木質糖液中のフルフラール類の分析 バイオエタノールは現在、主に食糧となる植物を原料として製造されていま すが、食糧とならない植物、たとえば木質を原料とした製造法の研究が進めら れています。木質を原料とする場合、その糖化・発酵過程で糖の過分解物とし てフルフラールや5-ヒドロキシメチルフルフラール(5-HMF)が生成され、発酵 阻害の原因になると考えられています。ここでは、低環境負荷な水熱処理およ びメカノケミカル処理を行い、その後酵素により糖化された木質糖液中のフル フラール類の分析例を紹介します。 サンプルは独立行政法人産業技術総合研究所バイオマス研究センターの澤山 茂樹研究チーム長と村上克治主任研究員のご厚意により提供いただきました。 6 5 4 3 5-HMF 220 240 260 280 300 320 340 360 380 nm 380 nm * mAU 2 mAU mAU 7 フルフラール 5-ヒドロキシメチルフルフラール (5-HMF) 標準溶液のクロマトグラムを図1に、図2にフルフラール類のUVスペクトル を示します。 furfural 1 0 0 1 2 3 図1. 標準溶液(各1mg/mL)のクロマトグラム 分析条件 システム min 220 240 260 280 300 320 340 360 図2. フルフラール類のUVスペクトル : Agilent 1200SL System (バイナリポンプSL,オートサンプラSL,カラムコンパートメント,DAD SL) カラム :ZORBAX RRHT SB-C18 3.0mm*50mm,1.8μm 移動相 :0.1%ギ酸 / アセトニトリル 3 / 97(0~3 min)→10 / 90(3~5 min) 移動相流量 :0.5 ml/mim カラム温度 :40 ℃ 試料注入量 :2 μL 検出 :シグナル= 280 nm, バンド幅 4 nm, リファレンス= 380 nm, バンド幅 80 nm 木質糖液中のフルフラール類の分析 フルフラール 下図表は前処理および原料が異なる時の木質糖液の分析、定量結果です。木 質糖液を超純水で10倍に希釈後、遠心分離した上清を試料としました。 6 mAU 1.6 フルフラール mAU 1.2 5-HMF 4 5-HMF 2 0.8 0.4 0 0 0 1 2 3 min 0 図3. ユーカリ ボールミル処理 2 3 min 3 min 図4. バガス ボールミル処理 mAU フルフラール mAU フルフラール 150 1 200 150 100 50 5-HMF 5-HMF 100 50 0 0 0 1 2 3 min 0 図5. バガス 水熱処理 180℃ 5分 1 2 図6. バガス 水熱処理 160℃ 15分 フルフラール 400 300 フルフラール mAU mAU 500 400 300 200 100 5-HMF 5-HMF 200 100 0 0 0 1 2 3 図7. バガス 水熱処理 180℃ 30分 min 0 1 2 3 表. 各サンプル(木質糖液)中のフルフラール類 定量結果 サンプル min 図8. バガス 水熱処理 160℃ 30分 リン酸添加 5-HMF 定量結果 [mg/L] フルフラール 定量結果 [mg/L] ユーカリ ボールミル 2.3 6.7 バガス ボールミル 14.8 62.7 バガス 水熱処理 180℃ 5 分 22.6 298 バガス 水熱処理 160℃ 15 分 32.2 357 バガス 水熱処理 180℃ 30 分 45.5 826 バガス 水熱処理 160℃ 30 分 リン酸添加 60.0 669
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