リベド血管炎

リベド血管炎とは
リベド血管炎(Livedo vasculitis)
に対する治療法の検討
病院実習コース薬学科5年A組
二村沙樹
•
•
•
原因は不明だが何らかの血栓易形成性によると考えら
れている。
れている
病理組織学的には、真皮細小血管壁の硝子様変性と微
小血管に血栓を認める。
共通する特異的な検査異常は認められてなく、基礎疾患
もないとされる。
【治療】
• ガイドラインに特定の薬物療法の言及はないが、臨床で
は 急性期の炎症を抑える目的や慢性期の再発抑制・
は、急性期の炎症を抑える目的や慢性期の再発抑制・
疼痛コントロールの目的でステロイドが第一選択薬とな
ることが多い。
• 血栓に対して抗血小板療法や抗凝固療法、潰瘍・疼痛な
どに対しては対称療法が行われている。
【アレルギー・副作用歴】(+)
• トラフェルミンスプレー →蕁麻疹 (因果関係は不明)
• スルファジアジン銀クリーム・トレチノイントコフェリル軟膏
→掻痒感
(因果関係は不明)
【身体所見】
身長:155.4cm 体重:47.0kg
BMI 19 体表面積:1.393㎡
BMI:19
体表面積 1 393㎡
【バイタルサイン】
BP 120 82
BP:120-82mmHg
H
BT 37 0℃
BT:37.0℃
【入院時皮膚所見】
• 両足外果から足背、内果にかけて米粒大~爪甲大の膿
両足外果から足背 内果にかけて米粒大 爪甲大の膿
苔を付す不整形の潰瘍が多発。
• 潰瘍の辺縁は紅斑を認め一部では毛細血管の拡張を伴
う。
• 周囲には今までの潰瘍の瘢痕や色素沈着が散在。
• 両足背動脈触知(+)、疼痛(+)、しびれ(-)、冷感(-)
• 網状皮斑(livedo,リベド)といわれる特徴的皮膚症状を
(
)
主座 する 連 症候群
主座とする一連の症候群
• 下肢の網状皮斑、ときに皮膚潰瘍、
瘍
atrophileblance(白色萎縮症)といった特徴的皮膚症
状を示す。
状を示す
• 上記に随伴し、下肢のしびれ、ピリピリするなどの末
梢神経症状や、足 膝関節痛、下肢筋肉痛、下肢の
梢神経症状や、足・膝関節痛、下肢筋肉痛、下肢の
浮腫などの臨床症状がある。
• 発症率は約10万人に1人
• 若い女性に頻発、男女比1:3
• 慢性再発性である。
患者情報
【年齢・性別】25才
【年齢
性別】 才 女性
【主訴】両下腿の潰瘍
【現病歴】
2003年夏:左足底に1cm大の潰瘍が2個出現
皮膚生検よりリベド血管炎 診断
皮膚生検よりリベド血管炎の診断
2008年7月:左足背の浮腫・潰瘍再燃
12月 潰瘍拡大 増数 第1回入院
12月:潰瘍拡大・増数→第1回入院
2010年1月:潰瘍悪化→第2回入院
8月 両足背 外果にかけて潰瘍多発
8月:両足背~外果にかけて潰瘍多発
11月:潰瘍深くなり加療と安静かねて第3回入院
【既往歴】なし
【生活歴】 アル
【生活歴】・アルコール:(+)機会飲酒
ル ( )機会飲酒
・喫煙:(-)
【持参薬】
• フ
プレドニゾロン錠5mg
レト ニソ ロン錠5mg 4錠 分1 朝食後
• ファモチジンD錠20mg 1錠 分1 朝食後
• アレンドロン酸ナトリウム水和物錠35mg
アレンド ン酸ナトリウム水和物錠35
1錠
※1週間に1回(土曜日)服用 分1 起床時
• クロピドグレル硫酸塩錠75mg 1錠 分1 朝食後
g 6錠 分3 毎食後
• ベラプロストナトリウム錠20μg
• ロキソプロフェンナトリウム水和物錠 3錠 分3 毎食後
レバミピド錠100mg
ミヒ ト 錠100mg 3錠 分3 毎食後
• レハ
• フェキソフェナジン塩酸塩錠60mg 2錠 分2 朝夕食後(自己調節)
• FAD錠10mg 4錠 分2 朝夕食後
• ピリドキサールリン酸エステル水和物錠30mg 2錠 分2 朝夕食後
• ヒ
ビタミンC
タミンC、ハ
パントテン酸配合錠
ントテン酸配合錠 3錠 分3 毎食後
【入院時検査所見】(11/8)
○血液検査
項目
基準値
測定値
WBC(×103/μL)
4 0~8
4.0
8.6
6
12 55↑ Plt(×104/μL)
12.55↑
項目
RBC(×106/μL)
3.80~4.80
4.59
(g
)
Hb(g/dL)
12~16
14.2
Ht(%)
35~43
41.9
基準値
測定値
15~35
15
35
21 7
21.7
NEUT%
38~71
88.1↑
LYMPH%
27~47
9.4↓
↓
○生化学検査
項目
基準値
測定値
項目
基準値
(g
)
TP(g/dL)
6.5~8.2
6.2↓
↓
T-Bil(mg/dL)
( g
)
0.2~1.2
0.6
AST(U/L)
13~33
14
CRP(mg/dL)
<0.33
0.04
ALT(U/L)
6~30
13
予測Ccr(mL/min)
92.5
LD(U/L)
119~229
158
Q.TPLA(SU/mL)
(-)
測定値
(-)
γGTP(U/L)
6~46
19
脂質抗体定性
(-)
(-)
BUN(mg/dL)
8~20
10.3
HBs抗原(COL)
<1.0
-(0.3)
sCr(mg/dL)
0.48~0.79
0.69
HCV抗体(COL)
<1.0
-(0.1)
項目
基準値
測定値
項目
基準値
測定値
リウマチ因子定量(U/mL)
≦3 5
≦3.5
<10
MPO ANCA(EU)
MPO-ANCA(EU)
<20
<10
抗CL.B2GPI(U/mL)
<3.5
=<1.2
PR3-ANCA(EU)
<10
<10
抗CL-IgM抗体(U/mL)
<8
=<5
ループスアンチコアグラント
<1.3
1.13
【凝固線溶検査】(11/12)
項目
基準値
PT(秒)
PT(INR)
10~13
0
3
アルプロスタジル10μg点滴開始
アル
゚ スタジル10 点滴開始
プレドニゾロン20mg 内服
ベラプロストナトリウム
ヘ
ラフ ロストナトリウム、クロヒ
クロピドグレル硫酸塩
ト ク レル硫酸塩 内服
局所処置としてデブリードマン後ブクラデシンナトリウム外用
11/10 潰瘍縮小みられず
疼痛強く十分なデブリードマンできず。痛みに波あり
11/11 処置後の疼痛強
後
リドカインクリーム外用後
リト
カインクリ ム外用後、フルルヒ
フルルビプロフェン
フ ロフェン アキセチル点滴静注→処置とする
11/12 凝固線溶系検査、自
凝固線溶系検査、自己免疫関連検査
免疫関連検査
11/13 新たにワルファリン治療開始
SOAP作成日
患者面談より得られた情報
【自己免疫関連検査】(11/12)
(
)
PTコントロール(秒)
【入院時臨床診断名】 リベド血管炎
【SOAP作成までの経過】
11/9 加療、安静のため入院
測定値
項目
11.6
APTTコントロール(秒)
11.3
.3
APTT(秒)
基準値
測定値
25.5~39.5
25.5
39.5
34.3
33.7
0.90
• 疼痛(+)。点滴開始してからは以前より痛み治まっている様子。
痛みには波があるが 特に処置後の痛みが強い
痛みには波があるが、特に処置後の痛みが強い。
• ステロイドによる副作用の理解力はまずまず。
・副作用対策のための併用薬についての理解良好。
副作用対策のための併用薬についての理解良好
・胃腸障害やほてりなどなし。
・少し顔が丸くなった気がするとのこと。
・少し顔が丸くなった気がするとのこと
・眠れなくはないが寝つきは悪そう。
フェキソフェナシ ン塩酸塩錠はかゆみがある時に内服している。
• フェキソフェナジン塩酸塩錠はかゆみがある時に内服している。
• コンプライアンス良好。
予測Ccr=92.5mL/min
/
検査所見より肝・腎機能問題なし。
検査所見より肝
腎機能問題なし。
• 予測
• 気持ちは落ち込み気味でこちらからの問いかけには答えるが、
口数は少ない。
SOAP作成日(11/13)のProblem List
#1 リベド血管炎
・ワルファリン錠1mg 2錠 分1 朝食後
・プレドニゾロン錠5mg 4錠 分1 朝食後
・アルプロスタジル10μg点滴
アルプロスタジル10 点滴
・ベラプロストナトリウム20μg錠 6錠 分毎食後
クロピドグレル硫酸塩錠75mg 1錠 分1 朝食後
・クロピドグレル硫酸塩錠75mg
#2 ステロイド副作用対策
・ファモチジンD錠20mg 1錠 分1 朝食後
・アレンドロン酸ナトリウム水和物錠35mg 1錠
※1週間に1回(土曜日)服用 分1 起床時
#3 疼痛コントロール
疼痛コントロ ル
・ロキソプロフェンナトリウム水和物錠 3錠 分3 毎食後
レハ ミヒ ト 錠100mg 3錠 分3 毎食後
・レバミピド錠100mg
※処置前にリドカインクリーム外用、フルルビプロフェン アキセチル点滴静注
#4 掻痒
・フェキソフェナジン塩酸塩錠60mg 2錠 分2 朝夕食後
#5 不眠
SOAP
#1 リベド血管炎
Subjective Data
• 痛いです。
• 入院して点滴するようになってからは少しはましになりました。
Objective Data
【年齢・性別】25才 女性
【身体所見】身長:155.4cm 体重:47.0kg
【既往歴】なし
【生活歴】・アルコール:(+)機会飲酒
・喫煙:(-)
【アレルギー・副作用歴】(+)
• トラフェルミンスプレー
トラフ ルミンスプレ
→蕁麻疹
蕁麻疹 (因果関係は不明)
• スルファジアジン銀クリーム
• トレチノイントコフェリル軟膏 →掻痒感
(因果関係は不明)
【薬物療法】
ワルファリン錠1mg 2錠 分1 朝食後
・ワルファリン錠1mg
・プレドニゾロン錠5mg 4錠 分1 朝食後
アル
タジル μg点滴
・アルプロスタジル10μg点滴
・ベラプロストナトリウム20μg錠 6錠 分毎食後
g 1錠 分1 朝食後
・クロピドグレル硫酸塩錠75mg
• ファモチジンD錠20mg 1錠 分1 朝食後
• アレンドロン酸ナトリウム水和物錠35mg 1錠
※1週間に1回(土曜日)服用 分1 起床時
• ロキソプロフェンナトリウム水和物錠
キ ゚
ウ 水和物錠 3錠
錠 分3
分 毎食後
• レバミピド錠100mg 3錠 分3 毎食後
• フェキソフェナシ
フ キソフ ナジン塩酸塩錠60
ン塩酸塩錠60mg 2錠 分2 朝夕食後
• FAD錠10mg 4錠 分2 朝夕食後
• ヒ
ピリドキサ
リト キサールリン酸エステル水和物錠30mg
ルリン酸エステル水和物錠30mg 2錠 分2 朝夕食後
• ビタミンC、パントテン酸配合錠 3錠 分3 毎食後
【入院時皮膚所見】
• 両足外果から足背、内果にかけて米粒大
両足外果から足背 内果にかけて米粒大~爪甲大の膿苔を付
爪甲大の膿苔を付
す不整形の潰瘍が多発。
• 潰瘍の辺縁は紅斑を認め一部では毛細血管の拡張を伴う。
• 両足背動脈触知(+)、疼痛(+)、しびれ(-)、冷感(-)
【検査所見】
• WBC(×103/μL) 12.55↑
(
(NEUT%88.1↑
↑ LYMPH%9.4↓)
↓)
• TP(g/dL) 6.2↓
【凝固線溶系検査】 PT(INR) 0.90
0 90
【自己免疫関連検査】
項目
基準値
測定値
項目
基準値
測定値
リウマチ因子定量(U/mL)
≦3.5
<10
MPO-ANCA(EU)
<20
<10
抗CL.B2GPI(U/mL)
<3.5
=<1.2
<1.2
PR3-ANCA(EU)
PR3
ANCA(EU)
<10
<10
抗CL-IgM抗体(U/mL)
<8
=<5
ループスアンチコアグラント
<1.3
1.13