留 学 ガイドブック 海外で学びたいと思っている方へ 私 が つ く る 海 私がつくる 外 留 学 海外留学 独立行政法人 STUDY ABROAD 日本学生支援機構 留学体験記 留学しようと思ったら ~留学について知ろう~ 留学を決めたら ~情報収集から渡航まで~ 留学に関する各種情報 ○主な語学・学力テスト ○奨学金・ローン ○海外安全・生活情報 ○留学斡旋業者等の利用について 学校選択ワークシート 独立行政法人 日本学生支援機構 http://www.jasso.go.jp はじめに 私たちは、海外留学を考え始めた学生・社会人の方々が、それぞれの夢や目標の実現に向かって、ご 自分で計画を立て、準備や手続きを進めていけるよう、情報提供を行っています。 このガイドブックは、海外留学を希望する皆様が、留学体験談からイメージをふくらませ、さまざま な選択肢の中から自分に合った留学のプランをつくり上げ、その実現に必要な情報を集めながら、一 つ一つステップを踏んで準備していくための参考資料として発行しているものです。 漠然としたイメージや憧れの段階から留学実現にたどり着くまでには、さまざまな準備や決断が必要 です。戸惑いやもどかしさ、時には苦労があるかもしれません。しかし、自分が本当にやりたいこと が実現できる留学、自分の思い描く将来に近づけるような留学は、自分が動かなければつくれませ ん。 「就活」が自分を見つめ直す機会となるように、留学実現に向かって歩いた道のりは、自分自身を成 長させることでしょう。そのような過程を経て、念願の合格通知を受け取ったときのあなたは、これ から始まる留学生活に不可欠な「自分自身で情報を集め、判断し、行動する」能力を備えていること でしょう。 立ち止まって考え込んだり、時には計画を変更したりすることも恐れずに、一歩一歩進んでいってく ださい。迷ったときにはこの冊子を読み返し、自分の原点を思い出してください。 皆様のこれからの人生が「留活」、そしてもちろん「留学」によって豊かなものになりますよう、応援 しています。 独立行政法人 日本学生支援機構(JASSO) 目次 | Contents はじめに 第 3 章 留学を決めたら 〜情報収集から渡航まで〜 第1章 留学体験記 韓国 中国 ベトナム ニュージーランド 米国 ブラジル イタリア 英国 スウェーデン ドイツ 留学後の人生 語学・大学院留学 大学院留学 学部(短期)留学 大学院留学 学部(交換)留学 学部(短期)留学 学部(交換)留学 語学・大学院留学 学部(交換)留学 大学院留学 中国・英国への留学を経て [ [ [ [ [ [ [ [ [ [ [ 前 川 智 映 さん ]. . 福 田 朱希美 さん ]. . 宇都宮 まゆみ さん ]. . 白 神 仁 士 さん ]. . 高 田 修 太 さん ]. . 常 葉 結 比 さん ]. . 俵 元 希 さん ]. . 平 山 三 紀 さん ]. . 竹 下 紋 未 さん ]. . 野 村 真 冴 さん ]. . 小 路 晃 正 さん ]. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 4 . 6 . 8 10 12 14 16 18 20 22 24 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 26 28 30 31 35 第 2 章 留学しようと思ったら 〜留学について知ろう〜 2 目次 1. 留学の目的を明確にする. . . . . . . . . . . . 2. 留学のタイプを知る. . . . . . . . . . . . . . . Ⅰ. 語学学校へ留学する. . . . . . . . . . . . Ⅱ. 大学など高等教育機関へ留学する. . Ⅲ. 高校へ留学する . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 留学実現までのステップ. . . Step.1 情報収集. . . . . . . . Step.2 学校選択. . . . . . . . Step.3 出願手続き. . . . . . . Step.4 入学手続き. . . . . . . Step.5 渡航までの手続き. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 36 37 38 40 40 41 第 4 章 留学に関する各種情報 1. 2. 3. 4. 主な語学・学力テスト. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 44 奨学金・ローン . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 48 海外安全・生活情報. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 52 留学斡旋業者等の利用について. . . . . . . . . . . . . . . . . 54 学校選択ワークシート. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 58 海外留学情報は 日本学生支援機構(JASSO)ウェブサイトへ!. . . . . . . . . . . . . . . . . . 60 目次 3 第1章 留学体験記 | 韓 国 第1章 留学体験記 韓国留学体験記 〜語学・大学院留学〜 前川智映 さん ◦◦◦ PROFILE 高校卒業 韓国で大学院に進むことを決めたのは、中国に留学している時でした。当初は中国に1年間滞在し た後、韓国に1年ほど語学留学するつもりでしたが、中国で知り合った中国人学生たちの意識の高さ に刺激をもらい、大学院進学を考え始めました。大学院進学のためには研究計画書や推薦書等の必 要書類が多く、準備が大変でした。周りに相談できる人がいなかったので、基本的には書籍とネット で調べて準備を行いました。ソウル大学を選んだのは、日韓関係専門の先生がおり、東アジアにつ いて幅広く勉強できるコースがあったからです。 2001.4 日本 神戸大学経営学部経営学科入学 2003.7〜2004.8オーストラリア メルボルン大学経済・商学部(交換留学) 2005.3 日本 神戸大学経営学部経営学科卒業(学士 号取得) 3. 学校での授業、学生生活、日常生活の紹介 韓国政府の奨学金は大学院進学の前に1年間の語学研修が組み込まれていました。始めの半年間 で集中して韓国語を勉強し、残りの半年間は大学院の授業も聴講させていただきました。大学院の 授業は宿題がとても多く、しかも難しい専門書をたくさん読まなければいけないので初めのうちは苦 労しました。それでも必死に課題をこなすうちに徐々にペースがつかめるようになりました。その甲 斐あって、大学院進学時には少し余裕をもって授業を受けることができました。また、大学院では授 業でプレゼンを求められることが多く、ほぼ毎週プレゼンの準備をしていました。これも慣れないう ちは大変ですが、上手な人のプレゼンを研究したり、毎回色々な工夫をするうちにプレゼンが楽しく なりました。ただ、困ったことを挙げるとすれば、私の学科では論文執筆までは指導教授がつかず、 定期的なゼミなどもなかったことです。ある意味、自主性に任されているので、積極的に教授に会い に行ったり主体的に行動する必要があります。 2005.4 〜2007.7 日本 民間企業就職 2007.9 ~2008.7 中国 北京語言大学高級漢語進修(語学留学) 2008.9 ~2009.8 韓国 ソウル大学語学堂(語学研修) (大韓民 国政府奨学金) 2009.9 ~2012.2 韓国 ソウル大学国際大学院国際地域学科修了 (修士号取得) (大韓民国政府奨学金) 2012.3~ 4. 留学後の進路選択と決定 独立行政法人国際交流基金に就職、現 在に至る。 留学中の一週間の授業時間割 月 1 (9:00 〜 11:00) 火 水 韓国文化論 韓国社会 比較方法論 韓国社会 比較方法論 2 (11:00 〜 13:00) 3 4 (15:30 〜 17:30) アジアの経済発展 とリーダーシップ アジアの経済発展 とリーダーシップ 国際経済学 木 金 韓国文学 思想史研究 国際経済学 私は3か国(豪州・中国・韓国)いずれも留学前に文法は一通り勉強しました。留学して 文字や発音から勉強するのはもったいないと思ったからです。日本ではNHKの語学講 座や通信講座を使って基礎固めをしました。同時に、ネイティブの先生と個人レッスン を受けたり、留学生と相互学習を行うことで、1週間に2回ほど実際に話す練習もしま した。おかげで、留学後も比較的スムーズに生活を始めることができました。 第 1 章 留学体験記 修士課程修了後、大学院に残って研究者の道に進むか、就職するかで悩みました。韓国のNGOで インターンをする機会に恵まれ、そこで日韓の草の根交流を経験してとても楽しかったので、やはり 民間交流を支援する仕事をしたいと思いました。その時、ちょうど今の団体で中途採用を行っていた ので応募して採用していただきました。 5. 留学後の状況や感想 帰国後すぐに就職し、主にアジア地域の交流事業を行う部署に配属されました。特に、自分が留 学生として大学や大学院で勉強した経験は、日本に滞在している留学生や研究者の方々を支援する上 でとても役立っています。また、大学院で身につけたプレゼン能力や文書作成能力、基本的な研究の やり方などは日常生活でも活かせる場面が多いです。 6. これから留学する方へのアドバイス 私 の 語 学 学 習法 4 学部の時に豪州に留学した時に、アジアの留学生ととても仲良くなりました。彼らと交流するうち に、自分がいかにアジアのことを知らないかを実感し、今まで欧米しか見ていなかったことを反省し ました。特に、日本と中国・韓国は国家間に様々な問題を抱えていますが、それとは別の次元で個人 と個人が友情を育み、信頼関係を築いていくことが大切なのではないかと思いました。民間企業に 就職した後、中国・韓国で反日運動が起こったりと関係悪化した時期があり、実際は市民がどう思っ ているのか、どうして関係が悪化するのか等を知りたいと思いました。 2. 韓国やソウル大学を選んだ理由と留学前の準備 2001.3 日本 (13:30 〜 15:30) 1. 留学の動機 My Style 留学中には苦労や困難もありますが、それを乗り越えた経験は大きな自信につながります。また、 自分を支えてくれてきた人たちへの感謝の気持ちや、自分が大切にすべきことは何か等について考え る機会にもなります。私にとって、留学中にたくさんの魅力的で志が高い人々と出会えたことは大き な財産となっています。人生で留学できるチャンスは限られていると思います。ぜひ勇気を出してチャ レンジしてみてください。 私がつくる海外留学 5 第1章 留学体験記 | 中 国 第1章 留学体験記 中国留学体験記 ~大学院留学~ 福田朱希美 さん PROFILE ◦◦◦ 自身の専門と関係しているため、中国留学を選びました。奨学金については、日本学生支援機構 のホームページや留学経験者から、情報を収集しました。また、早めに書類等の準備をした方がよい と思います。そのほか、留学経験のある人達にアドバイスや注意点をたくさん聞いておいた方がよい と思います。経験者が遭遇した困難等は、自分も遭遇するかもしれないからです。また、現地に日本 人の知人がいるかを確認し、できたら紹介してもらい、困ったことが起こったらすぐに相談できる環 境を作っておけたらよいのではないかと思います。 2001.4 ~2005.3 日本 國學院大學文学部 2005.4 ~2009.3 日本 早稲田大学大学院文学研究科修士課程 2009.4 日本 3. 学校での授業、学生生活、日常生活 早稲田大学大学院文学研究科博士課程 入学 留学先では、毎日目の前のこと(語学や専門の授業、観光)をこなすので精一杯でした。平日の午 前は、語学の授業がだいたい2コマあり、その授業だけでも、大変体力をつかいました。専門の授業 に関しては、最初はほとんど聴き取れませんでしたが、約2年間、何度も繰り返し聴いている間に、 最初よりは聴き取れるようになりました。 また、宿舎は大学内の留学生寮で、1年目は二人部屋でした。異なる文化背景を持つ学生と同じ部 屋で生活するのは、大変であると同時に、異なる文化を知るきっかけにもなると思います。困ったこ とが起きたら、すぐに誰かに相談した方がよいと思います。 そのほか、観光や旅行についても友人達とできる限りいろいろな場所に行くことを心がけました。 特に内陸部は留学しているからこそ行くことができるという場所も多いと思いますので、機会がある 時に行ってみるのもいいかと思います。しかし、特に旅行に関しては、外国であり、母国とは異なる 文化、習慣も多いと思いますので、単独行動は避け、友人達と行動した方がよいと思います。 2010.9 ~2012.7 中国 中国人民大学哲学院(政府奨学金留学) 2012.9 ~ 日本 早稲田大学大学院文学研究科博士課程 2012.9 ~ 大学院で学習と研究を継続 留学中の一週間の授業時間割 月 火 1 中国語会話 中国語会話 2 中国語聞き取り 中国語 3 専門授業 (10:00 ~ 11:30) (14:00 ~ 15:30) 水 中国語 木 金 中国語会話 中国語会話 中国語聞き取り 中国語 専門授業 4 (16:00 ~ 17:30) 5 (18:00 ~ 19:30) 学部の第二外国語で履修したほか、語学教室に週2回ほど通いました。基本的に水準別 の教科書を用い、だんだんと単語を増やしていきました。また、ラジオ講座を聞いたり もしました。留学前、比較的読解の授業が多くなってしまったのですが、留学後、発音 や聞き取りや会話の練習をもっとしておけばよかったと感じました。そのため、総合的 な学習のほか、発音や聞き取り、自身が話すという学習を重視してもよいと思います。 第 1 章 留学体験記 4. 留学後の進路選択と決定 大学院に戻り、継続して学習や研究をしています。外国で、ある程度の期間生活するというのは、 大変なこともありますが、有意義でもあり、留学での様々な経験は、自分への自信にもつながってい くのではないかと思います。また、中国語はこれからの授業や研究、学会発表でも活かしていけたら と思っています。 5. 留学後の状況や感想 留学先で出会った先生、学友、また留学生の日本人の友人、諸外国の学友達とは、ネットなどを通 じて現在も連絡を取りあっています。たくさんの人に出会うことができ、文化や習慣の違いも少し知 ることができたので、なかには大変なこともありましたが、留学という経験をすることができ本当に よかったと思いました。 専門授業 私 の 語 学 学 習法 6 私は現在、中国の思想や哲学を中心に学び、研究しています。そのため、次第に自分の研究対象 の本場に行ってみたいと思うようになりました。周囲にも留学経験者が何人もいたので、留学するの は当たり前というような雰囲気がありました。また、留学という機会は大変貴重なことなので、機会 がある時に行ってみたいと思いました。また、これから学習や研究を続けていくうえでも、留学の経 験によって視野が広がるであろうと思い、留学を決めました。 2. 中国を選んだ理由と留学前の準備について 2001.3 日本 渋川女子高等学校卒業 (8:00 ~ 9:30) 1. 留学の動機 6. これから留学する方へのアドバイス My Style 留学先では、中国語が流暢でない私に対しても、助けてくれる人や、親切な人にたくさん出会うこ とができました。異なった背景、考え方を持ちながら、交流していくことにより、お互い少しずつ理 解を深めて、これからにつなげていくことが大切なのではないかと思います。 私がつくる海外留学 7 第1章 留学体験記 | ベトナム 第1章 留学体験記 ベトナム留学体験記 ~学部(短期)留学~ 宇都宮まゆみ さん ◦◦◦ PROFILE する人に伝えたいこと 大阪府立天王寺高等学校卒業 私がハノイ師範大学ベトナム学学科を選んだのは、授業内容の豊富さが理由です。ハノイ師範大学 では語学だけではなく、実際にベトナム学学科で講義されている内容を受講することができます。先 生方には親身に相談にのって頂き、私の卒業論文の内容や興味・関心を加味して授業プログラムを組 んで頂きました。ビザの手配を先方にしてもらう必要があるので、準備は約半年前から行いました。 渡航前は授業内容など不安な面もありましたが、細かなことは事前のメールのやりとりではなく、現 地で直接話し合う方が私の場合は順調に進みました。 2007.4 日本 大阪外国語大学(現大阪大学)地域文 化学科入学 2010.3 ベトナム ハノイ師範大学ベトナム学学科 (私費留学) (10か月) 2011.4 日本 3. 学校での授業、学生生活、日常生活の紹介 大阪大学復学 2012.3 日本 大阪大学外国語学部卒業 2012.4 ~ 日本 大阪大学人間科学研究科博士前期課程 帰国後、大学に復学し、2012年4月より 大阪大学人間科学研究科博士前期課程 にてベトナムの地域研究を行っている。 留学中の一週間の授業時間割 月 1 私は大学の学部においてベトナム語を専攻しており、卒業するまでに語学力を高めたいと考えたの が留学の動機です。留学する1年前に国際協力機構(JICA)の短期ボランティアに参加させて頂いた ことがあったのですが、その際に語学の重要性を痛感し、長期で留学することを決めました。そして なにより、やはり現地に行っていろいろな人に出会い、そして自分の目でいろいろなものを見、体験 をすることでベトナムについて理解を深めたいと強く考えておりましたので留学に行きました。 2. ベ トナムや学校を選んだ理由と留学前の準備について、これから留学 2007.3 日本 (9:00 〜 11:30) 1. 留学の動機 火 リーディング 2 (14:00 〜 16:30) 水 木 地理 ライティング 社会・経済 金 会話 大学におけるカリキュラムは、大学の先生方と相談し決めました。主にプライベートレッスンでした が、中には他の留学生と授業を受けたり、ベトナム人の学部の方の授業を聴講したりしたこともあり ます。中国や韓国、ドイツから来た留学生の方々と授業を受け、互いの文化をベトナム語で発表し議 論することもありましたが非常に刺激的でありました。 また、私はインターンシップや習い事、ゴミの分別を推進するボランティア活動にも参加していたの でいろいろな方々と出会うことがありました。特に自分から入っていったコミュニティでは、ベトナム 語しか通じない場合が多いので良い勉強の場になったと思います。留学前は日本に興味があるベトナ ムの方と接することが多かったので、留学を通じ「国」に関わらずいろんな人がいるんだなぁというこ とをしみじみ実感しました。 留学当初は慣れない生活にストレスが溜まることもありましたが、そのような時は同じ境遇である 留学生友達と遊びに行くことで気持ちを切り替えることができました。また、次第に親しいベトナム の友人や知り合いも増え自身の悩みも相談できるようになったので留学中は毎日、とても楽しく過ご せていました。 4. 留学後の進路選択と決定 留学によって、まず第一に、語学力が高まりました。そして、それによって現地の人々ともよく話す ことができ、ベトナムに対する興味も更に高まったように思います。学部終了後は、語学を用いなが ら更にベトナムのことを深く理解したいと考え大学院に進学しました。 文化 5. 留学後の状況や感想 留学を機に、更にベトナムについて知りたいという気持ちが高まりました。なので、学部終了後は 大学院に進学しベトナムの地域研究をしています。大学院では現地調査に行くことが多いですが、ベ トナム語を話せることや現地の慣習を知っていることは実際に非常に役立っています。 私 の 語 学 学 習法 私の場合は大学の授業が一番の勉強になりました。先生方に作成頂いた教材を用い、 熱心にご指導いただいたおかげで基礎的なことはよく学べたと思います。他には留学生 の方々と話すことも語学を身に着けるためにとても重要だと思います。また、現地のテ レビ番組をインターネットで見たり、現在ですとスマートフォンでラジオを聴くなどする My ことも有効だと考えます。 8 第 1 章 留学体験記 6. これから留学する方へのアドバイス Style 私は留学してから、留学する前には考えなかったこと(例えばインターンシップなど)をいろいろと することができました。留学する前の事前の準備も大事だと思いますが、現地に行って積極的に人と 会うことで様々な機会を得ることができると思います。 私がつくる海外留学 9 第1章 留学体験記 | ニュージーランド 第1章 留学体験記 ニュージーランド留学体験記 〜大学院留学〜 白神 仁士 さん ◦◦◦ PROFILE 1. 留学の動機 アメリカの大学にいた頃から大学院にいつかは行こうと考えていましたが、踏ん切りがつかないで いました。卒業後に会社を始めましたが、ニュージーランド人ビジネスパートナーとの決裂など様々 な失敗を経験し、前々から思っていた大学院に行こうと決意したのが2012年11月です。オーストラリ アや中国の大学院も考えましたが、準備などにもニュージーランドより時間がかかりそうだったこと もありニュージーランドの大学院へ進むことにしました。 2. ニュージーランドやワイカト大学院を選んだ理由と留学前の準備 もともと日本で出会ったニュージーランド人と、あるビジネスプロジェクトを始めるためにニュージー ランドに来ました。その後、彼が日本にいて私がニュージーランドにいるという状態で決裂が起こり、 一度、事業を停止してマネージメントを体系的に学ぼうと思いました。ニュージーランドは国際的に評 価されているビジネススクールはないのですが、出来るだけすぐに大学院に行きたかったこともあり、 調べたところワイカト大学院はニュージーランドでは一番良いビジネススクールとの評価があったので、 直接アプライしました。しかし、必要書類を揃えて提出しても、応対する人により話が違います。アメ リカの大学のフォーマルな成績証明書では卒業証明にはならないと言われたりもしましたが、何度も 掛け合ううちにいきなり入学許可のメールが届き、驚きました。今となってはニュージーランドらしい対 応だったと思います。 2003.8 日本 大学入学資格検定(現高等学校卒業程 度認定試験)合格 2004.9 〜2008.6 アメリカ ニューヨーク工科大学B.A. in Fine Arts (学士号取得) 2013.1〜2014.4 ニュージーランド ワイカト大学Master of Business and Management(MBM)在学中 3. 学校での授業、学生生活、日常生活の紹介 15ヶ月間のプログラムなのですが、最初の8ヶ月はB+という成績を維持しなければならないので、プ レッシャーとの戦いでした。ファイナンスなど数字が合っていれば良い成績を取れる科目は良かったので すが、正解が一つではない大部分の科目では教授の期待する答えを書かなければならないので、課題や 試験をこなしている時も常に不安でした。なんとか8ヶ月後も退学にならずにすみましたが、その後も毎 日、大量の課題と試験勉強にひいひい言っています。睡眠不足などで体調は崩しやすかったので、健康 維持のために運動を日課にしました。ニュージーランドでも特に私の住むワイカト地方は内陸で全体的に 気候が悪く、朝は晴れていても昼過ぎから大雨などということもあり、ジムで走ったりするなどのほうが多 いです。天気が悪いこともありますし、ニュージーランドは公共交通機関など充実していないので、最初 は車を持っていなかった留学生のクラスメイトも、9割は数ヶ月以内に購入しています。車の運転も、規 制はありますがニュージーランドでは16歳から免許がとれるので、大学生の大半は車で通学しています。 4. 留学後の進路選択と決定 留学中の一週間の授業時間割及び行動スケジュール 1 (8:00 ~ 12:00) 月 火 水 木 Finance Commercial Law and Corporate Governance Law & Corp Governance Commercial Law and Corporate Governance Law & Corp Governance Finance 2 Commercial Law and Corporate Governance Law & Corp Governance International International 3 グループ グループ グループ (12:30 ~ 16:30) (16:30 ~ 19:00) ミーティング 1 4 グループ (20:00 ~ 23:00) ミーティング 2 5 課題、試験勉強等 (23:00 ~ 3:30) Business ミーティング 1 Business ミーティング 1 Finance グループ ミーティング 1 金 土 日 グループ Strategy and グループ Strategy and Strategy and ミーティング 2 Marketing ジム Marketing Marketing グループ ミーティング 2 ミーティング 1 課題、試験勉強等 ジム 課題、試験勉強等 10 第 1 章 留学体験記 5. 留学後の状況や感想 ニュージーランドでは様々な嫌な事や失敗もたくさん経験してきましたし、今でもしています。正 直、ニュージーランドでこのままで大丈夫なのだろうかと不安になる事は多々あります。しかし、どん な事があってもめげずに、嫌な経験や失敗も糧にして前向きに進んでいく大切さ、諦めない気持ちの 大切さをニュージーランドで学びました。 6. これから留学する方へのアドバイス なぜ留学するのかという目的を見失わないことが大切だと思います。留学中は嫌な事もたくさん経 験し、思いもよらなかった大変な事も数多くあります。途中で挫折しないように、私は目標を忘れな いよう手帳に書いて持ち歩き、いつも見るようにしています。皆さんも、卒業、修了、資格を取るな ど、目的は様々でしょうが、初心を忘れないように頑張ってほしいと思います。 私 の 語 学 学 習法 私は、好きな音楽を聞きながら歌詞を目で追い、英語に慣れました。さらに慣れてきたら、カラオ ケでそれらの曲を歌い頭に叩き込むようにしました。また英語のサイトを毎日チェックしたり、 オーディオブックを常に聞いて意味を理解するように努めたり、ブルームバーグニュース(金融経 済ニュース)を毎日視聴したりもしました。自分の好きな分野から慣れていくというのは、どの語 学を学ぶにも有効な方法だと思います。 勉強を通して、エストニアなど今まであまり意識してこなかった国でのビジネス事情にも興味がわ きました。ツバルやニウエの経営者、キリバスの官僚、ソマリア難民など様々な背景を持つ人達と出 会い、生きる道は無数にある事を学び、世界をもっとみて視野を広げようという気持ちが強くなりま した。卒業後はニュージーランドを出て別の国へ移る予定です。 My Style 私がつくる海外留学 11 第1章 留学体験記 | 米 国 第1章 留学体験記 米国留学体験記 ~学部(交換)留学~ 高田修太 さん ◦◦◦ PROFILE 2008.3 日本 土木工学の分野では、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校は世界的に大 変評価が 高く、US News Rankingにおいても世界第1位であったため、よりハイレベルな環境で専門を学ぶにはイリノイ 大学しかないと考えていました。そこで、本大学に留学ができる小山八郎記念奨学制度に出会い、幸 運にも奨学生として留学させていただくことになりました。留学前は、米国滞在の時間を最大限に活用 するため、現地の大学生や先生をご紹介いただき話を伺うといったことなどを積極的にしていました。 2008.4 日本 東京大学理科Ⅱ類入学 2010.4 日本 東京大学工学部社会基盤学科進学 2011.8〜2012.5 アメリカ 3. 学校での授業、学生生活、日常生活の紹介 イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校工 学部(交換留学(小山八郎記念奨学制度) ) (東京大学在学中) 帰国後も、卒業 研究の関 係で日米を中 心に活動。夏休みにはハーバードの友人 と高校生向けサマースクールH-LABを運 営していた。 留学中の一週間の授業時間割 月 1 火 水 制御工学 (9:30 ~ 11:00) 木 金 制御工学 2 コンピューター サイエンス 制御工学(実験) 3 研究ミーティング 制御工学(実験) 研究ミーティング 振動工学(大学院) 振動工学(大学院) (13:00 ~ 14:30) コンピューター サイエンス 5 留学によって得られたものは数えきれませんが、同世代でこれだけ勉強している人たちがいるんだ ということを知ることができたことは貴重だったと思います。日本の大学にいると勉強以外にも誘惑 は多く、ついおろそかになりがちではありますが、アメリカの大学で友人たちと切磋琢磨して学べた 環境というのは貴重な機会でした。 私 の 語 学 学 習法 私は帰国子女ではありませんがそこまで英語に抵抗はありませんでした。というのも、 趣味がマジックなので、英語の文献やDVDに普段からよく触れていたからだと思いま す。まずは趣味や好きな映画などで英語に対する抵抗をなくして、TOEFLやSAT、GRE といった試験対策に取り組んでみると良いのかもしれません。また、英語は言語ですか ら、実際に使うことで一気に上達します。ネイティブスピーカーの友人とよくメールや電 My 話などをしていたことも、英語学習にとても役立ちました。 第 1 章 留学体験記 4. 留学後の進路選択と決定 5. 留学後の状況や感想 (14:30 ~ 15:30) (15:30 ~ 17:00) 学部への交換留学ではありましたが、大学院の講義なども履修していました。現地の先生に相談し たところ受講を快諾してくださいました。全体的に宿題が大変多く、学部の講義も大学院の講義もい ずれも毎週ひいひい言いながら問題を解いたり論文を読んだりしていました。日本ではここまで宿題 を出すような授業はあまりないのが現状だと思います。また、イリノイ大学は総合大学なので、専門 科目以外の講義も受けていました。言語学やコンピューターサイエンスはそのうちのひとつで、専門 や年齢も違う友人もできましたし大変勉強になりました。総合大学に留学する際のよいところは自分 の専門以外の科目も受けられることでしょう。Teaching Assistantによるサポートも比較的多く利用 していました。彼らは大学院生でもあるので、院生の生活の様子を聞けるのもひとつの興味深い機会 です。 また、私は寮に住んでいたのですが、アメリカ人と中国人のルームメイトとの共同生活で、文化的 な差を感じる機会が大変多かったです。誕生日にはお互い祝い合ったり外にごはんを食べに行ったり と、色々な面で交流もありました。留学生はまずルームメイトがいると友達もできやすいと思うので、 オススメです。 大学院から留学しようとも思いましたが、修士課程は日本で過ごすことに決めました。もし博士に 進む場合は絶対にアメリカで取りたいと考えています。博士課程の友人もイリノイで多くできたため、 現地の大学院の内情もそれなりに知ることができたのでとてもよい機会でした。 コンピューター サイエンス 4 12 学部2年時に参加した日米学生会議という国際交流団体で出会った海外の友人たちにアメリカの大 学の話を聞いて以来、私は米国の大学へ留学をしたいとずっと思っていました。私の専門分野は土木 工学なのですが、大学院進学も考えていたため、自分の力試しという目的もあり学部3年あるいは4 年の時点で専門分野を勉強する留学をしたいと前々から考えていました。海外の友人は比較的多かっ たのですが、アメリカに実際に長期間自分が住むことでも新たな視点を得たり文化体験をしたりする ことができるのではと思っていたことも留学の動機のひとつです。 2. 留学した学校を選んだ理由と留学前の準備について 高校卒業 (12:00 ~ 13:00) 1. 留学の動機 6. これから留学する方へのアドバイス Style 留学の際にはしっかりと目的意識をもって行くことが重要だと思います。英語を上達させるため、 とか専門を勉強するため、とか、そういった明確な目的意識を持って方向を見失わないことが、頼れ る人が少ない外国での留学中の大事な指針となるのではないでしょうか。 私がつくる海外留学 13 第1章 留学体験記 | ブラジル 第1章 留学体験記 ブラジル留学体験記 ~学部(短期)留学~ 常葉結比 さん ◦◦◦ PROFILE 2007.3 日本 大学入学後、ブラジル人やブラジルという国そのものに益々魅かれ、迷わずブラジル行きを決定し ました。私の場合は先に滞在先(ホストファミリー)を決めていたこともあり、そこからの交通の便と 治安を考慮した上で留学生用の語学コースが開設されている大学を絞り込み、決定しました。イン ターネット上で申し込み手続きや各種支払い、レベル分けテストを済ませたり、自己および教授から の推薦書などの必要書類を現地に郵送したり、警察署に出向いての犯罪経歴証明書の発行、留学生 ビザの申請など、約半年ほどの期間を準備に要しました。苦労したのは、英語とポルトガル語のみで 書かれたホームページやeメール、資料に目を通すことでした。 2007.4 日本 上智大学外国語学部 ポルトガル語学科入学 2010.7〜2010.12 ブラジル リオデジャネイロ・カトリック大学 留学生コース (私費留学) (上智大学休学) 3. 学校での授業、学生生活、日常生活の紹介 2012.3 日本 上智大学卒業 PUC-RIO(リオデジャネイロ・カトリック大学)は各国からの留学生が毎年200名程度と大規模な 留学生の受け入れ態勢をもつ大学の一つで、現地のブラジル人学生のみならず、様々な国からの留学 生とも友達になりました(私の留学した時期は、日本人学生は大学には数名しかおらず、日常はリオ の街でもほとんど日本人を見かけることはありませんでした)。スキルを身につけることを目的とし、 自分の専攻科目を中心に多くの授業を履修する留学生も数多くいましたが、その一方では(私立で) 授業料が高額だということもあり、私のように語学習得を目的とした留学生は必要最低限のコマ数の み履修するケースも多かったです。私は日本では一人暮らしをしていることもあり、たまにホストファ ミリーとの距離のとり方が難しいと感じたこともありました。けれど、家族の一員として実際に現地 の生活を共にさせてもらったことは、人や文化を心で感じられるとても良い経験になりました。ホスト ファザーに付いてウォーキングをし、テレビでニュースを見たり新聞を読んだり話したりしながら朝食 をとっていたこと、400円ほどでお腹いっぱい食べられる学食で友達とお喋りを楽しんだことは、改 めて振り返ると充実した毎日だったと思います。 2012.4 〜7 日本 上智大学大学院入学(グローバル・スタ ディーズ研究科地域研究専攻) ~現在、上智大学にて教職課程を履修し ながら、在日ブラジル人を支援する認定 NPOの事務局に在籍、並行して英語講 師として学習塾に勤務。 留学中の一週間の授業時間割 月 火 水 木 金 1 経済 3 (11:00 ~ 13:00) 4 (13:00 ~ 15:00) 5 (15:00 ~ 17:00) ポルトガル語 ポルトガル語 ポルトガル語 私 の 語 学 学 習法 ポルトガル語学科に所属していたため、私の場合は大学の授業を中心に毎日勉強しまし た。そして帰省時には、地元の知り合いの日系ブラジル人と日本語にポルトガル語を交 えて会話をしたりしました。また日本にいるうちは、分からない単語があればその都度 「紙辞書」を引いて調べるということを徹底していました。これは、 (手間がかかるため) なるべく一度で覚えようとすること、例文や周囲の単語にも目が触れることが利点です。 My 14 第 1 章 留学体験記 4. 留学後の進路選択と決定 一時は就職も考えましたが、卒業論文を執筆する中で大学院進学を決めました。現在は、ポルト ガル語と英語の教員免許取得のために大学に通いながら在日ブラジル人を支援する認定NPOの事務 局に在籍し、並行して英語の塾講師を務めています。時には軌道修正を加えながらも、これからも自 分の本当に好きなこと、一生懸命になれることの中で努力を惜しまず挑戦していきたいです。 (7:00 ~ 9:00) (9:00 ~ 11:00) 高校時代、オーストラリアに留学した時に多くの人たちの支えに助けられたという自身の経験を踏 まえ、私の地元に滞在する多くのブラジル人の抱えることばの壁から生じる問題を知ったことで、 「私 にも何かできることはないだろうか」と考えはじめたことは、ポルトガル語学科をもつ大学への進学 を決意するに至った理由の一つでした。語学習得に関しては、学習した文法や語彙を用いて実際にコ ミュニケーションを図ることで身につくということをオーストラリア留学で経験していたこともあり、 自身をそのような環境におくことで、大学での勉強によって培ったポルトガル語をさらに磨き、自分 のものにしたいと思ったことが留学を決めた動機です。 2. ブラジルや学校を選んだ理由と留学前の準備 高等学校卒業 2 1. 留学の動機 5. 留学後の状況や感想 旅行とは違った留学生活という長期滞在における人との出会いや、異文化の見聞は私を成長させ、 人生を豊かにしてくれました。ポルトガル語習得は勿論ですが、物怖じせず色々なことにチャレンジし ていくことや、どのような状況にも自分なりに対処しながら進む前向きさも、留学を通して私に培わ れたものだと考えています。 6. これから留学する方へのアドバイス Style 滞在先は治安や交通の便を考慮することも必要ですが、ブラジルは地域により文化・生活様式・食 事・方言・人柄が様々であるため、そういった関心から留学先を選択することもできると思います。ま た、せっかくの機会なので、時間に余裕があればブラジル国内や周辺国への訪問もお勧めします。現 地で計画を立てれば経済的です。ちなみに私は高校時代の留学生に会いにパラグアイへ行きました。 私がつくる海外留学 15 第1章 留学体験記 | イタリア 第1章 留学体験記 イタリア留学体験記 ~学部(交換)留学~ 俵 元希 さん ◦◦◦ PROFILE 姫路西高等学校卒業 幼い頃からサッカーをやってきたので、サッカーの盛んな国に行きたくてイタリアを選びました。 所属大学の留学担当教授との打ち合わせや、留学先とのメールでのやり取りなど準備は様々ありま したが、一番大変だったのがビザの取得でした。大使館で情報を得て、必要な書類(航空券の手配 書、保険加入証明、留学許可証等)を準備してまた大使館に出向くということを何度か繰り返しまし た。手続き関連で失敗するとすべてが白紙に戻る可能性(航空券のキャンセル、留学の延期・中止) があります。基本的には自分ですべてやる必要があったので、毎日何かと気をもんでいたのを良く覚 えています。 2006.4 日本 筑波大学国際総合学類入学 2009.2~2010.1 イタリア Universita degli studi di Catania Lingue e Letterature Straniere (交換留学) (筑波大学在学中) 2011.3 日本 筑波大学国際総合学類卒業 3. 学校での授業、学生生活、日常生活 2011.4 ~2011.3 日本 東京学芸大学教職大学院教育実践創成 専攻(修士号取得) イタリアでは友人に恵まれました。イタリア語がろくに話せない間は辛い時もありましたが、それ でも彼らは自分に良くしてくれ、コミュニケーションがとれるようになってからは本当に素晴らしい時 間を過ごしました。缶けりを教え込み、夏に夜通し公園を走り回ったことは本当に良い思い出です。 大学の授業を完全に理解することは難しく、日常生活で使うものとは異なる語彙力が必要と感じま した。ただ、教授や友人の助けもあり、なんとか授業と課題をクリアすることができました。 また、私はサッカーの審判員でもあります。あちらで審判をするというのも留学中にやってみたい ことの一つでもあり、ある知人のおかげでイタリアでも休日にはサッカーの審判として活動すること ができました。外国人がローカルな試合を裁くということがどれだけ異質かは言うまでもありません。 もちろん悔しいことも馬鹿にされたことも多々ありましたが、それはそれで良い経験になりましたし、 多くの仲間と他に代えがたい素晴らしい経験を得ることができたことも事実です。 これら全てが私の留学生活を充実したものにしてくれました。 2013.4 ~ 日本 都立高校にて英語教員として勤務 留学中の一週間の授業時間割 月 1 火 水 木 金 アメリカ英語 (8:30 ~ 10:00) (10:30 ~ 12:00) 教育学 イタリア語教授法 3 異文化教育学 4 イタリア語 (13:00 ~ 14:30) (15:00 ~ 16:30) アメリカ英語 教育学 異文化教育学 イタリア語 イタリア語 私 の 語 学 学 習法 基本的なことは一般的な参考書で勉強はしましたが、私の場合はほとんどイタリア語が できない状態でイタリアに飛び込みました。時間ができれば友人と一緒にいて、とにか くイタリア語に触れる。そしてわからないことは片っ端から教えてもらうという日々の繰 り返しでした。 上達のコツは、イタリア人になり切ること。具体的に言うと、発音の仕方、抑揚のつけ方、 My 間の取り方、身振り等すべてを真似すること、自分はイタリア人だと思い込むことです。 第 1 章 留学体験記 4. 留学後の進路選択と決定 イタリアで人々や文化に直に触れることで、自分の肌で日本との違いを感じることができました。 そこから感じたのは、他者への気遣いができるというのは日本人の文化的特長であるということです。 帰国後はこのことを常に意識して、 “日本人として勝負できる人間”を目指すようになりました。 5. 留学後の状況や感想 留学して、自分が知る世界がどれだけ狭いかを思い知りました。留学する前は教員として、単に異 文化交流の素晴らしさを伝えたいと思っていただけでしたが、相手を受容する気持ちの大切さ等、本 当の意味での異文化交流について生徒と一緒に考えていき、彼らに刺激を与えたいと考えるようにな りました。 5 (17:00 ~ 18:30) 16 当時は大学卒業後に高校で英語教員になることを考えていました。自分の肌で感じた異文化を生 徒に伝えられる教員になりたいと考えたので留学を決意しました。また、英語教員になれば英語を将 来的に勉強していくことはわかっていたので、それならば学生の間に英語以外の言語、英語圏以外の 文化を学んでみるのもおもしろいかもしれないと思い、英語圏以外の国への留学を考えました。 当時を振り返って今思うのは、自分が身を置く環境を劇的に変え、新たなチャレンジをするための きっかけ作りという意味もこの留学にはあったかもしれません。 2. イタリアを選んだ理由と留学前の準備について 2006.3 日本 2 1. 留学の動機 6. イタリアの魅力とこれから留学する方へのアドバイス Style 見るもの、触れるもの、すべてが新鮮な国、それがイタリアです。留学しようかどうか考えている、 迷っているならとにかく行ってみてください。挑戦というのはいつも不安なものです。しかし待ってい ても何も始まりません。イタリアという国は、あなたに多くの刺激を与え、きっとあなたを成長させて くれると思います。 私がつくる海外留学 17 第1章 留学体験記 | 英 国 第1章 留学体験記 英国留学体験記 〜語学・大学院留学〜 平山三紀 もともと帰国子女でイギリスに暮らしていたことがありました。その後、大学4年のときに卒業論文 のテーマを決めるにあたり、イギリスの服飾にしました。資料収集と語学習得を目的として、留学のタイ さん ミングを考えていたため、大学院在学中に本場の英語と資料に触れる必要があると考えておりました。 学部時代や大学院での夏期休業を利用して、語学学校に通うなどして経験を積んでいたこともあり ◦◦◦ PROFILE 1. 留学の動機 ます。 2. ロンドン大学を選んだ理由と留学前の準備 2001.3 日本 高校卒業 私が選んだ大学は、歴史学においてはイギリストップ8に入るほどの優れた研究機関として有名で 2002.4 日本 日本女子大学人間社会学部入学 す。世界の大学ランキングにも150位以内に入るほどの実力のある大学であることも意識しました。 2002.8 イギリス メイフェア語学学校(語学留学) 自分が学びたい分野に関しては、スタッフも充実していたことが挙げられます。 自分が学びたい分野のスタッフや資料も豊富にあり、ヴィクトリアン式の建物に惹かれたことも理 2006.3 日本 日本女子大学卒業 由 の1つ で す。 ま た 海 外 の 留 学 生 の た め の 奨 学 金 に 応 募 し、International Excellence 2006.4 ~2008.9 日本 日本女子大学大学院博士前期課程(修 士号取得) Scholarshipの奨学生としての留学が決まりました。 3. 学校での授業、学生生活、日常生活の紹介 2009.4 日本 日本女子大学大学院博士後期課程進学 授業はすべて英語で行われます。カリキュラムは専攻ごとに異なりますが、授業の予習には数時間 2009.8 イギリス Victoria Language School(語学留学) 2010.9 〜2011.10 イギリス をあてました。授業の進め方は、ディスカッション形式でもあるので、グループで話し合ったり、意見 を言い合うことが求められました。レポートなどの課題は学期末に提出期限があります。文系の場合 ロンドン大学大学院ロイヤルホロウェイ カレッジ歴史学修士課程(修士号取得) ( International Excellence Scholarship) は、エッセイの字数が多く、リサーチの時間も短い場合があるので準備が必要です。 学期が9月にスタートすると、すぐに日が短くなるので、夏休みの間に友達を作っておくことをおす すめします。寮で生活をすると、毎日にぎやかですが、情報交換にもなるのであとから考えると楽し 2010.10 〜 日本 い思い出がたくさんできます。 日本大学大学院博士後期課程 留学先での修士論文を元に、国際学術 会議、査読論文を発表。 留学中は、些細なことがとてもストレスに思えたり、逆に新鮮に見えることもあります。日本との違 いやそれぞれの国の文化の良さを知るきっかけになると捉えて過ごすことがストレス解消の秘訣です。 2013.11〜 日本 4. 留学後の進路選択と決定 英語講師、社長秘書として会社に勤務、 現在に至る。 留学後は、日本の大学院に復学して、修了することを目標としていました。結果として帰国後は、 留学中の一週間の授業時間割 月 火 1 歴史学(必修) 2 歴史学(必修) (10:00 ~ 12:00) (14:00 ~ 16:00) 水 木 (11:00-13:00) 女性学 ヴィクトリアン・ スタディー 金 国内の学会参加や、論文を発表し留学の成果も残すことができました。また、国際学術会議で発表 をし、英語のプレゼンテーションを実施するなど、英語力も活かせる場を与えられました。 5. 留学後の状況や感想 留学を通じて、語学力ばかりではなく、社交性や人脈などができ、計り知れない財産を得たように 思います。これは日増しに感じることです。また社交性やコミュニケーション能力が身に付いたこと で、進路を選択する際にも、その力が発揮されたように思います。留学前よりも広い視野にたち、物 事の全体を把握したりする力が身に付いたと感じています。 私 の 語 学 学 習法 留学を決意した当初はラジオ講座などを活用し、毎日英語に触れる習慣をつけました。 ロンドンの語学学校に通うなどして、実際に英語圏で1人で暮らす経験をしました。その 後はIELTSの過去問を解いて、週1のペースでネイティブの講師からライティング・スピー キングを習いました。リーディングとリスニングは1人でも点数がのびる分野だと教えて 頂き、ひたすら問題を解いていました。 6. これから留学する方へのアドバイス 留学は一生の宝物になると思います。一度自分の生まれた国や場所を離れて海外から見てみると、 当たり前だったことが貴重に思えてくることがあると思います。 My Style 帰国後は、留学前の自分とは何らかの形で違っていると思いますが、その後の進路選択や価値観 などが広がっていると思います。海外に暮らすことや語学を習得することは大変だと思いますが、そ の先にある目標やイメージを大事にして、世界を切り開いて行ってほしいと願います。 18 第 1 章 留学体験記 私がつくる海外留学 19 第1章 留学体験記 | スウェーデン 第1章 留学体験記 スウェーデン留学体験記 ~学部(交換)留学~ 竹下紋未 さん ◦◦◦ PROFILE 準備はなるべく早くに始めたほうが良いと思います。留学にずっと興味があり、情報があれば調べ てはいましたが、実質的な行動に移したのは、留学の1年前からでした。それと同時に、先進的な環 境対策を行っているスウェーデンに興味を持ち始めました。大学の交換留学システムを調べたところ、 スウェーデンに大学の協定校があることが分かり、交換留学をすることを決意しました。同じ大学の スウェーデン留学経験者に会うこともでき、行く前に準備すべきことなどの情報を手に入れることが できました。 2005.4 ~2007.3 日本 神奈川県立外語短期大学英語学科 2007.4 日本 中央大学経済学部公共経済学科入学 3. 学校での授業、学生生活、日常生活の紹介 2008.9 ~2009.6 スウェーデン ヴェクショー大学(交換留学) スウェーデンと日本の学生生活は、授業形態やライフスタイルからも違っていました。まず授業で すが、スウェーデンではコースによってはコース期間がことなります。1セメスターの中で、3ヶ月間の コースもあれば、1ヶ月間しかないコースもあります。なので、コースの取り方によっては、セメスター の中で中休みがある学生や、早く長期休みが始まる学生もいました。また、授業では授業外のグルー プワークが多かったです。その分自由時間も多いのですが、グループワークの重さによっては、平日 は勉強漬けの学生もたくさんいました。ただスウェーデンには“FIKA” (お茶やお菓子と一緒にみんな とゆっくり過ごすこと)という日本語には直すことのできない言葉があるくらい、リラックスタイムを 大切にするため、勉強に追われるだけでなく、ちゃんと息抜きもしているようでした。息抜きの場は、 週末のパーティーでもあったかもしれません。金土は遊び、日曜は翌週の授業準備とリラックスをし ていました。スウェーデン人学生はアルバイトをしている人はほとんどいませんでした。学生には政府 から補助金がありますし、足りない部分は、奨学金を借り、セメスター中にアルバイトをしなくても 十分な資金を持っていました。 2010.3 日本 中央大学経済学部公共経済学科卒業 2010.4 ~2013.7 日本 日本の電子部品メーカーに勤務 2013.8~ スウェーデン セーテルグレンタン ヘムスロイドンス ゴード(私費留学) 留学中の一週間の授業時間割 火 水 木 金 1 (9:20 ~ 10:50) 2 (11:00 ~ 12:30) Swedish Sports Swedish History Environmental Economics 3 (13:20 ~ 14:50) 4 (15:00 ~ 16:30) 5 (16:40 ~ 18:10) Swedish 私はスウェーデンでの留学生活で自由時間が多かったので、自由時間を、ものづくりの時間にあて ることが多く、そこでものづくりの楽しさを再認識いたしました。また留学して、日本の製造業が国 外でかなり認められていることに初めて気づき、日本の製造業を支え、国外へ発信する仕事をしたい と思うようになりました。このため、日本の大量生産のメーカーに勤めましたが、自分が好きだった のは、手でのものづくりであったことに気付き、現在再び、スウェーデンへ、編物留学をしておりま す。 留学をすることで、国際感覚を得ることができましたし、広い視野でものを見るようになりました。 また留学で得た語学力は仕事でかなり役に立ちました。就職活動のインタビューでも留学経験が語学 力をアピールするために役に立ちました。 6. これから留学する方へのアドバイス とにかくTOEFLの点数を取れるように、受験の前は英語漬けの生活にしました。私は、 学校には通わず、自力で参考書を使って勉強をしましたが、今はPCやWEB上でよい勉 強の教材があるので、それを活用するのがいいのではないかと思います。 My Style 第 1 章 留学体験記 4. 留学後の進路選択と決定 5. 留学後の状況や感想 Swedish 私 の 語 学 学 習法 20 「環境政策について勉強するため」と「自分の経験や視野を広げるため」に留学をしました。大学入 学当初から、自分の経験や視野を広げるために、交換留学で、1年間は外国で勉強したいと思ってい ましたが、何をどこで勉強するかは、決まっていませんでした。1~2年生で勉強していくうちに、自 分の興味が環境関連の社会問題であることを認識し、交換留学で、環境政策について勉強するため に留学することを決意しました。 2. スウェーデンや学校を選んだ理由と留学前の準備について 2005.3 日本 高等学校卒業 月 1. 留学の動機 スウェーデンはヨーロッパの日本のような国だと思いますので、人とは気が合うと思います。ス ウェーデン人はシャイですが、話しかければ、とても良い人たちです。ただ気候は日本とは違います。 冬は寒くて暗いので気をつけてください。 私がつくる海外留学 21 第1章 留学体験記 |ド イ ツ 第1章 留学体験記 ドイツ留学体験記 〜大学院留学〜 野村真冴 さん ◦◦◦ PROFILE 1. 留学の動機 もともと語学に興味があり、大学で開講されている様々な語学の授業を履修していました。海外 旅行をしたことをきっかけに更に興味が深まり、住んでみたいと思うようになりました。留学の資料 集めをしているうちに、ドイツは教育制度が充実していること、また私の専門分野が学べることを知 りました。そして、学部卒業をきっかけに海外での生活に挑戦することにしました。近年は海外留学 に関する情報が豊富で、留学に対する心理的なハードルが下がっていたことも、決断を後押しする一 因となりました。 2. ドイツやギーセン大学を選んだ理由と留学前の準備 2004.3 日本 愛知県立刈谷高等学校卒業 2008.10 ~2012.4 ドイツ ギーセン大学大学院音楽学科音楽教育 専攻(修士号取得) 第2外国語でドイツ語を学んでいたことと、教育制度が充実し、私の専門である音楽教育学が学べ る大学もあること、そして最終的にドイツに旅行して、町や人々の雰囲気が自分にとても馴染み易い 事を確信したので、留学先にドイツを選びました。準備期間は1年半ほどで、まず、DAADのページ から、音楽教育学が学べる大学、また語学試験のための準備クラスが充実している大学を選びまし た。そして、その大学のホームページを読み、実際のカリキュラムや語学クラスの入学条件などを調 べます。最後に、大学の留学生課にコンタクトを取り、願書を提出します。英語で対応してくれること もありますが、最低限のやり取りが出来る程度は語学力が必要です。 2012.8~ ドイツ 3. 学校での授業、学生生活、日常生活の紹介 2004.4 ~2008.3 日本 東京学芸大学教育学部芸術文化課程音 楽専攻(学士号取得) ゼミは初回の授業時にテーマを決めて、順番に発表していくという形が多かったです。その後休暇 中にそのテーマについてレポートを書き、成績がつきます。1日だいたい2コマの授業があり、その 間に発表の準備や文献探しをしていました。入学資格となる語学試験に合格しても、授業についてい くことは難しく、友達に助けてもらったり、レコーダーを使ったりしながら、授業を受けていました。 授業の後は、友達と映画や劇場に行ったり、所属していたオーケストラの練習に行ったりと日本と同 じように過ごしていました。ルームシェアをしていたので、同居人と夕飯を一緒に作ったり、友達を家 に招待したりと、楽しく日々を過ごせました。私の学部には外国人がとても少なかったので、常にド イツ人の輪の中にいることで、私のドイツ語の上達も早かったと思います。卒業に必要な実習を劇場 で出来たことも、とても大きな経験になりました。言葉をハンデに思わず、積極的に他人と関わり、 時に助けられながら、出来ることがだんだんと増えていったように思います。 音楽の学芸員としてギーセン市立劇場に 就職。現在に至る。 4. 留学後の進路選択と決定 留学中の一週間の授業時間割 月 火 1 音楽心理学 2 設計プロジェクト 器楽教授法 3 ワーグナーの 劇場音楽 子どもと 音楽社会学 (8:15 〜 9:45) (10:15 〜 11:45) (12:15 〜 13:45) 水 統計学・分析法 木 金 若者と音楽 音楽社会学 設計プロジェクト 和声学 4 5 劇場学 6. これから留学する方へのアドバイス アンサンブル 留学したいと思ったら、短期間でも良いので、まずはその国へ行ってみることです。ドイツの場合 は大学の休暇中に様々なレベルの語学コースや外国人向けの講義を開催しています。国や町の雰囲 気を知り、具体的な目標を持つことで、自分にあった留学計画を立てられると思います。 私 の 語 学 学 習法 大学で提供されているすべてのドイツ語科目を履修した他、Goethe-Institutに通って 勉強していました。日本で勉強している時は、話す機会が非常に少ないので、授業では たくさんドイツ語を話すことを心がけていました。語彙力は一朝一夕にはつかないもの なので、毎日時間を取ることが必要だと思います。独和辞典だけではなく、初心者用の 独独辞典を使うことも語彙力アップにつながります。 22 第 1 章 留学体験記 5. 留学後の状況や感想 大学院卒業後、就職しドイツでの生活も5年が過ぎました。文化や生活習慣の違いを体験すること や、様々な考え方や価値観に出会うことで、異文化に対する理解力はもちろん、コミュニケーション 力、自己主張力、交渉力等の経験値が上がったことが一番の収穫です。 音楽学入門 (14:15 〜 15:45) (16:15 〜 17:45) 博士課程への進学、日本への帰国等の選択肢もありましたが、やはり学んだ事を実践できる、と いう理由で、学生時代に実習をしていたギーセン市立劇場で働くことにしました。課外授業で劇場に 来る子どもたちにオーケストラのリハーサルを見せたり、音楽の教材作り、子供向けコンサートの企 画、準備等の仕事をしています。 My Style 私がつくる海外留学 23 第1章 留学体験記 | 留学後の人生 第1章 留学体験記 留学後の人生 〜中国・英国への留学を経て〜 小路晃正 PROFILE さん ◦◦◦ 2004.3 日本 私立青雲高校卒業 職する事を考えておりました。モノづくりが好きであった上、在籍していた大学・大学院では、修士取 得後大半がメーカーに就職するという慣習があったからです。 企業に所属し働くという雰囲気を知りたいと思ったことをきっかけに、学部三年夏、インターンに応 募したことが就職活動の皮切りとなりました。この時、日本最大の鉄鋼会社にて二週間の泊まり込みの インターンに参加させて頂きました。鉄鉱石を仕入れ、お客様の要望に叶う鋼材を提供するということ が主な仕事でした。院卒の就く仕事は、その殆どが研究職でした。現場を見て初めて、私が本来やり たかったモノづくりとは、もっと単純な、それこそ機械でも出来る仕事であったことに気付きました。 私はメーカーに就職することに違和感を持ち、より広く就職先を探す必要性を感じました。 これより学部四年春、修士一年夏、修士二年秋・冬という期間で、色々な会社のインターンに参加 させて頂きました。メーカー、コンサル、システム、金融、損保、生保、人材派遣・紹介、不動産、 2005.4 〜2009.3 日本 等枚挙に暇がありません。興味を持てる仕事や、人材を大切にする会社が多々あり嬉しく思ったと同 東京工業大学工学部(学士号取得) 時に、不本意な結果が出ればモチベーションが下がると確信しました。採用数の少ない会社や部門は、 2009.4 〜2012.3 日本 自分を支えてくれた人間関係重視で行いました。 東京工業大学大学院理工学研究科材料 工学専攻(修士号取得) 2009.9 〜2011.8 中国 清華大学大学院材料科学与工程系(修 士号取得) (留学生交流支援制度(長期 派遣)) 2011.7〜2011.9 英国 オックスフォード大学材料系研究員(大 学の奨学金) 2012.4 〜 2012.4より外資系投資銀行にて勤務の 後、産業革新機構に入社。日本の次世 代産業立ち上げや既存産業の再生を目 指す投資事業に携っている 受ける数を絞ろうと考えました。結果的に三社エントリーしオファーを頂きました。最終決定は今まで 3. 留学後の状況や感想・留学希望者へのアドバイス 留学後、国際色の強い会社に入りました。思考面や意思疎通面という基礎的な面において、留学経 験は役に立っております。感想としましては、総じてみると人生で一番楽しかった一区間であったと思い ます。生涯仲良くするであろうという友達・先輩・後輩も出来、人生の財産を得たと思っております。 留学希望者へのアドバイスとして三点挙げようと思います。各々の項目について熟考し、自分の価 値観を形成するヒントとして頂けたら幸いです。項目は、何をしたいのか、留学する事の利点・欠点、 留学の意義の三つと致します。 まず、何をしたいのか、ということです。今、就職後、退社後、何をしたいのか、どんな人生を送 りたいのか、考えてみて下さい。国境を跨ぐことにますます抵抗がなくなるであろう未来において、留 学することがどういう位置付けに来たり、転換点をもたらしたりする可能性があるのか考えてみて下さ い。留学する事を決めたのであれば、留学中、留学後、という期間も何をしたいのか考えてみて下さ い。これらの答えが、今後の留学生活や、先の未来において挫けそうになった時、あなたを支えてく れるかもしれません。 次に留学する事の利点・欠点について考えたいと思います。利点は異なる人、文化、環境に触れる 1. 留学の動機と留学先選択の理由、留学生活 留学の動機は、異なる文化や逆境に於いても通用する、自分の哲学を築きたかった、ということで した。自分の人生の軸をより多様に、深く、そして強固にするような経験を積みたかったのです。人生 の糧となるような様々な経験を欲した時、一番手っ取り早い方法が海外に出る事であった、ということ です。 留学先選択に際して以下の三点は強く意識しました。即ち、今まで滞在経験のない国であること、 つ、加えて推したい点があります。それは、ほぼノーリスクで新しい人生を始める機会を得られるとい うことです。責任を持たなくても良い立場で、リセットボタンを押せるチャンスなど、今後殆ど来ない と言い切っても過言ではないと思います。0からのスタートそして限られた時間で何が出来るのか、是 非目標を立てて挑戦してみて下さい。 最後に留学の意義について考えます。若輩者の私が述べるのもどうかとは思いますが、恐らく私達 が考えている以上に人生は短いものだと思います。異なる様々な世界を見る・体験する・考えるとい 歴史が長い国であること、意識の高い人が集まる所であること、の三点です。これは物事の捉え方 うことに於いて非常に短い、ということです。その短い中で、様々な経験を経た人生は、広がりや深 留学生活は山あり谷ありでした。辛かった時は、度々友人達から助けてもらいました。問題自体は という権利を得たと言えると思います。留学の意義はここにあります。即ち人生に広がりや深みを持た や、思考法に興味があったことに起因しております。 自分で解決するしかありませんが、解決するまでの精神状態や環境管理という面で、友人達に支えて 頂きました。 みを持つでしょう。留学することを考慮に入れた時点で、あなたは別の世界を見る・体験する・考える せるチャンスを得た、ということなのです。外に出たことのない日本人は、ついつい、世界も同じ色眼 鏡で見てしまいがちだと思います。しかし日本には、世界の2%にも満たない人口、そしてほぼ一つの 民族しかいません。世界は本当に広く多種多様であり、そのことを脳裏に刻みこめるだけでも、留学 2. 留学後の進路選択と決定 する価値はあると思います。 持てる分野か、成長できる環境はあるのか、という三点です。就職活動を始める前は、メーカーに就 長し、人の役に立てるような人になって下さい。 進路選択の際に考えた項目は三点:人、興味、環境でした。共に働きたいと考えられるか、興味を 24 ことが出来ること、欠点はお金や時間が掛かること、というのが一般的な認識でしょう。利点として一 第 1 章 留学体験記 以上が私のアドバイスです。自分の価値観で決定し、その結果海外へ飛び出て様々な経験を経て成 私がつくる海外留学 25 第2章 留学しようと思ったら 第2章 留学しようと思ったら 〜留学について知ろう〜 1. 留学の目的を明確にする 留学準備を進めるうえで最も大切なことは、なぜ留学したいかよく考えてみることです。その過程 で、何をしたいかがより具体的になり、留学の目的が明確になります。 ■ □留学したい気持ちが本物かどうかを確認する 「とにかく留学したい」と熱くなりすぎたり、 「友達も行くから」などと軽く決めたりせず、 冷静かつ前向きに考えてみましょう。留学に対する本物の熱意は、これから始まる留学手続 きをやり遂げる力、また留学中辛いことに遭遇したときに立ち向かえる力になり得ます。 ■ □何のために留学するかを考える 一口に「留学」といってもさまざまな種類があり、選択肢は必ずしも1つだけではありませ ん。何のために留学するかを明確にしておくことで、数ある選択肢の中から、自分に合った 方法を選んでいくことができます。 ■ □留学経験をどのように将来に活かすかを考える 質問 ➡より詳しい質問 留学のタイプは? □ 語学学校?専門学校?大学・大学院? いつ留学するのが効果的? □ 日本の学校(高校や大学など)に在学中?卒業した後?仕 留学資金は? ■ □ 授業料や現地の生活費はいくらかかる?奨学金はある? 将来どんな職業につきたい? □ 希望する職業につくために必要な資格や学位について調べ ■ 事を一旦辞めてから?休職や復職は可能? てみた?留学先で取得する資格は日本でどう役立つ?留学し た後その職業についた人はいる? 留学終了後の進路は? ■ □ 就職?日本で在籍している学校 (高校や大学など)に戻る? □ 語学テストで特定の点数を取得、または特定の級に合格? 留学でどんな成果が得られれば、 ■ 学位や資格を取得する? 「成功した」と思える? 今考えている国だけが選択肢? ■ □ 希望する勉強ができる国はいくつある?その中で自分の条 件に合う国はどこ? 就職が厳しい時代には、留学経験の有無だけでなく、特に留学の内容が問われます。留 学で得た経験を自分の強みにするために、また「自分はこれだけのことをやってきた」と将 来胸を張ってアピールできるよう、渡航前から十分な計画を練りましょう。 初期の留学に対するイメージには、次のようなものがあります。そこから一歩踏み込んで、 「何をど んなふうに勉強したいのか」、 「具体的な目標は何か」を言葉にしてみましょう。 「なんとなく留学にあこがれている」 ➡留学にどんなイメージを持っている?イメージする留学先はどんなところ? 「語学力をアップさせたい」 ➡今の語学力はどのくらい?何のために、どのレベルまで (語学能力試験で○点取るなど)上げたい? 「国際感覚を身につけたい」 ➡あなたが思う「国際感覚」とは具体的にどんなこと?現地の人との触れ合いが目的なら観光旅行 やワーキングホリデーのほうがいいのでは? 「キャリアアップにつながりそう」 ➡どんな職種・職業につきたい?何をもって、 「キャリアアップ」といえる? 「とにかく日本から出たい、海外に行きたい」 ➡海外の何に興味がある?日本の何が嫌?海外に行けばそれが解消できる? 留学の目的が明確になってきたら、続けて右頁の質問の答えも考えてみましょう。 26 第 2 章 留学しようと思ったら 「留学」がベストな選択肢? ■ □ 日本では学べないこと? 留学を考え始めた今の段階では答えられない質問もあるかもしれませんが、焦ることはありませ ん。第1章「留学体験記」、第3章「留学を決めたら」などを参考にしながら、じっくりと時間をかけて 自分の留学計画を見つめてみましょう。 以下は、留学を最大限実りのあるものとするために忘れてはいけない心構えです! ■ □相談しましょう! 家族、学校の先生、留学経験者など、周りの人と話をしてみましょう。自分の留学計画が説得力のあ るものかどうかを試すこともできますし、違った視点から有益なアドバイスを受けられることもあるで しょう。 ■ □学びましょう! 「ことば」はあなたと相手をつなぐ架け橋になるものです。いくら立派な橋ができたとしても、あなた 自身が伝えたい内容がなければ、コミュニケーションは成立しません。留学前に専攻分野についての 知識や教養を学び、しっかりと自分の意見や考えを持つことで、あなたの留学生活はより充実したも のになるでしょう。 ■ □留学後の人生プランを考えてみましょう! 留学はこれからの人生を豊かにするものであって、それ自体が目的ではありません。留学の経験を将 来どのように活かしていきたいですか?目先の目標だけでなく、留学後の人生プランも考えてみましょ う。 私がつくる海外留学 27 第2章 留学しようと思ったら 第2章 留学しようと思ったら 〜留学について知ろう〜 2. 留学のタイプを知る あなたの今の状況と目的に合った留学のタイプを考えてみましょう。 □留学の目的・タイプ(進学する?学位を取得する?一定期間、専門分野の学習をする?など) ■ ■ □留学に必要な資格(卒業資格・学位、語学力、学力) (➡以下の表では言及していません が、資金力(十分な資金を準備できること)も資格の1つです) ■ □留学時期(日本の学校に在学中?卒業してから?社会経験を積んでから?) ■ □学校の種類 留学時の状況 中学校既卒 不問 できます。むしろ専攻分野によっては職歴が求められることもあります。 A. 海外の学校は、高校卒業以上といった卒業資格・学位についての条件はあったとしても、出願者 の職業(社会人か学生か)や年齢によって取り扱いを変えることはほとんどありません。逆に、 専攻分野によっては、一定の職歴がないと出願資格がないとみなされることもあります。 学校の種類 高等教育機関 P.31へ (専門学校、短期大学、大学、大学院など) 学位取得を目的としない高等教育機関への留学 例:交換留学、認定留学、休学留学、社会人向 け短期留学など 外国語学習を目的とした語学留学 ※現地の大学などへの進学準備コースを含む 高校在学中 社 会人になってからでも留学できますか? 留学の目的・タイプ 学位取得を目的とした留学 例:学士号、修士号、博士号の取得 高校既卒 大学在学中 大学既卒 Q. 語学学校 P.30へ 高校 P.35へ 外国語学習・異文化体験を目的とした交換留学 高校卒業資格取得を目的とした留学 留学以外の異文化体験 ワーキングホリデー・インターンシップ・ ボランティアなど ※上記は一般的な留学のタイプを一覧にしたものです。詳細は学校の種類別の項目をご覧ください。 国・地域によって、求められる資格・条件はそれぞれ異なる場合がありますので、各自問い合わせ・確認をしましょう。 28 第 2 章 留学しようと思ったら 私がつくる海外留学 29 第2章 留学しようと思ったら 第2章 留学しようと思ったら 〜留学について知ろう〜 Ⅰ.語学学校へ留学する Ⅱ.大学など高等教育機関へ留学する (1) 外国語学習を主な目的とする場合のコース ■学校の種類 ■ □入門〜上級まである基本的・総合的なコース ■ □日常生活に必要なコミュニケーション力を身につける集中コース ■ □語学能力試験対策コース ■ □ビジネスや医学といった専門用語コース ■ □スポーツ、文化体験、観光といったアクティビティー+語学のコース (2) 現地の大学などへの進学準備を目的とする場合のコース 語学力とともに、プレゼンテーションの方法・論文の書き方といった、大学などへの入学後、授業 を受ける際に必要なスキルを身につけるコース 一般的には次のような種類があります。 専門学校 短期大学 大学 大学院 修了証、学位に 相当する資格が授与 される場合もある 準学士号、 または修了証が 授与される 通常、学士号が 授与される 通常、修士号、 博士号が授与される 必要修業年限は国・ 地域、学校、コース により異なる 一般的な 必要修業年限は 2年 一般的な 必要修業年限は 3〜6年 一般的な必要修業年限は 修士号:1〜2年 博士号:3年以上 ■学校の種類 ※上記⑴⑵共通 高等教育機関付属の語学学校 その他の語学学校 高等教育機関が運営する学校と 高等教育機関と提携している私立語学学校 独立して運営されている 公私立の語学学校 ●主に大学などへの進学準備コースを提供 ●入学が大学などの学期に合わせた時期に限られ ることもあり、コース期間は比較的長い ●学生のニーズに合わせたさまざまなコースを提供 ●長 期コースに加えて週単位、月単位の短期コー スも提供、随時入学可能な学校もある 高等教育機関の種類、卒業時に取得できる学位や資格、必要修業年限(卒業までに必要な期間) は国・地域により異なります。学位のシステムについても、日本と同じような学士号→修士号→博士 号の3段階システムのほか、2段階システムや、複数のシステムが並立している国・地域があり、さま ■入学資格 「学力(高校等の卒業資格・学位と成績)」や「語学力」は必要とされない場合もありますが、 「資 金力」は必須です。学費と現地での生活費をまかなう資金があることを証明する書類(預金残高証明 書など)を提出するか、事前に手付金や学費を支払います。語学留学向けの奨学金は少なく(第4章 ざまです。日本の課程と違うかどうか、日本などでどのように評価されるのかをよく調べたうえで、 目的に合った学校や課程を選ぶことが大切です。 注意!! ■入学資格 入学選考は出願書類(第3章「留学を決めたら Step .3 出願手続き」<P.40>参照)によって行わ れますが、学校が求める資格を満たしていれば、クラスの定員内である限りは受け入れられます。 Q. A. 30 大 学や大 学 院で学 ぶことに比べ、 語学留学だけでは留 学に対する評価は低いのですか? 留学に対する本当の評価というのは、留学の種類によって決まるのではなく、留学の目的をあな たがどのように達成し、またどのようにその後の進路に活かしていくかによって決まるのではな いでしょうか。 留学の目的が「限られた時間の中で語学力を最大限に高める」ことであり、その目的が達成され たなら、自分の留学経験に自信を持ってください。 第 2 章 留学しようと思ったら 学力 (卒業資格・学位と成績) ■出願・選考方法 つは必須です。 (1) 学位取得を目的とした留学の場合 「2.奨学金・ローン」<P.48>参照)、アルバイトは法律で制限または禁止している国・地域が多いの で、事前に十分な資金を用意しておいてください。 高等教育機関への留学にあたっては、 「学力(卒業資格・学位と成績)」 「語学力」 「資金力」の3 現地の学校に入学する際に求められる資格の例(国や教育機関によって異なる) : 短期大学・大学の場合 ●日本の高校を卒業 ●日本の大学に1年以上在籍 ●日本の大学の入学試験に合格、または大学入試センター試験で一定の得点をとる ●現地の準備コース(例:英国のファンデーションコース)を修了 ●現地の学力テストに合格 大学院の場合 ●修士課程入学の場合:学士号など ●博士課程入学の場合:修士号など ●語学力は学校によって求められるレベルが異なる ●専攻分野によっては、職歴が求められることもある 私がつくる海外留学 31 第2章 留学しようと思ったら 第2章 留学しようと思ったら 〜留学について知ろう〜 語学力 ●各種語学テスト(第4章「1.主な語学・学力テスト」<P.44>参照)の成績、または現地の学 校が実施する語学テストの成績で証明 ●現地語以外(主に英語)で行うコースを持つ国・地域(ヨーロッパやアジアなど)もある ●学費と現地での生活費をまかなう資金(長期間留学する場合は最低でも1年分以上)があるこ (2) 学位取得を目的としない高等教育機関への留学の場合 ■参加可能なプログラムの例 種類 特徴・プログラム例 とを証明する書類(預金残高証明書など)を提出 資金力 ※留学生用の学費が現地の学生用とは別に設定されている国や地域があるため、必ず留学生用 の学費を確認すること。 学位取得課程の授業を聴講 ●留学生が応募できる奨学金や授業料免除制度を持つ大学があり、出願と同時か入学申請後に 応募。ただし日本で申請する奨学金(第4章「2.奨学金・ローン」<P.48>参照)は、留学開 始時期の1年以上前に応募を締め切るものもある 留学生対象プログラムに参加 ●留学生のアルバイトは法律で制限または禁止している国・地域があるので、事前に十分な資金 を用意しておく必要がある ■出願・選考方法 出願書類(第3章「留学を決めたら Step .3 出願手続き」<P.40>参照)のみで入学の合否を決定 する国・地域が多く、現地の学生に対して課される入学試験が、留学生には免除されることもありま 公開講座に参加 特定分野の知識やスキルの習得 を目的としたプログラムに参加 ◦学校が認めれば、正規生と同じ授業を受講できる ◦単位の取得が認められることがある ※正規生・交換留学生が優先的に授業登録できることが多い ◦留学先の文化紹介講座 ◦集中語学コースなど ◦社会人向けなど一般に公開されている講座 ◦サマースクールやオープンコースなどは一般に公開されてい る場合が多い ◦課程修了後、修了証などが授与される ◦プログラミング、秘書業務、ビジネス、教員養成など分野 はさまざま す。また留学生向けの特別選考を設けている場合もあります。 ■編入制度 日本→海外 日本の短期大学、高等専門学校や専門学校卒業(短期大学士、準学士または専門士取得)後、ま たは日本の大学を卒業・退学後、海外の大学(学部)に編入を申請することができます。編入先の言 語(または英語)に翻訳した日本の学校の講義概要と成績証明書を提出し、それを元に編入先大学 が互換可能な単位数を独自に判断します。ただし、何単位認めてもらえるかを事前に、確実に把握す ることは難しいようです。 海外→海外 国・地域によっては大学への編入が一般的に行われているところがあります。 例えば、米国やカナダの短期大学には4年制大学に編入するためのコースがあります。また、オー ストラリアやニュージーランドの専門学校では、課程修了後に大学に編入することができる専攻分野 があります。進学を希望する大学と単位互換協定を結んでいる短期大学や専門学校を選ぶのも一案 でしょう。ただし、それぞれの学校が認定・登録されているか(第3章「留学を決めたら Step .2 学 校選択」<P.39>「海外における学校の認定・登録」参照)など、教育制度について事前に確認して おいてください。各学校の認定・登録団体が異なると、単位の互換性がない場合があり、せっかく取 得した単位が編入先で認められないこともあります。 32 第 2 章 留学しようと思ったら ■日本の大学に在学中の方 ●「交換留学」 ・「派遣留学」 →数週間~1学年間、在籍校と交流協定を結んでいる大学に留学する制度を一般的に「交換留学」、 または、 「派遣留学」といいます。 ・単位の互換:留学期間も在籍校の修業年限として算入され、留学先校で取得した単位は、交流協 定の範囲内で在籍校の単位として認められるのが一般的。必要単位を満たせば、留年せず卒業が 可能です。 ※在籍校と留学先校の両方の学位を取得できる、 「ダブルディグリー」、 「デュアルディグリー」とい われる制度を設けている学校もあります。 ・授業料:在籍校か留学先校のどちらか一方に払うのが一般的。奨学金制度を設けている場合があ るので、在籍校に確認してください。 ●「認定留学」 →在籍校との交流協定がない学校へ留学する場合で、一定の条件を満たせば休学扱いではなく、留 学扱いとなる留学を一般に「認定留学」といいます。 単位の互換:留学期間のうち特定の年限を日本の在籍校での修業年限として算入されることもあ ります。また、留学先校で取得した単位が在籍校で認められることもあります。 ・授業料:留学先校へは一般的に全額支払います。在籍校への支払いは大学により制度が異なり、 全額支払う場合、一部または全額免除の場合、在籍料のみ支払う場合などがあります。 「交換留 学」・「派遣留学」対象の奨学金への応募を認めている学校もあるので、在籍校に確認してくださ い。 私がつくる海外留学 33 第2章 留学しようと思ったら 第2章 留学しようと思ったら 〜留学について知ろう〜 ●「休学留学」 →在籍校を休学し、留学することを「休学留学」と一般に呼びます。 ・単位の互換:休学期間は在籍校の修業年限に算入されません。在籍校によっては、留学先校で取 得した単位を認定するところもあります。 ・授業料:留学先校のみに支払うのが一般的。在籍校での学籍を確保するために、一定額の授業料 または在籍料を納めるように求める学校もあります。 □在籍校が上記のどのような制度を認定しているのか、どの留学の種類が自分に合っているのか考え ■ ましょう。 ■社会人の方 →社会人でも高等教育機関のプログラムに参加できることがあります。また、社会人向けのプログラ ムを開設している学校もあります。社会人が留学する場合も、留学先校が提示する条件を満たす 必要があります。一般的な条件としては、語学力、卒業資格などが挙げられるでしょう。まず、自 分が参加したいプログラムやコースが社会人でも参加できるのかを確認してから、手続きするよう にしてください。 ■プログラム参加資格、出願・選考方法 →留学先の学校やプログラムの種類により異なります。⑴学位取得を目的とした留学の場合<P.31> の入学資格を参考にしながら、調べたり問い合わせたりしてみましょう。 Q. 海外の職 業・専 門 教 育はどの教 育 段 階で行われますか? 国・地域によって異なりますが、以下のような例があります。 A. ●日本の専門学校に相当するもの ●大学の学士号相当の学位が取得できるもの ●専門学校が大学と提携して、編入による学位取得ができるもの ●日本の中学校・高校にあたる中等教育に組み込まれているもの ※修 了後に発行される資格や修了証は、大学の学部レベル相当とみなされるもの、特定の職業に つく際に必要なもの、単にコースの受講を終えたことの証明にすぎないものなど、さまざまです。 Ⅲ.高校へ留学する 高校留学の方法は、大きく「交換留学」と「卒業目的留学」に分かれます。 (1) 交換留学 -異文化交流・異文化体験を目的とした期間限定の留学- 教育交流団体が実施している交換留学プログラムに参加する留学です。一般家庭(国・地域による が、主としてボランティア)にホームステイしながら現地の高校(主として公立高校)に1学年間通い ます。留学終了後は、日本の在籍校に復学するか、日本の在籍校を卒業します。 (2) 卒業目的留学 -主に現地の高校卒業を目標とする留学- 留学希望者が自分で留学計画を立て、自分の目的にあった留学先(国・地域、学校、滞在先)を 探し、入学・入国手続きを行って海外の高校へ留学します。生活体験ではなく、卒業を目標とする場 合は特に、現地の生徒と同じ授業についていけるだけの語学力と学力が必要です。 また、高校卒業後の進学等も念頭に置き、留学先の高校の認定・登録状況(第3章「留学を決めた ら Step .2 学校選択」<P.39>「海外における学校の認定・登録」参照)もよく調べておきましょう。 そのほか、学校間の姉妹校提携に基づいた姉妹校への留学(学校間の交換留学)、地方自治体や その管轄の国際交流協会が主催する海外の姉妹都市などの学校への留学、外国政府などから招かれ る留学などがあります。 ■語学力 交換留学実施団体や留学先校が求める語学力が必要です。各種語学テストや学校独自の語学テス トで判断されるのが一般的です。 Q. 小 学生や中学生でも留学できますか? A. できます。ただし、人格形成期に親元を離れ、慣れない環境で生活し 勉強しなければならないことなどを十分検討することが必要です。 小学生や中学生を対象とした、短期の語学研修プログラムなどがありますので、夏休みなどを利 用して参加してみるのもよいでしょう。長期間の留学を望む場合、留学後に日本の高校への進学 を視野に入れている方は、日本では小学校、中学校の計9年間が義務教育と定められていること を熟慮したうえで、慎重に行う必要があります。中には保護者と一緒に住むことが義務づけられ る国・地域や、入学自体が認められない国・地域もあります。 34 第 2 章 留学しようと思ったら 私がつくる海外留学 35 第3章 留学を決めたら 第3章 留学を決めたら 〜情報収集から渡航まで〜 留学実現までのステップ 語学学校 6ヶ月前 高校・大学 専門学校等 1年半前 プランニング(第2章「留学しようと思ったら」参照) ■ □留学の目的を明確化・具体化する。 ■ □留学のタイプを知り、プランを立てる。 Step .1 情報収集(P.37へ) ■ □留学希望先国・地域の教育制度、留学生受入れ制度、学校、 生活、ビザ、奨学金などの情報を集める。 Step .2 学校選択(P.38へ) ■ □自分の希望する条件に合い、自分が入学資格を満たしている 学校をいくつか絞る。 ■ □出願書類を入手する。 3ヶ月前 1年前 Step .3 出願手続き(P.40へ) ■ □願書、そのほかの必要書類を締切日までに送る。 Step .4 入学手続き(P.40へ) ■ □入学許可書などの書類を受け取る。 ■ □滞在先(宿舎)を確認する。 ■ □授業料など必要経費を送金する。 1〜3ヶ月前 1〜3ヶ月前 Step .5 渡航までの手続き(P.41へ) ■ □パスポートを申請する(Step .3の際に必要な場合あり)。 ■ □ビザを申請する。 ■ □ 航空券、保険を手配する。 ■ □外貨、クレジットカードを用意する。 Step .1 情報収集 〜どんな情報をどこから〜 留学の目的が明確になり、自分がしたい留学がどのタイプに当たるかが見えてきたら、本格的に情 報収集を始めましょう。 ■情報は一次情報源から、常にアップデート 必ず一次情報源(オリジナルの情報源)で最新の情報を見るようにしましょう。情報の種類ごとに、 最も適切な情報収集源があります。学校情報を調べるときはその学校のウェブサイト、ビザについて 調べるときはその国の大使館のウェブサイトが一次情報源(情報の発信元)です。幅広く情報を収集 し参考にすることは有意義ですが、最終的には必ずそれぞれの一次情報源で確認しましょう。以下の 情報収集源を参考にしてください。 情報の集め方(どんな情報をどこから集めるか) 必要な情報 留学の心構え、 手続き一般 ・日本学生支援機構ウェブサイト「海外留学情報ページ」 (http://www.jasso.go.jp/study_a/oversea_info. html) 国・地域の教育制度、 留学生受入れ制度など ・在日大使館、現地の教育省、そのほか公的機関の提供する 教育・留学情報 *ウェブサイトでの留学情報提供、留学関係の資料閲覧室の 運営、留学相談(電話、メール、面談) 、留学説明会・相談 会の開催(現地の学校や留学経験者が参加するものもある) を行っているところや、奨学金情報を提供したり、政府奨学 金の日本国内での窓口になったりしているところもある。 学校の詳細 (プログラム内容、入学条件、費用など) ・留学希望先校(公式ウェブサイト、最新のカタログ・募 集要項) *わからないことは直接学校に問い合わせる。 国・地域の入国・滞在手続き (ビザ(査証)、アルバイトの制限など) ・在日公館(大使館・領事館など) *ビザなどに関する規定は予告なしにしばしば変わるので 最新の情報を把握する。 奨学金 ・日本学生支援機構 海外留学奨学金情報ページ (http://www.jasso.go.jp/study_a/scholarships.html) 「海外留学奨学金パンフレット」 (http://www.jasso.go.jp/study_a/pamphlet_j.html) *奨 学金については上記だけでなく、必ず奨学金実施機関作 成の募集要項を確認すること。 ・在日大使館・公的留学情報機関のウェブサイトなど ・留学希望先校のウェブサイト ・地方自治体、自治体関係機関 ・在籍校のウェブサイト、教職員、関係学会など 願時に結果が出ているように逆算し、余裕を持って準備や申し込みをする必要があります。 現地での生活 ・各国政府観光局・教育関係機関、友好団体などのウェ ブサイト 校とのやりとりやビザの取得などにも、予想以上に時間がかかることがあります。直前にあわてて準 海外安全情報 ・外務省領事サービスセンター(海外安全相談班)など ➡第4章「3.海外安全・生活情報」<P.52>参照 出 発 ■留学準備に時間をかける 国や学校・課程によっては出願締切が入学の1年ほど前の場合があります。奨学金の募集は通常年 1回で、応募締切が入学の1年以上前のものも数多くあります。語学テストも混み合う時期を避け、出 また、自分の目的に見合う留学プラン作りや学校選びに時間をかけて取り組むことはもちろん、学 備をして、あとから「どうしてあの時これに気づかなかったんだ!」と後悔しないためにも、落ち着い て着実に準備を進めていきましょう。 36 情報収集源 第 3 章 留学を決めたら 渡航関連情報 (パスポート、各種届出・証明など) ・外務省ウェブサイト「渡航関連情報」など 私がつくる海外留学 37 第3章 留学を決めたら 第3章 留学を決めたら 〜情報収集から渡航まで〜 必要な情報 情報収集源 専攻予定分野の情報 ・志 望校の学部・学科のウェブサイト、学術文献、専門学 会に関する資料、研究論文データベース 語学・学力テスト ・各種テスト実施機関 ➡第4章「1.主な語学・学力テスト」<P.44>参照 姉妹都市間留学プログラム、自治体 による留学支援制度など ・地方自治体、自治体関係機関 *姉 妹都市間の協定などに基づいて、その自治体在住・ 在学者を派遣する留学プログラムを実施していたり、奨 学金を支給したり、日頃から留学情報を提供したりして いるところもある。 留学体験談・アドバイス ・留学経験者 ➡第1章「留学体験記」参照 *そ のほか、日本学生支援機構や在日大使館など公的な 留学情報提供機関のウェブサイトで留学体験談を読む (日本学生支援機構「海外留学経験者の追跡調査」な ど)。また、留学説明会・相談会などで直接話を聞く。 *留学経験者の話を通じて、留学生活のイメージをつかん だり、生きた情報を得たりするなど、自分で留学準備を 行うための参考にできる。ただし、あくまで個人の体 験・解釈であり、それだけですべてを判断することはで きないので注意する。 在籍校の留学制度、 単位認定条件など ・在籍する学校の国際交流担当部署など ➡第2章「日本の大学に在学中の方」<P.33>参照 すべての条件を満たす学校を見つけることが難しい場合、ある程度の妥協も必要になります。書き 出した条件の中で、どれが不可欠なのかを考えながら、自分なりの優先順位をつけておきましょう。 その順位を参考にしながら、学校選択ワークシート<P.58-59>を作成してみましょう。 ■学校選択のポイント 専攻するコースの内容 特に大学・大学院留学では、学校名・学部名・学科名だけでは、実際にどのような教育内容である かは判断できません。学校のウェブサイト、募集要項、シラバス、教員の研究テーマなどを参考にし て、自分が希望している分野の研究ができるかを確認しましょう。 現実的な計画 学力、語学力、資金力などを考慮して、留学が実現可能かどうか確認してください。場合によって は、計画を変更することも必要です。特に資金が十分でない場合、留学時期を遅らせる、期間を短 縮するなど無理のない計画を立てましょう。 ■学校に問い合わせる 計画を立てるうえで、疑問点や不明点があれば、直接学校にメールなどで問い合わせてみましょ う。学校の対応も、学校選択の参考になるかもしれません。 学校が公開している情報(ウェブサイト、カタログ、FAQなど)に目を通し、そこに載っていないこ とだけを問い合わせるようにします(公開されている情報について質問しても回答されない場合があ ります)。ウェブサイト上などで問い合わせ用のフォーマットが用意されている場合は、それを利用し Step .2 学校選択 〜出願先校を決定する〜 留学の目的やタイプ、さらに入学資格(学力、語学力、資金力など)を考慮したうえで、まずは学 校選択の条件を書き出してみましょう。 学 校 選 択の条 件(例) □学校の種類や特徴(国公私立などの設置区分、認定の有無、留学生受入れの可否など) □教育環境(学生総数、教員との比率、研究設備など) □プログラム(内容、期間、入学時期、指導方法、クラスの規模やレベル、取得可能な学位・資格、教員の質など) □応募資格(卒業資格・学位、職歴、年齢、学力、語学力) □出願・選考方法(出願書類、出願時期、出願先、書類選考、現地での入試や面接の有無など) □学費(授業料、寮費、教材費など) □留学生の受入れ実績、留学生のためのサービス (付属の語学学校、語学の補習クラス、留学生担当部署、留学生アドバイザーの有無など) □寮の有無、ホームステイ先など宿泊施設の種類 □経済援助(奨学金、授業料減免など) □生活環境(生活の便利さ、治安、生活費、気候など) □その他 38 第 3 章 留学を決めたら ます。 また、問い合わせ窓口がどこかを正確に把握したうえで、その窓口に問い合わせます。学校の規模 が大きくなるほど、出願、カリキュラム、入学許可、寮といった業務内容ごとの担当が分かれている ことが多いようです。 ■海外における学校の認定・登録 学校の認定・登録制度は国・地域によって異なりますので、自分が留学を希望する国・地域につい て必ず調べておきましょう。 日本では、全ての大学を文部科学省が認定していますが、専門学校は国・公・私立により認定機 関が異なります。 海外の学校の認定状況も国・地域によって異なります。認定・登録が制度として義務付けられてい たり、制度はあるが認定・登録は任意であったり、制度自体がなかったりするところなどがあります。 認定制度がある場合、その実施主体は中央政府、州などの地方政府、民間団体などさまざまです。 また、語学学校や大学など学校の種類ごとに、あるいは国内の地域や専攻により認定機関が異な る場合もあります。 認定・登録校でないと、次のような不都合が生じる可能性があります。 ①認定・登録校以外は留学生の受入れが認められず、ビザが下りない ②認定の有無によって取得した学位や資格の評価が同じではない また、認定・登録校であってもコース内容によってはビザが下りないこともあります。 なお、名称だけで学校の種類は判断できません。たとえばcollege、institute、schoolといった名 称が語学学校、高校、専門学校、大学、大学院のいずれにもつけられていることがあります。必ず学 校、教育省や登録団体のウェブサイト、募集要項などで確認しましょう。 私がつくる海外留学 39 第3章 留学を決めたら 第3章 留学を決めたら 〜情報収集から渡航まで〜 Step .3 出願手続き 志望校を絞り込んだら、出願に必要な手続きや書類を確認し、時間に余裕を持って準備を行いま しょう。最近では、出願はまずオンラインで手続きを開始し、その後必要書類を郵送する方法が主流 になってきています。すべての書類が届いたと思われる頃に、確実に届いているか確認の問い合わせ メールをしておくと安心です。 ■出願時期や出願先に注意する 出願時期を設定していても、優秀な学生から合格を通知し、締切日の前でも定員に達すれば受付 を締め切る大学があります。また、出願先が直接志望校ではなく、特定の願書受付機関や日本にあ る大使館などを通して出願するよう求める学校もあります。 また、郵送で出願する場合は、郵便事情を考慮し、到着が締切日を過ぎることのないよう、余裕 を持って投函の準備をしてください。 一 般 的な出 願 書 類 <大学など高等教育機関> ●願書 ●志望理由書、研究計画書、履歴書 ●卒業(在学)証明書 ●成績証明書 ●語学・学力テストの成績証明書 ●財政能力証明書(預金残高証明書など) ●推薦状 ●健康診断書 ●作品(主に芸術分野の場合) ●申請料 <語学学校> ●願書 ●卒業(在学)証明書(大学付属コースの場合) ●財政能力証明書(預金残高証明書など) ●申請料 Step .5 渡航までの手続き 1. パスポート(旅券) パスポートは海外で通用する身分証明書で、外国に出入国、滞在する際に必要です。持っていない 場合は、各地方自治体(都道府県と一部市町村)の旅券窓口で申請の手続きをします。すでに保有し ている場合も、学生ビザ申請時や入国審査時に、パスポートの残存有効期間が一定期間以上である ことを求める国・地域が多いため、有効期間が十分に残っていることを確認してください。なお、留 学先滞在中にパスポートの有効期限が切れる場合は、有効期限終了前に現地の日本大使館・総領事 館で切り替えることができます。詳しくは、外務省ウェブサイト「渡航関連情報」(http://www. mofa.go.jp/mofaj/toko)で確認してください。 2. ビザ(査証)の申請 ビザとは、申請した外国人が入国・滞在しても差し支えないという判断を外国の関係当局(移民局 など)が示すものです。学校に通う場合は、一般的に「学生ビザ」を取得します。 ビザを取得するために必要な書類・手続き方法などは国などにより異なり、情報は予告なく変更さ れることがあります。必ず日本国内にある留学先国・地域の大使館・領事館などに直接問い合わせ、 最新情報を確認してください。 ビザ申請に必要な書類 <一般的に必要なもの> ●申請書 ●パスポート ●入学許可書 ●財政能力証明書(預金残高証明書・学費支払証明書など) ●申請料 <国・地域によって必要なもの> ●健康診断書 ●往復航空券のコピー ●戸籍謄(抄)本、住民票 ●滞在先(宿泊先)証明書 ●保険加入証明書 ●警察証明書(無犯罪証明書) ●保証人による保証書 ●留学の理由書・志望動機書 ●語学能力証明書 ●卒業(在学)証明書 ●成績証明書 Step .4 入学手続き 一般的に書類選考で合否結果を出す大学が多いですが、中には入学・実技・語学試験や面接を課 す場合もあります。出願書類送付後、かなり期間が経過しても連絡がなければ、直接学校に審査の *上記の書類について、在日外国領事による認証(「領事認証」)、大使館などが指定する団体による現地語訳、 外務省による証明(「アポスティーユ<付箋による証明>」または「公印確認」)などを求められることがある。 外務省による証明については、外務省ウェブサイト「各種証明・申請手続きガイド」 (http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/todoke/shomei)参照。 進み具合を問い合わせましょう。 3. 航空券 泊施設の案内などの書類も確認します。 必要です。また、渡航時期や航空会社、予約・キャンセル条件などにより、行き先は同じでも運賃は ど、記載内容に誤りがないかを確認し、各書類に記されている指示に従って、指定期日までに必要な ザが発給されてから航空券を購入するよう勧めている国・地域もありますので、最も条件に合う航空 志望校から入学許可通知の書類が届いたら、最も重要な入学許可書に加えて、学費の請求書や宿 特に入学許可書は学生ビザ・滞在許可の申請時に必要なため、自分の名前、受講コース・期間な 手続きを終わらせるようにしてください。 学校や滞在先を決めたら航空券を手配します。出発時期が混雑期と重なる場合は、早めの予約が 大きく変わります。ビザ申請時に航空券のコピーを提出しなければならない国・地域がある一方、ビ 券をタイミングよく購入するようにしましょう。 4. 滞在先 主な滞在先として、寮、ホームステイ、アパートなどが挙げられますが、留学先の学校から宿泊施 設に関する情報を入手できることが多いです。留学前に滞在先を確保することがベストですが、現地 到着後自分で滞在先を探す場合は、あらかじめホテルなどを予約しておき、学校が始まる前までに滞 在先を決めておくと安心です。 40 第 3 章 留学を決めたら 私がつくる海外留学 41 第3章 留学を決めたら 第3章 留学を決めたら 〜情報収集から渡航まで〜 〈寮〉 国・地域にもよりますが、短期大学や専門学校、語学学校などで寮を持っているところは限られるのに対し、大学 の多くがキャンパス内や近辺に寮を持っています。寮は比較的通学に便利な立地にあり、現地・諸外国の学生との 交流の場でもあります。しかし、1人部屋ではなく2人以上の部屋であったり、キッチン・バス・トイレなどは共有し たりすることが多いので、集団生活をするための規律を守らなければなりません。また、休暇中は部屋を空けなけ ればならない場合があります。入寮希望者が多いケースもあるので、早めに問い合わせましょう。 6. 予防接種 出願時や入学時、渡航時に特定の予防接種の接種済み証明を求められることがあります。自分の身 を守るという観点からも、留学先の国・地域に応じて必要と思われる予防接種は受けておくと安心で す。期間をあけて複数回接種が必要な種類もありますので、厚生労働省検疫所ウェブサイト「FORTH 海外で健康に過ごすために」 (第4章「3.海外安全・生活情報」<P.52>参照)などを利用して事前に 確認したうえで、時間に余裕を持って接種を受けましょう。 7. 荷物 現地で購入できるものもありますが、書籍、文房具、衣類、電気製品、医薬品など、特に必要なもの 〈ホームステイ〉 国・地域によってさまざまですが、食事を用意してくれるところもあれば、下宿のようなところもあります。私立の 語学学校では、ホームステイ先を紹介してくれるところが多いので、食べ物やアレルギーなど特に配慮してもらいた いことがある場合は申請時にあらかじめ伝えておきましょう。語学の上達や文化を理解するにはよい環境ですが、 家族の一員として十分にコミュニケーションを取り、ルールを守り、相手の生活パターンに合わせることが求められ ます。 〈アパート〉 1人で借りる場合や、1軒の家やアパートを数人が共同で借りるシェアといわれるスタイルがあります。物件の情報は 現地での口コミや情報誌、インターネットなどから集めることができます。自分で物件の契約を交わす場合は、契約 内容を理解できる語学力や、現地での不動産賃貸に関する基礎的な知識が必要です。したがって、トラブルを防ぐた めにも、語学力が足りない留学当初にアパートを1人で借りるときは十分注意しましょう。学校が始まり、土地勘が備 わってくるとよい物件にたどりつけるかもしれません。シェアの場合は比較的費用を抑えられ、 1人1部屋で、キッチン・ バス・トイレなどを共有というケースが多くなります。他人と共同生活するため、貴重品の管理に注意し、入居時に は共有部分である水道光熱費の支払いや掃除分担、生活スタイルなどのルールを話し合っておくことが不可欠です。 5. 保険 不慮の事故や病気に備えて、保険には必ず加入しておきましょう。保険料、補償範囲、補償額、 はリストを作って準備します。到着後すぐに必要なものは手荷物やスーツケースなどで持参し、当面必要 な身の回り品以外は別送することができます。日本からパソコンを持参する場合は、インターネットの接 続環境やパソコンの規格についてあらかじめ調べておき、変圧器やプラグアダプターなどが必要であれ ば用意します。新たに購入する場合は、電圧の違いなどにも対応する仕様のものを選ぶとよいでしょう。 8. お金の準備や管理・送金手続き お金は以下の方法で、複数の組み合わせで用意し、現地では分散して管理するほうがよいでしょう。 ①現地通貨(到着後当面必要な額) ②トラベラーズチェック(T/C) ③クレジットカードや国際キャッシュカード(現地でクレジットカードを入手することは難しかったり、 入手できたとしても利用料が割高になったりすることがある) 長期留学の場合は、現地で銀行口座を開設し、日本から送金してもらうのが一般的です。現地の銀 行に口座を開設すると、デビットカードとクレジットカードの両方の機能を備えたカードを作成できる 場合もあります。口座は数種類の身分証明書と預入れ金で開設できることが多いですが、国や銀行に より条件が異なったり、口座を開設するまでに時間がかかったりする場合があるため、到着後早めに 現地の銀行で確認してください。なお、留学先の学校が特定の銀行を紹介してくれることもあります。 9. 携帯電話・スマートフォン 日本で購入した携帯電話・スマートフォンを海外で利用する場合は、料金システム等を事前によく 確認しましょう。現地で比較的容易に入手できるプリペイド式は、携帯電話とスマートフォンでは料金 体系などが異なるので確認が必要です。 サービス内容や緊急時の対応は保険会社により異なるため、よく比較検討したうえで選びましょう。 ■留学後の進学・就職 ①出発前に留学生用の保険に入る(海外旅行用の保険でも対応可能な場合あり) ぎません。それゆえ留学後の進路に関しては、留学経験者のための就職説明会の日程、企業による 主な加入方法は次のとおりです。 ②留学先の国・地域の学校などが紹介してくれる現地の保険に入る(日本を出発した後、現地で契約 することになるが、それまでの期間は補償されない) ③上記両方の保険に入る なお、国・地域や学校によっては、特定の補償内容を持つ保険に加入しなければ入学許可やビザが 下りない場合もあります。留学先校などに事前に確認してください。 留学はそれ自体が目的ではなく、将来したいことの実現・就きたい職業に到達するための手段に過 選考時期などを留学前から十分にリサーチしたり、進学の可能性を探ったりするなど、時間の無駄な く準備していきましょう。早めに的確に情報収集すること、よく考えること、決断・応募のタイミング を逃さないことが重要です。 留学で得た知識や経験をどう役立てるか、自分の「強み」は何かを、日頃から意識することも大切 です。 ➡参照:第1章「留学体験記―留学後の人生」 海外留学経験者の追跡調査(http://www.jasso.go.jp/study_a/enquete2012.html) 42 第 3 章 留学を決めたら 私がつくる海外留学 43 第4章 留学に関する各種情報 第4章 留学に関する各種情報 1 主な語学・学力テスト それぞれのテストの種類や形態など、詳しくはウェブサイトなどでご確認ください。 〔語学・学力テスト受験にあたっての注意〕 ・留学先国や学校によって、受けるべきテストが指定されています。行きたい国や学校がどのテスト を指定しているか確認しましょう。 ・テストによっては国内で受験できる回数が限られており、また実施回数が多くても受験申込が多い と希望の日程や会場で受験できなくなることもあります。複数回の受験も可能なように、余裕を もった受験プランを立てましょう。 ▼ 語学テスト [英語] Common European Framework of Reference for Languagesの略。欧州評議会で開発 され、2001年に公表されたヨーロッパ言語学習者の能力評価基準で、6段階評価を行います。 ヨーロッパ言語の語学テストではこの基準を用いたレベル設定が多く、ヨーロッパ言語以外で は、HSK(中国語)でもCEFRを採用しています。 [中国語] HSK(漢語水平考試) 中国の大学・大学院への留学希望者が公式に語学力を証明できる中国政府公認の中国語力判定テス ト。1~6級があり、6級が最高。大学留学の際の語学力証明としての有効期間は2年。 〈実施機関〉中国国家漢語国際推進事務室 http://www.chinesetest.cn 〈国内問合先〉HSK日本実施委員会 http://www.hskj.jp TOEFL(Test of English as a Foreign Language) 英語圏の大学など高等教育機関、一部高校への留学希望者を対象とした英語力判定テスト。日本で はiBT(Internet-based Test)を実施。 ※TOEFL ITPテスト(団体向けペーパーテスト)は留学先へ提出するための正式な証明として利用で きないので注意。 〈実施機関〉ETS(Educational Testing Service) http://www.ets.org/toefl 〈国内問合先〉国際教育交換協議会(CIEE)日本代表部 http://www.cieej.or.jp プロメトリック(株) http://ac.prometric-jp.com/toefl/jp/online.html IELTS(International English Language Testing System) 英語圏(主に英国、アイルランド、オーストラリア、ニュージーランド)の大学など高等教育機関への 留学希望者を対象とした英語力判定テスト。 〈実施機関〉IELTS http://www.ielts.org 〈国内問合先〉 (公財)日本英語検定協会 http://www.eiken.or.jp/ielts PTE Academic(Pearson Test of English Academic) 英語を主要言語として使用している大学など高等教育機関への留学希望者が英語力を証明するため の英語力判定テスト。 〈実施機関/国内問合先〉Pearson http://www.pearsonpte.jp 英検(実用英語技能検定) 米国、カナダ、英国、オーストラリアなどの高等教育機関や高校の一部で、留学時の英語力判定テス トとして認められている。 〈実施機関〉 (公財)日本英語検定協会 http://www.eiken.or.jp/eiken/merit/abroad/ TOEFL Junior(Test of English as a Foreign Language Junior) 英語を母語としない中高生の英語運用能力を測定するテスト。 〈実施機関〉ETS(Educational Testing Service) http://www.ets.org/toefl_junior 〈国内問合先〉グローバル・コミュニケーション&テスティング http://toefljunior.jp/ 44 C EFR (欧州言語共通参照枠)とは? 第 4 章 留学に関する各種情報 [韓国語] S-TOPIK(一般韓国語能力試験) 韓国の大学など高等教育機関への留学希望者を対象とした韓国政府公認の韓国語力判定テスト。 初級、中級、高級の3段階から選んで受験する。有効期間は2年。 〈実施機関〉韓国教育部国立国際教育院 http://www.topik.go.kr 〈国内問合先〉韓国教育財団 http://www.kref.or.jp/korea_kentei [ドイツ語] TestDaF(Test Deutsch als Fremdsprache) 主にドイツの大学への留学希望者を対象としたドイツ語力判定テスト。4項目からなり、全ての項目が レベル4に達した者は、ドイツのどの大学からも入学に必要な語学力を有すると認められる。大学へ の提出時には3年以内の証明書を求められることがある。 〈実施機関〉TestDaF Institut http://www.testdaf.de 〈国内問合先〉東京ドイツ文化センター http://www.goethe.de/ins/jp/tok/jaindex.htm 獨協大学 http://www.dokkyo.ac.jp/shiencenter/shiencenter03_06_01_j.html C2:GDS(Goethe-Zertifikat C2: Großes Deutsches Sprachdiplom) ゲーテドイツ語検定試験C2:ドイツ語大ディプロム試験。CEFRの最高レベルC2に相当する、非常 に高いドイツ語力を証明する資格試験。2012年5月をもって終了したZOP、KDS、GDSの3つの試験 に代わり導入された。C2:GDSの合格証はこの3つの試験と同様に、ドイツの大学入学手続きでドイ ツ語能力証明書として通用する。無期限有効だが、語学証明書としては2年以内のものが望ましい。 〈実施機関〉ゲーテ・インスティトゥート http://www.goethe.de/lrn/prj/pba/bes/nc2/enindex.htm 〈国内問合先〉東京ドイツ文化センター http://www.goethe.de/ins/jp/tok/lrn/prf/nc2/jaindex.htm 私がつくる海外留学 45 第4章 留学に関する各種情報 第4章 留学に関する各種情報 ÖSD(Österreichisches Sprachdiplom Deutsch) ▼ 学力テスト オーストリア政府公認のドイツ語資格試験。CEFRに対応したレベル設定。C1 (Oberstufe Deutsch) SAT(Scholastic Assessment Test) 語学能力証明書として認められている。 むこと)、数学とライティング(エッセイと文法問題)からなるThe SATと、20種の科目別テストから1 以上の合格証は、オーストリア国内の全大学およびドイツ・スイスの一部大学において、入学に必要な 〈実施機関〉ÖSD事務局 http://www.osd.at 〈国内問合先〉ÖSD事務局 http://www.flc.kyushu-u.ac.jp/~de/oesd [フランス語] DELF(Diplôme d'Etudes en Langue Française) DALF(Diplôme Approfondi de Langue Française) フランス国民教育省が認定するフランス語資格試験。CEFRに対応したレベル設定。DALF C1以上を 取得すると、フランスの大学学部入学のためのフランス語試験が免除される。 〈実施機関〉フランス国民教育省CIEP(Centre international d’ études pédagogiques) http://www.ciep.fr/delfdalf 〈国内問合先〉アンスティチュ・フランセ関西-大阪DELF・DALF試験管理センター http://www.delfdalf.jp/ TCF(Test de Connaissance du Français) フランスの大学に出願する際に公式にフランス語力を証明できるテスト。得点に応じてCEFRの6段階 のいずれかで示され、不合格はない。有効期間は2年。 〈実施機関〉フランス国民教育省CIEP(Centre international d’ études pédagogiques) http://www.ciep.fr/tcf 〈国内問合先〉アンスティチュ・フランセ関西-大阪DELF・DALF試験管理センター http://www.delfdalf.jp/tcf_jp.htm [スペイン語] 主に米国の大学入学希望者を対象とした学力テスト。クリティカル・リーディング(批判的に文章を読 回の試験につき最高3科目まで選んで受験するSAT Subject Testsの2種類がある。日本でも各地の インターナショナルスクールなどで実施されている。 〈実施機関〉College Board - SAT Program http://sat.collegeboard.org ACT(American College Test) 主に米国の大学入学希望者を対象とした学力テスト。英語、数学、読解、理科とライティング(オプ ショナル)からなる。日本でも各地のインターナショナルスクールなどで、年2〜5回実施されている。 〈実施機関〉ACT, Inc. http://www.actstudent.org GMAT(Graduate Management Admission Test) 主に米国やカナダの経営大学院入学希望者を対象とした学力テスト。英語、数学、分析作文、論理 思考の4科目からなる。日本国内主要都市で受験できる。 〈実施機関〉Graduate Management Admission Council http://www.mba.com/global GRE(Graduate Record Examinations) 主に米国やカナダの学術系大学院入学希望者を対象とした学力テスト。General Test(英語、数学、 分析作文。CBT=コンピューター版及びPBT=ペーパー版)とSubject Test(PBTのみ。7つの専門 分野)の2種類がある。日本国内の3都市で受験できる。 〈実施機関・PBT予約先〉ETS (Educational Testing Service) http://www.ets.org/gre 〈国内問合先・CBT予約先〉プロメトリック(株) http://ac.prometric-jp.com/gre/jp/index.html LSAT(Law School Admission Test) 米国やカナダの法律大学院(J.D.プログラム)入学に際して要求される学力テスト。読解、分析、論 理、記述からなる。日本では、テンプル大学ジャパンキャンパスで年4回実施されている。 〈実施機関〉Law School Admission Council http://www.lsac.org DELE(Diplomas de Español como Lengua Extranjera) SSAT(Secondary School Admission Test) るとスペインの大学入学のためのスペイン語力を証明できる。 は、東京のアメリカン・スクール・イン・ジャパンと名古屋のナゴヤ・インターナショナルスクールでそ スペイン教育文化スポーツ省公認のスペイン語資格試験。CEFRに対応したレベル設定。C2を取得す 〈実施機関〉セルバンテス文化センター http://diplomas.cervantes.es 〈国内問合先〉セルバンテス文化センター東京 http://www.dele.jp 主に米国の高校入学希望者を対象とした学力テスト。英語、数学、読解の3科目からなる。日本で れぞれ年数回実施されている。 〈実施機関〉SSAT http://www.ssat.org ※掲載している情報は、すべて2014年2月現在のものです。 46 第 4 章 留学に関する各種情報 私がつくる海外留学 47 第4章 留学に関する各種情報 第4章 留学に関する各種情報 2 奨学金・ローン 奨学金には、渡航前またはすでに留学中の人を対象に、日本国内で募集されるものと現地で募集さ 学金。日本の学校を卒業(見込みを含む)後2年以内の人および高等専門学校3年次修了(見込み 一般的に、語学留学より大学留学、大学留学より大学院留学というように、応募できる奨学金の種 む)が対象です。また、卒業後ただちに(1年以内)海外の大学へ編入する目的で、海外の短期大 れるものとがあります。 類は段階的に増えていきます。日本で募集される奨学金は海外渡航前の人を対象としているものが多 いので、情報収集など事前準備には十分に時間をとりましょう。場合によっては留学開始時期の1年 以上前に応募を締め切るものもありますので、締切や条件、倍率等についても十分に考慮しましょう。 Ⅰ.日本で募集される奨学金・教育ローン 1. 独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の奨学金 ①「海外留学支援制度(長期派遣)」 (給付型) http://www.jasso.go.jp/scholarship/long_term_h.html を含む)後4年以内の人、高等学校卒業程度認定試験合格者(科目合格者、受験手続済みの者含 学などに留学する場合も対象になります。 申し込みは日本の学校を通じて行います。留学前にあらかじめ申し込む「予約制度」です。 ⑤「第二種奨学金(短期留学)」 (有利子貸与型) http://www.jasso.go.jp/saiyou/tanki_ryuugaku.html 海外の短期大学、大学、大学院への短期留学(原則として3か月以上1年以内、ダブルディグ リー ・プログラムは最大2年まで)を対象とした貸与型(要返還)の奨学金。日本の学校の正規課 程在籍者が対象で、交流協定などに基づく留学、留学先の取得単位が帰国後認定される留学およ び海外の大学院などでの研究を目的とする留学に限られます。 申し込みは留学前に、日本の学校を通じて行います。 修士または博士の学位取得を目指し、海外の大学に1年以上留学する学生等を対象とした奨学金。 2. 地方自治体の奨学金 ※「 海外留学支援制度(長期派遣) 」の受給決定者を対象とした貸与型奨学金(無利子)の創設を 中には返済が必要なものもあります。 申し込みは日本の大学を通じて行います(条件により、個人応募が可能)。 予定しています。詳細は決まり次第、http://www.jasso.go.jp/saiyou/index.html#kaigaiに 掲載します。 ②「海外留学支援制度(短期派遣)」 (給付型) http://www.jasso.go.jp/scholarship/short_term_h.html 大学間交流協定などにより海外の高等教育機関などに短期間(8日以上1年以内)留学をする、 日本の大学、大学院、短期大学、高等専門学校第3年次以上(専攻科含む)、専修学校(専門課 程)の正規課程在籍者を対象とした奨学金。 申し込みは日本の大学・学校を通じて行います。 ※「 海外留学支援制度(短期派遣) 」の受給決定者を対象とした貸与型奨学金(無利子)の創設を 国内地方自治体や国際交流協会などが住民やその地域に関係のある人を対象に募集しています。 3. 外国政府等の奨学金 外国政府や外国政府関係団体が、その国・地域の大学などへ留学する日本人を対象に募集してい ます。支給期間は1年以内から複数年までさまざまで、留学先の学校は本国側の指定校から選択する 場合が多くなっています。 募集は、各国毎に通常毎年度1回、ほぼ同時期に行われますが、その国の事情などによって募集が 見合わされたり、募集時期が前後したりする場合があります。 インド アジア ヨーロッパ 欧州連合(EU) 外国政府等奨学金を実施している国・地域一覧 インドネシア 韓国 シンガポール スリランカ 台湾 中国 ブルネイ・ダルサラーム マレーシア モンゴル 予定しています。詳細は決まり次第、http://www.jasso.go.jp/saiyou/index.html#kaigaiに 掲載します。 ③「海外留学支援制度(短期派遣) (ICI-ECP プロジェクト枠) (給付型) http://www.jasso.go.jp/scholarship/iciecp.html 日本政府および欧州連合(EU)間教育連携プログラムの一環として実施する給付型奨学金。日 本および欧州の高等教育機関それぞれ2機関以上が共同で実施する学生交流プロジェクト(ICI ECP [Mobility Projects及びDouble Degree Projects])により留学する学生を対象とします。 申し込みは日本の大学・学校を通じて行います。 ④「第二種奨学金(海外)」 (有利子貸与型) http://www.jasso.go.jp/saiyou/ryuugaku17.html 海外の大学、大学院の正規課程(学位取得課程)への留学を対象とした貸与型(要返還)の奨 48 第 4 章 留学に関する各種情報 中近東・ アフリカ イスラエル エジプト オマーン クウェート チュニジア トルコ アイスランド アイルランド イギリス イタリア オーストリア オランダ ギリシャ スイス スウェーデン スペイン スロバキア スロベニア チェコ デンマーク ドイツ ノルウェー ヨーロッパ オセアニア ハンガリー フィンランド フランス ベルギー ポーランド リトアニア ルーマニア ロシア オーストラリア 北米 アメリカ合衆国 カナダ 中南米 コロンビア メキシコ 日本学生支援機構のウェブサイト内「外国政府等奨学金留学生」ページ (http://www.jasso.go.jp/study_a/scholarships_foreign.html)に和文募集要項または実施機関ウェ ブサイトへのリンクを掲載しておりますので、参照してください。 ※本冊子に掲載している情報は、2014年2月現在のものです。 ※掲 載されていない国・地域でも日本人が対象となる奨学金制度がある場合がありますので、留学希望国 の大使館または教育機関に直接問い合わせてみましょう。 私がつくる海外留学 49 第4章 留学に関する各種情報 第4章 留学に関する各種情報 4. 民間団体の奨学金 Ⅱ.海外で募集される奨学金 民間企業・団体が募集している奨学金で、多くの場合、専攻分野や留学対象国・地域などに指定 があります。中には返済が必要なものもあります。 また、公益財団法人助成財団センター(http://www.jfc.or.jp)の「民間助成金ガイド」には、日 本の助成財団による、海外留学に限定されないさまざまな助成制度が掲載されています。 5. 日本の大学等の奨学金 在学生が交換留学や私費留学をする場合に奨学金を支給している場合があります。詳しくは、在 学する大学などにお問い合わせください。 6. 金融機関などによる教育ローン ◆日本政策金融公庫の国民生活事業「国の教育ローン」 http://www.jfc.go.jp/n/finance/search/ippan.html 0570-008656(ナビダイヤル) (教育ローンコールセンター) 03-5321-8656(公衆電話などから) ◆そのほかの金融機関の教育ローン 留学に利用できるものもあります。詳しくは、各金融機関にお問い合わせください。 留学希望先校の奨学金(授業料減免なども含む)と、現地の研究所や民間の団体による奨学金が あります。 海外で募集される奨学金に関する主なチェックポイント □返済義務の有無:給付型(返済義務なし)か、貸与型(返済義務あり)か。 □学校選択、入学手続き:本人が行うのか、支給団体が行うのか。 □応募資格:学生一般(現地学生も含む)が対象か、外国人留学生のみが対象か、特定の国出身者のみが対象か。 □応募時期:いつの時点で応募可能か。 奨学金への応募と留学希望先校への出願を同時進行できるもの、奨学金応募時に入学許可や入学の内諾を得てい る必要があるもの、入学後に初めて応募できるもの、入学後一定期間経過後、優秀な成績を収めた学生に支給さ れるものなどがあります。 □学力や年収/所得の基準:成績優秀者に与えられるものか、経済状況に応じて与えられるものか。 □趣旨:何らかの仕事や課題が義務づけられているか。 学校による奨学金の中には、専攻に関連する分野で助手として研究や授業、事務の手伝いをすることが条件に 日本で募集される奨学金、ローンに関する主なチェックポイント □返済義務の有無:給付型(返済義務なし)か、貸与型(返済義務あり)か。 □応募資格:対象となる学校の種類や課程、専攻分野・成績・語学力、応募者の国籍などの条件。また、応募時 に日本の大学などの学生である必要があるか。 □学校選択、入学手続き:本人が行うのか、支給団体が行うのか。 □応募時期:奨学金への応募の時点で、留学希望先校に合格している必要があるか。 なっているものもあります。支給団体によっては、一定の研究成果の提出を求める場合もありますので、それぞれ の奨学金の趣旨をよく確認する必要があります。 海外で募集される奨学金の情報入手方法 留学先国の大使館や公的機関のウェブサイトから情報を収集しましょう。また、留学希望先の学校 のウェブサイトに奨学金情報が掲載されていることも多いのでよく読み、わからない点はメールなど で問い合わせてみましょう。 応募時に留学先校からの受入許可書の提出を求める奨学金もありますが、奨学金への応募と留学希望先校への出 願を同時進行することができ、学校からの受入許可書が後日得られることを条件に仮合格を出す奨学金もありま す。この場合は、奨学金の応募締切日が留学開始予定時期の1年以上前に設定されていることが多く、早めの情 報収集が必要です。 なお、奨学金応募には以下のようなことに留意してください □日頃からの準備 □留学中の応募の可否:すでに留学している場合も応募可能か。 ・学業に励み、よい成績を収める。 基本的には渡航前の人が対象ですが、すでに留学していても選考時に日本に帰国すればよいもの、書類審査など ・留学先国・地域の言語を学習し、語学試験・資格試験を受験する(スコアを準備する)。 で帰国せずに選考を受けられるものもあります。 □応募にあたっての注意 ・奨学金提供の目的をよく理解し、正確に書類を記入・作成する。 日本で募集される奨学金、ローンの情報入手方法 ◆『海外留学奨学金パンフレット』 (日本学生支援機構発行) 前述1〜4の奨学金種類別に、問い合わせ先、応募資格、支給内容、募集内容などを掲載しています。 ウェブサイトで閲覧も可能です。http://www.jasso.go.jp/study_a/pamphlet_j.html 50 第 4 章 留学に関する各種情報 ・書類は不備がないように準備し、簡潔にわかりやすく、指定の字数・枚数を守って作成する。 ・明確な研究計画を用意する。留学後の計画も検討しておく。 ・わからない部分は問い合わせ、疑問点を解決する。 ・提出前に書類を第三者に読んでもらい、客観的な記述を心がける。 私がつくる海外留学 51 第4章 留学に関する各種情報 第4章 留学に関する各種情報 3 海外安全・生活情報 留学先の国・地域で安全に過ごすための基礎情報を集めました。 渡航前に、必ず現地の安全情報を調べ、生活のイメージを持っておきましょう。 また、現地でトラブルに遭ったときの対処法も確認しておき、万一の際に備えましょう。 (1) 海外安全情報 ■基本情報 <インターネットで> ●病 気やケガをしてしまったら、学校のスタッフやホストファミリーなど身近な人にまずアドバイス をもらい、慌てず対処しましょう。大学に通っている場合は、施設内にヘルス・クリニックが併設 されていることもあるので、相談しましょう。 <盗難・紛失> ●普段から貴重品管理はしっかりと行いましょう。 ●盗難・紛失の際、学校に相談窓口がある場合は、まずそこに相談してください。 ●現地の警察に被害の事実を届け出て、被害届の受理書(ポリスレポート※)を受け取ってください。 外務省:「海外安全ホームページ」 (http://www.anzen.mofa.go.jp/) ●盗難・紛失にあったものの種類に応じて、できるだけ速やかに所定の手続きを行ってください。 厚生労働省検疫所:「FORTH海外で健康に過ごすために」 (http://www.forth.go.jp/) 各種クレジットカード・トラベラーズチェック→関係金融機関へ 国・地域別に、テロ・犯罪・感染症の情報、渡航・滞在に際しての注意を掲載。 国・地域別の感染症別情報、予防接種情報など、渡行前・渡行中・帰国後にわたる参考情報を掲 載。 現地の公的機関の情報 犯罪件数や災害情報などをウェブサイトで公表している国・地域もあります。現地の警察庁などの 情報を確認してください。 現地の日本大使館・総領事館 現地に住む日本人向けにウェブサイトで治安情報を提供している場合があります。 海外の日本大使館・総領事館のウェブサイトへは、外務省のサイト(http://www.mofa.go.jp/ mofaj/)からアクセスできます。 日本国外に3ヶ月以上滞在する場合は、必ず「在留届」を日本の外務省に提出しましょう。インター ネット(http://www.ezairyu.mofa.go.jp)で提出可能です。現地の日本大使館または総領事館に 直接提出することもできます。 <電話・窓口で> 外務省領事サービスセンター(海外安全相談班) 〒100-8919 東京都千代田区霞ヶ関2-2-1 TEL 03-5501-8162(直通) 窓口・電話で相談可能。安全情報の資料閲覧、パンフレットの入手もできます。 現地の日本大使館・総領事館 外務省のウェブサイト(http://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/zaigai/list/)から、在外日本大 使館・総領事館の所在地・連絡先を確認することができます。 ■各種トラブル <病気・ケガ> 留学前 ●渡 航前に健康診断を受け、病気やケガがあれば治療を済ませておきましょう。体調管理をするこ とが留学先での病気・ケガの予防につながります。 ※地域によって予防接種が必要なこともあるので、渡航前に確認してください。 ●現 地の医療事情を調べ、留学先の学校にも必ず確認のうえ、必要な保険には必ず加入しておき ましょう。保険のきく病院や近隣にある病院の情報などをあらかじめ知っていると、いざという ときに慌てずに済みます。 52 留学中 第 4 章 留学に関する各種情報 パスポート→最寄の大使館・総領事館へ 航空券→購入先の旅行会社・航空会社へ 海外旅行傷害保険に加入している場合→保険会社へ ※ポリスレポートはパスポートの再発給申請や保険請求などの際に必要になります。 <災害・騒乱などの緊急事態> ●「危険な場所には近づかない」というのが鉄則です。事件や災害を予測することは困難ですが、 過去の事件等がどのような場所や状況で起こったかなどの事前情報を入手し行動することで被害 に遭うリスクを減らすことができます。 ●万一の場合は、最寄の日本大使館・総領事館、家族、所属校などに連絡をしてください。電話・ インターネットなどが使えない場合は、安全確保を第一に、冷静に待機もしくは避難してください。 (2) 海外生活情報 ■基本情報 <インターネットで> 各国・地域の政府観光局ウェブサイト 観光誘致を積極的に実施している国・地域の多くは、物価、宿泊施設、交通手段、気候などの情報 を政府観光局のウェブサイトで提供しています。 現地の日本大使館・総領事館 現地に住む日本人向けにウェブサイトで生活情報を提供している場合があります。 海 外 の日本 大 使 館・総 領 事館のウェブサイトへは外 務 省のサイト(http://www.mofa.go.jp/ mofaj/)からアクセスできます。 独立行政法人国際協力機構(JICA)ウェブサイト:「世界の様子(国別生活情報)」 (http://www.jica.go.jp/regions/seikatsu/) 国際協力のために開発途上国へ派遣された技術協力専門家などJICA関係者を中心にまとめた世界 の生活情報を紹介。 <学校関係者・留学経験者から> 公的機関の情報に加えて、留学先の学校関係者や同じ学校に留学した経験者の話も聞いておくと 参考になるでしょう。 私がつくる海外留学 53 第4章 留学に関する各種情報 第4章 留学に関する各種情報 4 あっせん 留学斡旋業者等の利用について ※この冊子では、留学手続き代行・留学先斡旋・滞在中のサポートなどを行う業者・団体を、営利・ 非営利に関わらず「留学斡旋業者(斡旋業者)」と表示しています。 1.留学準備・手続きは自分で進めることが基本 日本学生支援機構では、以下の理由から、自分自身で留学手続きを行うことをお勧めしており、そ のために必要な情報を機構のウェブサイト等を通じて提供しています。 ●海外で勉強するためには何より自主性が不可欠です。 ●留学の方法(国、学校の種類、課程、留学時期など)には幅広い選択肢があります。自分の将 来の目標と現在の状況を照らし合わせ、これらの中から最適な方法を自分自身で自由に選ぶこと □自分でできることや留学先の学校が提供するサポートサービスの内容を把握し、業者に依頼するサ ポートの範囲を明確にする。 □業者の知名度や支払い金額だけで判断せず、料金の明細やサービスの内容で選ぶ。 (料金の明細を確認し、どんなサービスにいくら払うのか、何の費用が含まれているのかなど個別 に確認します。) □業者は万能ではないことを認識する。 (学校は個々の留学希望者の学力などの条件を審査したうえで入学許可を決定します。ビザの取得 も各国政府が定めた財政能力等の要件を本人が満たしている場合に限られますので、業者に代行 を依頼しても許可が下りない場合もあります。) ができます。 □電話やメールでのやりとりだけで済ませず、可能な限り業者を訪問して担当者から直接話を聞く。 ◦自分のペースで情報収集と手続きを進めることで、自分の目標・留学に対する考えが明確にな □複数の業者を時間をかけて比較検討し、疑問点をすべて解決し、契約書(約款)の内容を完全に ●手続きを自分で進める過程で次のようなメリットが得られます。 る。また、目標が当初と変わったときに、それに適した方向転換(留学方法の変更、日本での 進学など)をしやすくなる。 (現地でのサポート体制やトラブル処理についても、事前に確認しておくとよいでしょう。) 理解したうえで契約する。 ◦語学力の向上に役立つほか、現地の教育制度や文化への理解が高まる。留学生活にスムーズ 4.斡旋業者選びのチェックポイント ◦自分で判断し、行動する力が身につく。 者を選ぶうえで重要なポイントとなります。業者の説明にこれらの情報が含まれていない場合は、こ に移行するための「慣らし運転期間」になる。 ◦留学までの経緯を自分で把握しているので、留学後に学校などと見解の食い違いが起こったと きに自分の立場を主張できる。特に、授業料や滞在費などの経費を直接支払っていれば金銭 上のトラブルを避けられる。 2.留学斡旋業者を利用するということ もっとも、自分で情報収集や手続きをする時間がとれない、出願書類を添削してほしい、十分な語 学力がない、希望する留学開始時期まで時間がないなど、自分では困難な部分について、外部の サービスを利用するのも一つの方法でしょう。 しかし 「留学斡旋」と呼ばれるサービスの種類は多岐にわたる上、これらのサービス全体を包括的 に規制する法律等はなく、留学斡旋業者には国や自治体の許可や登録は必要ありません。 斡旋団体・業者を利用する場合は、必ず複数の会社・団体を比較しましょう。100%頼るのではな く、下記を参考に、自主性を保ち、賢い消費者の目で、目的に合った業者・プログラムを上手に利用 以下の項目の多くは、情報公開または開示が法的に義務づけられているわけではありませんが、業 ちらから問い合わせてみましょう。その際の対応姿勢も、判断材料の1つになります。 □組織情報、財務状況、業務実績、プログラムの内容などに関する情報公開度 □留学先の学校・留学先国に関する情報提供 □業者と留学先の学校との関係 □現地の委託業者がある場合、その委託業者の情報と契約内容 □現実的な留学計画の選択を勧めているか □契約内容、料金体系、責任の範囲、免責事項、変更・取り消し・不測の事態に関する取り決め 各項目についての詳しい説明は、日本学生支援機構のウェブサイト内「留学斡旋業者の利用につい て」 (http://www.jasso.go.jp/study_a/oversea_info_04.html)をご参照ください。 することをお勧めします。 3.留学斡旋業者を利用する場合に気をつけること □現地の教育制度、社会・法制度、準備・手続き方法、生活環境など、留学についての知識を自分 でも身につける。 □自分が何のために、どんな留学をしたいのかを明確にする。 □直接、一次情報源(第3章「留学を決めたら Step .1 情報収集」<P.37>参照)から最新で正確 な情報を得る。 (学校については学校の公式ウェブサイトなどから。出願や授業料の支払い等、手続きの進み具合 が心配なときは、自分で直接学校へメールを送って確認できます。ビザについては大使館・領事館 のウェブサイトや領事部に問い合わせましょう。) 54 第 4 章 留学に関する各種情報 私がつくる海外留学 55 第4章 留学に関する各種情報 第4章 留学に関する各種情報 5.トラブルにつながりやすい例 ⑴ 条件・準備不足なのに留学や就労体験を勧める。 (「必要な条件(語学力、学力、資金力など)がそろっていなくても、簡単に留学できる」 「どんなに 準備不足でも、現地へ渡航したあと努力すれば対応できる」といった説明を行う場合。) ⑵ 申込・契約を急がせる。 (現在、留学斡旋サービスの場合、業者がクーリングオフの規定を自主的に設け、契約書に明記し ている場合を除いて、基本的にはクーリングオフが適用されません。) ⑶ 「留学で日本での就職が有利になる資格を取得できる」 、 「留学終了後、現地で就職できる」とい 破綻した業者が学費やホームステイ代金、寮費などを留学生から預かって支払いを代行していた 場合、すぐに学校担当者に直接相談し、これらの経費が実際に支払われているのか、未払いがあ る場合、いつまでの在学・居住が認められるのかなどをきちんと確認しましょう。 業者が破綻すると、預けたお金が戻ってくる例は少ないのが実情です。家族などともよく相談し、 今後の方針や進路を冷静かつ適切に決めましょう。 そのうえで、留学を続けることを決めた場合は、今後の手続き方法などを学校や公的機関に相 談し、適切な選択をするようにしてください。焦って新たな契約をしないよう、この冊子を読み直 し、第三者(公的団体等)のアドバイスを受けて対処するようにしてください。 うような宣伝を行う。 ⑷ 現地でのサポート体制に不明瞭さがある。 ⑸ 留学費用に関して不明瞭さがある。 これらについての詳しい説明は、日本学生支援機構のウェブサイト内「留学斡旋業者等の利用につ いて」 (http://www.jasso.go.jp/study_a/oversea_info_04.html)をご参照ください。 6.トラブルになったら ⑴ 契約上のトラブル 斡旋業者との間にトラブルが発生した場合、まずは業者と直接話し合い、解決する努力をしま しょう。 消費者契約法には、不当に高額な解約金条項を無効とするなど消費者保護のための規定が定め られています。このような法律の定めを参考にし、居住地域にある自治体の消費生活センター(以 下、 「消費生活センター等」といいます)にアドバイスを求めながら、業者と交渉していくことにな ります。また、当該業者が業界団体に加盟していたり、何らかの認証を受けていたりする場合は、 その団体に対応を相談することもできます。 円滑に交渉を進めるためにも、業者とのやりとりの記録(契約書、領収書、E-mail/FAXの写し、 電話や面談の場合は話した日時・相手の名前・話の内容を相手に確認しながらまとめたメモなど) を残しておきましょう。 <主な参考ウェブサイト> ●一般社団法人留学サービス審査機構(J-CROSS) http://www.jcross.or.jp/ ●独立行政法人国民生活センター「増加する『留学等斡旋サービス』トラブル」2005年5月10日 http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20050510_2.html ●東京都生活文化局消費生活部・東京都消費生活総合センター「相談したい: クーリング・オフ」 http://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/sodan/k_c_off/ ●消費者庁ニュースリリース「留学等あっせんサービスをめぐるトラブルと消費者へのアドバイス」 2010年7月15日 http://www.caa.go.jp/adjustments/pdf/100715adjustments_1.pdf ※(「4.相談窓口」に記載されている(独)日本学生支援機構留学情報センターは、2011年3月 31日で相談業務を終了し、インターネットとイベントによる情報提供を行っています。) ●留学・語学研修等協議会「留学・語学研修等取扱ガイドライン」 (平成19年5月14日改正) http://www.jata-net.or.jp/ciel/guideline/index.html ※そのほかにも、参考になるウェブサイトはたくさんあります。日本学生支援機構ウェブサイト内「留学斡旋 業者等の利用について」 (http://www.jasso.go.jp/study_a/oversea_info_04.html)の文末からご 覧ください。 しかし、話し合いで解決しない場合は、時間、費用、精神的な負担を覚悟のうえ、自分自身で または弁護士に相談して、民事訴訟を起こすしかないのが現状です。 このようなことにならないためにも、契約の際には、業者が提供するサービスを十分確認し、内 容をしっかり把握することが大切です。 ⑵ 経営破綻によるトラブル 契約した業者が経営破綻などを起こし倒産するトラブルもあります。 数店舗の支社を一度に閉鎖したり、担当者と連絡がとりづらくなったり、業者から随時支払われ ているはずの授業料や住居費を学校や宿舎などから直接請求されるなどの動きがあったときは、 早めに業者に事実確認するとともに、消費生活センター等に相談しましょう。 実際に経営破綻などが起きてしまったときは、まず自分の状況を冷静に確認し、契約内容や証 拠書類を再確認しましょう。そして消費生活センター等に相談し、アドバイスを受けてください。 破産の場合は債権者説明会や裁判所からの文書などにより状況が説明されますので、内容をよく 確認し、必要な手続きをとるようにしてください。 グジャラート・アユルヴェーダ大学(インド) 56 第 4 章 留学に関する各種情報 私がつくる海外留学 57 学校選択ワークシート 学校のウェブサイトやカタログで詳細情報を収集し、自分の希望と比較してみましょう。 日本学生支援機構のウェブサイトから、下の表をダウンロードできます(Excel形式)。 (http://www.jasso. go.jp/study_a/guidebook.html)複数の学校の情報を記入し、比較・検討してみましょう。 《第3章「留学を 決めたら Step .2 学校選択」<P.38-39参照>》 記入例 希望 学校名 希望 記入例 出願締切日 12月以降 オ ン ラ イ ン 出 願 が 可 能 秋入学の場合 6月1日まで 春入学の場合 10月15日まで 出願後1~2か月以内 出願書類受領後2~3 週間 国・州・地域 アメリカ東海岸 ペンシルベニア州 エディンボロ 立地条件 小・中規模都市 ピッツバーグから180 キロの人口6,400人の 町 滞在先 学生寮 学生寮あり 学校の種類 公立 州立大学(共学) 奨学金 留学生向けの奨学金 あり 留 学 生 向 けは特にな いが、留学生も申し込 める奨学金はある 学校の規模 少人数 7,300人 留学生サービス 留学生アドバイザー 英語準備コースあり 英語準備コース 留 学 生 向 け オリエン テーションあり 取得可能 学位・資格 学士号 準学士号、学士号、 修士号、博士号 社会学 社会学で学位取得可 能 環境が良く、スポーツ が盛んなところ 自 然 が 豊 かで 美しい 立 地。 クロ ス カント リーが盛んで、スポー ツ環 境 が 充 実してい る。 1年に複数回 6月・10月の年2回 US$25,000/年 以下 滞在費: US$11,000/学年 授業料: US$13,000/学年 高校卒業資格 米 国 中 等 教 育(12年 間 )と同 等 の高 校 卒 業 資 格で成 績 証明 書 を 提 出。 また専 攻 に よりSATもしくはACT が必要となる。 興味のあるコース 入学時期 費用 出願資格:学力 出願資格:語学力 58 (例)Edinboro University of Pennsylvania ※記入例は、日本の高校3年生が卒業後に、社会学を学ぶことができるアメリカの大学へ入学を希望する場合を例にしてい ます。 (2014年2月現在の情報) 。希望する教育機関によって、必要となる項目(例:語学学校の場合は、クラスサイズや 授業時間数など)を自由に枠内に記入し、ご利用ください。 学校選択ワークシート 合否発表 MEMO1 MEMO2 総合評価 ★5:最も条件に合う~ TOEFL iBT:80くらい TOEFL iBT:61以上 ★★★ ★1:最も条件に合わない 私がつくる海外留学 59 海外留学情報は 日本学生支援機構(JASSO)ウェブサイトへ! 日本学生支援機構(JASSO)は、海外留学について知りたい方、留学したい方が主体的に留学を 実現できるように、インターネットやイベントによる情報提供を行っています。 留学イベントの実施 *入場無料です ■ 海外留学フェア http://www.jasso.go.jp/study_a/info_fair.html 海外留学を希望する方(学生、社会人)のためのイベントとして、多数の国や地域(2013年実績: 17か国・地域)の大使館・教育関係機関などの担当者や多数の留学経験者の生の声を聞くことが インターネットによる留学情報提供 ■ 留学生支援情報ページ http://www.jasso.go.jp/ryugaku/ 奨学金募集・イベント情報など、留学に関する最新のお知らせを 掲載しています。 できるイベント「海外留学フェア」を開催しています。 ■ 海外留学説明会 http://www.jasso.go.jp/study_a/seminar.html 海外留学を希望する方のために、留学経験者による体験談や日本 学生支援機構の奨学金制度の説明を東京・大阪・札幌・名古屋で行っ ています。 JASSOの海外留学イベントにはどなたでもご参加いただけます。 例えば ■ 海外留学情報ページ http://www.jasso.go.jp/study_a/oversea_info.html ・留学に興味・関心があるがまだ具体的に考えたことのない方 別留学情報や高校留学の手引き、JASSOが実施した海外留学に ・関係機関から詳しく情報収集したい方 海外留学のための基礎情報を掲載しています。国・地域別、言語 ・まずは基本情報を知りたい方・体験談を聞いてみたい方 関する調査結果なども掲載しています。 ・学生・社会人・関係者・ご家族・教職員 など ■ 海外留学奨学金ページ http://www.jasso.go.jp/study_a/scholarships.html JASSO、外国政府、地方自治体、民間団体などによる海外留学奨学金情報を掲載しています。 ■ 海外留学FAQ-よくある質問集 http://www.jasso.go.jp/study_a/safaq_main.html 海外留学に関する、よくある質問とその回答を掲載しています。 ■ 海外留学情報リンク集 http://www.jasso.go.jp/links/links_sa.html 海外の公的な留学情報を収集できるウェブサイトや、国内にある 公的な情報提供機関・相談機関のウェブサイトを内容別・地域別 に紹介しています。 ■ 海外留学イベントページ http://www.jasso.go.jp/study_a/event.html JASSOが主催する海外留学イベントのほか、他の公的機関の海 外留学イベント・セミナー情報を掲載しています。 また、公的機関等が主催する留学イベントにも出展しています。 印刷物による留学情報提供 *インターネットでも お読みいただけます ■ 私がつくる海外留学 http://www.jasso.go.jp/study_a/guidebook.html 海外留学の体験談、基本情報、アドバイスを掲載しています。 ■ 海外留学奨学金パンフレット http://www.jasso.go.jp/study_a/pamphlet_j.html 海外留学希望者を対象とした奨学金のリストを掲載しています。 日本学生支援機構(JASSO)とは 独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)は、国内外の大学等で学ぶ学生等に対する適切な修学 環境を整備し、次代を担う豊かな人材の育成に資するとともに、国際相互理解の増進に寄与すること を目的として各種事業を行っています。 JASSOでは国際教育交流促進のため、留学を希望する学生、社会人、関係者のために、日本から 海外への留学・海外から日本への留学に関する情報提供を広く一般に無料で行っています。 ※留学相談サービス(電話・メール・面談・FAX・手紙)は、2011年3月末日をもって終了いたしました。 60 海外留学情報は日本学生支援機構(JASSO)ウェブサイトへ! 私がつくる海外留学 61 私がつくる海外留学 (非売品) 2006年3月31日 初 版 第1刷発行 2007年3月30日 第2版第1刷発行 2008年3月31日 第3版第1刷発行 2009年3月31日 第4版第1刷発行 2010年3月31日 第5版第1刷発行 2011年3月31日 第6版第1刷発行 2012年3月31日 第7版第1刷発行 2013年3月31日 第8版第1刷発行 2014年3月31日 第9版第1刷発行 独立行政法人 日本学生支援機構 留学生事業部 留学情報課 〒135-8630 東京都江東区青海2-2-1 TEL.03-5520-6111 FAX.03-5520-6121 http://www.jasso.go.jp/ryugaku この冊子や日本学生支援機構のイベントに ご協力いただける海外留学経験者を募集しています。 ご興味のある方は、日本学生支援機構ウェブサイトの 応募フォームからご連絡ください。 http://www.jasso.go.jp/study_a/event.html 禁無断転載
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