PDN通信 第9号 - NPO法人PEGドクターズネットワーク

発行者 代表理事 鈴木 裕 (2001年 4月 設立)
事務局長 二宮英温
〒104-0032 東京都中央区八丁堀3丁目22-9 石橋ビル2階
TEL.03-6228-3611 FAX.03-6228-3730
URL http://www.peg.or.jp/ E-Mail [email protected]
定価150円
30
行います。
ネット ワー ク
最 終 的にテキスト ブック、 講 づ く り が 整
師用のCD(いずれも有料)を送 いつつ あ り ま
付します。
す。ま た、 テ
キス ト ブック
講師陣ネットワーク化と
の 作 成 に は、
余名の臨床
テキストブック作成
に精 通した専
PDNセミナーの全国展開に際 門の先 生 方に
して、2つの課題に注力しました。 執 筆をおねが
指 導 力のある講 師 陣の布 陣と い し ま し た。
実践的な教材の作成です。
次ペー ジ以 下
講 師 陣 は 全 国 余 名のP D ( 2 〜 5 頁 )
N 理 事 に ご 協 力 を お 願 い し、 に、 詳細を述
都 道 府 県 をつ な ぐ き め 細 か い べます。
成果が問われる全国1000開催目標
胃ろう患者が 万人を超えた現状(グラフ)で、依然として払
拭されない胃ろうへの偏見、初歩的な胃ろうの知識・技量の欠
如、介護施設の患者受入拒否など、解決すべき課題は少なくあ
りません。胃ろうの普及に伴って、日々顕在化する諸問題に、迅
速適切な対応が求められています。こうしたニーズに応えるた
め、PDNはホームページ、PDN通信などで情報提供を行っ
「近隣の場で、メディカルスタッフが基礎的な知識・技術を習
てきました。
PDN通信第8号(2004年 月 日号)で、PDNは第3
得し、患者・家族中心のバリアフリーな環境を醸成したい」
のプロジェクトとしてセミナー開催を呼びかけました。反響は
寄せられた貴重なご提案を計画に反映すべく、目下、プロジェ
大きく、早速、各方面から多くの提案や協賛が寄せられました。
クトの再構築に取り組みました。セミナーは当初計画よりやや
遅れ気味となりますが、その分、セミナー開催のコンセプトが
明確となり、内容もいっそう充実しました。呼びかけから今日
までの経緯と今後の取り組みについて、改めてご報告させて頂
きます。
セミナー主催者と
PDNの役割分担
380,650
400,000
04年予測
84,300
109,950
交換用
150,660
199,300
270,700
合 計
224,730
283,600
380,650
PDNセミナー、本番に向けて始動
主な記事
います。これによって小規模なセ
ミナーにも柔軟に対応します。
主催者側の主な作業は、 会場
の設 営と 参 加 者の募 集です。そ
のための資 料として、 P D Nか
ら、開催・運営マニュアル、テキ
スト ブックな どの資 料 をお 送 り
します。
ご 要 望 が あ れ ば 講 師のご 紹
介 な どをさせていた だ き、スケ
ジュール調 整 な どもお 手 伝いし
ます。またP D Nセミナー協 賛
企 業のなかから、 協 力 企 業のご
紹 介 もさせていた だ き ま す。す
べてのケースで詳 細 な 打 合せを
03年
74,070
0
セミナー開始予定
2004 年 10 月中旬
150,660
270,700
283,600
300,000
109,950
84,300
74,070
100,000
1
199,300
224,730
数 200,000
量
7
PEGドクターズネットワーク
発行所 NPO法人
20
P D N セ ミ ナ ーの開 催 方 法
については、 各 位 か ら 貴 重 な ご
提 案をいただき検 討を重ねまし
た。その成 案 は ポスターに示 し
た 通 りで す。即 ち、 主 催 者 は、
地 方 自 治 体、 医 師 会、 看 護 協
会、 各 種 医 療 機 関、 協 賛 企 業、
あるいはそれらの連合など、いろ
いろなケースが想定されます。
主催者側担当者からご連絡を
いただき、 P D Nとの打 ち合わ
せにはいります。原則として、で
きる だ け 経 費 を 節 減 するた め、
主催者とPDNの打合せは、 電
話、ファックス、メールなどで行
02年
造設用
(株)アールアンドディ「3.診断機器 10.消化器内視鏡用処置具(2)PEG」より
●開催の詳細は次号以降の
PDN 通信で報告します。
● 電 話、FAX、e-mail で
御連絡下さい。
テキストブック 10 月完成!
地域連携カンファレンス⑨
在宅医療の現場から⑨
栄養教室⑦
小児のPEG
わたしのまちの病院⑨
PDN談話室 Webセミナー⑧
患者家族体験記⑦
PDN広場
医療機関リスト(新規登録)
4面
6面
8面
12面
14面
16面
18面
19面
20面
第9号
PDN通信
(1) 2004 年 10 月 1 日発行(年 4 回発行)
第9号
2004 Oct
60
PEGのマーケットサイズ推移
※ 日付・住所・電話番号・所属・役職などは発行時のものです。 Copyright© 2001-2011 PEG Doctors Network.All Rights Reserved. http://www.peg.or.jp/
した。心よりお礼を申しあげます。
Nは、いま、点から線へ、更に面への
DN広場に集うものは患者・家族
と多 分 野の医 療 従 事 者です。この
本プロジェクトの誕生を契機とし
「胃ろう患 者と介 護 する家 族を
長谷部 正晴 長汐病院 副院長
蟹江 治郎
ふきあげ内科胃腸科クリニック 院長
畠山 勝義
新潟大学 第二外科
木村 明
木村病院 院長
東口 高志
藤田保健衛生大学 外科学 ・ 緩和ケア講座
足立 香代子 せんぽ東京高輪病院 栄養管理室
木村 知行
東京慈恵会医科大学 麻酔科
比企 能樹
北里大学 名誉教授
雨海 照祥
茨城県立こども病院 小児外科
日下部 俊朗 伊達赤十字病院 消化器科
深沢 眞吾
巨摩共立病院 副院長
有本 之嗣
須波病院 理事長
倉 敏郎
町立長沼病院 副院長
福島 亮治
帝京大学 外科
伊藤 重二
公立丹南病院 副院長
小山 茂樹
滋賀医科大学 消化器内科
福島 亘
市立富山市民病院 外科
NTT 東日本伊豆病院 リハビリテーション科
嶋尾 仁
北里大学東病院消化器外科/慶洋会ケイアイ飯田橋クリニック院長
堀内 朗
昭和伊南総合病院 消化器科
井上 善文
日本生命済生会附属日生病院 外科
城本 和明
城本胃腸科内科クリニック 院長
増田 勝紀
聖路加国際病院予防医療センター 内視鏡科
上野 文昭
大船中央病院 消化器肝臓病センター
城谷 典保
東京女子医科大学病院 第 2 外科
松月 弘恵
東京家政学院大学 家政学部
上符 正志
益子病院 内科
末永 仁
日立港病院 院長
松原 康美
北里大学東病院 看護部ETナース
枝 幸基
仙台市立病院 消化器科
鈴木 裕
東京慈恵会医科大学 外科
松本 昌美
奈良県立五條病院 内科
大重 京子
指宿浩然会病院 内科
曽和 融生
大阪掖済会病院 特別顧問
松本 雄三
亀田総合病院 内視鏡検査室
大島 貞男
大島内科クリニック 院長
高橋 美香子 鶴岡協立病院 内科
丸山 道生
東京都保健医療公社大久保病院 外科
大谷 順
JA府中総合病病院 外科
瀧藤 克也
和歌山県立医科大学 第2外科
宮澤 靖
近森病院 栄養科
岡田 晋吾
北美原クリニック 院長
田尻 久雄
東京慈恵会医科大学 内視鏡科
三原 千恵
中国労災病院 脳神経外科
岡野 均
岡野医院 院長
津川 信彦
津軽保健生活協同組合健生五所川原診療所 所長
村上 匡人
村上記念病院 副院長
小川 滋彦
小川医院 院長
永井 祐吾
泉大津市立病院 副院長
吉田 祥吾
久留米大学外科(留学中)
小野 成樹
赤穂市民病院 消化器科
新留 とよ子 富士市訪問看護ステーション 主幹
吉野 すみ
滝宮総合病院 内科
小野 博美
大滝病院内科(留学中)
西口 幸雄
全体像を明確化することができま
多くの激励と協賛に感謝
拡がりが視野に入ってきました。P
小さな点から立ち上がったPD
PDN代表理事
東京慈恵会医科大学外科
鈴木 裕
広場では学ぶ者は、 同時に教える
セミナー活動はNPO法人設立 者であり、心が通い合う相互信頼
PDNセミナーの計画呼びかけ いております。
に、 多くの激励と協賛をいただき
代表世話人の曽和融生先生からお あり、四年目を迎えて、ようやく実
ました。なかでも、 HEQ研究会 当初から掲げているプロジェクトで が親近感を高めています。
D Nを支えていただいた多くの皆 となり、活性化されることを願って
くられた熱いエールは、何よりの勇 現の運びとなりました。これまでP て、 PDN広場が更に身近なもの
気と推進力になりました。
テキストブックの作 成と講 師 陣
ふ り 返 れ ば、 P D N は ホ ー ム 様のお陰と感謝いたしております。 やみません。
ページの開設・運営から出発し、
「胃
ろう手帳」
などの書籍出版、情報紙 のネットワーク化には臨 床に精 通 孤立させてはならない」というPD
「PDN通信」の発行と、拙速なが した専門の諸先生に深くかかわって Nの理念を、PDNセミナーを通
二宮 英温
岡山光生病院 外科
大阪市立総合医療センター 外科
らも、 着実に実績を積み重ねるこ いただきました。寄せられた先 生 じて共有できることは、何ものにも
活動を総称してPDN広場と呼ば 私 ど もはこれを 真 摯に受 けと め、 これからも変わらぬご支援、 ご指
とができました。私どもはこうした 方からの提言はどれも示唆に富み、 かえがたい喜びであります。何卒、
テ
( キ ス ト ブ ッ ク『 推 薦 の 言
葉」より抜粋)
4
このよ うなことから P D N
セミナー開 催のために今 回 発
刊されましたテキストは、地域
でのメディカルスタッフの基礎
知識と技術の習得に役立ち、ひ
いては患 者・ 家 族の安 心でき
る社 会 環 境の醸 成にも貢 献で
きるものと期待されます。
ものと考えられます。
療機関の増加と充実にもつながる
作りの支援と、地域からの登録医
護・在宅医療の活動基盤の組織
どでのPDNセミナー開催は、介
体、医師会、看護・介護協会な
果を向上させるために、地域自治
会との連携を密にし、PDNの成
されました。今 後はH E Q 研 究
裕、事務局長:二宮英温)
が設立
ズネットワーク(代表理事:鈴木
月、 NPO法人PEGドクター
セミナーは、 広場に新らたな息吹 ました。セミナーの船 出は少 々 遅 い申し上げます。
せていただいておりますが、PDN 実行計画に反映させることができ 導をたまわりますよう宜しくお願
をもたらすものと大きな希望を抱 れますが、その分、内容が充実し、
曽和融生
13
2004年8月31日現在 五十音順 敬称略
亀田総合病院 地域医療管理部
稲川 利光
PDNセミナーに期待する
9
PEG ドクターズネットワーク 事務局長
小野沢 滋
梶谷 伸顕
PDN ドクターズネットワーク理事
HEQ研究会代表世話人
社団法人大阪掖済会病院特別顧問
大阪市立大学名誉教授
8
このた びの P D N セ ミ ナ ー の頭文字を連ねたもので、 まさに
全国開催の企画にあたり、その 高齢者の在宅介護に向けて、経皮
教 材 と して 使 用 さ れる 実 践 的 内視鏡的胃瘻造設術(PEG等)の
P E Gのマニュアルと栄 養 管 理 手技を用い、患者のQOL向上を
を含めた介護ケアに関するテキ 目 的としたものであります。本 研
ストブックを発刊されること、誠 究会は年々盛会となり、本年で第
に同慶の至りであります。
回を迎えることになりました。し
平成 年 月、北里大学東病 かしながら、本研究会での熱気がそ
院消化器外科元教授、比企能樹 のまま全国各地に浸透しているかは
先生のご発案によりHEQ研究 定かではなく、温度差も感じられま
会が設立され、この分野では本 す。また P E Gに対 する社 会 的 認
邦初めての全国規模の研究会と 知度も未だ十分とはいえない状況に
あります。このような状 況の中で、
して注目されました。
は
、 P E Gの普 及とP E Gの正しい情
HEQ
Home health care
、 Quality of life 報提供を目的として、 平成 年
Endoscopic therapy
8
2004 年 10 月 1 日発行(年 4 回発行) (2)
PDN通信
第9号
※ 日付・住所・電話番号・所属・役職などは発行時のものです。 Copyright© 2001-2011 PEG Doctors Network.All Rights Reserved. http://www.peg.or.jp/
日下部俊朗
5 合併症
協賛
松本雄三
4 NST による栄養管理
3 カテーテルの種類
小川滋彦
5 栄養評価
宮澤 靖
4 術前・術後の管理
枝 幸基
6 栄養管理
大谷 順
西口幸雄
第6章 日常のケアとトラブル
7 PEG のクリニカルパス
岡田晋吾
1 日常の手入れ
末永 仁
2 口腔ケア
石塚三寿
3 スキントラブル
松原康美
三原千恵
4 カテーテルトラブル
倉 敏郎
2 痴呆と PEG
吉野すみ
5 消化器トラブル
松村雅彦
3 神経疾患と PEG
山口浩和
6 固形化の試み
蟹江治郎
4 炎症性長疾患と PEG
小山茂樹
5 頭頸部癌と PEG
妙中直之
第7章 保険 ・ その他
6 末期癌と PEG
嶋尾 仁
1 PEG に関する保険
小川滋彦
7 小児疾患と PEG
雨海照祥
2 医療過誤への対応
(弁護士)
30
1 脳血管障害と PEG
製品掲載
57
57
社、
35
飯田俊雄・東口高志
2 内視鏡の操作
25
25
演題の
6 交換
第3章 疾患からみた PEG
稲川利光
3 摂食 ・ 嚥下障害のリハビリ
高橋美香子
1 造設手技
小野澤 滋
2 在宅医療・介護
第2章 造設と交換
す。そのため、PDNセミナーの
参加者は、圧倒的に長期の介護に
携わるコメディカルの方々です。
テキストブックのコンテンツは
こうしたセミナー参 加 者が必 要
とする知識と技量を限られた時
間内で効率的に習得できるもので
なければなりません。
また、 説明も、 映像を駆使し の映 像 は、 パワー ポイントで作 講師が講義内容に応じて、 自由
た簡 潔で平 易なものが求められ 成し、 必 要に応じて解 説 文の音 に編 集できるよ うに工 夫 されて
声も出力できるようにしました。 います。
ます。
以上のことを勘案して、つくら
れたのが、 胃 瘻と栄 養の必 要な
知識を細分化した、 ご覧の1章
か ら 7 章 までのテキスト ブック
の内容です。
現場のニーズは、特長が理解できる製品情報
全体構成は 余名の専門講師
が持 ち時 間 約 5 分でリレー口演
テキストブックの第8章は協賛 が必 要です。胃 瘻に関 する基 礎
していく「スライドショウ」のよう
企業の製品情報のページです。協 知識同様、使用される製品につい
な手法を用いました。
講 師 が 用いるテキスト ブック 賛いただいた 社の、 製品を紹 ての比 較 検 討がしやすい実 用 書
介しています。
としてもお使いいただけるテキス
メーカーの製 品 情 報は多 忙な トブックの作成に努めました。
医療従事者が求める大切な情報
尚、改訂増刷時には、必要に応
であり、 患 者の医 療・ 介 護に直 じて最 新 情 報と差し替えてゆく
接 影 響を与えます。学 会やセミ 予定です。
ナー会場でも、 講演や質疑応答
と並んで注目されるのが、一堂に
協賛企業
(五十音順)
並んだ各メーカーの製 品 展 示で
す。そこでは、医療従事者はすべ ・旭化成ファーマ㈱
ての製 品 を 同 じ 目 線で公 平に一 ・味の素ファルマ㈱
覧でき、 製 品 知 識を高めること ・アボットジャパン㈱
・アルケア㈱
ができます。
テキスト ブック1 ~ 7 章が
・エーザイ㈱
のポスターセッションであるなら ・エスエス製薬㈱
ば、この第8章は学会の製品展示 ・大塚製薬㈱
コーナーといえるでしょう。
・キユーピー㈱
製品紹介の公平性、 客観性を ・クリエートメディック㈱
保つため、 同一スペースで同一の ・三協製薬工業㈱
表現形式をとり、 各製品の特長 ・㈱三和化学研究所
をメー カーに明 記 していた だ き ・㈱ジェイ・エム・エス
ました。統一表 現 形 式の作 成に ・住友ベークライト㈱
あたっては、医療・介護の現場で ・センチュリーメディカル㈱
求 められる情 報の優 先 順 位につ ・テルモ㈱
いて、 あらかじめ複 数の医 療 従 ・日研化学㈱
事者から参考意見をうかがいま ・二本シャーウッド㈱
した。製 品 情 報 ペー ジの作 成に ・ニプロ㈱
ご協 賛、 ご協 力いただききまし ・ノバルティスファーマ㈱
たメーカー各 位には、 心よりお ・フィブロ製薬㈱
礼申し上げます。
・ボストン・サイエンティフィック
病 態に応じて個 別の処 置を必
ジャパン㈱
要とする医療・介護の現場では、 ・明治乳業㈱
それぞれに最適のキットや栄養剤 ・㈱メディコスヒラタ
が根拠に基づいて選択されるべき ・㈱メディコン
であり、そのためには正しい情報 ・㈱ヤクルト本社
野村昌哉・井上善文
1 経鼻栄養
「胃ろうと栄養」の基礎知識
1 病診連携
岡野 均
3 PEG の問題点と展望
35
連続ポスターセッション一挙公開!
津川信彦
丸山道生
摂食・嚥下障害をもつ胃瘻患
者は、 胃瘻造設以後の長期栄養
管 理のウエイトが大 きくなりま
す。長期ですから、医療スタッフ
も医師をはじめ看護師、栄養士、
薬剤師、理学療法士、作業療法
士、 言 語 聴 覚 士、 さ らにはヘル
パーなど多くの職種がかかわりま
3 インフォームドコンセント
第5章 長期栄養管理の基本
上野文昭
大石英人
2 適応と禁忌
3 PTEG
有本之嗣
永井祐吾
1 胃瘻(PEG) とは
2 外科的胃瘻・腸瘻
第1章 概論
第9号
PDN通信
(3) 2004 年 10 月 1 日発行(年 4 回発行)
第4章 PEG 以外の栄養投与ルート
※ 日付・住所・電話番号・所属・役職などは発行時のものです。 Copyright© 2001-2011 PEG Doctors Network.All Rights Reserved. http://www.peg.or.jp/
地域連携カンファレンス ❾
長野
の登 録 を 勧 めさせていた だ きま
した。長 野 県 胃ろう 研 究 会の基
本的な姿勢として全国展開する
PDNの活動に足並みをそろえ、
この会がP D Nの長 野 県 支 部の
ような役 割を果たしていきたい
ことを強調しました。これは、全
国レベルの知 識や技 術を長 野 県
2004年7月4日、松本市
Mウイングで第 1 回 研 究 会が開
催され、 胃ろうに携わる医 師や
看護師、栄養士など約130人
が参加しました。開会のあいさつ
べての企 業に門 戸 を 開 放 し、 ど
の企 業も賛 助 会 員として平 等に
この研 究 会 を 後 援 していた だ く
ことができる方 法を採 用しまし
た。具 体 的には 研 究 会への援 助
は研究会での広告料、 製品展示
料という 形でどこの企 業 もご希
望があれば参 加できるようにさ
せていただきました。こうしてサ
ポー トしていた だいた お 金の中
から 少 しでもこの会の存 在 が県
内に広 く認 識されるようにとの
願いを込 めてポスターを作 成 配
布、 集まりやすいように長 野 県
の中心に位 置 する松 本で第 1 回
の研 究 会を開 催 することとしま
した。そして、土曜日に仕事があ
る方の事を考 慮してあえて日 曜
日を開催日に選びました。
で、この会の代表世話人である堀
内は「この会の活動によりPEG
に関 する知 識と技 術の標 準 化を
目 指して、 長 野 県 内のP E Gに
携わる医 療 関 係 者の横の連 携を
強 化 するとともに、 多
くの方にP E Gの恩 恵
を享受してもらいたい」
という 意 気 込みをお 伝
えしました。
この日 の プログ ラ ム
( 表 1)は ま ず一般 演
題 3 題の発 表で始 まり
ましたが、 終 始 活 発な
討 議がなされ、 日 頃か
らP EGに関する問題
への意 識の高 さ が 感 じ
ら れ ま し た。続いて 後
援を頂いた 7 社の企 業
の代 表の方 から 製 品の
説明を各社6分程度で
行っていただきました。
この時 間 とは 別に会の
発表のみならず、
製品展示説明会も大盛況
CONFERENCE
内においてもいち早 く啓 蒙 普 及
させていくた めには有 用 な 方 法
と思われたからです。
次に胃ろうの問題では、器具、
栄養など企業各社の製品に関す
る公平な情報提供が極めて重要
と 思 われましたので、 偏 りのな
い企 業の方の参 加を目 指しまし
た。この研 究 会 が各 社 製 品の長
所、 短 所を遠 慮なく話せる場に
するためには一部の企業の共催で
はなく、 協 力していた だけるす
長野県胃ろう研究会発足
CONFERENCE
全県的な組織として
ネットワーク構築を目指す
独 自の研 究 会を発 足 することと
なりました。以 前より胃ろう 造
設のみな ら ず、 その後の管 理に
も関心があった昭 和 伊 南 総 合 病
院の堀 内 と 明 生 会 高 山 内 科の
前島が中心となり、 PE Gのみ
な ら ず 胃 ろ う 全 般 を 対 象にす
ることとして「長 野 県 胃 ろ う 研
究 会」という 名 称で平 成 年 4
月 1 日に発 足 しました。この会
はとにかく長 野 県 内の胃ろうに
関 する情 報を共 有できるネット
ワークの構 築を目 指 すことを目
的 としました。この会の活 動 を
積 極 的に推 進していくために出
身校、所属機関、業種に左右さ
れない人選を目指し、 消化器内
視 鏡 医 だ けで な く 神 経 内 科 医
を 含 め た P E G 担 当の医 師 や
看護師、保健師、メディカルソー
シャルワー カー、 栄 養 士の方 々
にこの会の世 話 人として8 施 設
から参加していただきました。
CONFERENCE
事の始 ま り は 長 野 県 消 化 器
内 視 鏡 技 師 研 究 会にP E Gの
ケアに関 するト ラブルの問い合
わせが数 多 く寄せられるように
なった か らです。県 内の各 施 設
で精 力 的にP E Gが施 行される
もののその後の管 理、 ケアの情
報 が追いつかず、 発 生 してきた
問 題をどこでどのように対 処し
た らよいかということが話 題に
なってきました。
当初、胃ろうに関する問題も
消化器内視鏡技師研究会を中
心 に 対 処 し よ う とい う 動 き も
ありましたが、 胃ろうに関 連 す
る対 象はとても多 く、 とても片
手 間に対 応できる問 題でないこ
と、内視鏡技師会自体に解決し
なければならない問 題をたくさ
ん 抱 えていることな どか ら、こ
の会の顧 問でもある信 州 大 学 内
視 鏡 診 療 部の赤 松 泰 次 先 生の
勧 めもあって、 胃 ろうに関 する
16
PDNの活動と足並みをそろえ、
企業の公平な情報提供の場を目指す
今 回の研 究 会における重 要な
目的のひとつは、お集まりいただ
いた方にP D Nの存 在、 活 動を
伝えることにありました。そのた
め、 PDNの胃ろう手帳を研究
会に参 加された方 全 員に無 料で
配布し、ホームページへのアクセ
スおよびP E G 施 行 医 療 機 関へ
満席の会場
2004 年 10 月 1 日発行(年 4 回発行) (4)
PDN通信
第9号
はじめから終わりまで会 議 場 周
辺の通 路には所 狭しと各 企 業の
製品が展示され、 全国規模の学
会の展 示 場のブースさながらの
よ うな 光 景で大 盛 況でした。各
社 展 示コーナーの前では大 勢の
参加者が質問をしたり、 試用品
を も らった りと一度に7 社の企
業の方から情 報を得 られるとい
う貴重な機会を参加者の方に提
供できたことは 有 意 義であった
と思われました。今 後 も出 来る
だけ多 くの企 業の方に参 加して
いただき、 公平で自由な情報提
供の場 作りを目 指したいと思い
ます。
そ の 後、 我 が 国 に お け る
P E G の 第一人 者 で あ る 小 川
滋 彦 先 生( 金 沢 市 小 川 医 院 )に
よる 特 別 講 演 が 行 わ れま した。
PEGが在宅医療には極めて有
用な強い味 方であること、 造 設
後のス キ ンケ アや 栄 養について
の問 題 と その対 処 方 法について
わかりやすく学 ぶことができま
した。小 川 先 生のこれまでの経
験に裏 打 ちされた具 体 的かつ実
践 的な内 容でしたのでお 聞 きに
なった方にとっては翌日からすぐ
に役にたつものと思いました。第
1 回の研 究 会の特 別 講 演にふさ
わしいす ばらしい講 演でありま
したので、小川先生にはこの場を
借りて今一度深謝申し上げます。
受付をすませ製品展示にも足を運ぶ
※ 日付・住所・電話番号・所属・役職などは発行時のものです。 Copyright© 2001-2011 PEG Doctors Network.All Rights Reserved. http://www.peg.or.jp/
全国の胃瘻研究会
点から線への連携を
ここ数年、全国各地で胃瘻研 於: 鹿児島医師会病院新館ホール
参加者:200名以上
参加者:330名(特に栄養士、
他県からの参加多数)
基礎知識レクチャー 「PEGの
栄養剤あれこれ」、特別講演「P
E Gにおける栄 養 管 理のコツ」、
その内容を受けて質疑応答。
近年、固形化を含め経腸栄養剤
演者と参加者とのディスカッション ゲル化された経腸栄養剤の開発
月に開催された主 の現状報告、キットの種類と特徴、 えている。メー カーに対 しては、
この夏新たに発足したものも 各施設における造設・交換・ケア やその投 与 法に関 する演 題が増
究会が誕生している。
含め、 〜
◇
山梨胃瘻研究会
関西経皮内視鏡的胃瘻造設術研究会
金沢市小川医院 小川滋彦
が行われ、質問が多数あった。次回 を、との要望が出された。
(城 本
00
北陸PEG・在宅栄養研究会
昭和伊南総合病院 堀内 朗 ほか
な研究会を紹介する。
PEGケアカンファレンス熊本
●第 回 PEGケアカンファレンス
開 催のインフォメーションを、
熊本
PDN通信・ホームページにてご
月 日
: 〜 :
紹介いたします。設立趣意書・プ
ログラムなどをお送りください。
18
長野県胃ろう研究会
於:赤穂ロイヤルホテル
青森静脈・経腸栄養研究会
参加者:記名者121名の他に
中部PEG研究会
無記名者多数
主催:赤穂郡医師会(共催とし
滋賀PEGケアネットワーク
て3医師会、ほか)
一般 演 題は「当 院における嚥 下
日立市胃瘻研究会
西播地区PEGと臨床栄養を考える会
造影の実際」
「PEGと感染症」
、
特別講演は「PEG管理の最新
知識」
。会は延長し、閉会後の懇
談 会でも活 発な質 疑が続いた。
(赤穂市民病院・小野成樹先生より)
●第 回 青森静脈・経腸栄養
研究会
月 日
: 〜 :
於:青森国際ホテル
参加者: 150名(特に、施設
近年、PEGや経腸栄養剤にま
の看護師、栄養士の参加多数)
鹿児島胃瘻研究会
つわる演題が多い。特別講演「胃
化経腸栄養剤の実践」
のほか、P
瘻PEG後期合併症管理と固形
DNセミナー開催の案内が、津
川信彦先生より報告された。
(協
賛メーカーより)
〜 : (延長)
●第1回 鹿児島PEG研究会
月 日
:
北海道胃瘻研究会
8
00
月 日
: 〜 : (延長) 於:フードパル熊本
15
(詳細は 、 面)
●第 回 長野県胃ろう研究会 は来年 月に注入に関するテーマ 胃 腸 科 内 科 クリニック、 城 本 和
月4日
: 〜 :
で開催の予定。
(指宿浩然会病院・ 明先生より)
於:松本市中央公民館
大重京子先生より)
7
●第3回 西播地区PEGと
臨床栄養を考える会
2
5
21
5
00
一般演題 座 長:丸の内病院 中村 直
1 合併症回避のための経皮内視鏡的胃瘻造設術 (Introducer法) の検討
2 感染防止キットを用いた胃瘻造設術後合併症の検討
昼食および展示説明会(7社)
「PEG を味方にして生きるー胃ろう造設後の管理とケア」
特別講演 座 長:飯田市立病院 柳川宗平
閉会の辞 代表世話人:前島信也
CONFERENCE
00
4
00
18
30
開会の辞 代表世話人:堀内 朗
第2回研究会の日程決定、
より大勢の方の参加を目指す
13
19
00
17
3 胃ろうチューブ交換時における携帯型スコープの使用経験
(敬称略)
通じて、 県 内 全 体のP E Gに関
する知識や技術の底上げを目的
に全 県 的 な ネットワー クを 作る
とともに、 P D Nを通じて県 外
の組 織の方 々 と も 横のつながり
を 持 ちたいと 思いま すのでよろ
しくお願い申し上げます。
(文責:長野県胃ろう研究会
代表世話人 堀内 朗)
30
00
00
辰野総合病院 鈴木史恭 ほか
8
10
17
15
15
Mウイング(松本市中央公民館)
7
1
24
15
21
21
更埴中央病院 宮林千春 ほか
70
7
8
8
平成 16 年 7 月 4 日(日)10:30 〜 13:00
第 1 回 研 究 会の終 了 後 に 回
収したアンケートの結 果、 参 加
された 大 勢の方に満 足 していた
だくことが出 来 ましたこと、 松
本 市での開 催、 時 間 設 定はこの
ままでよく、 年 内に第 2 回 目の
研究会を希望される声が多くあ
り ま した。会 場 が 手 狭であった
点を考慮して、 第2回研究会は
月 5 日 日 曜 日に松 本 市 総 合
社会福祉センター4階で「栄養」
を テーマに開 催の予 定です。第
1 回より大 勢の方が参 加してい
ただけるように2 4 0 名 収 容の
大 会 議 室と企 業の製 品 展 示のス
ペースとして中 会 議 室( 名 収
容)
を確保しました。また、第1
回研究会と同様に研究会開催の
詳 細を記したポスターを作 成し
9月上旬には長野県内に配布の
予定です。
長野県胃ろう研究会の活動を
第2回にも奮ってご参加下さい(堀内)
第1回 長野県胃ろう研究会プログラム
12
第9号
PDN通信
(5) 2004 年 10 月 1 日発行(年 4 回発行)
※ 日付・住所・電話番号・所属・役職などは発行時のものです。 Copyright© 2001-2011 PEG Doctors Network.All Rights Reserved. http://www.peg.or.jp/
病院から在宅へ
りしますから、 在 宅 医 療 も「密
室」ではなくなってきている。た
とえば、誰かが「胃ろうをすれば
元気になるんじゃないですか」な
んて言い出した ら、 それを否 定
するにはかなりのエネル ギ ーを
要します。医者にとっては、一昔
前なら自分の裁量だけで方針決
定できたわけですから、こういっ
た「雑音」はわずらわしくないと
言えば嘘になるでしょう。
「開かれた」
医療とは
患者の権利とは
らわれずに、また「集団としての
高齢者」というレッテルを貼らず
に、一個人としての患者さんの権
利に思いをはせたいのです。
なぜ医療者は
リビングウィル?
現代医学の
トレンドは?
かつてペニシリ ンが 発 見 さ れ
た時、 人類は感染症を克服する
チャンスを手にしました。そのく
らいエポックメーキングであった
ことは、どなたでもご存じでしょ
う。それに継ぐのはコレステロー
ルを下 げる薬の発 見で、 私の出
身医局・金沢大学第二内科の馬
渕宏教授の論文が世界的な医学
雑 誌に掲 載された時、 後にノー
ベル賞を受賞するゴールドシュタ
イン博士に「動脈硬化に対するペ
ニシリン」と評されました。
ペニシリンに代 表 される 抗 生
物質など「特効薬」の発見は医学
の進歩そのものとも言えますが、
皮 肉なことに日 本の医 療におけ
る「薬漬け」の構造的な体質と切
り離せないことはた びた び指 摘
されていま す。高 価 な 抗 生 物 質
は湯 水のように使 うくせに、 患
者さんの全 身 状 態 改 善の大 元で
ある栄 養 療 法には無 関 心であっ
たため、 薬の効かない耐 性 菌 出
現の機会をつくってしまったので
はないか。栄養状態さえ良くして
おけば、 自ずと感染症に対する
抵 抗 力が得 られたはずなのに…
このような反省から、NST(栄
養 サ ポー ト チーム)という 考 え
方 が 支 持 されるよ うになったの
だと思います。
在宅医療の
たいへん逆説的な言い方になっ
てしまいましたが、 それでも 医
学の進 歩 を 代 表 する 言 葉 が「ペ
ニシリン」だとすれば、やはり現
「ペニシリン」
療関係の皆さんには大いに周囲の
そうすると「自己決定」を重視
「雑音」に耳を澄まして、患者さ
んの権利を守ってあげてほしいの しよ うという 動 きが出てくるの
は当然です。昨年、厚生労働省の
です。
「二 ○ ○ 二 年 度 終 末 期 医 療に関
する調 査 結 果」が発 表されまし
た。この中で、 生前に文書によっ
て延 命 治 療 等に対 する自 らの意
いま「患者さんの権利」と言い 思 表 示をする〝リビングウィル〟
ました。ここで「患者さんご家族 について賛 成と 回 答 した 国 民 が
の権利」ではないことに注意して 半 数を超 えることが明 らかにさ
ほしいのです。よく「胃ろうをし れたそうです。
た ら家 族が感 謝した」という 言
た だ、 私 はヘソ曲 がりです か
い方をします。逆に「家族のいな ら、次の結果には大変イヂワルな
い人だとわかった。感謝する人が 考えがふつふつと湧いてきました。
いないのにしなければ良かった」〝リビングウィル〟賛成は、一般国
と言うこともある。これっておか 民五十九%に対して医師・看護
しくあり ませんか。もしそ う な 職員ともに七十五%と多かったと
ら、 日 本という国は天 涯 孤 独の いうのですが、これって高度障害
人は生 きていけない国 だと言 う の現 実の厳しさを医 療 関 係 者は
ことになりますね。
よく知っているので、延命治療中
よく「次の世代のことを考えな 止に心が動きやすいからでしょう
ければならない」と言います。次 か?しかし、たくさんの人の死を
の世 代のために自 己 犠 牲 もやむ 看取ったからと言って、それは決
を 得 ないという 言い方 を する人 して当事者としての体験ではない
もいます。たしかに、この国は世 のです。医療関係者ゆえの陥りや
界でまれにみる急 速な高 齢 化 社 すい「カン違い」だというのは厳し
会を迎えていることは、ご周知の 過ぎる意見でしょうか。
通 りです。しかも 元 気のない虚
せめて、「まず、 生きることの
弱な高齢者がどんどん増え続け 保障を─尊厳死はあくまで個人
ていけば、 医 療 費を圧 迫 するの の選 択で」。私が役 員をしている
ではないかという 漠 然とした 不 石川県保険医協会の機関紙・石
安感から、 高齢者に対する医療 川 保 険 医 新 聞の社 説ともいうべ
を差し控えようという風 潮 すら き「持論」に掲載された記事をお
あります。
目にかけます(図1)
。五年以上
しかし、こういう 時 代 だから 前に発 表 された ものですが、 せ
こそ、家族に大事にされていると ち 辛い今の世にこそ 生 きるメッ
かいないとか(社会的立場)にと セージだと信じています。
小川医院 (金沢市)院長 小川滋彦
在宅医療 の現場から
「密室医療」
?
在宅医療は
(第 9 回)
過 去には在 宅 医 療とはいわば
「密室医療」でした。主治医と家
族の間で「年だからもうイイね」
という暗黙の了解がなされれば、
治 療 可 能 な 状 態であっても「末
期 だとみなして」治 療を打 ち切
ることがありえた
(これを「みなし
末 期」と言 うそうです)
。ところ
が、介護保険が始まってからはヘ
ルパーさんやケアマネージャーさ
ん、 訪問看護師さん等々、いろ
いろな職 種の方 々がお宅に出 入
しかし、こ ういった 複 数の医
療者が関わるが故の「雑音」は、
「 開 か れ た 」医 療 のた めには 必
要 不 可 欠です。たとえば、 われ
らが P D N ホ ームペー ジの「相
談 室」で語 られる内 容など、 も
し不 勉 強なお医 者さんがいたと
したら晴天の霹靂、
「なんで患者
が そ ん なこと まで 知っている ん
だ!」とお怒りになるほど、まさ
しく「雑音」の最たるものと言え
るでしょう。
「開かれた」医療とは、あとか
ら第 三 者が見ても十 分 納 得ので
きる、客観性のある医療です。と
くに胃ろうに関わる患 者さんた
ち(将来するかもしれない方たち
も含みます)
は、しばしば自分ひ
とりでは 命 をつな げない方 々で
すので、 医 療の中 止はた だ ちに
死につながります。ですから、医
!?
2004 年 10 月 1 日発行(年 4 回発行) (6)
PDN通信
第9号
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開かれた医療を 湘南セミナーで
真の病診連携を
NSTで
から?それとも気 持 ちが〝 うつ〟 る」という発想で横のつながりを
になってしまったから?高齢で通 持 と う と する チー ム 医 療です。
院困難になった〝ごく普通〟の患 しかし、 考えてもみてください。
者さんたちの間で、いつのまにか 昔 と 違って、一般 病 院の入 院 期
栄養障害が進行している。
「体が 間は二 十日 未 満、 長くても三ヶ
弱っていく」その実態は栄養障害 月です。つまり 病 院 は 患 者 さん
なのです。痩 せて、 骨 が 突 出 し にとって通過点に過ぎない。だっ
て、 むせやすい。ちょっとしたこ た ら、 病 院 で ど ん な に 立 派 な
とで、 床 ずれができたり肺 炎に N S T をやったとしても、 退 院
なってしまう。何とかそれを事前 後に継 続されなければ何の意 味
も あり ません。在 宅でも 施 設で
に食い止めたい。
歯が悪ければ、 歯科医が往診 も、地域のどこに居ても、患者さ
して入 れ歯 を 治 す。飲み込みが んには「自らの栄養が守られる」
悪ければ、 言語聴覚士が摂食嚥 権利があるのです。
私の思い描く「在宅NST」と
下のリハビリ テ ーションを 行 な
い、 栄 養 士が協 力して食べやす は、 地 域における多 職 種のチー
い食 事を工 夫 する。訪 問 看 護 も ム 医 療 で あ る と 共 に、 病 院 の
ヘルパーも誰もが皆んなそういっ NSTとの「共通言語」を持つこ
た視点を持っている。そして、い とによって、「病院医療と在宅医
ざとなった ら 私には 胃 ろ うとい 療のバリアフリー化」を図るもの
です。これこそ患者さんのための
う大きな「味方」がある。
真の病 診 連 携ではないかと考 え
ます。まさに地 域でN S T を立
ち上 げる機 運を肌で感じている
のです。
そういうわけで、居ても立って
もいられなくなって、地元金沢で
「事を起こそ う」としているので
すが、 その顛 末はいずれご報 告
できることと思います。
人はなぜ痩せこけて、 寝たき
りになって、 床ずれができるので
NSTはもともと病院で発生
しょう?入 れ歯 をな くして、 噛
めな くなった か ら?何 かのは ず した 考 え方です。病 院 内の多 職
みで転 んで起 き られな くなった 種が「入 院 患 者さんの栄 養を守
在宅NST!
いよいよ
えましょう。
「もう一度 自 分の口で食べたい!
もちろん、 何も胃ろう栄養だ ─胃瘻があっても食べられる⁉」
け が 栄 養 療 法では あ り ません。 に私 もパネリストとして参 加 し
しかし、 胃ろう栄 養はある意 味 て 参 り ま し た。私 自 身 たいへん
「強制栄養」であるが故に、栄養 勉強になったのですが、なかでも
療法の効果を「極端な」形で見せ 厚木市のお二人─看護師の小山
てくれます。床ずれが良くなる、 珠美さんと管理栄養士の江頭文
呼吸状態が良くなる、 活気が出 江さんのお 話には度 肝を抜かれ
てくる等々、その効果といったら ました。カルチャーショックでし
枚 挙にいと まがあり ません。少 た。とにかくその発想が「患者さ
な くと も 私 は 胃 ろ う を 通 して、 ん中心」なのです。「患者さんに必
在宅医療における栄養療法の素 要だから」胃ろうもするし、口か
晴 らしさを 確 信 するに至ったわ ら 食べら れるよ うに精一杯の工
けです。
夫をする。ああ、医療の原点はこ
こにある!と 素 直に感 動 しまし
た。胃ろうにこだわっている自分
が何 だか小 さく思 えました( も
ちろん 胃 ろうは使いこなしてナ
ンボですが)
。
学んだこと
さて、 そうすると次なる活 動
に 目 覚 め ま す。
「 胃 ろ う 栄 養の
効 果 はわかった が、 そ れほ どの
栄 養 障 害になる前に何か手 立て
はなかったのか」と素朴に思いま
した。
代医学の「ペニシリン」は栄養療
ちょ う ど 先 の 号 に 報 道 記 事
法です。栄 養 療 法の価 値に少 し がありましたように、 去る四 月
でも早 く気がついた 医 療 機 関が 十一日 藤 沢 市 民 会 館で開 催され
患 者さんの信 頼を勝 ち得るのだ た第五回湘南在宅ケアセミナー
と 思いま す。そして、 栄 養 療 法
はとりわけ「在宅医療におけるペ
ニシリン」であると提唱したいと
思いま す。な ぜな ら、 私 ども 開
業医にとって、これまで在宅医療
には「いかに死を受容してもらう
か」という選択しかなかったよう
に思いま す。も ちろん、 悪 性 疾
患の最 期の時を在 宅で過 ごした
いというニーズはありますから、
終末期医療は在宅医療のもうひ
とつの柱といえます。しかし、抗
生 物 質のない時 代に肺 炎に罹っ
たら、じっと死を待つしかなかっ
たように、 栄 養 療 法の考え方が
なかった 時 代には、 在 宅 医 療は
常に死 と 隣 り 合 わせだったとい
図1. 石川保険医新聞1998年12月15日号より
第9号
PDN通信
(7) 2004 年 10 月 1 日発行(年 4 回発行)
※ 日付・住所・電話番号・所属・役職などは発行時のものです。 Copyright© 2001-2011 PEG Doctors Network.All Rights Reserved. http://www.peg.or.jp/
その経腸栄養剤、
どうして選んだの?
設で対象者を分類する
われます。経 腸 栄 養 法
ことが必 要であると 思
が適 応となる対 象 者の
目的を「維持」に主眼を
眼をおくのかに大別し、
おくのか、「治療」に主
積極的な栄養療法を必
要とする患 者さんの病
態を分 類します。病 態
別栄養剤の使用は、 標
養剤の投与目的やその栄養組成を 剤が存在していて、どのような用途 な栄 養 剤を用いても栄
転院や転所前に投与されていた栄 択するには、 現在どのような栄養 準的な栄養剤や高濃度
名古屋経済大学臨床栄養センター 早川 麻理子
久留米大学医学部小児外科 田中 芳明 栄養剤選択の現状
把握することは、容易ではありませ で投与できるのか、また価格や保険 養管理が不可能である
施設における経腸栄養剤の採用
個々の患者さんに対
います。
適した栄養剤を選ぶことは至難の ば飲みやすいから?・ ・ ・と言っ し、次にそれぞれの施設の必要に応 は、はじめに必要なカロ
の中から、 個々の患者さんに最も ら?保 険が利 くから?経口であれ では、まず標準的な栄養剤を決定 する栄 養 剤 選 択のコツ
でしょうか。この多くの経腸栄養剤 つもこれだから?病 態がそれだか
100種を超えているのをご存知 の選択基準は、値段が安いから?い ることが大切であると思います。
剤の数は、 食 品、 医 薬 品 を 含 め、 と思います。しかしながら、栄養剤 よび妥当な価格かどうかを評価す ることを原 則と 考 えて
在日本で市販されている経腸栄養 クターから尋ねられることがある に適した栄養素量、組成、容量お 期 待できる場 合に用い
態 別 経 腸 栄 養 剤 も 上 市 さ れ、 現 栄養剤に代わるものは何?」と、ド 把握した上で、それぞれの患者さん で明 らかなメリット が
最近では、治療を目的とした病 ん。
「うちの病院で、 ○×△という の適・不適など、 栄養剤の特長を と同時に、少ないリスク
─根拠はなんですか?
その1
表1. 栄養管理のポイント
。そのプ
者情報が一元化されていないため、 に合った栄養剤を効率よく取捨選 別経腸栄養剤の採用時には、各施 炭水化物と脂質の投与エネルギー のプランを立てます(表 )
をはじめ、経腸栄養法に対する患 な状況で、患者さんや施設のニーズ か決めることが肝要であり、 病態 決 定します。そして病 態に応じた ばステップアップについて栄養処方
比か 比、微量栄養素、容量、それらの投
技であり、 何を基準に選んだら良 た具合にさまざまで、 投与目的が じて、高濃度経腸栄養剤、病態別 リーを設定し、つぎに Cal/N
いのか迷うところです。また栄養剤 不 明な場 合もあります。このよう 経腸栄養剤をどこまで用意するの らタンパク質量を求め、 水分量を 与速度と分割回数、開始時であれ
●投与カロリー(Harris-Benedict Equation)
1) 基礎消費エネルギー量 BEE(kcal/day) 男性:66.5+13.8 ×体重 kg+5 ×身長 cm − 6.8 ×年齢
女性:655.1+9.6 ×体重 kg+1.9 ×身長 cm − 4.7 ×年齢 2) 必要エネルギー量 TEE(kcal/day)= BEE ×(1 + AF + SF)
活動係数
AF: Activity factor 寝たきり 0 〜 0.1
ストレス係数 SF: Stress factor 37℃を1℃超える毎に 0.13*
●投与タンパク質量(g)= TEE ÷(Cal/N 比)× 6.25
●糖質 / 脂質(エネルギー)の割合
エネルギー(%)={TEE(kcal/day)− Protein(g)× 4}÷ TEE ×
100
糖質(g)= TEE(kcal/day)×糖質(%)÷ 4
1
2004 年 10 月 1 日発行(年 4 回発行) (8)
PDN通信
第9号
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第9号
ランに合った製品を選択し、必要で 化物の含有量が高く、 右へ行くほ
あれば 種類以上を組み合わせた どタンパク質の含 有 量が高 くなっ
す。
― のライフロン6を選択します。
いる患者さんであれば、ブロックB
であるが病態がある程度安定して
タンパク血症を併存し、 軟便状態
り、 投与のタイミングを考慮しま ています。たとえば、 糖 尿 病で低
悩んだ時の一覧表
事 摂 取 基 準 値( nutrient-basedります。したがって、特に長期的に
dietary reference intakes :投与する栄養剤の選択は、少なく
)最低基準( 歳以上の女性) とも 1000
〜 1500kcal
で、ビタ
DRIs
を充足でき
と を 比 較 した 結 果、 1 0 0 % 充 ミン、ミネラルが DRIs
足できるものは1つも存 在しませ るように配 慮 することが望ましい
んでした。した がって、 標 準 的 な と考えます。
高濃度栄養剤
経 腸 栄 養 剤 を 投 与 する 場 合 に 微
高濃度経腸栄養剤は,炭水化
%以下で微量栄養素
2
55
(表
と し て 作 成 し 用を病態に合わせて投与します。 イフロン6とヨウ素のみ充 足でき の組成が良く、 経口併用の 1.5
─
の decision tree
(経腸栄養剤一覧)
」
斜 体で示したのが医 薬 品なの ないリカバリーS O Yを用いるな
と 2.0kcal/mL
を
た「 EN-Map
1.6kcal/mL
)を ご 紹 介 し ま す。エネ ル で、 栄 養 組 成 が 適 当であ れ ば、 ど、 種以上の標準的な経腸栄養 種ずつ揃えておくことは,カロリー
栄 養 剤 を 臨 床 的に選 択 するた め な場合は、病態別栄養剤の糖尿病 えばビオチンのみ充 足できないラ 物含量が
ここで、 日 本の市 場にある経 腸 それでも血 糖コントロールが困 難 量栄養素まで考慮する際には,例
70
栄 養 剤 の分 類 と 病 態 別 栄 養 剤 を
枚のシートにまとめました。
と考えられます。最 近ではビタミ
病態別栄養剤
3
ことを理 解し、 オーダーメイド
でオリジナルの処 方 設 計を行 う
ことが、 本 当に意 味のある病 態
別の栄養療法であると言えます。
ま た 病 態 別 栄 養 剤 投 与 の適 応
は、 病 名ではなく、 病 態を把 握
した上で選択するため、 栄養障
害の因 子を同 定 するために、 十
分 なアセスメントを 行 うことが
前提となります。
経口用栄養剤
経口用栄養剤の主な投与目的
は、 経口摂 取のみでは目 標 栄 養
量が充 足できない時に、 少 量で
サプリメント用栄養剤
比 ( % E なってしま うことは 当 然 と 言 え
脱水症予防や軽度な脱水症改善
Non Protein Cal/N
タンパク質 %)と高タンパクでや ます。そのアンバランスに対し、 を目的に、OS─ 、ポカリスエッ
(
標準型・高濃度・病態別) ト─S A が 発 売 にな り ま し た が、 め、 バランスの悪い栄 養 組 成に
それぞれの特長を知る
1
で 日の
病態別栄養剤(表 )は、目的 カロリーやタンパク質を補いたい
ン・ミネラルが 800kcal
所 要 量をほぼ充 足できるサンエッ に応じた 栄 養 組 成にしてあるた という場合が多いと思います。
3
や カリウムは低 めです。このよ う 各栄養素の過不足の不満を言う
経腸(経口)補液栄養剤として用い
ト、ポカリスエットステビアなどを
の栄 養 剤もあるので、 どのような 処 方を行 うことが大 切であると
ビタミン、 微 量 元 素の補 強に
てもカリウムやナトリウムが低め 本となる栄養剤を選択し、 追加 ることが可能であると考えます。
にビタミン、 ミネラルが充 足でき のではなく、もっとも効果的な基
89
はじめに、 目標投与容量(水分
量)と目標投与カロリーの比から、
濃度を決定します。一方、タンパク
質、炭水化物、脂質の制限が必要
な病態に対し、標準的および高濃
度の栄養組成で対応できるのかを
22
栄養剤を使用する場合でも、長期 考えます。足すことは可能でも、 は、ブイクレスα、テゾンなどが
検討します。縦軸に炭水化物の含
1
な 半 消 化 態 栄 養 剤 お よ び 高 濃 度 保険適用になります。
ギー基質栄養素に基づいた標準的 外来処方在宅で使用する場合に 剤を組み合わせた方が安全である アップや水分制限時に有益です。
2
投与では、十分な注意が必要とな 取 り 除 くことはできないという あります。
84
有量、 横軸にタンパク質の含有量 を
標準的栄養剤
標 準 的 な 栄 養 剤 は、 長 期 投
与 することが多いと思われます
が、 2004年 月までに発売
された標準的な経腸栄養剤 種
投 与 した 場 合のビ
1500kcal
1
2
2
を示してあり、 下へ行くほど炭 水 タミン, ミネラルの含 有 量と食
4
4
5
4
1
1
※ 日付・住所・電話番号・所属・役職などは発行時のものです。 Copyright© 2001-2011 PEG Doctors Network.All Rights Reserved. http://www.peg.or.jp/
(11) 2004 年 10 月 1 日発行(年 4 回発行)
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第9号
◆次号では病態別栄養剤について、代表的な疾患をとりあげて解説していただきます。ご期待ください。(PDN編集部)
※ 日付・住所・電話番号・所属・役職などは発行時のものです。 Copyright© 2001-2011 PEG Doctors Network.All Rights Reserved. http://www.peg.or.jp/
おなかの口から
が、チューブを胃に入れたつもりが
ところが、こういった疾患の子供 気管の中に入っており、肺に栄養
たちは、ゆっくり時間をかけてもう 剤を注入してしまい、呼吸が出来
PEGの施行方法はほぼ成人
と 同 様です。た だ、 小 児は体 が
小さく、 おなかの壁 も薄 くて柔
らかいので、いくつか注意すべき
点があります。
① 胃と腹 壁がはずれないように
しっかりと固定する
② カテーテルは体 格に合わせて
成人よりも小さいものを選ぶ
③のどを痛 めないように、 お 腹
から直 接 カテーテルを入れるイ
ントロデューサ ー 法 を 選 択 する
こともある。
(口から入れる方 法
もある)
ただし、側彎が強いお子様や、
お腹に常にガスがたまっている場
合、 そして、 後 述 するように胃
内 容 物の食 道への逆 流 が強い場
合は、 慎 重に行わなければなり
ません。その場合は、十分に検査
をした後、 他の方 法を行 うこと
になります。
PEGの合併症は成人と同じ
です。ただ、 中 枢 神 経 障 害を有
する子 供たちは、 腸 管の動きが
悪 く、 ガスな どで拡 張 している
場 合が多く、 胃の上に大 腸など
が重なっている場 合も多いです。
その際、誤って腸に穴を開けてし
まうこともあります。我 々 小 児
外科医は、 そのような場合も十
分に想定し、PEGを行います。
また、 他の施 設でP E Gは無
理だ、といわれた方も、小児外科
など小 児 専 門の医 師に相 談して
ください。PEGの他にも、体に
優しい方 法で胃 瘻を作る方 法は
あります。P E Gを行 うのが危
険な場合は決して無理をせず、開
腹手術や腹腔鏡手術などにより
造設には細心の
注意を払って
るかに簡単で、何よりも子供たち と思います。
なく入れ換えることが出来ます。
にほとんどストレスを与えること
痛みも全くと言っていいほどあり
ません。もちろん、 胃瘻があって
も、きちんとふたをしていれば漏
れたりしません。そして、 病状が
許す限りは口から食事をとること
以上のように、PEGは介護者
らすためにも、有効な栄養投与手
全身麻酔が必要なわけ
経腸栄養では、鼻からチューブ 段だと思います。
栄養)
を考える必要があります。
えることは出来ます。短期間です
が喘鳴(ゴロゴロいうこと)
、誤嚥
時間・手間をかけるということで、 で貼り付けられるのもうっとうし
とても大切なことです。ゆっくりと また、顔にチューブをずっとテープ
口から食事をとる、ということは を引き起こす可能性もあります。
が多いと思います。
そこから栄養剤を与えている場合 唾液などの分泌物が増えて、それ
か、 鼻から細いチューブを入れて れているため、その刺激で鼻汁や
かけて少しずつ食事を与えている ずっと鼻から咽頭にチューブを入
は、お母様方が頑張って、時間を ります。しかし、長期間になると、
このようなこどもたちに対して むなら、有効な栄養投与経路にな
になることもあります。
などの消化管の重症な病気が対象 みます。この方法でも、栄養を与
閉塞症、難治性下痢、短腸症候群 手術などの処置を必要とせずにす
患などです。まれに、慢性偽性腸 います。簡単で、どこでもできて、
枢神経障害、先天性の神経・筋疾 栄養剤を注入する場合が多いと思
や 精 神 発 育 遅 延 な どの重 症の中 を胃に入れて、 そのチューブから
小児に特有の疾患は、脳性麻痺
になります。
要とする、という子供たちが対象 チューブによる栄養剤の投与(経腸 はなく、子供たちのストレスを減
管栄養(チューブからの栄養)を必 来ないときは、子供たちのためにも の世話が楽になる、というだけで
じく、経口摂取が困難、長期の経 けで十分に栄養を与えることが出
小児のPEGは、成人とほぼ同 ことです。しかし、口から食べるだ が出来ます。
大阪大学医学部附属病院 小児外科 曺 英樹
鏡を使って胃瘻を造ることを指し
内視鏡的胃瘻造設術といい、内視 のにも重要な役割を果たします。
行う方法であり、PEGとは経皮 り生理的な状態を維持したりする すれば滅多には起こらないのです
直接チューブなどを入れて栄養を が、病気の進行をやわらげたり、よ つらいものです。また、 確認さえ
が出てきますが、胃瘻とは、胃に べる・飲み込む」という刺激や動作 を入れ換えるときの鼻への刺激は
「胃瘻」と「PEG」の二つの言葉 味わう、ということだけでなく、
「食 いものだと思いますし、 チューブ
なぜ胃瘻を造るのか
今では成 人を中心に日 本でも
広く行われているPEGですが、
もともとは、 大 人に比べて小 さ
く弱い小 児に対して、 出 来る限
り簡 単に、 体に負 担をかけない
ようなやさしい方 法で胃 瘻を造
るために、小児外科医によって考
案された手技でした。
その後は、小児に適切な器具が
少ない、小児専門の内視鏡医が少
ない、鎮静・麻酔の必要性など、
小児特有の問題により、小児に対
するPEGは成人ほど十分に普
及しているとはいえません。
ここでは、小児に対する胃瘻そ
してPEGについて、解説します。
はじめに
子供たちに十分な栄養を!
小児の PEG
ています。
まく飲み込めなかったり、むせたり なくなって危険な状況に陥る、と
そこで、胃瘻です。胃瘻は鼻や
することがあるのも事実です。その いう事故もあるようです。
結果、栄養障害を来たし、風邪な
どの感染に対する体の抵抗力が低 咽頭を通らず、おなかから胃に直
もともとPEGは全身麻酔も
な しで 簡 単 に 胃 瘻 造 設できる、
というのが利 点でした。しかし、
小 児では、 検 査に対 する本 人の
理 解 や 協 力 は 期 待でき ません。
そのため麻酔や眠り薬なしでは、
胃内視鏡を行うことさえ危険な
場 合 も 多いです。不 意の体 動 な
どが起こるとむしろ危 険 だと思
います。
特に、 重度の中枢神経障害を
有するお子様では、側彎が強かっ
たり、 筋 肉の緊 張も強い場 合が
多く、 内 視 鏡を入れるという刺
激 だけで口腔 内の分 泌 物が増 加
したり、筋緊張や痙攣がおこり、
呼 吸 困 難になってしま うこと も
あります。
このため、小さな、あるいは重
度の中枢神経障害がある子供た
ちでは、 やはり、 全 身 麻 酔 下に
行 う 方が安 全 だと思います。何
よりも、 麻 酔をかけて行 うとい
うことは、本人の痛み、負担など
も遙かに少ないと思います。
もちろん、 麻 酔による危 険も
全 く ゼロでは あ り ません。しか
し、 麻酔の危険性は、 無理矢理
チューブの交換も容易です。鼻 に麻 酔なしでP E Gを行 うこと 胃瘻を造設します。安全に、確実
食べることを続けるのは大 切な からチューブを入れ換えるよりは による 危 険 より も ずっと 小 さい に行うことが優先されます。
な状態に陥ることもあります。
もあります。これは重症化し、危険 えません。
炎などの呼吸器感染を来たすこと ます。服を着れば外からは全く見
に誤って入ること
(誤嚥)
により、肺 にも何も貼らないのですっきりし
すなわち口の中のものが気 管や肺 鼻や咽頭に刺激がありません。顔
下したりします。そして、むせる、 接チューブを入れます。ですから、
成長のためには十分な栄養が必要
2004 年 10 月 1 日発行(年 4 回発行) (12)
PDN通信
第9号
※ 日付・住所・電話番号・所属・役職などは発行時のものです。 Copyright© 2001-2011 PEG Doctors Network.All Rights Reserved. http://www.peg.or.jp/
た上で内視鏡下やその他の方法で
胃
食道逆流症
胃瘻を造り、場合により逆流防止
術を同時に行います。これは、胃を
通常、われわれの食道、胃は、 食道に巻き付けることによって、逆
噴 門の機 能により、 食 道から胃 流を防止する手術です。
近 年では、 腹 腔 鏡という、 体
への方 向 しか 食べた ものは 流 れ
ないようになっています。この機 に優しい手 術が普 及してきてお
能が破 綻し、 胃から食 道にもの ります。腹 腔 鏡 下の噴 門 形 成 術
が逆流することを胃食道逆流症 とP E Gを同 時に行 うことによ
( Gastroesophageal refluxり、 安全に胃内に栄養剤を注入
)
といいます。
できるようになります。
disease : GERD
G E R Dになると、 嘔 吐がお
こります。嘔吐がおきなくても、 造設後の管理
食道に胃液が逆流するだけで逆
胃 瘻 を 作った 後の状 態 が気に
流性食道炎という病気を引き起
こし、 胸やけ、 痛み、 重 症にな なる お 母 様 も 多いと 思いま す。
ると吐 血や食 道の狭 窄を来しま 「お腹に穴を開ける」これだけで
す。また、 逆 流により唾 液など 大 変なことに思 うかもしれませ
が増えたり、いったん咽頭まであ ん。しかし、 胃 瘻の管 理はそ う
がった 胃 液 や 食べた ものが 肺に 大変なものではありません。
胃瘻が完成すれば、 消毒など
入ると誤嚥性肺炎といって、重症
も 不 要です。お 風 呂 もそのまま
の肺炎を来します。
特に、 脳 性 麻 痺などの重 度の 入ってもらってかまいません。弱
中 枢 神 経 障 害 を 伴 う 子 供 た ち 酸 性のせっけ ん な どでき れいに
は、 GERDを伴う場合が多い 洗ってあげてください。
心 配なのは、 カテーテルが抜
と さ れていま す。このよ う な 場
合、胃にものを入れたりすると、 けてしまった場合です。いったん
ゼコゼコと呼 吸 症 状を起こした 抜けてしまうと、 すぐに瘻 孔が
り、 肺 炎 を 繰 り 返 し た り し ま ふさがってしまうのです。そこに
す。時には重 症 化 することもあ 無 理にま た 入 れよ う と すると、
ります。そのようなG E R Dを 胃と腹 壁の間に誤 挿 入されて腹
伴っている子 供 た ちにP E G を 膜 炎になってしま うこと も あり
行うと、 GERDが増悪すると ま す。万 が一抜 けてしまった ら、
いう 報 告があります。P E Gと す ぐに入れてもらうこと、 た だ
GERDの因果関係は必ずしも し、入りにくい時は無理せずに、
明らかではありませんが、一般に 病院に連絡し、 医師の指示を受
は、 中枢神経の障害を有する子 けてもらってください。
また、小児の繊細な皮膚では、
供たちにPEGを行う際は、 必
ずG E R Dの検 査をするように 胃の内 容が漏れて、 胃 瘻の周り
があれたり(瘻孔周囲炎)
、肉芽
しています。
GERDを伴わなくても、 胃 という ものができて出 血 するこ
瘻を造ることによって、GERD とがあります。たいていは、細や
が 起こること も あり ま す。十 分 かに手 入れをしたり、 胃 瘻から
に主 治 医の先 生と相 談されるこ 栄養が十分行きわたると共に治
る場 合 がほとん どです。肉 芽 も
とをお勧めします。
我々は十分に検査をし、ご両親 出 血 しなければそのままにして
に十分説明し、 納得していただい おいてかまわない場 合 が 多いよ
うです。
ごくまれに、 非 常に頑 固な炎
症や肉芽ができて、瘻孔が広がっ
て胃の中のものが 漏 れてしま う
ことがあります。その場合はいっ
たん胃 瘻をふさぐことが必 要に
なることもあります。
一人一人にあった
カテーテルの選択を
カテーテルには胃の中に入る部
分の形状で分けると、バンパー型
とバルン型があります。市販され
ているバンパー型では、交換に内
視鏡を必要とするものや、サイズ
が大きくて小 児の繊 細なお腹に
は適さないものが多いようです。
バルン型 は 交 換にスト レスが
なく、 子 供にも適した小さなサ
イズがあり、使いやすいと思いま
す(図1)
。ただし、 抜けやすい
という欠点があります。
乳児などの小さなお子様やカ
テーテルを 入 れ換 えるときのス
トレスを 避 けたい場 合には細い
栄 養 チューブを直 接 胃 瘻から挿
入し、 絆創膏で固定する方法を
お 勧 めしていま す( 図 2)
。この
方 法 も非 常にシンプルで、 安 全
で、 お母 様 方にも簡 単に入れ換
えること ができ ま す。本 人の負
担 もバルン型 同 様、 少ないと思
いま す。また、 通 常の胃 瘻 専 用
カテーテルを使っているご家庭に
さんのお 世 話の中 心 となってが
ん ばってお ら れるよ うに思いま
す。介 護 には 労 力 を 惜 し ま ず、
たとえ、時間がかかっても、いろ
いろな工夫をして、口からものを
食べさせておられるようです。そ
の情 熱と愛 情には頭が下がる思
いです。
ただ、 症 状の進 行とともに十
分 な 食 事 摂 取 ができ な くな り、
栄 養 障 害 を 来 してしまっている
場 合 もありま す。そして、 自 分
が 管 理 し や す く なる た め だ け
に、 子 供の体に処 置 を 加 えるこ
とに強い抵 抗を感じてお られる
も、 万 が一抜 けたときの緊 急 対 お 母 様 が 多いのも 事 実です。そ
策としてこの方 法が自 宅で出 来 れは当 たり 前 だと 思いま す。ま
るように、ご指導させて頂いてお た、口から食事を摂る、というこ
とを 大 切にしてお られ。胃 瘻 を
ります。
造ることで経口摂 取できなくな
胃瘻が不要になったら
ることを 心 配 している 方 も 多い
ようです。
では、胃瘻がいらなくなったら
もちろん、 出 来るかぎり口か
どうすればいいか?簡単です。抜 らものを食べて、出来る限りお子
いてお け ばほ ぼ 自 然にふさがり さんに傷をつけずにすませる、と
ま す。そのた めの手 術 が 必 要に いうのは当 然のことです。た だ、
なることはほとんどありません。 それにこだわるあまり、 栄 養 障
言い換えれば、一度胃瘻を造って 害が進行したり、 肺炎を繰り返
も、やっぱり不満だ、口から食べ したりと、子供たちにとってよく
させるので十分だ、と思えば、簡 ない状況になっていくことも現実
単に塞いでしまうことが出来る、 には少なくないのです。
と言うことです。
P E G・ 胃 瘻 と 言 わ れ る と
実 際に、 胃 瘻 を 造って十 分 な 抵 抗があるとは思いますが、 実
栄 養を補 給してあげることによ 際に選択されたお母様方からは
り、 病 状 や 全 身 状 態 が 改 善 し、「 栄 養 が 十 分 にいき わ たって 顔
口から 十 分に食べられるよ うに 色がよくなった」
「風 邪をひきに
なる場 合 もありま す。その場 合 く く なった 」
「 元 気 が 出てきて、
も、 簡 単に抜いて塞 ぐことが出 かえってものを食べられるように
来ます。
(注:ごくまれに、 小さ なった」、という声が聞かれます。
な手 術が必 要となることもあり
胃 瘻はそれほど本 人にストレ
ます)
。
スをかけるものではありません。
P E G を 行ったとしても 経口摂
おわりに
取は症 状に応じて十 分に可 能で
す。口から 食 事 が摂るのが困 難
小児の胃瘻造設や逆流防止手 になってきたら、一度、 胃瘻につ
術を施 行 する中で感じるのです いて専 門 家にご相 談 されること
が、 ご両親、 特にお母様がお子 をお勧めします。
図1. バルン型カテーテル
左:挿入・抜去時の固定水を抜いた状態
第9号
PDN通信
(13) 2004 年 10 月 1 日発行(年 4 回発行)
図2. 瘻孔完成後10Fr.の栄養チューブに交換したケース(11ヵ月 男児)
※ 日付・住所・電話番号・所属・役職などは発行時のものです。 Copyright© 2001-2011 PEG Doctors Network.All Rights Reserved. http://www.peg.or.jp/
『使える胃瘻』は造設時期の検討と
深沢先生。
現在、 山梨県民医連では巨摩
共立病院を含む 病院・ 診療
所 ・ 7 訪 問 看 護ステーションそ
して歯 科センターを擁し、 都 市
部、 僻 地にかかわらず、 住 民の
ニーズに応える医 療 ・ 福 祉の実
践に力を入れている。
使える胃瘻を造ろう!
PEGを施行した本人や介護
する家 族から評 価された胃 瘻で
あれば、施行数を増やし、胃瘻の
メリットを世の中に広めていきた
いと 考 えるのは自 然 なこと だろ
う。しかし、安易な造設はあって
はならないし、造る以上は使える
胃瘻でありたい。
そこで同院では、PEG導入初
期のまとめとして、症例の分析を
行い、その適応や施行の時期につ
いての議論を重ね、在宅復帰率、
造設予後などについてのまとめを
発表した
(図 )
。
「栄養状態が落ちていると、胃
ろ う を 造っても 回 復 が 遅いです
ね。積極的に栄養評価を行い、必
要ありと判 断されたら早めに導
入をした方が、結果的には術後の
トラブルも少なく全 身 状 態の回
復にもつながります。
たとえば脳梗塞で倒れ、救急で
運ばれてきた方がいたとします。
昨日 まで普 通に食 事をされてい
た方ですから、胃腸は使えるわけ
です。意 識 状 態が悪 ければ食 事
をすることが出来ませんから、一
時的には中心静脈栄養や経鼻栄
養で栄養管理を行
うことになります。
この時 期に栄 養 状
態を低 下させない
ことが重 要 なので
す。緊 急 入 院から
ヶ月以内に現疾
患が落ち着き、栄
養状態や胃瘻の適
応が評価・判断さ
れ、 胃瘻を作られ
た方は、 造設後の
状態もいいですね。
しかし、 入院し
た時 点ですでに低
図1. PEG導入初期の調査結果(2002年9月)
造設後の受け入れ整備
社団法人山梨勤労者医療協 会 巨 摩 共 立 病 院
副院長 深沢 眞吾 先生
平成の大合併で2003年 月1日に 町 村が合併して生まれた山梨県南アルプス市。今回訪れ
た巨摩共立病院は、合併以前よりこの地域を主な診療圏とし、救急医療や高齢者医療を担ってきた中
業医・特養・老健などとの連携
強化を働きかけてきたので、この
地域では胃瘻患者さんの施設利
用もスムーズにいっています」と
この 名(あるいはその家族)を
対象としたアンケートでは、「わ
ずらわしい顔面のチューブから解
放され、患
者を外に連
れ出せるよ
うになった」
「 介 護 者の
負担が非常
に軽 くなっ
胃瘻で経鼻チューブから解放
1993年、 巨摩共立病院に
異 動してこられた深 沢 先 生の目
に映ったものは、経管栄養=経鼻
チューブという現実。以前、筋ジ
ストロフィーで口から食べられな
くなった 小 児にP E Gを施 行し
た経験から、経鼻チューブゆえの
トラブルや問題点を解決できるの
ではと、 1995年からPEG
を導入した。
管障害や痴呆、肺炎などの疾患に できる」な
か施行されていなかった当時、脳血 が不安なく
対して胃瘻を造るのはいかがなもの ど、 メリッ
か、という議論もあったそうだ。実 トをあげた
際、導入初年度のPEG施行者は 回 答 が 多
う。
名。経鼻チューブから胃瘻に変更 かった とい
したケースである。
栄養状態の方や、誤嚥を繰り返し
ていて十 分な栄 養 量が確 保され
ていない方など、栄養状態が悪い
状況で造る胃ろうというのは、な
かなか良い結果になりません。ま
た、 長期の静脈栄養で栄養状態
は保たれていても腸管の機能が衰
えているケースなどは、やはり経
腸栄養に切り替える段階で苦労
します。
(図2)
。
」
栄養評価の指標はいろいろある
が、よく使われるのが造設時のア
ルブミン値である。一般にアルブ
ミン値が低ければ、低栄養状態で
図2. PEG導入前栄養法
図3. PEG予後良好例と不良例の比較
予後良好 予後不良
(13/14例)(26例)
0
12
2
1
予後良好 予後不良
(14例) (26例)
0
40
9
20
20
12
8
40
5
80
7
5
60
1
不明
経口摂取
経鼻胃管
末梢静脈栄養
中心静脈栄養
60
2
■6ヶ月未満死亡 26例
平均年齢:81.32歳
平均生存期間:1.76ヶ月
造設時Alb平均値:2.38g/
dL
8
3
3
2
1995年より導入されたPEGがどのように位置づけられて今日に至っているのか、同院副院長
10 8
1
2
80
核病院である。
7
100
4
で、このほど発足した山梨胃ろう研究会代表世話人のお一人でもある深沢眞吾先生にお話を伺った。
90
その他
肺炎
脳出血
脳梗塞
4
1
9
医療に対するニーズ
9
47
(%)
(%)
4
胃瘻がまだごく限られた人にし た 」
「入浴
13
100
■24ヶ月以上生存 14例
平均年齢:80.57歳
平均生存期間:33.28ヶ月
造設時Alb平均値:3.1g/dL
3
■ 1995 年 9 月より 1999 年 3 月までに当院で
施行された PEG82 例について調査した。
■ 導入疾患は脳血管障害と肺炎が多かった。
■ PEG 後 6 ヶ月生存率は 70%であり、平均生
存期間は 12.8 ヶ月であった。
■ 在宅復帰率は 62%であった。
■ PEG 後合併症は肺炎が多く、今後の PEG 施行
において、重要な因子であると考えられる。
1
1
しのまちの病院
わた
巨摩共立病院は山梨県民主医
療機関連合会(民医連)に参加す
る医療機関として、 1965年
月に開設された。合併以前より
この地 域の救 急 医 療を支 えてき
たが、 介護保険施行の2000
年を機に、153床の病棟の一部
( 床 )を 療 養 型 病 床に転 換 し
た。当時、 歳代の超高齢入院患
者は全体の入院患者の 〜 %
を占めていたが、近年では、 %
に増加しているとのこと。
「当院はこの地域での救急患者の
多くを受け入れているので、 地 域
医療の実態は外来や救急病棟に反
映されるという状況がありました。
病 棟の中での患 者さんの年 齢の推
移を見ていると、 医療の需要が変
わってきているということを実感し
ます。高齢者の急性期医療へのニー
ズ
(診療科の充実、病院間の連携な
ど)が求められている一方、退院後
の在宅や施設での生活を支えるた
め、介護分野を重視した高齢者医
療にも力を入れています。
自 宅に戻る患 者さんのための
福祉部門との調整や、 地域の開
13
2004 年 10 月 1 日発行(年 4 回発行) (14)
PDN通信
第9号
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には造る前の段階で、栄養状態や
造る時 期を慎 重かつ迅 速に検 討
すべきなんですね。同じ脳血管障
害で食べられないといっても、 ど
の程 度 胃 腸が使われてきたかな
ど、個々にその中身はものすごく
違うので、そのところをもう少し
見極められるようになっていくこ
とが大事かと思っています。
」
6
6
区のケースを参照)ことはないの
だろうか。
「この病院の特徴としては、 訪
問 看 護ステーションが 早 くか ら
あって、在宅にも非常に力を入れ
てきました。現 在、 私 も含 め
人の医 師 が訪 問 診 療 を 行ってい
ま す。木 曜 日 以 外はこの 人 が
手分けして、必要に応じた回数、
患 者 さんのお 宅へ出 かけて行 き
ます。
今 年の 月の数 字ですが、 訪
問対象患者さんは 名、 その中
で胃 ろうの方は 名です。救 急
で 運 ば れて 緊 急 入 院 してか ら、
胃瘻造設、 病棟での診察、 退院
後は在宅や施設を訪問して原疾
患や胃 瘻を管 理、という流れの
中で、 患者さんの生活環境も含
め、 総合的にかかわり医療を継
続していきます。
」
けではなく、患者さんやご家族、
あるいは地 域 が抱 えている問 題
にも 向 き 合い、 その解 決のた め
に奔 走 さ れているよ う だ。その
結果、「胃瘻はトータルケアの中
の一部、安心して生活するための
環境の一つ」という意識が地域全
体に定着してきたのだろう。
院内からの発信と院内への発信
深沢先生が代表世話人を務めら を眺めてみると、病院の中だけでで
れている山梨胃ろう研究会は、 地 きることというのは、本当に限られ
域や職種による胃瘻の認識・胃瘻 ています。ですから、医療のシステ
造設者の受け入れ格差をなくそう ムにしても、街づくりの運動も含め
と発足された。現在、〈胃瘻からの 地域の方々と一緒に取り組む、とい
そしてもうひとつの課題は、院内
上の規制とのかねあいで、施設の職 す。
」
と深沢先生。
栄養投与は医療行為〉という法制 うスタンスでありたいと考えていま
員数から引き受けられる胃瘻造設
者の人数がおのずと決まってしまう における胃 瘻ケアの標 準 化。胃 瘻
ため、○名以上は受け入れられな の管理・ケアに詳しいスタッフがい
う。それだけ胃瘻造設者が増加し、 ま うことはしばしば耳にする。ま
い、という状況も出てきているとい ても、異動によっていなくなってし
医療や福祉によるサポートが必要 た、百戦錬磨のベテランになってく
つく。しかしそれは、初めて胃瘻を
け皿の整備は早急に行われなけれ しく対応できる専門的な力が身に
になっているということであり、受 ると、 個々の特別なケースにも正
ばならない。
そこで、来年のPEG導入
病院主催で地域の開業医の先生た とはなり得ない。
も大事です。しかし、地域から病院
組みの中で医療が負う役割はとて
み安心して暮らせる、 そういう仕
地域の人たちと一緒にこの地に住
に必要なことだと思います。
携していくことが、患者さんのため
頼関係を築いて病診連携、病病連
名前と顔の分かる関係として、 信
出席していただきました。お互いに
先日、郡医師会の会長さんにも
ばならないと考えています。
ていた だく努 力をしていかなけれ
もっと地域の先生に胃瘻を理解し
(2004年 月 岡崎)
受けることが増えるでしょうから、 は尚のこと力が入るようだ。
医の先生も胃瘻の患者さんを引き めてきただけに、 内堀の基礎固め
らっしゃいました。これからは開業 や開業医といった外堀を見事に埋
けてまで…」という先生もやはりい は計画されている。地域の施設職員
たこともあり、中には「胃に穴をあ 院内の統一を図ることを、深沢先生
ういう場で胃瘻のことが話題になっ を節目とし、もう一度見直しを行い
ちとの懇親会をひらいています。そ
年
「 年前くらい前から年に 回、 知った新人スタッフの基礎的な基準
1
あると判断され、 栄養管理が必
要とされる。
深沢先生らは予後良好例と不
良例の比較
(図3)
から、造設時の
アルブミン値が ・ g / ㎗を
下回らないよう、栄養管理に務め
ているそうだ。
「造るからには良い胃瘻、使え
る胃瘻にしたいのです。そのため
62
55
造設・退院後の
安心な生活のために
62
施設への積極的なアプローチ
た。施設の責任者やスタッフと懇
談 会 を もって患 者 さんの療 養の
場として受 け入れてもらえるよ
う調整すると共に、胃瘻そのもの
のケアの方法についてもお話して
きました。われわれ病 院 サイド
としては、退院後の患者さんの生
活の場となる施 設の実 情も知り
たかったし、施設がかかえている
問題点を把握し、 病院と施設と
の関 係を風 通しよくした上で受
け入れてもらいたかったのです。
胃 瘻についての講 演 会 だ けで
は な く、 嚥 下 機 能 を 評 価 す る
S Tや入 院 中 担 当していたド ク
ターも、誤嚥予防のための食べさ
せ方や食事の内容を、施設スタッ
フといろいろ話をしたいというこ
とで、お互いが交流を持つことで
胃 瘻への理 解と 受 け 入 れが築 か
れたといえます。
今では 胃 瘻についての認 識 だ
けではなく、食べることそのもの
の問 題の中に胃 瘻 がある、 とい
う 理 解 が 施 設のスタッフの間で
も非常に深まってきました。
わ か ら ないこと が あった ら す
ぐ当院の内視鏡室に連絡を、と
言ってきたわけですが、こうして
胃 瘻 患 者さんのケアも受け入れ
てもらえるようになるにつれて、
初歩的な質問はほとんどなくな
りました。
今は、 他の医 療 機 関で胃 瘻を
造ってきた利用者がいると、「診
に来てほしい」といわれたり、交
換のスケジュールについて問合せ
があったり。当 院は胃 瘻 造 設 だ
けではなく、この地 域に住 む 胃
瘻患者さん全ての相談にのってく
れる病院、と位置づけられている
ことを実感しています。
」
深 沢 先 生 を 中 心 とした 訪 問
チームは、 院 内では使える胃 瘻
を造り、 院外でも造設後の管理
に責 任 をもつ。継 続 的 な 訪 問 診
療の中で、胃瘻そのもののケアだ
15
2
図 であげた対象患者の在宅
復帰率は %と高く、 現在もこ
の数字はそれほど変わっていない
という。
発 表 当 時の %の中にはもと
もと経 鼻 栄 養を在 宅で行ってお
り、 胃瘻造設後、また自宅に帰
ら れ た 方 も 含 む とのこと だ が、
そのまま在 宅での生 活が継 続さ
れている 上に先のアンケ ー トの
結 果も踏まえて考えると、 胃 瘻
は在宅栄養管理も含めたQOL
の向上に貢献しているといってよ
いだろう。
一方、 造 設・ 退 院 後の定 期 的
な診 察は、 外 来 受 診できない場
合は訪 問 診 療を受けることにな
るが、 誰 が在 宅のかかりつけ 医
を引き受けているのだろうか。ま
た、 福祉施設や福祉サービスを
利用する際、、胃瘻を造った事が
ネックとなる(前号の東京都新宿
3
者を受け入れていますから、こち
らへも訪問診療に出かけます。
勿論、はじめは施設のスタッフ
もわからないこと だ らけでした
から、 私 や 訪 問 看 護ステーショ
ンの責 任 者が全 施 設を回りまし
10
巨摩共立病院
1
「退院後の在宅以外の療養の場
としては、 施 設や当 院 以 外の病
院 ということになり ま す。当 院
の診療圏内にある特別養護老人
ホームや 老 健 施 設 な どの6つの
施 設は、 現 在 すべてが胃 瘻 造 設
7
88
10
第9号
PDN通信
(15) 2004 年 10 月 1 日発行(年 4 回発行)
※ 日付・住所・電話番号・所属・役職などは発行時のものです。 Copyright© 2001-2011 PEG Doctors Network.All Rights Reserved. http://www.peg.or.jp/
PDN通信
第9号
チューブ型もよく使用していますが、この太さ
はめったなことでは詰まりません(お酢の使用
を併用すればなおさらです)
。詰まっても比較的
安心して入れ換えできます。当方ではバルンの
蒸留水は 1 週間毎に確認交換し、チューブ本体
は 1 ヶ月毎の交換を目安としています。
さて、バルン型胃瘻の交換は「安全で痛くな
い」と言うイメージが定着しつつあるようです
が、ここに思わぬ落とし穴があります。当院で
近年紹介されてくる瘻孔損傷、腹膜炎のほとん
どは、バルン型胃瘻の交換時のものです。この
理由は二つ考えられます。
一つはバルン型は交換期間が短いため、交換
時の事故発生率がバンパー型より少ないにしろ
交換の総回数が増えてしまい、その結果、事故
発生数は多くなると言うこと。
もう一つは、以前おサル先生もご指摘になっ
たと思いますが、バンパー型の交換が比較的経
験豊富な術者が慎重に行うことが多いのに比べ
て、バルン型は胃瘻についてあまり明るくない
医師でも手軽にベッドサイドや自宅で出来てし
まうために(このことは利点でもあるのですが)
正しく挿入されたかどうかの確認を曖昧にしが
ちであると言うことです。
だからといってせっかく在宅で往診を受けて
いる患者さんを入れ換えの度に毎月病院につれ
てきて内視鏡や造影で確認するのでは、何のた
めの在宅医療かわからないですよね。つまり何
が言いたいのかと言うと、
「バルン型なら安全」
という思い込みこそが事故をまねきかねないと
言うことです。交換時は製品のタイプに関わら
ず慎重をきすことが大切です。
誰の判断でカテーテル変更を?
2004 年 10 月 1 日発行(年 4 回発行) (16)
From:魔子
今回このような問題提起をしたのは理由があり
ます。現在デイケアで関わっている方 ( パーキン
ソン氏病による嚥下困難でほぼ寝たきりの状態 )
が、鼻腔チューブによる経管栄養から、バンパー・
ボタン型胃瘻になりました。4 ヵ月後、造設病院
での交換で、バルン・ボタン型になりました。
家族も訪問看護の方もこれまで胃瘻の管理を
丁寧にされていて、ボタンにも何の問題もなか
ったですし、瘻孔もきれいで、100 点満点をあ
げたいぐらいの管理をされていました。だから、
なんで今の時期に家族や主治医がバルン型への
交換を希望したのだろう?と思っていたところ、
家族はボタンの種類が変わったことは、何も説
明を受けていなかったのです。当然、バルンの
蒸留水の交換や管理のこともご存知なく、戸惑
っておられました。
訪問看護には連絡がいっているかと確認した
ところ、看護師さんも交換から戻ってこられて
初めてバルン型に変わったのを知ったとの事で
した。蒸留水の管理のことはおぼろげには知っ
ているようでしたが、交換の仕方や頻度なども
ご存知でなく、指示書をもらっている往診医も
同じレベルと聞いて、在宅ではバルン型という
のが一般的になってきているのだろうか…と思
い、問題提起をさせていただいたのです。皆さ
んの意見を頂いて、バルン型・バンパー型どち
らも一長一短で苦労されているのがとてもよく
解りました。貴重なご意見、ありがとうござい
ました。
私はバンパー型に軍配 From:おサル先生
平成の一休さんの交換の度の痛みや苦しみも承
知の上で書きます。病院からやっとの思いで退院
した患者さんにとって、最初の1週間や2週間で
カテーテルが抜ける度に救急車を呼んだり、夜中
に何回も医者や看護師を呼び出したりしていては、
在宅医療に対して、あるいは胃ろうに対して不安
感・不信感を抱かざるをえなくなってしまいます。
まず、それは回避するべきではないでしょうか。
次に、私の知る一般のお医者さんたちは、バ
ルン型であるということも知らずに診ている方
たちがほとんどでした。そんなお医者さんたち
に、バルン型なら管理できるはずだと期待する
のはちょっと難しいように感じております。
そういう意味で、交換方法に難はありますが、
私はバンパー型に軍配を上げます。約半年ごと
の交換は胃ろうに自信のある医師(あるいは造
設医)に責任を持ってやってもらうのが、現状
ではベストだと考えています。
メーカーさん、お願い! From:nisse
私は造設時はバンパー型、次回交換時にはバ
ルン型をお願いしております。なぜならやはりバ
ンパー型は交換時に痛みを伴うからです。患者さ
んの家族が、あまりのすざまじさに泣いてました。
カテーテルは、交換に痛みを伴わず、管理し
やすく価格も安くして欲しいと切に願います。
私は医者ですが医者ほど痛がる例を紹介します
From:itaiitai
地方の医者です。医者としての経歴も長く、
胃瘻造設患者でもあります。数年前、胃瘻造設
するときにバンパー型を選択し、1 年後に交換
しました。確かに交換する時間は 5 分程度で終
わりましたが、その痛さ・苦痛は言葉では語り
尽くせないほどの激痛で失神しそうでした。患
者には負担の重いものであることを訴えます。
1 日も早く痛くないバンパー型カテーテルが
承認されることを祈る次第です。
カテーテルの選択にあたって、
どのメリットを優先し、それによ
寸言
るデメリットをどう補っていくのか。各タイプの特徴を
知った上での正しい管理法を徹底させるには、どうし
たらよいのか。これらの問題を解決するためにも、現
場の声をメーカーや行政関係者に届けましょう!更
2004年改訂版「胃ろう手帳」より
なるご意見をお待ちしています。(PDN編集部)
登録医療機関へのお願い 〜「PDN通信」定期購読について〜
PDNは、胃ろうと栄養の公正な情報提供を行う特定非営利活動法人です。
PDNの運営は、
「PDN通信」、
「胃ろう手帳」、
「ホームページ」その他各種出版の事業収益によって支えられております。
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申し上げます。
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(消費税、送料を含みます。)
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(17) 2004 年 10 月 1 日発行(年 4 回発行)
PDN通信
痛みの少なさか、抜けにくさか?
第9号
Webセミナー ❽
No.982 在宅管理に適するのは、バルン型?バンパー型?
http://www.peg.or.jp/
毎日さまざまな立場の方からの書き込みでにぎわっている談話
医療者が
「良かれ」
と思って変更したとしても、患者さん ・ ご家族が
室ですが、カテーテルにまつわる話題も多く見受けられます。バン
望まない変更だったり、正しい管理法の指導がなされなかったりす
パー・バルン、ボタン ・ チューブの組み合わせで、カテーテルのタイ
れば、
「良くない」
変更にもなりかねません。
プは 4 種類。交換時にタイプを変更することもありますが、それは何
故、誰のための変更なのでしょうか?
在宅での PEG の管理について From:魔子
在宅での PEG の管理は、バルン型とバンパー
型、どちらが適していると思われますか ? 私は、バルン型は交換に痛みが伴わないとい
う利点より、自然抜去というリスクの方が勝っ
てしまうように思い、在宅では、バンパー型が
適しているように思います。
ボクだったらバルン型…かなぁ? From:太朗
在宅での PEG の管理におけるバルン型とバン
パー型の選択ですが、その適否に関しては患者
さんを取り巻く環境によると思います。ボクの
今まで従事した医療施設では、バンパー型は専
ら医師の仕事ですが、バルン型に関しては訪問
看護師がその業務に携わる事例もありました。
ちなみにボクですが自分の往診患者さんと自
分の出入りする老人保健施設ではバンパー型を、
胃瘻造設目的でチョクチョクお邪魔する病院で
は胃瘻管理に明るいこともあり、バルン型を選
択しています。
ボクがPEGの適応になったら、可能ならバ
ルン型をおねがいしたいかな?
タイプ別カテーテルの特徴と選択理由について、ご一緒に考えて
みましょう。
交換による経済的負担も考慮 From:もっち
訪問看護師のもっちです。バルン型・バンパー
型両方の経験があり、私が関わっている患者さん・
ご家族のお話です。バルン型は確かに交換時痛く
なくて良いのですが、交換が頻回になるため、コ
ストがかかり、経済的に負担だそうです。
また、抜けるのではという心配がいつも頭の
中にあり、精神的な負担もあるそうです。
困って迷って教えてください From:beach5
今はバンパー・ボタン型を使用しております
が、使用しているうちに逆流防止弁が働かなく
なります。メーカーさんに問い合わせると「経
口摂取等でどうしても弁に物が付着するから働
きが悪くなる。メーカーとしては4ケ月を一応
の目安にしている」との回答でした。しかし、
今使用しているのは 2 ケ月持ちませんでした。
平成の一休さんのお話ではバンパーの引き抜
き等で瘻孔が傷ついてその都度かなり難儀され
ているように聞き及んでおります。その点では
バルンの方が良いかなと思っております。
バルンだと腹部の出っ張りがボタンと比較にな
らないのと、シャフトに水路がある為に詰まりや
すいとのことですが、24Fr でもその危惧はあるの
でしょうか。また、バルン水の交換頻度、バルン
型カテーテルの交換期間等ご教示頂けませんか。
バルン型は安全?? From:みっくん
まず beach5 先生へ。当院では 24Fr バルン・
一長一短で迷います From:めーぐ
私は訪問看護師ですが、バルン型で困るのは
薬剤の注入だと思います。水が入る道がある分
内径が細くなるので、この点ではバルン型は不
利ですよね。
でも、交換が簡単で苦痛が少ない利点は捨て
がたいです。在宅を始めて3年ですが痴呆の方
でも自己抜去の経験はありません。もしあって
もバルン型ならナースが緊急処置出来ますし。
※ 日付・住所・電話番号・所属・役職などは発行時のものです。 Copyright© 2001-2011 PEG Doctors Network.All Rights Reserved. http://www.peg.or.jp/
験
記
No.8
聡江(東京都豊島区在住)
してもお父さんを家に連れて帰りたい、その実現のために選択した胃ろうでした。PDN作成
第9回HEQ研究会の市民公開講座で、介護者としての体験をお話された峯岸さん。なんと
峯岸
お父さん、
おうちへ帰ろうね
家
は、峯岸さん一家のご好意によって撮影させていただいたものです。
のビデオ『おうちへ帰ろうね』
言 葉を最 近 耳にします。私た ち
にとって、この新聞記事こそがセ
カンドオピニオンでした。記事に
賭けた私たちの決断が、 結果と
して父の解 放 と 幸せへ繋 がり ま
した。
倒 れてから一年 後の平 成 九 年
十月、胃瘻(PEG)手術は転院
当日、 鈴 木 裕 医 師によって行わ
れました。十 分 程 度の簡 単な手
術でした。数十分は要すると思っ
ていた私たちにとっても驚きでし
た。一年ぶりに管のとれた父の顔
は、 穏やかで別人のようでした。
あの時の感 激は生 涯 忘 れること
はありません。
我が家に帰ってきた
お父さん
E-Mail:[email protected]
在宅介護の
実現に向けて
TEL:03-5733-4361 FAX:03-5776-6486 ・
「 三 社 祭、 見 せてあ げ ら れな
かったわね」これが八年間父を介
護 し た 母 が 洩 ら し た一言 で す。
三 社 祭のビデオを注 文し、 お神
輿 好 きの父に見せる予 定でした
がそれが叶わず、 母には心 残り
なのです。
お問合せはPDN事務局まで。
者
お父さんが倒れた!
あなたと胃ろうの出会いや胃ろうにまつわる出来事などをお寄せ下さい。
族
故 峰岸勇造さん。自宅にて。
右上下肢機能全廃、 第一級身
体障害者、介護保険「要介護5」
の父でしたが、念願が叶って平成
十年六月より在宅介護が始まり
ました。訪問入浴、訪問看護や在
宅主治医の往診、更に硬縮予防の
マッサージ。摘便から自分で力ん
で便を出 すまでに体 力も回 復し
ました。退院祝いに買った大画面
のテレビも、自分でリモコン操作
が出来るまでになり、大好きな時
代劇を楽しんでいました。ゆえに
なおさら母は父に、三社祭のビデ
オを見せたかったのです。
平成十五年三月、父勇造は狭
心症のため七十六歳で旅立ちま
した。丸 六 年 間の在 宅 介 護で一
度も床ずれを作らず、 医師から
褒められたことは母の自慢です。
会 社 から 帰った 姉と 私に、 音の
無い声で話し聞かせていた父は、
今、 家のあちらこちらから微 笑
んでいると母は言います。
「お父さん、ずっと一緒だものね」
「ここを取材して!」という情報提供も大歓迎!
患
父勇造は平成八年十月、散歩
の途 中に脳 出 血で倒れ、 す ぐに
救急病院へ搬送。一命はとり止め
たものの、気管切開、吸痰、経鼻
胃管栄養という重度の障害を負
うことに。母と 姉 妹 三 人で支 え
た五九〇日間の苦難の病院生活
と六 年 間の思い出 深い在 宅 介 護
それにしても 医 療の選 択 がこ
れほどまでに人の運 命を左 右 す
る も のと は。吐 下 血 の 原 因 は、
極 度の精 神 的 なストレスによる
潰 瘍からであり、 二 週 間 後には
完 治。運 命の女 神が、 私た ちに
微笑みかけたのです。翌年三月、
リハビリ 専 門 病 院へ転 院。ま さ
かと 思っていた 在 宅 介 護 が現 実
のものとなり、 父はリハビリに、
私たちは在 宅 介 護の勉 強にとい
う 希 望の生 活 が 始 ま り ま した。
迷走と不安で過ごす日々と目標
に向 う日 々では、 何という 違い
でしょう。
リハビリ一ヵ月後、病棟主催の
観 桜 会へ父は車 椅 子で参 加 する
までに回復し、ベッド端に介助無
しで十 五 秒 も座ることが出 来る
よ うになりました。五 九 〇 日 も
の間、「父が淋しがるから」と大
雪で電車が間引き運転しようと
も、一日 も欠かさずに通 う 母を
看護婦さんは不憫に思い、
「きち
んと 看ているから 旅 行でもして
らっしゃい」と勧めて下さり、一度
だけ一泊旅行をしました。
胃ろうを造られた方、ケアする方…
体
した本を頼りに何 十 箇 所もの病
の始まりでした。
術 後 合 術 症 の 肺 梗 塞 も 癒 院に問い合 わせました。運 良 く
え、 五ヵ月 後の落 ち着 きを取り 母のかかりつけ医の紹介で、都内
戻した頃です。声を失い、鼻から で二 十 床 程の小さな病 院が見つ
栄養を摂る父は、 経鼻管の苦痛 かり、 藁をも掴む思いで転 院し
から逃れるため、やっと動く左手 ました。
で、多いときは日に五回もチュー
ブを 抜 き ました。その度に泣 き 胃瘻との出会い
ながら動かない体を懸命に使い、 ─ 迷ってはいられない
嫌悪と拒絶を示す父を、 看護婦
しかしその頃の父は高 熱と吐
さんと一緒に押 さえて管 を 挿 入
「このままでは父が
するのです。また 面 会 中 は 手の 下 血を発 症。
拘 束 を 外 す 許 可 を 得 ました が、 死 んでし ま う!」こん な 切 羽 詰
面 会 時 間の終りには、 家 族の私 まった私たちに光が射したのは、
たちが父の手を拘 束して帰 らな 平成九年七月二十八日付、読売
新聞の医療情報欄に掲載された
ければなりませんでした。
そんなある日、 私たちが恐れ 『胃に〝口〟作り栄養補給』という
ていた、病院からの転院勧告が。 胃瘻(PEG)の記事でした。早
慢 性 期に入った父は、 救 急 病 院 速、 院 長 先 生にこのことを 話 し
には置いてもらえず、あてのない ましたが、返ってきた言葉は「そ
私た ちに、 病 院は二ヵ所の老 人 んな 医 療 は 知 らない。胃によ く
ない」と否 定の一点 張りでした。
病院を紹介してくれました。
「記事
一つ目の病 院 は 六 十 九 歳の父 それでも私たちは諦めず、
は 若 す ぎ る と い う 理 由 で 断 ら にある益 子 病 院へ行ってみよう」
れ、 二つ目の病 院は、 気 管 切 開 と、 三人で直接病院を尋ねまし
「今いる病 院では確 実に父は
は重 症 病 室 扱いとなるため、 入 た。
院の順 番 待 ちでした。通 院 距 離 死んでしまう!」口にはしないも
も私たちが毎日 通 うには無 理で のの、 私た ちにはもう 時 間が無
かったのです。間髪を入れずに益
した。
結 局、 自 力で治 療とリハビリ 子 病 院へ転 院。最 後の望 みを 託
が 可 能 な 病 院 を 探 す しかな く、 しました。
会 社を休んで一日 中、 姉が購 入 『セカンドオピニオン』という
あなたの投稿お待ちしております!
2004 年 10 月 1 日発行(年 4 回発行) (18)
PDN通信
第9号
※ 日付・住所・電話番号・所属・役職などは発行時のものです。 Copyright© 2001-2011 PEG Doctors Network.All Rights Reserved. http://www.peg.or.jp/
PDN通信
(19) 2004 年 10 月 1 日発行(年 4 回発行)
「PDN通信」の定期購読は…5部(年間2000円)
・ 部(同4000円)
・ 部(同7000円)をご指定の上、TEL(
10
20
第9号
ご協賛 ・ ご支援、誠にありがとうございました。尚、PDN セミナーへのご協賛につきましては
3 面をご覧下さい。
渡辺浩代様 足立眞理様 合計 1 万円、切手 2524 円
第6回湘南在宅ケアセミナー
第6回北陸 PEG・在宅栄養研究会
日 時:2004 年 12 月 12 日(日)10:00 〜 17:00 ( 懇親会 17:30 〜 )
会 場:藤沢市民会館 大ホール
JR・小田急藤沢駅南口 徒歩7分
(TEL:0466-23-2415)
日 時:2004 年 11 月 13 日
(土)15:00 〜 18:00
会 場:石川県地場産業振興センター 大ホール
金沢市鞍月 2-1(TEL:076-268-2010)
テ ー マ:介護保険はどう変わる! ?
特別講演:
「嚥下障害の機序と治療、リハビリテーション
(仮題)
」
藤島一郎先生
(聖隷三方原病院 リハビリテーションセンター長)
特別講演:
「介護保険はこう変わる」
厚生労働省介護保険課長 藤木則夫氏
一 般 演 題 :経皮内視鏡的胃瘻造設術
(PEG)
および在宅栄養法に関する演題
基調講演:
「在宅医療の現況と今後の課題と展望」
筑波大学社会医学系教授 大久保一郎氏
代表世話人:金沢大学名誉教授 磨伊正義
シンポジウム:
「この大改革を乗り越えるために」
日本経済新聞編集委員 浅川澄一氏
日本医師会評議員、神津内科医院院長 神津 仁氏
ジャーナリスト 和田 努氏
キャンナス代表 菅原由美
事 務 局:小川医院 小川滋彦
(TEL:076-261-8821)
当番世話人:藤が丘クリニック 藤岡照裕
共 催:北陸 PEG・在宅栄養研究会
大塚製薬株式会社/株式会社大塚製薬工場
後 援:HEQ 研究会/日本静脈経腸栄養学会
定 員:先着 800 名
参 加 費:¥1000 懇親会費:¥4000 ( 当日集金 )
講 演:藤沢市/藤沢市医師会/藤沢市歯科医師会/藤沢湘南ライオンズクラブ
鎌倉市医師会/鎌倉市歯科医師会/茅ヶ崎市医師会/茅ヶ崎市歯科医師会
問 合 せ:訪問ボランティアナースの会キャンナス 担当 河野・利根川
〒 251-0024 神奈川県藤沢市鵠沼橘 1-2-4
tel 0466-26-3980 fax 0466-27-8280 E-mail [email protected]
BOOK SHELF
た
しまし
せ
た
お待
)
・FAX(
03-6228-3611
編集後記
)またはホームページ
03-6228-3730
日本では、胃瘻造設をされる方の多くが介護保険の適用でもあります。8 月
18 日、函館市では要介護度認定のための訪問調査を行う調査員 ( ケアマネジャ
ー ) を対象に、知識の差をなくし、平等な調査を実施するための研修会を開きま
した。正しい調査資料の作成のためには、胃瘻やストーマなどについての基本的
な知識のレベルは同じでなければならない、と同市介護高齢部福祉課がテーマ
に選んだそうです。
PDNセミナーは、このような行政主催の研修会
もお手伝いさせていただきたいと考えています。お
長さは50cmと75cmの2種類
気軽にご相談下さい。ご一緒に、まず一歩を踏み出
しましょう。( 編集部 岡崎 )
2004年改訂版 胃ろう手帳
2002年2月に発行した
「胃ろう手帳」
を、この
たび 2004年改訂版として増刷しました。カテー
テルのタイプ別特徴や栄養剤の投与方法、日常
のケアは勿論のこと、今回の改訂では造設後の
トラブルとケアについての『困った時の対処法』
に力を注ぎました。正しい理解と管理法を身に
つけて、第二のお口『胃ろう』を使いこなすため
に、この手帳をどうぞお役立て下さい。
B5判 カラー 36ページ
定価500円( 税込) 送料別
発行・販売:PEGドクターズネットワーク
TEL:03-6228-3611
価 格
1本 1,500円
送料込
製造・発売
TEL 03-6228-3611
にてお申込下さい。
(http://www.peg.or.jp)
※ 日付・住所・電話番号・所属・役職などは発行時のものです。 Copyright© 2001-2011 PEG Doctors Network.All Rights Reserved. http://www.peg.or.jp/