化学工業における ベンチマークの考え方 2009年 8月19日 日本化学工業協会 1 基本的な考え方 化学工業は、 無機物から有機物まで非常に多種(一説に1万 以上)の製品で構成されている。同じ製品にお いても製造プロセスが異なる場合があるため、 化学工業のベンチマークを考えると、 製品およびプロセスごとにベンチマーキングす る以外に方法はないと考える。 非常に多様かつ手間がかかるため、制度措置としての検討 については、慎重に行うべきである。 注)ベンチマーキング:一つの製品あるいは一つのプロセスの単位 2 生産数量あたりのエネルギー原単位を比較すること ベンチマーキングの進め方 ■ベンチマーキングの要素 ・対象製品の選定 ・バウンダリーの設定 ■対象品目選定方法 ・エネルギーカバー率大 ・プロセスが類似 製品、プロセス、設備 ・プロセスとして 省エネが可能 ・生産量/エネルギー原単位 注)ベンチマーキング:一つの製品あるいは一つのプロセスの単位 生産数量あたりのエネルギー原単位を比較すること 3 ベンチマーキングを進める上での課題 ☆ 情報の秘密保持をどのように確保するか ☆ 対象製品をどこまで拡げるか (カバー率をふくめ) ☆ 各製品のバウンダリーの設定 ☆ 燃料・原料の違いをどのように組み入れるか ☆ 製品構成の違いをどのように組み入れるか ☆ プロセスインテグレーションの効果をどう扱うか ☆ グローバルに展開したとき、データの精度をどのように保証するか 4 日本の化学工業における エネルギー使用内訳 他製品, 35% 石油化学, 53% 化学繊維, 4% ソーダ, 9% アンモニア製品 アンモニア, 3% 出典: エネルギーバランス(2006年度) 5 (資源エネルギー庁) Energy of Chemical Sector Around 64% Soda Petro-chem Cracker related& Cracker CHP, Boilers, Electricity Other Soda Fuel Cracker related Purchased Electricity Other Chemicals Source: Agency for Natural Resources and Energy 6 化学工業のエネルギー供給について A D B E C F 電気 ・蒸気 燃料 ・蒸気+発電 ・コジェネ 蒸気 プラント:異なる製品、異なるプロセス 7 ベンチマーキングを行う対象 下記3項目について、継続検討中 ・エネルギー量で1%を超える製品 クラッカー、 LDPE(高圧、気相法)、HDPE、PP、BD、BTX、SM、VCM クラッカー周りの上記製品 クラッカーのみ ソーダ・塩素(電解) ・ボイラー、コジェネなどの エネルギー転換装置 8 ナフサクラッカー関連製造工程 石油化学 エネルギー使用=A ソロモ ンのスコープ (生産量) ① 水素 ナフサ クラッカー SM =B =C VCM ② エチレン ナフサ 装置 =D ポリエチレン ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ SM VCM LDPE HDPE ③ ⑤ =E プロピレン ポリプロピレン C4留分 ブタジエン 抽出 ④ =F 分解ガソリン =G BTX 抽出 石油精製 H-ナフサ等 製品 ⑩ ⑪ ⑫ ⑬ ⑭ PP ブタジエン ベンゼン トルエン 蒸留キシレン リフォーマー MIX キシレン 混合キシレン ソロモンでいうHVC原単位 =A÷(①+②+③×プロピレン純度+④×ブタジエン濃度+⑤×ベンゼン濃度) いわゆるエチレン原単位 =A÷(②) 9 ナフサクラッカーにおける ベンチマーキング ☆ 対象製品はソロモンの定義の水素以外のHVC ☆ 基準はIEAのBPTとする ☆ IEAのBPTは2003年度にソロモンが調査した実績データと する。 各社の各年度の原単位は運転条件や原料条件などにより 変化するため、ソロモンの2003年度の調査実績と比較し、 その差異については各社が政府に説明し、基準に合致して いるか否かを判断する。 10 対象とする工程 ソーダ製造工程 原料塩 原塩溶解 BaCl2 NaOH または Na 2CO 3 1次塩水精製 BaCO 3 (塩水循環) 2次塩水精製 蒸 電 気 力 (淡塩水) 電 脱 塩 素 解 ポンプ 蒸 ブロワー 洗浄冷却 気 濃 縮 冷 却 ろ 過 98%H2 SO 4 洗浄冷却 脱 水 ブロワー H2 Cl2 NaOH 11 自家発電の効率について 蒸気リッチ 12 ボイラー・自家発電設備のベンチマーキングにおける課題 1. 設備の効率は、燃料種・規模・採用技術に依存する。 2. 設備の稼働時間がまちまちである。 3. 省エネ対策投資が高額のものが多い 13
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