月刊 HRタイムズ - アヴァンティスタッフ

月刊 HRタイムズ
Monthly Human Resource Times
株式会社アヴァンティスタッフ ニュースレター
13号
13号 / 2014 年 2 月 (毎月第2
(毎月第2水曜日発行)
HRタイムズでは、人材活用や人事労務に関する旬な情報を毎月お届けします。
次回改正で派遣法はこう変わる
1月29日に開催された労働政策審議会・需給制度部会において、昨年8月からの派遣法改正の議論が報告書として取りまとめら
れ、同日、厚生労働大臣へ建議が行われました。今般の労政審報告書は、次回派遣法改正の骨格となるものであり、重要な位置
づけとなります。そこで今月号では、労政審報告書のうち、特に派遣先に影響すると考えられる重要ポイントについて確認します。
基本的考え方
報告書では、以下の3点を基本的な考え方として、具体的な改正を実施すべきであるとまとめています。
①分かりやすい制度とすること
②派遣労働者のキャリアアップや直接雇用の推進を図り、雇用の安定と処遇の改善を進めていく
③悪質な事業者を退出させる仕組みを整備し、優良な事業者(派遣会社)を育成する
具体的内容について
◆派遣受入期間の制限について
(下記解説は3面イメージ図と併せてご覧ください)
政令26業務と自由化業務の区分による業務単位での期間制限を撤廃し、派遣労働者個人と派遣先の2つの単位で期間制限を
設けることとしています。
まず、派遣労働者個人単位の期間制限についてです。派遣労働者Aさんの立場で見た時に、同一の派遣先(組織単位)では3年
までしか就業できないことを意味します。現状、政令26業務であれば期間の制限なく同一の派遣先に何年でも就業することが可能
ですが、法改正以降は政令26業務であっても3年が上限となります。なお、別の組織単位へ異動すれば、期間制限はリセットされ、
異動の日から新たに3年間の就業が可能です。(派遣先単位での期間延長が可能な場合)
3年間同一の派遣先で勤務した派遣労働者については、派遣会社が雇用安定のために①
~④(3面、個人単位、雇用安定措置参照)のいずれかの措置を実施することが義務付けら
れます。3年間同一の派遣先で活躍してもらった派遣労働者については、その後の就業につ
目次
いてしっかりと責任を負うことを派遣会社に義務付けたものです。なお、①の派遣先による直
接雇用が実現しなかった場合には、②~④のいずれかを実施することとされています。
続いて、派遣先単位の期間制限についてです。個人単位の期間制限だけでは、派遣先とし
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次回改正で派遣法はこう
変わる
•
改正が予定される主な労
働関係法令
•
ワンポイントチェック
ては、派遣労働者を交替すれば、いつまでも派遣の受入れが可能となります。それは派遣法
制定時から存在する常用代替防止(派遣労働者が派遣先の常用労働者を代替しないこと)の
考え方に反し望ましくないことから、派遣先(同一事業所)ごとの受入期間の原則を3年とする
こととしています。3年経過時までに過半数労働組合等の意見聴取を行うことで、延長を可能
-紹介予定派遣の新たな
助成金制度-
とするものです。
なお、無期雇用の派遣スタッフなど、例外の①~③(3面、最下部の例外参照)に該当する
場合には、個人単位・派遣先単位とも期間制限の対象とはなりません。
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編集後記
改正が予定され
る主な労働関係
法令
厚生労働省が今通常国会に
提出を目指している主な労働
関係法令の改正内容と進捗状
況をまとめました。(2014年2月
時点)
次回改正で派遣法はこう変わる(続)
◆登録型派遣・製造業務派遣
経済活動や雇用に大きな影響が生じるおそれがあるため禁止しない。
◆特定労働者派遣
特定労働者派遣事業と一般労働者派遣事業の区別を撤廃し、全てを許可制とする。
→現状、届出のみで派遣事業を行えている派遣会社も、法改正により「許可」の取得
が必要となります。配慮措置や経過措置が設けられる予定ですが、許可制への移行
によって特定派遣会社数の大幅な減少が予想されます。
●雇用保険法
~主な改正内容~
・育児休業給付の充実
・教育訓練給付の拡充 など
→国会に改正法案提出済
●労働者派遣法
~主な改正内容~
・政令26業務と自由化業務
の区分撤廃
・特定労働者派遣事業の許
可制への移行 など
→改正法案作成中
(3月中旬国会提出予定)
●パートタイム労働法
~主な改正内容~
・差別的取扱い禁止規定の
要件から無期要件を削除
など
→改正法案作成中
(2月中旬国会提出予定)
●次世代育成対策支援推進
法
~主な改正内容~
・2014年度までの時限法だっ
たものを、10年間延長 など
→改正法案作成中
(2月中旬国会提出予定)
◆派遣先の責任
・国は、派遣先の使用者性に関する裁判例等(※)を整理し、周知する。
(※)契約上は派遣労働者の雇用主ではない派遣先であっても、派遣労働者が加入
する労働組合との団体交渉等におい て、派遣先を使用者とみなして団体交渉
に応じる義務があるとした裁判例等
・国は、派遣先責任者講習の受講を促進するための施策を講ずる。
→派遣会社は、派遣元責任者講習の受講が義務付けられていますが、現状、派遣先
責任者が受講する講習はありません。次回の法改正で即義務化とは考えにくいです
が、中長期的には派遣先責任者にも講習の受講が義務化されることも考えられます。
◆派遣労働者のキャリアアップ措置
■派遣会社に対して
派遣会社は、雇用する派遣労働者に対して、計画的な教育訓練を実施するほか、希望
する派遣労働者に対しては、キャリアコンサルティングを実施するものとする。
派遣会社の許可・更新の要件に「派遣労働者へのキャリア形成支援制度を有すること」
を追加する。
■派遣先に対して
派遣先は、派遣会社の求めに応じ、受け入れている派遣労働者の職務遂行状況や職
務遂行能力の向上度合に関する情報を派遣会社に提供するように努めるものとする。
■派遣先での正社員化の推進
派遣先は、新たに正社員の募集を行う場合は、募集を行うポストがある事業所に1年以
上受け入れている派遣労働者に対して募集情報を周知するものとする。
■派遣先による直接雇用への対応
関係者間でのトラブルの発生を未然に防ぐ観点から、派遣先が派遣契約の終了直後
に、受け入れていた派遣労働者を直接雇用しようとする際の取扱いについて、派遣契
約に定めるものとする。
●有期雇用の特別措置法
~主な改正内容~
・有期契約の5年超更新で無
期転換権利発生の例外対
象者を規定
→労政審審議中
(3月上旬国会提出予定)
→いわゆる「引き抜き」に関して契約上に定めることで、トラブルを防止しようとするも
のです。
◆2012年改正内容の見直し
2012年に改正された規定については、施行状況についての情報の蓄積を図りつつ、見
直しについて引き続き検討する。
一方、日雇派遣の原則禁止については、法改正を行わずに実施できる見直しについて
●労働安全衛生法
~主な改正内容~
・事業主にメンタルヘルス
チェック実施を義務化 など
→改正法案作成中
(2~3月国会提出予定)
検討する。
→日雇派遣の原則禁止、離職労働者の1年以内の派遣受入の禁止、グループ派遣の
8割規制など、2012年に改正された内容は、次回改正では削除されないこととなりま
す。ただし、日雇派遣の原則禁止規定の例外要件である「年収500万円」基準等につ
いては、法律ではなく省令で定められているため、法改正成立後の政省令の議論段
階で引き下げなどの見直しが検討されることになります。
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次回改正で派遣法はこう変わる(続)
労働政策審議会報告書の中から、「派遣受入期間の制限」についての内容をイメージ図化しました。1面の解説と併せてご覧くだ
さい。
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ワンポイントチェック
-紹介予定派遣の新たな助成⾦制度-
『紹介予定派遣活用型正社員就職応援事業』
アベノミクス3本の矢のひとつ、成長戦略として昨年6月に策定された「日本再興戦略」に
おいて、民間人材ビジネスを最大限に活用していく方針が盛り込まれています。その一環
として紹介予定派遣を活用した新たな若年者採用のための助成金制度が開始する予定
です。「学卒未就職者」など就業経験の乏しい若者の正社員就職を促進するために実施
される3年間の時限措置であり、2014年夏ごろからの開始が予定されています。
本制度による国からの助成金は、民間人材ビジネス会社(下図、国と委託契約を結んだ
派遣会社)に支給される仕組みです。
【派遣先のメリット】
紹介予定派遣の場合に派遣先が負担する紹介手数料を派遣会社が国から助成金とし
て受け取ることになりますので、派遣先は紹介手数料の負担なしに紹介予定派遣を活用
派遣先は紹介手数料の負担なしに紹介予定派遣を活用
し、正社員就職を希望する若者を採用することが可能となる制度です。
し、正社員就職を希望する若者を採用することが可能
【制度のイメージ】
国(中央職業
能力開発協会)
①⑧
国と委託契約を
結んだ派遣会社
④
②③⑥
⑤⑦
派遣先
正社員での就職
を目指す若者
①国から事業計画の認定を受けた派遣会社が国と業務委託契約を締結
②派遣社員として登録 ③社会人マナー等の基礎研修を実施
株式会社アヴァンティスタッフ
④紹介予定派遣契約の締結 ⑤紹介予定派遣就業開始
本社
東京都中央区日本橋兜町6-7
ヒューリック兜町ビル
⑥紹介予定派遣就業中の定期的なサポート ⑦双方合意により、派遣先が正社員採用
⑧国が紹介手数料相当分の助成金支給
編集後記
今月もお読みいただきありがとうございます。
HRタイムズは今月号より2年目を迎えることができました。皆さまのご愛顧に感謝申し
上げます。
ソチオリンピックが盛り上がりをみせています。オリンピックでは普段なじみのない競技
も多く放映されますが、特にそのような競技の場合、実況や解説者が果たす役割は大き
いと感じます。対象レベルをどこに設定するかなどもあるのでしょうが、競技のルールや
見どころを分かりやすく説明してくれる人と、視聴者が知っている前提で説明が進んでし
まう人に大別されます。HRタイムズでは2年目以降も、分かりにくい法律や制度、ニュー
本社代表
03-6703-8337
横浜支店
045-325-0211
大宮支店
048-645-6464
名古屋支店 052-229-1521
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九州支店
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Web サイト
www.avantistaff.com
スなどを、より多くの方に、より分かりやすく説明できるように心がけてまいります。今後
ともよろしくお願いします。 がんばれ、カーリング日本代表!(N)
HRタイムズに関するご意⾒、
ご要望はこちらまでお願いします
hrtimes@avantistaff.com
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