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No.
2010年10月1日号/監修・企画協力:糖尿病治療研究会 企画・編集・発行:糖尿病ネットワーク www.dm-net.co.jp
新しい糖尿病の診断基準とグローバル化
より確実な早期介入を可能とする
HbA1c の診断基準の本格導入
糖尿病の診断基準は世界共通であるこ
とが望まれます。このほど、アメリカ糖
尿病学会(ADA)および日本糖尿病学会
(JDS)より新しい診断基準が発表されま
した。糖尿病の合併症はHbA1c高値で
把握される高血糖の持続が原因であり、
HbA1cの変化で治療効果の判定が行わ
れ、 厚 生 労 働 省 の 糖 尿 病 実 態 調 査 も
HbA1cを用いて有病者数の推計がなされ
ています。我が国では以前よりHbA1cが
糖尿病の診断に適用されており、 HbA1c
の臨床応用では世界で先行していました。
2009年7月 に、 国 際 専 門 家 委 員 会 が
HbA1cを糖尿病の診断に用いることを
推奨したのを受け、 2010年1月、 ADAよ
り新しい糖尿病診断基準が発表されまし
た。我が国においても、 5月のJDS学術
集会で新しい診断基準が発表となりまし
た。空腹時血糖126mg/dL、75gOGTT2
時間値200mg/dL、随時血糖200mg/dLと
いう血糖基準値に変更はありませんでし
たが、 HbA1cの基準値が6.5%(JDS)から
6.1%(同)に引き下げられることになりま
した。ただ、HbA1cが基準値以上でも血
糖が基準値を超えなければ、糖尿病と診
断されないので、今回のHbA1cの基準
値引き下げによる影響は、さほど大きく
なることはないとされています。
しかし、血糖とHbA1cの同時測定を
行った場合、今までは血糖が基準値を超
えていてもHbA1cが6.1%(JDS)から6.4%
(同)の人は別の日に来院して、血糖の再
検査が必要でしたが、今回の改定により
即日、糖尿病と診断されます。一度「血
・・・主な内容・・・
●ネットワークアンケート ㉖
診断初期の糖尿病教育について
●今号のトピックス
新診断基準の運用について
新しい糖尿病連携手帳
●サイト紹介 ㉖
海外の医学誌から
SMBGの活用について考える
イベント・学会情報
数字で見る糖尿病 ㉕
糖尿病の大規模臨床研究 ⑳
糖が高い」と言われると、ご自身で食事
制限や運動をして、次の検査時には血
糖が基準値以下に下がっている方がい
ます。改定後にはこのような方でも1回
の検査で診断がつくようになります。
もし今まで、このように再検査で改善
したがために治療介入が遅れていた患
者さんが多数いたとしたならば、診断
基準の改定により糖尿病と診断される
人は増加し、早期介入が期待できるで
しょう。
糖尿病のとらえ方
歴史・環境・人種の違い
今回の診断基準改定においてHbA1c
の基準値6.1%(JDS)は、①眼底所見にて
毛細血管瘤を除いたごく早期の糖尿病
網膜症が増加してくる値、②空腹時血糖
126mg/dLに相当する値、③75gOGTT2
時間値200mg/dLに相当する値となって
います。また以前の基準6.5%(JDS)は、
それ以上では正常型や境界型の人がほ
とんど入らない糖尿病域として促えら
れ て い ま し た。HbA1cが6.1%(JDS)か
ら6.4%
(同)の人は正常型や境界型の人
が少なくありません。そのため我が国
では後に述べる米国とは異なり、HbA1c
高値のみで糖尿病を診断することは認
めてきませんでしたし、今回もこれに
ついては同様の対応としています。
一方、アメリカではHbA1c単独での
診断を推奨しているため、従来は血糖
値で正常と診断されていた人たちが今
回、 HbA1cで糖尿病と診断されるなど、
診断の不一致が起こり、混乱が予想さ
れます。さらに、アメリカでは糖尿病
の診断ばかりでなく、糖尿病発症予防
のためのハイリスク患者のスクリーニ
ングにもHbA1cで行うことを勧めてい
ます。すなわち、 HbA1c5.3%(JDS)から
6.0%(同)を前糖尿病(pre-diabetes)とし
ています。この値は我が国の特定健診
に お け る 保 健 指 導 基 準 値HbA1c5.2%
(JDS)以上にほぼ一致しています。
ADAの診断基準の解説によれば、血
糖値はHbA1cより測定方法が標準化され
ておらず、また、採血後の解糖により値
が低下するので、信頼性が低いとされ
ています。さらに、朝食抜きで来院する
のが不便であるとも指摘されています。
一方、我が国ではむしろ、 HbA1cはな
九州大学大学院
病態機能内科学准教授
岩瀬 正典
お測定機器や測定方法で少なからず施設
間差があります。朝食前採血は、脂質異
常症の評価(LDL - C計算値)のため日本
動脈硬化学会でも推奨しており、生活習
慣病評価では当然であって、患者さんに
も抵抗は少ないと思われます。
診断基準グローバル化へのハードル
ADAは1997年 の 診 断 基 準 改 定 で75g
OGTTから朝食前血糖検査(FPG test)に
シフトし、Impaired fasting glucose(IFG)
と い う カ テ ゴ リ ー ま で 作 り、 さ ら に、
2003年にはIFGの下限を110mg/dLから
100mg/dLに引き下げました。この引き
下げは、我が国を含めほとんどの国で承
認されていません。一方、我が国におい
ては、糖忍容力の低下(耐糖能の悪化)を
もって糖尿病の基本的病態としてきた伝
統があり、朝食前の一点血糖測定のみで
糖尿病が診断されることに抵抗がありま
す。また最近のインクレチン関連薬が欧
米人に比し日本人でより有効であること
からもわかるように、日本人のインスリ
ン分泌障害(特に初期分泌障害)と、これ
に基づく食後高血糖は75gOGTTでこそ
明瞭に示されます。今回の我が国の診断
基準でも75gOGTTを重視する姿勢は一
貫しており、特に75gOGTTが推奨され
る場合も明示されています。
糖尿病の診断基準とは、糖尿病を病気
としてどのように理解するか、その考え方
の現れです。アメリカ糖尿病学会によれば、
HbA1c値に基づく診断で生ずる診断精
度の低下はHbA1cの利便性向上による
受検者数の増加で代償できるだろうと述
べています。ここまで臨床診断について
の考え方が異なれば、糖尿病診断基準の
グローバル化は容易ではありません。
医療スタッフのための
糖尿病情報BOX&Net.─ No.26. 10. 2010
糖尿病ネットワークを通して
医療スタッフに聞きました
25
Q. 貴院では、糖尿病患者さんの診断初期に、
糖尿病の基礎や療養生活に関する説明や指導を
その他
行っていますか?
3%
わからない
患者さんに対する糖尿病教育のなかでも、診断初期
(概
ね3カ月以内)
は特に重要という声が多く聞かれます。いわ
ゆる
「糖尿病教室」や「教育入院」等、患者さんの治療方法
や医療機関の環境などによって、その内容は様々ではない
でしょうか。今回は、その現状についてお伺いしました。
4%
いいえ(とくに
行っていない)
[回答数:医療スタッフ86名(医師27、看護師25、准看護師1、管理栄養士
14、栄養士1、薬剤師9、臨床検査技師6、その他3。うち日本糖尿病療養
指導士23)、患者さんやその家族312名(病態/1型糖尿病124、 2型糖尿病
178、糖尿病境界型6、その他4、診断初期に通院していた医療機関/大学
病 院13%、 総 合 病 院56%、 糖 尿 病 専 門 の 診 療 所12%、 一 般 の 診 療 所
13%、その他6%)]
約9割の医療スタッフが「はい」と答え、
93%の方が 教 育入
その87%が「基 本 的に患者さん 全員」に
院による血糖コント
行っているとのことでした。スタイルとして
ロールの改善 効 果
は、 個 別 指 導が87%、 グループ 指 導は
を実感しているよう
54%、教育入院は55%、資料配付は71%
です。入院期間は
(複数回答可)
。これらの説明や指導に対
1泊2日〜4週間コー
して、半数強の医療スタッフが「基本的に
スまで医療機関によって様々で、
は十分」とするものの、
「足りない」と感じ
2泊3日や2週間が比較的多くみ
ている方が半数弱と、微妙な心境がうか
られました。さらに、盛り込む
がえます。
べきカリキュラムや労力、経費、
また、教育入院について尋ねてみると、
現実的な参加率などを考慮する
Q.「教育入院」は、
どの位の期間が妥当だと
思いますか?(n=86)
1時間未満
2%
1~3時間以内
2%
約半日
1%
約1日(日帰り)
0%
2~3日間(入院)
14%
3~7日間(入院)
36%
8~10日間(入院)
18%
11~14日間(入院)
21%
2週間以上(入院)
4%
その他
2%
と、どの位の期間が妥当かを伺
5%
はい
88%
n = 86
Q. 説明や指導の内容は十分だ
と思いますか?
その他
1%
うと、最も多かったのは3〜7日
(36%)でした。
自由記述では、
‘診断初期は
全員まずは専門医のいる施設で
教育を受け、その後のフォロー
を一般医で行うべきでは’
‘信頼
関係作りは治療にも影響するの
で、初期介入は大変重要’
‘他
足りないと
思う
45%
基本的には
十分だと思う
54%
院からの紹介で教育入院に入り
通院先へ戻る方も多いが、その
後の経過がわからない。病診連
携、施設間での教育評価システ
ムができていない’等の声が寄
せられました。
糖尿病ネットワーク http://www.dm-net.co.jp/
n = 76
糖尿病ネットワークを通して
糖尿病患者さんに聞きました
Q. 糖尿病の診断初期に、糖尿病の基礎や療養生活に
関する説明・指導を受けましたか?
わからない、
覚えていない
その他
1%
7%
Q. どのような説明や指導でしたか?
(複数回答可/n=244)
個別指導
いいえ(とくに
受けていない)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・62%
糖尿病教室などのグループ指導・・・30%
教育入院での集中指導 ・・・・・・・・・48%
16%
資料やパンフレットの配付・・・・・・・40%
わからない、覚えていない・・・・・・・・1%
その他 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2%
はい
76%
養生活の基礎になった’
という方と‘怖い
話を聞かされ人生を悲観するようになっ
た’
‘結局、独学で学んだ’との両極に分か
れました。
‘1型・2型混合の集団指導でコ
n = 312
ントロールがうまくいかなくなった’等、
個々に合った質の高い指導を望む声が多
76% の 患 者 さ ん(1型 は80%、 2型 は
差 異 が あったのは、「内服薬指導」で各
く‘「患者になったばかり」の時期に、本
75%)が説明・指導を受けたと答えまし
18%、 50%、
「インスリン療法の指導」で
人の意識を高めるための教育法の開発
た。所要時間では、 1型の患者さんでは
各90%、60%でした。
が、新薬や治療法の開発と同じ位必要で
4割弱が2週間以上の入院、 2型の患者さ
これらの評価について、診断初期で受
は’との意見もありました。
んでは1時間未満が最も多いという結果
けた説明や指導は、85%の患者さんが「療
でした。教育入院は、 64%が通院してい
養に役立った」とする一方、教育入院を
る(または、当時通院していた)医療機関
受けた方で療養生活や血糖コントロール
での実施。その指導内容は、「糖尿病の
が改善したか?では、 1型の患者さんで
基 本 的 な 勉 強」、「食 事 療 法 の 指 導」が
は60%、 2型の患者さんは80%が「改善し
92%、「運動療法の指導」が73%、「血糖
た」という回答でした。
自 己 測 定 の 指 導」が71%。1型 と2型 で
自由記述では、
‘教育入院のおかげで療
HDCアトラスクリニック院長)
高齢化社会になり定年退職者が増
えたことで、時間に余裕ができ教育
入院できる対象者は増えるかもしれ
れないという理由から、入院拒否さ
1型患者(n=98)
2型患者(n=133)
1時間未満
29% 22% 35% 1~3時間以内
12% 7% 17% 約半日
4% 1% 7% 約1日(日帰り)
0% 0% 0% 2~3日間(入院)
2% 2% 1% 3~7日間(入院)
8% 10% 5% 8~10日間(入院)
4% 4% 4% 11~14日間(入院)
18% 17% 20% 2週間以上(入院)
21% 37% 11% 2% 0% 0% その他
鈴木吉彦(日本医科大学客員教授、
ません。一方、会社を休んではいら
Q. 説明や指導の所要時間は?
全体(n=244)
● コメンテーター ●
医療スタッフのための
れる方も見られます。入院や講習会と
いった一時的な体 験や知識の授受
は、一時的な自己満足、恐怖心など
を生み出すだけになる可能性も否定
できません。やはり、私は、患者さ
んが 個別指 導かグループ指 導を受
け、その上で「独学で学ぶ習慣をつ
ける」というのが、持続的かつ発展的
で、血糖コントロールにも一番有力
で、かつ民主的な手法ではないかと
考えています。
糖尿病情報BOX&Net.─ No.26. 10. 2010
Trend Research
改訂糖尿病診断基準続報─
新しい糖尿病診断基準と国際標準化HbA1cの運用について
日本糖尿病学会
(http://www.jds.or.
糖尿病の臨床診断のフローチャート
jp/)は、新たな糖尿病の分類と診断基準
糖尿病型;血糖値(空腹時≧126mg/dL、OGTT2時間≧200mg/dL、随時≧200mg/dLのいずれか)
*HbA1c
(JDS値)
≧6.1%〔HbA1c(国際標準値)
≧6.5%〕 を策定し、 2010年7月1日から施行するこ
とを決定しました。ここでは、学会から
公表された「新しい糖尿病診断基準と国
血糖値とHbA1cともに糖尿病型
血糖値のみ糖尿病型
際標準化HbA1cの運用について」を中心
・糖尿病の典型的症状
・確実な糖尿病網膜症のいずれか
に、改訂の概要とポイントをご紹介いた
有り
します。
■新診断基準運用のポイント
無し
再検査
糖尿病
血糖値とHbA1c
ともに糖尿病型
1)HbA1cをより積極的に糖尿病の診断
血糖値のみ
糖尿病型
HbA1cのみ
糖尿病型
いずれも
糖尿病型でない
再検査
(血糖検査は必須)
なるべく
1ヵ月以内に
血糖値とHbA1c
ともに糖尿病型
血糖値のみ
糖尿病型
HbA1cのみ
糖尿病型
糖尿病疑い
HbA1c 値の基準を設ける。
2) 血糖とHbA1cの同日測定を推奨し、
糖尿病疑い
3∼6ヵ月以内に血糖値・HbA1cを再検査
*HbA1c(国際標準値)
(%)
は現行のJDS値で表記されたHbA1c
(JDS値)
(%)
に0.4%を加えた値で表記。
糖尿病53(6): 450-467, 2010より一部改変
れば1回の検査で糖尿病と診断可能にし
て、より早期からの糖尿病の診断・治療
比して0.4%高値となってい
を促す。
ることを十分説明する。
3) 現 行 のJDS値 で 表 記 さ れ たHbA1c
3)上記のような変更は、測
正しい表記
× 不適切な表記
(JDS値)に0.4%を加えた、 NGSP値に相
定機器メーカーや臨床検査
HbA1c(JDS値)
HbA1c -J
当する国際標準化された新しいHbA1c
学会、各病院の検査部との
(国際標準値)を以下に示す「運用の実際」
協力により、全国一斉に行
HbA1c(国際標準値)
HbA1c-N
HbA1c-*
HbA1c(NGSP値)
に則り使用する。
HbA1c(国際標準値)=
HbA1c(JDS値)+0.4%
HbA1c(JDS値)
とHbA1c(国際標準値)
とを
区別する場合の表記について
われる。
■糖尿病の診断
新しい診断基準は2010年7
月1日から適用される。その
1)従来我が国で使用されてきたJDS lot4
は、「国際標準化変更日」まではHbA1c
によって標準化されたHbA1cをHbA1c
(JDS値)であり、 6.1%以上を糖尿病型と
(JDS値)と呼び、 HbA1c(JDS値)に0.4%
する。「国際標準化変更日」以降はHbA1c
加えたものをHbA1c
(国際標準値)と呼
(国際標準値)を用い、6.5%以上を糖尿病
である。
2) 日常臨床においては、本学会が別途
告 知 す る 日 時(以 下、「国 際 標 準 化 変 更
日」)までは、検査結果として印字される
HbA1cは、 HbA1c(JDS値)とし、それ以
厳密には
異なる
HbA1C HbA1c
糖尿病52
(9): 811-818, 2009
「改訂糖尿病診断基準とHbA1cに関する記述の原則と実例」より一部改変
際、 診 断 に 用 い るHbA1c
れているHbA1c(NGSP値)に相当する値
無用な混乱
を招く
*なお,HbA1cの1c部分の印字については,下付きとしない
■HbA1cの表記
ぶ。これは、米国をはじめ海外で使用さ
いずれも
糖尿病型でない
糖尿病
糖尿病
に取り入れ、糖尿病型の判定に新たに
血糖値とHbA1c値の双方が糖尿病型であ
HbA1cのみ糖尿病型
型とする。
「国際標準化変更日」まで
HbA1c(JDS値)≧6.1%
↓
「国際標準化変更日」以降
HbA1c(国際標準値)≧6.5%
際標準値により表された指標と評価を用
いることとする。
■英文誌・国際学会における発表
1)2010年7月1日以降投稿・発表するも
の に つ い て は、 国 際 標 準 値 で 表 し た
HbA1cを、各々の雑誌の規定などに応じ
てHbA1c、 HbA1cあるいはA1Cなどと記
載する。
2)論文では、「糖尿病の分類と診断基準
に 関 す る 委 員 会 報 告」の 英 語 論 文
(Diabetology International
お よ び
降はHbA1c(国際標準値)とするが、いず
■血糖コントロールの指標と評価
Journal of Diabetes Investigationに掲
れの場合もHbA1cと表示される。但し、
「国際標準化変更日」までは、 HbA1c
載)を引用し、 HbA1cの測定方法を明記
する。
「国際標準化変更日」以降は、検査結果印
(JDS値)で表された現行の指標と評価を
刷用紙に脚注などの形でHbA1cが国際標
用いる。「国際標準化変更日」以降は、改
■和文原著論文における表記
準値表示されていることを明記する。患
めて本学会が改訂を告知するまでは、現
1)
「国際標準化変更日」以降に投稿する
者には「国際標準化変更日」までの数値に
行の基準を踏襲し、 HbA1cについては国
論文では、すべてHbA1c(国際標準値)を
糖尿病ネットワーク http://www.dm-net.co.jp/
際標準値)あるいは、 HbA1c(JDS値)の
血糖コントロールの指標と評価
いずれであるのか明記する。また、海外
「国際標準化変更日」
まで
のデータについては、 HbA1c(NGSP値)
コントロールの評価とその範囲
指標
HbA1c
(JDS値)
(%)
優
5.8未満
可
良
5.8∼6.5未満
不十分
不良
6.5∼7.0未満
7.0∼8.0未満
不可
8.0以上
6.5∼8.0未満
と表記すべきであるが、場合によっては
HbA1c(国際標準値)と表記することも可
とする。
■各種の試験における表記
HbA1cの具体的な数値を記述する場合
に は、 HbA1c
(国 際 標 準 値)あ る い は、
「国際標準化変更日」以降
HbA1c(JDS値)であるのか明記する。ま
コントロールの評価とその範囲
指標
優
HbA1c
(国際標準値)
(%) 6.2未満
良
6.2∼6.9未満
可
不十分
不良
6.9∼7.4未満
7.4∼8.4未満
不可
た、 HbA1c(国際標準値)=HbA1c(JDS
値)+0.4%であることを記載する。
8.4以上
6.9∼8.4未満
「改訂糖尿病診断基準とHbA1cに関する記述の原則と実例」より一部改変
用いる。論文内での表記は、 HbA1cとす
2)いずれの場合も「糖尿病の分類と診断
る。
「国際標準化変更日」以前に投稿する
基準に関する委員会報告」(学会誌「糖尿
*詳細は、「糖尿病の分類と診断基準に
関する委員会報告」として学会誌「糖尿
病」2010年6月号に掲載されるとともに、
学会ホームページに同報告、ならびに
「新 し い 糖 尿 病 診 断 基 準 と 国 際 標 準 化
論文については、 HbA1c(国際標準値)あ
病」2010年6月号)を引用する。
るいは、 HbA1c(JDS値)いずれを用いて
■総説・著書における表記
HbA1cの運用について」、「改訂糖尿病診
も良いが、論文中にいずれの方法で表記
HbA1cの具体的な数値を記述する場合
断基準とHbA1cに関する記述の原則と実
したものかを明記する。
には、国内データについてはHbA1c(国
例」が掲示されています。
日本糖尿病協会発行の「糖尿病健康手帳」が
「糖尿病連携手帳」に生まれ変わりました!
これまで「糖尿病健康手帳」として親し
導の報告ページなども加わりました。
まれてきた自己管理手帳が、
「糖尿病連
糖尿病患者さんが医療機関へ受診する
携手帳」として新しく生まれ変わり、日
際、円滑に診療が受けられるよう、この
本糖尿病協会
(http://www.nittokyo.
手帳を持参し、提示するよう周知を呼び
or.jp/index.htm)
から発行されました。
かけています。
ご存知のように、糖尿病連携手帳は、
糖尿病の療養に役立つ情報、血糖値や
「地域連携クリティカルパス」の重要性
HbA1cなどの検査値、治療内容、合併症
医療機関の得意分野を活かした
の検査所見などを記録できる自己管理手
糖尿病治療
帳です。今回の改訂では、
「糖尿病地域
より良い糖尿病治療を促進するために
連携クリティカルパス」を意識した内容に
は、糖尿病を早期発見し、治療や合併症
た場合などに、専門医のいる病院に紹介。
なっているのが特徴で、かかりつけ医・
の予防を始め、適切に管理・治療を継続、
専門医による検査や短期的な治療の後に、
病院・地方行政等であらかじめ合意の得
さらに合併症が起こったときの専門的な
パスを添えて診療所などに戻す仕組みな
られた方法
(パス)を、地域の医療従事者
治療と、一体的に対策する必要があると
どが考えられています。
(糖尿病専門医、かかりつけ医、眼科医、
考えられています。そこで、最近では各
地域連携医療が患者さんにもたらす利
歯科医)が情報共有できるよう構成され
地域で、医療機関などが連携する「地域連
点は多く、治療方針や内容、検査値、薬
ています。調査記入欄では、かかりつけ
携クリティカルパス」が作成されることが
物療法、指導内容などが含まれる「治療計
医と眼科医や歯科医との連携や、良好な
多くなっています。
「地域連携クリティカ
画」を連携機関で共有することで、効率的
血糖管理と合併症抑制は両輪であること
ルパス」は、これらの一体的な対策を行う
で質の高い一貫した治療と指導が可能と
を意識づける意図もこめて、毎月の検査
ために、複数の医療機関が関わる一貫し
なります。
結果と合併症検査結果の欄が見開きに
た「治療計画」を示します。例えば、半年
なっています。また、教育入院や療養指
に1回、または患者さんが一定以上悪化し
医療スタッフのための
糖尿病情報BOX&Net.─ No.26. 10. 2010
血糖変動をより的確に捉えるために─
週=40回/月
(朝食前を毎回入れると48
回/月)
です。
SMBGの活用について考える
また、毎日朝食前 1 回、週 1 回のみ各
食前・食後・就寝前の 7 ポイント測定する
河津捷二(
(財)
朝日生命成人病研究所附属丸の内病院所長)
方法
(54回/月)
【図2】
。さらに、毎日1日2
回として、 1日目は朝食前後、 2日目は昼
血糖変動の指標として広く普及している血糖自己測定
(以下、 SMBG)
は、糖尿病患者
食前後、 3日目は夕食前後、 4日目は朝食
さんがご自身の血糖値を知り、治療効果の確認と療養生活を正す手段となっており、医
前・就寝前の測定を繰り返し、 1日ごと
師および医療スタッフにとって、治療法や指導内容を調整するための重要な手がかりと
にタイムゾーンをずらして測定する方法
なっています。ここでは、 SMBGを十二分に活用し、血糖変動を的確に捉える方法につ
(2回×30日=60回、もしくは、 1週1サイ
いて考察します。
クル
(4日間)
の場合、 2回×4日×4週=32
1日の血糖変動パターンを
より的確に捉えるために
間、第 2 日目は、
(朝食前)
、昼食前、昼食
回/月)なども考えられます。そして、
後 1 時間、 2 時間、第 3 日目は、
(朝食前)
、
低血糖症状やシックデイなど、何らかの
SMBGを行う際、どのような時間帯で
夕食前、夕食後 1 時間、2 時間、就寝前に
変化が感じられた時には、その時にも
血糖測定を行うのが最も効果的かは、患
測定するという3 日間のサイクル
【図1】を
SMBGを行い、時間やその時の状況
(散歩
者さんによってそれぞれ異なります。さ
1 カ月間続けると、平均的な1 日の血糖変
中、発熱など)
を記録してもらいます。
らに、同じ患者さんでも、治療法や血糖
動パターンが得られます。1 カ月に 1 回受
限られた測定回数の範囲内であっても、
コントロールの状態によって、チェックすべ
診される2型糖尿病患者さんであれば、
このように測定ポイントに変化を持たせる
き時間帯も変わります。従来、 SMBGの
毎週 1 サイクル
( 3日間)だけ、前述のよう
ことで、 1日の血糖変動パターンの頂値
導入初期に、まず測定時間帯を指示し、
な測定法を実施すると、朝食前後、昼食
や最低値を見いだし、一定時間帯のみ測
毎日あるいは週に数日、1 日 2 ∼ 3 回から
前後、夕食前後の血糖パターンが 1 カ月
定していた時には見えなかった部分があ
5 ∼ 6 回の測定を患者さんに行ってもら
間に 4 回得られることになります。測定
ぶり出されてくることが期待されます。
うことが多いと思いますが、以降は同一
回数は、3 回
(朝食前後)
×4 週+3 回
(昼食
常に、患者さんと一緒に、血糖測定時間
の測定パターンの繰り返しとなってしまい、
前後)
×4 週+4 回
(夕食前後・就寝前)×4
の工夫・変更を考えるとよいでしょう。
高血糖や低血糖などの問題点を見逃す可
能性があるのではと危惧されます。例え
ば、 空 腹 時 血 糖 は 比 較 的 良 好 な の に、
HbA1cが 7 %や 8 % 以上という患者さん
は、食後高血糖などの問題点が潜んでい
る 可 能 性 が あります。このような 際 は、
SMBGの測定ポイントにひと工夫加え、
患者さんの血糖変動パターンを、より的
確に捉える必要があります。これにより、
治療あるいは治療変更の効果も確認でき
るようになります。一般的に、血糖の頂値
は、食後 2 時間以内のことが多いのです
が、治療により変化します。また、"食後"
図1 各食前・食後1時間・食後2時間
(1日ごとにタイムゾーンをずらす)
、3日目は+就寝前
第1日目
朝食前 朝食後 朝食後 昼食前 昼食後 昼食後 夕食前 夕食後 夕食後 就寝前 その他
1時間 2時間
1時間 2時間
1時間 2時間
○
○
○
第2日目
朝食前 朝食後 朝食後 昼食前 昼食後 昼食後 夕食前 夕食後 夕食後 就寝前 その他
1時間 2時間
1時間 2時間
1時間 2時間
(○)
○
○
○
第3日目
朝食前 朝食後 朝食後 昼食前 昼食後 昼食後 夕食前 夕食後 夕食後 就寝前 その他
1時間 2時間
1時間 2時間
1時間 2時間
(○)
○
○
○
○
出典:「糖尿病診療のコツと落とし穴」
(2003 年 中山書店刊)
「SMBG の活用法」より改編
図2 毎日朝食前1回、週1回各食前・食後・就寝前の例
というのは、食事開始後を意味しますの
で、患者さんに確認しておきましょう。
限られた測定回数の範囲内で
測定ポイントに変化を持たせる
患者さんの負担を考えると、やみくも
に測定回数を増やすことは難しく、経済
的でもありません。限られた測定回数の
中で、効率よく血糖コントロール状況を
把握する方法を考慮しなくてはなりませ
ん。例えば、以下のような方法を活用す
るのも選択肢の一つとして有効です。
第1 日目は朝食前、朝食後 1 時間、2 時
糖尿病ネットワーク http://www.dm-net.co.jp/
糖尿病データ管理システム
MEQNET SMBG Viewerで
グラフ化した例
サイト紹介 ㉖
海外ニュースをCheck!
糖尿病リソースガイドで
「海外の医学誌から」のコーナーを新設
『糖尿病リソースガイド』(http://dm-
これまで、
「Diabetes Care」
「Diabetes」
rg.net)では、新コーナー
「海外の医学誌
な ど の 糖 尿 病 専 門 誌、「Lancet」
「BMJ
から/糖尿病情報」を開設しました。こ
(British Medical Journal)」
「 NEJM
のコーナーでは、海外の権威ある医学系
(New England Journal of Medicine)」
学術誌の中から、糖尿病に関連した論文
「JAMA(Journal of American Medical
を厳選して紹介。より早く情報に触れた
Association)」な ど の 総 合 医 学 系 学 術
いという声に応えたコーナーとなってい
誌、「Nature」に代表される科学誌など
ます。
から選りすぐりの論文を掲載。また、米
取り上げた論文は、テーマや結論など
国糖尿病学会(ADA)や米国内分泌学会
の要点をコンパクトにまとめて掲載。忙
(ENDO)などで発表された糖尿病に関連
しい業務の合間でも最新の知見に触れる
する演題を紹介するなど、ジャンルの垣
ことが可能です。原文や要約など、より
根を越え、世界の糖尿病情報が幅広くカ
詳しい情報が知りたい場合でも、ワンク
バーされています。
リックで各論文が掲載されている雑誌の
7月には、 6月25日〜29日に米国オー
ホームページに飛ぶことができるので、
ランドで開催された「第70回米国糖尿病
■糖尿病リソースガイド
http://www.dm-rg.net/
リンク先で詳細を確認することができま
学会
(ADA)年次集会」で発表されたばか
す(ただし、原文等を読むためには、論
りの多数の演題を、論文として取り上げ
に入れることができます。毎月10日と25
文リンク先のホームページへの登録が必
ました。情報の鮮度もニュース性も高
要となる場合があります)。
く、常に糖尿病治療の最前線の情報を手
日前後に論文を5題ずつ追加しています。
日々の業務に、さらなる情報収集に、ぜ
ひお役立てください。
さらに使いやすく!情報力アップ!
「特定健診・特定保健指導リソースガイ
ド」がリニューアル
40 〜 74 歳を対 象とした特定健 診・保
アクセス頻度の高い「最新ニュース」
「講
健 指 導 がスタートして3年目となりまし
習会・セミナー情報」「関連資料更 新情
た。 8月の 発 表では、 特 定健 康 診 査 の
報」をよりわかりやすく閲覧できるよう改
初年度の受 診 率が、 厚生労 働 省が目標
編。
「行政・団体等の関連資料」では、厚
とした 2012 年 度 の 受 診 率 70 % の 半 分
生労働省の各種検討会で公開される資料
程 度の水 準であった等、 今 後の課 題 が
や、関連団体が公開する調査・統計を簡
浮き彫りとなりました(http://mhlab.jp/
単に閲覧できるようまとめています。また、
calendar/2010/006812.php)。
食事指導・運動指導の取り組み事例が都
特 定健 診・特 定保 健 指 導に携わる医
道府県ごとに整理されているので、保健
療スタッフに役立つ情報を提供するサイト
指導の参考資料としても活用できるように
『特定健診・特定保健指導リソースガイド
なっています。その他、健診・保健指導シ
(http://tokuteikenshin-hokensidou.jp/)』
ステムやソフト、関連する製品やサービス
は、
「行政や関連検討会が発表する資料・
を紹介するコーナーも充実しています。保
データ等をいち早く知りたい」「資料がたく
健指導の現場で活躍する方にとって情報
さんありすぎてどこを見たらよいかわからな
収集は欠かせないものです。最新で役立
い」といった医療スタッフの声にお応えし、
つ情報を提供する同サイトをぜひご活用く
7 月よりサイトをリニューアルしました。
ださい。
■特定健診・特定保健指導
リソースガイド
http://tokuteikenshin-hokensidou.jp/
医療スタッフのための
糖尿病情報BOX&Net.─ No.26. 10. 2010
命表」によると、日本人の平均寿命は過
去最高を更新し男性は79.59年、女性は
86.44年になった。
2010年6月〜2010年8月 ●糖尿病ネットワーク 資料室より
2010年 8月
CGM一体型インスリンポンプが血糖コ
2010年 6月
が、実際には高カロリーのものも多い
ントロールを改善(8月2日)
若い世代の食生活改善が課題(6月4日)
と の 知 見 を、 米 ミ シ ガ ン 大 学 の 研 究
米国で新たな血糖センサー付きイン
「平成22年版食育白書」によると、朝食
チームが発表。
スリンポンプの開発がされ、米国糖尿
を毎日食べる人の割合は労働時間が長い
2010年 7月
病学会(ADA)年次集会で発表された。
ほど低くなる傾向があるなど、特に若い世
糖尿病とがんの関連(7月5日)
インターネットを患者指導に活用
代で食生活で改善すべき点が少なくない。
糖尿病とがん発症は関連が深く、糖
糖尿病治療薬がスイッチOTC候補
尿病治療や生活習慣改善の意義が高い
米大手医療保険カイザーパーマネン
とするコンセンサス・レポートを、米国
テは、糖尿病や高血圧症、あるいは両
厚生労働省は、医療用医薬品を一般
糖 尿 病 学 会(ADA)と 米 国 が ん 学 会
方を合併する患者3万5423人を対象にし
用医薬品へ転用(スイッチOTC)する候
(ACS)が共同で設置した専門グループ
た研究で、患者・医師間の電子メールが
(6月11日)
(8月6日)
補19成分を公表。リストにはα-グルコ
が発表。
医療の質を向上するとの知見を発表。
シダーゼ阻害薬の「ボグリボース」と「ア
歩数計をウォーキングに活用(7月9日)
食事療法が血糖コントロールを改善
カルボース」も加えられた。
糖尿病患者が歩数計やそれに連動し
6番目の味覚は「脂肪の味」(6月15日)
たホームページを活用すると、運動へ
オタゴ大学エドガー国立糖尿病研究
「甘 味、 塩 味、 苦 味、 酸 味、 う ま 味」
の意欲が高められるという研究を、米
センターの「LOADD」研究で、薬物療法
の5つの味覚に、 6番目として「脂肪」も
ミシガン大学の医療・研究機関(UMHS)
だけで良好な血糖コントロールを得ら
加えるべきとの見解を、ディーキン大
の研究者らが発表。
れない2型糖尿病でも、個別の食事指導
学の研究者らが発表。脂肪の味覚は体
経口血糖降下薬の臨床評価方法に関す
で改善する症例が多いと発表。
重管理にも大きく関わる。
るガイドライン(7月13日)
人間ドックで「異常あり」が9割(8月23日)
玄米を食べると2型糖尿病のリスクが低
厚生労働省は、経口血糖降下薬の承
2009年に人間ドックを受診した人の
下(6月16日)
認申請の目的で実施される臨床試験に
うち「異常あり」の判定は90.5%で過去
白米の3分の1を玄米におきかえるこ
おける評価の標準的方法をとりまとめ
最高を更新したことが、日本人間ドッ
とで2型糖尿病のリスクが大幅に低下す
た「経口血糖降下薬の臨床評価方法に関
ク学会の調査で分かった。
るとの研究を、ハーバード公衆衛生大
するガイドライン」を公表。2012年7月1
緑色野菜が2型糖尿病の改善に有用
学院が発表。
日より適用となる。
小麦フスマや全粒粉の摂取が死亡リス
クを低下(6月23日)
地域連携パスで栄養士を派遣【石川県】
(7月20日)
(8月19日)
(8月24日)
ほうれん草、キャベツ、ブロッコリー、
カリフラワーなどの緑色野菜を多く摂る
小麦の外皮を豊富に含む全粒粉をよ
石川県南加賀地区の医療機関が糖尿
ことで、 2型糖尿病の発症リスクを減ら
くとっている2型糖尿病の女性では、心
病患者の診療情報を共有する仕組み作
せるとの知見を、英レスター大学の研
血管疾患による死亡リスクが低下する
りを目指す「南加賀かけはしネットワー
究チームが発表。
こ と が、 米 国 で 行 わ れ た 長 期 研 究
ク」は、開業医に管理栄養士を派遣する
「Nurses Health Study」であきらかに。
事業を始める方針を固めた。
特定健診・初年度の受診率は4割未満
(8月26日)
53%が処方薬とサプリを併用(6月23日)
日本の医療はトップレベル「OECDヘル
40〜74歳を対象とした特定健康診査
日本薬剤師会などの共同研究で、保
スデータ2010」(7月23日)
初年度の受診率が38.3%だったことが、
険薬局を利用した患者の半数以上が処
経済開発協力機構(OECD)が発表した
厚生労働省のまとめで分かった。特定
方薬とサプリメントを併用し、処方薬
「OECDヘ ル ス デ ー タ2010」に よ る と、
保健指導の対象者のうち終了者は7.8%。
を含め平均8種類の薬剤を服用している
日本はBMI30以上の肥満の比率は3.4%。
インスリン抵抗性がアルツハイマー病
ことが示された。
コンピューター断層撮影装置(CT)の人
に影響(8月27日)
オーガニック食品はカロリー表示も
口100万の当たりの設置台数は97.3で世
インスリン抵抗性のある2型糖尿病患
界でも高水準。
者では、アルツハイマー病の発症に関
有機栽培の原材料を使った食品は低
平均寿命は男女とも過去最高(7月27日)
連があるプラークが形成されるリスク
カロリーというイメージを抱きやすい
厚生労働省が発表した「2009年簡易生
が高いとの研究を、九州大学の久山町
(6月28日)
スタディの研究チームが発表。
●各記事の詳細およびその他のニュースについては、
糖尿病ネットワーク(dm-net)の糖尿病の最新情報/資料室のコーナーをご覧ください。
糖尿病ネットワーク http://www.dm-net.co.jp/
2010 年10 月∼ 2011 年1月
日本糖尿病療養指導士認定更新に取得できる単位
数をイベント・学会名の横に表示しています。
[第1群]
は自己の医療職研修単位。
[第2群]
は糖尿病療養指導研修単位。
表示のないものは、現在申請中あるいは未定です。
詳細は各会のHPをご覧ください。
第7回日本フットケア学会 室蘭セミ
第8回神奈川県糖尿病療養指導研究会セ
〒545-8586 大阪市阿倍野区旭町1-4-3
ナー
ミナー
Tel 06-6645-3806
[日 時]10月8日(金)-9日(土)
[日 時]10月24日(日)11:00〜15:35
http://www.med-dyna.com/47jdskinki/
[場 所]中嶋神社 蓬峽殿
[場 所]
(財)横浜市教育会館
第16回日本糖尿病眼学会
[連絡先]新日鐵室蘭総合病院
[連絡先]川崎幸病院中原分院
[第2群 2単位]
〒050-0076 北海道室蘭市知利別町
〒211-0021 川崎市中原区木月住吉町
[日 時]11月26日(金)-28日(日)
1-45
22-1
[場 所]大阪国際会議場
Tel 0143-44-4650
Fax 044-433-2500
[連絡先]
(株)JTBコミュニケーション
http://footcare.main.jp/muroran/
第48回日本糖尿病学会中国四国地方会
第43回日本薬剤師会学術大会
[第1群 薬剤師 2単位]
ズ コンベンション事業局内
[日 時]10月29日(金)-30日(土)
〒530-0001 大阪市北区梅田3-3-10 [場 所]ひめぎんホール(愛媛県県民文
梅田ダイビル4F
[日 時]10月10日(日)-11日(月)
化会館)
Tel 06-6348-1391
[場 所]ホクト文化ホール(長野県民文
松山市道後町2-5-1
E-mail:[email protected]
化会館) 他
[連絡先]
(株)コンベンションリンケー
http://retina2010.jtbcom.co.jp/
[連絡先]
(株)メッド
〒701-0114 倉敷市松島1075-3
第26回日本糖尿病・妊娠学会
ジ内
Tel 086-463-5344
[第2群 2単位]
〒531-0072 大阪府大阪市北区豊崎
E-mail:[email protected]
[日 時]11月26日(金)-27日(土)
3-19-3 PIAS TOWER 11F
http://www.med-gakkai.org/jds-cs48/
[場 所]ラフレさいたま
第48回日本糖尿病学会九州地方会
[連絡先]
(株)コンベンション・ラボ内
Tel 06-6377-2188
E-mail:[email protected]
[2群 4単位]
〒252-0253 神奈川県相模原市中央区
http://www.secretariat.ne.jp/jpa43/
[日 時]10月29日(金)-30日(土)
南橋本2-1-25-603
第15回日本糖尿病教育・看護学会
[場 所]ビーコンプラザ(別府国際コン
Tel 042-707-7275
[第1群 看護師・准看護師 4単位、第2群 4単
位]
ベンションセンター)
E-mail:[email protected]
[連絡先]
(株)コングレ九州支社
http://www.dm-net.co.jp/jsdp/
第22回日本糖尿病性腎症研究会
[日 時]10月10日(日)-11日(月)
Tel 092-716-7116
[場 所]東京国際フォーラム
E-mail:[email protected]
[日 時]12月4日(土)-5日(日)
[連絡先]日本コンベンションサービス
http://www.congre.co.jp/jdsk2010/
[場 所]東京慈恵会医科大学
(株) メディカルカンパニー本社グループ
第48回日本糖尿病学会東北地方会
[連絡先]東京慈恵会医科大学糖尿病・
〒100-0013 東京都千代田区霞が関
[第2群 4単位]
代謝・内分泌内科
1-4-2 大同生命霞が関ビル18階
[日 時]11月6日(土)
Tel 03-3433-1111(内3249) Fax
Tel 03-3508-1214
[場 所]仙台国際センター
03-5476-9753
E-mail:[email protected]
[連絡先]東北大学病院糖尿病代謝科
http://www.dm-net.co.jp/jdnsg/
http://www2.convention.co.jp/jaden15/
仙台市青葉区星陵町2-1
第25回日本糖尿病合併症学会
第14回日本病態栄養学会
Tel 022-717-7611
[1群 管理栄養士・栄養士 4単位、2群 4単位]
[第2群 2単位]
http://www.jds.or.jp/jds_or_jp0/
[日 時]2011年1月15日(土)-16日(日)
[日 時]10月22日(金)-23日(土)
modules/touhoku/index.php?id=1
[場 所]パシフィコ横浜
[場 所]びわ湖ホール 他
第47回日本糖尿病学会近畿地方会
[連絡先]日本病態栄養学会事務局
[連絡先]日本コンベンションサービス
[2群 4単位]
〒160-0004 東京都新宿区四谷3-13-11
(株)関西支社内
[日 時]11月13日(土)
栄ビル5階
〒541-0042 大阪府大阪市中央区今橋
[場 所]大阪国際会議場
Tel 03-5363-2361
4-4-7 京阪神不動産淀屋橋ビル2F
[連絡先]大阪市立大学大学院医学研究
[email protected]
Tel 06-6221-5933
科代謝内分泌病態内科学
http://www.eiyou.gr.jp/gakujutsu/
E-mail:[email protected]
http://www2.convention.co.jp/25jsdc/
●各イベントの詳細や、このページに掲載されていないイベントについては、
糖尿病ネットワーク(dm-net)のイベント・学会情報のコーナーをご覧ください。
医療スタッフのための
糖尿病情報BOX&Net.─ No.26. 10. 2010
によると、米国の糖尿病有病者の4分の1
スした値であり、米国で使用されている
にあたる570万人が未診断で、 5700万人
NGSP値6.5%は日本では6.1%に相当しま
が糖尿病予備群です。米国糖尿病学会
す。HbA1cの 測 定 法 は 従 来 通 り で、
HbA1c:
(JDS値)≧6.1%
(国際標準値)≧6.5%
(ADA)は2009年12月に、米国の新たな
HbA1c(JDS値)6.1% は、 従 来 の 糖 尿 病
糖尿病診断基準でHbA1c検査を推奨す
型の空腹時血糖値やOGTT2時間値の基
ることを発表しました。HbA1c測定を
準値に相当する値であり、今回の改訂に
糖尿病の治療では血糖コントロールが
奨励することで「より早くより簡便に検
より糖尿病患者数が増加することはない
重要であり、過去1〜2ヵ月間の平均血糖
査できるようになり、糖尿病患者さんが
とみられています。厚生労働省の「2007
値を反映する指標であるHbA1cは、血糖
検査に対し意欲をもてるようになる。よ
年国民健康・栄養調査」によると、糖尿
コントロール指標と評価にも用いられてお
り多くの未診断の糖尿病症例の発見にも
病が強く疑われる人は約890万人、糖尿
り、糖尿病医療では広く知られていま
つ な が る。 血 糖 値 が ま だ 糖 尿 病 前 症
病の可能性が否定できない人は約1320万
す。HbA1cは血糖値の日内変動などの
(pre-diabetes)の範囲にある人でも、生
人ですが、この判定にもHbA1c 6.1%が
細かな変化を把握できませんが、経口ブ
活習慣の改善・指導を行うことで 2 型糖
ドウ糖負荷試験(OGTT)のように一晩の
尿病を予防できる」と強調しています。
絶 食 が 求 め ら れ ま せ ん。 そ の た め、
日本糖尿病学会は今年の7月に日本の
HbA1c検査は糖尿病予備群の早期発見
診断基準を改訂し、 HbA1cの糖尿病型
や、保健指導にも役立つとして注目され
のカットオフ値(JDS値)を6.1%としまし
ています。
た。海外で使用されているNGSP値で表
米国疾病管理センター(CDC)の調査
記 さ れ たHbA1cはJDS値 に0.4% を プ ラ
数字で見る糖尿病
(25)
使用されています。
この記事の数値は下記での公表によるものです:
American Diabetes Association's New Clinical
Practice Recommendations Promote A1C as
Diagnostic Test for Diabetes
http://www.diabetes.org/for-media/2009/cpr2010-a1c-diagnostic-tool.html
社団法人日本糖尿病学会
http://www.jds.or.jp/
資料制作や患者指導に役立つ
糖尿病の大規模臨床研究 ⑳
《「糖尿病ネットワーク」で連載中》
UKPDS(United Kingdom Prospective Diabetes Study)・・・5
解説:加藤昌之(財団法人国際協力医学研究振興財団主任研究員)
監修:野田光彦(独立行政法人国立国際医療研究センター病院 糖尿病・代謝症候群診療部長)
(前号からの続き)
たため個々のエンドポイントについては
はっきりしないところもありますが、厳格
な血糖コントロールが2型糖尿病において
も細小血管合併症の発症・進行を抑える
ことが明らかになりました。個々の大血
血糖を起こした者の割合は平均で、クロ
管合併症については有意な結果は得られ
従来治療群に比べ強化療法群は細小血
ルプロパミド0.4%、グリベンクラミド0.6%、
ませんでした。死亡や大血管合併症のイ
管 合 併 症 が 25% 抑 制 さ れ て お り
(p=
インスリン2.3%、従来治療0.1%であり、
ベント数が細小血管合併症と比べて極端
0.0099)、その大部分は光凝固術施行の
すべての低血糖ではクロルプロパミド
に少ないというわけでもないので、死亡
差によるものでした。
11.0%、グリベンクラミド17.7%、インス
や大血管合併症については厳格な血糖コ
強化療法群間では細小血管合併症およ
リン36.5%、従来治療1.2%でした。
ントロールは効果がないかあってもその
び光凝固術の施行についての有意な差は
ITT(intention-to-treat)解析では、重
効果はあまり大きくない、ということが
認められませんでした。
篤な低血糖では、クロルプロパミド1.0%、
言えそうです。またSU薬やインスリン
年に1回以上の低血糖発作を起こした
グリベンクラミド1.4%、インスリン1.8%、
による心血管への悪影響は認められませ
者は、重篤な低血糖、すべての低血糖と
従来治療0.7%であり、すべての低血糖
んでした。両群とも徐々に体重が増加し
もに強化療法群で有意に多くなっていま
ではクロルプロパミド16%、グリベンクラ
血糖コントロールも悪化している、などの
した。
ミド21%、インスリン28%、 従 来 治 療
問題点はありますが、厳格な血糖コント
強化療法群の中で実際の治療で比較す
10%でした。従来治療群での低血糖は
ロールが2型糖尿病においても細小血管合
ると、重篤な低血糖、すべての低血糖と
反応性低血糖でした。
併症の発症・進行を抑えること、少なく
もインスリン治療で多くなっていました。
まとめ
とも大血管合併症を増悪させるというこ
はじめの10年間割り付けられた治療を
大血管合併症と細小血管合併症をま
とはないことを示した重要な研究です。
行っている間に年に1回以上の重篤な低
とめて複合エンドポイントにしてしまっ
医療スタッフのための
糖尿病情報BOX&Net. No.26
2010年10月1日発行
●本誌のバックナンバーは糖尿病ネットワーク(http://www.dm-net.co.jp/)で公開しています。
監修・企画協力:糖尿病治療研究会
提 供:株式会社三和化学研究所 企画・編集・発行:糖尿病ネットワーク編集部 (株)創新社
〒105-0003 東京都港区西新橋2-8-11
TEL. 03-5521-2881 FAX. 03-5521-2883
E-mail : [email protected]