普及だより98号(H18.1.1)(261KB)(PDF文書) - 秋田県

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普及だより
98
18
<
平成
年
1月1日
編集・発行 由利地域振興局 農林部 普及指導課
TEL:0184―22―8354 FAX:0184―22―6974
H P:http://www.pref.akita.jp/komachi/hukyuu/yuri
謹賀新年
ゆめあかり
皆様のお役に立つ普及活動を推進します。
本年もよろしくお願いします。
秋田紅あかり
秋しずく
秋田県育成オリジナルりんご品種
秋田県果樹試験場で育成された「秋田紅あかり」が、昨年秋に初出荷を迎えました。
とても甘∼いりんごで、消費者の評判も上々です。由利地域でも栽培されていますので、是非
ご賞味ください。
後継品種の「ゆめあかり」
(秋田17号:登録申請中)、
「秋しずく」
(秋田18号:登録申請中)も苗木の販
売が始まりました。
「ゆめあかり」は甘酸適和、
「秋しずく」は多汁でナシのような食感、今までにない
特徴をもった品種で、
大変注目されています。
2∼3年後には販売が始まりますので、
ご期待ください。
古紙配合率100%再生紙を使用しています
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普 及 だ よ り 98 号
新たな戦略 ∼その1∼『ネギの作期拡大を目指して』
昨年夏から普及指導課では、農業試験場と連携しながら、
にかほ市前川の池田宏さんの圃場で「羽
緑一本太」を用いて「越冬春どり(5∼6月)」と「小トンネル利用による夏どり
(7月)」の展示圃を設
置しましたので、その内容を紹介します。
越冬春どり(5∼6月)
関東地域以南のネギの端境期(5∼6月)に出荷する作
型です。この作型は越冬後、抽だい前に収穫するので、収
穫適期幅が短いことから、無理のない作付面積とします。
・品種は越冬率が高く、抽だいの遅い「羽緑一本太」(晩
抽性一本太ネギのF1種)で、抽だいは元晴晩生と同
等かやや遅く、越冬率が高く、春先の生育量は旺盛です。
8月定植直後
また、元晴晩生より収穫後の日持ちに優れています。
・育苗はCP(チェーンポット)育苗で行い、1穴2粒
播きとします。
・定植後の栽培管理は、越冬前の削り込み・土寄せは5
回程度に分けてこまめに行います。削り込み・土寄せ
の直前にチッソ成分で10a当たり2∼3O追肥します。
1回目の削り込みは、葉鞘部の太さが5A程度になっ
た頃に行い、土を通路部から削るように、ネギの植え
11月中旬の生育状況
溝に埋め戻します。削り込みは、中耕を兼ねながら2
回程度行い溝を埋めます。その後の土寄せは、概ね20日おきを目安とし管理機で行いま
す。1回当たりの土寄せ量は、ネギの生育に応じて異なりますが、5∼7B程度とし、
本葉4∼5枚を確保します。
小トンネル利用による夏どり(7月)
県内では、7月の出荷量が少なく、価格が堅調で経営
的にも有利な作型です。
今までは、ハウス越冬地床育苗による4月定植7月収
穫栽培が行われていましたが、秋に定植して、冬期間小
トンネルを利用して栽培する方法です。昨年8月11日に
「羽緑一本太」を播種し、10月6日に定植して、11月16
日に被覆(パオパオ)を開始しました。4月中旬に被覆
を除去します。
小トンネルの支柱
被 覆 完 了
被覆資材あり
被覆資材なし
2
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普 及 だ よ り 98 号
∼その2∼『由利地域のキクづくり』
JA秋田しんせいでは、市場での優位性を高める観点や作業効率の向上を目指すため、様々な
りん
取り組みを推進しています。その中から、特に鮮度の高い輪ギクの話題を紹介します。
苗は外国産
由利地域では輪ギク、スプレーギク、小ギクの3種類を栽
培しています。中でも輪ギクは最も需要があるため、全国銘
せい
きょく
いわ
はくせん
柄の「精の曲(黄色)」と「岩の白扇(白)」に注目し、お盆と秋彼
岸用に8戸が導入しました。
「精の曲」は“ブラジル”、「岩の白扇」は“中国”で日
本の種苗会社が育苗しています。外国で育苗する理由は、周
年生産等で苗代を安くできるためです。
この2品種を核とし、由利地域でも輪ギク栽培の増加が見
込まれています。
「精の曲」の草姿
機械定植で能率アップ
キク栽培では定植作業に難儀し、規模拡大が容
易でありません。そのため、この定植を機械で行
う試験が仁賀保地区で行われました。
この機械は、2∼3人組みで人力の8倍という
植え付け性能があります。但し、値段はまだまだ
手頃とはいかないため、見学した農家から何とも
言えないタメイキが漏れていました。
しかし、横手市十文字地区の農家は実際に導入
し、
作業効率の向上で規模拡大に結びつけています。
機械定植の試験開始
露地電照栽培で有利販売
夜10時から約5時間、専用の電球を点灯してキクの生育・
開花を調整し、予定した時期に出荷させるのが電照栽培です。
通常は施設の輪ギクで行われますが、最近は写真のように仕
掛けした露地電照も普及しています。
気象条件に左右されやすい露地の輪ギクでも電照栽培が普
及している背景には、市場がお盆や秋彼岸の大きな需要期に
計画的で確実な出荷を産地に求めているためです。市場と事
前に約束した量を確実に出荷できる産地は市場の信頼が高ま
り、有利販売(予約相対取引)で価格の安定も期待出来ます。
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露地での電照栽培
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普 及 だ よ り 98 号
ボリューム感あふれる野菜、こだわりの地域特産品が自慢の直売所
= がんばっています「ゆりちゃん市場」=
国道108号線沿いJA由利総合支店敷地内に昨年8月スター
トした常設直売所「ゆりちゃん市場」(会員35人)は始めての
冬場を迎え品揃えに奮闘中です。インショップを除く管内の常設
直売所は12カ所、その中でも数少ない独立店舗の直売所です。
「ゆりちゃん市場」の一番の自慢は、なんと言っても新鮮で美
味しい高原野菜。鮮やかな色の人参、ボリューム感たっぷりの白
菜や大根、特産のセリなどはここならではのものです。
漬物は野菜など素材にこだわった様々なものがあり、特に秋か
ら冬の“カナカブ漬”は売れ筋です。また、地域推奨“ゆりちゃ
んマーク”のゆり根や人参、古代米を使ったお菓子やうどんなど、
会員たちは煎餅・かりんとう、ケーキなど商品開発にも積極的に
取り組んでいます。
直売所は専門部会制による運
営で、供給力アップ・栽培・加工
等相互研鑽に努め、
消費者ニーズに応えるよう努力をしています。
直売所では飲食店営業許可を取得しており、オリジナルのに
んじんソフトとコーヒーで一息つけるようにカウンターが設置
され、ゆとりのスペースと清潔感、オレンジのエプロンが明る
い、これからの発展が期待されている直売所です。
∼そば栽培の取り組み∼
由利本荘市石沢地区「新鮮館107」
直売所「新鮮館107」の会員を中心に、「農業・農村いきいきシニア活動促進事業」により、
そば栽培に取り組んでいます。
みごとなそば畑が石沢
農業生産活動
地域づくり活動
地区に出現しました
そば栽培を中心に、野菜
栽培講習、そば・漬物加工
の農産物活用について研修
しています。
消費者との交流「収
穫感謝祭」で手打ちそ
ばを振る舞いました。
石沢産の新そば粉を用
いた「そば打ち体験」
も好評でした。
農業・農村いきいきシニア活動促進事業とは
手打ちそば
農業就業人口の相当数を占める高齢者やシニア農業者など
の農業生産活動の促進とその支援体制を整備する事業です。
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普 及 だ よ り 98 号
たか し
青年農業士
新農業士の紹介
農事組合法人
(水稲2,330
a+ぶなしめじ)の 若 手
構成員として「ぶなしめ
じ」生産に従事していま
す。現在、培地のびん詰
め、接種、培養などの管
理を担当しながら栽培技
術の向上に努めており、
将来、地域における「きのこ生産」の中核として
活躍が期待されています。
∼由利地域の農業を支える∼
平成17年度、新たに次の6名の皆さんが農業士に
認定されましたので、紹介します。
き
指導農業士
よ
かず
横山喜代和氏 (にかほ市仁賀保)
水稲(673a)
+花き(38a)
の複合経営に取り組み、水
稲の作業受託を中心として
経営規模を拡大しながら、
経営の安定化を図っていま
す。また、水稲の一部で減
農薬減化学肥料栽培を実施
して、付加価値を高めた
「こだわり米」ブランドで出荷することで消費者
から高い評価を得ています。
よし ふみ
青年農業士
斎藤 正樹氏 (にかほ市仁賀保)
小菊は、由利地域で最
大規模の経営面積であり、
援農組織を活用した労働
力確保や機械導入による
省力化を図ることで、高
品質安定生産を実現して
います。また、夫婦間で
家族経営協定を締結し、
作目・財務・販売管理・収益の配分等完全な分担
制をとっているなど、地域の模範的な農業経営を
実践しています。
まこと
青年農業士
鈴木 真氏 (にかほ市仁賀保)
花き部門(20a)
におい
て、トルコギキョウ単作
から小菊を加えた2品目
栽培に転換して、花き部
門の拡充と経営の安定化
を図っています。さらに、
販売にあたっては、直売
用に独自の包装を施すな
ど、工夫した販売活動を展開しており、その積極
的な経営姿勢は地域農業青年をリードしています。
かく えい
青年農業士
須藤 好史氏 (にかほ市仁賀保)
畜産部門(肉用牛繁殖
30頭)の規模拡大に伴っ
て発生量が増加した家畜
排泄物に着目し、優良な
品質の堆肥を高品質生産
につなげる循環型農業を
実践しています。また、
和牛改良部会の若手グル
ープのリーダーとして家畜市場の運営にも関わる
ほか、農近ゼミ活動にも積極的に参加し、地域青
年農業者のリーダーとして活躍しています。
まさ き
指導農業士
須田 貴史氏 (由利本荘市西目町)
佐藤 角栄氏 (由利本荘市矢島町)
水稲(394a)
+花き(20
a)+酪農(9頭)の複合経
営の中で、花き部門を担
当しています。花きの秀
品率向上と収益確保のた
め、積極的に技術習得に
努めるとともに、出前販
売や直販活動を積極的に
行うなど、独自の販路開拓に取り組んでおり、そ
の積極的な販売活動は地域青年農業者に大きな影
響を与えています。
∼ 農業士の役割 ∼
指導農業士の2名には地域農業振興 の先導役と
して、青年農業士の4名には地域農業の担い手 と
しての活躍が期待されます。
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普 及 だ よ り 98 号
∼平成17年度秋田県農林水産大賞∼
∼全国優良畜産経営管理技術発表会∼
産地部門 大賞受賞!
!
農林水産大臣賞受賞!
!
JAアスパラガス部会
柴田輝男・誠子氏(由利本荘市西目町)
JA秋田しんせいアス
パラガス部会が、昨年9
月10日秋田県農林水産大
賞表彰式で、産地部門大
賞を受賞しました。
今回の受賞は、部会員
の栽培に対する姿勢や消費者の視点を取り
入れた販売の実施などが評価されました。
●アスパラガス部会の特徴
①核家族化が進んでいる中で消費者ニー
ズに対応して、県内唯ーの1束100
昨年10月20日に、
東京都「虎ノ門パストラ
g結束出荷を実施
ル」にて、「平成17年度全国優良畜産経営
②毎月出荷市場へのアンケート調査を行
管理技術発表会」が開催され、由利本荘市西
い、規格・品質を確認
目町で酪農を経営している柴田輝男・誠子
③年間需要の増加に対応した周年出荷を
氏が最優秀賞・農林水産大臣賞・中央畜産
目指した栽培の導入
会長賞を併せて受賞しました。
∼第128回秋田県種苗交換会∼
フレッシュファーマー紹介
‘りんご’で農林水産大臣賞受賞!
!
「俺もりんごも鮮度120%!
!」
斎藤 亨氏(由利本荘市西目町)
黒木 敦さん(由利本荘市鳥海町)
平成17年3月に秋田県果樹試験場での研修
を修了後、就農した黒木さんを紹介します。
Q:りんご生産スタートの年を終えた感想と
今後の抱負を一言 !
A:作るって意識だけじゃ売れるりんごはで
きないんです。それぞれの樹の個性を理
解しそれにあった管理(気遣い)がすご
く大切だということを痛感しました。
A:毎日の作業の中
で小さな事でも
課題と疑問を見
つけ、たくさん
の技術と知識を
身につけていき
たいと思ってい
ます。
「うちのりんごは最高ですよ!」
由利本荘市西目町の斎藤亨氏が秋田県種
苗交換会果実部門(りんご:ふじ)で農林
水産大臣賞を受賞しました。消費者ニーズ
をとらえ、優良品種を積極的に導入するな
ど、日頃の徹底した栽培管理が実を結びま
した。「今後も消費者に満足してもらえる
りんご栽培に努めたい」と斎藤さん。より
一層りんごづくりに情熱を注ぎます。
この印刷物は10,300部作成し、
印刷経費は1部当たり8円20銭です。
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