C-16 III価鉄を利用したヒドロキシラジカルによるVOC処理技術の開発 化学環境部 環境・エネルギー・バイオ系 ○林 寛一、中島陽一 改正大気汚染防止法 改正大気汚染防止法(平成18年度施行) (平成18年度施行) 有機化合物の化学的酸化分解処理法 有機化合物の化学的酸化分解処理法 VOC VOC(揮発性有機化合物): (揮発性有機化合物): フェントン反応: フェントン反応:鉄を用いる安価・簡便な反応 鉄を用いる安価・簡便な反応 有機物分解に有効で、強力な酸化力をもつ 有機物分解に有効で、強力な酸化力をもつ ・OH ・OH (ヒドロキシラジカル)を生成。 (ヒドロキシラジカル)を生成。 SPM SPM(浮遊粒子状物)の生成に関与。平成22年度までに (浮遊粒子状物)の生成に関与。平成22年度までに 30%削減(平成12年度比) 30%削減(平成12年度比) Fe(II) O22 → → ・OH ・OH ++ Fe(III) Fe(III) ++ OH OH Fe(II) ++ H H22O 規制対象業種 規制対象業種:: 実用例:染色廃液の脱色など水中有機物分解に利用。 実用例:染色廃液の脱色など水中有機物分解に利用。 →気体状VOCも反応溶液中に →気体状VOCも反応溶液中に バブリングさせることで バブリングさせることで 分解処理可能。 分解処理可能。 塗装関係、接着関係、印刷関係、化学製品製造関係、 塗装関係、接着関係、印刷関係、化学製品製造関係、 工業用洗浄関係、VOC貯蔵施設関係 工業用洗浄関係、VOC貯蔵施設関係 現行処理法: 現行処理法: 問題点:酸化鉄スラッジが生成 問題点:酸化鉄スラッジが生成 →フェントン反応に代わる新しいヒドロキシラジカ →フェントン反応に代わる新しいヒドロキシラジカ ル生成法の開発が必要 ル生成法の開発が必要 分解法:触媒燃焼法など・・・・効率よいが極めて高価 分解法:触媒燃焼法など・・・・効率よいが極めて高価 回収法:活性炭フィルターなど・・安価だが非効率的 回収法:活性炭フィルターなど・・安価だが非効率的 →安価・簡便な新しい処理法の開発が望まれる →安価・簡便な新しい処理法の開発が望まれる ~安全・安価で環境にやさしい新しいVOC酸化処理法の開発を目指して~ Fe(III)酸化鉄を用いるヒドロキシラジカルの生成法の開発 z Fe(III) を利用する・OH 生成法は過去にほとんど例がない新規な方法 z z 酸化鉄Fe(III) を利用のためスラッジ生成の心配がない 鉄酸化物廃棄物(鉄さびなど)のリサイクル使用の可能性もある Fe(III)の鉄(針鉄鉱)を利用 α or γ-Fe(O)OH + H2O2 ・OH が生成 ESR法により確認(右図) Table 1 ヒドロキシラジカル生成量 と溶存鉄イオン濃度 Catalyst ·OH Conc. (M) Fe(II) Conc.(M) α-Fe(O)OH 10-6 Not Detected Fe(III) Conc.(M) 10-6 γ-Fe(O)OH 10-6 Not Detected 10-6 Fe(II)がほとんど検出されていな いため、既知のフェントン反応 とは異なる新反応発見の可能性 Table 2 III価鉄を利用するVOC酸化分解実験 Catalyst Reaction Time H2O2 Conc.(M). トルエンの濃度変化(ppm) α-Fe(O)OH 2h 10-6 30 → 25 γ-Fe(O)OH 2h 10-6 30 → 20 非水溶性の酸化鉄を用いる新しいヒドロキシラジカル生成法を見出した。これにより、フェントン 反応における鉄スラッジ問題の解決と、鉄さび等の酸化鉄リサイクルなどに期待がもてる。反応の詳 細な機構やVOC分解反応効率向上等が今後の課題である。
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