特集 1 High Fidelity PCR 酵素がヒトゲノム 30 kb を増幅! PrimeSTAR GXL DNA Polymerase ® ® 製品コード R050A R050B 250 U 1,000 U(A × 4) ¥35,000 ¥100,000 高い正確性と優れた増幅効率を兼ね備え、 「使いやすい High Fidelity PCR 酵素」として多くの研究者の皆様から ご好評をいただいている PrimeSTAR® シリーズに、新たに PrimeSTAR® GXL DNA Polymerase が加わりまし た。PrimeSTAR® GXL は PrimeSTAR® HS DNA Polymerase を改良し、さらに独自の伸長因子を組み合わ せることにより PCR パフォーマンスを飛躍的に向上させた、画期的な High Fidelity PCR 酵素です。本特集で は、High Fidelity PCR 酵素の常識を打ち破る PrimeSTAR® GXL の性能をご紹介いたします。 ■ 特長 ■ 各種 PCR 酵素との正確性の比較 【方法】 正確性 Pfu DNA Polymerase を上回ります。 GC リッチで変異が入りやすい Thermus thermophilus HB8 ● 長鎖増幅 ゲノム DNA を鋳型として、任意に選択した 10 領域 (増幅サイ ® ヒトゲノム DNA を鋳型として 30 kb、λDNA では ズはそれぞれ約 500 bp) を PrimeSTAR GXL と各種 PCR 40 kb を増幅可能。長鎖ターゲットの増幅が得意です! 酵素で増幅しました (反応液組成および PCR 条件は各酵素 ● GC リッチ対応 の推奨プロトコールを使用) 。増幅産物をベクターにクローニ バッファーの 変 更 や 特 別 な 反 応 条 件 の 設 定 なしに、 ングし、各配列について複数クローンをピックアップしてシーケ 高い成功率で GCリッチターゲットを増幅できます。 ンシングにより塩基配列を確認しました。解析した総塩基数 ● cDNA 増幅 に対するエラー塩基数からmutant frequency を求めました。 核酸量の多い cDNA を鋳型とする増幅にも威力を発 揮します *。 【結果】 *:一般的に正確性の高いPCR 酵素は核酸量の影響を受けやすく、cDNA を ● PrimeSTAR® GXL では、解析した総塩基数 486,923 塩基に対 鋳型とする増幅が苦手とされています。 しエラーは 30 塩基であり、mutant frequency は 0.0062%とな ■ 内容(200 反応分*1) りました。この結果は High Fidelity PCR 酵素の原点である PrimeSTAR® GXL DNA Polymerase(1.25 U/µl) 200 µl *2 5 × PrimeSTAR® GXL Buffer(Mg2+ plus) dNTP Mixture(2.5 mM each) Pfu DNA Polymerase の正確性を上回っています(図 1) 。 1 ml × 2 800 µl *1 :標準プロトコール、反応容量 50 µl での回数 2+ です。 *2 : Mg 濃度は5 mM(5 ×) (弊社比較データ) 図1 PrimeSTAR ® シリーズと各種 PCR 酵素との正確性の比較 2 ● BIO VIEW No.54 特集 1 High Fidelity PCR 酵素がヒトゲノム30 kbを増幅! PrimeSTAR GXL DNA Polymerase ® ■ 長鎖ターゲットの増幅 【方法】 ヒトゲノムDNA、λDNA および cDNA を鋳型として、さまざま ■ GC リッチなターゲットに対する反応性を 他社 High Fidelity PCR 酵素と比較 【方法】 なサイズのターゲットを増幅しました(サーマルサイクラーは ヒトゲノムDNA および T. thermophilus HB8 ゲノムDNA を鋳 TaKaRa PCR Thermal Cycler Dice ® Standard を使用。 型として、増幅領域の GC 含量が 70%前後の4 種類のGC なお、本稿の PCR はすべて本装置で行いました) 。 リッチなターゲットについて、PrimeSTAR® GXL と他社 High Fidelity PCR 酵素で増幅を行い反応性を比較しました。反 【結果】 ヒトゲノム DNA を鋳型とした場合は 30 kb、λDNA では 応液組成および PCR 条件は各酵素の推奨プロトコールに従 いました。 40 kb、cDNA では 13.5 kb までの増幅が確認できました。高 次構造をとりやすいゲノムDNA をはじめ、様々なターゲットに 【結果】 対して非常に良好な伸長性を示すことがわかります(図 2) 。 PrimeSTAR® GXL は他社 High Fidelity PCR 酵素よりも効率 優れた伸長性を有するPrimeSTAR® GXL を用いることで、こ よく、高い反応特異性で目的のターゲットの増幅が可能でし れまでの High Fidelity PCR 酵素では増幅できなかった長鎖 た (図 3) 。非特異的な増幅がおこりやすい GCリッチなターゲ の増幅が可能です。 ットでも、PrimeSTAR® GXLを用いれば特別なバッファーや反 応条件を設定することなく、特異性の高い増幅が可能です。 鋳型:ヒ PrimeSTAR ® GXL M 1 2 3 4 A 社酵素 M M B 社酵素 2 M 1 2 3 1 2 B 社酵素 3 4 4 M M C 社酵素 4 M 1 2 3 1 2 3 4 M D 社酵素 1 2 3 4 M (弊社比較データ) 鋳型:ヒトゲノム DNA (100 ng/50 μl 反 応 系) レーン 1: APOE gene 746 bp(GC 含 量 74 %) 2: TGFβ1 gene 2005 bp(GC 含 量 69 %) 鋳 型: T. thermophilus HB8 ゲノム DNA (10 ng/50 μl 反 応 系) レーン 3: 2029 bp(GC 含 量 74 %) M: pHY Marker 4: 4988 bp(GC 含 量 74 %) 反 応は 各 社 推 奨 条 件で実 施 B 社 酵 素 2: GC リッチ 対応 酵 素 D 社 酵 素: GCバッファー 使 用 図3 GC リッチターゲットに対する PrimeSTAR ® GXL と他社 High Fidelity PCR 酵素との反応性の比較 図2 PrimeSTAR ® GXL の伸長性の確認 ヒトゲノム DNA を鋳型とした場合は 30 kb、λDNA では 40 kb、cDNA では 13.5 kb までの増幅が確認でき、様々なターゲットに対して非常に良好な伸長性 を示しました。 PrimeSTAR ® GXL は様々な GC リッチターゲットをもっとも効率よく増幅し、 かつ、高い反応特異性を示しました。 BIO VIEW No.54 ● 3 特集 1 High Fidelity PCR 酵素がヒトゲノム30 kbを増幅! PrimeSTAR GXL DNA Polymerase ® ■ 他社 High Fidelity PCR 酵素および rTaq との ■ cDNA を鋳型とする反応 【方法】 増幅効率の比較 様々な量の HL60 細胞由来 total RNA を逆転写して得られた cDNA を鋳型に、トランスフェリンレセプター (TFR)領域 4 kb を ® 【方法】 様々な量のヒトゲノム DNA を鋳型として、PrimeSTAR® GXL PrimeSTAR シリーズの各酵素で増幅し、感度および鋳型量 と他社 High Fidelity PCR 酵素および r Taq の増幅効率を に対する許容性を比較しました。 比較しました。 【結果】 【結果】 一般に、正確性の高い PCR 酵素は反応液中の核酸量に影 PrimeSTAR® GXL では他社 High Fidelity PCR 酵素や rTaq 響を受けやすく、cDNA を鋳型とする増幅が比較的苦手で より高感度かつ良好な増幅が見られました。また、他社 ® す。しかし、PrimeSTAR GXL では 2.5 ng ∼ 1 µg にわたる鋳 High Fidelity PCR 酵素が反応阻害を受けた鋳型量が多い 型 cDNA の非常に広い濃度範囲において良好な増幅が見 条件下(ヒトゲノム DNA 500 ng/50 µl 反応系)でも高い反応 られ、感度、鋳型量許容性とも優れていることがわかりまし 性を示しました (図 5) 。 た (図 4) 。 PrimeSTAR® GXL PrimeSTAR® GXL M 1 2 3 M 1 2 3 M 1 2 3 4 5 6 7 9 10 M M 1 2 3 4 5 6 7 M 1 2 3 4 5 6 7 M 8 9 10 M M 1 2 3 4 5 6 7 M 1 2 3 4 5 6 7 M M M 1 2 3 4 5 6 7 M 1 2 3 4 5 6 7 M PrimeSTAR® HS 4 5 6 7 B 社酵素 E 社酵素 PrimeSTAR® Max 4 5 6 7 8 9 10 ター ゲット:TFR 4 kb 鋳 型 cDNA 量 (total RNA 相 当 量)/ 50 μl 反 応 系 レーン 1: 25 2: 250 3: 2.5 4: 25 pg pg ng ng 5: 250 ng 6: 500 ng 7: 751 ng 8: 1μg A 社酵素 8 9: 1.5 μg 10: 2 μg M: λ- Hin d III digest C 社酵素 r Taq (弊社比較データ) 鋳型:ヒトゲノムDNA ターゲット:DCLRE1A 遺伝子 (2 kb) 反応は各社推奨条件で実施 鋳型量 (/50 μl反応系) 5: 100 ng レーン1: 鋳型なし 6: 200 ng 2: 100 pg 3: 1 ng 7: 500 ng 4: 10 ng M: λ- Hin d III digest 図4 cDNA を鋳型とする反応:鋳型量への適応性の比較 正確性の高い PCR 酵素は核酸量の影響を受けやすく、cDNA を鋳型とする 増幅が比較的苦手です。しかし、PrimeSTAR® GXL は鋳型 cDNA 量が多い場 合でも高い反応性を示しました。 図5 PrimeSTAR ® GXL と他社 High Fidelity PCR 酵素および rTaq との増幅効率の比較 PrimeSTAR® GXL は、他社 High Fidelity PCR 酵素や r Taq より高感度かつ 良好な増幅性を示しました。また、他社 High Fidelity PCR 酵素が反応抑制を 受ける鋳型量が多い条件下でも高い反応性が見られました。 4 ● BIO VIEW No.54 特集 1 High Fidelity PCR 酵素がヒトゲノム30 kbを増幅! PrimeSTAR GXL DNA Polymerase ® ■ 高速 PCR プロトコールでの反応 PrimeSTAR® GXL は、伸長時間が 1 分/kb のスタンダードな PCR 条件を標準プロトコールとしていますが、酵素を 2 倍量 <標準プロトコール> M 1 2 3 酵素量: 1.25 U/50 µl 反応系 4 5 6 7 8 9 10 M 98 ℃ 10 秒 55 ℃ 15 秒 68 ℃ 4 分 使用することにより、伸長時間 10 秒/kb の高速 PCR を幅広 いターゲットに対して行うことができます。 30 サイクル 反応所要時間: 3 時間 【方法】 ヒトゲノム DNA を鋳型として、高速プロトコールで各サイズの ターゲットを増幅しました。また、様々な濃度の HL60細胞由 <高速プロトコール> 酵素量: 2.5 U/50 µl 反応系 M 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 M 98 ℃ 10 秒 55 ℃ 15 秒 68 ℃ 40 秒 来 total RNA を逆転写して得られた cDNA を鋳型に、トラン スフェリンレセプター (TFR)領域 4 kb を高速プロトコールで増 幅し、感度および鋳型量に対する許容性を確認しました。 30 サイクル 反応所要時間: 1 時間 20 分 ターゲット: TFR 4 kb 鋳型 cDNA 量(total RNA 相当量/50 µl 反応系) 【結果】 ヒトゲノム DNA を鋳型とした反応では、20 kb までの増幅が 確認できました (図 6) 。また cDNA を鋳型とする反応では、 標準プロトコールと同等の感度、鋳型量許容性を維持しなが ら反応時間を 3時間から半分以下の 1時間 20分に短縮する 1: 25 pg 2:250 pg 3: 2.5 ng 4: 25 ng 5:250 ng 6:500 ng 7:750 ng 8: 1 µg 9: 1.5 µg 10: 2 µg M:λ-Hind # digest ことができました (図 7) 。 図7 cDNA を鋳型とした標準プロトコールと 高速プロトコールの比較(2) <標準プロトコール> 酵素量:1.25 U/50 µl 反応系 増幅鎖長≦ 8.5 kb 98 ℃ 10 秒 60 ℃ 15 秒 68 ℃ 1 分/kb ■ 最後に 以上のように PrimeSTAR ® GXL DNA Polymerase は長鎖 の増幅や GC リッチターゲット、cDNA を鋳型とする増幅に威 30 サイクル 力を発揮し、これまでの High Fidelity PCR 酵素の不可能 を可能にします。ぜひ一度皆様の研究にもお試しいただき、 増幅鎖長 15 & 20 kb 98 ℃ 10 秒 30 サイクル 68 ℃ 10 分 その高い性能をお確かめください。 ■ PrimeSTAR® シリーズおよび関連製品 <高速プロトコール> 酵素量:2.5 U/50 µl 反応系 増幅鎖長≦ 8.5 kb 98 ℃ 10 秒 60 ℃ 15 秒 68 ℃ 10 秒/kb 30 サイクル 増幅鎖長 15 & 20 kb 98 ℃ 10 秒 30 サイクル 68 ℃ 5 分* 鋳型:ヒトゲノム DNA(100 ng/50 µl 反応系) ターゲット 1:p53 2:DCLRE1A 3:DCLRE1A 4:DCLRE1A 0.5 kb 1 kb 2 kb 4 kb 5:β-globlin 8.5 kb 6:β-globlin 15 kb 7:β-globlin 20 kb M:λ-Hin d # digest *2 step PCR で高速反応を行う場合は、伸長時間を 20 秒/kb に設定してください。 図6 ヒトゲノム DNA を鋳型とした標準プロトコールと 高速プロトコールの比較(1) ・PrimeSTAR® GXL DNA Polymerase NEW 製品コード R050A 250 U ¥35,000 R050B (A × 4) 1,000 U ¥100,000 ・ PrimeSTAR® HS DNA Polymerase 製品コード R010A 250 U ¥30,000 R010B (A × 4) 1,000 U ¥96,000 (Premix) ・ PrimeSTAR® HS 製品コード R040A 100 回 ¥22,000 ・ PrimeSTAR® Max DNA Polymerase 製品コード R045A 100 回 ¥30,000 ・ PrimeSTAR® Mutagenesis Basal Kit 製品コード R046A 25 回 ¥19,000 ・ PrimeScript® High Fidelity RT-PCR Kit 製品コード R022A 50 回 ¥42,000 R022B (A × 4) 200 回 ¥140,000 ・ Mighty Cloning Kit(Blunt End) 製品コード 6026 20 回 ¥30,000 ・ Mighty TA-cloning Kit for PrimeSTAR® 製品コード 6029 20 回 ¥32,000 ・ TaKaRa PCR Thermal Cycler Dice® Gradient 製品コード TP600 1台 ¥780,000 ・ TaKaRa PCR Thermal Cycler Dice® Standard 製品コード TP650 1台 ¥680,000 本文中の製品に該当するライセンス確認事項は42 ∼ 43 ページをご覧ください。 x⁄8 ¤3 BIO VIEW No.54 ● 5
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