査の時効期間が原則3年、不正と 認定された場合は10年であったことから、 会計帳 簿の保存期間は3年でした。ただし、不正の時効期 間と整合させるため、2013年9月より、会計帳簿の 保存期間は申告書提出の日から10年と改正されま した。新ルールでは、会計帳簿の他にその適正性 を証明する他の証憑等も同様に保管するように規 定されていますので留意が必要です。 新日本有限責任監査法人 新日本有限責任監査法人 マネージャー 田甫 吉識 Email: [email protected] シニアマネージャー 今野 健二 Email: [email protected] これまで寄せられた新興国の“聞けそうで聞けない”質問を当コー ナーで回答していきます。 編集後記 • 略歴 インドネシアに15年間駐在。大手商社在勤中に物流関係の 合弁会社を設立し、1990年から1996年までインドネシア現地 法人責任者。日系メーカー現地法人にて2002年から2013年 までの約9年間責任者として従事。 ※本ニュースレターは2013年11月時点の情報を基に作成しております。 早いもので、2013年も残すところわずかになりました。振り返るには少し早い気もしますが、今年もいろんな言葉が 世の中を賑わせました。思いつくままにあげると、「倍返し」、「じぇじぇじぇ」、「今でしょ」など、テレビ番組やCMで使われた フレーズが印象に残っています。 また、「アベノミクス」も2013年の流行語として記憶されるものになるでしょう。 安倍首相が就任してから1年も経たないうちに、ASEAN加盟10カ国全てについての訪問を完了しています。 安倍首相の海外訪問については、年明け以降もアフリカやインドなどが予定されているそうで、今後も新興国に対する 国のトップの関与が続いていくものと思われます。 新興国コンサルティング室 マネージャー 須藤 佳典 *詳細は http://www.shinnihon.or.jp/services/emerging-markets/index.html にてご覧いただけます。 **メールマガジンのご登録はこちら。 http://www.shinnihon.or.jp/shinnihon-library/mail-magazine/index.html EY | Assurance | Tax | Transactions | Advisory EYについて EYは、アシュアランス、税務、トランザクションおよびアドバイザリーなどの分野における世界的なリーダーです。私たちの深い洞察と高品質なサービスは、世界中の資本市場や 経済活動に信頼をもたらします。私たちはさまざまなステークホルダーの期待に応えるチームを率いるリーダーを生み出していきます。そうすることで、構成員、クライアント、そし て地域社会のために、より良い社会の構築に貢献します。 EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバル・ネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した 組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。詳しくは、ey.com をご覧ください。 EY Japanについて EY Japan は、日本におけるEYのメンバーファームである新日本有限責任監査法人、EY税理士法人、 EYトランザクション・アドバイザリー・サービス株式会社、 EYアドバイザ リー株式会社など、12の法人で構成されます。各法人は法的に独立した組織です。詳しくは、eyjapan.jp にて紹介しています。 © 2013 Ernst & Young ShinNihon LLC. All Rights Reserved. 本書又は本書に含まれる資料は、一定の編集を経た要約形式の情報を掲載するものです。したがって、本書又は本書に含まれる資料のご利用は一般的な参考目的の利用に 限られるものとし、特定の目的を前提とした利用、詳細な調査への代用、専門的な判断の材料としてのご利用等はしないでください。本書又は本書に含まれる資料について、新 日本有限責任監査法人を含むEYの他のいかなるグローバル・ネットワークのメンバーも、その内容の正確性、完全性、目的適合性その他いかなる点についてもこれを保証する ものではなく、本書又は本書に含まれる資料に基づいた行動又は行動をしないことにより発生したいかなる損害についても一切の責任を負いません。
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