4.横須賀市環境マネジメントシステム(YES)

平成 21 年度 庁内環境活動の取組状況
4.横須賀市環境マネジメントシステム(YES)
4-1 ISO14001の認証返上からYES(ワイ・イー・エス)へ
本市は、市役所本庁舎、行政センターなどで平成 11 年 12 月に環境マネジメントシステムの国際規格
である ISO14001 の認証を取得し、この規格に基づいた環境マネジメントシステムにより、継続的な環境
活動に取り組んできました。
しかし平成 18 年度末をもってこの規格の認証を返上し、市長の環境方針のもと、平成 19 年3月に横
須賀市環境マネジメントシステム(Yokosuka Environmental management System =YES(ワイ・イー・エ
ス))を構築し、同年4月に移行しました。
ISO14001 国際規格認証の返上理由
① 職員の環境配慮行動の定着
認証取得以来7年間にわたる継続的活動によって、光熱水費等の削減効果が上がるとともに、職員に
環境配慮行動が定着し、細かくマニュアル整備を行わなくとも、環境活動の水準が維持できる状態となっ
た。
② 全ての公共施設を対象とする環境マネジメントシステムの必要性
平成 18 年3月に、市の事務事業からの温室効果ガスの排出削減を図るための「地球温暖化対策
実行計画」を改定し、取組範囲をそれまでの ISO14001 適用施設から全ての公共施設に拡大したた
め、全施設を対象とすることができる環境マネジメントシステムの構築が必要となった。
③ 効率的な事務執行の必要性
ISO14001 環境マネジメントシステムの目的目標に位置づけ進行管理している環境基本計画の施策に
関しては、他のシステム(環境審議会による環境基本計画の進行管理や事務事業評価等)でも進行管理
や評価がなされており、重複しない効率的な事務執行が求められていた。
主な変更点
① ISO14001 環境マネジメントシステム
② 適用範囲 ISO 適用 22 施設
(他に下水道管理部門 23 施設)
③ 部局を中心とした環境活動
④ 環境基本計画施策の目的目標への
位置づけの推進
⑤ 厳格な ISO 固有の文書管理
⇒
⇒
⑥ 内部環境監査と第3者機関認証審査
⑦ 国際規格適合と目標適合中心の
システム適合監査
⑧ 監査による良好事項の評価のみ
⇒
⇒
⇒
⑨ 環境管理委員会での重要事項審議
⇒
4.横須賀市環境マネジメントシステム(YES)
⇒
⇒
本市独自の環境マネジメントシステム
全ての公共施設 305 施設
(指定管理者を置く施設は除く)
課等を中心とした環境活動
目標には一切位置づけない
⇒
134
一般文書と同様の公文書取扱規程に基づく
文書管理
内部環境監査のみ
活動の成果を中心に実施するパフォーマンス
監査
内部環境監査による優良取組のピックアップ
と市長による表彰
環境総合調整会議での重要事項審議
(環境管理委員会は廃止)
平成 21 年度 庁内環境活動の取組状況
4-2 YESの目的
YESの目的は、本市が行う全ての事務・事業において、環境への配慮が当たり前になされている状態
(環境文化の醸成)の実現です。
今まで
ISO14001 時代
これから
YES
プラス効果
最終的には
環境像
目的
踏襲!
①環境行動の定着
環境文化の醸成
②光熱水費の削減
全ての事務事業の執行におい
て、日常的に環境への配慮が
なされている状態
③PDCAサイクルの
導入
人と自然にやさしく、
うるおいのあるまち
よこすか
現在及び将来の市民が持
続的に環境の恵みを享受で
きる横須賀の実現
基本目標1
健康で安心して暮らせ
る生活環境の形成
マイナス面
基本目標2
特徴
①ISO14001規格へ
の適合を最重要
視し、成果をあげ
ることが軽視され
がち
払拭!
① 自己管理を基本とす
る仕組み
② 簡素な仕組み
③ 努力が報われる仕
組み
②厳格な文書管理
に伴う重い事務負
担
海に開かれた緑豊かな
自然と共生するまちづく
り
基本目標3
環境への負荷の少ない
循環型社会の形成
基本目標4
市民協働による環境に
配慮したまちづくり
環境基本計画等に示された施策・事務事業の推進
4-3 YESの推進体制
YESは全ての市有公共施設(305 施設、指定管理者が管理する施設を除く)を対象にし、全職員がこ
れに基づき環境活動を行ないます。
YESの維持
及び継続的
改善を
します
監査を実施す
るとともに、監
査チームを代
表します
監査を実
施します
環境監査組織
YESを総合
的に推進
します
環境経営組織
最高責任者
(市長)
総括責任者
主任監査員
(課長職)
(自然・環境政策担当部長)
監査員
(主査級、
担当者級)
主任環境マネージャー
(総務担当課長)
部局の環境マネ
ジメントシステム
の実施状況を総
括管理します
環境活動
の単位
環境管理責任者
(部局長)
最高責任者
を補佐します
副最高責任者
(副市長)
環境総合政策会議
(部局長以上)
YES事 務 局
(自然・環境政策課)
総括責任者の実
務を担います
環境マネージャー
(課長等)
環境管理責任
者の実務を
担います
環境リーダー
(総務担当主査等)
課の環境活動
を管理します
職員
環境活動組織
135
環境マネー
ジャーの実
務を担いま
す
4.横須賀市環境マネジメントシステム(YES)
平成 21 年度 庁内環境活動の取組状況
4-4 YESの取り組み
「環境文化の醸成」というYESの目的を実現するため、YESの取り組みは以下のコンセプト(基本的概
念)に基づいて定められています。
YES のコンセプト
① 自己管理を基本とする仕組み
・ 課長等を中心に全職員が参加して環境配慮行動を実施します。
・ 課員一人ひとりが、担当する事務事業の執行に伴う環境への負荷を最小限にするための知恵と
工夫を絞り、主体的な目標設定と取り組みを進めます。
② 簡素な仕組み
・ 厳格な文書管理や重複した事務処理、統一的な目標設定等からくる職員の「負担感」や「やらさ
れ感」を極力払拭します。
③ 努力が報われる仕組み
・ 創意工夫がなされ、他の主体への波及効果がある優良な環境配慮行動を適正に評価し、市長表
彰を行ないます。
そして、これらのコンセプトに基づく基本的な取り組みは、以下の6つです。
YES の6つの取り組み
①
②
③
④
⑤
⑥
地球温暖化対策実行計画に位置づけられた環境配慮行動の実践
各課等の本来業務における環境工夫の推進
地球温暖化対策実行計画に基づく温室効果ガス排出量の管理・削減
横須賀市グリーン購入基本方針等に基づくグリーン購入の推進
環境法令等の順守
環境影響という観点からの緊急事態への対応
また、これら6つの取り組みを効果的・効率的に実施するため、以下の仕組みを設けています。
取り組みの改善のための仕組み
①
②
③
④
職員による内部環境監査の実施
内部環境監査の結果に基づいて優れた取り組みに対して行なわれる市長表彰
各種環境研修(各職場による一般研修、環境研修、環境法令研修、内部環境監査員研修)
ホームページによる情報公開制度(各職場の取組や内部環境監査に関する記録)
4.横須賀市環境マネジメントシステム(YES)
136
平成 21 年度 庁内環境活動の取組状況
YES の具体的な運用イメージは、以下のとおりです。
維持負担が軽い
簡素な仕組み
ISO14001認証の返上 ⇒ 新システム
環境方針
YES事務局
優良表彰
適正評価
努力が報われる
表彰制度の導入
PDCAサイクル
の維持
YESの
継続的改善
情報
環境文化の醸成
A
P
C D
ホームページ
環境報告書
公開
とりまとめ
外部への説明責任
と内部けん制
部局の取組結果
年2回の活動報告
監査報告
優良表彰につ
なげる
部局長
課長等を中心
とした、全員参
加による自己
管理の仕組み
監査方針
年4回の
活動報告
取組内容の
方向付け
成果を重視
する監査
課長等による
課長職による
自己管理
課長職による
自己管理
P
A 自己管理
P
A
C AD P
C
D
C
D
主任監査員
監査リーダー
監査リーダー
課長級、主査級、
担当者級による
監査チーム
監査員
監査員
監査員
監査員監査員
監査員
監査の実施
(年1回)
4-5 平成 21 年度の YES 取組実績
6つの取り組みごとの実績の概要を以下に記載します。
① 地球温暖化対策実行計画に位置づけられた環境配慮行動の実践
昼休みの消灯、事務用紙の裏面利用・両面印刷・縮小印刷、エコドライブの徹底などのソフト面の省エネ
ルギー対策の中で、取り組み3項目程度について各職場で目標設定をし、取り組みました。
② 各課等の本来業務における環境工夫の推進
環境負荷を低減する観点から各職場の本来業務を見直し、各職場で1項目程度目標を設定し取り組み
ました。
以下では、内部環境監査を通じて優良な取り組みとして選定されたものを掲載します。
番
号
取組部課
取組項目
1
総務部
行政管理課
書類の保存期間の見直し
2
企画調整部
企画調整課 古新聞で作成したエコバッ
( 都 市 政 策 クの利用
研究所)
古新聞を農林水産課経由でJA(農業協同組合)に提供し、その
古新聞で作成されたエコバックを庁内での書類持ち運びなどに
利用している。
3
財政部
市民税課
・毎月、時間外勤務実績を課内に回覧する。
・業務の繁忙期に、ひとつの担当部署で時間外が増加するのを
抑えるため、他の担当部署が業務の研修を受け、応援体制を構
築し、時間外勤務の抑制をしている。
時間外削減の取り組み
取組内容
書類の保存期間を永年から 30 年とした。
137
4.横須賀市環境マネジメントシステム(YES)
平成 21 年度 庁内環境活動の取組状況
窓口業務という性格上、全職員に統一した研修機会を設定するこ
とが困難な状況である。こうしたことから、来庁の市民に対しての
申請書類の記載ミスの軽減を目的とした啓発をはじめ、日常使用
する書庫、コピー機等に環境保護のための表示を行っている。
4
市民部
職員への環境保護意識向
窓口サービ
上のための周知活動
ス課
5
健康福祉部
長寿社会課
職員の弁当注文をする際
にリターナブル容器を使用
している弁当業者を優先す
る
リターナブル容器を使用している弁当業者への注文状況を、課
内の弁当注文票を毎日集計することにより把握する。
6
こども育成部
追浜保育園
不用品再利用について
不用品の利用について、日頃から意識が徹底している。
7
環境部
自然・環境
政策課
私的なごみを持ち込まない
(持ち帰る)目標に対する
実施徹底のための意識付
けを図った取り組み
アンケートによって個々に自己評価することにより、目標「私的ご
みを持ち込まない(持ち帰る)」の達成に対する意識付けを行って
いる。
8
環境部
環境施設課
9
都市部
都市総務課
10
土木みどり部
道路建設課
11
病院管理部
総務課
屋上緑化事業
ボランティアによる屋上緑化(580 ㎡)の継続と壁面緑化(9m)の
実施。
12
上下水道局
業務部
経営企画課
走水水源地開放時のイベ
ントチラシ等によるゴミの
持ち帰り呼びかけ
年1回の走水水源地開放時に、イベントチラシ等によりゴミの持ち
帰りを呼びかける。
13
上下水道局
施設部
水再生課
①下水処理水の再利用及
び②下水汚泥の 100%有
効利用
① 各浄化センター(下町・上町・追浜・西)から発生する2次処理
水(最終処理水 7,750,000 ㎥)を、浄化センター内の機械用水や
冷却水,洗浄水、消泡水として再利用している。また、下町浄化セ
ンターでは、砂ろ過水を紫外線消毒し、下町トンボの王国に再利
用している。
② 年間 1,500 トン程度発生する焼却灰を、資源の有効利用の観
点から、セメント原料、軽量骨材、改良土、肥料、ミニチュア陶器
の材料として全量有効利用している。
14
消防局
予防課
環境配慮行動目標を記載
消防予防課にて、環境配慮行動目標を記載したカードを作成し、
したYESカードの作成・所
各職員に所持させている。
持
15
教育委員会
シースルーの外壁と打ちっぱなし構造の近代建築物による真夏
総合高校
生徒達が主体となった環
の厳しい室温環境の中、「室温28℃」の空調管理に積極的に取
( 管 理 部 教 境対策への取り組み
り組んでいる。
職員課)
16
教育委員会
教育研究所
業務遂行に伴い発生する廃材・端材を極力発生させないように
廃材・端材の発生の抑制、
し、発生したものは資源化を第一に考え、資源化できないものは
資源化
適正に処理する。
職場に各人がエコバックを用意し、昼休みの外出時などの買い物
レジ袋の削減
の際に持参し、レジ袋をもらわないようにしており、職場において
レジ袋のゴミが出ないよう取り組んでいる。
四半期ごとに職員に YES 取組についてのアンケートを実施・集計
「YES 取組課内アンケート」
し、結果をフィードバック(指導が必要な場合は各班の主査に対し
の実施
指導を実施)している。
マイ箸の使用、ペットボトル
や空き缶の分別回収の徹 昼食等での割り箸の使用を控え、マイ箸の使用を徹底する。
底
4.横須賀市環境マネジメントシステム(YES)
138
平成 21 年度 庁内環境活動の取組状況
③ 地球温暖化対策実行計画に基づく温室効果ガス排出量の管理・削減
平成 13 年3月に策定し、平成 18 年3月に現行のものに改定した地球温暖化対策実行計画では、本市の
所有する全ての公共施設(ただし、指定管理者が管理する施設を除きます)を対象にして、平成 18 年度か
ら平成 22 年度までの5年間の各年度の温室効果ガス排出量を平成 10 年度比 6.2%削減することを目標と
しています。
YES では、この数値の管理や削減のための活動をしていますが、平成 21年度の温室効果ガス排出量実
績は、基準年度(平成 10 年度)と同程度(0.05%減)となっています。
⇒ 詳細は、107 頁~「横須賀市地球温暖化対策実行計画」をご参照ください。
④ 横須賀市グリーン購入基本方針等に基づくグリーン購入の推進
本市は、平成 14 年4月1日に策定したグリーン購入基本方針及びグリーン購入調達方針に基づき、全庁
的にグリーン購入に取り組んでいますが、YES では、これに基づく調達数量・割合の管理等を行なっていま
す。
19 分野 249 品目を対象として取り組んだ平成 21 年度は、文具類、OA機器、自動車等の 12 分野につい
て 90%以上の達成率となりました。
⇒ 詳細は、114 頁~「よこすかのグリーン購入」をご参照ください。
⑤ 環境法令等の順守
廃棄物処理法におけるマニフェストの管理、各種環境基準値の順守等が確実になされているかを各課単
位で点検・評価をしました。
⑥ 環境影響という観点からの緊急事態への対応
南処理工場の焼却設備及び排水処理設備、北消防署長浦出張所の簡易タンク貯蔵所の事故を想定し
て、対応計画に基づく訓練等を行いました。
139
4.横須賀市環境マネジメントシステム(YES)