( 8 ) 感 想 文 − ISO14001 認 証 取 得 泣 き 笑 い の 記 − (株)服部センコー EMS 推進プロジェクトメンバー 思えば中小企業総合事業団主催のEMS構築事例集のモデル企業となると同時に、小規模工場の 弊社が認証取得の名乗りを上げてしまったのが、事の始まりでした。しかも、2 1 世紀の業界のリ ーダーにならんと、吉田工場長の勇気と自信と希望を持ってのトップダウンだったのです。当然従 業員も従いました。その頃、弊社は業務管理から宴会まで工場長のトップダウンを疑う者はありま せんでしたから。 実はこの時点で、工場長も現在の環境管理責任者でさえ、EMS構築という「事の重大性」と、 EMSを自社に導入する重要性やメリットがよく解っていなかったかもしれません。ISO14001 の規格が発行したばかりの 3年前は、 EMS構築に関するわかりやすい情報や事例集等は現在ほど 豊富ではありませんでした。ですから今になってみれば、尻込みする判断材料に乏しかったことが、 「小規模工場の大事業」をスタートさせるのに、かえって功を奏した感がしないでもありません。 そして、集合コンサルティングではコンサルタントのご指導があり、その後は神奈川県産業総合 研究所のEMS研究会、横浜市EMS構築セミナー等の公的支援を受けながら、構築を進めていき ました。また、その間維持管理を果たしていらっしゃる企業戦士の面々との出会いも弊社にとって 幸運なことでした。 とは言え、本格的な構築活動期間の 1 8 ヶ月間、プロジェクトチームの一人ひとりが認証を取得 しなければならないのだという精神的重圧に耐え兼ねていたことも事実でした。特にシステム文書 作成に当たり、I SO 1 4 0 0 1 を弊社工場へあてはめる解釈に悩んだこと、受審直前まで構築の方向 性に対する不安、システムの実施運用に当たっては、現場責任者の役割認識と管理能力への不安、 等々。その中で、4 0 名体制の工場において専任スタッフ 3名をEMS構築に必要な人的投資とし て経営層が考慮してくれたことは、恵まれていたかもしれません。 コンサルタントが無くてがんばったと言われるとおもはゆく、中小企業総合事業団のEMS構築 研修が終了時には疑問ですが、後の本番で土台にしっかりあったこと、そして多方面からの有形無 形の支援をいただいたことが、構築推進の力となっていたのです。こうした産みの苦しみを味わい ながら、無鉄砲とも見えたトップダウンから 2年半後の 1999 年 1 0 月認証登録を果たすことが できました。 スタート騒ぎの大きさの割には、認証登録の報を淡々と受け止め、静かに喜びを噛みしめました。 色々な参考書が、あたかも認証取得が目標であるかのようなニュアンスで読まれがちなせいでしょ うか。確かに審査制度がある以上、認証取得は重大な通過地点ではあるものの、工場にシステムを 定着させて長く維持管理することが規格の要求であるとわかり、いっそう認証登録事業所としての 責任の重さを感じてしまいました。 212 生活環境を取り巻く社会の動向は、 油断のならない速さで変化し続けてい ます。審査登録機関から環境マネジメ ントシステムの有効性を認められた今、 工場がもっとやらねばならない環境保 全活動があり、会社の存続がある限り、 先の長い事業活動だと認識しています。 また枠組み自体も見直していくもので あることもわかったばかりです。その 際避けて通れないことに、必ずしも環 境会計が経営判断と相容れない場面も 予測されることです。 ともかく目標管理という従業員の意 識改革にともない、業務改善も少しずつなされようとしているのは弊社にとって明らかに進歩です。 環境マネジメントシステムを導入して、会社が生まれ変わったと従業員が胸を張れる日と、企業の 生き残りをかけたトップダウンが名実ともに実を結ぶ日を希望に、これからも地道に業務を遂行し ていくことなのです。 (以 上) 213 目次にもどる
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