「科学の目」で 原発災害を考える - 日本共産党 福井県委員会

発行所
福井民主新聞社
〒910-0017 福井市文京2-5-9
「科学の目」で
原発災害を考える
電話0776(27)3800FAX0776(27)3803
定価
月100円
日本共産党
社会科学研究所所長
不破哲三
5.15.25日発行
毎月3回
定価 150円(税込み)
第1380号
( 1973年 7月23日第3種郵 便物認可)
福 井 民 主 新 聞
(1)2013年 9月25日
関西電力大飯原発︵お
おい町︶敷地内の破砕帯
︵断層︶が活断層かをめ
ぐる問題で、原発問題住
民運動県連絡会は九月十
七日、原子力規制委員会
に申し入れました。佐藤
正雄︵共産党県議︶、河
内猛両代表委員や林広員
事務局長ら七人が敦賀市
の敦賀原子力防災センター
を訪れました。 ︵写真︶
大飯原発では、重要施
設の直下を走る破砕帯が
活断層である可能性が指
摘され、規制委の専門家
チームによる調査が行わ
れてきました。二日、規
制委の島崎邦彦委員長代
理は活動性を否定する
﹁方向性が出た﹂として
報告書案の作成に入るこ
とを決めました。
申し入れ書では、報告
軍事パレードに抗議する人たち
福井県の平和委員会や
民医連、日本共産党など
は九月二十一日、陸上自
衛隊鯖江駐屯地の創立五
十周年を名目に福井市の
中心市街地で実施された
陸海空自衛隊の合同軍事
パレードに対し、沿道で
抗議活動を行いました。
この日、福井市中心部
の通りでは、ヘリや戦闘
機計十二機が上空を編隊
飛行するとともに、戦時
中も使われていた陸軍分
列行進曲が流れる中、陸
上自衛隊員らが迷彩服姿
で銃をかついで行進し、
甲機動車などの軍用車が
続きました。
南條光麿・県平和委事
務局長らは、﹁騒音と封
鎖の軍事パレード反対﹂
と記した横断幕や﹁武装
パレードに抗議する!﹂
と書いたプラカードをか
かげてアピールしました。
福井市の山野寿一さん
︵七六︶は﹁︵行進曲で︶
小学校の頃の運動会を思
書案づくりをごり
押しせず、関電任
せの実態を改めて
自らの責任で調査
を行うよう申し入
れました。大飯原
発の再稼働に向け
た安全審査を開始
する方針の撤回を
求めました。
問題となる﹁F
6﹂破砕帯につい
ては、関電がが従
来説明してきた位
置や連続性の不確
かさが露呈し、現
在も不明なままで
あると強調。専門
行進する隊員ら
い出す。足が揃っていな
いと怒られた﹂と話しま
した。
福井市の女性︵三六︶
は﹁明日から戦争になっ
ても違和感ない雰囲気が
怖い﹂と危機感を表しま
した。
二十日は同じ通りの上
空や鯖江駐屯地の周辺空
域で事前の飛行訓練が行
われました。
る同駐屯地を訪れました。
︵写真︶
今回の五十周年行事
︵二十︱二十二日︶では、
鯖江、福井両市の市街地
上空で陸・海・空自衛隊
合同の戦闘機、ヘリの飛
行が行われ、福井市では
軍事パレードも計画。
平和委員会や民医連、
日本共産党など八団体は
九月十七日、陸上自衛隊
鯖江駐屯地が創立五十周
年を名目に市街地で計画
された軍事パレードや戦
闘機、ヘリの飛行を中止
申し入れは正門前で行
するよう申し入れました。 われました。
南條光麿・県平和委員会
南條氏らは、保育園や
事務局長らが鯖江市にあ 学校、病院もあり、市民
が生活する地域を戦闘機
が飛んだりするのは危険
で支障があると指摘。昨
年の四十九周年行事でも、
戦闘機二機の飛行に住民
から﹁低空飛行なので危
険﹂﹁轟音がひどい﹂な
どの苦情が寄せられたこ
とにふれ、﹁今年はさら
に大規模にやろうとして
いる。やめてもらいたい﹂
と訴えました。また、今
回の行事に使う税金を社
会保障や水害の被災者の
ためにあてるべきだと強
調しました。
応対した前秀和・第3
72施設中隊庶務幹部
家会 合の 中に は、 調査し、海岸東部に活断
台場 浜付 近ト レ 層の可能性が高い断層を
ンチ や1 、2 号 今回発見した一方、海岸
機背 後の 山頂 ト 中央部にみられる﹁地滑
レン チで 確認 さ り﹂面も科学的データが
れて いる 破砕 帯 不十分としてまとめた意
を活 断層 の可 能 見書を提出。﹁規制委が
性が ある とし て、 なぜ見逃しているのか疑
連続 性の 不明 確 問だという専門家もいる﹂
さも 問題 視す る と訴えました。
委員 がい るこ と
応対した小山田巧・地
を指 摘し まし た。 域原子力規制統括管理官
ま た、 立石 雅 は﹁ご意見は本庁に伝え
昭・ 新潟 大学 名 ます﹂﹁いろんな専門家
誉教授らのグルー の意見を聞きながら最終
プが 最近 、台 場 的に報告書はまとまって
浜海 岸に みら れ いく﹂と答えました。
る破 砕帯 を現 地
︵2等陸尉︶は何ものべ
ず、申し入れ文を受け取
りました。
南條氏らは、県と鯖江、
福井両市にも同様の趣旨
で中止させるよう申し入
れました。
原発再稼働に対する毎
週定例の抗議行動が九月
二十日、福井市内で取り
組まれ、関西電力地域共
生本部の前には、集まっ
た参加者がプラカードを
かかげて並びました。
原発問題住民運動県連
絡会の林広員事務局長は、
福井市で県内外から八百
人が集まった﹁9・15
もう動かすな原発!福井
集会﹂︵十五日︶につい
て報告し、協力への感謝
の気持ちをのべました。
そのうえで、十月十三日
に東京で取り組まれる
﹁10・13 NO N
UKES DAY﹂の成
功に向けた協力を呼びか
けました。
参加者らは声を合わせ
て﹁再稼働反対﹂と訴え
ました。
生活保護バッシングの
嵐が吹き荒れ、まじめな
生活保護受給者が肩身の
狭い思いをしている中、
厚生労働省は、この八月
から生活保護費の一部引
き下げを強行しました。
これは来年、再来年の四
月と合わせて計三回の実
原発問題住民運動福井
県連絡会は九月十九日、
日本共産党の吉井英勝・
前衆院議員を迎えて、講
演会を福井市の県教育セ
ンターで開き、約七十人
が参加しました。
施となります。今回、子
育て世帯の下げ幅が特に
大きく、最大10%の減
額です。﹁子どもの毎月
の学費が払えない﹂﹁今
でさえ食費、光熱費など
切り詰めて生活している
のに、これ以上の引き下
げは許せない﹂と、全国
︵写真︶
吉井氏は、深刻な東京
電力福島第1原発事故の
放射能汚染水問題の大本
には、建設時に当然講じ
られるべき地下水汚染対
策が、安全神話と、もう
け優先から行われなかっ
た経緯があるとし、事故
時の地下水汚染対策が全
国の原発にも共通の課題
となると指摘しました。
また、問題解決に向け、
原発メーカーやゼネコン、
メガバンクなど﹁原発利
益共同体﹂の負担で東京
電力を破たん処理し、公
的管理下に置く必要があ
ると強調しました。
原発の輸出と再稼働の
問題では、日本の原発稼
働が輸出先の国の技術者
に必要な教育・訓練の場
となることから﹁原発輸
出と再稼働︵の問題︶は
第1380号
( 1973年7月 23日第 3種 郵 便物 認 可)
福 井 民 主 新 聞
(2)2013年 9月25日
一体不可分だ﹂と指摘し 十一日、越前市内のJR
ました。さらに﹁原子力 武生駅前で﹁憲法改悪反
規制委員会設置法は原発 対﹂の署名宣伝行動を行
輸出と再稼働のため作ら ないました。署名行動に
れた﹂とのべ、これに沿 は広田精利、元山章一郎
い新基準では、原発敷地 代表世話人ら六人が参加
境界放射線量の許容範囲 しました。
を定めた旧基準の指針が、
高田欣一さんがハンド
福島事故後の新規立地や マイクで、安倍首相が憲
再稼働の障害になること 法9条をなくして、﹁集
から引き継がれなかった 団的自衛権﹂の行使で海
問題点を指摘しました。
外でのアメリカの戦争に
吉井氏は、原発から脱 参加すること、﹁秘密保
却する﹁キーワードは再 護法﹂を作って国民の知
生可能エネルギーの爆発 る権利を奪うこと、自衛
的普及だ﹂とし、これで 隊を﹁国防軍﹂にして海
地域の中小企業や農林漁 外戦争を狙っていること
業に仕事をおこす必要性 などを宣伝し署名の協力
を強調しました。
を呼びかけました。バス
参加者からは再生可能 停 に い た 高 齢 の 婦 人 が
エネルギーの普及に向け ﹁戦争の時はイヤなこと
た行政の助成拡充を求め ばかりでした﹂と署名し
る意見などが出されまし ました。また下校中の高
た。
校生は﹁戦争のことは知
りませんが、今の平和な
憲法がよいと思います。
頑張って下さい﹂と署名
しました。
当日は彼岸の入りで3
0度をこえる真夏日とな
南越革新の会は九月二
で怒りの声が上がってい の二人と福井市の十六人
ます。安倍政権は、生活 が﹁審査請求書﹂に署名・
保護基準の引き下げを医 捺印しました。十七日、
療・介護・年金など社会 越前市から一人の審査請
保障制度改悪の突破口に 求人と三人の代理人が、
しようとしています。
福井市から一人の審査請
全国生活と健康を守る 求人と二人の代理人が県
会は七月、全国の仲間に、 庁を訪れ、西川知事あて
生活保護基準引き下げに の審査請求書を地域福祉
﹁異議あり﹂の声を広げ、 課の担当者に提出しまし
知事に申し立てる﹁一万 た。
人の審査請求運動﹂を呼
担当者は﹁審査の結果
びかけました。
は五十日以内にお知らせ
南越生活と健康を守る するようにします﹂と答
会の呼びかけで、越前市 えました。
る暑い日でしたが短時間
に三十六人分の署名が寄
せられました。
第五十回しんぶん赤旗
全国囲碁・将棋大会の福
井県福井地区大会︵囲碁︶
が福井市内で、嶺南地区
大会︵囲碁・将棋︶が敦
賀市内で九月二十二日、
それぞれ開かれました。
入賞者は次の通りです。
︵敬称略︶
︿福井地区﹀
︻囲碁︼▽A級=①牧野
幸夫︵越前町︶②鰐渕啓
二︵永平寺町︶③今田惣
兵衛︵福井市︶▽B級=
①山岸正美︵福井市︶②
西野素弘︵福井市︶③馬
谷一郎︵越前町︶▽C級
①萩原祐輔︵福井市︶②
荒井敦子︵福井市︶③林
島太郎︵福井市︶
︿嶺南地区﹀
︻囲碁︼▽A級=①沢崎
顕︵敦賀市︶②小川博行
︵敦賀市︶③濱野壽︵美
浜町︶
︻将棋︼▽A級=①川嶋
喜久男︵敦賀市︶②佐野
正︵敦賀市︶③田端克規
︵敦賀市︶▽B級=①奥
村想︵敦賀市︶②松本鶴
一︵敦賀市︶③吉田一夫
︵敦賀市︶
尊厳は、まったく存在しな
い﹂というものです。
﹃戦後日本史﹄の著者はこ
れを、アメリカ占領軍が
﹁天皇制という絶対主義の
圧力は民衆の政治的エネル
ギーの自発的な発現を民主
社会では想像がつかない程
に おしこ ろして しま っ
て いた。 これを 占領 者
は 発見し た﹂と 評し て
い ますが 、私も そう 思
います。
この問 題を考 える 上
で 、参考 になる 事例 が
﹃ 福井県 史﹄に あり ま
し た。そ れは、 敗戦 の
一九四五年秋ごろから、
ア メリカ 軍が武 装解 除
を 目的に 日本に 進駐 し
てきたときのことです。
ア メリカ 軍は当 初、 日
本 の激し い抵抗 を覚 悟
し ていた ようで すが 、
それはまったくはずれ、
﹁ 日本側 の非常 に積 極
的 な協力 が得ら れ、 す
こ ぶる順 調﹂﹁ 予想 外
の 抵抗の なさ﹂ のも と
で進んだというのです。
福 井県に は一〇 月か ら
アメリカ軍が入ってきまし
たが、県側は福井県渉外事
務局や進駐軍受入連絡委員
会を設置、敦賀市も進駐軍
受入準備委員会を開くなど
して、積極的に協力したの
です。当時の福井県警察部
は、﹁先遣隊が敦賀に入っ
た一〇月一七日に大工五〇
〇名、一般作業員二〇〇〇
名を旧敦賀連隊兵舎に集め、
翌一八日より突貫工事で兵
県内での戦争礼賛論の一掃を
②個人の尊厳、政治的エネ
ルギーの弱さ
もう一つの文献が、﹃戦
後日本史﹄︵歴史学研究会
編︶です。一九七〇年に発
行された歴史的な文献です
が、そのなかに、一九四六
年一月三日アメリカ陸軍省
の﹁日本の民衆についての
総司令部報告﹂、いわば敵
側から見た日本人論が載せ
られています。そこでは、
なぜ日本国民の政治活動へ
の参加が弱いのかについて、
彼らなりの分析がされてい
ます。私がたいへん興味深
く思ったのは、同﹁報告﹂
が、敗戦直後の日本では、
衣食住をどうするかが最大
の課題であって、政治活動
どころではなかったという
事情があったことを指摘し
ながら、より根本的には、
日本国民が民主主義の経験
をしていないところに大き
な問題がある、と分析して
いることです。それは、
﹁たとえ日本において生活
必需物資が充分あるとして
も、人民の広汎な政治参与
が自然に発生するものと期
待することは事実に反する
であろう。日本人民は為政
者や官僚の敗戦責任を問い、
これを罰することは進んで
やるだろうが、おそらくそ
れ以上には何もしないであ
ろう。民主主義にはまだか
つてどのような形式にしろ
その経験がない。日本人民
をしばる封建主義と全体主
義に照してみれば、個人の
舎をアメリカ軍用に改造し、
同時に兵舎より敦賀市街地
までの道路を整備﹂し、敦
賀市では﹁市厚生課長を隊
長とする進駐軍協力隊敦賀
市隊を編成し、敦賀港駅に
貨車で転送された旧軍より
撤収した弾薬を海中投棄す
る作業に協力﹂︵﹃福井県
史﹄︶することまでしてい
ます。日本はつい先ほどま
では、﹁鬼畜米兵﹂と
してアメリカを憎み、
敵としてたたかってき
たのではないのか。警
察は、日本の侵略戦争
に反対した共産党やそ
の党員、民主主義者を
﹁危険思想﹂﹁国賊﹂
扱いし、野蛮な弾圧を
したではないか。行政
機関は、侵略戦争を
﹁聖戦﹂として、これ
に国民を駆り立てていっ
たではないか。その人
たちが、まるで手のひ
らを返したように、か
つての敵に媚を売り、
追随し、積極的に協力
するのですから、いっ
たいぜんたいどうなっ
ているのか、とあきれ
果て、情けない思いを
抱かざるを得ません。
何故か?私は、その根底に、
絶対主義的天皇制のもとで
形成されてきた封建的な思
想︱︱絶対権力者には﹁個﹂
を捨てて、服従するという
思想があるのではないかと
思います。そうであれば、
絶対権力者がかつての敵だっ
たアメリカに代われば、今
度はそれに従順に従うとい
うことになるのです。
︵南秀一 つづく︶