Ⅲ.教育内容・方法 - 立命館大学

Ⅲ.教育内容・方法
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Ⅲ.教育内容・方法
2007 年度末に「立命館大学における教育の方向性−『学習者が中心となる教育』の実
践にむけて−」をとりまとめた。重点課題として設定した「学習者を主語にした」取り
組みの浸透を図り、教学政策は常に各学部・研究科の人材育成目標に立ち返った検討を
進めてきた。この中で、カリキュラム構築の原則として「ディシプリン化・体系化・可
視化」を確立した。また、シラバスについても学習者の立場から到達目標を記載するよ
うに標準化を進めるとともに、FD として新任教員を対象とした研修を定着させた。
大学教育の質保証にむけた取り組みを一層強化するために、教学政策を規定する重要
な変数群、すなわち、①予習・復習時間の確保、②均衡のとれた開講科目数とクラス数
の設定、③シラバスの充実、④低回生配当基礎科目内容の統一、⑤非常勤依存率改善、
⑥履修登録制限単位数の強化、⑦成績評価の標準化・厳格化等と連動させる必要がある。
そのために、機軸となる政策を 4 年間の一貫した小集団教育の実現に置き、責任時間等
の教員条件や、施設設備等の教育環境条件も含めた改善を行う。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
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-目次<学部>
(1)
法学部
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(2)
経済学部
19/331
(3)
経営学部
29/331
(4)
産業社会学部
39/331
(5)
文学部
47/331
(6)
理工学部
59/331
(7)
国際関係学部
85/331
(8)
政策科学部
99/331
(9)
情報理工学部
118/331
(10)
映像学部
145/331
(11)
生命科学部
162/331
(12)
薬学部
175/331
(13)
文理総合インスティテュート
188/331
(14)
国際インスティテュート
191/331
(15)
共通教育推進機構
194/331
(16)
言語教育推進機構
197/331
(17)
法学研究科
198/331
(18)
経済学研究科
205/331
(19)
経営学研究科
221/331
(20)
社会学研究科
229/331
(21)
文学研究科
235/331
(22)
理工学研究科
244/331
(23)
国際関係研究科
259/331
(24)
政策科学研究科
276/331
(25)
応用人間科学研究科
283/331
(26)
言語教育情報研究科
292/331
(27)
テクノロジー・マネジメント研究科
303/331
(28)
公務研究科
312/331
(29)
先端総合学術研究科
317/331
<研究科>
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
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【目標】
立命館大学は、歴史を誠実に見つめ、国際相互理解を通じた多文化共生に取り組むとと
もに、教育・研究および文化・スポーツ活動を通じて信頼と連帯を育み、地域に根ざし、
国際社会に開かれた大学づくりを進めている。また私立大学であることの特性を活かし、
自主、民主、公正、公開、非暴力の原則を貫き、教職員と学生の参加、校友と父母の協力
のもとに、社会連携を強めている。さらに人類の未来を切り拓くために、学問研究の自由
に基づき普遍的な価値の創造と人類的諸課題の解明に邁進し、その教育にあたっては、建
学の精神「自由と清新」と教学理念「平和と民主主義」に基づき、「未来を信じ、未来に
生きる」の精神をもって、確かな学力の上に、豊かな個性を花開かせ、正義と倫理をもっ
た地球市民として活躍できる人間の育成を目標に掲げている。
【現状の説明】
上記目標の具体化として、2007 年度末に「立命館大学における教育の方向性−『学習者
が中心となる教育』の実践にむけて−」をとりまとめた。そこでは、①入学政策とも連動
した初年次における学力基盤形成の課題、②学士教育課程において学びを確かなものにす
る課題、③「卒業時」における力量保証の課題の三点を基本とし、①人材育成目標を構成
員が共有し、これを実現する教育体制を整備する、②学習者を主語にした到達目標を明確
にするためにカリキュラム・ツリーを作成し、教育プログラムと個々の科目についてカリ
キュラム・マップを通して相互に関連づける作業を行い、FD と SD に旺盛に取り組む、③教
育実践を評価する手法を開発し、根拠にもとづく教学実践を展開することを、重点課題と
して取り組んでいる。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
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(1)法学部
【到達目標】
法学部は、下記のとおり、学則に人材育成目的を定めるとともに、卒業時点において学
生が身につけるべき力を「教育目標」として 7 項目にわたり設定している。これらの能力
を備えた人材を育成することを、学部の教育内容・方法における到達目標とする。
《法学部の人材育成目的》(学則に明記)
法 学 部 は、法 学 および政 治 学 の教 育 研 究 を通 じて、法 および政 治 に関 わる社 会
現 象 の多 面 的 な理 解 を礎 として主 体 的 に進 路 を切 り拓 き、社 会 の様 々な分 野 で平 和
と民 主 主 義 の実 現 に貢 献 できる人 間 を育 成 することを目 的 とする。
《法 学 部 の教 育 目 標 》
① 法 学 部 の学 生 は 、日 々生 起 す る個 々 の 法 現 象 お よ び政 治 現 象 に おける 問 題
の所 在 を的 確 に把 握 しうるための法 学 および政 治 学 の知 識 および思 考 方 法
を身 に付 けている。
② 法 学 部 の学 生 は、法 学 および政 治 学 の諸 分 野 のうち、自 らの問 題 関 心 を深
め 、 自 ら の進 路 を切 り拓 くた めの専 門 分 野 に関 し て 、知 識 と そ れを応 用 す る 能
力 を身 に付 けている。
③ 法 学 部 の学 生 は、専 門 性 の枠 にとらわれない広 い視 野 を背 景 として、自 らと
異 な る文 化 的 背 景 、信 条 、意 見 をも つ他 者 とコミュニケーションを図り、その意見を
尊重しつつ、主体的に自らの意見をまとめ述べることができる。
④ 法学部の学生は、「平和と民主主義」の理念に照らして法化社会における規範のあり方を
主体的に考え、それを実践に移すことができる。
⑤ 法学部の学生は、自らの適性を客観的に見極め、自らの進路を主体的に切り拓き、自ら
設定した目的に向かって主体的かつ系統的に学習する意欲と方法を身に付けている。
⑥ 法学部の学生は、論理的で正確な日本語を用いて、自らの意見を発表し、討論し、文章
化する能力を身に付けている。
⑦ 法学部の学生は、外国語による基礎的コミュニケーション能力を身に付け、専門に関わる
テーマについて外国語で理解し、討論する意欲をもっている。
【現状の説明】
(学部・学科等の教育課程 コード 1301)
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①教育課程等
1)学士課程の教育内容・方法
130101 教育目標を実現するための学士課程としての教育課程の体系性(大学設置基準第 19
条第 1 項)
2008 年度改革では、学生が主体的に進路を切り拓くうえで必要な専門性を高める学
びを実現するため、第 1 に、学部の学習構造全体を見直し、専攻制を廃止したうえで、
入学時から比較的進路希望が明確な者を受け入れる 3 特修課程を配置するとともに、
いずれの特修課程にも属さない者については、2 回生後期を節目として 6 つの専門化プ
ログラムのうちいずれかを選ばせることを通じて自らの進路を自覚させる仕組みとし
た。3 特修課程とは、主として法曹を目指す者を対象とする「司法特修課程」、主とし
て公務員を目指す者を対象とする「公務行政特修課程」、国際的な活動に従事するこ
とを目指す者を対象とする「国際法務特修課程」である。いずれの特修課程にも属さ
ない者が 2 回生後期から選択する専門化プログラムとしては、「ビジネス・金融法務
プログラム」、「環境・生活法プログラム」、「法と人権プログラム」、「法文化プロ
グラム」、「マスコミ・市民活動プログラム」、「政治と社会プログラム」がある。
これらは、学生の進路希望や興味関心に沿って自らの専門性を高めることができるよ
うな専門科目のパッケージから構成され、自らが選択した専門化プログラムから 14 単
位以上取得することを要卒要件とすることにより、学生に系統履修を促すものである。
なお、前記の 3 特修課程のそれぞれにおいても、2 回生後期以降に専門科目の系統履修
を促すための専門化プログラムが設定されている(それぞれにおいて卒業のために取
得することを要する単位数は異なる。)。このように 2008 年度改革は、学生の多様な
進路希望に即応したものとなっているが、他方で、法学部学生として共通に求められ
る素養があることにも鑑みて、1回生の前期に、法学部における学び方・作法などを
学習する小集団科目の「基礎演習」をおくほか、「学部基礎科目」という、法学政治
学の基礎を学ぶための専門講義科目群を設定し、そこから 12 単位以上取得することを
要卒要件としている。第 2 に、2008 年度改革では、低回生教育の理念として、学生が
4 年間を通じて「自分の力で学ぶ」ことができるように、①法学部における学び方、学
習作法の習得、②論理的思考力を強化するためのリテラシーの獲得、③学びのモチベ
ーションを確立し、持続的に発展させることを視点としたキャリア形成、の 3 つを柱
として設定した。具体的には、①に対応して、前述の「基礎演習」を置き、②に対応
して、1 回生後期に「法学ライティング」(特修課程を除く法学科)、「ケース&ライ
ティング」(司法特修課程)、「公務行政基礎」(公務行政特修課程)、「国際関係
法基礎」(国際法務特修課程)を置き、③に対応して、2 回生前期に、各分野で活躍す
るゲストスピーカーの講義を通じてキャリア意識を高めるための中規模双方向型科目
として、「社会に生きる法」(特修課程を除く法学科)、「法曹入門」(司法特修課
程)、「公務行政セミナー」(公務行政特修課程)、「入門・国際法務」(国際法務
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
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特修課程)を置き、さらに、実習科目として 2 回生後期に「法務実習」(司法特修課
程)、「公共政策実習」(公務行政特修課程)を置いた。第 3 に、これらの科目の積
み重ねの上に自らの専門性を高めるための小集団科目としては、2 回生∼3 回生配当の
「プログラム演習」(司法特修課程および公務行政特修課程)、2 回生後期配当の「展
開演習」(特修課程を除く法学科)、3 回生配当の「専門演習」、4 回生配当の「卒業
研究・論文」を置いた。このように、2008 年度改革では、特修課程および専門化プログ
ラムの設定により専門講義科目の系統的履修を促すのみではなく、小集団ないし中規
模双方向型科目の工夫により個々の学生の成長過程に即した専門性の獲得を促す構造
となっている。教養教育に関しては、法学部では、2004 年度に教養教育改革を実施し、
その教学目標として、専門の基礎的部分や法学・政治学の隣接分野、現代的な学際性
を有する科目等を学ぶことにより、専門性に深みと広がりを持たせること、法学部の
専門教育とは異なる知的体系を学ぶことで専門的知識を相対化し、幅広い教養と社会
的に適切な判断能力を身につけることを掲げ、「思想と人間」、「現代と文化」、「社
会・経済と統治」、「世界の史的構成」、「自然・科学と人類」の 5 分野から 1 分野を
選択し8単位以上習得することを要卒要件とすることで、自らが選択した分野での系
統的・体系的履修を促している。今後は、企画委員会による各年度の教学総括におい
て 2008 年度改革の狙いがどの程度実現したかを検証することを通じて教育課程の体系
の妥当性についても検証する。また、2008 年度改革における履修構造の意義が必ずし
も学生全体に浸透していないとの指摘を学部五者懇談会で受けたことから、個々の専
門科目の趣旨を学部の学生育成目標と関わらせて説明する科目マップや科目相互間の
関係性を分かりやすく図示するカリキュラム・ツリーの作成や、節目節目において学
生への履修構造の周知を促す方策を検討する。
130102 教育課程における基礎教育、倫理性を培う教育の位置づけ
法学政治学に固有の専門性を獲得するのに必要な基礎的素養を身につけるという意
味での「基礎教育」については 130101 における記述のとおり。教養教育についての目
標と具体的施策についても 130101 における記述のとおり。今後、設定された目標がど
の程度実現されたかについて、企画委員会における各年度の教学総括において検証す
る。
130103「専攻に係る専門の学芸」を教授するための専門教育的授業科目とその学部・学科
等の理念・目的、学問の体系性並びに学校教育法第 83 条との適合性
学校教育法第 83 条に留意しつつ、法学政治学の学問的性格や法学部の学生育成目標
に照らして、「専攻に係る専門の学芸」を教授するための専門教育的授業科目として
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どのような科目が置かれるべきか、また、各科目の配当回生・開講時期をどのように
設定すべきかを考える場合、法学部学生にとって共通に求められる素養を着実に身に
つけさせる一方で、法学部学生の多様な進路希望にいかに対応するかが問われる。そ
れに対する回答が、前記の 2008 年度改革における学部基礎科目の設定、特修課程の設
置と専門化プログラムの設定であった。科目の内容を見ると、まず、学部学生として
共通に身につけるべき基礎的素養を提供する科目として位置づけられる学部基礎科目
としては、1 回生前期配当の「法学入門」、「政治学入門」、1 回生後期配当の「基本
民法」、「憲法Ⅰ」、「戦後日本政治史」、2 回生前期配当の「民法総則」、「憲法Ⅱ」、
「刑法Ⅰ」、2 回生後期配当の「司法過程論」、「近代政治思想史」を設定した。前記
の専門化プログラムのうち、「ビジネス・金融法務プログラム」には、民商法・民事
訴訟法の主要科目のほか、「国際取引法」、「知的財産法」、「税法」など、企業・
金融法務に関わる科目が含まれる。「環境・生活法プログラム」には、「家族法」、
「労働法」、「環境法」、「社会保障法」など、身近な生活に関わる法律を扱う科目
が含まれる。「法と人権プログラム」には、刑法・刑事訴訟法の主要科目のほか、「少
年法」、「比較人権法」など、国家権力からの人権保護に関わる科目が含まれる。「法
文化プログラム」には、「日本法史」、「西洋法史」、「法哲学」、「法社会学」な
ど、法を歴史的・理論的観点から分析する科目が含まれる。「マスコミ・市民活動プ
ログラム」には、行政法の主要科目のほか、政治学関連の科目等、市民の立場からの
公益追求に関わる科目が含まれる。「政治と社会プログラム」には、政治学関連科目
を中心に、国家や政府の活動と権力を政治学的観点から理解するための科目が含まれ
る。司法特修課程の専門化プログラムは、狭義の法曹を志望する者向けの「法曹プロ
グラム」と、司法書士等、広い意味での法律専門家を志望する者向けの「法職プログ
ラム」に分かれるが、いずれも、いわゆる六法科目を中心に構成されている。公務行
政特修課程の専門化プログラムには、行政法や民法の主要科目のほか、「行政学」や
「財政学」等、公務員に必要とされる素養を提供する科目が含まれる。国際法務特修
課程の専門化プログラムには、国際法の主要科目のほか、「国際私法」、「国際取引
法」等、国際的な法律問題を扱う科目が含まれている(以上につき、詳しくは、法学
部履修要項 2009 年度版を参照されたい。)。以上のような科目内容・科目配置の妥当
性については、企画委員会における各年度の教学総括において検証する。これまでの
企画委員会での議論では、初学者にとって分かりにくい民法科目の設定のあり方が重
要な論点であった。民法の編別構成に従った科目設定は初学者にとって酷なのではな
いかという議論から「基本民法」という科目が新設されたのだが、その効果について
特に検証が必要である。また、あまりに多くの専門科目が開講されているため、個々
の学生の進路希望に照らして何が重要な科目なのか判断が難しいという点も従来から
指摘されている。このような問題意識から科目の精選をどのように図るかも今後の検
討課題である。
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130104 一般教養的授業科目の編成における「幅広く深い教養及び総合的な判断力を培い、
豊かな人間性を涵養」するための配慮の適切性
教養教育に関しては、法学部では、2004 年度に教養教育改革を実施し、その教学目
標として、専門の基礎的部分や法学・政治学の隣接分野、現代的な学際性を有する科
目等を学ぶことにより、専門性に深みと広がりを持たせること、法学部の専門教育と
は異なる知的体系を学ぶことで専門的知識を相対化し、幅広い教養と社会的に適切な
判断能力を身につけることを掲げ、「思想と人間」、「現代と文化」、「社会・経済と
統治」、「世界の史的構成」、「自然・科学と人類」の 5 分野から 1 分野を選択し8単
位以上習得することを要卒要件とすることで、自らが選択した分野での系統的・体系
的履修を促している。この仕組みが実際にどのように機能してきたのか、とりわけ、
系統的履修がどれだけ趣旨通りに行われているかについては、まだ十分に分析できて
いない。効果を検証する指標の開発も含め、今後の検討課題である。
130105 外国語科目の編成における学部・学科等の理念・目的の実現への配慮と「国際化等
の進展に適切に対応するため、外国語能力の育成」のための措置の適切性
外国語による基礎的コミュニケーション能力を身に付け、専門に関わるテーマにつ
いて外国語で理解し、討論する意欲をもつという学生育成目標のうち、外国語による
基礎的コミュニケーション能力については、全学方針に基づいて改革が行われてきて
いるので、別に記載する。専門に関わるテーマについて外国語で理解し、討論する意
欲に関わっては、まず、2008 年度改革の下での国際法務特修課程(2004 年度改革に基
づく制度の下では国際比較法専攻)に所属する学生は、全員国際インスティテュート
所属とし、国際インスティテュートにおいて開講されているインス外国語科目を受講
できることにしている。これは、法学政治学の専門に関わる内容を素材とした授業で
ある。また、2008 年度改革の下では、今後国際法務特修課程向けに「実践国際法務」
という授業が開講される予定だが、これは、留学した学生を対象として、留学によっ
て得られた問題意識を帰国後に発展させ、一つのレポートに仕上げる演習タイプの授
業である。国際法務特修課程(2004 年度改革に基づく制度の下では国際比較法専攻)
に所属する学生以外の学生の場合には、2004 年度改革以降、「展開外国語」と称する
科目群を設定し、法学政治学に関連する外国語資料の読解や専門的文章のライティン
グ能力の涵養を目的とする科目をおいている。この「展開外国語」は、より高度な英
語の総合運用能力の向上を図る科目群とともに「法学部英語副専攻」(16 単位以上の
取得を単位認定の要件とする、パッケージ受講を前提にした科目群)に組み込まれて
いる。「展開外国語」の中には、「法政海外フィールドスタディ」が含まれる。これ
には、法学部と米国ジョージタウン大学との協定に基づくプログラムと、法学部とオ
ーストラリア国立大学との協定に基づくキャンベラ・プログラムが含まれる(後者は
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2009 年度から開始)。これらは、いずれも、短期の海外留学プログラムで、前者は米
国ワシントンD.C.、後者は豪キャンベラが滞在地となる。いずれも、語学研修だ
けでなく、法学政治学に関わるフィールドワーク(関連施設の見学・ヒアリング)や
現地での専門の授業の受講を含むものである。なお、「法政海外フィールドスタディ」
は国際法務特修課程(国際比較法専攻)の学生も受講可能である。今後は、これらの
授業の効果を検証することが課題となる。専門性を加味した法学部独自の留学プログ
ラムについては、今後も、留学先を開拓する必要がある。
130106 教育課程の開設授業科目、卒業所要総単位に占める専門教育的授業科目・一般教養
的授業科目・外国語科目等の量的配分とその適切性、妥当性
2008 年度で、法学部が開講責任を持つ科目の数は 890 あり、このうち、専門科目は
435、教養科目は 98、外国語科目は 357 ある。2008 年度改革以降、要卒単位は、全体
で 124 単位以上、このうち専門科目の総計で 78 単位以上、教養科目の総計で 18 単位
以上、外国語科目の総計で 12 単位以上取得することが要卒要件である。いずれも、法
学部の学生育成目標を達成するうえで適切な水準である。
130107 基礎教育と教養教育の実施・運営のための責任体制の確立とその実践状況
教養教育の実施・運営の体制については、全学的方針に従っている。法学部における
「基礎教育」が、法学政治学の学び方・作法の習得や、より専門性の高い専門科目の
受講に必要な能力の涵養を目的とする科目群を指すのだとすれば、法学部では、かな
り以前から、基礎教育科目について科目世話人を置き、担当者間で授業運営について
意見交換し、必要に応じて統一方針を決定・確認する場として担当者会議を開催してき
た。2004 年度改革以降に限ってみても、基礎演習担当者会議(現在も存在)、専攻セ
ミナー担当者会議(2008 年度改革に伴う閉講により消滅)、専攻演習担当者会議(2008
年度改革に伴う閉講により消滅)、コア科目担当者会議(現在、学部基礎科目担当者
会議)が開催されてきた。科目世話人がこれらの会議で議事進行に責任を持ち、これ
を補佐する事務室職員が最低 1 人は存在する。また、学部執行部のうち、教学全般担
当の副学部長が議題の内容に応じて会議に参加し、場合によっては、提案を行うこと
もある。このような実施・運営体制は、科目の統一的で透明な実施・運営を可能にし、
学部執行部が各科目の問題状況を日常的に把握することを可能にするとともに、FD
機能も果たせるという意味で優れた成果を発揮してきた。問題は、教員の多忙化によ
り、担当者会議に十分な時間をとりにくくなっている点で、今後の検討課題である。
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130108 カリキュラム編成における、必修・選択の量的配分の適切性、妥当性
この点、カリキュラム編成上、必修・選択科目が教育目標との関係から適切、かつ
妥当に配置されることが望ましい。2004 年度改革においては、要卒要件として総単位
数 124 単位以上、このうち、専門科目の総計で 78 単位以上、専門科目のうち「コア科
目」から 16 単位以上、3 専攻のそれぞれに設定されている「専攻固有科目」から 22 単
位以上、教養科目の総計で 18 単位以上、そのうち、前記の 5 系列のうち1系列から8
単位以上取得することが要卒要件であった。2008 年度改革でも、総単位数 124 単位以
上、このうち専門科目の総計で 78 単位以上、教養科目の総計で 18 単位以上(そのう
ち、前記の 5 系列のうち1系列から8単位以上)取得することが要卒要件である点は
変わらない。しかし、専門科目の編成が変更されたことから、専門科目のうち、「学
部基礎科目」(かつてのコア科目に相当)から 12 単位以上、特修課程を除く法学科学
生の場合は選択した専門化プログラムから 14 単位以上、司法特修課程および公務行政
特修課程の場合は専門化プログラムから 22 単位以上、国際法務特修課程の場合は、専
門化プログラムから 12 単位以上取得を含め国際インスティテュート科目から 30 単位
以上取得することが要卒要件とされた。全般的に見て、2008 年度改革では、専門科目
の履修の縛りを緩やかにし、以前に比べ自由に科目選択を行う余地が広がったといえ
る。コア科目については、法学部の学生が共通に身につけるべき最大公約数的な素養
の内容は、多様な進路希望に照らして、もっと限定されるべきではないかという問題
意識から要卒要件を緩めた。特修課程を除く法学科学生の場合も、各学生が胸を張っ
て専門性を獲得できたといえるような科目の範囲はもっと限定されるべきではないか
という問題意識から要卒要件を緩めた。また、系統的かつ体系的履修を促進させるた
め、年間登録上限単位数を 1∼3 回生については 40 単位、4 回生以上は 50 単位とした。
この改革の効果について今後検証することが必要である。
(カリキュラムにおける高・大の接続 コード 1302)
130201 学生が後期中等教育から高等教育へ円滑に移行するために必要な導入教育の実施状
況
この点については、第 1 に、高大連携講義を充実させることを目標に、全附属校と
の間で何らかの形態での連携講義を開講してきた。また、高大連携講義の内容作りの
ために、法教育研究会を発足させたが、それをより実質化させ、高校教育との接続に
配慮した授業内容を作りあげることが今後の課題である。第 2 に、一般の入学試験の
結果に基づく選考を経ないで入学する者を対象として、入学前教育を企画実施する。
第 3 に、2008 年度改革では、法学部における初年次の導入期教育として、法学部にお
ける学びの方法・作法の体得を目標とする「基礎演習」、論理的に考え、各能力の涵
養を目標とする 「法学ライティング」をはじめとする諸科目を設置した。今後は、こ
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れらの科目の成果と問題点を企画委員会で検証し、授業内容の改善を図る。第 4 に、
2004 年度改革で設定されたコア科目(2008 年度改革における学部基礎科目に相当)で
は、単位取得に困難を抱える学生層を対象として、メディアルクラスを配置し、小テ
ストやホームワークを丁寧に実施し、到達度や理解度を測りながら授業を進めてきた。
今後、その成果を企画委員会で検証する。第 5 に、英語についてはプレースメントテ
ストの結果に基づき、習熟度別クラス編成を行ってきた。この点の正課と課題につい
ては、全学課題であるため、別に記載する。
(インターンシップ、ボランティア コード 1305)
130501 インターンシップを導入している学部・学科等における、そうしたシステムの実施
の適切性
インターンシップ科目として1.2 回生に法務実習、2回生以上に公共政策実習を設
置し、あわせて約 100 名が参加しており、2008 年度改革後は、各特修課程におけるキ
ャリア形成と連携し実習を充実させることを目指す。
130502 ボランティア活動を単位認定している学部・学科等における、そうしたシステムの
実施の適切性
ボランティアアクティヴラーニングの適切に実施を目標に取り組んだ。2008 年度改
革後は、全学で実施しているボランティアコーディネータープログラムを学部専門科
目として単位認定するとともに、障がい学生支援室と連携し、広報の取り組みを強め、
スタッフ学生を増やす改善を図る。
(授業形態と単位の関係 コード 1306)
130601 各授業科目の特徴・内容や履修形態との関係における、その各々の授業科目の単位
計算方法の妥当性
本学においてセメスター制度を導入したことに伴い、法学部においても、各期間に
おいて1つの科目につき 15 回の授業を行い、あらかじめシラバスに明示された評価方
法に従って 2 単位を認定することを基本としている。ただし、体系性が重視される実
定法科目においては、4 単位を認定する科目においては各期間において 30 回の授業を
行っている。2008 年度改革の下で新設された「基本民法」や憲法の主要科目、刑法の
主要科目等がこれに該当する。これらの科目について 4 単位とすること自体は妥当で
あるが、学生の学習実態に照らして時間割配置には慎重な配慮が求められる。その他、
「専門演習」は通年 4 単位、「卒業研究・論文:」は通年 6 単位(4 単位+成果物 2 単
位)としている。後者について 4 単位でなく 6 単位としているのは、大学生活の総決
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
12/331
算として、個々の受講生の興味関心に即応したきめ細かな指導が求められることによ
る(ちなみに、『卒業研究・論文』は必修科目ではない。)との意図によるが、4 回生
次における教育の空洞化問題との関わりでその効果を検証する必要がある。
(開設授業科目における専・兼比率等 コード 1308)
130801 全授業科目中、専任教員が担当する授業科目とその割合
法学部が開講責任を持つ全科目数は 2008 年度で 890 あり、このうち専任教員が担当
する科目数は 413 であるから、専任率は 46.4%である。もっとも、この数値は、教養科
目、外国語科目教職課程科目をすべて含んだ数値である。法学部の専門科目だけで見
ると、2008 年度で法学部が開講責任を持つ全科目数は 435 で、このうち専任教員が担
当する科目は 329 であるから、専任率は 75.6%である。法学部は、目標値を掲げて専任
率の向上に取り組んできたわけではないが、毎年度、法学政治学の各分野における科
目数と専任教員数の状況を分析したうえで、全学の教員組織計画の枠内で適宜人事を
行ってきた。このような取組は今後とも継続する。なお、教養科目の専任化率につい
ては、全学的に低いことが問題となっており、現在、改善のあり方について全学的に
検討が進められようとしている。
130802 兼任教員等の教育課程への関与の状況
法学部では、毎年、学部執行部が分担して非常勤講師と懇談の機会をもって、学部
の教育方針への理解を深めていただくとともに、苦情・要望を伺うこととしている。ま
た、一部の小集団科目では、非常勤講師も交えて科目担当者会議を開催し、打ち合わ
せと情報交換を行っている。このような取組みがどの程度成果を挙げているのか検証
が必要である。
②教育方法等
(教育効果の測定 コード 1310)
131001 教育上の効果を測定するための方法の有効性
法学部では、多様な方法により教育上の効果の測定を試みてきた。第 1 に、学部基
礎科目(2004 年度改革に基づくカリキュラムではコア科目)の成績が、とりわけ低回
生時の学生の学習到達度を測る尺度として用いられてきた。これらの科目は、受講者
が多いことに加えて、担当者間で授業内容や評価基準について特に綿密な打ち合わせ
が行われるため、その成績は、到達度を比較的客観的に推測する尺度となりうる。第 2
に、授業評価アンケートをはじめとする、いくつかの種類のアンケートがある。これ
は、学生の授業科目に対する満足度や学習(とりわけ自学自習)に取り組む態度を推
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
13/331
測する資料となる。第 3 に、学部五者懇談会や授業懇談会等の学生と教員(主として
学部の執行部)との懇談がある。これらの懇談会では、数値に表されにくい学生の実
感が表明される。これらの方法は、確かに学生の学習到達度や満足度に関する有益な
情報を提供するものであり、これまでも学部の教学改革の基礎資料として用いられて
きた。ただし、これらの情報は、他大学の学生と比較した本学学生の到達度を測る指
標としては限界がある。この点に鑑みて、従来から、法学検定試験のように、全国共
通の尺度で法学の基礎知識を試すような試験を導入すべきではないかという議論もあ
ったが、なお成案を得ていない。他の方法の開発も含めて、今後なお検討する必要が
ある。
131002 卒業生の進路状況
法学部の学生育成目標との関わりにおいて卒業生の進路状況を評価する際には、①
狭義の法曹志望者にとっての目標達成の指標としての法科大学院への進学者数、②そ
の他の広義の法律専門家志望者にとっての目標達成の指標としての資格取得者数およ
び法学研究科進学者数(特に本学では、税理士志望者による法学研究科進学が大きな
比重を占める。)、③公務員志望者にとっての目標達成の指標としての公務員内定者
数、④民間企業への内定者数の動向に特に着目する必要がある。①∼③については、
今後も増加させることを目標に、志望母体者数の確保とともに、法科大学院やエクス
テンションセンターとの連携が必要である。④の増加に向けては、2008 年度改革の理
念に基づいて学生に早期に自らの適性を見極めさせ、進路希望を確定させるとともに、
キャリアオフィスと連携し、法学部独自の就職支援活動のあり方について検討する。
(成績評価法 コード 1311)
131101 厳格な成績評価を行う仕組みと成績評価法、成績評価基準の適切性
学部専門科目の成績評価基準を教授会において確認しており、合格率だけでなく、
A+、A、B、Cのそれぞれの比率も確認している。学部基礎科目(2004 年度改革に
基づくカリキュラムではコア科目)については、答案をコピーして学生に返却し、試
験講評とあわせて復習できるようにしている。 初年次配当の小集団ないし中規模双方
向型科目では、担当者会議において、学習目標・内容・評価基準の平準化を図ってい
る。 以上の取組を今後とも継続する。
131102 履修科目登録の上限設定等、単位の実質化を図るための措置とその運用の適切性
2008 年度改革では、系統的かつ体系的履修を促進させるため、年間登録上限単位数
を 1∼3 回生については 40 単位、4 回生以上は50単位とした。この改革の効果につい
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
14/331
て今後検証することが必要である。また、上限を設定した趣旨について学生に周知す
る必要がある。
131103 各年次および卒業時の学生の質を検証・確保するための方途の適切性
法学部では、多様な方法により教育上の効果の測定を試みてきたが、これは同時に、
学生の質の保障・検証のための取組だったともいえる。第 1 に、学部基礎科目(2004
年度改革に基づくカリキュラムではコア科目)の成績が、とりわけ低回生時の学生の
学習到達度を測る尺度として用いられてきた。これらの科目は、受講者が多いことに
加えて、担当者間で授業内容や評価基準について特に綿密な打ち合わせが行われるた
め、その成績は、到達度を比較的客観的に推測する尺度となりうる。第 2 に、授業評
価アンケートをはじめとする、いくつかの種類のアンケートがある。これは、学生の
授業科目に対する満足度や学習(とりわけ自学自習)に取り組む態度を推測する資料
となる。第 3 に、学部五者懇談会や授業懇談会等の学生と教員(主として学部の執行
部)との懇談がある。これらの懇談会では、数値に表されにくい学生の実感が表明さ
れる。これらの方法は、確かに学生の学習到達度や満足度に関する有益な情報を提供
するものであり、これまでも学部の教学改革の基礎資料として用いられてきた。ただ
し、これらの情報は、他大学の学生と比較した本学学生の到達度を測る指標としては
限界がある。この点に鑑みて、従来から、法学検定試験のように、全国共通の尺度で
法学の基礎知識を試すような試験を導入すべきではないかという議論もあったが、な
お、合意が得られていない。他の方法の開発も含めて、今後なお検討する必要がある。
(履修指導 コード 1312)
131201 学生に対する履修指導の適切性
学生が自らの進路を主体的に切り拓いて行けるために、2008 年度改革に基づき、2
回生後期から専門化プログラムを選択させることになったが、主体的選択を助けるた
めに、学年毎に選択シート等の書面を作成して提出させることとした。また、その際、
選択に迷いがあって教員のアドバイスを求める学生にはその旨を記入させ、面談によ
って直接的に履修指導を行うこととした。今後は、作成した書面を個々の学生ごとに
(電子的方法により)記録し、個人カルテとして指導に活用するためのシステム作り
が課題となる。また、年度当初や成績返還時のオリエンテーションを充実させ、その
際に進路指導とともに履修指導を個々に行う仕組みも検討課題である。
131202 留年者に対する教育上の措置の適切性
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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学部事務室を中心に 5 年以上の在学生の履修状況、出席状況を把握し、本人並びに
担当教職員との継続的な相談体制を作ることを目標とし、一部実施している。
(教育改善への組織的な取り組み コード 1313)
131301 学生の学修の活性化と教員の教育指導方法の改善を促進するための組織的な取り組
み(ファカルティ・ディベロップメント(FD))およびその有効性
学部基礎科目(2004 年度改革に基づくカリキュラムではコア科目)や「基礎演習」、
「法学ライティング」等の低回生配当の小集団ないし中規模双方向型科目については、
前記のとおり、担当者会議をおいているが、これは、学生の学習実態や教育方法の改
善について意見交換する場として機能してきた。また、2008 年度に新設された法学部
FD 委員会では、年度ごとに法学部全体の FD 方針を作成することとなっているが、2008
年度では、ざっくばらんに授業方法の改善や学生の学習実態について意見交換する場
としてFD茶話会を開催することとし、2008 年度は、大規模専門講義科目における授
業方法上の工夫を共通テーマとして計 6 回の FD 茶話会が開催された。1 回平均で 3 か
ら 4 名の報告と、20∼30 名程度の出席があった。今後とも、これらの取組を継続する。
学生をも巻き込んだ形でのFD活動の展開は今後の検討課題である。
131302 シラバスの作成と活用状況
法学部では、全学で議論され合意された統一のフォーマットに従ってシラバスを作
成している。全学方針に合致した記述となっているかどうかは、毎年度、学部執行部
がチェックすることになっている。このような方式の現状、成果、課題については別
に記載。
131303 学生による授業評価の活用状況
授業アンケート、インタラクティブシート、コミュニケーションペーパーをはじめ
として、学生の声を集約する仕組みが整えられてきている。今後は、その実質化を図
ることが課題である。また、学生実態アンケート、授業評価アンケート、学友会が実
施するアンケート、成績などを総合的に分析し、教学改革の実践状況を企画委員会に
おいて把握し、改善を進めてきたが、このような取組は今後とも継続する。
131304 卒業生に対し、在学時の教育内容・方法を評価させる仕組みの導入状況
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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卒業生に対する調査(アンケート、インタビュー、意見交換会など)を経年的に行
うための仕組みを整えることを目標に、一部実施した。今後は、その実質化をはかる
ことが課題である。
131305 教育評価の結果を教育改善に直結させるシステムの確立状況とその運用の適切性
教学改革の成果や問題点は、各種の資料を駆使して企画委員会で議論し、まとめる
こととなっており、企画委員会での議論の成果は教授会で報告され、問題意識の共有
が図られるとともに、次の改革に向けての新たな議論の契機を提供している。また前
記のFD委員会も、企画委員長をはじめとする企画委員会メンバーが中核となるので、
FD委員会での議論は必要に応じて企画委員会の議題として設定されうる仕組みとな
っている。今後とも、このような仕組みの実質化を図る。
(授業形態と授業方法の関係 コード 1314)
131401 授業形態と授業方法の適切性、妥当性とその教育指導上の有効性
2008 年度改革では、低回生教育の理念として、学生が 4 年間を通じて「自分の力で
学ぶ」ことができるように、①法学部における学び方、学習作法の習得、②論理的思
考力を強化するためのリテラシーの獲得、③学びのモチベーションを確立し、持続的
に発展させることを視点としたキャリア形成、の 3 つを柱として設定した。具体的に
は、①に対応して、前述の「基礎演習」を置き、②に対応して、1 回生後期に「法学ラ
イティング」(特修課程を除く法学科)、「ケース&ライティング」(司法特修課程)、
「公務行政基礎」(公務行政特修課程)、「国際関係法基礎」(国際法務特修課程)
を置き、③に対応して、2 回生前期に、各分野で活躍するゲストスピーカーの講義を通
じてキャリア意識を高めるための中規模双方向型科目として、「社会に生きる法」(特
修課程を除く法学科)、「法曹入門」(司法特修課程)、「公務行政セミナー」(公
務行政特修課程)、「入門・国際法務」(国際法務特修課程)を置き、さらに、実習
科目として 2 回生後期に「法務実習」(司法特修課程)、「公共政策実習」(公務行
政特修課程)を置いた。このうち、従来にない授業形態としては、「法学ライティン
グ」、「国際関係法基礎」が特筆される。これは、1 セメスター15 回の授業の全体を
通じて、段階を踏みながらレポート作成を行わせる科目で、受講者どうし 1 対 1 で節
目節目で課された課題の達成度を検証しあう、ピアラーニングの手法を取り入れてい
る。これらの科目の積み重ねの上に自らの専門性を高めるための小集団科目としては、
2 回生∼3 回生配当の「プログラム演習」(司法特修課程および公務行政特修課程)、
2 回生後期配当の「展開演習」(特修課程を除く法学科)、3 回生配当の「専門演習」、
4 回生配当の「卒業研究・論文」を置いた。このように、2008 年度改革では、特修課程
および専門化プログラムの設定により専門講義科目の系統的履修を促すのみではなく、
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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多様な形態の小集団ないし中規模双方向型科目を設定し、組み合わせることにより
個々の学生の成長過程に即した専門性の獲得を促す構造となっている。個々の科目の
授業形態の有効性については、今後、企画委員会で検証する必要がある。
131402 多様なメディアを活用した授業の導入状況とその運用の適切性
一部の授業でコースツールやICTの活用により効果を挙げた例や遠隔地授業の試
みはあるが、学部全体として多様なメディアを利用した授業の導入に取り組んできた
とは言いがたい。どのような方針を持つかを含めて、今後の検討課題である。
131403「遠隔授業」による授業科目を単位認定している大学・学部等における、そうした
制度の運用の適切性
遠隔授業の試みはあるが、その効果や問題点の検証は組織的には行われていない。
今後の検討課題である。
(3年卒業の特例 コード 1315)
1315014年未満で卒業もしくは大学院への進学を認めている大学・学部等における、そう
した制度の運用の適切性
2008 年度教学改革において、早期卒業制度の導入とともに履修制限制度を強化した。
2 回生後期に専門化プログラム選択、各特修課程における独自プログラムでの履修指導
を通して計画的履修と目標の明確化を図らせる。早期卒業対象者については、運用内
規に基づき、学習アドバイザーによる履修指導を適切に行う。
③国内外との教育研究交流
(国内外との教育研究交流 コード 1316)
131603 国内外の大学との組織的な教育研究交流の状況
法学部では、従来から、欧米の大学との間で研究交流を進めてきており、とりわけ、
ミュンヘン大学との間の交流では、相互に大学院生・教員の交流が行われるといった
成果が得られた。また、前記の「法政海外フィールドスタディ」は、法学部と米国ジ
ョージタウン大学との協定に基づくプログラムと、法学部とオーストラリア国立大学
との協定に基づくキャンベラ・プログラムを含み(後者は 2009 年度から開始)、いず
れも、短期の海外留学プログラムとして位置づけられる。前者については、毎年、20
∼30 人程度学生を派遣している。しかし、上記以外の国際交流、とりわけ、アジア諸
国との交流については、教員の個人的なつながりを利用した交流は別として、法学部
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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として組織的な取組が行われてきたとは言いがたい。この点について、まずは、ニー
ズ調査を進めながら、学部としての国際交流の方針を持つことが課題である。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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(2)経済学部
【到達目標】
経済学部は、下記のとおり、学則に学科別の人材育成目的を定めるとともに、卒業時点
において学生が身につけるべき力を「教育目標」として設定している。これらの能力を備
えた人材を育成することを、学部の教育内容・方法における到達目標とする。
《経済学部の人材育成目的》(学則に明記)
経済学部経済学科は、経済学を体系的かつ実践的に教育研究し、将来の経
済社会を担う人材を育成することを目的とする。
経済学部国際経済学科は、経済学および国際経済を体系的かつ実践的に教
育研究し、将来の国際経済社会を担う人材を育成することを目的とする。
《経済学部の教育目標》
経済学科
①
日本語および外国語、情報処理、数的処理における基礎学力を身に
付けている。
②
社会科学の基礎となる法律・政治、経済、地理・歴史における基礎
学力を身に付けている。
③
経済学の学問内容および方法を身に付けている。
④
経済活動や職業における倫理観(コンプライアンス)を身に付けて
いる。
⑤
経済の仕組みと動態を、経済の側面から理解し、自ら問題を設定す
ることができる。そして、その問題に対して経済学の分析手法を用
いて考察し、戦略を立案することができる。
⑥
経済社会の中で生活し、活動していくうえで、必要となる問題意識
を持つことができる。
⑦
経済活動の分析・研究、政策立案、幅広い経済知識と論理的思考能
力・判断力・説得力を持って、社会で活躍できる能力を身につけて
いる。
国際経済学科
①
情報処理、数理処理における基礎学力と、日本語および高い外国語
能力を身に付けている。
②
社 会 科 学 の 基 礎 と な る 法 律・政 治 、日 本 経 済 お よ び 世 界 経 済 、地 理 ・
歴史における基礎学力を身に付けている。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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③
経済学および国際経済学の学問内容および方法を身に付けている。
④
経済活動や職業における倫理観(コンプライアンス)を身に付けて
いる。
⑤
日本および世界の経済の仕組みと動態を、経済の側面から理解し、
自ら問題を設定することができる。そして、その問題に対して経済
学の分析手法を用いて考察し、世界的視野で戦略を立案することが
できる。
⑥
国際的な経済社会の中で生活し、活動していくうえで、必要となる
問題意識を持つことができる。
⑦
海外における学習を体験し、各国の経済事情、歴史、文化の違いを理解している。
⑧
経済活動の分析・研究、政策立案、幅広い経済知識と論理的思考能力・判断力・
説得力を持って、国際社会で活躍できる能力を身につけている。
【現状の説明】
①教育課程等
1)学士課程の教育内容・方法
(学部・学科等の教育課程 コード 1301)
130101 教育目標を実現するための学士課程としての教育課程の体系性(大学設置基準第 19 条
第 1 項)
経済学部は経済学科と国際経済学科の2学科から構成されている。
経済学科では、現代的な経済学の課題を幅広く学び、実践の場で活かせる問題解決能力
を身につけ、現代社会の多様な課題に経済学の視点から切り込み、真の解決策を提示でき
る人材の育成を目指している。
経済学科で学ぶ専門科目は、学部共通系科目、経済学科科目、演習科目、専門外国語科
目からなっている。1回生では学部共通系科目とコア科目を中心に学び、2回生から「経
済戦略」と「ヒューマンエコノミー」の2コースで専門分野を系統的に学び、演習(ゼミ)
で自らの専門領域をより深く掘り下げる。さらに到達度検証を行うことで学生がどれだけ
経済学の専門知識を身につけたかを知ることができる。
国際経済学科では、国際経済の理論・歴史・政策を学び、国際感覚あふれる経済人の育
成を目指している。
国際経済学科で学ぶ専門科目は、学部共通系科目、国際経済学科科目、演習科目、専門
外国語科目、国際経済経営プログラムからなっている。1回生では学部共通系科目のコア
科目と国際経済学科のコア科目を中心に学び、演習(ゼミ)で自らの専門領域をより深く
掘り下げる。さらに到達度検証を行うことで学生がどれだけ国際経済学の専門知識を身に
つけたかを知ることができる。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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130102 教育課程における基礎教育、倫理性を培う教育の位置づけ
経済学部では、基礎教育として1回生の「基礎演習」が位置づけられている。その
役割は、レジュメの書き方、発表や討論の仕方、レポートのまとめ方など「大学での
学び方を学ぶ」とともに「専門への導入」として、専門科目を学ぶための準備・動機
付けをすることにある。
「基礎演習」において、論文やレポートを書く場合に、他人の文献、論文、ホーム
ページから先行研究を引用するためのルールを遵守することを周知徹底させ、倫理性
を培うことに努めている。
130103「専攻に係る専門の学芸」を教授するための専門教育的授業科目とその学部・学科
等の理念・目的、学問の体系性並びに学校教育法第 83 条との適合性
経済学部の目的は「現代の世界と日本の経済の仕組みやその動向を大きく把握し、
分析する力を身につけること」であり、この目的を達成するために、その時代・情勢
に対応したカリキュラムを編成している。
経済学科においては、専門科目は学部共通系科目と経済学科科目からなり、後者は
「経済戦略コース」と「ヒューマンエコノミーコース」に分かれ、各々が学科基礎科
目・展開Ⅰ・展開Ⅱと体系的なカリキュラム編成がなされている。
国際経済学科においては、専門科目は学部共通系科目と国際経済学科科目からなり、
後者は「グローバルエコノミー系」と「国際公共・開発経済系」に分かれ、各々が学
科基礎科目・展開Ⅰ・展開Ⅱと体系的なカリキュラム編成がなされている。
以上のような経済学部における専門科目の体系的カリキュラム編成は、「大学は、学
術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、
道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする」という学校教育法第 83 条に適
応するものである。
130104 一般教養的授業科目の編成における「幅広く深い教養及び総合的な判断力を培い、
豊かな人間性を涵養」するための配慮の適切性
経済学部の教養教育は、経済学部専門教育の知的体系と価値について、専門以外の
幅広い分野から見直し、再考察するための価値観の習得を目指している。この目的に
沿って教養科目は大きく A 群と B 群に分かれ、前者は「思想と人間」
「現代と文化」
「社
会・経済と統治」
「世界の史的構成」
「「自然・科学と人類」
「数理と情報」
「大学で学ぶ」、
後者は「統計学入門」「スポーツ方法論Ⅰ・Ⅱ」などからなっている。このような知的
体系の習得と経済学部固有の専門教育とがあいまって「幅広く深い教養及び総合的な
判断力を培い、豊かな人間性を涵養」する履修体系が構成されている。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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130105 外国語科目の編成における学部・学科等の理念・目的の実現への配慮と「国際化等
の進展に適切に対応するため、外国語能力の育成」のための措置の適切性
経済学部における外国語学習の目的は、言語運用能力の養成をはかることによって、
異文化を体験し、歴史・地理・風土・社会の成り立ちが異なる人間の生活する世界を
発見・追体験し、あわせて自らの人間的成長をはかることにある。経済学部では、当
該言語によるコミュニケーション能力の養成を重視している。コミュニケーション能
力とは、情報発信系の「話す力」「書く力」と情報受信系の「読む力」「聞く力」から
構成されている。
経済学部では、外国語科目は「英語コース」「2言語コース」「初修コース」に分か
れ、「英語コース」は 12 単位すべてが英語、「2 言語コース」は英語 8 単位・初修言語
4 単位、「初修コース」は、英語 4 単位・初修 8 単位から構成されている。
英語科目はクラス分けテストにより、レベル別にクラス編成され、いかなる学力レ
ベルから出発しても、学習の動機付けを重視し学生の充実感・達成感の実現を図って
いる。
以上の外国語科目の教育目標の設定とカリキュラム編成により「国際化等の進展に
適切に対応するため、外国語能力の育成」を図っている。
130106 教育課程の開設授業科目、卒業所要総単位に占める専門教育的授業科目・一般教養
的授業科目・外国語科目等の量的配分とその適切性、妥当性
経済学部における教育課程における開設授業科目数は、専門科目 174 科目、教養科
目 64 科目、外国語科目 30 科目となっている。卒業要単位数は、専門科目 70 単位、教
養科目 24 単位、外国語科目 12 単位であり、各科目間の量的配分は適切かつ妥当であ
る。
130107 基礎教育と教養教育の実施・運営のための責任体制の確立とその実践状況
基礎教育に関しては、基礎演習担当者から授業の実施状況や学生の履修態度につい
てヒアリングを実施している。教養教育に関しては、経済学部所属教員が担当する科
目については、「基本科目担当者」を決め、全学共通教育推進機構と連携しつつ、その
実施と運営のための体制をとっている。
130108 カリキュラム編成における、必修・選択の量的配分の適切性、妥当性
経済学部における卒業に必要な単位は、教養科目 24 単位以上、外国語科目 12 単位
以上(国際経済学科は 16 単位)、専門科目 70 単位以上(国際経済学科は 66 単位以上)、
自由選択科目 18 単位以上、計 124 単位以上を 4 年間で修得しなければならない。専門
科目については、さらに細かく修得の条件が課せられている。必修科目として「リク
ワイヤード経済学」2 単位、選択必修科目として「コア科目」から 8 単位以上および「専
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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門外国語科目」のうち「Economics」から 4 単位以上、さらに専門科目 34 単位以上の
修得が義務付けられている。以上の履修条件の設定は、カリキュラム編成における必
須・選択の量的配分の適切性・妥当性を担保するものである。
(カリキュラムにおける高・大の接続 コード 1302)
130201 学生が後期中等教育から高等教育へ円滑に移行するために必要な導入教育の実施状
況
経済学部では、基礎演習が 1 回生への導入教育として位置づけられ小集団授業で「大
学での学び方」を教育している。さらに経済学の体系的履修に必要な数学的学力が不
十分な学生に対しては、
「分析ツール」科目において能力別クラス編成を行い、低位の
学生に対しては高校数学のリメディアル教育を実施している。また日本語による文章
表現の基礎的能力・技術の養成を目的とした科目も開設している。
(インターンシップ、ボランティア コード 1305)
130501 インターンシップを導入している学部・学科等における、そうしたシステムの実施
の適切性
立命館大学全学インターンシッププログラムを通じて自らの専門分野を深め、実践
的な能力を修得するとともに自己理解を深め職業の実情をつかみながら、将来の進路
選択として確かな職業観を身につけることを目標にしている。またインターンシップ
の発展型学習プログラムであるコーオプ教育にも取り組んでいる。
130502 ボランティア活動を単位認定している学部・学科等における、そうしたシステムの
実施の適切性
経済学部では、自由選択科目として、ボランティアコーディネーター養成プログラ
ムで習得した単位を認定している。認定に際してはボランティアセンターと連携し実
習時間および講義時間とその内容について、適切なものであることを確認している。
(授業形態と単位の関係 コード 1306)
130601 各授業科目の特徴・内容や履修形態との関係における、その各々の授業科目の単位
計算方法の妥当性
大学設置基準に基づき、1単位は、1セメスター(15週)において、45時間の
学習時間(授業時間15時間、予習・復習各15時間)を要するものであり、単位制
度の実質化や授業外学習時間を担保し、大学設置基準に則し、各授業の形態に合わせ、
認定単位を適正化するために、毎週1回あたりの授業は90分を基本として、これを
2時間として計算して実施している。授業科目2単位では毎週1回90分の授業が、
1つのセメスターに15週実施され、予習・復習を行うことで、2単位の学習量を勉
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
24/331
強したことが認められる。なお、語学や演習などは科目の性格によって、授業と予習・
復習の時間構成が異なっている。
(単位互換、単位認定等 コード 1307)
130701 国内外の大学等での学修の単位認定や入学前の既修得単位認定の適切性(大学設置
基準第 28 条第 2 項、第 29 条)
大学コンソーシアム京都単位互換制度、環びわ湖大学コンソーシアム単位互換制度、
留学(UBC ジョイントプログラム、交換留学)
、CLA が実施する海外研修の各制度やプ
ログラムに参加した場合に、入学後の「他大学等における学修」として一定の基準を
設けて単位認定を行っている。入学前単位認定・入学後単位認定合わせて60単位を
上限としている。
(開設授業科目における専・兼比率等 コード 1308)
130801 全授業科目中、専任教員が担当する授業科目とその割合
専任教員が担当する授業科目数(新旧カリキュラムおよび文理総合インスティテュ
ートの延べ数)は、専門教育で676クラス、担当割合(実数)は76.0%であり、
教養科目で56クラス(延べ数)、34.1%(実数)である。
130802 兼任教員等の教育課程への関与の状況
複数クラス開講し専任教員とともに兼任(非常勤)教員も担当する授業科目、たと
えば情報処理演習、Economics(外国語専門ゼミナール)、Economics(特殊講義)など
にあっては、同一内容の講義を行うことから、講義の進度の統一化、成績評価の統一
化を図るため事前の打ち合わせを行っている。
(社会人学生、外国人留学生等への教育上の配慮 コード 1309)
130901 社会人学生、外国人留学生、帰国生徒に対する教育課程編成上、教育指導上の配慮
社会人学生に対しては、放送大学科目の受講を認めているとともに、入学前に修得
した単位を本人の申請にもとづき経済学部の卒業に必要な単位として認定することが
できる。また、経済学科においては社会人学生に対して外国語を必修としていない。
外国人留学生に対しては、日本語を 8 単位以上必修としているとともに、日本に対
する理解を多様な視点で深めるため、教養科目のうち 4 単位を日本事情科目で修得さ
せている。帰国学生に対しては、経済学科においてドイツ語、フランス語、中国語圏
で1年以上在住し帰国した学生を対象に、入学後、当該初修外国語のさらに一段高い
レベルのクラスを受講できるようにしている。
②教育方法等
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
25/331
(教育効果の測定 コード 1310)
131001 教育上の効果を測定するための方法の有効性
2006 年度カリキュラムでは、専門科目の成績上位 30 単位の GPA(E-GPA)を専門教育
の教育効果を計る指標として導入した。英語に関しても TOEIC のミニマム基準を設け、
英語の教育効果を計る指標として導入した。
しかしながら、これらの指標だけでは、必ずしも学部の観点別教育目標のすべてを
カバーしているわけではない。しかも、TOEIC が学部の英語教育の検証方法としてふさ
わしいものであるかどうかについても議論が分かれている。
今後は、観点別教育目標に照らして、よりふさわしい指標を模索すると同時に、現
行の指標についても見直しを含め検討する。
131002 卒業生の進路状況
経済学部の 2008 年度(2009 年 3 月卒業)の就職決定率は、経済学部全体で 96.3%
である。男女別では男子 95.4%、女子 98.9%となっている(いずれも就職希望者に対
する割合)。全体的な進路傾向は、金融 32.3%、製造業 22.7%、流通・商事 10.7%、
サービス 22.8%、公務員 5.6%などである。
(成績評価法 コード 1311)
131101 厳格な成績評価を行う仕組みと成績評価法、成績評価基準の適切性
成績評価に関しては、教授会にて、演習科目の成績評価の基準の共有化を図った上
で、基礎演習や演習科目については各クラスの成績評価を開示し、成績評価の厳格化
に努めている。また、コア科目や基本科目、専門科目の一部については WEB 上で公開
し、厳格化に努めている。
131102 履修科目登録の上限設定等、単位の実質化を図るための措置とその運用の適切性
2006 年度カリキュラムでは、各回生における履修登録上限は次のとおりである。
1 回生 40 単位、2 回生 44 単位、3 回生 46 単位、4 回生 48 単位
現行カリキュラムにおいて、4 回生空洞化を防ぐことと、本当に学びたい科目のみを
登録し、きちんと勉学に励ませるということを目的として、下回生での履修登録上限
を厳格にしている。
131103 各年次および卒業時の学生の質を検証・確保するための方途の適切性
131001 にも言及したが、卒業時の学生の学力を保証するために、E-GPA の 3 回生終
了時に 3.2 を突破しないと 4 回生の必修科目の上位クラスを履修できないような制度
設計を行っている。また、英語に関しても TOEIC のミニマム基準を要卒条件として設
けている。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
26/331
(履修指導 コード 1312)
131201 学生に対する履修指導の適切性
新入生オリエンテーション時には、のべ 3 回にわたって経済学部での学びと、カリ
キュラム概要、履修登録について細かい説明を行っている。オリター(注:新入生が
円滑な大学生活を送ることができるよう支援する 2 回生以上の支援者)にも新入生の
履修相談を担当してもらっている。
各回生ともセメスター前に履修ガイダンスを行い、学部の教学理念を学生に理解さ
せるようにしている。加えて、セメスターごとに単位僅少者面接を行い、取得単位を
少ない学生へのケアに努めている。
131202 留年者に対する教育上の措置の適切性
131201 にも言及した単位僅少者面接を留年者にも行っている。ただし、出席率が低
いのが問題点である。出席率を高めるためには、保証人への通知などという対策を今
後講じるかどうか検討する。
(教育改善への組織的な取り組み コード 1313)
131301 学生の学修の活性化と教員の教育指導方法の改善を促進するための組織的な取り組
み(ファカルティ・ディベロップメント(FD))およびその有効性
学部教授会での議論を経て実施されているものだけに限らず、いくつかの教学改善
を促進するための組織的な取り組みの試みがなされている。まず、コア科目担当者間
は、一週間に一回進度を報告するとともに、クラスの共通化を図っている。基礎演習
に関しては、学年末に基礎演習担当者会議を開催し、基礎演習の目的の共有化を図っ
ている。演習に関しても同様の会議を開催している。英語に関しても、来年度の開講
に備えて、今年度のテキスト選定の妥当性などについて意見交換を行っている。
しかしながら学部として教学全般にわたって FD 活動に取り組んでいるというところ
までは至っていない。今後は、FD 委員会を立ち上げて、上記の非公式に行っている取
り組みを FD 委員会の中の小委員会という形で内部化することを 2009 年度中に行う。
131302 シラバスの作成と活用状況
シラバスの作成内容と期限に関しては、教授会で周知している。さらに執行部のメ
ンバーを中心に、シラバスの記載内容について、その分量的な適切性や、成績評価の
適切性などをチェックしている。
131303 学生による授業評価の活用状況
全学で各セメスターに 1 回授業アンケートを行っている。アンケート結果について
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
27/331
は執行部で把握している。
(授業形態と授業方法の関係 コード 1314)
131401 授業形態と授業方法の適切性、妥当性とその教育指導上の有効性
授業形態に関しては教員によってさまざまであるが、大体次のような傾向にある。
まずコア科目に関しては、できるだけ講義時間内に基礎的な概念の把握をさせること
が上回生の勉学へのモチベーションを維持につながることから、パワーポイントやレ
ジュメを多用した形での講義形態をとっている。
逆に上回生の専門科目になると、専門知識の定着度に配慮することも重要になるこ
とから、従来型の板書を多用した講義形式等で、授業内容の復習としても効果のある
授業形態となっている。
131402 多様なメディアを活用した授業の導入状況とその運用の適切性
多彩なメディアを活用した授業は導入していない。
131403「遠隔授業」による授業科目を単位認定している大学・学部等における、そうした
制度の運用の適切性
教養科目において 2 科目のオンデマンド授業を開講。「科学的な見方・考え方」11 人
受講 9 名合格、および「特殊講義」4 名受講 3 名合格
(3年卒業の特例 コード 1315)
1315014年未満で卒業もしくは大学院への進学を認めている大学・学部等における、そう
した制度の運用の適切性
学部・研究科の教学改革に関する事務局課題として「早期卒業制度」・「5年一貫教
育制度」の基本方針について、2008 年度は検討を行った。今後は、大学院改革の議論
と関連づけて引き続き検討を行う。
③国内外との教育研究交流
(国内外との教育研究交流 コード 1316)
131601 国際化への対応と国際交流の推進に関する基本方針の適切性
2006 年度改革においてでは、国際経済学科の学生を中心に、できるだけ多くの学生
に海外留学を経験させるという基本方針を持った。しかしながら、現行カリキュラム
は 4 年間経済学部で学ぶことを前提としており、特に長期の留学を行うことが、学習
上不利になる可能性を孕んでいる。
それゆえ、経済学部ではサンシャインコースト大学、マッセイ大学、UBC、東北財
経大学、NIDA という独自の短期留学プログラムを充実させることで、現時点では上記
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
28/331
の問題の解消に努めている。
131602 国際レベルでの教育研究交流を緊密化させるための措置の適切性
海外教育プログラムの拡大を経年的に図ってきているが、2008 年度の計画ではサン
シャインコースト大学での短期留学プログラムを年1回から年2回実施とし、さらに
香港城市大学、ビクトリア大学、サンシャインコースト大学長期プログラムの新規実
施に向けて交渉を進めた。現在はビクトリア大学については 2009 年度内に教員が訪問
して細部の詰めを行う予定であり、サンシャインコースト大学長期プログラムはほぼ
合意に達している。なお、香港城市大学は交渉を継続中である。
131603 国内外の大学との組織的な教育研究交流の状況
国内外の大学と組織的な教育研究交流を行うことを目標に学部共同学位プログラム
(DUDP)
、Dual Master's Degree Program(DMDP)協定校の開発交渉を進めた。
2008 年度はDMDPについてはランカスター大学と協定締結し、ビクトリア大学、ジョー
ジアテック大学と引き続き交渉を継続した。今後は、ビクトリア大学については 2009
年度内に教員が訪問して細部の詰めを行い、ジョージアテック大学については更に交
渉を継続する予定である。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
29/331
(3)経営学部
【到達目標】
経営学部は、下記のとおり、学則に人材育成目的を定めるとともに、卒業時点にお
いて学生が身につけるべき力を「教育目標」として 5 項目にわたり設定している。こ
れらの能力を備えた人材を育成することを、学部の教育内容・方法における到達目標
とする。
《経営学部の人材育成目的》(学則に明記)
経営学部経営学科は、経営学を教育研究し、高い教養と経営学の専門
知識をもち、企業経営に関する問題発見ならびに問題解決能力、広い視
野で異文化を理解し尊重する能力を身につけた人間を育成することを目
的とする。
経営学部国際経営学科は、国際経営を教育研究し、高い教養と経営学
の専門知識をもち、国際経営に関する問題発見ならびに問題解決能力、
広い視野で異文化を理解し尊重する能力、国際社会で必要とされる相互
理解能力を身につけた人間を育成することを目的とする。
《経営学部の教育目標》
①
経営学領域の専門知識を身に付け、幅広い視野で異文化を理解し、
尊重することができる。
②
論理的思考力を身に付け、企業経営に関する問題発見、課題解決能
力を身に付けることができる
③
自ら学び、思考し、社会に貢献することができる。
④
豊かな個性と確かな倫理観を身に付け、マネジメントやビジネスに
活かすことができる。
⑤
国際社会で必要とされる相互理解能力、マネジメント課題の報告・
討論・情報発信能力を身に付けることができる。
【現状の説明】
(学部・学科等の教育課程 コード 1301)
①教育課程等
1)学士課程の教育内容・方法
130101 教育目標を実現するための学士課程としての教育課程の体系性(大学設置基準第 19
条第 1 項)
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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学部の教育目標を実現するための体系性を検討・策定する、各授業の到達目標を明
確化する、各授業の到達目標と学部の教育目標との間に整合性・体系性を検討・策定
することを目標に実施し、これらを 2010 年度カリキュラム改革で具体化することの確
認を達成した。今後は、具体的な検討体制を確立する。
130102 教育課程における基礎教育、倫理性を培う教育の位置づけ
基礎教育の体系化を図ることを目標に実施し、2010 年度カリキュラム改革で具体化
することの確認を達成した。今後は、具体的な検討体制を確立する。また学部の理念
に照らして、情報モラルをはじめ、倫理性を培う教育に取り組むことを目標に実施し、
2010 年度カリキュラム改革で具体化することの確認を達成した。今後は、具体的な検
討体制を確立する。
130103「専攻に係る専門の学芸」を教授するための専門教育的授業科目とその学部・学科
等の理念・目的、学問の体系性並びに学校教育法第 83 条との適合性
専門教育の授業科目に関しては、科目精選・充実、コア化をはかり、各専攻毎に専
攻での学修が深まるような科目を配置し、目的意識をもった履修をすすめることを目
標に、1∼2回生に基礎科目を配置し、履修指定科目とし専門教育の基礎をなすように
しているほか 2 回生以降での本格的履修においては分野別に系統的な科目配置を実現
している。今後、2010 年度カリキュラム改革に向けてさらに大幅な科目の精選をはか
る。
130104 一般教養的授業科目の編成における「幅広く深い教養及び総合的な判断力を培い、
豊かな人間性を涵養」するための配慮の適切性
幅広く深い教養を履修するとともに、総合的な判断力・豊かな人間性を涵養するこ
とを目標に、全学的に提供されている一般教育科目の体系的な履修を可能にしている。
今後 2010 年度カリキュラム改革のなかで学部教学と結びついてこうした目標の実現を
さらに強化する。
130105 外国語科目の編成における学部・学科等の理念・目的の実現への配慮と「国際化等
の進展に適切に対応するため、外国語能力の育成」のための措置の適切性
「国際化した現代社会で活躍できるような人材を育成する」という大学の目標を学
部としても達成へ近づけるために、次のような改革を実施した。第一に、海外留学に
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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対応した専門演習の分離認定や、国際経営学科の全学生の在学中の海外留学の実施を
目標に
経営学部生 265 名が海外留学に参加(2007 年度より 63 名増加)。留学プログラムの
拡大を達成した。今後は、BSAⅡ・Ⅳのすべての海外協定校に学生を派遣することをめ
ざす。第 2 に、英語開講専門科目の拡充を目標に約 10 科目の開講を達成した。今後は、
BSAⅡ・Ⅲ・Ⅳ帰国者および交換留学生の受講科目として英語開講専門科目を拡充する
よう改善する。また、英語のミニマム基準未達成者を減少させることを目標に3回生
未達成者は、経営学科 36 名(7%)、国際経営学科8名(11%)を達成した。今後は、
ミニマム基準未達成者を減少させると同時に、ミニマム基準のあり方について検討す
る。また、交換留学可能な TOEFL 基準の達成者を増加させ、英語圏または英語基準の
諸大学に1年以上留学して英語による専門科目の学修と単位修得ができる学生を大幅
に増加させる。を目標に UI レベル達成者は、経営学科 16 名(2.2%)、国際経営学科
9名(6.3%)を達成した。今後は、交換留学可能な TOEFL 基準の達成者を増加させる。
同時に中国語についても、中国語圏の諸大学に 1 年以上留学して留学先で中国語によ
る専門科目の学修と単位修得ができる学生を増加させる。
130106 教育課程の開設授業科目、卒業所要総単位に占める専門教育的授業科目・一般教養
的授業科目・外国語科目等の量的配分とその適切性、妥当性
教養科目、専門科目、外国語科目等に関して、量的配分の適切性、妥当性を確保す
ることを目標に検討し、2010 年度カリキュラム改革で具体化することの確認を達成し
た。今後は、具体的な検討体制を確立する。
130107 基礎教育と教養教育の実施・運営のための責任体制の確立とその実践状況
教養教育の充実・発展のために全学共通教育推進機構と学部の教育目標を実現する
ために連携して科目精選を進め、受講利便性の確保と教員の質を確保することを目標
に検討し、2010 年度カリキュラム改革で具体化することの確認を達成した。今後は、
具体的な検討体制を改善する。
130108 カリキュラム編成における、必修・選択の量的配分の適切性、妥当性
カリキュラム編成上、必修・選択科目が教育目標との関係から適切、かつ妥当に配
置することを目標に検討し、2010 年度カリキュラム改革で具体化することの確認を達
成した。今後は、具体的な検討体制を確立する。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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(カリキュラムにおける高・大の接続 コード 1302)
130201 学生が後期中等教育から高等教育へ円滑に移行するために必要な導入教育の実施状
況
導入教育としてすでに実施している基礎演習と、1回生ゼミナール大会の取り組み
に加えて1回生サブゼミアワーを活用して論文の書き方講座、図書館の情報検索講座
を開催することを目標としそれを達成した。今後は、2010 年度カリキュラム改革の中
で基礎演習のあり方の見直しを検討する。また高大連携協定校プログラムの受講生を
100 名確保することを目標に高大連携協定校プログラムの受講生 81 名、修了者 78 名、
入学者 42 名を達成した。今後は、高大連携協定校プログラムの受講生を拡大し、優秀
な入学者を確保するために、プログラム内容と協定校との協力関係を改善する。
(カリキュラムと国家試験 コード 1303)
130301 国家試験につながりのあるカリキュラムを持つ学部・学科における、カリキュラム
編成の適切性
公認会計士試験の合格者拡大にむけて、学校教育法・大学設置基準の遵守を前提に
多様な受験支援の方策を検討することを目標に、具体的な検討の開始を達成した。今
後は 2010 年度カリキュラム改革のなかでの具体化を図る。
(インターンシップ、ボランティア コード 1305)
130501 インターンシップを導入している学部・学科等における、そうしたシステムの実施
の適切性
①
<コーオプ演習>大学と企業とが組織的に連携して、自然科学系から人文・社会科
学系の研究科、学部において導入可能で、かつ企業と持続的に連携可能な、日本型コー
オプ教育の「大規模総合大学モデル」を目指すことができる科目として開講。また、自
己評価と他者評価を通じた総括評価を評価シートをもとに行うほか、リーダーに関して
はヒアリング形式で別途総括評価を行うことで、①自己評価(内省化)、②相互評価、
③コーディネーター教員による客観評価、の 3 方向からの多面的評価を実現でき、立命
館大学型コーオプ教育プログラムの新たな展開につながる科目として位置づけている。
<コーオプ教育概論>コーオプ演習と教学的にリンクする科目として、全学部・全研究
科で開講しているものを経営学部生も受講できるようにしている。
② 「全学インターンシッププログラム」について、大学設置基準等を根拠に、開講の
あり方の再検証(当該授業の具体的な内容、シラバスの記載内容、単位授与のあり方、
単位認定分野の再検証、等の観点から)を実施。あわせて、当該科目を開講するための、
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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派遣先との協定書等の再検証を実施した。継続的に、派遣先での具体的なインターンシ
ッププログラム、派遣先の数、派遣先の業態、派遣先からのアンケート、受講生の数、
受講生からのアンケート、等にもとづき当該科目の検証を実施した。
③ 「キャリア形成論Ⅲ<3 回生前期配当科目>」および「インターンシップ入門」を
開講した。
130502 ボランティア活動を単位認定している学部・学科等における、そうしたシステムの
実施の適切性
ボランティアセンターが開設する科目の一部を学部教学体系に位置づけて開講して
いる。
(授業形態と単位の関係 コード 1306)
130601 各授業科目の特徴・内容や履修形態との関係における、その各々の授業科目の単位
計算方法の妥当性
大学設置基準に基づき、1単位は、1セメスター(15週)において、45時間の
学習時間(授業時間15時間、予習・復習各15時間)を要するものであり、単位制
度の実質化や授業外学習時間を担保し、大学設置基準に則し、各授業の形態に合わせ、
認定単位を適正化するために、毎週1回あたりの授業は90分を基本として、これを
2時間として計算して実施している。授業科目2単位では毎週1回90分の授業が、
1つのセメスターに15週実施され、予習・復習を行うことで、2単位の学習量を勉
強したことが認められる。なお、語学や演習などは科目の性格によって、授業と予習・
復習の時間構成が異なっている。
(単位互換、単位認定等 コード 1307)
130701 国内外の大学等での学修の単位認定や入学前の既修得単位認定の適切性(大学設置
基準第 28 条第 2 項、第 29 条)
全学的な制度に準拠している。
(開設授業科目における専・兼比率等 コード 1308)
130801 全授業科目中、専任教員が担当する授業科目とその割合
学部の教育目標に貢献する中核的授業に関して専任率を向上させるとともに、兼任
教員に対する学部の理念や教育目標についての十分な説明を行うことを目標に実施し、
結果、講義における専任教員比率は、64.4%であった。今後は、さらに専任教員
比率の向上を図る。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
34/331
130802 兼任教員等の教育課程への関与の状況
学部の教育目標に貢献する中核的授業に関して専任率を向上させるとともに、兼任
教員に対する学部の理念や教育目標についての十分な説明を行うことを目標に実施し、
いくつかの複数クラス開講科目において専任・非専任教員間でテキストやシラバスを
共通化した。今後は、専任教員比率の向上と、非専任教員との連携強化を改善する。
(社会人学生、外国人留学生等への教育上の配慮 コード 1309)
130901 社会人学生、外国人留学生、帰国生徒に対する教育課程編成上、教育指導上の配慮
英語開講専門科目の拡充目標に、約 10 科目を開講した。今後はさらに英語開講専門
科目を拡充する。また、帰国生徒対象の入試についての見直しを図ることとした。今
後は、具体的に入試のあり方を改善する。
②教育方法等
(教育効果の測定 コード 1310)
131001 教育上の効果を測定するための方法の有効性
教育効果を測定する方法について検討を続け、改善を図ることを目標に実施し、全
学授業評価アンケートの学部独自の分析を実施した。今後は、個々の授業における教
育効果測定の適切性を改善する。
(成績評価法 コード 1311)
131101 厳格な成績評価を行う仕組みと成績評価法、成績評価基準の適切性
成績評価基準に関して、授業の到達目標や学部の教育目標との整合性、妥当性、適
切性を保証するための成績評価を改善するために、シラバスへの到達目標や成績基準
の記載、専門科目における試験講評の公表を実施した。今後は、試験講評の内容を改
善する。
131102 履修科目登録の上限設定等、単位の実質化を図るための措置とその運用の適切性
履修科目登録の上限設定を適切に運営するために、学年ごとに上限設定をしてそれ
に基づく履修指導を行っている。今後は、上限設定の適切性を 2010 年度カリキュラム
で検討することとしている。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
35/331
131103 各年次および卒業時の学生の質を検証・確保するための方途の適切性
経営学のミニマムをすべての学生が身につけることをねらいとしている「総合基礎
経営学」の合格率を向上させることを目標にとりくみ、「総合基礎経営学」の合格率
67.2%。を達成した。また卒業論文の提出率を上げることを目標にとりくみ、提出率
75.7%を達成した。ただし、2010 年度カリキュラム改革の検討の中で卒業時の学生の
質保証については改めて検討し、より適切な学生の質の検証・確保へむけて必要な見
直しを行っていく。
(履修指導 コード 1312)
131201 学生に対する履修指導の適切性
開講方針の説明をはじめ、オリエンテーションを充実し、有効適切な履修指導を行
い、履修指導内容を向上させた。今後は、個別対応の質の向上をはかる。授業への質
疑応答や日常的な履修指導を初め、きめこまかい対応を行い、実施し、学生の学習意
欲向上を図り、多くの講義でコミュニケーションペーパーなどによる学生との質疑応
答・意見交換を実施した。今後はこのとり組みを行う講義の拡大をはかる。
131202 留年者に対する教育上の措置の適切性
学部事務室を中心に6年以上の在学生の履修状況、出席状況を把握し、本人並びに
担当教職員との継続的な相談体制を作り、当該在学生のうち27%との対話を達成し
た。今後は、把握率の向上と具体的な状況に応じた支援を改善する。
(教育改善への組織的な取り組み コード 1313)
131301 学生の学修の活性化と教員の教育指導方法の改善を促進するための組織的な取り組
み(ファカルティ・ディベロップメント(FD))およびその有効性
小集団教育関連担当者会議の活発化目標に基礎演習担当者会議4回、プロジェクト
研究担当者会議1回、総合基礎経営学担当者会議2回の開催を達成した。今後は、小
集団教育関連担当者会議の活発化に向けて改善する。また学生と継続的に意見交換を
行い、教育改善に反映することを目標とし、五者懇談会の開催などによる学生代表と
の意見交換を達成した。今後は、意見交換の質の向上に取り組む。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
36/331
131302 シラバスの作成と活用状況
シラバスの必要項目に適切に情報を記入することを目標に実施し、すべてのシラバ
スを学部執行部が点検し重大な問題については担当教員に指摘することを達成した。
今後は、自主的な内容改善への取り組みに向けて改善する。
131303 学生による授業評価の活用状況
授業アンケート、インタラクティブシート、コミュニケーションペーパーをはじめ
とする学生の声を集約する仕組みが整えられ、その結果が教授会等で議論されて、改
善に向けて具体的対応に取り組んでおり、全学授業アンケートを学部独自で分析し結
果を教員間で共有することおよび学生への分析結果を含めた提示を達成した。今後は、
より緻密な結果分析に向けて改善する。
131304 卒業生に対し、在学時の教育内容・方法を評価させる仕組みの導入状況
卒業生による評価の把握を目標に、卒業式の際にアンケートの回収を実施した。今
後はその分析結果を活用する。
131305 教育評価の結果を教育改善に直結させるシステムの確立状況とその運用の適切性
取り組みは未着手である。
(授業形態と授業方法の関係 コード 1314)
131401 授業形態と授業方法の適切性、妥当性とその教育指導上の有効性
授業形態と授業方法の適切性を向上させるため、第一に基礎8科目のテキスト作
成・改定を進めることを目標に新たに「マネジメント論」のテキスト作成を達成した。
今後は、他の基礎科目でもテキスト作成を目指す。第二に、授業の到達目標と照らし
合わせ、各授業の内容、方法の適正化に関して必要なピア・レビュー(例:公開授業・
研究会、担当者会議の充実等)を実施し、個別授業の改善を図ることを目標に実施し、
国語の一部科目での公開授業や、基礎演習・プロジェクト研究・専門演習・一部基礎
科目の担当者会議の開催を達成した。今後は、公開授業の拡大や担当者会議の充実に
取り組む。こうした取り組みを通じて、多様な授業形態の活用や授業の質の向上を進
めており、適切性、妥当性および教育指導上の有効性が向上している。今後は、優れ
た経験の共有などを進める。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
37/331
131402 多様なメディアを活用した授業の導入状況とその運用の適切性
授業でコースツールやICTの活用を促進し、適切に運用することを目標に実施し、
コースツールを活用した。今後は、さらなる活用を目指す。
131403「遠隔授業」による授業科目を単位認定している大学・学部等における、そうした
制度の運用の適切性
オンデマンド授業や遠隔授業を適切に運用することを目標に、イギリスの大学と共
同で学生への遠隔授業による講義とプロジェクトの展開を実施し、教学上の成果を達
成している。今後は、内容や評価の適切性をさらに改善する。
(3年卒業の特例 コード 1315)
1315014年未満で卒業もしくは大学院への進学を認めている大学・学部等における、そう
した制度の運用の適切性
大学院における「飛び級」入学者への丁寧なケアに取り組んだ。今後も引き続きそ
の対応を進める。
③国内外との教育研究交流
(国内外との教育研究交流 コード 1316)
131601 国際化への対応と国際交流の推進に関する基本方針の適切性
教育研究の国際化と国際交流の推進に関して、適切な基本方針を立案することを目
標に、2010 年度カリキュラム改革のなかで具体化することを確認した。今後、具体的
な検討体制を確立する。
131602 国際レベルでの教育研究交流を緊密化させるための措置の適切性
交換留学可能な TOEFL 基準の達成者を増加させることを目標に取組を進め、UI レベ
ル達成者は、経営学科 16 名(2.2%)、国際経営学科9名(6.3%)を達成した。今後
は、交換留学可能な TOEFL 基準の達成者を増加させる。同時に中国語についても強化
することをめざす。また国際レベルでの教育研究交流を緊密化させるため、学部とし
ての取り組みを検討、実施することを目標にし、仏ロベール・シューマン大学、中国
対外経済貿易大学などとの連携を行った。今後は、さらに連携校の拡大を推進する。
131603 国内外の大学との組織的な教育研究交流の状況
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
38/331
経営学部独自の海外留学プログラム(BSA)の充実を目標にし、BSAⅣでロベール・シ
ューマン大学を追加した。今後は、BSAⅠ1校、BSAⅡ4校、BSAⅢ1地域、BSAⅣ3校
の追加を行う。
【点検・評価】
目標の達成度
短期的な目標はおおむね達成している。しかし、いくつかの課題については抜本的な見
直しや新たな取り組みが必要であり、それらについては 2010 年度カリキュラム改革のとり
くみのなかで具体的な検討をすすめることについて学部教授会において合意を形成し問題
意識を共有することを短期的な目標とし、それを達成した上で具体的な検討にはいってい
る。
効果があがっている事項
外国語教育の高度化や国際化の進展としての専門科目の英語による講義や提携校の拡大、
学生の質保証のなかでも重要な要素である卒業論文の執筆率向上などについてはとりくみ
が効果をあげている。
改善が必要な事項
講義系の専門科目について、講義規模の縮小をすすめるとともに、内容と授業方法の改
善をはかるための FD 活動をいっそう推進する必要がある。また、卒業論文は執筆率の向上
だけでなく質の向上もはかっていく必要がある。
【改善方策】
長所の伸長方法
長年にわたる小集団教育の実績は本学全体でもそうであるが、本学部においても長所と
なっている。今後この成果をさらに発展させるため、特に導入期教育についてさらに検討
を行い、1回生「基礎演習」の位置づけの見直しや内容の発展を図る。
問題点の改善方法
講義系専門科目の内容や授業方法の改善については、今後学科・系(コース)ごとの教員
会議の開催により、科目間の内容調整を行うなどのとりくみを強化する。また、基礎科目
のクラス数拡大を 2010 年度カリキュラム改革のなかで検討していく。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
39/331
(4)産業社会学部
【到達目標】
産業社会学部は、社会諸科学に関する教育研究を通じて、新たな学問の地平を切り開き、
学際性と専門性を兼ね備え、積極的に社会に働きかけて社会問題を解決していくことがで
きる人間を育成することを目的とする。
【現状の説明】
(学部・学科等の教育課程 コード 1301)
①教育課程等
1)学士課程の教育内容・方法
130101 教育目標を実現するための学士課程としての教育課程の体系性(大学設置基準第 19
条第 1 項)
産業社会学部の教育目標を実現するための科目を体系的に配置している。教養科目
は全学的に提供されている科目を配置しているが、専門科目との重複を行わないよう
に配慮している。外国語科目としては、英語、ドイツ語、スペイン語、フランス語、
韓国語、中国語を配置するとともに、英語重視コース、初修コースを配置し、体系的
な学修を行っている。専門科目は、現代社会の諸問題の解明する科目を各専攻に配置
している。4年間を通じた小集団科目(1 回生:基礎演習、2 回生:プロジェクトスタ
ディ、3回生:専門演習、4回生:卒業研究)を配置し、学生の主体的学びを指導し
ている。初年次においては、情報リテラシー、ライティング・リテラシーを配置し、
大学における学修の基礎を学ぶようにしている。以上のように産業社会学部の教育課
程は体系的なものであるが、今後社会の変化に対応した体系の改訂をすすめていくこ
とが望ましい。
130102 教育課程における基礎教育、倫理性を培う教育の位置づけ
初年次教育の充実を図るために、基礎演習・情報リテラシー・ライティング・リテ
ラシーを配置している。これらの科目において、一般的な倫理や情報モラルをはじめ、
倫理性を培う教育に取り組んでいる。今後も、これらの科目での教育内容について、
学生実態や社会における倫理をめぐる議論の状況に合わせて必要な内容改訂を行って
いく。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
40/331
130103「専攻に係る専門の学芸」を教授するための専門教育的授業科目とその学部・学科
等の理念・目的、学問の体系性並びに学校教育法第 83 条との適合性
専門教育の授業科目に関しては、科目精選・充実、コア化をはかり、各専攻毎に専
攻での学修が深まるような科目を配置し、目的意識をもった履修をすすめている。1 回
生前期に各専攻でコア科目を配置し、1 回生後期には基礎社会学を配置し、これらを履
修指定科目とし専門教育の基礎をなすようにしている。2 回生以降での本格的履修の導
入として、1 回生に専門導入科目を配置している。各専攻における科目は、複数の領域
ごとに体系的に配置している。今後、2007 年度カリキュラムの完成以後の改訂を展望
し、現代社会の問題を探求する科目としての適合性を検討し、科目の配置を見直して
いく。
130104 一般教養的授業科目の編成における「幅広く深い教養及び総合的な判断力を培い、
ゆたかな人間性を涵養」するための配慮の適切性
【思想と人間】、【現代と文化】、【社会・経済と統治】、【世界の史的構成】、【自
然・科学と人類】、【数理と情報】、【大学で学ぶ】、という全学的に提供されてい
る全分野の履修をすすめ幅広く深い教養を履修するとともに、総合的な判断力・豊か
な人間性を涵養するようにしており、これらは適切なものである。
130105 外国語科目の編成における学部・学科等の理念・目的の実現への配慮と「国際化等
の進展に適切に対応するため、外国語能力の育成」のための措置の適切性
外国語科目としては、英語、ドイツ語、スペイン語、フランス語、韓国語、中国語
を配置するとともに、英語重視コース、初修コースを配置し、体系的な学修を行って
いる。英語重視コースの場合は、英語8単位および英語以外の言語(以下、初修)4
単位を必修としている。初修重視コース、初修言語8単位および英語4単位を必修と
している。英語については、プレースメントテストを行い能力に応じたクラス編成を
行っている。初修外国語をすでに学修している学生に対して、より高いレベルから学
修を始める「既習者対応プログラム」を設置している。国際インスティテュート所属
の学生に向けて、高度な英語運用を修得していくため、国際インスティテュート専門
外国語科目を開設している。さらに学修をすすめたい学生に向けて、産業社会学部英
語副専攻、全学副専攻外国語コミュニケーション・コースの履修を可能としている。 産
業社会学部では、「国際化した現代社会で活躍できるような人材を育成する」という
立命館大学の目標を達成する一つの手段として、4 技能(読む・聞く・書く・話す)と
思考力を総合的に高めることを英語教育の目標としており、これらの能力を伸ばすた
めの科目を配置している。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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130106 教育課程の開設授業科目、卒業所要総単位に占める専門教育的授業科目・一般教養
的授業科目・外国語科目等の量的配分とその適切性、妥当性
教養科目は全学的プログラムとして多様な科目を開設している。卒業所要 124 単位
の中で、専門科目 62 単位、教養科目 20 単位、外国語科目 12 単位の取得を必要とする
ものとしている。国際インスティテュート学生は、これらに加えて「国際インスティ
テュート専門外国語科目」12 単位、「国際インスティテュート専門科目」14 単位の取
得を必要としている。
130107 基礎教育と教養教育の実施・運営のための責任体制の確立とその実践状況
基礎教育として重視している基礎演習の内容については、教学委員会において議論
し、学部として運用ガイドラインを作成して、その内容の充実を図っている。担当者
会議を開催し、運営の実施状況を把握するとともに、改善に向けた活動を行っている。
コア科目・基礎社会学については、科目担当者会議を開催し、内容の充実を図ってい
る。
130108 カリキュラム編成における、必修・選択の量的配分の適切性、妥当性
本学部では、学生の適切な履修を促すため、履修指定を行っている。履修指定科目
には、基礎演習、プロジェクトスタディ、専門演習、卒業研究などがある。これらの
配分はおおむね適切・妥当と考えられる。
(カリキュラムにおける高・大の接続 コード 1302)
130201 学生が後期中等教育から高等教育へ円滑に移行するために必要な導入教育の実施状
況
履修指定科目として基礎演習を設置し、高等教育への円滑な移行をすすめている。
今後は、同科目のクラス規模をより小規模にし、よりきめ細かな運用を行っていくこ
とが望ましい。
(インターンシップ、ボランティア コード 1305)
130501 インターンシップを導入している学部・学科等における、そうしたシステムの実施
の適切性
全学プログラムに加えて、学部独自のプログラムを行っており、適切に実施されて
いる。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
42/331
130502 ボランティア活動を単位認定している学部・学科等における、そうしたシステムの
実施の適切性
ボランティアアクティヴラーニングを適切に実施するために、サービスラーニン
グ・センターが提供する地域活性化ボランティア、を科目として設置している。また、
ボランティアコーディネーター養成プログラムを設置している。これらは適切に運用
されている。
(授業形態と単位の関係 コード 1306)
130601 各授業科目の特徴・内容や履修形態との関係における、その各々の授業科目の単位
計算方法の妥当性
授業時間に対応したシラバスを各科目について作成するとともに、授業外学習時間
の担保にむけたシラバスでの記載を促進している。これらは妥当なものと評価できる。
(単位互換、単位認定等 コード 1307)
130701 国内外の大学等での学修の単位認定や入学前の既修得単位認定の適切性(大学設置
基準第 28 条第 2 項、第 29 条)
全学の枠組みによる。
(開設授業科目における専・兼比率等 コード 1308)
130801 全授業科目中、専任教員が担当する授業科目とその割合
主要科目については専任教員が担当しているが、特に基礎演習、専門演習について
は、原則として専任教員が担当している。専任教員が担当している科目の割合は、全
体で62%である。兼任教員に対しては、学部の理念や教育目標についての十分な説
明を行うべく、カリキュラム説明文書を配布している。
130802 兼任教員等の教育課程への関与の状況
兼任教員については、プロジェクトスタディー等内容を統一する必要がある場合に
ついては、必要な打ち合わせを行っている。
②教育方法等
(教育効果の測定 コード 1310)
131001 教育上の効果を測定するための方法の有効性
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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産業社会学部におけるカリキュラムは、学生の問題関心に応じた柔軟な学修を特色
としており、そのため各科目における教育効果の測定の積み重ねによって、評価を行
っている。また科目で修得されるべき教育目標も多様であり、教育上の効果を測定す
るための方法としては、期末試験、期末レポート・作成物、授業内の到達度試験、授
業内の課題レポート、プレゼンテーション、研究プロジェクトへの参加・貢献、卒業
論文、などが行われており、有効に機能している。
131002 卒業生の進路状況
多くの卒業生は民間企業を中心に多様な職場に就職している。大学院に進学するも
のも一定数存在する。
(成績評価法 コード 1311)
131101 厳格な成績評価を行う仕組みと成績評価法、成績評価基準の適切性
シラバスにおいて成績評価基準を明確化し、それに応じた評価を行っており、これ
らは適切なものといえる。
131102 履修科目登録の上限設定等、単位の実質化を図るための措置とその運用の適切性
各回生に応じて履修科目登録の上限を設定するとともに GPA を導入し、単位の実質
化を図っており、これらは適切なものといえる。
131103 各年次および卒業時の学生の質を検証・確保するための方途の適切性
各年次・卒業時における学生の質を検証・確保すべく、履修単位を点検し、GPA を算
出しており、これらは産業社会学部における多様な学修の特色に応じた適切なもので
ある。
(履修指導 コード 1312)
131201 学生に対する履修指導の適切性
有効適切な履修指導を行うことを目的として、開講方針の説明をはじめとしたオリ
エンテーションを充実し、ピア・サポータやティーチングアシスタントを基礎演習・
専門演習・大規模講義において活用することを達成した。また、カリキュラムを詳細
に記述した履修要項を作成し、学生に配布することで、カリキュラムの周知を行って
いる。さらに、プロジェクトスタディ・専門演習については、学生向けガイダンスを
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
44/331
実施し、各科目の性格・重要性等を周知している。学生の学習意欲向上を図ることを
目的として、授業への質疑応答や日常的な履修指導を初め、きめこまかい対応を行う
ことを達成している。以上のように、学生に対する履修指導は適切なものといえる。
131202 留年者に対する教育上の措置の適切性
履修が十分といえない学生を教育的に指導するため、学部事務室を中心に5回生以
上の在学生の履修状況、出席状況を把握し、本人並びに担当教職員との継続的な相談
体制を作っている。また、単位取得僅少者を対象に、学生相談委員、演習担当者、事
務担当者等による面接を実施している。以上のように、留年者に対する教育上の措置
は適切といえる。
(教育改善への組織的な取り組み コード 1313)
131301 学生の学修の活性化と教員の教育指導方法の改善を促進するための組織的な取り組
み(ファカルティ・ディベロップメント(FD))およびその有効性
学部にFD委員会を設置している。同委員会が教育開発推進機構あるいは全学共通
教育推進機構と連携し、学生の学修の活性化や教育指導方法の改善、学生の学修支援
方法に関する会議、ピア・レビュー、研修会、講演会、実技講習会を毎年年度当初に
企画・公表し、計画的に実施している。また学生と継続的に意見交換を行い、教育改
善への反映を目指している。
学部FD委員会において、年間並びに4年間の総合的な FD 活動の総括を行い、次年
度及び次期間の取り組みに活かしている。
学部・研究科固有の方針として FD 推進・サービスラーニング拠点形成を施策として
教育ネットワーク形成の拡大をめざし 2008 年度に取り組んだ。2008 年度は京北プロジ
ェクトの学外拠点形成、および他プロジェクトの模索を進めたが、今後引き続き取組
を進める。
131302 シラバスの作成と活用状況
全学の方式に準拠している。
131303 学生による授業評価の活用状況
学生による授業評価を系統的に導入すべく、授業アンケートを各セメスターの後半
に、一定規模以上の科目で実施している。同時に、インタラクティブシート、コミュ
ニケーションペーパーをはじめとする学生の声を集約する仕組みが活用されている。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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授業アンケートの結果や各科目での学生との応答のあり方については、教学委員会を
中心に議論され、授業のさらなる工夫のための取り組みを促進している。以上のよう
に、学生による授業評価は積極的に活用されており、今後も継続が望まれる。
(授業形態と授業方法の関係 コード 1314)
131401 授業形態と授業方法の適切性、妥当性とその教育指導上の有効性
授業形態としては、講義・演習・実習が、科目の内容に応じて採用されている。講
義規模の適正化を図るため、大規模講義の分割を行っている。特に、コア科目、基礎
社会学においてはクラス分割を行い、200 名以下でクラスを編成している。授業方法に
は、講師による内容の説明、ビデオ等の教材の提示、グループディスカッション、学
生によるプレゼンテーション、など各科目の教育内容に応じた多様な方法が、採用さ
れている。これらの授業形態と授業方法はおおむね適切かつ妥当なものであり、教育
指導上有効に機能していると思われる。今後、講義規模のさらなる適正化を行ってい
くことが望ましい。
131402 多様なメディアを活用した授業の導入状況とその運用の適切性
パワーポイント、ビデオ、パソコン、コースツール、などが多様に活用されている。
さらに、ビデオや音声メディアを作成する機器を活用した授業も行われている。今後
は、これらの使用法について、分かりやすく提示する資料を作成するとともに、電子
黒板等あらたなメディアへの対応を行っていく。
131403「遠隔授業」による授業科目を単位認定している大学・学部等における、そうした
制度の運用の適切性
該当せず
(3年卒業の特例 コード 1315)
1315014年未満で卒業もしくは大学院への進学を認めている大学・学部等における、そう
した制度の運用の適切性
3年次までに優秀な成績で卒業所要単位を学修した学生に、本学大学院への進学を
認めている。これについては取得単位数・GPA等による客観的基準をもとに判定が
行われており、適切に運用されている。今後、国際化する高等教育への制度的対応と
して早期卒業制度などを検討することが望ましい。
③国内外との教育研究交流
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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(国内外との教育研究交流 コード 1316)
131601 国際化への対応と国際交流の推進に関する基本方針の適切性
国際化に対応すべく国際インスティテュート(国際社会コース・国際福祉コース)、
英語副専攻を設置し、全学DUDPプログラム、海外スタディ、等多様なプログラム
を展開してきた。今後は、教育研究の国際化と国際交流の推進に関する基本方針を立
案することが望ましい。
131602 国際レベルでの教育研究交流を緊密化させるための措置の適切性
国際レベルでの研究交流を緊密化させるため、学外研究制度を設置している。同時
に客員教授制度を用いて国際的な教育研究交流の緊密化を促進している。
教育については全学的に行われている各種の留学制度・海外スタディなどを積極的
に位置づけるとともに、産業社会学部英語副専攻を設置し、学部独自の措置も行って
きた。
131603 国内外の大学との組織的な教育研究交流の状況
FDの一環として、北米等の大学の取り組みを調査検討するなど、国内外の大学と
組織的な教育研究交流を行うことを目標に取り組んだ。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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(5)文学部
【到達目標】
学部の目的「文学部は、人文学を教育研究し、人間や世界の様々な文化について、幅広
い知識と豊かな表現力を身につけ、人間と社会が抱える問題を究明し解決しようとする人
間を育成することを目的とする。」
上記目的を達成するための教育研究上の目的:
○ 人間や世界の様々な文化について幅広い知識を身につけ、人文学の方法論を用いて理
解することができる。
○ 現代・過去の社会や文化に対して多面的な関心を持ち、自らの見解を形成できる。
○ 個人や文化の多様性を認め、社会の一員として行動できる。
○ 人間や文化について関心を持ち、自らの力で課題を設定し探求する意欲を持つ。
○ 現代社会が抱える問題に対し、大学で学んだことをもとに解決しようとする態度を持
つ。
○ 自分の調査・研究の結果を、口頭あるいは文章や制作物の形で表現することができる。
またこれらの 6 つの教育目標を実現する教育課程、教育方法を確立するため、文学部で
は 2007 年に以下の 3 点の到達目標を定めた。
(1) 各授業の到達目標を、学生を主語とした行動目標で表現する。
(2) カリキュラム・マップの手法を用いて、教育目標と各授業の到達目標との整合性
を検証し、カリキュラム改善に取り組む。
(3) カリキュラム・ツリーの手法を用いて、学士課程教育全体の成果として人材育成
目的が達成されるようカリキュラムの体系性を検証する。
さらに文学部の人材育成目的が達成されたことを検証するため、上述の6つの教育目標
に即した評価指標、評価基準を設定する。なお、本評価指標、評価基準については「②教
育方法等―(教育効果の測定)」に記述する。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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【現状の説明】
①教育課程等
1)学士課程の教育内容・方法
(学部・学科等の教育課程 コード 1301)
130101 教育目標を実現するための学士課程としての教育課程の体系性(大学設置基準第 19
条第 1 項)
文学部の人材育成目標を「文学部は、人文学を教育研究し、人間や世界の様々な文
化について、幅広い知識と豊かな表現力を身につけ、人間と社会が抱える問題を究明
し解決しようとする人間を育成することを目的とする。」と定めた。それを達成する
ために、次の 6 項目の教育研究上の目的を定めた。「人間や世界の様々な文化につい
て幅広い知識を身につけ、人文学の方法論を用いて理解することができる。現代・過
去の社会や文化に対して多面的な関心を持ち、自らの見解を形成できる。個人や文化
の多様性を認め、社会の一員として行動できる。人間や文化について関心を持ち、自
らの力で課題を設定し探求する意欲を持つ。現代社会が抱える問題に対し、大学で学
んだことをもとに解決しようとする態度を持つ。自分の調査・研究の結果を、口頭あ
るいは文章や制作物の形で表現することができる。」
さらに、専攻別の教学の手引きの改訂を行い次の取り組みを行った。(1) 各専攻・
プログラムが観点別人材育成目標を作成し、公開する。(2) 各専攻・プログラムが主
要専門科目・教養科目・外国語科目を含む 4 年間の履修プランを提示する。(3) 専攻・
プログラム提供の専門科目について、科目の教学目標・内容を個別提示する。また、
科目目標にもとづき専攻・プログラムによるシラバス確認を実施し、目標を達成した。
今後は、カリキュラム・マップの手法を用いて、教育目標と各授業の到達目標との整
合性を検証し、カリキュラム改善に取り組む、カリキュラム・ツリーの手法を用いて、
学士課程教育全体の成果として人材育成目的が達成されるようカリキュラムの体系性
を検証するなどの改善をする。
130102 教育課程における基礎教育、倫理性を培う教育の位置づけ
基礎教育(教養教育)の体系化を図ることを目標に実施し、教養教育科目 A 群につ
いて、各分野から 1 科目以上履修することとし、また文学部固有の教学ニーズに対応
した教養教育科目 B 群も設置し、目標を達成している。また学部の理念に照らして、
情報モラルをはじめ倫理性を培う教育に取り組むことを目標とし、全員履修の初年次
科目「リテラシー入門」において、学術的な倫理および情報倫理の授業を実施し、目
標を達成した。今後は、全学の教養教育改革にあわせて、より学部の理念にふさわし
い体系化をはかることを検討する。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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130103「専攻に係る専門の学芸」を教授するための専門教育的授業科目とその学部・学科
等の理念・目的、学問の体系性並びに学校教育法第 83 条との適合性
専門教育の授業科目に関して科目精選・充実、コア化をはかり、系統的履修、選択・
必修の配分等の開講方針を明示し、周知することを目標に実施し、専攻ごとのコア科
目を見直し、教学の手引きの科目概要に明記した。コア科目は原則として必修または
登録必修科目とするとともに、コア講義科目の期末試験および期末レポートの結果に
ついての講評を実施、WEB で掲載し、学びの実質化をはかる高度な目標を達成した。今
後は、系統的履修と科目精選の検討を開始する。
130104 一般教養的授業科目の編成における「幅広く深い教養及び総合的な判断力を培い、
豊かな人間性を涵養」するための配慮の適切性
教養教育の授業科目に関して系統的履修、選択・必修配分等の開講方針を明示し、
周知することを目標に実施し、教養教育科目 A 群について、各分野から 1 科目以上履
修することを明示して目標を達成した。今後は、履修状況を調査するなどの検討を行
う。
130105 外国語科目の編成における学部・学科等の理念・目的の実現への配慮と「国際化等
の進展に適切に対応するため、外国語能力の育成」のための措置の適切性
外国語教育の授業科目に関して、必修・選択配分や系統的履修等の開講方針を明示
し、周知するとともに、外国語(英語)運用能力に関して卒業時に想定する指標・基
準を検討し、適切な教育的措置をとることを目標に実施し、英語能力の検証、クラス
分けのツールとして TOEFL に代えて TOEIC を採用し、より細かな分析を行えるよう決
定をし、目標をある程度達成した。履修する語種については、専攻ごとに専門分野の
特質に応じた選択をしている。今後は、外国語科目と専門の語学系科目の連携改善と
体系化を図るなどの改善をする。
130106 教育課程の開設授業科目、卒業所要総単位に占める専門教育的授業科目・一般教養
的授業科目・外国語科目等の量的配分とその適切性、妥当性
教養科目、専門科目、外国語科目等に関して、量的配分の適切性、妥当性を確保す
ることを目標に実施し、現行の単位配分で問題はないとの考えのうえに、履修要項に
明記、学生に周知し履修させ、目標を達成している。今後は、学生の履修状況を確認
していくなどの改善をする。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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130107 基礎教育と教養教育の実施・運営のための責任体制の確立とその実践状況
学部の教育目標の実現および教養教育の充実・発展のために、全学共通教育推進機
構と連携して科目精選を進め、受講利便性の確保と教員の質を確保することを目標に
実施し、教養科目基本担当者懇談会および主任会議において、教養教育について議論
する体制を持っており、目標を達成している。今後は、学部改革論議にあわせ、企画
委員会で教養科目を含む議論を行うことを目指す。
130108 カリキュラム編成における、必修・選択の量的配分の適切性、妥当性
必修・選択科目を教育目標との関係から適切、かつ妥当に配置することを目標に実
施し、専攻ごとの必修・登録必修科目の置き方について執行部で検討した。今後は、
専攻教学におけるコア科目との関連で、必修科目の配分について学部全体で議論する
ことを検討する。
(カリキュラムにおける高・大の接続 コード 1302)
130201 学生が後期中等教育から高等教育へ円滑に移行するために必要な導入教育の実施状
況
学生が後期中等教育から高等教育へ円滑に移行することができるような導入教育を
実施することを目標とし、(1)特別入試の合格者を対象に、学部全体の入学前教育とし
て 12 月にプレ・エントランス立命館デイを開催して、大学(専攻・プログラム)で学ぶ
意義をはじめ、人文学を学ぶうえでの共通の基礎能力である「リテラシー(literacy)」
を重視したライティング教育を実施した(本年度参加者 463 名)。(2)高大連携協定校
入試で合格した生徒(15 校)には、上記に加えて別途英語教育、日本語リテラシー教
育を行った。なお、協定校とは、入学前教育を含めた高大連携全般を検証する連絡会
を年 2 回開催している。今後は、こうした導入教育がいっそう円滑に進むような取り
組みを継続する。
(インターンシップ、ボランティア コード 1305)
130501 インターンシップを導入している学部・学科等における、そうしたシステムの実施
の適切性
インターンシップ制度を充実させ、適切に運用することを目標として、以下の取り
組みを行った。文学部では、学部教学に密接にリンクした機関で、調査・研究型の多
彩なインターンシッププログラムを開発してきた。いずれも提携先を含めた地域社会
との幅広い連携を図り、着実にその成果をおさめている。学生は、机上の学問を実社
会で実践することにより、キャリアデザインの早期形成や学術的好奇心を高め、大学
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
51/331
での学びに反映させている。本年度のインターンシップ先は、京都太秦映画村、京都
文化博物館、京都イタリア文化会館、高見翠芳堂、東九条まちづくりサポートセンタ
ーまめもやし、八幡市教育委員会、財団法人海外技術者研修協会、国際航業株式会社
などである。また、文学部の特徴として、いわゆる資格取得に関わる実習プログラム
(インターンシップ)として、教育実習や学芸員実習を受講する学生も多く、教育現
場や博物館などで多くの実習体験を積んでいる。学生派遣にあたっては、事前・事後
指導をはじめ、コーディネーターとなる科目担当教員を中心に派遣先との調整、大学
の授業としてシラバスを作成するなど他の講義科目と同様に適切に実施したうえで単
位を認定する制度を構築しており、のべ 116 名が単位認定された。今後は、インター
ンシップ実施の適切性を継続的に検証しつつ、問題点が見つかれば適切に改善するよ
う努める。
130502 ボランティア活動を単位認定している学部・学科等における、そうしたシステムの
実施の適切性
ボランティア活動を単位認定するシステムを適切に実施することを目標として、以
下の取り組みを実施した。ボランティア活動を直接単位認定する科目は、学部独自に
は配置していない。しかし、本学部では、学生が産業社会学部で実施されている「ボ
ランティアコーディネーター養成プログラム」に参加・登録することができ、履修し
た単位を自由選択科目として認定(5 科目 10 単位のパック認定)するシステムを確立
しており、適切に実施している。本年度、このプログラムに参加した学生は、4 名であ
り、今後も継続して適切に実施するよう努める。
(授業形態と単位の関係 コード 1306)
130601 各授業科目の特徴・内容や履修形態との関係における、その各々の授業科目の単位
計算方法の妥当性
単位制度の実質化や授業外学習時間を担保し、大学設置基準に則して各授業の形態
に合わせ、認定単位を適正化することを目標に実施し、補講の徹底による 15 回授業の
実施を大半において達成した。今後は、さらに補講の充実をめざすとともにシラバス
への授業外学習についての指示を入れるなどの検討を行う改善をする。
(単位互換、単位認定等 コード 1307)
130701 国内外の大学等での学修の単位認定や入学前の既修得単位認定の適切性(大学設置
基準第 28 条第 2 項、第 29 条)
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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国内外の大学、短期大学での学習を適切に単位互換・認定を行うことを目標に実施
し、留学帰国者や編入学者の単位認定を行い目標を達成した。今後は、海外の大学と
の学生交流協定の拡大を検討し、単位認定を増加させることを検討する。
(開設授業科目における専・兼比率等 コード 1308)
130801 全授業科目中、専任教員が担当する授業科目とその割合
学部の教育目標に貢献する専門科目や教養科目における専任率 5 割以上とすること
を目標とし、専門の専任率 63.4%教養科目 55.5%となり、目標を達成した。今後この
水準を維持することを継続することを目標とするが、卒業論文を必修とする学部とし
ての教員整備を行い、さらに専任率を向上させることを目指す。
130802 兼任教員等の教育課程への関与の状況
兼任教員に担当科目の教育目標についての十分な説明を行うことを目標とし、2008
年度教学の手引きにおいて科目概要を明示し、兼任教員への授業依頼の折に科目の内
容・学生の到達目標を説明して目標を達成した。なお、シラバスの確認により、科目
到達目標に対して適正なシラバスであるか点検をし、目標に対して不十分な場合は修
正を依頼することでより精度を高めた。今後も説明を継続し、定着させる。
(社会人学生、外国人留学生等への教育上の配慮 コード 1309)
130901 社会人学生、外国人留学生、帰国生徒に対する教育課程編成上、教育指導上の配慮
社会人学生、外国人留学生、帰国生徒に対する履修説明会の実施を目標にし、入学
前に説明を行い目標を達成した。また、社会人は必修科目を 2 科目 8 単位としており、
「履修要項」に社会人学生の項目を設けてそれを説明している。留学生については「外
国人留学生ハンドブック」を配布し、履修区分ごとの必要な単位数などを明記し、理
解しやすいような措置をしている。今後は教育指導上の配慮施策について検討を行う。
②教育方法等
(教育効果の測定 コード 1310)
131001 教育上の効果を測定するための方法の有効性
ひとつひとつの教育目標に対して、卒業時の効果を測定する方法を有効に実施する
ことを目標にし、それらすべてを含めて検証する制度として卒業論文を置いている。
卒業論文は、3 年次・4 年次に小集団科目(ゼミ)で段階を追って内容を深め、教育目
標に関わる自己成長を支えるものとしている。論文については、主査・副査による厳
格な口頭試問を実施しており、効果を有効に測定する目標を達成した。今後は、卒業
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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論文および 3 年次・4 年次の小集団科目の成績評価の標準化について、主任会議および
教授会における検討を行うことの改善をする。教育効果の測定(卒業生調査や学生実
態調査を含め、教育効果を測定する)結果指標を開発し、その有効性を検証する FD 委
員会で教育効果検証の信頼性向上のために検討を続け、改善を図る 教育効果の測定方
法について、その有効性を自己評価のみにとどまらず、第三者評価も含めて検証する
仕組みについて検討する。教育効果の測定結果を元に、FD 委員会や教授会等で議論が
なされ、教育改善を行う母体となる組織を置くことを目標に実施し、FD 委員会を設置
し目標を達成した。学部・研究科の管理運営、教学に関する学習や経験の共有化を目
標として、FD 取組としての教員研修を施策として教授会等で実施した。今後は、教授
会に FD 議題を話し合う枠を設け、定期的に多様なFD課題について全員で議論をする
ことを検討する。
131002 卒業生の進路状況
卒業生の進路状況把握、在学生のキャリア形成支援を行うためにキャリアオフィス
と連携し、各種取り組みを行うことを目標に実施し、以下を達成した。(1)6 月、11 月、
3 月時点での進路状況を把握するため、ゼミ毎に学生をリスト化し、担当教員との情報
交換を実施。各時点で進路が決定していない学生に対しては、キャリアオフィスに到
着している新たな求人情報を逐一流すと同時に、同オフィスが主催している模擬面接、
企業合同セミナーへの参加を促した。(2)11 月には主に 3 回生を対象とした「就活応援
ウィーク」を企画し、卒業生(CA:キャリアアドバイザー)や内定を獲得した 4 回生
(JA:ジュニアアドバイザー)を招き、就職活動に際しての心構えや成功・失敗体験
を共有した。(3) 新入生の入学時オリエンテーション企画として「学部の学びと将来
進路セミナー」を開催した。これには、CA に来校いただき、座談会形式で将来の進路
を見据えた学生生活を送るよう動機付けを行った。こうした活動を行った結果、2008
年度の進路決定率は好調であった。今後は、一層の進路状況把握やキャリア形成支援
を行うよう努める。
(成績評価法 コード 1311)
131101 厳格な成績評価を行う仕組みと成績評価法、成績評価基準の適切性
成績評価基準に関して、授業の到達目標や学部の教育目標との整合性、妥当性、適
切性を保証するための成績評価を改善することを目標に実施した。
文学部の開講科目の数も多く内容も多岐にわたることから、講義科目については日
常的な学習に対する評価を成績に盛り込むこと、演習科目についてはレポート等によ
る成果の評価を行うことを目標に担当副学部長と専攻主任の話し合いをおこなった。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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また、全科目のシラバスを教学担当副学部長がチェックすることで、個別科目の成績
評価法の適切性について、一貫したチェックができた。今後は、FD委員会、主任会
議等で厳格かつ公平な成績評価のあり方、成績評価基準等の検討をおこなうことによ
って改善する。
131102 履修科目登録の上限設定等、単位の実質化を図るための措置とその運用の適切性
履修科目登録の上限設定や GPA を導入し、適切に運営することを目標に実施し、そ
の目標を達成した。
131103 各年次および卒業時の学生の質を検証・確保するための方途の適切性
各授業の到達目標を公平かつ客観的に測定する手法を確認し、実施することを目標
に実施し、小集団科目(ゼミ)および卒業論文の成績分布について、専攻別に集計し
たものを主任会議に示し、ゼミ評価のあり方について議論した。今後は、継続的にこ
のような取り組みをおこない、学部全体の理解の共通化を図ることで改善する。
(履修指導 コード 1312)
131201 学生に対する履修指導の適切性
学びの仕組みを理解させるオリエンテーションの実施を目標とし、新入生には 4 日
間のオリエンテーションにおいて、履修要項および教学の手引きをもとに履修のしか
たや単位の説明・卒業要件などの説明を実施、また上回生にも成績発表の折に教学の
手引きをもとに専攻での学びの意義と卒業に要する必修科目の受講登録や区分ごとに
必要とする単位数などについて説明を行い、目標を達成した。また履修のしくみの理
解の定着を目標に、履修相談期間を 1 週間設定し、個別の質問に対応するなどきめ細
かな指導を行い目標を達成した。今後は、よりわかりやすくなるよう履修要項や教学
の手引きを改善する。
131202 留年者に対する教育上の措置の適切性
卒業が可能な学生には卒業要件を満たす受講登録を行わせることを目標にし、5 回生
以上の学生の受講登録状況を確認し、卒業要件を満たせる登録を行う連絡指導を行い、
目標を達成した。また卒業論文の提出が必要な学生には、提出にかかわる情報を正確
に与えることを目標に、題目提出の折に提出期限等を書いた用紙を個人別に渡し、目
標を達成した。今後は、より正確な受講登録をさせるための資料の改善を行う。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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131203 科目等履修生、聴講生等に対する教育指導上の配慮の適切性
科目等履修生、聴講生の学習上の利便をはかることを目標とし、ガイダンスを行っ
て説明を行い、目標を達成した。今後もガイダンスの開催を維持していく。
(教育改善への組織的な取り組み コード 1313)
131301 学生の学修の活性化と教員の教育指導方法の改善を促進するための組織的な取り組
み(ファカルティ・ディベロップメント(FD))およびその有効性
学生と継続的に意見交換を行い、教育改善に反映することを目標に、五者懇談会を
年に 2 回開催している。半期の「リテラシー入門」の前期一斉開講、コア講義科目の
講評など、五者懇談会で要請された改善を行ない、目標を達成した。今後は、初年次
の「研究入門」について、専攻の人材育成目標に沿った運営がなされるよう、教授会
での議論をおこなう検討を行う改善をする。教育改革総合指標をもとに年間並びに4
年間の総合的な FD 活動の総括を行い、次年度及び次期間の取り組みに活かすことを目
標に、TERI と連動した教育力強化予算申請について教授会で審議している。また、各
年度の教学総括を実施し、目標を達成した。今後は、FD 委員会の主要な課題や目標に
ついて明確化して運営することを検討する。
131302 シラバスの作成と活用状況
シラバスの必要項目に適切に情報を記入することを目標にし、執行部複数名による
シラバスのダブルチェックをおこない、その上で教学担当副学部長と専攻主任の話し
合いによる専門科目の全項目の記入と内容の検証を行い目標を達成した。今後は、副
専攻科目、人文科学総合講座等の学部横断的科目の責任体制を強化し、科目内容、シ
ラバス等のチェックが自律的におこなえるよう検討する。
131303 学生による授業評価の活用状況
学生の声を集約する仕組みが整えられていることを目標に実施し、授業アンケート、
インタラクティブシートやコミュニケーションペーパーによる 50 名以上の講義科目で
の学生の意見集約やコア講義科目へのTAの配置によるコミュニケーションペーパー
の活用向上を達成した。今後は、コミュニケーションペーパーの授業へのフィードバ
ックについてFD委員会で議論することを検討する。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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131304 卒業生に対し、在学時の教育内容・方法を評価させる仕組みの導入状況
卒業生に対する調査(アンケート、インタビュー、意見交換会など)を経年的に行
うための仕組みを整えることを目標に実施し、オリエンテーション、就活支援ウィー
クなどで在学生の支援をしてくれる卒業生との懇談を実施し目標を達成した。今後は、
文学部校友会や専攻別同窓会との連携による取り組みについて検討を行う。
131305 教育評価の結果を教育改善に直結させるシステムの確立状況とその運用の適切性
学生による満足度調査を多角的・経年的に行うための仕組みを整えることを目標に、
リテラシー運営委員会主管の「リテラシー入門」において、独自の授業アンケートを
実施し、また全学の授業アンケートを実施して目標を達成した。今後は、リテラシー
運営委員会での分析にもとづく次年度への再設計などの改善の一般化について、FD
委員会で検討する。
(授業形態と授業方法の関係 コード 1314)
131401 授業形態と授業方法の適切性、妥当性とその教育指導上の有効性
授業の到達目標と照らし合わせ、各授業の内容、方法の適正化に関して必要なピア・
レビューを実施し、個別授業の改善を図ることを目標に実施し、学生がクラスを選べ
ない「研究入門」と「基礎講読」について専攻会議(担当者会議として)での定期的
な議論をおこなうよう専攻に要請し、半数以上の専攻において、「研究入門」の授業
内容の統一または共通テキストの採用が確認でき、目標を達成した。今後は、共通テ
キストの作成について、各専攻での更なる検討を継続する。
131402 多様なメディアを活用した授業の導入状況とその運用の適切性
授業でコースツールやICTの活用を促進し、適切に運用することを目標に実施し、
4 年間の専攻小集団科目での継続的な指導という文学部の教学的な特徴を生かすシス
テムとして、e ポートフォリオを学生委員担当のクラスを中心に実証試験のための運用
をおこない、目標をある程度達成した。今後は、より多いクラス、および大規模講義
科目での運用をおこなって本格的導入について検討する。
131403「遠隔授業」による授業科目を単位認定している大学・学部等における、そうした
制度の運用の適切性
日韓中連携講座を韓国東西大学校、中国広東外語外貿大学との遠隔授業を円滑に実
施し、目標を達成した。今後、通信状況が安定するよう改善を行う。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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(3年卒業の特例 コード 1315)
1315014年未満で卒業もしくは大学院への進学を認めている大学・学部等における、そう
した制度の運用の適切性
制度はないし、その予定はない。
③国内外との教育研究交流
(国内外との教育研究交流 コード 1316)
131601 国際化への対応と国際交流の推進に関する基本方針の適切性
学生が国際感覚を豊かにし世界の様々な文化について幅広い知識を身につけること
ができるためのプログラムをおくことを目標とし、エリアスタディ副専攻(「履修要
項」p69)をおいて「東南アジアコース」、「韓国コース」、「現代中国コース」をお
いて海外実習を行い、目標を達成した。また、「北米コース」および「イタリアコー
ス」を開設し、海外実習先を決定した。文学部の教学と結合した、人文学的知や手法
にもとづいて、世界像・地域像の再構築を目指していくことを狙いの一つとしたエリ
アスタディ副専攻の充実は、教育目標ともかなっており、その方針は適切である
131602 国際レベルでの教育研究交流を緊密化させるための措置の適切性
国際レベルでの教育研究交流を緊密化させるため、学部としての交流実施を目標と
し、エリアスタディ副専攻に「北米コース」「イタリアコース」を新設。前者に対応
して、米国オレゴン大学への海外派遣プログラムを開発。またマレーシアおよび中国
への学生派遣プログラムを実施し、これらの学生には経費にかかわる支援を行い、海
外プログラムへの参加を促す措置をとっている。また学生の海外プログラム参加意識
高揚のため、国際フェアを一部実施した。今後は、国際フェアの拡大を検討する。
131603 国内外の大学との組織的な教育研究交流の状況
国内外の大学と組織的な教育研究交流を行うことを目標に、日韓中連携授業を実施、
学部生も登録を可能として韓国東西大学校、中国広東外語外貿大学と交流協定を締結
し、目標を達成した。今後は、安定的授業運営と交流内容の高度化について検討する。
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Ⅲ.教育内容・方法
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【点検・評価】
目標の達成度
充実した学びの機会を提供できているが、カリキュラムの体系性において不充分である。
効果があがっている事項
専攻による 4 年間の教育と卒業論文による到達度検証、学部共通あるいは学部横断的
な教育制度の充実。
改善が必要な事項
科目の精選、成績評価の公平化等について教員間、専攻間に意識、実践において相当
の差が存在している。カリキュラム・マップに基づいた体系化の作業が遅れている。
【改善方策】
長所の伸長方法
専門を深く学ぶことと幅広く学ぶことの両方の機会を提供しつつ、学部の教育目標を
達成する。
問題点の改善方法
専攻での教育を主任会議、企画委員会、FD 委員会で話し合うことによって可視化し、
相互に学び合い、文学部の良さを生かした標準化を進める。
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Ⅲ.教育内容・方法
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(6)理工学部
【到達目標】
理工学部では、学則に定めているように、「人間重視の理念のもと理学と工学の融合によ
る独自の教育研究を行い、独創的かつ高い倫理観に裏づけされ、科学技術の新領域の開拓
と未来社会を支える人材の育成」を通じて、人類の幸福と社会の進歩に貢献していくこと
を追及する。これを踏まえて、理工学部が養成すべき能力は次のようなものと定めている
(1) 自然現象の本質や自然科学の基本原理の十分な理解の上にたって、それぞれの
専門分野の基礎知識を十分身につけ、根本的な問題解決のための創造的・総合的な力
量を発揮できる能力(理工系としての確かな学力)
(2) 科学技術を社会的な関連の中で捉えられる諸科学の素養をもち、科学の進歩と
技術開発が社会および環境に及ぼす影響とその結果についての社会的責任を自覚でき
る能力(科学・技術者としての広い視野と高い倫理)
(3) グローバル化の中でリーダーシップを発揮するために必要な国際感覚と外国語
運用能力、ならびに情報科学に関する学力と情報処理能力(国際化・情報化に対応す
る適応能力)
(4) 単なる科学者・技術者ではなく、科学技術の社会的価値を理解し、かつ科学技
術を経済的価値へ転換する方法について熟知した「科学技術のわかる経営者」、「経営
のわかる科学・技術者」としての能力(起業家マインドと、テクノロジーマネジメント
能力)
上記の各項目を達成するために、2008 年度は以下のような取り組みを行った
(1) 理工系としての確かな学力
① 「自然科学の本質や自然科学の基本原理に対する十分な理解」
自然科学の基礎である数学ならびに物理、化学、生物、地学について訓練を行う。理
工学部では、これらのうち特に数学と物理を、専門を理解する上で最も重要な基礎能
力と位置づけ、その修得を必須とする。そのために、まず、高校数学ならびに高校物
理の全範囲の履修と理解をアドミッションポリシーとして設定し、すべての入学試験
において徹底する。これらの能力を入学直後に統一的に検証し、その後の学びに結び
つける。さらに、これらの学生に対し、各学科での専門の学びに必要な大学の基礎数
学と物理の訓練を一、二回生の間に行うと同時に、それらを通じて科学的な考え方を
身に付ける。
② 「専門分野の基礎知識の取得」
上記の学部の目標に加えて、すべての学科ごとに教育目標を設け、それにもとづいた
系統的なカリキュラムを作成し、かつこれを学生に明示する。この際、専門性を担保
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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するために十分な単位数を確保する。また、これらの専門的知識に対する到達度を検
証する仕組みを設け、学生全員がそれにより自分自身の到達点を知ることができるよ
うにする。
③ 「総合的な問題解決能力」
専門科目に加え、社会・人文科学をバランス良く学習し、理工学部の専門科目とは質
的に異なる知的な体系を学習することによって、総合的な問題解決能力のさらなる充
実を図る機会を与える。さらに、専門知識を用いて総合的に問題解決を行う能力の訓
練、ならびにその到達点の確認を学部の卒業要件とする。
(2) 科学・技術者としての広い視野と高い倫理
① 「科学技術を社会的な関連の中で捉えられる諸科学の素養の修得」
上述した自然科学の基礎的な科目に加え、物質、環境、情報等、境界・複合的な分野
についても学ぶ機会を与える。同時に、社会・人文科学においても、その知識を広げ、
理工学部の専門科目とは質的に異なる知的な体系を学習することによって自らの専門
を相対化し、現代社会の状況を判断する能力を養う。
② 「科学技術が社会に及ぼす影響とその社会的責任の自覚」
専門分野以外にも幅広く知識を広げ、社会の成り立ちと仕組みに対する十分な知識を
身につけた上で、科学技術の発達が社会に及ぼす影響について理工学部学生全員が実
際の事例と対応させて学ぶ機会を設ける。
(3) 国際化・情報化に対応する適応能力
① 国際感覚の醸成
国際レベルでの教育研究交流を行うことによって、地球規模での学びを行う機会を与
えると同時にキャンパスの国際化に努める。
② 外国語運用能力の育成
科学技術のグローバル化に伴い、適切な量の外国語科目を卒業要件とする。多様な入
試に基づいて入学した学生の語学力を確認するための試験を入学直後に行い、それに
基づいて各学生に対して適切なレベルの語学教育を行う。
(4) 起業家マインドと、テクノロジーマネジメント能力
① 起業家マインドの育成
「自立的で創造的な人材」の育成を目指し、「起業」に関する学びの機会を与える。こ
の際、インターンシップや講師派遣・講師依頼などを通して産業界と学生とのつなが
りを作る。
② テクノロジーマネジメント能力の涵養
専門科目と同時に、製品開発、マーケティングリサーチ、オペレーションリサーチ、
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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マーケットデザイン等、経営的視点から科学技術開発を眺めることのできる科目を設
け、学生に学びの機会を与える。
【現状の説明】
①教育課程等
1)学士課程の教育内容・方法
(学部・学科等の教育課程 コード 1301)
130101 教育目標を実現するための学士課程としての教育課程の体系性(大学設置基準第 19
条第 1 項)
【目標】
「4 年間の学びを確立するシステムの構築」を目指し、以下の取組を行う
1. 専門科目のコア化ならびに系統履修の実施(2004 年度カリキュラム改定より)
2. 基礎専門科目の精選と体系化(2008 年度)
【2008 年度の達成状況】
1. 専門科目については学科ごとにカリキュラムを精査し、2004 年度、2008 年度カリキ
ュラム改定において系統履修を意識したカリキュラムの改善が図られた。
2. 2008 年度より、これまで履修要項等にばらばらに記載されていた到達目標を学部な
らびに学科ごとに整理し、学則に明記した。これにより、学びの目標が学生にとっては
っきりとしたわかりやすいものとなった。
3. 上記のカリキュラム改定にもとづいて、従来一部の学科においてしか行われていな
かったカリキュラム・ツリー(もしくはそれに準ずるもの)の公表をすべての学科におい
て行った。
4. 2007 年度まで 34 科目あった基礎専門科目を、自然系・自然総合・情報科学系科目を
中心として、内容を精選することにより 26 科目まで整理・統合し、学生からみてより
わかりやすく体系化されたものとした。
【改善に向けた今後の取組】
1. 2012 年のカリキュラム改革を見据え、2009 年度は現行カリキュラムに対する学生の
意識調査ならびに学力実態の把握に努める。2010 年度にはこれを元に新たなカリキュラ
ムの基本構想をかため、2011 年度に具体案を策定する。
2. カリキュラム・ツリーの一部に対しては、構造が複雑でわかりにくいとの声が学生
サイドからあがっている。したがって、アンケート等により学生の意見を集め、文字の
大きさ、フォーマット等の改善を毎年継続的に行う。同時に、カリキュラムの意図とお
およその流れを示す概略版(父兄や低回生向け)と、一つ一つの科目間のつながりがわか
る詳細版(高回生向け)を分けて作成するなど、カリキュラム・ツリーのあり方自身につ
いても工夫する。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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130102 教育課程における基礎教育、倫理性を培う教育の位置づけ
【目標】
1. 基礎科目を開講し、広範な教養の獲得により、多様な課題領域を認識しうる能力、
問題発見能力の成長を促す。
2. 技術者倫理にかかわる講義を開講し、意識の醸成をはかる。
【2008 年度の達成状況】
1. 全学的な教養科目開講方針に基づき、総合学術科目 45、外国語科目 20 科目をそれ
ぞれ開講した。
2. 表記の目標をより効果的に達成するため、400 名を超える過大クラスの解消を目指
したクラス編成をおこなった。その結果わずかな例外を除いて 400 名以下とすること
ができた。
3. 基礎科目として「科学技術と倫理」を開講し、実際に起こった問題を題材に、技術
者倫理のあり方に関する講義を行った。
【改善に向けた今後の取組】
1. 2009 年度において現行カリキュラムの総括を行うと同時に、教養教育のあり方につ
いて学部教員のコンセンサスを確認する。これを元に、全学的な組織である教養教育
推進機構と共同し、2012 年を目処として教養教育改革を行う。
2. 2008 年度は 400 名超となる過大クラスを完全に 0 とすることができなかった(4 ク
ラス)。2009 年度以降、これを 0 とすることを目指しクラス編成を行う。
3. 現在開講されている「科学技術と倫理」の内容と密接な関係をもつ外部講師(実務
者)をゲストスピーカーとして招聘し、企業における倫理観を体得させる。
130103「専攻に係る専門の学芸」を教授するための専門教育的授業科目とその学部・学科
等の理念・目的、学問の体系性並びに学校教育法第 83 条との適合性
【目標】
1. 学部・学科ごとの到達目標の明示
2. 上記に応じた学科ごとの専門科目のカリキュラム改善とそれに伴う適切な学びの
機会設定
【2008 年度の達成状況】
1. 2008 年度に、学則に学部ならびに学科ごとの到達目標を示し、それぞれの理念、目
的を明確化した。
2. 2004 年度、2008 年度カリキュラム改定において、学科ごとに専門科目の系統履修
を意識したカリキュラムの改善が図られた。
3. 上記の改定にもとづき、カリキュラム・ツリー(もしくはそれに準ずるもの)の公表
をすべての学科において行った。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
63/331
4. シラバスのチェックを前年度から継続して行った。学科ごとの教務委員がすべての
専門科目のシラバスに対してチェックを行い、記載のない項目やあいまいな表現の削
減を行った。
5. 一部の学科では基礎力の充実と専門力の養成をうたい、専門科目の一部に新たに必
須科目を導入した。その結果、2008 年度入学生の単位僅少者が減少するなど、既に一
定の効果があがりつつある。
【改善に向けた今後の取組】
1. シラバスの適正化・カリキュラム・ツリーの改善などを、これまで同様さらに推し
進めていく。
2. 2012 年のカリキュラム改定を目指し、2009 年度において学生実態の把握に努める。
130104 一般教養的授業科目の編成における「幅広く深い教養及び総合的な判断力を培い、
豊かな人間性を涵養」するための配慮の適切性
【目標】
1. 教養系の科目である基礎科目において、適切な科目数と分野をとして配置し、幅広
く深い教養および総合的な判断力を培う。
2. 教養教育の授業科目に関して系統的履修、選択・必修配分等の開講方針を明示し、
周知する。
【2008 年度の達成状況】
1. 総合学術科目 A 群として、
「思想と人間」、
「現代と文化」
、
「社会・経済と統治」、
「世
界の史的構成」、「自然・科学と人類」、「数理と情報」、「大学で学ぶ」といった 7 分野
を重点的に配置すると同時に、これに入らない科目(B 群)についても広く選択できるよ
うにしている。
2. 卒業の用件として上記のうちから 20 単位以上履修することを求めている。
【改善に向けた今後の取組】
1. 2012 年のカリキュラム改定ならびに教養教育改革を目指し、2009 年度において現
行カリキュラムの総括を行う。
130105 外国語科目の編成における学部・学科等の理念・目的の実現への配慮と「国際化等
の進展に適切に対応するため、外国語能力の育成」のための措置の適切性
【目標】
1. 科学技術のグローバル化が進む中でリーダーシップを発揮し、社会的貢献をおこな
うための英語運用能力を身につける。
2. 学部専門教育、大学院教育と密接に関連した外国語教育を行う。
【2008 年度の達成状況】
1. 1, 2 回生に対して、10 科目 10 単位を必修科目として配置している。入学時にプレ
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
64/331
ースメントテストとして TOEIC-Bridge を課し、これに基づいて 3 レベルにクラス分け
を行い、レベルに応じたテキストを用いた授業を行っている。これらの科目に対して
は、授業アンケートにも見られるように、教員の工夫(板書等)ならびに学生の努力(学
習時間等)ともに学内トップレベルにある。
2. 学生は英語科の web サイトで、その時点での自分の成績、および、クラスの平均点、
最高点、最低点等の情報を得ることができ、理工学部全学生がこのシステムを積極的
に活用している。このような成績評価の透明性・公平性・利便性は、授業評価アンケ
ートにおける「成績評価の仕方」や「成長役立ち度」における学生からの高い評価に
つながっている
3. 科学技術英語を多く採り入れる等、理工系の学問に直結した内容の独自教材を用い
ている。
4. 経年的な TOEIC 試験結果等を整理・分析し、学生実態の現状把握を行っている。上
位層においては順調な成長が見られている一方で、近年、中・下位層においてはこれ
らのスコアに伸びが見られず、学習意欲等に問題があることが示された。
5. 2008 年度入学生から 3,4 回生配当科目として English Diploma Course(EDC)を設
置し、2010 年度から開講することを公表した。EDC の設置に向け、語学担当教員によ
る教材開発が進行している。
【改善に向けた今後の取組】
1. 理工学部生として卒業時に必要とされる外国語(英語)運用能力の、具体的かつわ
かりやすい指標・基準を設定する。そのために、まず 2009 年度において、教務委員会
等で外国語教育の実態と課題について学部内での共通理解を図る。
2. 中∼下位クラスの底上げを図る。特に、入学時に語学の基礎力が不足している層に
対しては、その問題点を明確化すると同時に、これまでの教材に加え、学生の能力に
応じた副教材を新たに設定するなど強化を行い、やる気と自信を培う。
3. 中位層については、以前よりその基礎的学力の差が拡大していることを勘案し、よ
り決め細やかな指導を行うために、レベル分けの増加を行う。2009 年度においては、
試行的に中位層を 2 分割しその効果を検証する。
4. EDC の 2010 年度開講にむけ、教材開発を進める。同時に、最適なクラス規模、教員
体制を全学的な合意をとりつつ決定する。また、アンケートや説明会などにより、こ
のプログラムの意図・目標等について学生への周知徹底を図る。
130106 教育課程の開設授業科目、卒業所要総単位に占める専門教育的授業科目・一般教養
的授業科目・外国語科目等の量的配分とその適切性、妥当性
【目標】
1. 教養科目、専門科目、外国語科目等に関して、それぞれの量的配分の適切性、妥当
性を確保する。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
65/331
【2008 年度の達成状況】
1. 理工学部においては、教養的科目(基礎科目)を 30 単位(10 科目 10 単位の外国語科
目を含む)、数学・物理・化学といった理工系の基礎となる科目群(基礎専門科目)とし
て 26 単位、各学科が設定した専門科目 68 単位を履修することを卒業の必要条件とし
ており、高度な専門性を身につけると同時に、広範な知識と多様な視点をバランス良
く培う機会を与えている。
2. さらに、数理科学科、物理科学科をのぞく 9 学科においては、上記の計 124 単位に
加えて、卒業に必要な単位として 8 単位を設定している(計 132 単位)。これらの科目
は基礎科目、基礎専門科目、専門科目、自由選択科目から自由に修得することができ、
学生の学びの自由度を広げている。
3. 学部教育の集大成として、4 回生時に卒業研究を必修化しており、それまでに身に
着けた知識を生かし、総合的な専門の学びを行うことができる。また、卒業研究を登
録するためには、学科ごとに基準を設けており(学科により異なるが、概ね 100 単位程
度の修得が必要)、バランスの良い学習に対してのチェックが行われている。
【改善に向けた今後の取組】
1. 現在、現カリキュラムの科目バランスに対して、教職員ならびに学生から大きな不
満の声は上がっていない。しかしながら、2012 年に行われる理工学部カリキュラム改
定、教養教育改革をにらみつつ、2009 もしくは 2010 年度に意見集約を行う。
2. 132 単位制をとっている学科における 8 単位のあり方については各教員によって意
見が分かれるところである。こちらについても、その結果と到達点について学生・教
員から意見集約を行い、2012 年において継続・改定・廃止の判断を行う。
130107 基礎教育と教養教育の実施・運営のための責任体制の確立とその実践状況
【目標】
1. 学部、全学共通教育推進機構、担当者が互いに連携して教養教育の内容の充実を図
る。
【2008 年度の達成状況】
1. 全学的な教養教育のあり方を議論する会議体である「共通教育推進機構会議」に、
教学担当副学部長が学部の代表として参加し、教養教育のあり方について議論を継続
的に行っている。
2. 教養教育科目(基礎科目)の担当者からなる「基本担当者会議」が年数回開催され、
運営方針の議論がなされている。
3. 教学担当副学部長が委員長となる教務委員会において、必要に応じて学部教養教育
のあり方について議論が行われている。
4. 学部の基礎科目ともいえる基礎専門科目に対しても、教務委員会において毎年その
内容・編成・クラス数等に対して議論し、調整を行っている。特に 2008 年度において
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
66/331
は、前年度まで 34 科目あった基礎専門科目を、自然系・自然総合・情報科学系科目を
中心として、内容を精選することにより 26 科目まで整理・統合し、学生からみてより
わかりやすく体系化されたものとした。
【改善に向けた今後の取組】
1. 2009 年度において現行カリキュラムの総括を行うと同時に、教養教育のあり方につ
いて学部教員のコンセンサスを確認する。実施に当たっては理工学部教務委員会が中
心となって各学科・学系の意見を集約し、理工学部教員会議での承認を得る。
2. 上記に基づいて、全学的な組織である全学共通教育推進機構と共同し、2012 年を目
処として教養教育改革を行う。
130108 カリキュラム編成における、必修・選択の量的配分の適切性、妥当性
【目標】
1. 必修、選択科目の適切かつ妥当な配分を行う。
【2008 年度の達成状況】
1. 理工学部においては、外国語(10 単位)科目に加え、全学科において卒業研究を必修
科目とし、総合的・実践的な理工学の学びを実現している。
2. 選択必修科目(選択した場合、必ず履修することが必要となる)を各学科の学びにあ
わせた形で取り入れ、学びの自由度を確保しつつも、各学科で重要な科目についての
知識を担保している。これらの科目群については一定数以上の科目を履修することが
卒業要件となっている。
3. また、選択科目については、基礎科目、基礎専門科目、専門科目それぞれに対して
卒業に必要な単位数を定めることにより、高度な専門知識をもちつつ多様な視点が持
てるようなバランスの良い学びの体制が構築されている。例えば、専門科目について
はその約 7-8 割(学科・入学年度によって異なる)以上を履修することが卒業の条件と
なっており、これに選択必修科目等を組み合わせることにより、低回生においては専
門分野の基礎を共通に学び、高回生では専門性の高い科目の中から必要なものを選択
できる様な工夫が各学科においてなされている。一方、教養系科目については、学生
の視野を広げる意味から、卒業要件の 20 単位(語学を除く、10 科目程度)を 45 科目と
いう幅広い分野からから選択できるようになっている。
4. 2008 年度において一部の学科では基礎力の充実と専門力の養成をうたい、専門科目
の一部に新たに必修科目を導入した。その結果、2008 年度入学生の単位僅少者が少な
いなど、既に一定の効果があがりつつある。
【改善に向けた今後の取組】
1. 専門科目の必修化を先行して行った学科の到達点を 2009-2011 年度において行い、
2012 年度のカリキュラム改定に反映させる。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
67/331
(カリキュラムにおける高・大の接続 コード 1302)
130201 学生が後期中等教育から高等教育へ円滑に移行するために必要な導入教育の実施状
況
【目標】
1. 理工学部入学者に必要な基礎学力(数学・理科)の統一的な確認を行う。
2. 特別入試で合格した生徒に対して必要な基礎学力を提示し、不足している分野の学
習を促す。
3. 入学時に基礎学力が不足している学生に対するリメディアル教育を行う。
4. 入学時に基礎学力の不足している学生に対して日々の講義・学習に対するフォロー
アップ教育を行う。
5. 入学時に基礎学力の不足している学生に対して学習上の相談を行う機会を作る。
【2008 年度の達成状況】
1. 2008 年度より入学直後に数学ならびに物理の統一試験を行い、新入生の学力確認を
行った。この結果、入試方式により基礎学力に大きなばらつきがあること、これらと
単位僅少者との相関があることが示された。また、特別入学試験の学生において、基
礎知識の不足が明らかとなり、附属属校・協定校との対策が各方面で始められた。
2. すべての学科において 20-40 名程度の少人数教育である小集団科目を一回生におき、
各学科の学びの基礎並びに到達目標を示すなどし、学生の学びの動機付けを行ってい
る。特に電気電子工学科においては、前期において高校での教育経験者を交互に講師
として招き、単なるリメディアルではなく高校の数学・理科と大学の専門とのつなが
りを教示する新たな試みを行っている。
3. 物理を高校で履修していない学生を対象として、物理の考え方を理解するための
「初修物理」(特殊講義)を開講している。
4. 「物理駆け込み寺」と称する理系学科全体に対するフォローアップ教育を行ってい
る。年々参加者が増加し、各セメスターで約 300 名を数えるまで増加した。これに対
応し、本年度より参加教員数を週1回3名体制から、週2-3回4名体制へと強化した。
アンケートの結果、有効回答数のうち 98%を超える学生が肯定的な評価をしている。
5. 学科ごとに、オフィスアワーとは別に「学習相談会」という学生から質問を受け付
ける機会を設け、教員と TA が複数で対応している。
6. 上記した小集団科目においてそれぞれのクラスを中心として、学生の自主的な活動
である「サブゼミアワー」が活発に行われている。大半の学生が出席し、学生の自主
的な学びのひとつの中心となっている。
7. マイクロシステム機械工学科においては、2回生全員に面接を行い、学修上の問題
点のチェックを行っている。
8. 上記の学科ごとに行われている取組を有機的に結合し、学生自身が自らの問題点を
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
68/331
把握し、それを教員と共有した上で個々の学生の学力水準向上を目指すという、きめ
細やかな教育システムの構築を目指す「学修ドクター」というプロジェクトを計画し
ている。2008 年度においては、物理科学科においてそのプロジェクトを試行的に開始
し、一回生全員を対象としてその学生実態を把握するべく十分な時間をかけた面談を
行い、有益な情報が得られている。
【改善に向けた今後の取組】
1. 理工学系学部全体(総合理工学院)の課題として、教学部と連携し、大学入学前か
ら大学導入期までを含めた広い範囲での接続教育を行う体制を作る。
2. 2009 年度より、基礎学力が不足している一回生に対して、電子光工学科ならびに電
子情報デザイン学科を皮切りに小集団クラス単位で数学、物理のリメディアル教育を
行う。学生の選抜には入学時の学力確認試験を基準として用い、TA をチューターとし
て参加させきめ細かい学習指導を行う。
3. 「物理駆け込み寺」については 2008 年度の実績を踏まえ、その基本的な考え方と
方針を維持する。ただし、参加者の増加がはなはだしく、現体制では対応できない学
生の数が無視できなくなっているため、それに応じた講師の増員や回数の増加を行う。
また、現在数学に対する相談もここで行われているが、数学版の「駆け込み寺」につ
いても試行的に開催し、2010 年度からの正式開催を目指す。
4. 学生実態の把握のため、物理科学科での学生面談を継続・拡大するとともに、学生
実態を客観的・総合的に把握するためのシステムの開発を電気・電子工学科を中心と
して 2009 年度よりはじめる。
(インターンシップ、ボランティア コード 1305)
130501 インターンシップを導入している学部・学科等における、そうしたシステムの実施
の適切性
Key Practices①
<コーオプ演習>大学と企業とが組織的に連携して、自然科学系か
ら人文・社会科学系の研究科、学部において導入可能で、かつ企業と持続的に連携可
能な、日本型コーオプ教育の「大規模総合大学モデル」を目指すことができる科目と
して開講。また、自己評価と他者評価を通じた総括評価を評価シートをもとに行うほ
か、リーダーに関してはヒアリング形式で別途総括評価を行うことで、①自己評価(内
省化)、②相互評価、③コーディネーター教員による客観評価、の 3 方向からの多面的
評価を実現でき、立命館大学型コーオプ教育プログラムの新たな展開につながる科目
として位置づけている。<コーオプ教育概論>コーオプ演習と教学的にリンクする科
目として、全学部・全研究科で開講。
Key Practices②
「全学インターンシッププログラム」について、大学設置基準等を
根拠に、開講のあり方の再検証(当該授業の具体的な内容、シラバスの記載内容、単
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
69/331
位授与のあり方、単位認定分野の再検証、等の観点から)を実施。あわせて、当該科
目を開講するための、派遣先との協定書等の再検証を実施。継続的に、派遣先での具
体的なインターンシッププログラム、派遣先の数、派遣先の業態、派遣先からのアン
ケート、受講生の数、受講生からのアンケート、等にもとづき当該科目の検証を実施。
Key Practices③
「キャリア形成論Ⅰ」の開講
<1 回生前期配当科目>KIC:法、産、国、政、文、
映、BKC:営、理、情、生、薬
「キャリア形成論Ⅱ」の開講
<2 回生前期配当科目>KIC:法、産、国、政、文、
映、BKC:理
「キャリア形成論Ⅲ」の開講
<3 回生前期配当科目>KIC:法、産、政、文、映、
BKC:済、営
「インターンシップ入門」の開講
<2 回生後期配当科目>KIC:法、産、政、文、
映、BKC:済、営、情
130502 ボランティア活動を単位認定している学部・学科等における、そうしたシステムの
実施の適切性
ボランティアセンターの本学教学に対する Key Practices
①.ボランティアセンターが開設する次の科目群を学部教学体系に位置づけて開講し
ているか。
(要卒単位であるかどうかは問わない。自由選択や随意科目等の科目区分は問わない。
自学部のカリキュラムとして開講しているかどうかを問う。他学部受講は開講してい
るとは見做さない)
・地域参加活動入門(教養科目) (衣笠キャンパスのみ)
・地域活性化ボランティア(専門科目)・ボランティアコーディネーター養成プログラ
ム(10科目パック
専門科目)
②.ボランティアセンターが開設する科目以外で、学部教学体系上以下の科目が開講
されているか。
(教養科目ではなく、専門科目として開講していることを問う)
・ボランティア活動(NPO・NGO 含む)の概念の学修を中心とする科目(例:ボランテ
ィア論。NPO/NGO 論)
・授業計画において地域社会と連携するフィールドワークを取り入れている科目(例:
地域自治体や町内会、伝統行事の保存会等と共同するゼミ)
ボランティアセンターの本学教学に対する Maturity Level
1.Key Practices①②ともに開講しておらず、今後も開講する予定のないレベル
2.Key Practices①②ともに開講していないが、今後は開講予定があるレベル
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
70/331
3.Key Practices①は開講していないが②は開講している。あるいは①は一部科目を開
講しているが②は開講していないレベル
4.Key Practices①は一部科目を開講しており②は開講しているレベル
5.Key Practices①はすべて開講しており②も開講しているレベル
<部局の状況>
Maturity Level4∼5
Key Practices①に関する到達点
衣笠キャンパス
地域参加活動入門
開講
地域活性化ボランティア
VCTP
法・産・政・文、映 未開講
開講 法・産・政、映
開講 法・産・国・政・文
未開講
国
未開講
国・文
未開講
なし
映
BKC
地域参加活動入門
なし
地域活性化ボランティア
VCTP
開講 経・営・理・情
開講 経・営・理・情
未開講なし
現代 GP「地域活性化ボランティア教育の深化と発展」についての Key Practices
①衣笠・BKC 両キャンパスでの第1段階科目 正課授業を開講(地域参加活動入門他)
②衣笠・BKC 両キャンパスでの第2段階科目 正課授業を開講(VCTP)
③衣笠・BKC 両キャンパスでの第2段階科目 正課授業を開講(地域活性化ボランティ
ア)
④衣笠・BKC 両キャンパスでの第3段階科目 正課授業を開講(教養ゼミナール)
⑤課外における入門講座の開催(ボランティア入門講座、ボランティアガイダンス)
⑥学生コーディネーターの導入・育成(第3段階として想定している学生の育成)
⑦第三者評価委員会による客観評価の仕組み構築と恒常化
現代 GP「地域活性化ボランティア教育の深化と発展」についての Maturity Level
1.Key Practices のいずれも実施していないレベル
2.Key Practices のうち①∼⑦の一部を実施しているレベル
3.Key Practices①∼③の正課科目を衣笠キャンパスで実施し、⑤∼⑦を実施してい
るレベル
4.Key Practices①∼③の正課科目を衣笠キャンパスで実施し、BKC で一部実施し、
⑤∼⑦を実施しているレベル
5.Key Practices すべてを実施しているレベル
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
71/331
<現状>
Maturity Level5
Key Practices①第1段階科目は衣笠のみで開講。(受講者 400 名)
Key Practices②第2段階科目(VCTP)は衣笠・BKC で開講(受講者衣笠34名
BKC
56名)
Key Practices③第2段階科目(地域活性化ボランティア)は衣笠・BKC で合併開講(1
1プログラム
受講者144名)
Key Practices④教養ゼミナールは衣笠・BKC で開講(受講数
衣笠20名、BKC20名)
Key Practices⑤は衣笠・BKC で実施。(学内ボランティアサークルガイダンス
18 団体
名
参加 130 名、BKC は実施せず。夏期ボランティアガイダンス
BKC14 団体
229 名)
ボランティア入門講座(衣笠
6 団体
衣笠 21 団体
21 名
BKC
衣笠
188
4団
体 5 名)
Key Practices⑥は衣笠・BKC で実施。(衣笠 15 名。BKC18 名)
Key Practices⑦は実施。
(09
3 月に学外評価委員8名を招聘し実施。評価委員会報
告を発刊)
(授業形態と単位の関係 コード 1306)
130601 各授業科目の特徴・内容や履修形態との関係における、その各々の授業科目の単位
計算方法の妥当性
【目標】
1. 単位制度の実質化や授業外学習時間を担保する。
2. 大学設置基準に則し、各授業の形態に合わせ、認定単位を適正化する。
【2008 年度の達成状況】
1. 2008 年度に大学設置基準に照らし合わせ、不適切な授業科目がないか全面的な点検
を行った。
2. 各授業科目とも原則として(試験を含めず)15 回の講義回数を担保した学年暦にし
たがって講義を行っている。
3. 上記の講義回数に基づいたシラバスを作成し、各項目に漏れや不備がないかを教務
委員と職員が毎年チェックを行っている。
4. 出張等による休講に回数制限を設けている。やむを得ず休講が発生する場合につい
ては補講を行うこととしている。その際、補講が重なることによる学生の不利益を可
能な限り避けるため、セメスター毎に 5 回の補講日を設け、それにしたがった補講の
運用を行っている。
5. 上記の手続きについて教員への周知を図るべく、簡単なマニュアルを作成している。
【改善に向けた今後の取組】
1. 今後ともコンプライアンスの観点から、教学担当副学部長および教務委員と担当職
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
72/331
員で、シラバスの点検の継続的な励行も含めて、授業科目のあり方を毎年確認する。
(単位互換、単位認定等 コード 1307)
130701 国内外の大学等での学修の単位認定や入学前の既修得単位認定の適切性(大学設置
基準第 28 条第 2 項、第 29 条)
【目標】
1. 国内外の大学、大学以外の教育施設と適切に単位互換・認定を行う。
2. 海外の大学との学生交流協定をカリキュラムに位置づけ推進する。
【2008 年度の達成状況】
1. 他大学等での単位認定については、①留学(DUDP, UBC ジョイントプログラム、交換
留学)、②立命館アジア太平洋大学交流学生制度、③大学コンソーシアム京都単位互換
制 度 、 ④ 環 び わ 湖 コ ン ソ ー シ ア ム 単 位 互 換 制 度 、 ⑤ CLA(Center for Language
Acquisition)が実施する海外研修、⑥放送大学科目である。これらの単位は 60 単位を
上限として認められている。
2. マレーシア政府(YPM)と日本大学コンソーシアム(JUCTe)との間で実施しているマ
レーシア政府派遣留学生プログラムにより、学部機械系・電気系学科の 3 年次へ編入
受け入れしている。その際、最大 92 単位まで単位認定を実施している。
3. 上記単位互換・認定プログラムについては、その単位認定条件を履修要項に明記し
ている。
4. これらの単位については、そのつど関係諸会議で科目の内容を精査した後、総合理
工学院教授会にて認定を行っている。
【改善に向けた今後の取組】
1. これらの枠組みについてはこれを維持すると同時に、国際化をよりいっそう推し進
めるため海外との学生交流を積極的に推進する。
(開設授業科目における専・兼比率等 コード 1308)
130801 全授業科目中、専任教員が担当する授業科目とその割合
【目標】
1. 学部の教育目標に貢献する中核的授業に関して専任率を向上させるとともに、兼任
教員に対する学部の理念や教育目標についての十分な説明を行う。
【2008 年度の達成状況】
1. 理工学部における専門科目における専任教員の比率(専任率)は全体で 82.5%であり、
その大半が専任教員であるといえる。
2. 講義形態別の専任率は、講義科目 86.0%、演習科目 88.3%、実験科目 72.0%と実験科
目で幾分専任率が低いが、実験科目は一般に複数担当であり、かつ専任教員が成績担
当者となることが多いためである。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
73/331
3. 基礎専門科目における専任率は、理工学部において 55.8%となっている。
4. 基礎科目(教養科目)における専任率は、22.2%となっている。
5. 外国語科目における専任率は、61.6%となっている。
【改善に向けた今後の取組】
1. 専門科目における専任率は現在十分なレベルにあるが、基礎専門科目については専
任率が 6 割を下回っており、改善が必要である。また、基礎科目の専任率は 5 割に
遠く満たず、大幅な改善が必要となっており、特別任用教授の科目担当を含めた専
任率向上の取り組みを進める。
130802 兼任教員等の教育課程への関与の状況
【目標】
1. 学部の教育目標に貢献する中核的授業に関して専任率を向上させるとともに、兼任
教員に対する学部の理念や教育目標についての十分な説明を行う。
【2008 年度の達成状況】
1. 基礎科目については、一つの科目に対して専任教員が基本担当者となり、学部教学
に対する情報の伝達、科目・授業の改善のための講師間の意見交換などを行っている。
また、基本担当者は年に 4 回定期的に開催される基本担当者会議において、年度方針、
授業アンケート結果などに対して情報・意見交換を行っている。
2. 基礎専門科目・専門科目に対しては、多くの学科では、学科ごとに年に 2, 3 回程
度非常勤講師と専任教員を交えた会合を持ち、情報交換を行っている。同時に、学科、
科目ごとに教務委員などがコーディネーター役となり非常勤講師とのパイプ役となっ
ている。
【改善に向けた今後の取組】
1. 専門科目の非常勤講師は教授会構成メンバーではないため、コーディネーター役の
対応によっては、しばしば必ずしも十分な情報が伝わらないことがある。次年度にむけ
ては、各学科での対応を把握し、全ての学科での情報伝達手段を明確化する。
②教育方法等
(教育効果の測定 コード 1310)
131001 教育上の効果を測定するための方法の有効性
【目標】
1. 到達度検証の充実
2. 卒業時の効果を測定し、卒業生の「質」を担保する
3. 教育効果の測定結果を適切な会議体で議論し、教育改善を行う
【2008 年度の達成状況】
1. 理工学部においては全学科において何らかの形で到達度を検証する試験あるいは
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
74/331
しくみ(到達度検証試験)が導入されており、大学院受験者へのインセンティブ(機械シ
ステム学系)、JABEE 認定(環境システム系)等において一定の成果を上げている。
2. 理工学部では卒業研究を必修化しており、それまでに身に付けた知識を生かし、総
合的な専門の学びを行うことができる。
3. 卒業研究を登録するためには、学科ごとに基準を設けており(学科により異なるが、
概ね 100 単位程度の修得が必要)、バランスの良い学習に対してのチェックが行われて
いる。
4. マイクロシステム機械工学科においては、2回生全員と面接を行い、学修上の問題
点のチェックを行っている。
5. 2008 年度においては、物理科学科において一回生全員を対象としてその学生実態を
把握するべく十分な時間をかけた面談を行い、学生の諸実態等についての有益な情報
が得られている。
6. 検証試験については、毎年教務委員会においてその実施計画と実施結果が報告され、
議論されている。
7. 卒業研究に対しては、日々の教員の指導、卒業論文の執筆以外にも、学科・学系ご
とに卒業研究発表会を開催し、その成果を指導教員以外の教員の前で学生が発表し、
論理力・プレゼンテーション能力の涵養を行う仕組みとなっている。
8. 面接結果やその方法の改善策については、各学科会議に加え、教務委員会でも報告
がなされており、アンケートや到達試験のみでは得ることの難しい学生の到達情況・
学修情況情報が得られることが明らかとなっている。
【改善に向けた今後の取組】
1. 現在の到達度検証試験には強制力が無いため、受験率、得点率いずれも十分とは言
いがたい面がある。また、入学時学力確認試験や卒業時の学力担保との対応が十分に
ははかられてはいない。2009 年度においては、これらの相関についての情報を集める
とともに開催回生、時期、方法について意見交換を行い、2010 年度を目処に見直しを
図る。
2. 面接については、その結果をどのように整理し、有効活用していくかが重要なポイ
ントであり、このコンピューターを利用したシステム化を 2009 年度後期より電気電子
工学科を中心として取り組む。
131002 卒業生の進路状況
【目標】
1.社会に有益な技術者・研究者を育成するため学生のキャリア形成を充実させる。
2.教学に根ざした進路・就職支援を学生成長支援全体の課題として取り組む。
3.低回生から4回生まで系統的な進路・就職支援を行う。
4.学部学生の50%の大学院進学をめざす。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
75/331
【達成状況】
キャリアオフィスと連携した取り組みの結果、以下の諸点を達成した。
1.1回生対象に進路・キャリアセミナーを開催した。
2.1,2回生対象に特別講義「技術者のキャリアⅠ」、
「同Ⅱ」を開講した。
3.3回生対象に早期の進路・就職ガイダンスを開催した。
4.大学院進学率45%を達成した。
【改善に向けた今後の取組】
1. キャリア形成意識のさらなる向上のためキャリアチャートを活用する。
2. 大学院進学率50%を実現する。
(成績評価法 コード 1311)
131101 厳格な成績評価を行う仕組みと成績評価法、成績評価基準の適切性
【目標】
1. 試験結果に対する講評あるいは模範解答を提示する。
2. 環境都市学系における JABEE 受審に取組む。
【2008 年度の達成状況】
1. 試験科目については何らかの形で講評もしくは模範解答を作成することを教員に
依頼した。今年度より事務手続きを工夫し、公表期間を延長した。
2. 2008 年度に、環境システム工学科 JABEE の継続審査を受け認定された。JABEE 継続
中の他の学科も、高い評価を得ている。
【改善に向けた今後の取組】
1. 環境都市系においては、JABEE に基づく充実した工学の教育システムの開発と推進
を今後とも継続して行う。
131102 履修科目登録の上限設定等、単位の実質化を図るための措置とその運用の適切性
【目標】
1. 履修科目登録の上限を適切に設定する。
2. GPA を導入し、適切に運営する。
【2008 年度の達成状況】
1. 理工学部では、一回生 46 単位、二回生以上 48 単位に履修科目登録の上限設定を行
っている。これは 3 年間で 142 単位になり、この 7 割を修得すれば卒業研究配属のボ
ーダーラインに到達する。4 回生において卒業研究に大きな力を注ぐ必要があり、それ
以外の単位を最小限とすることが理工学部として望ましいが、それに対しても十分な
単位数であり、かつ、自宅学習時間を勘案した場合、無理のない上限として適切であ
るといえる。
2. 成績評価の一環として GPA を導入し、大学院内部進学条件、早期卒業条件、奨学金
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
76/331
対象者の選定等に利用している。
【改善に向けた今後の取組】
1. 現在のところ適切に運用されており、今後ともこの取組を継続する。
131103 各年次および卒業時の学生の質を検証・確保するための方途の適切性
【目標】
1. 卒業研究による卒業時における学生の質の向上を図る。
2. 卒業研究配属条件を適切に設定する。
3. 到達度検証試験による各学年における到達度の検証を行う。
4. 3, 4 回生に対する語学教育を導入する。
【2008 年度の達成状況】
1. 理工学部においては卒業研究を必修科目としており、すべての学生が指導教員の下、
少人数での決め細やかな指導を受ける。また、卒業論文発表会、卒業論文執筆を通じ、
プレゼンテーション能力や論理力、文章構成能力を涵養する。
2. 卒業研究を登録するためには、学科ごとに基準を設けており(学科により異なるが、
概ね 100 単位程度の修得が必要)、バランスの良い学習に対してのチェックが行われて
いる。
3. 理工学部においては全学科において何らかの形で到達度を検証する試験あるいは
しくみ(到達度検証試験)が導入されており、大学院受験者へのインセンティブ(機械シ
ステム学系)、JABEE 認定(環境システム系)等において一定の成果を上げている。
4. これまで手薄であった高回生(3,4 回生)に対する語学教育の充実を目指し、2008 年
度入学生から English Diploma Course と称するあらたな英語コースを開講することと
した(2010 年度より開講)。
5. 学生自身が自らの問題点を把握し、それを教員と共有した上で個々の学生の学力水
準向上を目指すという、きめ細やかな教育システムの構築を目指す「学修ドクター」
というプロジェクトを計画している。2008 年度においては、物理科学科においてその
プロジェクトを試行的に開始し、一回生全員を対象としてその学生実態を把握するべ
く十分な時間をかけた面談を行い、学生の学習実態に関する有益な情報が得られてい
る。
【改善に向けた今後の取組】
1. 現在の到達度検証試験には強制力が無いため、受験率、得点率いずれも十分とは言
いがたい。また、入学時学力確認試験や卒業時の学力担保との対応が十分にははから
れてはいない。2009 年度においては、これらの相関についての情報を集めるとともに
開催回生、時期、方法について意見交換を行い、2010 年度を目処に見直しを図る。
2. 面接については、その結果をどのように整理し、有効活用していくかが重要なポイ
ントであり、このコンピューターを利用したシステム化を 2009 年度後期より電気電子
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
77/331
工学科を中心として取り組む。
(履修指導 コード 1312)
131201 学生に対する履修指導の適切性
【目標】
1. 学部・学科の学習の到達目標を体系的に明示する。
2. 学生にとってわかりやすく適切な履修指導を行う。
【2008 年度の達成状況】
1. 到達目標を学部ならびに学科ごとに整理し、学則に明記した。同時に履修要項にも
これを記載した。これにより、学びの目標が学生にとってはっきりとしたわかりやす
いものとなった。
2. 上記にもとづいて、従来一部の学科においてしか行われていなかったカリキュラ
ム・ツリー(もしくはそれに準ずるもの)の公表をすべての学科において行った。
3. 毎年年度始めにオリエンテーションを行い、その履修のポイントを指導している。
4. 新入生に対しては小集団科目等において、各学科での 4 年間の学びの概要が示され
ている。
【改善に向けた今後の取組】
1. カリキュラム・ツリーの一部に対しては、構造が複雑でわかりにくいとの声が学生
からあがっている。したがって、アンケート等により学生の意見を集め、文字の大き
さ、フォーマット等の改善を毎年継続的に行う。同時に、カリキュラムの意図とおお
よその流れを示す概略版(父兄や低回生向け)と、一つ一つの科目間のつながりがわか
る詳細版(高回生向け)を分けて作成するなど、カリキュラム・ツリーのあり方自身に
ついても工夫する。
131202 留年者に対する教育上の措置の適切性
【目標】
1. 5 年以上在学する学生の実態把握を行う。
2. 5 年以上在学する学生に対して教職員と相談する機会を設け、可能な限り早期に卒
業するための具体的指導を行う。
【2008 年度の達成状況】
1. 理工学部においては 5 年以上在学する学生においても、卒業見込となっている学生
は、卒業研究を履修登録しており、担当指導教員による実態把握と相談体制が確立さ
れている。
2. 卒業研究を履修していない学生に対しては、単位僅少者面接において対応している。
3. 入試の種目ごとに 4 年での卒業率、退学率などを調査した。その結果、人数による
ばらつきは多いものの、スポーツ選抜入試の学生において卒業率に問題があることが
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
78/331
示された。
4. 学生自身が自らの問題点を把握し、それを教員と共有した上で個々の学生の学力水
準向上を目指すという、きめ細やかな教育システムの構築を目指す「学修ドクター」
というプロジェクトを計画している。2008 年度においては、物理科学科においてその
プロジェクトを試行的に開始し、一回生全員を対象としてその学生実態を把握するべ
く十分な時間をかけた面談を行い、有益な情報が得られている。
【改善に向けた今後の取組】
1. 入学時の基礎学力試験については 2008 年度から導入されたものであるため、GPA、
単位僅少率、卒業率、退学率との対応関係については明らかではない。また、面接に
ついても同様である。したがって、今後少なくとも数年間にわたりこれらの取組を継
続し、多角的な情報収集に努める。
2. 4 年以上在学しているが卒業研究を履修していない学生に対しても、より丁寧な指
導を行うための仕組みとして「学修ドクター」のシステムを推進する。
(教育改善への組織的な取り組み コード 1313)
131301 学生の学修の活性化と教員の教育指導方法の改善を促進するための組織的な取り組
み(ファカルティ・ディベロップメント(FD))およびその有効性
【目標】
1. FD 活動を組織的に行う。
【2008 年度の達成状況】
1. 全学的な FD 活動推進組織である「教育開発推進機構会議」に副学部長が学部代表
として参加し、定期的に議論を行っている。
2. アンケート結果等については、教務委員会、学部運営会議、学科長会議、教員会議
等で学部教員にその概要が示されている。
【改善に向けた今後の取組】
1. 教務委員会と企画委員会とでは二つの異なる視点からの議論がすすんでおり、今後
連携を深めることにより、より有効な FD 活動を行う。
131302 シラバスの作成と活用状況
【目標】
1. 各科目に対してシラバスを設定・公表し、それぞれの目標、成績評価基準等を明確
にする。
2. シラバスの内容が適切に記載されているかを確認する。
【2008 年度の達成状況】
1. 全成績担当教員にシラバスの意図を説明の上、毎年記載とその改善を依頼している。
2. 記入したシラバスについては、各学科の教務委員がその内容について点検し、重要
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
79/331
な事項の記載漏れや不適切な記載がある場合には、当該教員に修正を依頼している。
【改善に向けた今後の取組】
1. 今後ともこの取組を継続し、シラバスの適正化を進める。
131303 学生による授業評価の活用状況
【目標】
1. 授業に対する学生の声を講義改善に有効活用する。
2. 授業において学生との双方向的な意見交換を促進する。
【2008 年度の達成状況】
1. 全教員に対して、授業の初∼中盤(5 から 7 回目)に学生との意見交換を行うように
依頼している。この際、各科目のあり方に適した意見交換を行うために、その手法を
特定せずに柔軟に運用している。2008 年度は対象とする科目は受講登録者が 10 名以上
600 名以下とし、教員一人につき 1 科目 1 クラスのみ主要な科目について実施した。そ
の結果、教員の 4 割から意見が寄せられ、その大半は学生との意見交換を肯定的に評
価している。
2. 上記に際し、特定の意見交換方法を定めていない教員には、2007 年度より理工学部
独自のコミュニケーションペーパーを作成し意見交換を促している。2008 年度後期に
は 18,500 枚を配布した。
3. 年 2 回全学的に実施される統一授業アンケートを実施している。その結果は各教員
に個別にフィードバックされると同時に、大学全体ならびに学部での傾向と課題を学
部教員会議等で執行部が説明している。
4. 授業アンケート結果において、学生と教員の認識に最も大きな差異がみられるのが
「意見交換」の項である。意見を聞いていないという教員は講義、小集団によらず 10%
を超えることはないが、その一方で「意見を聞かれていない」と考えている学生が理
工学部において約 40%(2008 年度後期講義系科目)にも達している。これは全学平均
(32.2%、同)と比べても高い値であり、さらなる対応が必要である。
【改善に向けた今後の取組】
1. アンケートや意見交換のあり方については学生・教員両方からさまざまな意見があ
るが、それらの意思統一は必ずしもはかられていない。そのため、2009 年度において
は、教務委員会を中心として、教員の意識把握アンケートを行うとともに、意見交換
ならびにアンケートのあり方について集中的に議論する。
(授業形態と授業方法の関係 コード 1314)
131401 授業形態と授業方法の適切性、妥当性とその教育指導上の有効性
【目標】
1. 小集団授業による導入期教育を充実させる。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
80/331
2. 科目の精選ならびに適正なクラス規模を追求する。
【2008 年度の達成状況】
1. 専門科目においては 300 名を超えるクラスは存在せず、95%が 200 名以下、1/4 が
50 名以下とほぼ適正な規模での開講がおこなわれている。
2. 特に、少人数導入期科目である小集団科目を一回生におき、丁寧な教育を行ってい
る。うち、86.7%が 35 名以下となっており、学生と教員の距離の近い講義がなされて
いる。このクラスを中心として学生の自主的な活動である「サブゼミアワー」が活発
に行われた。
3. カリキュラム改定により基礎専門科目の整理・精選を行い、学生から分かりやすい
形となった。しかしながら、400 名を超える過大講義の解消を目指したが、2008 年度
は 7 クラスが 400 名を超えることとなった。また、200 名を超える講義も 2 割にわたっ
ている。
【改善に向けた今後の取組】
1. 入学時において、学生のもつ基礎力に対して大きなばらつきが存在している。この
ような基礎力の不足した学生を導入期においてどのように指導するか。
2. 今後とも 400 名以上のクラス 0 を目指し、クラス数・時間割の調整を行う。今後 200
∼400 名のクラスに対しても注目し、その講義の性質に応じたクラス規模となるよう調
整をはかる。
131402 多様なメディアを活用した授業の導入状況とその運用の適切性
【目標】
1. 多様なメディアを有効に活用し、より効果的な学びを促す。
【2008 年度の達成状況】
1. 理工学部の英語科目においては、評価法、評価基準を科目ごとに共通化し、オンラ
イン成績管理システムを採り入れており、学生は英語科の www のサイトで自分の成績、
および、クラスの平均点、最高点、最低点等の情報を得ることができる。全学生がこ
のシステムを積極的に活用している。
2. 理工学部ではさまざまなメディアを用いた講義が展開されているが、その実施につ
いては各教員の判断にゆだねられており、その実態については学部として把握できて
いるものは少ない。
【改善に向けた今後の取組】
1. 有益な取組については教務委員会をとおして情報把握に努め、優れた事例について
は情報の共有をはかる。
131403「遠隔授業」による授業科目を単位認定している大学・学部等における、そうした
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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制度の運用の適切性
遠隔講義による単位認定は、実験・実習、演習を必要とする理工学部においてはて
きしておらず、2008 年度現在行っていない。また、当面開講予定はない。
③国内外との教育研究交流
(国内外との教育研究交流 コード 1316)
131601 国際化への対応と国際交流の推進に関する基本方針の適切性
【目標】
地球規模での学びを実現し、キャンパスの国際化を図る。
【達成状況】
1.海外スタディと海外インターンシップ制度を利用する学生が増加している。
2.海外大学との連携については、カナダの UBC をはじめとするいくつかの大学と連
携しており、その大学数は増加している。
3.毎年、秋に学部生英語プレゼンテーション大会を実施している。
【改善に向けた今後の取り組み】
1.English Diploma Course(EDC)を 2010 年度 3 回生より開始し、EDC のプログラムと
して夏期語学研修を実施する。
2.海外での学びの機会を増やす。
3.学部生による留学生チューター制度などの仕組みをつくる。
131602 国際レベルでの教育研究交流を緊密化させるための措置の適切性
【目標】
国際レベルでの教育研究交流を緊密化する。
【達成状況】
1.海外スタディと海外インターンシップ制度を利用する学生が増加している。
2.海外大学との連携については、UBC をはじめとするいくつかの大学と連携しており、
その大学数は増加している。
3.卒業研究において、研究室の留学生と研究を通じて交流している。
【改善に向けた今後の取り組み】
1.学部独自の語学研修プログラムを増加させる。
2.英語による卒業研究成果発表を学科単位、ならびに研究室単位で実施する。
3.留学生との卒業研究を通じた交流を推進する。
131603 国内外の大学との組織的な教育研究交流の状況
【目標】
国内外の大学との組織的な教育研究交流を図る。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
82/331
【達成状況】
1.マレーシアツイニングプログラムを通じて、コンソーシアム大学グループ(日本
側)ならびにマレーシア側大学・組織(UNISEL,YPM)と日常的に交流している。
2.海外大学との連携については、カナダの UBC をはじめとするいくつかの大学と連
携しており、その大学数は増加している。
【改善に向けた今後の取り組み】
大学間交流プログラムを推進し、学部生の派遣、短期・正規留学生の受け入れ拡大を
実施する。
【点検・評価】
目標の達成度
(1) 理工系としての確かな学力
① ほとんどすべての入試科目において高校数学ならびに物理の履修を必須とすると
同時に(第四章参照)、入学直後にほぼ全員に対して基礎学力確認試験を行うことがで
きた。また、数学ならびに理科を基礎専門科目として設定し、(当該学科で別途科目を
設定している例を除き)理工学部すべての学科において、履修モデルに数学および物理
が記載されている。
② 2008 年度より学則にすべての学科の教育目標を記すとともに、履修要項においても
明記することで学生にこれを周知した。到達検証指標としては GPA が広く使われてい
る。しかしながら、到達度検証試験(もしくはそれにかわるもの)については、全学科
で行われているものの、参加率は低く、学生全員参加という目標からは程遠い状況に
ある。
③ 卒業研究を必修科目としており、卒業論文執筆ならびに卒業論文発表会においてそ
の専門知識ならびに総合的な力量を評価する体制が完成している。
(2) 科学・技術者としての広い視野と高い倫理
① 基礎科目として(外国語を除き)20 単位を課しており、十分に広い範囲の学びが行わ
れている。
② 基礎科目として「科学技術と倫理」を開講し、実際に起こった問題を題材に、技術
者倫理のあり方に関する講義を行っており、その受講数は 400 名に達している。この
講義は全回生対象科目ではあるが、毎年開講されており、4 年間では全理工学部学生の
約 3 割∼4 割が受講していることに相当している。この科目が専門科目でも必修科目で
もないことを考えると十分評価に値する数字ではあるが、その重要性を考えると、今
後対策が必要である。
(3) 国際化・情報化に対応する適応能力
① 1, 2 回生に対して語学を必修科目として配置し、科学技術英語を多く採り入れる等
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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理工系の学問に直結した内容の独自教材を用いた講義を行っている。これらの科目に
対しては、授業アンケートにも見るように、教員の工夫(板書等)ならびに学生の努力
(学習時間等)ともに学内トップレベルにある。さらに 2008 年度入学生から 3,4 回生
配当科目として English Diploma Course(EDC)を設置し、2010 年度から開講すること
を公表した。EDC の設置に向け、語学担当教員による教材開発が進行している。
② すべての学科が情報処理ならびに情報処理演習を履修するべき科目(履修指定科
目)として設定している。また、独自に同様の科目を設定している学科を除き、情報科
学を履修モデルに記載している。
(4) 起業家マインドと、テクノロジーマネジメント能力
① アントレプレナーシップ(起業家精神)に満ちた人材の育成を目指して、2005 年度よ
り文理 4 学部(経営、経済、理工、情報理工)共通プログラムとして「産学協同アン
トレプレナー教育プログラム」を展開しており、文部科学省の現代GPにも採択され
ている。
② 2004 年度より MOT 入門プログラムをサブメジャー科目として設定しており、基礎科
目、もしくは自由選択科目として単位取得することができる。
効果があがっている事項
これまで履修要項等にばらばらに記載されていた到達目標を学部ならびに学科ごとに整
理し、学則に明記した。さらに、カリキュラム・ツリー(もしくはそれに準ずるもの)の公
表をすべての学科において行った。これにより、学びの目標が学生にとってはっきりとし
たわかりやすいものとなった。
「物理駆け込み寺」と称する理系学科全体に対するフォローアップ教育を行っている。
年々参加者が増加し、2008 年度は各セメスター約 300 名を数えるまで増加した。これに対
応し、本年度より週1回3名体制から、週2-3回4名体制へと強化した。アンケートの結
果、有効回答数のうち 98%を超える学生が肯定的な評価をしている。
学生自身が自らの問題点を把握し、それを教員と共有した上で個々の学生の学力水準向
上を目指すという、きめ細やかな教育システムの構築を目指す「学修ドクター」というプ
ロジェクトを計画している。2008 年度においては、物理科学科においてそのプロジェクト
を試行的に開始し、一回生全員を対象としてその学生実態を把握するべく十分な時間をか
けた面談を行い、有益な情報が得られている。
改善が必要な事項
4 年で卒業できない学生が全体の 2 割にも達しており、その多くは 3 回生終了時に、卒業
研究科目履修のために必要な単位を満たしていないことが原因である。また、入学時にお
いて、理工学部として必要な数学、物理の基礎学力が不足している学生が約 3 割存在し、
その大半が特別入試によって入学した学生であることが基礎学力検証試験により明らかと
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
84/331
なっている。単位僅少者へのアンケートによるとつまずきを感じた時期は約 5 割が一回生
までの時点であることを考慮すると、入学時の基礎学力不足と卒業率との相関を追跡する
必要がある。
経年的な TOEIC 試験結果等を整理・分析し、英語学力の現状把握を行った結果、成績中・
下位層においてはこれらのスコアに伸びが見られず、学習意欲等に問題があることが示さ
れた。
【改善方策】
長所の伸長方法
学科ごとの到達目標をよりわかりやすくするために、カリキュラム・ツリーの継続的な
改善を行う。
「物理駆け込み寺」の人的強化を行う。また、数学版「「駆け込み寺」の開設を行う。
学生との面接を通し、学生実態の把握をより系統的に行うためのシステムの作成を行う。
問題点の改善方法
理工学部のアドミッションポリシーに沿った入試体制と、特別入試の入学生に対して徹
底した入学前教育を依頼する一方で、数学・物理のリメディアル教育や「物理駆け込み寺」
等のサポートシステムの強化を行う。
入学時に語学の基礎力が不足している層に対してこれまでの教材に加え、学生の能力に
応じた副教材を新たに設定するなど強化を行い、やる気と自信を培う。また中位層につい
ては、以前よりその基礎知識の幅が増加していることを勘案し、クラスのレベル分けの増
加を行う。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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(7)国際関係学部
【到達目標】
学校教育法第 52 条および大学設置基準第 19 条によれば、大学とは、専門の学芸の教授
研究、ならびに知的・道徳的・応用的能力を展開することが期待され、かつ教育目的の達
成のために必要な授業科目を設置し、体系的に教育課程を編成することが必要とされてい
る。
これに添う形で、本学部では、国際関係への深い知見と国際社会における行動力を有す
る人材を擁することを目標としている。
国際関係学部の具体的な人材育成目標は以下の 6 点である。
①国際秩序、国際協力開発、国際文化理解に関わる国際関係学の諸分野の学問内容及
び方法を理解する。<学問内容の理解>
②国際社会に関して自ら設定した問題について、国際関係学の上述の諸分野の研究方
法を用いて学問的に分析し考察することができる。<学問的考察>
③国際社会が直面する戦争、貧困、差別などの多様な諸問題について、問題意識や知
的関心を持つことができる。<問題意識、知的関心>
④習得した国際関係学の知識を留学、インターンシップなどの学外での学修、自らの
進路開拓と結びつけ、国際機関・国際ビジネス・国際 NGO などの多様な国際的舞台で
の実践にいかすことができる。<実践力の涵養>
⑤国際社会に関わる事実や主張を、日本語および外国語(英語)によって、論理的に、
かつ多様な文化的コンテクストに即して口頭及び文章で表現し、コミュニケーション
や討論を行うことができる。<コミュニケーション能力>
⑥国際的な情報の収集・利用・処理に関するリテラシーを高い水準で身につける。<
情報リテラシー>
【現状の説明】
①教育課程等
1)学士課程の教育内容・方法
(学部・学科等の教育課程 コード 1301)
130101 教育目標を実現するための学士課程としての教育課程の体系性(大学設置基準第 19
条第 1 項)
①取得単位
・卒業に必要な取得単位は 124 単位である。内訳は以下の通りである。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
86/331
<国際秩序平和コース>
基礎科目
14 単位
第1外国語
8 単位
第2外国語
6 単位
基幹科目
18 単位
固有専門科目
38 単位
地域研究科目
6 単位
自由選択科目
20 単位
基礎演習
4 単位
専門演習
8 単位
卒業論文
2 単位
<国際協力開発、国際文化理解、国際行政コース>
基礎科目
14 単位
第1外国語
8 単位
第2外国語
6 単位
基幹科目
18 単位
固有専門科目
34 単位
地域研究科目
10 単位
自由選択科目
20 単位
基礎演習
4 単位
専門演習
8 単位
卒業論文
2 単位
②科目の体系
教育目標を実現するための科目の配置は表のようになっている。
【評価】
・ 到達目標における①を<学問内容の理解>、②を<学問的考察>、③を<問題意識、
知的関心>、④を<実践力の涵養>、⑤を<論理性・コミュニケーション能力獲得>、
⑥を<情報リテラシーの獲得>と整理する。
①について
・ ①は、学部教学の根幹部分にあたる。これについては、1 回生から取得可能なよう
配置している。特に 1 回生で取得できる基礎科目で数多く配置し、学問に関する基礎
的知見、教養について学修できるように配置してある。また、2 回生以上科目でも、①
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
87/331
部分については中心的な科目配置となっている。
②について
・ ①をふまえた応用的性格をもっている。そのため、1 回生においては、小集団科目
の中心的位置づけをもっている基礎演習でこれを達成できるよう配置している。これ
によって専任教員による指導を受けながら、学問的考察が進められるように配慮して
いる。
・ 2 回生については、小集団科目である「国際関係資料研究」と、GSG(グローバル・
シミュレーション・ゲーミング)で獲得できるようにしている。前者においては少人
数科目であるという特性を生かして、教員による丁寧な指導のもとでより発展的な考
察ができるよう配慮している。また後者については、国際社会の擬似的再現をするに
あたって、集団的な検討を通して①で得た学問内容を②へと発展することができるよ
うにしている。
・ 3 回生以上については、小集団科目である「国際関係総合研究」および「専門演習」
を通じて、専任教員からの丁寧な指導の下で専門的な知見に基づく深い考察へと進め
るようにしている。
③について
・ ③は①②のバックグラウンドとしての能力ではありながらも、教育によって専門的
な見地から発展させられる必要がある。
・ そのため、1 回生から③については獲得できるよう科目を配置している。1 回生に
ついては、「国際関係Ⅰ」
「国際関係Ⅱ」「国際関係学入門」という国際関係学に関する
基礎的科目を配置しつつ、③の獲得を促している。
・ 2 回生以上については、基幹科目、固有専門科目、地域研究科目、専門外国語科目
の一部、専門演習といった幅広い分野で多くの科目を配置している。特に専門外国語
科目で、外国語を用いながら③の獲得を目指しているのが、本学部の特徴のひとつで
ある。また、国際関係資料研究、専門演習といった少人数科目を配置し、③の獲得が
容易になるようにしている。
④について
・ ④は、国際的職業に就くことを希望する学生が多い本学部の特徴から必要なもので
ある。
・ 応用力が必要な内容であることから、1 回生には特に科目を配置していない。この
点については、現状の体系でよいかどうかも含めて、検討の余地がある。
・ 2 回生以上については、④の性格上、インターンシップ科目を中心に配置している。
・ 講義科目でも、2 回生については、GSG において国際社会を再現する中で、国際的
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
88/331
舞台での実践力をつけられるよう配慮している。また、3 回生については、企業研究と
いう科目を配置し、現代の国際的企業の現実についての学修ができるよう配慮してい
る。
⑤について
・ ⑤は日本語および英語で、論理的な表現を行うことができるという、アクティブな
能力に関するものである。
・ 日本語での⑤の能力獲得に関しては、基礎演習、専門演習、卒業論文、国際関係資
料研究をはじめとする小集団科目を配置している。また、GSG を配置し、コミュニケー
ション、討論が実践的に行えるようにしている。
・ 英語については、1 回生から英語を中心とした外国語科目を厚く配置し、獲得が容
易になるよう配慮している。
・ 2 回生以上については、英語国際研究をはじめ、外国語の国際研究科目を数多く配
置し、英語を含む外国語によって専門的内容を論理的に考察できるよう配慮している。
・ 3 回生以上については、英語による専門科目をブリッジ科目的に配置し、そこでの
報告、プレゼン、レポートを課すことによってより、⑤が獲得できるようにしている。
⑥について
・ 情報リテラシーは、高度に情報化した国際社会において必須のものである。
・ そのため、1 回生以上科目の「国際関係学研究入門」「情報処理」「基礎演習」とい
った基本的科目で獲得できるようにしている。
・ 2 回生科目の GSG においては、IT 利用を前提とされているので、情報リテラシーも
同時に獲得できる。
・ 3 回生、4 回生については、専門演習、卒業論文において、専門的知見、情報を収
集する能力を専門教員による指導のもとに、情報リテラシー教育を実施している。
科目配置以外の体系性の保障の工夫
・ 国際関係学における研究教育の体系的構築の一環として『ニューフロンティア国際
関係』を 2006 年に出版した。これは、1996 年の『プロブレマティーク国際関係』、2001
年の『クリティーク国際関係学』を通じて発展してきた体系的な教学内容を、最近の
複雑な国際関係の進展を踏まえて深化させたものである。これは、本学部専任教員が
それぞれ分担執筆してもので、基礎演習のテキストとして用いられている。これによ
って、国際関係学部で学ぶ国際関係学の体系が示されており、本学部学生の基礎力・
応用力を体系的に育成する上で大きな効果をあげている。
・ 2002 年度には、ネット版の学習の手引き『IRナビ』を作成した。これは、全回生
向けに国際関係にかかわる諸分野の解説及び学習法、レポート、論文の書き方などの
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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リテラシーをコンパクトにまとめるものである。これによって、教科書および授業を
踏まえた自学自習を促し、国際関係学を体系的に学べるようにしている。なお、IR ナ
ビは、2007 年度に現状を踏まえた改定が行われている。
・ 1 回生時の基礎演習ゼミナール大会、2 回生時のグローバル・シミュレーション・
ゲーミング(GSG)、3,4 回生時のオープン・ゼミナール大会を開催して発表の与え、
国際関係学を体系的に学ぶ意欲を促進している。
総合的評価
・ 4 年間の学びを通して①∼⑥について獲得できるよう、科目が網羅的・体系的に配
置されている。
・ 特に、全般的に少人数科目(基礎演習、国際関係資料研究、専門演習)が重要な役
割を果たしている。
・ また、2 回生科目である GSG も、上記の少人数科目と同様、学部教学の目標達成に
あたって重要な役割を果たしている。
・ 英語を含む外国語科目が手厚く配置されている。また、これら外国語による専門的
知見の獲得にも配慮されており、国際関係学部の理念にも適合している。
・ ④は、それ以外に比べて科目配置が少ないが、インターンシップ自体は多数配置さ
れているので問題はない。1 回生から④についても獲得を目指していく必要性があるか
どうかは検討課題である。
・ 2 回生配当科目である国際関係資料研究の受講生が少なくなっており、2 回生向け
の教学強化が必要になっている。
・ 学部教学改革の進展が速く、基礎演習のテキストがその改革内容を反映した改編を
し続ける必要がある。
・ 動きの速い現代の国際関係を反映した体系を教授するためには、科目配置と主要科
目の効果を定期的に検証していく必要がある。
・ 2011 年度に学部教学の全面的改定を行う予定である。本項目で検討された内容は、
2011 年度改革で反映される必要がある。
130102 教育課程における基礎教育、倫理性を培う教育の位置づけ
これに添う形で、本学部では、国際関係への深い知見と国際社会における行動力を
有する人材を擁することも目標としている。
130103「専攻に係る専門の学芸」を教授するための専門教育的授業科目とその学部・学科
等の理念・目的、学問の体系性並びに学校教育法第 83 条との適合性
専門教育は、国際関係学部の学生なら必ず学ぶべき「基幹科目」、国際関係に関わる
さまざまな諸側面を総合的・立体的に把握できるように数多くの特色ある「固有専門
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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科目」、専門分野の理論、方法論を具体化する場として活用する「地域研究科目」、実
践的語学力を強化する「専門外国語科目」、各回生において教育の中心となる「小集団
科目」からなる。
これらの専門科目を通して多様な問題関心と課題を深める体系を整えている。
なお、日本社会の国際化や世界のグローバル化が進展する中で、取り扱う問題群も
変化してきており、2011 年に各科目群の配置科目を見直す予定である。
130104 一般教養的授業科目の編成における「幅広く深い教養及び総合的な判断力を培い、
豊かな人間性を涵養」するための配慮の適切性
一般教養科目を国際関係学部では「基礎科目」と位置づけ、2 回生以降の専門科目に
つながる学びの場としている。このため、全学横断的に開講される教養科目群の開講
は一部にとどめ、学部独自に政治学、法学、経済学、社会学といった専門分野を学ぶ
うえで基礎となる科目を提供している。これにより、専門科目を学ぶうえで、最低限
必要な知識を身に付けさせることができている。
130105 外国語科目の編成における学部・学科等の理念・目的の実現への配慮と「国際化等
の進展に適切に対応するため、外国語能力の育成」のための措置の適切性
外国語の目標を①バランスの取れた外国語運用能力、②外国語運用能力を支える豊
かな知識と教養としている。
日本人学生に対しては、英語(必修)
、フランス語、スペイン語、ドイツ語、中国語、
朝鮮語(選択必修)を開講し、外国人学生に対しては日本語(必修)を開講している。
なお、現在、外国人留学生に英語の学習を求めていないが、国際関係学を学ぶうえ
で、また将来国際的に活躍するうえで、英語の学習は重要であり、外国人留学生に対
する外国語教育の見直しを検討する必要がある。
130106 教育課程の開設授業科目、卒業所要総単位に占める専門教育的授業科目・一般教養
的授業科目・外国語科目等の量的配分とその適切性、妥当性
卒業所要 124 単位に対して、専門 96 単位、基礎 14 単位、外国語 14 単位の内訳であ
る。
国際関係学部では、2011 年に教学改革を実施するため、2008 年度より改革に向けた
検討を行っている。上記の量的配分については、学生との現行カリキュラムに関する
懇談会を重ね評価をヒアリングしたが、学生からは概ね妥当との評価であった。ヒア
リング結果を踏まえ、学部教学政策委員会および教授会にて、検討を継続しているが、
現在のところ上記の量的配分を踏襲する見込みである。
130107 基礎教育と教養教育の実施・運営のための責任体制の確立とその実践状況
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
91/331
前述のとおり、国際関係学部における基礎科目は、多くを学部の責任で単独開講し
ている。
専門科目同様、学部執行部の責任で翌年度開講科目の担当者を決定している。
なお、基礎科目は学部教学において重要であるとの認識から、専任教員による担当
を原則としている。
130108 カリキュラム編成における、必修・選択の量的配分の適切性、妥当性
必修科目は外国語のみで、基礎科目、専門科目の大半は、選択必修の位置づけであ
る。
1 回生後期から 2 年間留学する学生が一定いるなど、学生によって 4 年間の履修形態
が異なるため、必修科目が多すぎると留学帰国後に低回生時の科目を履修義務が発生
するなど、カリキュラムに無理が生じる。必修科目の追加設置については、2011 年の
教学改革に向けて検討を行っているが、留学派遣者の履修動向も考慮しながら決定す
る必要がある。
(カリキュラムにおける高・大の接続 コード 1302)
130201 学生が後期中等教育から高等教育へ円滑に移行するために必要な導入教育の実施状
況
(1)はじめての試みとして,新入生対象に日本語能力検証試験を実施し,その結果,漢
字や語彙を含めた基礎的な日本語能力について課題があることが判明した。そこで,
日本語の読解・作文の向上と国際関係学への導入を兼ねて,特別入試合格者対象のプ
レエントランスデーにおいて,国際関係学に関わる新書程度の基礎文献 10 冊を推奨し,
うち 3 冊を選んで要約と感想を書かせるという新たな課題を導入した(提出後,TA が
添削を行う)
。
(2)附属高校からの進学者に対して、IR ネットセミナー(講義+e-learning)、IR アド
バンストセミナー(1 泊 2 日の演習)を実施し、国際関係学での学びについて動機付け
と導入を行った(2008 年度の参加者はネットセミナー30 名、アドバンストセミナー17
名。守山は不参加)。また。立命館高校の「国際社会論」、立命館宇治高校の「平和開
発論」に 8 名の教員・院生を派遣した。
(3)基礎演習のレポートから各クラス 4 本ずつ(夏期レポートから 2 本,セミナール大
会レポートから 2 本)優秀レポートを選び,担当教員の講評を付して,「基礎演習優秀
レポート集」として印刷した。
今後は、(1)基礎演習において,全ての学力の基礎となる,テキストの正確な読解や,
論理的な日本語文章の作成に関する指導を強化する。後者については,優秀レポート
集を,すぐれたレポートの実例として活用する。(2)2007 年度に全面改定した,学部教
員の執筆による国際関係学部総合学習ガイド「IR ナビ」の主要部分を冊子化して 1 回
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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生に配布し,基礎演習において積極的に活用する。(3)現行の IR ネットセミナー・ア
ドバンストセミナーには,①開催期間が,ネットセミナーでは 2 ヶ月,アドバンスト
セミナーを含めると,4 ヶ月にわたるため,大学や各高校の行事との関連で,日程の設
定が困難であり,また欠席者が出やすい,②テレビ会議方式をとっているため,機器
のトラブルがあった場合,一部の高校に授業が配信できなかったり,受講者の集中が
乱されてしまったりすることがある,③会場として,深草および宇治を 1 回ずつ利用
しているが,このために,深草・宇治で行っている出張講義との関係があいまいにな
っている面がある,④京都での実施であるために,慶祥高校生が参加しようとする場
合の費用負担が著しく大きい,という問題点があるため,附属高校側との協議をふま
えて,新たに「IR 京都セミナー」および「IR 慶祥セミナー」への再編を行う。
●IR 京都セミナー:深草・宇治・守山の各附属高校生を対象として,7 月下旬∼8 月初
旬の土日に開催.衣笠キャンパス恒心館を会場とし,教員 2 名が指導し, TA・ES 数名
がサポート第 1 日 1 限:導入的講義(1)と質疑・感想交流
感想交流
2 限:導入的講義(2)と質疑・
3-5 限:グループ分け,講義に関連するテーマについての発表準備第 2 日
1-2 限:グループ発表 3 限:講評,感想交流
終了後 2 週間程度でレポート提出
合計
8 コマ+レポート※希望者には,衣笠セミナーハウスでの宿泊も手配する
●IR 慶祥セミナー:慶祥高校で「IR 京都セミナー」と同じ内容のものを 7 月下旬∼8
月初旬の土日に開催する.慶祥高校教員にもセミナー実施への協力(当日の参加)を
依頼する.単位認定は行わないが,セミナー自体の教育的な成績評価は行い,修了証
を交付する.本年度は実験的施行とし,参加状況や内容をみて,改めて次年度以降の
開催形態を検討する。
また、リメディアル教育、入学前教育、導入期教育(基礎演習等を含む)の充実に
むけ、1.入学前教育を企画実施する(具体的に記述、受講者数) 2.リメディアル
教育を効果的に実施するため、必要な科目についてプレースメントテストを開発・実
施する、3.プレースメントテストの結果に基づき、習熟度クラスの設置等によって
円滑に専門教育への橋渡しを行う(習熟度クラスの開講状況等)ことを今後目指した
い。
(インターンシップ、ボランティア コード 1305)
130501 インターンシップを導入している学部・学科等における、そうしたシステムの実施
の適切性
国際関係学部では、全学開講インターンシップのほか、学部単独でもインターンシ
ップを開講している。国際協力や国際交流分野の団体をはじめ、流通・運輸、マスコ
ミ、出版など、幅広い業界の企業・団体が受け入れ先となっており、実務を通じて大
学での学びを発展させるとともに卒業後の進路について考える貴重な機会として学生
に参加を推奨している。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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近年、本学部と独自にインターンシップ協定を締結してきた機関の一部が、公募制
に切り替えており、協定締結機関数(本学部優先受入枠)が減少している。協定締結
機関の開拓が課題である。
130502 ボランティア活動を単位認定している学部・学科等における、そうしたシステムの
実施の適切性
本学部では開講、単位認定していない。
②教育方法等
(教育効果の測定 コード 1310)
131001 教育上の効果を測定するための方法の有効性
<教育効果の測定の現状>
・ 個々の科目の教育効果の測定は、定期試験、レポート試験をはじめ、各種のレポー
ト、プレゼンテーション、中間試験により、個々の教員により測定されている。科目
配置は体系的に行われているので、個別の科目で教育効果が測定されていれば、全体
の整合性は満たされる。これを踏まえて、開講方針を学部教授会で検討し、決定して
いる。以上のボトムアップ型のプロセスに基づく測定が教育効果の測定の基本となっ
ている。また、この方法は適切に機能している。
・ 追加的な個別科目についての教育効果を測定する方法については、全学で実施して
いる授業アンケートと教員が個別実施しているコミュニケーションペーパーがある。
前者はその実施結果を教員に知らせ、個別に授業改善に役立てている。後者は、過半
数の教員が毎回あるいは数回コミュニケーションペーパーを用いて、学生の理解度を
チェックしたり、質問に答えたりしている。教員によっては質問と回答を印刷して次
回に配布して不足を補い、理解度にあわせて授業内容を変更する等の工夫を行ってい
る。別の科目について、執行部や学部教授会が、アンケートやコミュニケーションペ
ーパーの内容を検討することは行っていない。これはそもそもアンケートの設計にあ
たって、そのような位置づけを持たせていないからである。
・ 演習の教育効果については、オープン・ゼミナール大会という発表の場を設け、教
育効果を対外的に検証できるシステムができている。オープン・ゼミナールでは、ゼミ
で学修した内容を発表する会であるが、予選を行ったうえで、学外者を審査員に迎え
た決勝を実施している。
・ 基礎演習についてもゼミナール大会という検証の制度がある。学外者が審査員に加
わることはないが、予選、決勝を同様に行っている。
・ 国際関係学部では、小規模学部のメリットを活かして、1対1での指導を重視して
教育効果の把握に努めている。ツールとなっているのが、アカデミック・キャリア・チ
ャートである。まず、基礎演習の担当教員が、学年末に1回生全員と面談し、各人の
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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アカデミック・キャリア・チャートの作成に協力する。将来の進路についてのアドバ
イスも行いながら、学習計画の点検を行っている。一人ひとりについて、2回生以降
の科目選択のアドバイスも行う。教員はアカデミック・キャリア・チャートに所見を
書き込み、事務室での管理を通じてゼミ教員に引き継ぐシステムができている。ただ
し、個人情報が多く含まれていることから、学部全体として傾向をつかむようなこと
には用いられていない。
・ すべての科目に対して共通の尺度を用いて測定する方法は本学部では見つかってい
ない。それ自体が、高等教育学における学問的研究テーマであろう。
131002 卒業生の進路状況
学生の進路把握は、キャリアセンターと連携して実施しているが、連携が不十分で、
リアルタイムに学部側で就職状況が把握できないことが課題。キャリアセンターに迅
速な情報共有を要請する必要がある。
就職支援は、学部独自にも実施し、企業の人事関係者を招いてゼミで研究した内容
を発表するオープン・ゼミナールおよび学部校友による就職支援企画などを行ってい
る。
学部校友による就職支援企画は、年 1 回程度の開催であったが、身近な先輩の社会で
の活躍は、在学生にとって有意義と評価しており、2009 年度より年数回実施する。
(成績評価法 コード 1311)
131101 厳格な成績評価を行う仕組みと成績評価法、成績評価基準の適切性
成績評価基準に関して、授業の到達目標や学部の教育目標との整合性、妥当性、適
切性を保証するための成績評価を改善することを目標に、(1)基礎演習・英語・英語国
際研究において相対評価と評価分布の統一基準を設定。(2)A プラス評価について,5%
程度という規準を運用。(3)試験・レポートの一部について,講評を学部ホームページ
公開。の 3 つの取組を行った。今後は、カリキュラム改革の一環として、成績評価の
考え方や基準化の方法について議論を行う。
131102 履修科目登録の上限設定等、単位の実質化を図るための措置とその運用の適切性
履修科目登録の上限を 1 回生 40 単位、2 回生 40 単位、3 回生 42 単位と設定してい
る。
上記は、2006 年の早期卒業制度導入時に引き下げたものであるが、現在のところ大
きな問題はない。
131103 各年次および卒業時の学生の質を検証・確保するための方途の適切性
卒業論文を 4 年間の学部到達度検証として位置づけ、卒業論文の執筆を強く推奨し、
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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丁寧に指導している。これにより、卒業論文執筆者は、卒業生の 90%に達している。
(履修指導 コード 1312)
131201 学生に対する履修指導の適切性
オリエンテーション時に、教学担当副学部長から教学の特色および 4 年間の履修に
あたって留意すべき事項について説明している。また、1 回生時に基礎演習担当教員が
全学生に対してアカデミック・アドバイスを実施している。いずれも継続して実施す
る予定である。
加えて、よりきめ細かい履修アドバイスが必要との観点から議論を行っており、2011
年改革の際に、何らかの施策の導入を検討している。
131202 留年者に対する教育上の措置の適切性
単位僅少者が、卒業までに必要な単位を計画的に受講できるよう、また生活面での
問題があれば改善のためのアドバイスを目的として、単位僅少者対象の面談を実施し
ている。継続して実施する。
(教育改善への組織的な取り組み コード 1313)
131301 学生の学修の活性化と教員の教育指導方法の改善を促進するための組織的な取り組
み(ファカルティ・ディベロップメント(FD))およびその有効性
(1)昨年度に引き続き,学部インス生を対象とする小集団科目として、国際関係学の
専門的知識の習得と論文の作成をめざす「国際関係学セミナー」の開講を継続した。
(前
期 58,後期 34 人が受講し,うち 人が論文を提出)。この科目は複数のクラスを複数の
教員がグループで対応し,担当者会議を定期的に開催して指導方針を策定・調整して
いる。
(2)2 回生全員が参加するグローバル・シミュレーション・ゲーミングについて,参加
者の回顧録・感想と教員講評をまとめた冊子を作成した(授業全体の到達度評価と次
年度に向けた改善のための材料として活用する予定)。
今後は、学部改革に向けて,基幹科目・基礎科目における系列化に向けた議論を行
う。(【130103】【131305】
)
さらに、(1)全専任教員が週 1 時間のオフィスアワーを設定(継続)。(2) 日常的に
多くの教員がコミュニケーションペーパーで学生からの意見を取り入れる努力を行っ
ている。また,学生の要望聴取方法について全教員に照会し、受講生 50 人以上の講義
では、紙またはウェブ形式でのアンケートを実施した。(3) セメスター開始時に、専
門科目担当教員によるコース別懇談会を実施し,学生の印象,成績評価方法,授業を
するうえでの工夫などについて意見交流を行った。今後は、カリキュラム改革の一環
として,学部における FD のあり方(意義,方法)について議論を行う。【131303】
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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組織的には、学部FD委員会が教育開発推進機構あるいは全学共通教育推進機構と
連携し、学生の学修の活性化や教育指導方法の改善、学生の学修支援方法に関する会
議、ピア・レビュー、研修会、講演会、実技講習会を毎年年度当初に企画・公表し、
計画的に実施することを目標に取組を進めている。今後も、学生と継続的に意見交換
を行い、教育改善に反映することを目標に、学部FD委員会において、教育改革総合
指標をもとに年間並びに4年間の総合的な FD 活動の総括を行い、次年度及び次期間の
取り組みに活かす。
131302 シラバスの作成と活用状況
シラバスの必要項目に適切に情報を記入することを目標に取り組んだ。今後は学部
FD委員会において、教育改革総合指標をもとに年間並びに4年間の総合的な FD 活動
の総括を行い、次年度及び次期間の取り組みに活かす。
131303 学生による授業評価の活用状況
授業アンケート、インタラクティブシート、コミュニケーションペーパーをはじめ
とする学生の声を集約する仕組みが整えられ、その結果が教授会等で議論されて、改
善に向けて具体的対応が取り組まれている。
131304 卒業生に対し、在学時の教育内容・方法を評価させる仕組みの導入状況
個別、ゼミ指導教員が意見交換を行い、教授会議論に反映させている。
現在、学部校友会を年 1 回(春)開催しているものの、校友、教員が近況報告をし
合うことが目的となっている。社会に出た校友から、学部教学を評価、また新たな取
り組みを提言していただく場が必要との認識から、近況報告を目的とした学部校友会
に加え、学部教学に関する意見交換会(秋)を年 1 回目標に開催する。
131305 教育評価の結果を教育改善に直結させるシステムの確立状況とその運用の適切性
学生からの教育評価(アンケート、五者懇談会、その他意見交換会(不定期開催))
については、教学政策委員会および教授会に、必要な資料を提示・報告し、議論して
いる。翌回の教学総括に反映させている。
(授業形態と授業方法の関係 コード 1314)
131401 授業形態と授業方法の適切性、妥当性とその教育指導上の有効性
講義および小集団(ゼミナール)形式を組み合わせて実施している。英語による専
門科目(履修者を制限しない講義形式)を 2005 年より導入し、順次拡充、2011 年には
本格的に導入するが、教員、学生とも母語でない言語を用いた講義については、日本
語による講義と同水準の教育効果を疑問視する声があり、英語による専門科目の適切
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
97/331
な履修者数について再検討が必要との認識である。
131402 多様なメディアを活用した授業の導入状況とその運用の適切性
一部基幹科目にて授業撮影、HP 掲載を実施している。受講生の復習、および 3 回生
転入者の入学前予習を目的としたものである。
教育効果については、教学政策委員会については、上記目的を踏まえ評価する意見
と、授業を欠席し、試験前にビデオ視聴のうえ安易な試験対策にしている学生がいる
ので見直すべきとの意見が双方出されており、なお、取扱いを検討している。2011 年
改革に向けて適切な運用ができるよう検討を重ねたい。
131403「遠隔授業」による授業科目を単位認定している大学・学部等における、そうした
制度の運用の適切性
現行実施していない。
【点検・評価】
目標の達成度
2011 年度改革についても、教学目標に沿って行う。現在、これまでの達成度を総括して
いる段階であり詳述できないが、概ね目標に向けた取り組みを実施してくることができた
と自己評価している。しかし、日本社会の国際化やグローバル化など社会情勢の変化によ
り、本学部に求められている水準は一層高まっている。これまでの総括を踏まえたうえで、
2011 年度改革に反映させていきたい。
効果があがっている事項
前述のとおり、詳述できる段階にないが、観点別目標いずれにおいても効果が見られる。
改善が必要な事項
効果が上がっているものの、前述のとおり、学部卒業生に求められている水準が高まっ
ているとの認識から、全ての観点別目標において改善が必要である。
【改善方策】
長所の伸長方法
2011 年改革議論において検討中である。
問題点の改善方法
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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2011 年改革議論において検討中である。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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(8)政策科学部
【到達目標】
1994 年に政策科学部が設立されて以降、政策科学部は「問題解決志向的な精神を備えた
人材を育成する」ことを教育上の目的としている。
問題解決とは、混沌とした状況の中で問題点を発見し、最適解が不明な状況において、
より良い解決案を作り出し、それを実行し、その結果を検証することによって、さらによ
り優れた解決策を探求するといった循環したプロセスである。すなわち、問題認識から、
原因の探求、より良い解決手段の探求と選択という一連の知的営みそのものである。こう
した問題解決の力を涵養するために、2006 年度カリキュラム改革において、社会諸科学の
基礎的知見・高度な情報処理技能・外国語運用能力によって構成される政策基礎力、政策
研究に必要な理論・方法・分析力量を意味する政策専門力、これらの技能と知見を現実の
政策問題の処理とそのプロセスにおいて活用する力量としての政策実践力の 3 つの側面か
らなる学生像と教育上の目標として掲げ、こうした問題解決の力を修得し、最終的に卒業
研究論文の執筆・提出し、卒業することが到達目標である。
【現状の説明】
①教育課程等
1)学士課程の教育内容・方法
(学部・学科等の教育課程 コード 1301)
130101 教育目標を実現するための学士課程としての教育課程の体系性(大学設置基準第 19
条第 1 項)
政策科学部の教育目標を実現するための体系性、各授業の到達目標と学部の教育目
標との間に整合性、体系性を検討・策定することを目標に、2010 年度に向けたカリキ
ュラム改革を行い、(1)専門科目について、カリキュラム・ツリーを作成し、公共
政策系、環境開発系、社会マネジメント系の各系において系統履修のあり方を明確に
した、(2)言語と技法のカテゴリーにおいて、言語の卒業必要単位をそれまでの 10
単位から 8 単位へ、政策分析技法科目の卒業必要単位を 6 単位から 8 単位とした。
今後は、2010 年度新カリキュラムを実施し、年度末の教学総括を踏まえたうえで、
教育目標を実現するための学士課程としての学部教育課程の体系性のさらなる改善を
目指すこととする。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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130102 教育課程における基礎教育、倫理性を培う教育の位置づけ
政策科学部では、政策を学び、政策を構想するためには政策課題や政策争点の大き
な背景を学ぶため、複合的な学びを支える広い視野、教養を養うことを目標に、学部
独自科目と全学教養科目の中で政策科学部の教学理念と合致する科目からなるヴィジ
ョン形成科目を設置し、2008 年度も開講した。ヴィジョン形成科目は学則上、基礎教
育科目として位置づけられるものの、専門科目と強い連動性を持つ科目群として了解
されている。また、情報科目においてインターネットや電子メールに関わる倫理性を
養うことを目標に教育を行った。今後は、各科目内容の検討、全学の学生アンケート
結果や年度末の教学総括等を踏まえた上で、全学開講プログラムの中の科目と、もと
もと学際性の強い本学部の開講科目と内容上重複するものは、カリキュラムツリーの
明確化のために開講の有無・要卒認定の可否について個別に慎重な判断を行っていく
ことにより、教学上の改善を図ることとする。
130103「専攻に係る専門の学芸」を教授するための専門教育的授業科目とその学部・学科
等の理念・目的、学問の体系性並びに学校教育法第 83 条との適合性
1994 年に政策科学部が設立されて以来、政策科学部は「政策科学に関する科目を教
授し、問題解決志向的な精神を備えた政策人材を育成する」ことを目標に学部教学を
行っている。専門科目は、①政策科学部のコア科目として位置付けている政策科学演
習科目(基礎演習、研究入門フォーラム、専門演習 I・II)、②主として低回生向けの
導入科目、③公共政策系、環境開発系、社会マネジメント系の 3 つの系に分けられて
いる展開科目によって構成されている。2008 年度は、(1)各回生における小集団科
目をコア科目として設定し、それらを段階的にとりまとめたカリキュラム構造をつく
ることにより、系統履修の強化に取り組む、(2)学際的・実践的学問という性格を
有するため、小集団によるディスカッション、ディベート、プレゼンテーション等を
必要不可欠なツールと位置づける、(3)教育 GP で推進する「カフェテリア」で課外
セミナー、ヘルプデスク、正課科目の充実を推進することにより、小集団コア科目を
恒常的に高めていくことを目標として以下のことを達成した。
(1)1回生では、「政策実践ディベート」と「政策実践ライティング」に加え、
「アカデミック・リーディング」の時間を加え基礎的能力の向上を図った。また「政
策情報処理Ⅰ」と連携した授業展開に留意した。(2)2回生「研究入門フォーラム」
ではより学生の問題関心に即したプロジェクト編成を行い、11 クラス 39 プロジェクト
を編成した。また SNS 活用や外国語タイトルと概要の評価を導入し、行き届いた指導
ができるようになった。(3)PS エキスポには第1次予選に 337 名、253 テーマのエ
ントリーがあり、研究活動での意識が向上しつつあることを確認した。(4)専門演
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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習Ⅰの成果報告書提出は 341/382(89.3%)、卒業論文の提出は 156/265(58.9%)で
あった。
今後は、(1)1回生の時点では、ウェブ上の情報ではなく、書籍にふれることの
重要性を強調していくこと、(2)基礎演習と英語講義の連携強化を進めていくこと、
(3)研究入門フォーラムでは 09 年度より行政政策コースを廃止し、また中間発表会
でのポスター作成、『ポスター集』作成時の体制整備を行う、(4)09 年度は「専門
演習Ⅱ」と「卒業研究」は 06 カリキュラム後初の実施となり、専門演習Ⅱの成果物の
提出方法等の検討を行うこととし、さらなる教学上の改善を図ることとする。
130104 一般教養的授業科目の編成における「幅広く深い教養及び総合的な判断力を培い、
豊かな人間性を涵養」するための配慮の適切性
前述の「教育課程における基礎教育、倫理性を培う教育の位置づけ」で書いたよう
に、政策科学部においては、厳密な意味では教養教育科目を置いていないが、教養教
育的科目として、政策を学び、政策を構想するためには政策課題や政策争点の大きな
背景を学ぶため、複合的な学びを支える広い視野、教養を養うことを目標に、学部独
自科目と全学教養科目の中で政策科学部の教学理念と合致する科目からなるヴィジョ
ン形成科目を設置し、2008 年度も開講した。ヴィジョン形成科目は学則上、基礎教育
科目として位置づけられるものの、専門科目と強い連動性を持つ科目群として了解さ
れている。今後は、政策科学部の学生が総合的な学びを支える広い視野を養い、複雑
な政策争点の高い背景を学び、すぐれた問題解決能力を修得することがより一層確実
なものとなるように科目の配置等の改善を行う。
130105 外国語科目の編成における学部・学科等の理念・目的の実現への配慮と「国際化等
の進展に適切に対応するため、外国語能力の育成」のための措置の適切性
政策科学部の言語教育は、政策研究に必要な外国語文献や資料を読みこなす読解力
を養成し、コア科目である政策科学演習科目における学習をより豊かなものにするこ
とを目標としている。社会科学の理論や概念を理解し、海外の政策事情を正確に知る
ためには、英語をはじめ各種言語の能力が不可欠のため、学生が基礎演習、研究入門
フォーラム、専門演習、卒業研究でどのような学習の成果をみせるかが言語教育にお
ける主要な到達度検証の指標としている。また、学生の英語運用能力そのものを測る
ため、TOEFL のスコアを利用している。こうしたことを前提に 2008 年度においては、
(1)TOEFL 受験率の向上と外国語作文コンテスト参加率の向上を目指す、(2)単な
る外国語運用能力のみではなく、政策英語演習の質的向上、小集団の成果物提出の際
に義務付けている英文のタイトルおよびアブストラクトの作成を確実なものする等学
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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部専門科目と結びついた外国語運用能力の継続をめざす、(3)教育 GP 事業として提
供するヘルプデスクや課外セミナーの充実をはかることを目標とし、達成した結果は
次の通りである。
(1)1回生の TOEFL 受験者は、4 月 390/400(97.5%)、11 月 282/301(93.69%)、
2回生は 114/184(62%)
(2)英語では未修得単位回復、ライティング科目の改革を実施した。
(3)外国語作文コンテストへの応募は 32 編と昨年度(99 編)に比して大幅減となっ
た。これは 1 回生の応募者が激減したことによる。
(4)学部専門科目との連携では、英語 106 が基礎演習と連携を進めた。その他、研
究入門フォーラム、ヴィジョン形成特殊講義、文献講読で連携した取組みを行
った。
(5)TOEFL-ITP スコアや授業評価アンケート結果を用いて英語教育における改革の到
達度を検証した。
(6)また SNS 活用や外国語タイトルと概要の評価を導入し、行き届いた指導ができ
るようになった。
今後は、(1)クラス編成、評価に TOEFL-ITP スコアを活用しており、更に経年変
化により検証を行う、(2)基礎英語において更に自主開発教材を取り入れる、(3)
基礎演習と英語科目講義の連携強化を進めていく、(4)TOEFL 受験率のさらなる向上
と外国語作文コンテスト参加率の向上を目指す、(5)単なる外国語運用能力のみで
はなく、政策英語演習の質的向上、小集団の成果物提出の際に義務付けている英文の
タイトルおよびアブストラクトの作成を確実なものする等学部専門科目と結びついた
外国語運用能力の継続をめざす。 そのために、教育 GP 事業として提供するヘルプデ
スクや課外セミナーの充実をはかることにより、政策科学部における言語教育の一層
の改善を図ることとする。
130106 教育課程の開設授業科目、卒業所要総単位に占める専門教育的授業科目・一般教養
的授業科目・外国語科目等の量的配分とその適切性、妥当性
政策科学部の学士課程は卒業のために、124 単位の修得を課している。このうち、現
行の科目区分ごとの卒業必要単位は、厳密には教養科目ではないものの、一般的教養
科目に相当すると考えられるヴィジョン形成科目 20 単位以上、言語と技法科目で 24
単位以上(うち言語科目 10 単位以上、政策分析技法科目 6 単位以上)、専門科目であ
る政策科学科目は 60 単位以上、自由選択 20 単位以上としている。2008 年度もこうし
た卒業必要単位の科目区分に基づき、学生への授業を行った。ただし、2010 年度以降
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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カリキュラム改革を実施し、言語と技法科目において、言語科目の要卒単位数を現行
の 10 単位から 8 単位にする一方で、政策分析技法科目の要卒単位数を 6 単位から 8 単
位に増やすこととした。これは、過年度のデータ分析の結果、多くの学生は言語科目
については要卒単位数 10 単位を大きく超えて履修しているものの、政策分析技法は 1
回生で要卒単位数の 6 単位を修得でき、2 回生以降で要卒単位を超えて履修する学生が
言語科目と比較してそれほど多くないことによる。
今後は、2010 年度にカリキュラム改革を実施し、その評価を行い、その結果を踏ま
えてさらなるカリキュラムの改善を目指すこととする。
130107 基礎教育と教養教育の実施・運営のための責任体制の確立とその実践状況
前述の「教育課程における基礎教育、倫理性を培う教育の位置づけ」で書いたよう
に、政策科学部においては、厳密な意味では教養教育科目を置いていないが、教養教
育的科目として、政策を学び、政策を構想するためには政策課題や政策争点の大きな
背景を学ぶため、複合的な学びを支える広い視野、教養を養うことを目標に、学部独
自科目と全学教養科目の中で政策科学部の教学理念と合致する科目からなるヴィジョ
ン形成科目を設置しており、2008 年度は 24 科目を政策科学部生向けに開講した(イン
ターンシップ、特殊講義を除く)。
今後は、学部の教育目標を実現するために科目内容の検討を基に精選を進め、ヴィ
ジョン形成科目として、政策科学部の教学目標に資するよう改善を図ることとする。
130108 カリキュラム編成における、必修・選択の量的配分の適切性、妥当性
政策科学部の学士課程においては、必修科目に位置付けられている単独の科目は存
在しない。同曜日・同時限に該当回生の他の科目を配置せず、全員履修指定科目とい
った科目(たとえば、基礎演習、研究入門フォーラム、専門演習、卒業研究といった
政策科学部の小集団コア科目、政策科学入門等)はある。必修、選択という観点から
すれば、前述の「教育課程の開設授業科目、卒業所要総単位に占める専門教育的授業
科目・一般教養的授業科目・外国語科目等の量的配分とその適切性、妥当性」で述べ
たように、科目区分毎に卒業必要単位数が定められている。2008 年度は、2010 年度以
降、「言語と技法科目」における言語科目の要卒単位数を 10 単位から 8 単位へ、政策
分析技法科目は同様に 6 単位から 8 単位に変更することを決めた。
今後、こうした要卒単位数の設定と基幹時間割に置く科目については、2010 年度の
新カリキュラムを実施し、その評価結果を踏まえて、学生の学力向上のためにさらな
る改善を図ることとする。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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(カリキュラムにおける高・大の接続 コード 1302)
130201 学生が後期中等教育から高等教育へ円滑に移行するために必要な導入教育の実施状
況
学生が後期中等教育から高等教育へ円滑に移行することを目標とし、それに必要な
導入教育の実施という観点からは、英語、国語、数学の 3 科目の基礎学力テスト(プ
レイスメント・テスト)を実施した。さらに、立命館高校、立命館宇治高校とはゼミ
形式のグループワークを中心とした高大連携講座を実施し、優秀者(グループ)には、
12 月の PS アカデミックフェスタで発表を行ってもらった。
立命館慶祥高校とは夏期休暇中に「地域再生」をテーマとしたグループワークを夕
張市で展開し、研究成果発表を夕張市および札幌市で行った。
今後は、附属校、指定校との連携強化による学内発表会への招聘、報告のあり方を
継続的に検討し、さらなる充実を目指して必要な改善を行う。
(インターンシップ、ボランティア コード 1305)
130501 インターンシップを導入している学部・学科等における、そうしたシステムの実施
の適切性
政策科学部では、広く社会の実務部門との連携で実践的な学習を深めることを目標
に、「政策科学特別実習」を政策科学部独自科目として開講している。一般に、イン
ターンシップと呼ばれるものであるが、本学部では学部の正課科目とし、他の講義科
目やゼミナールでの学習の幅と深さを広げる科目として位置付けている。2008 年度は、
5 クラスを開講したが、結果的に 3 クラスが閉クラスとなり、2 クラス 3 人の学生(日
本テピア株式会社:1 名、木津川市:2 名)が受講登録し、インターンシップに参加し
た。
今後は、教学目標と学生のニーズを踏まえた上で、より学習効果の高いインターン
シップ先の確保、この科目の意義について学生への周知徹底を行い、さらなる改善を
行うこととする。なお、政策科学部生の全学インターンシッププログラムの受講は認
めているものの、学部としては要卒単位に含めず、随意科目として位置付けている。
130502 ボランティア活動を単位認定している学部・学科等における、そうしたシステムの
実施の適切性
政策科学部では、要卒単位外の科目として、全学科目である、以下の「ボランティ
アコーディネーター養成プログラム科目 5 科目を開講した。(1)社会とボランティア
(前期・講義)(2)ボランティア情報・調査演習(前期・演習)(3)ボランティアイン
ターンシップ(夏期集中)(4)ボランティアマネジメント論(後期・講義)(5)ボラン
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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ティア活動支援演習(後期・演習) これらの科目は地域活性化のために地域の関係者
と協力し合いながら、地域におけるボランティアを含む諸資源を的確に把握し、有効
にコーディネートできる人材を養成することを目標としているものである。今後も政
策科学部においては、カリキュラム上、要卒単位には含めないこととなっている。
(授業形態と単位の関係 コード 1306)
130601 各授業科目の特徴・内容や履修形態との関係における、その各々の授業科目の単位
計算方法の妥当性
大学設置基準に則し、各授業の形態に合わせ、認定単位を適正化することを目標に、
政策科学部の全開講科目の単位は設定されている。1 単位は 1 セメスター(15 週)に
おいて、45 時間の学習時間(授業 15 時間、予習・復習各 15 時間)を要するものであ
る。本学では、毎週 1 回あたりの授業は 90 分を基本としており、これを 2 時間として
計算している。こうした授業外の学生の学習時間を考慮した結果、言語科目の政策英
語は 2006 年度以降、1 科目 2 単位としている。2010 年度新カリキュラムにおいても、
基礎英語 103、106 が政策英語演習 V、Ⅵとなり、それまでの 1 単位から 2 単位化され
ることが決定した。今後は、各科目において、授業外における予習・復習時間の確保
をより一層実質化するよう改善に向けた取り組みを検討する。
(単位互換、単位認定等 コード 1307)
130701 国内外の大学等での学修の単位認定や入学前の既修得単位認定の適切性(大学設置
基準第 28 条第 2 項、第 29 条)
海外の大学との学生交流協定をカリキュラムに位置づけ推進すること、国内外の大
学、大学以外の教育施設と適切に単位互換・認定を行うことを目標に、2008 年度にお
いて政策科学部は、111 人の認定者数、他大学の認定単位総数 351 とし、すべて専門以
外の科目として認定を行った。本学部では、単位互換協定がある教育機関での修得単
位を最大 60 単位までN単位認定することが可能であるが、その多くは 20 単位以内の
自由選択科目のカテゴリーで単位認定している。
(開設授業科目における専・兼比率等 コード 1308)
130801 全授業科目中、専任教員が担当する授業科目とその割合
学部の教育目標に貢献する中核的科目に関して専任率を向上させることを目標とし、
兼任教員に対しては学部の理念や教育目標についての十分な説明を行うこととしてい
る。2008 年度においては、専門科目における専任担当科目数は前期 44.5、通年 54.0、
後期 77.5 であった(非常勤講師との複数担当科目を含む)。専任比率(専兼比率)は、
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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前期科目 61.8%、通年科目 98.2%、後期科目 70.5%となった。教養教育(的)科目(厳
密には政策科学部では教養教育という形でカリキュラムを組んでいない)について、
専任担当科目数は、前期 45.3、通年 0、後期 38.3、専任比率(専兼比率)は、前期科
目 64.6%、通年科目 0%、後期科目 57.1%となった。専任比率は、カリキュラムの開講科
目数と専任教員数と密接な関係があるため、今後、専任比率の改善については、この
点について慎重に検討を行うこととする。
130802 兼任教員等の教育課程への関与の状況
学部の教育目標に貢献する中核的授業に関して専任教員が担当するようにし、兼任
教員に対して学部の理念や教育目標について十分理解してもらいつつ、政策科学部に
おける教育目標を達成するよう、授業を実施した。2008 年度の兼任担当科目数は、専
門科目で前期 27.5、通年 1.0、後期 32.5 であった(専任教員との複数担当科目を含む)。
教養教育(的)科目については、前期 24.8、通年 0、後期 28.8 であった。兼任比率は
専門科目で、前期 38.2%、通年 1.8%、後期 29.5%、教養(的)科目で前期 35.4%、通年
0%、後期 42.9%だった。兼任担当科目には、英語、ドイツ語、フランス語等の言語
科目、政策情報処理 I・II 等の政策分析技法科目、ヴィジョン形成科目等が含まれる。
今後は、政策科学部のカリキュラム上、専任教員が望ましいと判断される科目はそ
のように対処するとともに、兼担率は、学部における開講科目数と専任教員数と密接
な関係があるため、この点について慎重な検討を行うこととする。
(社会人学生、外国人留学生等への教育上の配慮 コード 1309)
130901 社会人学生、外国人留学生、帰国生徒に対する教育課程編成上、教育指導上の配慮
本学部においては、社会人学生、外国人留学生、帰国生徒に対する教育指導上の特
別な配慮は特に行っていない。ただし、外国人留学生用のカリキュラムがある。入試
については、確かな学力と豊かな個性を持った外国人留学生を、21 世紀の国際社会に
おけるリーダーとして羽ばたかせるべく、国籍・人種・地域・宗教・性別を問わず、
世界各国・地域から受け入れることを目的とした外国人留学生入試を、また、多様な
価値観を持った外国学校出身者(帰国生徒)を積極的に受け入れることを目的に帰国
生徒特別選抜入試を、一般入試とは別に実施している。
外国人留学生の学習および学生生活支援については、国際部と協力をして学部とし
ての懇談会を開催しており、今後は現状と懇談会での成果を踏まえ、大学、学部とし
てのより一層の国際化の展開に向けて、外国人留学生、帰国学生の受け入れおよび学
習・学生生活支援について、改善点について検討を行うこととする。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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②教育方法等
(教育効果の測定 コード 1310)
131001 教育上の効果を測定するための方法の有効性
政策科学部における教育上の効果を適切に測定することを目標に、定期試験、最終
講義試験、発表、小テスト、レポートといった学期中における教育上の効果の検証、
を各担当教員の判断に基づき行ってきた。本学部おいて特筆すべき取り組みは次の通
りである。(1)政策科学部自己検証カルテを 2006 年度以降導入し、学生にとって自
らの学びがどのような方向で進められているのかを、自分自身で確認し、その後の学
習の方向性を定め、系統的な学習の積み重ねを支援するためのツールとして位置付け
ている。具体的には、行政政策、情報文化、環境都市、国際政策、組織経営といった 5
つの学びの方向性を示し、各学生の政策科学部での学びを確認した上で、将来の履修、
そして卒業後の進路にも役立つように設計されている。この自己検証カルテについて
は、提出機会の確保と利用率の向上をめざすために、専門演習登録時に自己検証カル
テの提出を義務付けた。(2)言語科目について、語学力の向上を目標に、基礎英語
科目については、TOEFL-ITP 受験を学生に求め、そのスコアをクラス編成、成績評価に
活用し、政策英語(演習)科目については、独自に開発した標準テストを実施し、ク
ラス内評価と標準テストの結果を合わせた総合的到達度評価を採用した。さらにライ
ティング科目の標準化と実質化のために、英語 103・106 のクラス編成および授業運営
方法などに抜本的改革を行った。英語、初修外国語を合わせて外国語作文コンテスト
を行った。また、政策分析技法について、政策科学部は設立時から情報教育を学部教
学における重要な柱として位置づけており、2000 年度には高等学校「情報」教員免許
認可に向けたカリキュラムを整備し、「情報」教免取得課程を有する全国でも数少な
い社会科学系学部となり、「情報」教免取得者は、2008 年度 9 名を達成した。
今後は、(1)学生アンケートやFDに基づいて、上記の教育上の効果を測定する
方法、到達度検証について、さらなる改善に向けての検討を行う、(2)基礎英語科
目については、TOEFL-ITP 受験率およびスコアに関して更に経年変化に基づいて検証を
行う、(3)政策英語科目についても標準テストの経年分析を行い、その結果を基に
学生の英語力のさらなる向上について検討する、(4)外国語作文コンテストについ
て、学生からの提出数を増加させるための検討を行う、(5)「自己検証カルテ」の
高度化と更なる利用促進にむけて検討する、こととする。さらに、卒業生調査や学生
実態調査を含め、教育効果を測定する結果指標の開発を目指し、そうした教育効果の
測定方法について、その有効性を自己評価のみにとどまらず、第三者評価も含めて検
証する仕組みを取り入れることも視野に入れる。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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131002 卒業生の進路状況
専門の学びを活かし、一人ひとりに合った進路を実現すること、卒業生の進路状況
を把握するためにキャリアオフィスと連携し、取り組みを行うことを目標に本学部生
に対して進路支援活動を実施した。2008 年度の政策科学部卒業生は、363 名、このう
ち、卒業者進路決定率は、85.4%と前年同期比で 2.5%上回った。進学者等を除いた進路・
就職支援対象者の進路決定率は 99.8%とこれもまた前年同期比 1.8%上昇した。民間の
べ決定者数は 278 名であった。分野別の主な就職先としては、製造業 28.0%、流通・商
事 12.1%、金融 18.4%、サービス・その他 28.0%、公務員は 4.6%だった。今後は、幅広
い知識とスキル、高度な問題解決力をベースとした進路支援を本学部とキャリアオフ
ィスと協同して行い、個々の学生が希望する進路を実現できるよう、進路支援策の一
層の改善に取り組むこととする。
(成績評価法 コード 1311)
131101 厳格な成績評価を行う仕組みと成績評価法、成績評価基準の適切性
政策科学部においてコア科目として位置付けている小集団科目について、小集団評
価基準の確定と厳格実施を目標に1回生基礎演習では全クラス統一の評価方法を適用
し、研究入門フォーラム、専門演習では外国語タイトルと要約に対する評価を導入し
た。今後は、基礎演習担当者会議、研究入門フォーラム担当者会議、専門演習担当者
会議等で評価基準の確定とさらなる厳格実施に取り組むこととする。成績評価法、成
績基準については、各科目の特性に応じて、定期試験、出席を含む日常点評価、小テ
スト、レポート等、科目担当者が決めている。今後もこうした科目の特性に応じた成
績評価法を追求するものとするが、同一科目複数クラスを開講する科目(特に言語と
技法の科目)については、成績評価法と成績基準に関してさらに改善可能であるか検
討を行う。
131102 履修科目登録の上限設定等、単位の実質化を図るための措置とその運用の適切性
本学部においては、単位の実質化を図ることを目標に 2006 年度カリキュラム改革実
施時に、受講登録制限単位数について、それまで 1 回生 44、2 回生 48、3 回生 56、4
回生以上 56 であったものを 1 回生から 4 回生以上まですべての回生において 44 とし
た。今後も現行の受講登録制限単位数が妥当な水準であるか、単位の実質化という観
点から学生の履修実態を精査することにより、より一層の改善に向けて検討を行うこ
ととする。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
109/331
131103 各年次および卒業時の学生の質を検証・確保するための方途の適切性
各年次および卒業時の学生の質を検証・確保することを目標に、政策科学部のコア
科目である小集団科目の小集団評価基準の確定と厳格実施を行った。具体的には、1 回
生基礎演習では、1 年を通じて 3 回の政策実践レポートを課し、3 回目は 2 回生の研究
入門フォーラムについての研究計画書作成とした。2 回生研究入門フォーラムでは学年
末の研究成果報告書提出が単位取得要件とした。3 回生専門演習Iでは、学年末に研究
成果報告書作成、提出を単位取得要件とした。4 回生後期の卒業研究は前期の専門演習
IIの単位取得および成績が A+、A、B でなければ履修できないこととした。結果とし
て、2008 年度専門演習 I の成果報告書提出は 341/382(89.3%)、卒業論文の提出は
156/265(58.9%)であった。また、2007 年度の合格率(卒業合格者の卒業予定者に対
する割合)は、78.5%だった。今後 2009 年度は、2006 年度カリキュラム改革最終年度
で、「専門演習Ⅱ」と「卒業研究」は 06 カリキュラム後初の実施となり、専門演習Ⅱ
の成果物の提出方法についてはさらなる調整が必要である。しかしながら、前期の専
門演習IIが 2 単位、後期の卒業研究を 4 単位とし、専門演習Ⅱおよび卒業研究を履
修しない学生は代わりに他の科目を 4 回生時に 6 単位分を修得することを卒業要件と
したことにより、従来よりも多くの学生が卒業論文を執筆・提出することが期待され、
卒業時の学生の質の確保と改善につながると考えられる。
(履修指導 コード 1312)
131201 学生に対する履修指導の適切性
政策科学部生が自らの学びがどのような方向で進められているのかを、自分自身で
確認し、その後の学習の方向性を定め、系統的な学習の積み重ねができることを目標
に、「政策科学部自己検証カルテ」の仕組を設け、専門演習登録時に「自己検証カル
テ」の提出を義務付けた。また、前期、後期とも各科目カテゴリーごとに履修ガイダ
ンスを行い、学生の履修指導を実施した。今後は、自己検証カルテの高度化とさらな
る利用の促進に向けて検討を行うこととする。また、開講方針の説明をはじめ、ピア・
サポーターを活用するなど、オリエンテーションと履修ガイダンスのさらなる充実と
改善を目指し、有効適切な履修指導を行うこととする。さらに、授業への質疑応答や
日常的な履修指導をはじめ、きめ細やかな対応を行い、学生の学習意欲向上を図る。
131202 留年者に対する教育上の措置の適切性
特別な事情、理由がない限り、学部生は 4 年間で卒業することを目標として、学部
事務室を中心に5年以上の在学生の履修状況、出席状況を把握し、本人並びに担当教
職員との継続的な相談体制を作っている。具体的には、本学部では学年ごとの留年は
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
110/331
なく、4 回生で卒業必要単位数に達していない場合、5 回生となり、留年となる。こう
したことに対して、本学部では、低回生時より単位僅少者面接を実施し、早期から学
生の計画的な学部カリキュラムの履修を指導している。今後は、こうした体制と取り
組みと留年した学生の状況を踏まえて、留年学生を可能な限り出さないよう、さらな
る事前の改善策について検討することとする。
(教育改善への組織的な取り組み コード 1313)
131301 学生の学修の活性化と教員の教育指導方法の改善を促進するための組織的な取り組
み(ファカルティ・ディベロップメント(FD))およびその有効性
政策科学部では授業アンケート等を踏まえ、各教員が日々取り組む授業改善活動お
よび担当科目群の関係教員の連携による教育改善活動を継続して実施している。それ
ら活動に加えて、教育 GP 事業等各種教育プログラムを活用した組織的な教育改善方策
検討のための機会を設け、その推進について総合的な評価を短期、中期、長期にわけ
て測定する手法の開発を目標とした。また地域社会の学部教育プログラムに対する要
求を把握し、プログラムの運用に反映させながら地域社会と連携した教育改善の取り
組みを行っていくこともあわせて目標とした。
組織的な教育改善方策の検討機会では 2008 年度新たな試みとして、1 回生導入科目
群と図書館との組織的連携によるアカデミック・スキル向上の取り組みを事例とした
成果発表と総括の場を、FD 企画として学部外にも公開し開催した。また、2 回生小集
団演習科目(研究入門フォーラム)では、「活動報告書」「前期レポート」「中間発
表会」「研究成果報告書」等様々な報告書を作成する中で、学生は自己評価、相互評
価、教員からの評価を確認し、研究力の向上をはかれる取り組みを実践した。地域社
会との連携については、GP 地域拠点や政策系大学・大学院研究交流大会(大学コンソ
ーシアム京都企画)を通した外部機関との交流、意見交換によって、学部教育プログ
ラムに対する要求を把握し学部内で共有することで、学部教育の改善に取り組んだ。
今後は、学生の学習研究成果発表の場である、リサーチ・プロポーサル・コンペテ
ィション、研究入門フォーラム中間報告会、PS アカデミックフェスタ(学部主催研究
発表大会)等の充実とさらなる展開の中で、学生、教員、地域社会の交流を通じた教
育改善の取り組みを一層推進する。また、学部が設置した地域拠点や教育 GP 事業推進
の中で、政策科学部としての組織的教育改善活動のあり方について恒常的に検証し改
善を行っていく。本年度目標とした教育改善活動の効果測定開発については、「短期:
学習成果測定(アンケート、相互評価)と合わせて、地域社会の主体から毎年学部で
の取組に対するヒアリング調査実施」「中期:3、4 回生時の専門分野の GPA 水準分析、
年度末・卒業時のアンケート調査実施」「長期:卒業後一定期間(3 年から 5 年程度)
を経た後の卒業生アンケート調査実施」とし、実施に向けた体制準備を進める。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
111/331
131302 シラバスの作成と活用状況
学部所属の全教員が、シラバスの必要項目について、本学が設定する水準を満たす
適切な情報を記入することを目標とし、学部開講責任科目については、シラバス公開
前に学部執行部によるシラバス総点検を行った。今後は、学部人材育成目標との関係、
カリキュラム・ツリー上での位置付け等を意識した記述がなされるよう、非常勤教員
も含めた、執筆支援、点検体制構築に向けた改善への取り組みを強化する。
131303 学生による授業評価の活用状況
授業改善を目標に授業評価アンケートを実施し、アンケート結果を踏まえて各授業
担当者がそれぞれの授業改善に取り組んでいる。具体的には、前期、後期に 1 回ずつ、
各科目において学生からの授業評価アンケートを実施している。アンケート結果につ
いては、前後期分とも当該学期中に返却はしているが、その結果を当該学期中の授業
改善に活かすことは難しく、次年度以降の授業改善に役立てることとなっている。た
だし、授業アンケート以外にも各教員が担当科目の受講生にインタラクティブシート、
コミュニケーションペーパーなどを用いて学生の声を集約する取り組みが行われてお
り、受講生の意見を踏まえた授業改善に向けて具体的な対応がなされている。今後は、
授業アンケート、インタラクティブシート、コミュニケーションペーパーなどにおい
ての質問項目をさらに工夫をし、学生の要望のみでなく、学生の主体的な努力をも促
すよう、教員、学生双方にとって授業がより一層有意義なものとなるよう改善に向け
て検討を行うこととする。
(授業形態と授業方法の関係 コード 1314)
131401 授業形態と授業方法の適切性、妥当性とその教育指導上の有効性
政策科学部においては、科目の特性に応じて最も教学上の効果が得られることを目
標に多様な講義形態が存在している。特に政策科学部でコア科目と位置付けている小
集団科目のうち 1 回生配当の基礎演習、2 回生の研究入門フォーラム、言語と技法科目
においては、上回生や Teaching Assistant(TA)が担当教員のサポートをする形で受
講生が授業内容の理解を促し、授業目的を達するために重要な役割を担っている。具
体的には、前期の基礎演習には 2 回生以上の 70 名の上回生がオリターとして、担当教
員の指導を受けて、各クラスにおけるプレゼンテーション、リサーチの仕方、ディベ
ート等について 1 回生に具体的なアドバイスを与えた。前後期を通じて 3 回課される
政策実践レポートについて、11 クラスに対して 6 名の大学院生 TA を配置し、レポート
の表現上の問題について添削を行い、ライティング力の向上が見られた。研究入門フ
ォーラムについては各クラス 1 名の TA を配置し、教員と連携して 1 年を通した指導補
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
112/331
助を行った。言語科目に関しては、今年度から抜本的な改革を行った英語 103,106(両
科目とも約 100 名×3 クラス)にそれぞれのべ 18 名の TA を配置した。この科目はクラ
スを 6 分割した Learning Unit に一名ずつ TA を配置し、二名の教員とチームティーチ
ングすることから、TA 配置が欠かせない。今年度は両科目あわせて政策科学研究科 7
名、言語教育情報研究科 11 名(内 1 名は政策科学部から飛び級で進学)が任用された。
業務として授業前後のミーティング、授業中の学生への説明と助言、および授業外業
務として課題の添削指導を行った。さらに、8名のライティングチューダーによるヘ
ルプデスクを後期に27コマ開設し、121名が利用した。その他、政策分析技法科
目や大講義課目に TA を配置し効果的な授業展開を行った。
効果的な教育補助を行うための TA の専門能力の向上が課題となっている。
たとえば、
研究入門フォーラムの各プロジェクトの円滑な進行にとって TA の役割は重要であり、
そのために TA には高い専門能力、学生とのコミュニケーション力、教員との信頼関係
の構築等が求められる。また、言語の TA に関しては、政策科学研究科の TA 育成が課
題である。アブストラクト・ライティング世代が育ってきていることもあり、英語ラ
イティング力も伸びてきているが、まだ十分な人数を確保できているとは言い難い。
当該科目においては、英語能力のみならず、調査能力や専門的知識が必要である。こ
れは研究科の課題でもあるが、WT や TA を育成する研究科科目(「アブストラクト・ラ
イティング」および「政策実践外国語(英語)」)の受講者を増やし、質の高い TA を
恒常的に確保することが急務である。
今後は、TA業務報告書、TA活用報告書に基づき、TA のサポート効果を把握する
とともに、上記の課題を克服するための方策を検討し、TAが本学部の教学において
より一層役立つよう改善に向けての取り組みを行うこととする。
131402 多様なメディアを活用した授業の導入状況とその運用の適切性
専門科目における授業形態は各担当教員に任されており、メディアの活用という観
点からも教員が授業目標の達成のために最適と考える講義形態をとっている。たとえ
ば、web コースツールを用いた学生とのコミュニケーションや小テストの管理を行った
り、パワーポイントを使った視覚効果を重視した講義も見受けられた。政策分析技法
科目においては、情報教室を活用する科目も少なくなく、エクセル、ワード、パワー
ポイントといった基本的なコンピューター・ソフトをはじめ、統計処理ソフトを用い
る科目もあった。
今後は、各科目の授業目的の達成に向けて、ICTの活用が必要であるならば、最
も適切な方法を検討し、授業効果の改善に役立てることとする。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
113/331
131403「遠隔授業」による授業科目を単位認定している大学・学部等における、そうした
制度の運用の適切性
政策科学部において、現在、遠隔授業を行っている科目はない。今後、授業形態と
して、オンデマンド授業や遠隔授業が必要であるか、また効果的であるかについて、
検討を行う。
(3年卒業の特例 コード 1315)
1315014年未満で卒業もしくは大学院への進学を認めている大学・学部等における、そう
した制度の運用の適切性
学業成績において優れた学部生の大学院進学を早期に実現することを目標に、本学
部では 3 回生終了後に政策科学研究科前期博士課程への進学が可能である「飛び級」
入学試験制度を設けている。飛び級による大学院進学を志望する学生は、3 回生終了時
に 100 単位以上修得し、このうち、外国語一言語 8 単位以上含んでいること、3 回生終
了時までの要卒単位科目の累積 GPA が 3.60 であることが出願要件となっている。この
飛び級制度による大学院進学者は、2006 年度 1 名、2007 年度 0 名、2008 年度 0 名だっ
た。ただし、飛び級による大学院進学は、学部に 3 年間在籍することになるものの、4
年目に大学院へ入学すると同時に、学部の学籍はなくなることになる。つまり、「飛
び級」制度の場合は、学部は 3 年で中退したことと同じことになり、学部卒業の資格・
学士(政策科学)は取得できない。2007 年度より大学院早期履修制度を利用した「大
学院進学プログラム」は、4 回生時に学部に在籍したまま、大学院科目を前倒し受講す
る制度のため、学部 4 年未満で卒業はできないが、修士を 1 年で取得可能な制度で、
学部と博士前期課程トータルでみた場合、飛び級制度と在学年数は同じで学士と修士
両方を取得できるようになっている。
学部生にとって早期に大学院進学が可能となる制度について、今後も必要に応じて
検討を行うこととする。
③国内外との教育研究交流
(国内外との教育研究交流 コード 1316)
131601 国際化への対応と国際交流の推進に関する基本方針の適切性
政策科学部における国際化は、カリキュラム上、国際的な展開を行うことを目標に
展開されてきた。具体的には、政策科学部がコア科目として位置付けている 2 回生時
の「研究入門フォーラム」の海外特定プロジェクトが学部の国際化の中心となってい
るものである。2008 年度は、韓国、タイ、フランスの各海外プロジェクト(定員はそ
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
114/331
れぞれ 15 名)を実施し、夏期休暇を利用して現地調査を行い、この調査結果を含む研
究成果報告書を各プロジェクトは学年末に提出した。
【点検・評価】
目標の達成度
本学部の教学におけるコア科目は、基礎演習、研究入門フォーラム、専門演習I、専門
演習Ⅱおよび卒業研究からなる小集団演習科目である。したがって、すべての科目は、こ
れら小集団演習科目を通じた実践的な学び、とりわけこの学びの集大成としての卒業研究
論文の構想、執筆に役立つ知識・技能、すなわち政策基礎力、政策専門力、政策実践力の
育成をその目標としている。そうした場合、学びの集大成である卒業研究論文について、
今年度は、専門演習Ⅱの登録者 265 人中、156 人(58.9%)の提出があった。昨年度(登録
者 237 人中、138 人(58.2%)に比べ、提出率はほぼ横ばいである。卒業論文を必修として
いない本学部において、この数字の評価は決して低いものではないと判断されるが、今後
さらなる提出率改善に向けての検討が必要であることは言うまでもない。
効果があがっている事項
基礎演習は、政策科学部 1 回生向けの小集団コア科目であり、学部の学びを支える土台
づくりと政策実践に必要な基本スキルの習得を目標としている科目である。2008 年度は、
1994 年の学部設立から行われ、2004 年に抜本的に改革された「政策実践ディベート」と 2004
年から段階的に実施されている「政策実践ライティング」に重点を置いた指導を行い、加
えて 2008 年度の開講方針にも明示されている通り、「書く」能力のみならず「読む」能力
の強化を実践すべく、「アカデミック・リーディング」の回を設けて 1 回生の基礎的能力
の向上を狙った。効果としては、次のことが挙げられる。まず、政策実践ディベートは、
ここ数年、方法論的に発展してきており、1 回生の思考訓練・討論訓練として大きな成果を
挙げてきた。ただし以前のように資料作成に十分な時間をかけずともウェブ上の資料だけ
参照して資料を作成してディベートに臨む学生が徐々に増えてきたことは憂慮すべきこと
であった。そこで紙媒体も重視するスタンスを明確にしたことで、学問的な作法の訓練の
場としてディベートを活用する転機となった。政策実践ライティングについては、TA が非
常に細かく添削したこともあって、回を重ねる毎に提出物の表現上の水準が向上した。ま
た外国語での要約を課した。論理的思考が優れているレポートでは外国語要約もよく練ら
れており、その逆も真であることがあらためて確認された。要約の多くは英語で記されて
いるが、中にはドイツ語、中国語の要約もあった。アカデミック・リーディングについて
は、「読む」作法についてこれまで基礎演習において指導が統一的に行われてきたわけで
はなかった。2008 年度は、紙媒体の作法習得に重きを置いたこともあり、事前に与えたテ
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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ーマに関する書籍を図書館から学生は借り、教室において同じグループメンバーと通覧速
読を行った。このことによって、書籍についての基本的な情報を素早く読み取る技術・知
恵を 1 回生の初期の段階で習得させることができた。
言語と小集団コア科目との連携を深める取り組みとして、外国語アブストラクト(要旨)
を各提出物に付けさせることを行ってきたが、今年度は、1 回生の年度末報告書(研究入門
フォーラム申請時に提出する研究計画書)に外国語のタイトルに加えて研究概要(欧文の
場合は 50 語程度)の記入を求めることを徹底し、基礎演習と英語 106 とが連携して学生の
執筆を支援した。さらに、2 回生以上の年度末報告書に関しては、研究入門フォーラムおよ
び専門演習 I, II の担当者に各世話人からアブストラクトのグルーピングを依頼した。そ
の結果研究入門フォーラムは全クラス、専門演習も一部の教員を除き全員が提出を行った。
専門演習Iの研究成果報告書および卒業論文に外国語のタイトル・概要を付けることを義
務化してから 2008 年度で 3 年目であるが、本年度は、ライティング・チューターの配備や
その利用について学生に早い段階から周知させることができ、ライティング・チューター
の利用学生数も年々増加しているともに、提出された外国語のタイトルおよびアブストラ
クトの質も向上している。
改善が必要な事項
専門演習Ⅰでは、2006 年度カリキュラム改革に基づき、研究成果報告書の提出を義務化
し、それを単位認定の条件としている。
今年度の研究成果報告書については、専門演習Ⅰの登録者 382 人中、341 人(89.3%)の
提出があった。昨年度(登録者 317 人中、283 人(89.3%)に比べ、履修者数は大幅に増加
しているが、提出率には変化が見られない。履修者数の増加は好ましいが、依然として研
究成果報告書を提出しなかった学生は少なくないという意味で、今後提出率の改善が課題
となる。
また、専門演習の発表会である PS Exposition について、今年度の PS エキスポは、昨年
度と比べエントリーした参加者の総数ならびにテーマの総数ともに大幅に増加し、研究活
動での意識が向上しつつあることを確認できた研究発表会となった。全体を通じても概ね
好評であった。しかし、同時に新たな検討課題が生じた。
今年度は昨年度と同様に第一次選考ならびに第二次選考の各分科会参加において、発表
時間に「授業」、「エクステンション講座」あるいは「就職セミナー」がある場合(事前
申請が不可欠)の例外を除き、原則として選考会の開始から終了まで参加することを義務
づけていた。しかし、とりわけ第一次選考において上記の例外を理由にした途中退出者な
らびに早退者が全体的に数多く目立った。ある分科会においては、参加者の大半が途中退
出するケースも生じていた。学生が発表会に参加する意義は、自らの研究を単に発表する
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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だけにとどまらず、審査担当の教員からの発展的なコメントを通じて、研究をより一層深
化させる機会を得るとともに他の学生の研究にも触れ、そこから多くを学ぶことにある。
今後この点を踏まえると、改めて選考会参加についての基本的な原則を修正的に吟味・検
討する必要がある。
【改善方策】
長所の伸長方法
1 回生の小集団科目である基礎演習において、政策実践ディベート、アカデミック・リー
ディング、政策実践ライティング等を通じて、問題解決のために必要な客観的かつ論理的
思考能力の涵養に大きな効果があったことは上で述べた通りである。
今後は、各回生の小集団科目の移行の流れを意識した指導をより徹底することにより、1
回生の基礎演習での学びを土台に、2 回生の研究入門フォーラム、3 回生の専門演習I、4
回生の専門演習Ⅱおよび卒業研究へと政策科学部における学びの展開がより堅固なものと
なるものと考えられる。
また、外国語教育と専門教育の連携強化という観点から、政策科学部では、外国語の運
用能力を高め、学生の外国語実践力を育成するために、コア科目である政策科学演習科目
の提出物に関して、外国語によるタイトルと要約の添付を要件としていることは上で述べ
た通りである。1回生の基礎演習では政策実践レポートの最終提出である研究入門フォー
ラム向けの研究計画書(リサーチ・プロポーザル)、2 回生の研究入門フォーラムでは研究
成果報告書、3 回生の専門演習Ⅰでは研究成果報告書、4 回生の専門演習Ⅱでは卒業論文ま
たは卒業制作を対象としている。2008 年度は、この外国語よるタイトル及び要約に関して
ライティング・チューター制度による支援だけでなく、各政策科学演習科目担当者会議での
指導方針設定を行い、担当者によるチェック体制を整備した。今後は、基礎英語科目につ
いても、研究入門フォーラムの海外プロジェクトと連携をはかることにより、政策科学部
の英語教育全体が専門科目とのつながりをより深め、学生の政策実践力のさらなる向上が
図れるものと考えられる。
問題点の改善方法
専門演習Ⅰの研究成果報告書の提出率向上については、未提出者の実数が 40 名程度であ
ることから、(1)前期から各クラスにおいて、学年末の研究成果報告書提出が単位取得
要件であることの周知を徹底させる、(2)締切日に間に合わなかった学生もいると考え
られることから、提出締め切り日時について学部と各クラスにおいて早い時期から確認を
徹底させる、(3)政策科学部での学びの集大成が卒業研究論文の執筆であり、専門演習
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
117/331
Ⅰはそのベースとなり、専門演習Ⅰの単位取得が専門演習Ⅱおよび卒業研究の前提条件と
なることについて早い段階から学生に意識させること、等の改善策が考えられる。
また、卒業研究論文の提出率向上については、2009 年度に新たな取り組みが実施される
ことになっている。2009 年度に 1 年目として現カリキュラムが適用される「専門演習 II」
は、4 回生前期(第 7 セメスター配当)開講科目であり、その後期(第 8 セメスター)開講
科目となる「卒業研究」のために指導することを目的としている。したがって、「卒業研
究」を履修するためには、「専門演習 II」の成績評価が A+、A、B のいずれかでなければな
らないことが定められていたが、2009 年度に向けて「専門演習 II」では、卒業研究の進捗
状況を報告させ(3,000 字程度を標準とする報告書の提出)、それをもって成績評価の対象
とすることを新たに定めた。これにより、専門演習Ⅱを履修する学生においては、2009 年
度前期より卒業研究に向けての準備がより確実に進展し、さらに卒業研究論文の提出数の
増加、提出率改善につながるものと期待される。
専門演習の発表会である PS Exposition については、2009 年度において開催方法の改革
を実施することとした。これまで、専門演習Ⅰの登録生の約 90%もの学生が一次選考にお
いて発表する形式であったが、これは正課時間内ではなく、火曜日に行われていたため、
上記のように、授業の出席や就職セミナー参加等一部の理由による学生を除き、参加者に
は各分科会において最後まで在室することを要請していた。しかしながら、上記の例外的
理由で発表会を退出する学生が多かったこと、発表会が午後 6 時から 7 時まで長時間に及
び、学生にとっても審査を担当する教員にとっても負担が大きかったこと、等を踏まえて
2009 年度は一次選考を書類審査かつ各専門演習のクラス単位で実施することとした。よっ
て、口頭による発表会は二次選考と最終選考(アカデミック・フェスタ)となる。他の学
生による優れた研究に触れるという観点から、よりスムーズな選考会実施が期待される。
さらに、アカデミックフェスタでは、各専門演習の正課の時間を振り代えることを可能と
したことから、昨年度に比べて、より多くの 3 回生、4 回生が最終選考会に出席するものと
予想される。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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(9)情報理工学部
【到達目標】
情報理工学部の人材育成目標に基づく具体的な教育目標(学生が卒業時に身につけてお
くべき力)は下記の通りである。
①情報科学技術にかかわる専門力量を持つことができる。②情報科学技術にかかわる問
題解決や新たな研究領域を創造できる。③実験・演習科目において体験を通じて実践でき
る。④卒業研究や創成科目において自ら考え実践する「ものづくり」を行うことによって
独創できる。⑤国際社会を舞台に活躍できる人材として英語を専修とした外国語(英語)
により、国際会議での発表や技術交流に対応できる。⑥情報科学技術を学ぶ目的意識を持
つことができる。⑦情報科学技術の高度化による人間、社会、文化などへの影響に関する
深い洞察力を持つことができる。⑧情報科学技術の行き先を見通して自主的、継続的に学
習できる。⑨高度な資格を持つなどキャリア意識を持つことができる。⑩情報科学技術の
素養の上に企画、管理、運営などのマネジメント能力を持つことができる。⑪起業的発想
ができる。
上記の教育目標を実現する教育課程、教育方法を確立するため、情報理工学部では以下
の到達目標を定めている。
1回生で修得すべき到達目標は、自然科学・数学・語学などの基礎学力、情報技術者と
しての正しい倫理観、ならびに情報科学における各分野共通の基礎知識を幅広く習得し、
専門分野を学ぶ上での基礎を固める。また、プログラミングの入門として基礎的な文法お
よびアルゴリズムを習得する。
2回生以上の各学科においては以下に示す到達目標を定めている。
情報システム学科2回生では、情報システムの設計、構築に関する技術を講義で習得す
るとともに実験科目を通じて、ハードウェアや基本ソフトウェアの動作原理を、実践的に
理解する。
情報システム学科3回生では、情報システムの管理、運用ができる技術を身につけると
ともに、大規模なプログラム開発能力を修得する。履修モデルを考慮した個人のキャリア
計画に基づき、ハードウェア系、ソフトウェア系、システム構築管理系に特化した知識を
習得する。
情報システム学科4回生では、研究室ごとに分かれて最先端の研究に触れ、より特化し
た専門的知識の習得を目指す。情報システムの設計、構築、管理、運営といった総合的な
技術を身につけるとともに自発的な学習、研究の能力を確立する。
情報コミュニケーション学科2回生では、情報コミュニケーション及びそのシステムの
基礎的な概念について講義を通して習得するとともに、実験科目によってハードウェア、
ソフトウェア、ネットワークおよび人間から構成されるシステムの動作原理を理解する。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
119/331
情報コミュニケーション学科3回生では、情報通信ネットワークおよびコミュニケーシ
ョンシステムに関する専門知識を学び、新しい分野へ応用できる能力を身につける。また、
実験および創成科目を通して情報コミュニケーションシステム構築にかかわる実践的な能
力を培う。
情報コミュニケーション学科4回生では、習得した知識と技術に基づいて具体的課題を
発見し、それを解決する能力を卒業研究を通して培うとともに、自らの考えを明確かつ論
理的に説明するコミュニケーション能力、プレゼンテーション能力を身につける。
メディア情報学科2回生では、語学などの基礎科目に加えて、プログラミングの発展的
な能力を身につける。さらに、共通専門科目・学科専門科目・実験を通して言語・音声・
図形・画像などのメディア情報をコンピューターで扱うための基礎となる知識と技術を習
得する。
メディア情報学科3回生では、学科専門科目を通して画像系、音・言語系およびヒュー
マンインタフェース系の各分野についての専門的な知識と技術を習得するとともに、実験
を通して実践的な能力を培う。また、演習科目を通して研究活動に取り組むための基礎を
習得する。さらに、卒業研究1を通して専門分野の研究動向および従来研究を把握し、研
究活動に着手する。
メディア情報学科4回生では、卒業研究での本格的な研究活動を通して専門的な知識を
習得するとともに、課題に対する解決方法を発見・実現する能力、および成果をわかりや
すく正確に公表する能力など、技術者や研究者に要求される能力を習得する。併せて、自
主的な学習能力や自己表現能力を身につける。
知能情報学科2回生では、3つの知能情報分野(生体知能、計算知能、機械知能)にお
ける基礎知識を習得する。とくに演習・実験を通して、画像処理や信号処理における具体
的なプログラミング能力を向上させ、生体計測や心理計測技術を習得し、電子回路やセン
サー動作を理解し活用できるようにする。またレポート作成を通して科学技術論文の書き
方の基礎を習得する。
知能情報学科3回生では、3つの知能情報分野(生体知能、計算知能、機械知能)に関
する専門知識をさらに深化・拡充させる。さらに自発的に課題を発見または設定し、適切
な手法を用いて研究を遂行する能力を身につける。
知能情報学科4回生では、卒業研究を通して最先端の研究に触れ、専門的な知識を習得
する。技術者や研究者に必要とされる研究遂行能力、成果を正確かつ効果的に発表するプ
レゼンテーション能力や論文作成能力を習得する。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
120/331
【現状の説明】
①教育課程等
1)学士課程の教育内容・方法
(学部・学科等の教育課程 コード 1301)
130101 教育目標を実現するための学士課程としての教育課程の体系性(大学設置基準第 19
条第 1 項)
情報理工学部は、その教学理念に「情報科学を基礎とした多様な分野の教育・研究
を通じて、グローバルコモンセンスと独創性を持ち、革新的に社会の課題を解決して
いく人材を育成し、また、国際的水準の研究を押しすすめ、社会と連携しつつ、人と
自然との調和に基づいた情報化社会を実現し、人類の幸福に貢献していくこと」を掲
げて、2004 年度に設置され、2007 年度をもって完成年度を迎えた。情報理工学部は、
学部の教学理念に基づく育成すべき人材像を明確にし、その人材を育てるためのカリ
キュラム・プログラムを設定し、以下のような人材の育成を目指してきている。
(1)
情報科学技術に関る確固たる専門性と独創性をかね備えた人材
情報科学技術にかか
わる専門力量を持ち、問題解決や新たな研究領域を創造できる能力を持った人材の育
成を目指してきている。実験・演習科目においても体験を通じて理解を深めるととも
に実践能力を養い、さらに、卒業研究や創成科目において自ら考え実践する「ものづ
くり」を行うことによって独創力の養成を目指している。
(2)国際社会を舞台に活躍
できる人材
英語を専修とした外国語教育に加え、専門分野への導入科目である情報
科学と一部のより専門的な科目を英語で開講し、国際会議での発表や技術交流に対応
できる英語運用能力の育成を目指している。(3)高いキャリア意識をもつ人材
情報
科学技術を学ぶ上での目的意識と、情報科学技術の高度化による人間、社会、文化な
どへの影響に関する深い洞察力を持ち、情報科学技術の行き先を見通して自主的、継
続的に学習できる人材、また、高度な資格を持つなどキャリア意識の高い人材の育成
を目指している。(4)高度な情報技術を適切に活かせる人材
情報科学技術の素養の
上に企画、管理、運営などのマネジメント能力を持った人材、さらに起業的発想を持
ち得る人材の育成を目指している。
情報理工学部のカリキュラムは上記に示す人材を育成するための教育目標を実現す
べく体系化されている。
情報理工学部のカリキュラムは、英語科目、総合教育科目よりなる基礎科目分野、
専門基礎科目、共通専門科目、学科専門科目、特殊講義、キャリア養成科目よりなる
専門科目分野、および随意科目で構成されている。さらに専門基礎科目は数学科目、
基礎科学科目で、共通専門科目は数理科目、情報科目、英語専門科目、特殊講義で、
学科専門科目は実験・演習科目、学科固有科目で構成されている。
基礎科目分野の英語科目においては、国際化・ボーダーレス化の進んだ情報関連産
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
121/331
業においては、知識や情報の収集・発信、さらには対話・討論をするための共通言語
として、英語を運用することは不可欠であり、情報理工学部では、低回生時に基礎科
目の中で英語を専修として集中的に学ぶことにより、英語運用能力の向上を目指して
いる。
基礎科目分野の総合教育科目においては、幅広い教養と確固たる世界観を形成する
ことによって、人生の指針ともなるような知性と知恵、価値観の獲得を目指しており、
情報理工学部では、特に科学、自然、勤労、社会奉仕、スポーツ、社会、文化などの
領域について、自然環境と人間社会からなる世界について、よく理解し、専門分野の
広がりに繋がるような科目群で構成している。また、専門教育の知識体系と価値につ
いて、幅広い視野で考察するための価値観を要請している。
専門科目分野の専門基礎科目においては、数学および自然科学系科目を配置してお
り、コンピューターやプログラミングなど、情報理工学部の高度な専門科目を学ぶ上
で、基礎的素養を磨く上で重要な科目である。専門科目のみならず卒業研究でも、こ
れらの専門基礎科目の知識を応用するため、特に重要となる科目については、学科毎
に
登録必修
を設定し、最低限身につけるべき知識を修得できるようにしている。
専門科目分野の共通専門科目においては、数理科目と情報科目、英語専門科目等で
構成されており、情報理工学部全学科共通の科目構成としている。数理科目は、情報
そのものの数学的表現や分析、情報処理の過程の理解、情報システムの分析・モデリ
ングなどに必要となる科目を配置している。情報科目は、コンピュータのハードウェ
アおよびソフトウェアを学ぶ上で、核となる科目を配置している。また、情報リテラ
シーや作文および調査能力、コミュニケーションと表現能力も養っている。特に、情
報リテラシーやコミュニケーション、表現能力については、1回生専門科目の小集団
科 目 か ら 学 ぶ カ リ キ ュ ラ ム と な っ て い る 。 な お 、「 Information Science 1 」、
「Information Science 2」は、国際的に活躍できる力量を養うための導入科目として
位置づけており、ネイティブの教員が英語で情報科学の基礎を教育し、情報科学分野
でよく使われる英語になれ、英語文献に抵抗のない学生を多く育てる狙いとなってい
る。
専門科目分野の学科専門科目においては、学科の専門領域となる科目であり、学科
の特色を強く打ち出した構成としており、知識を具現化し、学科専門分野の理解をさ
らに深めるものとなっている。また、創成科目を開講しており、知識を集積するだけ
でなく、知識を活用して
ものづくり
を行うことで、主体性・創造性の育成だけで
なく、企画・管理・運営能力、プレゼンテーション能力、コミュニケーション能力を
中心に作文や調査能力を養うことを目的としている。
専門科目分野の特殊講義においては、客員教授等を招聘し、様々なテーマを取り上
げて開講している。
専門科目分野のキャリア養成科目においては、目的別のコース科目群を複数配置し
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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キャリアプランニングに応じて履修する科目であり、多様な学びの要請に応えると共
に、キャリアの向上を目指すものである。「企業連携プログラム」「グローバル IT プロ
グラム」「情報系資格取得プログラム」「MOT プログラム」を開講している。
随意科目は単位の認定はするが「卒業に必要な単位」に含まれない科目であり、他
学部・他学科の科目や教職科目の一部、さらには高校での理系科目の学習が不十分な
学生のために開講されるリメディアル科目(リメディアル数学、リメディアル物理)
を配置している。
130102 教育課程における基礎教育、倫理性を培う教育の位置づけ
情報理工学部の人材育成目標に基づく具体的な教育目標(学生が卒業時に身につけ
ておくべき力)に掲げた、⑥情報科学技術を学ぶ目的意識を持つことができる。⑦情
報科学技術の高度化による人間、社会、文化などへの影響に関する深い洞察力を持つ
ことができる。⑧情報科学技術の行き先を見通して自主的、継続的に学習できる。に
対応して、情報理工学部は、学部の教学理念に照らして基礎教育の体系化を図るとと
もに、情報モラルをはじめ、倫理性を培う教育に取り組んでいる。
基礎科目分野の総合教育科目においては、幅広い教養と確固たる世界観を形成する
ことによって、人生の指針ともなるような知性と知恵、価値観の獲得を目指しており、
情報理工学部では、特に科学、自然、勤労、社会奉仕、スポーツ、社会、文化などの
領域について、自然環境と人間社会からなる世界について、よく理解し、専門分野の
広がりに繋がるような科目群で構成している。また、専門教育の知識体系と価値につ
いて、幅広い視野で考察するための価値観を要請している。
全学の教養教育科目において、情報理工学部が斡旋担当を担っている科目について、
従来どおり 2009 年度に向けた教養科目の基本担当者を置き、基本担当者と授業担当者
による打ち合わせを随時行っている。2009 年度においては、2010 年度の全学の教養教
育科目のカリキュラム改革と連動しながらカリキュラムの見直しを検討する方向を追
求していく。
基礎科目分野の英語科目においては、国際化・ボーダーレス化の進んだ情報関連産
業においては、知識や情報の収集・発信、さらには対話・討論をするための共通言語
として、英語を運用することは不可欠であり、情報理工学部では、低回生時に基礎科
目の中で英語を専修として集中的に学ぶことにより、英語運用能力の向上を目指して
いる。
英語能力の強化に対し、情報理工学部では、入学時学力実態に見られる低学力層の
増加・高学力層の不在に対応するために、「IT に特化した ESP(English for Specific
Purposes)教育」から「スキルを重視する EGAP (English for General Academic Purposes)
教育」へと抜本的なカリキュラム改革を実施した。新カリキュラムでは、低学力層の
底上げとともに中上位層の拡大を目指したものである。そのための具体的な方策とし
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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て、外部試験による単位認定制度・英語開講専門科目アドバンストコースといった制
度整備を行った。
こうしたカリキュラム改革は、確かな結果を生み出した。経年的には、1 回生 12 月
期の TOEIC の平均点としては学部創設以来最も高い平均点(403.0 点)であり,2 回生
についても前年度同時期からの平均点上昇幅が過去最大であった(両回受験者 562 人
の平均点は 1 回生 12 月期 365.3 点から 2 回生 12 月期 387.9 点に上昇)。外部試験によ
る単位認定制度の基準となる 550 点をクリアした学生は 43 名、内 4 単位認定(2 回生
配当科目の全てが履修免除)となる 700 点をクリアした学生は 8 名であった。一方で、
かなりの数(232 人・53%)の 1 回生が未だに 400 点をクリアしておらず、次年度に向
けた課題として残っている。
130105 外国語科目の編成における学部・学科等の理念・目的の実現への配慮と「国際化等
の進展に適切に対応するため、外国語能力の育成」のための措置の適切性
情報理工学部は、その教学理念に「情報科学を基礎とした多様な分野の教育・研究
を通じて、グローバルコモンセンスと独創性を持ち、革新的に社会の課題を解決して
いく人材を育成し、また、国際的水準の研究を押しすすめ、社会と連携しつつ、人と
自然との調和に基づいた情報化社会を実現し、人類の幸福に貢献していくこと」を掲
げて、2004 年度に設置され、2007 年度をもって完成年度を迎えた。情報理工学部は、
学部の教学理念に基づく育成すべき人材像を明確にし、その人材を育てるためのカリ
キュラム・プログラムを設定し、以下のような人材の育成を目指してきている。
(1)
情報科学技術に関る確固たる専門性と独創性をかね備えた人材―情報科学技術にかか
わる専門力量を持ち、問題解決や新たな研究領域を創造できる能力を持った人材の育
成を目指してきている。実験・演習科目において体験を通じて理解を深めるとともに
実践能力を養い、さらに、卒業研究や創成科目においても自ら考え実践する「ものづ
くり」を行うことによって独創力の養成を目指している。
(2)国際社会を舞台に活躍
できる人材―英語を専修とした外国語教育に加え、専門分野への導入科目である情報
科学と一部のより専門的な科目を英語で開講し、国際会議での発表や技術交流に対応
できる英語運用能力の育成を目指している。(3)高いキャリア意識をもつ人材―情報
科学技術を学ぶ上での目的意識と、情報科学技術の高度化による人間、社会、文化な
どへの影響に関する深い洞察力を持ち、情報科学技術の行き先を見通して自主的、継
続的に学習できる人材、また、高度な資格を持つなどキャリア意識の高い人材の育成
を目指している。(4)高度な情報技術を適切に活かせる人材―情報科学技術の素養の
上に企画、管理、運営などのマネジメント能力を持った人材、さらに企業的発想を持
ち得る人材の育成を目指している。
専門科目分野の専門基礎科目においては、数学および自然科学系科目を配置してお
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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り、コンピューターやプログラミングなど、情報理工学部の高度な専門科目を学ぶ上
で、基礎的素養を磨く上で重要な科目である。専門科目のみならず卒業研究でも、こ
れらの専門基礎科目の知識を応用するため、特に重要となる科目については、学科毎
に
登録必修
を設定し、最低限身につけるべき知識を修得できるようにしている。
専門科目分野の共通専門科目においては、数理科目と情報科目、英語専門科目等で
構成されており、情報理工学部全学科共通の科目構成としている。数理科目は、情報
そのものの数学的表現や分析、情報処理の過程の理解、情報システムの分析・モデリ
ングなどに必要となる科目を配置している。情報科目は、コンピューターのハードウ
ェアおよびソフトウェアを学ぶ上で、核となる科目を配置している。また、情報リテ
ラシーや作文および調査能力、コミュニケーションと表現能力も養っている。特に、
情報リテラシーやコミュニケーション、表現能力については、1回生専門科目の小集
団 科 目 か ら 学 ぶ カ リ キ ュ ラ ム と な っ て い る 。 な お 、「 Information Science 1 」、
「Information Science 2」は、国際的に活躍できる力量を養うための導入科目として
位置づけており、ネイティブの教員が英語で情報科学の基礎を教育し、情報科学分野
でよく使われる英語になれ、英語文献に抵抗のない学生を多く育てる狙いとなってい
る。
専門科目分野の学科専門科目においては、学科の専門領域となる科目であり、学科
の特色を強く打ち出した構成としており、知識を具現化し、学科専門分野の理解をさ
らに深めるものとなっている。また、創成科目を開講しており、知識を集積するだけ
でなく、知識を活用して
ものづくり
を行うことで、主体性・創造性の育成だけで
なく、企画・管理・運営能力、プレゼンテーション能力、コミュニケーション能力を
中心に作文や調査能力を養うことを目的としている。
専門科目分野の特殊講義においては、客員教授等を招聘し、様々なテーマを取り上
げて開講している。
専門科目分野のキャリア養成科目においては、目的別のコース科目群を複数配置し
キャリアプランニングに応じて履修する科目であり、多様な学びの要請に応えると共
に、キャリアの向上を目指すものである。「企業連携プログラム」「グローバル IT プロ
グラム」「情報系資格取得プログラム」「MOT プログラム」を開講している。
基礎科目分野の総合教育科目においては、幅広い教養と確固たる世界観を形成する
ことによって、人生の指針ともなるような知性と知恵、価値観の獲得を目指しており、
情報理工学部では、特に科学、自然、勤労、社会奉仕、スポーツ、社会、文化などの
領域について、自然環境と人間社会からなる世界について、よく理解し、専門分野の
広がりに繋がるような科目群で構成している。また、専門教育の知識体系と価値につ
いて、幅広い視野で考察するための価値観を要請している。
全学の教養教育科目において、情報理工学部が斡旋担当を担っている科目について、
従来どおり 2009 年度に向けた教養科目の基本担当者を置き、基本担当者と授業担当者
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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による打ち合わせを随時行っている。2009 年度においては、2010 年度の全学の教養教
育科目のカリキュラム改革と連動しながらカリキュラムの見直しを検討する方向を追
求していく。
外国語教育の授業科目に関しては、英語1∼10 へと系統的履修を行うこととなって
おり、学生の英語力のレベルに応じて系統的に外国語科目を履修させるカリキュラム
となっているが、学部の専門分野に対応できる英語力を卒業時までに習得できること
を目指して外国語学習を効果的に継続させて学生の英語力を高めてゆくことが今後の
目標である。
130106 教育課程の開設授業科目、卒業所要総単位に占める専門教育的授業科目・一般教養
的授業科目・外国語科目等の量的配分とその適切性、妥当性
情報理工学部の人材育成目標に基づく具体的な教育目標(学生が卒業時に身につけ
ておくべき力)に掲げた、①情報科学技術にかかわる専門力量を持つことができる。
③実験・演習科目において体験を通じて実践できる。④卒業研究や創成科目において
自ら考え実践する「ものづくり」を行うことによって独創できる。⑤国際社会を舞台
に活躍できる人材として英語を専修とした外国語(英語)により、国際会議での発表
や技術交流に対応できる。⑨高度な資格を持つなどキャリア意識を持つことができる。
⑩情報科学技術の素養の上に企画、管理、運営などのマネジメント能力を持つことが
できる。⑪起業的発想ができる。に対応して、教養科目、専門科目、外国語科目等に
関して、量的配分の適切性、妥当性を確保するために卒業に必要な科目分野別必要単
位数は以下のように定めている。
基礎科目分野では英語科目10単位、総合教育科目14単位以上の合計24単位以
上、専門科目分野では専門基礎科目(数学科目、基礎科学科目)12単位以上、共通
専門科目(数理科目、情報科目、英語専門科目、特殊講義)32単位以上、学科専門
科目(実験・演習科目、学科固有科目)と特殊講義で46単位以上、またキャリア養
成科目は10単位を上限として卒業に必要な単位として認め、専門科目分野合計で1
00単位以上を定め、合計124単位以上を持って卒業に必要な単位数としている。
130107 基礎教育と教養教育の実施・運営のための責任体制の確立とその実践状況
情報理工学部の人材育成目標に基づく具体的な教育目標(学生が卒業時に身につけ
ておくべき力)に掲げた、⑥情報科学技術を学ぶ目的意識を持つことができる。⑦情
報科学技術の高度化による人間、社会、文化などへの影響に関する深い洞察力を持つ
ことができる。⑧情報科学技術の行き先を見通して自主的、継続的に学習できる。に
対応して、教養教育の充実・発展のために全学共通教育推進機構と学部の教育目標を
実現するために連携して科目精選を進め、受講利便性の確保と教員の質を確保するこ
とを目標に実施している。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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130108 カリキュラム編成における、必修・選択の量的配分の適切性、妥当性
情報理工学部の人材育成目標に基づく具体的な教育目標(学生が卒業時に身につけ
ておくべき力)に掲げた、①情報科学技術にかかわる専門力量を持つことができる。
②情報科学技術にかかわる問題解決や新たな研究領域を創造できる。③実験・演習科
目において体験を通じて実践できる。④卒業研究や創成科目において自ら考え実践す
る「ものづくり」を行うことによって独創できる。⑤国際社会を舞台に活躍できる人
材として英語を専修とした外国語(英語)により、国際会議での発表や技術交流に対
応できる。に対応して、カリキュラム編成上、必修・選択科目が教育目標との関係か
ら適切、かつ妥当に配置することを目標に実施した。
必修科目は必ず履修し単位を修得しなければならない科目であり、単位を修得でき
なかった場合には再度履修をし、単位を修得しなければ卒業できない科目である。ま
た、登録必修科目は系統履修をする上で非常に重要な科目であり、単位を修得しなけ
れば卒表できないわけではないが、必ず受講登録をし、履修しなければならない科目
である。
必修科目は、基礎科目分野の英語科目10単位、専門科目分野の基礎専門科目(情
報科目)で4単位、専門科目分野の学科専門科目(実験・演習科目)で12単位、情
報コミュニケーション学科では学科固有科目で6単位を設定している。
登録必修科目は、専門家科学分野の専門基礎科目(数学科目)で12単位、共通専
門科目(数理科目、情報科目、英語専門科目)で24単位、情報システム学科では学
科固有科目で10単位、情報コミュニケーション学科では学科固有科目で10単位、
メディア情報学科では学科固有科目で8単位、知能情報学科では学科固有科目で10
単位を設定している。
(カリキュラムにおける高・大の接続 コード 1302)
130201 学生が後期中等教育から高等教育へ円滑に移行するために必要な導入教育の実施状
況
情報理工学部の人材育成目標に基づく具体的な教育目標(学生が卒業時に身につけ
ておくべき力)に掲げた、①情報科学技術にかかわる専門力量を持つことができる。
②情報科学技術にかかわる問題解決や新たな研究領域を創造できる。⑥情報科学技術
を学ぶ目的意識を持つことができる。⑦情報科学技術の高度化による人間、社会、文
化などへの影響に関する深い洞察力を持つことができる。⑧情報科学技術の行き先を
見通して自主的、継続的に学習できる。に対応して、情報理工学部では、2008 年度の
学部改革において、1 回生カリキュラムの共通化、学部一括入試の導入、2 回生進級時
における学科選択、進級制度改革を行ってきた。それに伴い情報理工学部のカリキュ
ラム改革を行い、2008 年度入学生から新カリキュラムでの教育を開始した。1回生科
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
目の共通化
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導入期教育として、従来まで学科ごとに設定していた「情報理工学序論
1」を学部共通科目として設定し、さらに2回生時の学科選択のため各学科の研究教
育内容を伝えるため、「情報理工学序論2」を新たに設定した。「情報理工学序論1」
においては、情報学を学ぶ上で理解しておくべき基本的な事柄として、コンピュータ
ーリテラシ、学びの形成、グループワークを設定した。「情報理工学序論2」において
は、情報技術者に求められる倫理と情報学における4つの学問分野 (情報システム学、
情報コミュニケーション学、メディア情報学、知能情報学) における情報処理技術の
現状や研究目標を学習する。プログラミング教育として、プログラミング言語を共通
に C 言語を設定し、「プログラミング演習1,2」を実施した。また、計算機科学の基
礎的な内容として、「計算機科学入門1,2」を設定した。「計算機科学入門1」にお
いては、「プログラミング演習」において計算機を利用する際に必要になる計算機の利
用方法、ハードウェア、ソフトウェアの基礎的な知識と文書作成方法を設定し、
「計算
機科学入門2」においては、「プログラミング演習」で実施するプログラミングの理解
を高め、2 回生前期にて始まる学部コア科目を理解する上で必須の基礎的用語や概念と
して、状態遷移、プログラミング、ソフトウェア、ネットワークについての諸概念お
よびシェル・プログラミングを設定した。2008 年度に向けては、共通科目である演習、
基礎科目のカリキュラム内容の改良と教科書化の検討とクラス間の質の均衡化を図る
ため、提示、各クラス担当教員のミーティングの回数を増やすなどの対応を行う予定
である。
高大連携、付属校や協定校との連携、立命館守山高校との間で、アドバンストプレ
イスメント科目として、講義系科目の「プログラミング言語」「データ構造とアルゴリ
ズム」、演習系科目の「プログラミング演習1」「プログラミング演習2」を立命館守
山高校で開講した。演習系科目については、BKC で開講されている同じ環境を実現する
ため、同程度の TA を配置し、守山高校の学生に対してプログラミングの教育を実施し
た。また、計算機科学の基礎的な内容を教える「計算機科学入門1」
「計算機科学入門
2」を BKC において開講した。立命館高校のスーパー・サイエンス・ハイスクール(SSH)
プログラムの一環として実施している高大連携講義「最先端科学入門」の拡充も実施
した。このように高校から大学院までを統合的・総合的に教育する体制を整えつつあ
る。
(インターンシップ、ボランティア コード 1305)
130501 インターンシップを導入している学部・学科等における、そうしたシステムの実施
の適切性
情報理工学部の人材育成目標に基づく具体的な教育目標(学生が卒業時に身につけ
ておくべき力)に掲げた、①情報科学技術にかかわる専門力量を持つことができる。
②情報科学技術にかかわる問題解決や新たな研究領域を創造できる。⑥情報科学技術
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
128/331
を学ぶ目的意識を持つことができる。⑦情報科学技術の高度化による人間、社会、文
化などへの影響に関する深い洞察力を持つことができる。⑧情報科学技術の行き先を
見通して自主的、継続的に学習できる。⑨高度な資格を持つなどキャリア意識を持つ
ことができる。⑩情報科学技術の素養の上に企画、管理、運営などのマネジメント能
力を持つことができる。⑪起業的発想ができる。に対応して、立命館大学全学インタ
ーンシップ・プログラムを通じて自らの専門分野を深め、実践的な能力を修得すると
ともに自己理解を深め職業の実像をつかみながら、将来の進路選択として確かな職業
観を身につけることを目標に実施した。また、インターンシップの発展型学習プログ
ラムであるコーオプ教育にも取り組んでいる。
130502 ボランティア活動を単位認定している学部・学科等における、そうしたシステムの
実施の適切性
情報理工学部の人材育成目標に基づく具体的な教育目標(学生が卒業時に身につけ
ておくべき力)に掲げた、⑥情報科学技術を学ぶ目的意識を持つことができる。⑦情
報科学技術の高度化による人間、社会、文化などへの影響に関する深い洞察力を持つ
ことができる。⑧情報科学技術の行き先を見通して自主的、継続的に学習できる。に
対応して、「学校インターンシップ」として個別の学校・教育委員会と協定や覚書を結
び、必要な手続きを行った学生については学校ボランティア活動に対する単位認定を
実施している。教職を目指す学生にとって4回生時の教育実習の前に、1、2回生時
に学校ボランティア、3回生時に学校インターンシップを経験し教育現場の実態を学
ぶ機会として有益である。
(授業形態と単位の関係 コード 1306)
130601 各授業科目の特徴・内容や履修形態との関係における、その各々の授業科目の単位
計算方法の妥当性
大学設置基準に基づき、1単位は、1セメスター(15週)において、45時間の
学習時間(授業時間15時間、予習・復習各15時間)を要するものであり、単位制
度の実質化や授業外学習時間を担保し、大学設置基準に則し、各授業の形態に合わせ、
認定単位を適正化するために、毎週1回あたりの授業は90分を基本として、これを
2時間として計算して実施している。授業科目2単位では毎週1回90分の授業が、
1つのセメスターに15週実施され、予習・復習を行うことで、2単位の学習量を勉
強したことが認められる。なお、語学や演習などは科目の性格によって、授業と予習・
復習の時間構成が異なっている。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
129/331
(単位互換、単位認定等 コード 1307)
130701 国内外の大学等での学修の単位認定や入学前の既修得単位認定の適切性(大学設置
基準第 28 条第 2 項、第 29 条)
大学コンソーシアム京都単位互換制度、環びわ湖大学コンソーシアム単位互換制度、
留学(UBC ジョイントプログラム、交換留学)
、CLA が実施する海外研修の各制度やプ
ログラムに参加した場合に、入学後の「他大学等における学修」として一定の基準を
設けて単位認定を行っている。入学前単位認定・入学後単位認定合わせて60単位を
上限としている。
(開設授業科目における専・兼比率等 コード 1308)
130801 全授業科目中、専任教員が担当する授業科目とその割合
学部の教育目標に貢献する中核的授業に関して専任率を向上させることを目標に実
施し、理工系他学科へ斡旋依頼をしている専門基礎科目を除き、専門科目はほぼすべ
て専任教員が担当している(2008 年度: 98%)。今後も引き続き高いレベルでの専門
科目の専任担当比率を堅持する。
130802 兼任教員等の教育課程への関与の状況
専門科目はほぼすべて専任教員が担当している(2008 年度:
98%)ため、兼任教
員の割合は少ないが、兼任教員の教育課程への関与を深めるために、兼任教員に対す
る学部の理念や教育目標についての十分な説明を実施した。
(社会人学生、外国人留学生等への教育上の配慮 コード 1309)
130901 社会人学生、外国人留学生、帰国生徒に対する教育課程編成上、教育指導上の配慮
JDS 留学生、アジア人財資金構想プロジェクト、ベトナム IT 人材育成支援プロジェ
クトなどを通じて多くの留学生を、ベトナム、中国を中心とするアジア地域から受け
入れてきた。これらの留学生の選考に当たっては、書類審査とともに、現地での面接
やインターネットインタビューなどを実施して学力や適性の審査を行っている。APU か
らの留学生を 2 回生編入する制度は 2009 年度 4 月の受入れをもって終了するが、編入
前には日本語を中心とするスタートダッシュ支援プログラムを実施した。また留学生
を支援する試みとして、08 年 7 月に、留学生交流会を開催し、教職員と留学生の交流
を促進した。今後は日本人学生による留学生支援を制度として整備する。
②教育方法等
(教育効果の測定 コード 1310)
131001 教育上の効果を測定するための方法の有効性
本学部の教学の基本の一つである情報科学技術に関する確固たる専門性と独創性を
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
130/331
かね備えた人材の育成という教育目標に対して、卒業時の効果を測定することを目標
に、3 回生を対象として、9 月に、学部統一試験(基本情報技術者試験に準拠)および
学科独自試験からなる到達度検証試験を実施し、87%の受験率を達成した。卒業研究指
導教員により学生一人一人に到達度検証結果をフィードバックするとともに、学部統
一試験および学科ごとの学科独自試験の結果の公表の掲示を行った。今後は、問題の
精選や実技の導入など、内容の改善を検討する。
131002 卒業生の進路状況
理工系では大学院進学が就職を有利にする。08 年後期からの経済状況悪化などによ
り大学院進学率の低下が予想されるが、進路・就職セミナーなどを通じて大学院進学
を勧めている。就職先として、電機や自動車などの製造業とともに、ソフトウェア業
界を希望する学生が多いため、優良なソフトウェア会社を選別した情報理工学部独自
のセミナーを 2007 年度に引き続き 2008 年度にも実施した。また、現代GPの資金を
活用し、学部独自のキャリアセミナーを実施し、学生の業界・企業・職種研究の機会
を豊富化した。また、就職を有利にするための資格対策講座として、
「資格対策科目1
∼6」を開講した。資格対策科目1については、試験実施団体である「情報処理推進
機構(IPA)」が定める「午前試験免除対象科目履修講座」の認定を受けるところであ
ったが、手続き上のミスにより午前試験免除の認定を受けることができなかった。合
格率については、2007 年度に当初目標としていた 40%(全国平均の2倍)を達成し、
情報系の大学の平均的な合格率の倍を達成しており、2008 年度についても同程度を目
指す。さらに、学生の自主性に基づく情報科学技術への取り組みであるプロジェクト
団体の活動、企業連携プログラム(「連携講座1∼6」)、MELPEC プログラム(LSI 関連
6 科目)、MOT プログラム(「マーケティング・リサーチ」など 6 科目)など、最先端の
情報科学技術に関連する各種プログラムを充実させてきている。
以上の取組を通じて、卒業生の進路状況は 2008 年度で、卒業者数 567 名に対して進
路・就職決定率 93.8%(大学院進学率 39.5%、就職決定率 97.2%)という、他学部と比
べても優れた結果となっている。この就職決定率の数値は、学部創設前の情報学科の
ときの 2003 年 89.7%、学部創設年の 2004 年 91.6%から、わずかずつではあるが確実に
伸びてきている。2008 年度の就職先としては、採用数の多い順に、富士通(11 名)、
日立製作所(9)、TIS(9)、三菱電機(8)、日本電気(8)
、大日本印刷(8)、デンソー
(8)、NEC システムテクノロジー(7)、富士ゼロックス(6)
、日立システムアンドサー
ビス(6)、日本アイ・ビー・エム(5)、NTT データ(5)などとなっており、大手企業
に多く就職できている。業種別では、サービス 52.1%、大手製造業 31.1%、金融 6.6%
と、学部の特徴を活かしてソフトウェア産業や製造業に就職していることが分かる。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
131/331
(成績評価法 コード 1311)
131101 厳格な成績評価を行う仕組みと成績評価法、成績評価基準の適切性
2008 年度のカリキュラム改革においては、専門基礎科目については大幅な変更は行
わなかった。しかしながら、学部全体で共通の開講となり、数学系の科目ではクラス
数が増加するため、学科選択時の成績による配属先の判定もあることから、クラス間
の成績の均衡化を図る必要があった。2008 年度については、数学系の科目についてク
ラスでの成績分布の目安を設定し、それを基に成績評価を行った。
131102 履修科目登録の上限設定等、単位の実質化を図るための措置とその運用の適切性
1 年間に履修登録できる単位数の上限を1回生では46単位、2回生以上では48単
位までとして履修科目登録の上限設定を設けて実施している。
131103 各年次および卒業時の学生の質を検証・確保するための方途の適切性
一定の段階で単位取得状況を点検し、適宜指導を行う制度を導入して実施している。
2回生終了時に(a)英語科目の中から6単位、および(b)1回生配当の必修科目
を修得し、かつ(c)各学科で定められた要卒総修得単位数を満たしていない場合に
は再度2回生となり3回生に進級できない進級制度を導入している。
3回生の卒業研究室配属決定者に対して「卒業研究1」(3回生後期配当)の履修ま
でに「到達度検証試験」を実施している。2008 年度において、到達度検証試験は、学
部統一試験(基本情報技術者試験に準拠)および学科独自試験(9 月 25 日)を実施し
た。受験率は、87%であった。結果については、卒業研究指導教員により学生一人一
人に到達度検証結果をフィードバックするとともに、学部統一試験および学科ごとの
学科独自試験の結果の公表の掲示を行った。
また、3回生では前期中に研究室に配属され、全員が「卒業研究1」を受講する必
要があり、「卒業研究1」の単位を修得しなければ、次年度に「卒業研究2」「卒業研
究3」(4回生配当)を履修することができない。
4回生配当の「卒業研究2」「卒業研究3」を受講するためには「卒業研究1」の単
位を修得していることに加えて、3回生終了時点で、各学科で定められた必要単位数
(要卒)を修得している必要がある。
卒業するには、4年以上在学し、卒業に必要な単位数を修得しなければならない。
卒業に必要な単位は、科目分野ごとに必要な単位数が定められており、必ず修得しな
ければならない。
(履修指導 コード 1312)
131201 学生に対する履修指導の適切性
入学時において開講方針の説明をはじめ、オリターなどのピア・サポーターを活用
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
132/331
するなど、オリエンテーションを充実し、有効適切な履修指導を実施している。また、
進級時においては各回生ごとに履修ガイダンスを実施し、各回生時における履修の重
点事項の指導を行っている。さらに、授業への質疑応答や日常的な履修指導を初め、
きめこまかい対応を行い、実施し、学生の学習意欲向上を図っている。
131202 留年者に対する教育上の措置の適切性
学部事務室を中心に5年以上の在学生の履修状況、出席状況を把握し、本人並びに
担当教職員との継続的な相談体制を作り、留年者に対する教育上の措置を実施してい
る。
131203 科目等履修生、聴講生等に対する教育指導上の配慮の適切性
科目等履修生、聴講生の学習上の利便を図る取り組みを実施している。
(教育改善への組織的な取り組み コード 1313)
131301 学生の学修の活性化と教員の教育指導方法の改善を促進するための組織的な取り組
み(ファカルティ・ディベロップメント(FD))およびその有効性
文部科学省、経済産業省の助成事業に応募し、以下のような外部資金を獲得し、学
部におけるFD活動に直接寄与した。①「IT 人材育成のための実践的キャリア教育」
(2006 年度∼2008 年度)
:2006 年文部科学省「現代的教育ニーズ取組支援プログラム」
に採択され、情報理工学部のキャリア養成プログラム等の充実に取り組んだ。②「大
学における組込み技術キャリア教育プログラムの開発」(補助事業は 2006 年度のみ。
2007 年度以降は正課科目として開講)
:2006 年度経済産業省「産学協同実践的 IT 教育
訓練基盤強化事業」に採択され、情報技術に秀でた学部学生および大学院生を対象と
して、組み込みソフトウェア技術の講座を開講し、我国の今後の IT 技術の中心的技術
となる組み込みソフトウェア関連の技術者を育成している。③「高度なソフトウェア
技術者育成と実プロジェクト教材開発を実現する融合連携専攻の形成」
(2006 年度採択。
2007 年度以降も継続実施):2006 年度文部科学省「先導的 IT スペシャリスト育成推進
プログラム」に大阪大学など 9 大学連携で採択され、現実の開発プロジェクトそのも
のを教材としたソフトウェア技術者の教育プログラムを開発している。また、学部F
D委員会が教育開発推進機構や全学共通教育推進機構と連携し、学生の学修の活性化
や教育指導方法の改善、学生の学修支援方法に関する会議、ピア・レビュー、研修会、
講演会、実技講習会を毎年年度当初に企画・公表し、計画的に実施することを目標に
実施し、小人数科目を除く全科目に対するインタラクティブシートの実施と教員への
結果のフィードバック、全科目を対象とした授業アンケートの実施と結果の教員への
フィードバック、TA および ES の実験演習系授業を中心とした積極的活用などを達成し
た。情報理工学部の科目体系は1回生からの積み上げ式になっており、特に1回生で
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
133/331
のプログラミングの初年次教育が重要となるため、特に手厚くTAを配置している。
今後は、授業アンケートの回収率が低いことを受けて、授業アンケートの内容や実
施方法について、全学的な議論を行って行きたい。さらに学生と継続的に意見交換を
行い、教育改善に反映することを目標として、半期に 1 度ずつの五者懇談会を実施し
た。その他、学部FD委員会において、本教育改革総合指標をもとに年間並びに学部
開設後4年間の総合的な FD 活動の総括を行った。次年度及び次期間の取り組みに活か
したい。
131302 シラバスの作成と活用状況
シラバスの必要項目に適切に情報を記入することを目標として、教員に対してシラ
バス作成上の注意点の徹底と、3 月の時点で全科目について FD 委員会にてシラバスの
点検を実施し、学生にとって有用なシラバスとするようにした。今後もこのような取
り組みを継続して実施する。
131303 学生による授業評価の活用状況
授業アンケート、インタラクティブシートによる学生の声を集約する仕組みを整え、
その結果を教授会等で議論して、改善に向けて具体的対応が取り組まれることを目標
に、前後期とも、インタラクティブシートおよび授業アンケートを実施した。インタ
ラクティブシートについては、受講者が 10 名以下の科目、卒業研究、オムニバス講義、
実験演習系を除く全授業で、前後期ともに実施し、対象授業 99 について読み取り枚数
6,058 枚を達成した。授業アンケートについては、受講者が 10 名以下の科目、卒業研
究、オムニバス講義を除く全授業で、前後期ともに実施し、98%以上の授業で実施でき
た。これは全学的には留学生科目に次ぐ高い実施率であり、教員の意識の高さを示す
指標であり、学部設置以来、継続的な試みを実施してきた成果として高く評価したい。
しかしその一方で、現場の教員の実感として、講義系科目の場合には欠席者も少な
くない状況の中で、回答する学生数が 3 割前後であり、学生の意識は決して高くはな
いと考えている。授業アンケートの重要性を学生に改めてアピールする必要はあるが、
多数の授業に対して同じ時期に集中的に同様のアンケートを実施することの学生にと
っての心理的負担について疑念を呈したいとともに、授業評価の実質化の点からは、
モニター学生による評価など、別の方法の検討も必要ではないかと考え、全学的に議
論したい。
131304 卒業生に対し、在学時の教育内容・方法を評価させる仕組みの導入状況
実施していない。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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131305 教育評価の結果を教育改善に直結させるシステムの確立状況とその運用の適切性
①学生による満足度調査を多角的・経年的に行うための仕組みを整える、②自らの
教育目標や育成する学生像の達成状況を把握するシステムを確立し、調査結果を FD 委
員会や教授会での議論を通じて、教育改善に生かす取り組みを進める、③雇用主に対
しての調査(アンケート、インタビュー、意見交換会など)の経年的に行うための仕
組みを整えることを目標とし、小人数科目、卒業研究、オムニバス講義を除く全授業
で、統一的内容の授業アンケートを学部開設後継続して実施してきている。結果は教
員にフィードバックされ、必要に応じて、FD 委員会が教員と面接するなどしている。
また五者懇談会の場で学生の代表と授業に関する問題点について意見交換を実施して
いる。
(授業形態と授業方法の関係 コード 1314)
131401 授業形態と授業方法の適切性、妥当性とその教育指導上の有効性
授業の到達目標と照らし合わせ、各授業の内容、方法の適正化に関して必要なピア・
レビューを実施し、個別授業の改善を図ることを目標にして、特に学部共通科目につ
いては担当者会議を、セメスター前、および必要に応じて開講中に開催し、教員間で
教授内容や方法、評価基準・方法の統一を図るとともに、学生の理解を促進するため
の改善点の議論などを実施した。議論の結果を次年度の開講に活かしたい。
131402 多様なメディアを活用した授業の導入状況とその運用の適切性
授業でコースツールやICTの活用を促進し、適切に運用することを目標とし、必
要なソフトウェアの整備、序論や演習などの学部共通科目の場合にはコースツールの
統一などを図った。また教学部に対して教室でのスクリーンの設置および音響設備の
改善を申し入れ、実現した。
131403「遠隔授業」による授業科目を単位認定している大学・学部等における、そうした
制度の運用の適切性
教養科目において 3 科目のオンデマンド科目を開講し、15 名が受講、うち 12 名が単
位を取得した。授業時間に縛られず受講できるという利点があることから、上回生の
受講が目立つ。
(3年卒業の特例 コード 1315)
1315014年未満で卒業もしくは大学院への進学を認めている大学・学部等における、そう
した制度の運用の適切性
立命館大学情報理工学部3回生に在籍中であること、3回生前期終了時に卒業要件
科目の取得単位数が100単位以上であること、および3回生前期終了時までの学部
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
135/331
成績の累積GPAが3.95以上であることを条件に、大学院理工学研究科への飛び
級入学試験の受験資格としている。入学資格としては、受験に合格すると共に、立命
館大学情報理工学部3回生を修了していること、3回生終了時に卒業要件科目の取得
単位数が120単位以上であること、および3回生終了時の学部成績の累積GPAが
3.95以上であることを条件に、大学院への進級を認めている。
③国内外との教育研究交流
(国内外との教育研究交流 コード 1316)
131601 国際化への対応と国際交流の推進に関する基本方針の適切性
学部の設立理念において国際性を持った技術者の育成を掲げ、学部独自の短期留学
制度の実施や留学生の積極的な受け入れ、大学院 GP などによる院生の海外インターン
シップの実施など、着実に実行してきている。特に「海外 IT 研修プログラム」につい
ては、春期のクイーンズランド工科大学(豪州)、夏期のワシントン大学(米国)およ
びインド・プネという3レベルのプログラムを学部開設時より順次立ち上げて来てお
り、IT 技術の集中的な学習を英語で行っている。2008 年度までに、のべ 140 名の学生
が学部独自の IT 研修プログラムに参加している。このほか、15 名の学部学生が国際会
議等で発表、13 名の学生が本学理工学研究科国際プログラムへと進学を果たしている。
また 08 年には大連市と理工系の研究・教育に関する協力についての覚書を締結すると
ともに、大連理工大学のソフトウェア学院、電子情報学院、機械学院との間で、それ
ぞれ連携を強化することで合意した。それを受けて 08 年度より大連工科大学と連携し
た国際ワークショップ"Asian Joint Workshop on Information Technology"を開催す
ることとした。初年度として大連理工大学に本学から教員 8 名、大学院生 17 名、職員
4 名が参加し、大連理工大学からも同規模の参加を得て、教員が互いの最新の研究成果
の報告を行うとともに、大学院生および学部学生によるポスターセッションを開催し
た。その結果、教員間、学生間、職員間で親密な交流が行われた。さらに、各学科で
最低ひとりの外国人教員を受け入れており、学部の専門講義を英語で行うだけでなく、
研究室において日常的な研究指導を学部学生や院生に行っている。外国人教員による
講義としては、1回生を対象として、専門科目の基礎的な内容を外国人教員により英
語で学ぶという「情報科学 1・2」を開講してきた。それに続く共通専門科目「ソフト
ウェア工学」「コンピューターネットワーク」「計算機構成論」の英語クラス開講(2
回生対象・日本語クラスかいずれかを選択)、および「最新技術修得プログラム」にお
ける英語開講専門科目(3回生配当・選択科目)の展開と、系統的に学ぶことができ
る仕組みを用意してきた。2008 年度入学生から、外部試験による単位認定制度を導入
し、同制度により単位を認定された場合は 2 回生配当英語科目の履修が免除されるシ
ステムを構築した。また、1 回生前期末までに TOEIC 550 点(相当)以上の英語学力を
有する層は、学部英語開講専門科目を 1 回生後期から先行して履修できるアドバンス
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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トコースを導入した。これら制度導入に併せて、プレイスメントテストにおいて 150
点以上を取得した学生に対して、教育力強化予算を充てて 6 月に実施される TOEIC-IP
団体受験の受験料補助を行った。これにより、従来は 10 数名程度であった 6 月期
TOEIC-IP 団体受験の受験者数は 124 名へと増加し、内、26 名が単位認定・履修免除制
度、およびアドバンストコース履修の基準となる 550 点をクリアした。低学力層の底
上げと中上位層の拡大を目指し、それぞれ一定の条件をクリアした学生を対象として、
TOEIC 受験料の半額補助、
CLA 講座受講料補助制度等を実施し、
一定の効果が見られた。
131603 国内外の大学との組織的な教育研究交流の状況
情報理工学部の国際化を支える教学プログラムとして「海外 IT 研修プログラム」を
実施しており、春期のクイーンズランド工科大学(豪州)
、夏期のワシントン大学(米
国)およびインド・プネにおいて IT 技術の集中的な学習を英語で行うプログラムを開
講している。2008 年度までに、のべ 140 名の学生がこれらの学部独自の IT 研修プログ
ラムに参加している。3 つのプログラムのすべてに参加する学生も出てきており、英語
に対する学習意欲が着実に向上してきていると思われる。ただし学科間で参加者数に
有意な差があるため、いずれの学科からも均一に参加者が出てくるよう、広報の方法
などを工夫したい。このほか、15 名の学部学生が国際会議等で発表、13 名の学生が本
学理工学研究科国際プログラムへと進学を果たした。また確実に全数を把握できてい
ないが、奨学金申請における記述などから、大学院学生の国際会議での発表件数は着
実に増加してきている。国際的に活躍する学生は着実に増えてきている。また、理工
学研究科、理工学部と共同して、南台科技大学、大連理工大学、ハノイ工科大学を始
めとするアジア諸大学と教育研究連携を推進している。特に大連理工大学とは、2008
年度より学部レベルで毎年ワークショップを開催することとしており、教職員だけで
なく、院生および学部生も発表者として参加している。08 年度のワークショップは大
連で開催されたが、本学部の学生の発表は 20 件に上った。さらに留学生が 70 名を超
す現状に鑑み、教職員と留学生、留学生どうしの交流を促進する留学生交流会を開催
した。これについては今後、日本人学生による継続的な交流制度として発展させて行
きたい。なお、国際会議で発表する学生が増加する中で、学部学生や修士学生の交通
費・滞在費の補助が問題となってきている。現時点では、半額補助であり、残りは学
外資金など指導教員の努力に頼っているのが現状である。大学として国際化を志向し
ている以上、全額補助、あるいは年間で一定額内で自由に海外で発表できる補助など
の、他大学では施行済みの制度を導入することが急務である点を指摘しておきたい。
【点検・評価】
目標の達成度
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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1)カリキュラム改革の概要・進捗状況
情報理工学部では、2008 年度の学部改革において、1 回生カリキュラムの共通化、
学部一括入試の導入、2 回生進級時における学科選択、進級制度改革を行ってきた。そ
れに伴い情報理工学部のカリキュラム改革を行い、2008 年度入学生から新カリキュラ
ムでの教育を開始した。
①1回生科目の共通化
導入期教育として、従来まで学科ごとに設定していた「情報理工学序論1」を学部
共通科目として設定し、さらに2回生時の学科選択のため各学科の研究教育内容を伝
えるため、
「情報理工学序論2」を新たに設定した。
「情報理工学序論1」においては、
情報学を学ぶ上で理解しておくべき基本的な事柄として、コンピューターリテラシ、
学びの形成、グループワークを設定した。「情報理工学序論2」においては、情報技術
者に求められる倫理と情報学における4つの学問分野 (情報システム学、情報コミュ
ニケーション学、メディア情報学、知能情報学) における情報処理技術の現状や研究
目標を学習した。
プログラミング教育として、プログラミング言語を共通に C 言語に設定し、「プログ
ラミング演習1,2」を実施した。また、計算機科学の基礎的な内容として、「計算機
科学入門1,2」を設定した。「計算機科学入門1」においては、「プログラミング演
習」において計算機を利用する際に必要になる計算機の利用方法、ハードウェア、ソ
フトウェアの基礎的な知識と文書作成方法を設定し、
「計算機科学入門2」においては、
「プログラミング演習」で実施するプログラミングの理解を高め、2 回生前期にて始ま
る学部コア科目を理解する上で必須の基礎的用語や概念として、状態遷移、プログラ
ミング、ソフトウェア、ネットワークについての諸概念およびシェル・プログラミン
グを設定した。
②2008 年度入学生に対して学科選択制を導入
2008 年度入学生全員に対して、学科配属を実施した。配属にあたっては、学生の希
望を優先し、学科の定員を超過した場合に 1 回生終了時のGPA上位者から優先的に
配属した(GPAが同値の場合は総取得単位数によって判断)。
2)基礎専門科目・専門科目
①専門基礎科目
2008 年度のカリキュラム改革においては、専門基礎科目については大幅な変更は行
わなかった。しかしながら、学部全体で共通の開講となり、数学系の科目ではクラス
数が増加するため、学科選択時の成績による配属先の判定もあることから、クラス間
の成績の均衡化を図る必要があった。2008 年度については、数学系の科目についてク
ラスでの成績分布の目安を設定し、それを基に成績評価を行った。
②専門科目
学科の専門科目については 2 回生以上配当であり、2008 年度カリキュラムの適用は
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
138/331
2009 年度以降になるため、2008 年度については、従来でのカリキュラムで開講を行っ
た。
③到達度検証
2008 年度についても 2007 年度と同様に到達度検証試験を実施した。到達度検証試験
は、学部統一試験(基本情報技術者試験に準拠)および学科独自試験(9 月 25 日)を
実施した。
3)教養教育科目・基礎科目・基礎教育科目
①英語能力の強化
情報理工学部では、入学時学力実態に見られる低学力層の増加・高学力層の不在に
対応するために、「IT に特化した ESP(English for Specific Purposes)教育」から
「スキルを重視する EGAP (English for General Academic Purposes)教育」へと抜本
的なカリキュラム改革を実施した。新カリキュラムでは、低学力層の底上げとともに
中上位層の拡大を目指したものである。そのための具体的な方策として、外部試験に
よる単位認定制度・英語開講専門科目アドバンストコースといった制度整備を行った。
②教養教育科目
情報理工学部が斡旋担当を担っている科目について、従来どおり 2009 年度に向けた
教養科目の基本担当者を置き、基本担当者と授業担当者による打ち合わせを随時行っ
ている。
4)外国語科目
①英語能力の強化
(1) 旧カリキュラムでは IM (Intermediate) レベルとして幅広い学力層が一括りに
されていた点を改善するために、新たに LI (Lower Intermediate) レベルを追加し、
4レベル制へと移行した。この改編により、各レベルにおいて、コーディネータを中
心として各学力層のニーズによりきめ細やかに対応した授業展開が可能となった。
(2) 旧カリキュラムでは情報科学分野におけるコンテント・ベーストな ESP 教育を
展開してきたが、新カリキュラムでは EGAP を中心としたスキル・ベーストな教育内容
へと転向した。また外部試験対策について、従来は新 TOEIC に対応していないオンラ
インコースウェアによる自学自習に任せていた点を改善し、授業内容の一環として
TOEIC 対策の学習を全レベルで取り入れた。なお、2 回生については、旧カリキュラム
を中心としながら、リーディング科目の使用テキストや授業内容等の点で新カリキュ
ラム改革の内容を前倒しして実施した。
(3) 2008 年度入学生から、外部試験による単位認定制度を導入し、同制度により単
位を認定された場合は 2 回生配当英語科目の履修が免除されるシステムを構築した。
また、1 回生前期末までに TOEIC 550 点(相当)以上の英語学力を有する層は、学部英
語開講専門科目を 1 回生後期から先行して履修できるアドバンストコースを導入した。
これら制度導入に併せて、プレイスメントテストにおいて 150 点以上を取得した学生
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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に対して、教育力強化予算を充てて 6 月に実施される TOEIC-IP 団体受験の受験料補助
を行った。
②英語による専門授業の設定計画
1回生を対象として、専門科目の基礎的な内容を外国人教員により英語で学ぶとい
う「情報科学 1・2」を開講してきた(1回生対象・履修指定科目)。
また、それに続く共通専門科目「ソフトウェア工学」
「コンピューターネットワーク」
「計算機構成論」の英語クラス開講(2回生対象・日本語クラスかいずれかを選択)、
および「最新技術修得プログラム」における英語開講専門科目(3回生配当・選択科
目)の展開と、系統的に学ぶことができる仕組みを用意してきた。
5)初年次教育、リメディアル教育、高大連携等
①高大連携、付属校や協定校との連携
立命館守山高校との間で、アドバンストプレイスメント科目として、講義系課目の
「プログラミング言語」「データ構造とアルゴリズム」、演習系科目の「プログラミン
グ演習1」「プログラミング演習2」を立命館守山高校で開講した。演習系科目につい
ては、BKC で開講されている同じ環境を実現するため、同程度の TA を配置し、守山高
校の学生に対してプログラミングの教育を実施した。また、計算機科学の基礎的な内
容を教える「計算機科学入門1」「計算機科学入門2」を BKC において開講した。立命
館高校のスーパー・サイエンス・ハイスクール(SSH)プログラムの一環として実施し
ている高大連携講義「最先端科学入門」の拡充も実施した。このように高校から大学
院までを統合的・総合的に教育する体制を整えつつある。
6)FD 等授業改善の取り組み
<国の助成事業による高度専門人材養成プログラム>
文部科学省、経済産業省の助成事業に応募し、外部資金を獲得し、学部におけるFD
活動に直接寄与した。
7)成績評価の厳格化
2008 年度のカリキュラム改革においては、専門基礎科目については大幅な変更は行
わなかった。しかしながら、学部全体で共通の開講となり、数学系の科目ではクラス
数が増加するため、学科選択時の成績による配属先の判定もあることから、クラス間
の成績の均衡化を図る必要があった。2008 年度については、数学系の科目についてク
ラスでの成績分布の目安を設定し、それを基に成績評価を行った。
効果があがっている事項
1)カリキュラム改革の概要・進捗状況
情報理工学部では、2008 年度の学部改革において、1 回生カリキュラムの共通化、
学部一括入試の導入、2 回生進級時における学科選択、進級制度改革を行ってきた。2008
年度入学生に対して学科選択制を導入した。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
140/331
2)基礎専門科目・専門科目
①到達度検証
到達度検証試験は、学部統一試験(基本情報技術者試験に準拠)および学科独自試
験(9 月 25 日)を実施し、受験率は、87%であった。結果については、卒業研究指導
教員により学生一人一人に到達度検証結果をフィードバックするとともに、学部統一
試験および学科ごとの学科独自試験の結果の公表の掲示を行った。
②資格対策講座
資格対策講座として、「資格対策科目1∼6」を開講した。合格率については、2007
年度に当初目標としていた 40%(全国平均の2倍)を達成し、情報系の大学の平均的
な合格率の倍を達成しており、2008 年度についても同程度を目指す。
3)教養教育科目・基礎科目・基礎教育科目
①英語能力の強化
英語能力の強化のためのカリキュラム改革は、確かな結果を生み出した。経年的に
は、1 回生 12 月期の平均点としては学部創設以来最も高い平均点(403.0 点)であり,
2 回生についても前年度同時期からの平均点上昇幅が過去最大であった(両回受験者
の平均点は 1 回生 12 月期 365.3 点から 2 回生 12 月期 387.9 点に上昇)。外部試験によ
る単位認定制度の基準となる 550 点をクリアした学生は 43 名、内 4 単位認定(2 回生
配当科目の全てが履修免除)となる 700 点をクリアした学生は 8 名であった。
4)外国語科目
①英語能力の強化
(1) 新カリキュラム改革の内容を前倒しして実施した結果、より多様な教科書や教
材を使用することを通して、各レベルの学力実態に応じた到達目標をより柔軟かつ多
様に設定することにつながり、 学術的な英語の読み書き、スピーキングとリスニング
ができる機会を与えられた。さらに、各レベルにおいて、TOEIC の教科書を割り当てる
ことにより、確実に TOEIC 試験用の学習をすることができることとなった。
(2) 2008 年度入学生からの外部試験による単位認定制度に併せて、プレイスメント
テストにおいて 150 点以上を取得した学生に対して、教育力強化予算を充てて 6 月に
実施される TOEIC-IP 団体受験の受験料補助を行った。
これにより、従来は 10 数名程度であった 6 月期 TOEIC-IP 団体受験の受験者数は 124
名へと増加し、内、26 名が単位認定・履修免除制度、およびアドバンストコース履修
の基準となる 550 点をクリアした。成績反映など特段の受験奨励措置がないにも関わ
らず 6 月期 TOEIC の受験者数が増加したこと、また受験者全員の平均点が 451.2 点と
比較的高かったことから、これらの制度は十分に英語学習に対する動機づけを高める
点で機能したと考えられる。
さらに、12 月期 TOEIC-IP 団体受験の結果から、1 回生の平均点としては学部創設以
来最も高い平均点(403.0 点)であり,2 回生についても前年度同時期からの平均点上
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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昇幅が過去最大であった(両回受験者の平均点は 1 回生 12 月期 365.3 点から 2 回生 12
月期 387.9 点に上昇)。2008 年度末時点での 1 回生外部試験による単位認定制度の基準
となる 550 点をクリアした学生は 43 名、内 4 単位認定(2 回生配当科目の全てが履修
免除)となる 700 点をクリアした学生は 8 名であった。
また、低学力層の底上げと中上位層の拡大を目指し、それぞれ一定の条件をクリア
した学生を対象として、
TOEIC 受験料の半額補助、
CLA 講座受講料補助制度等を実施し、
一定の効果が見られた。
②海外研修プログラム
情報理工学部の国際化を支える教学プログラムとして「海外 IT 研修プログラム」を
実施しており、夏期のワシントン大学(米国)およびインド・プネ、春期のクイーン
ズランド工科大学(豪州)において IT 技術の集中的な学習を行うプログラムがある。
2008 年度までに、のべ 140 名の学生が学部独自の IT 研修プログラムに参加している。
このほか、15 名の学部学生が国際会議等で発表、13 名の学生が本学理工学研究科国
際プログラムへと進学を果たしている。
③その他の国際化に関わる取組み
【国際化への対応と国際交流の推進に関する基本方針】
学部の設立理念において国際性を持った技術者の育成を掲げ、学部独自の短期留学
制度の実施や留学生の積極的な受け入れ、大学院 GP などによる院生の海外インターン
シップの実施など、着実に実行してきている。
【国際レベルでの教育研究交流の緊密化】
理工学研究科、理工学部と共同して、南台科技大学、大連理工大学、ハノイ工科大
学を始めとするアジア諸大学と教育研究連携を推進しているところである。特に大連
理工大学とは、2007 年度より学部レベルで毎年ワークショップを開催することとして
おり、教職員だけでなく、院生を中心とした学生も発表者として参加している。
【外国人教員の受け入れ体制】
各学科で最低ひとりの外国人教員を受け入れており、学部の専門講義を英語で行う
だけでなく、研究室において日常的な研究指導を学部学生や院生に行っている。
【教育研究およびその成果の外部発信】
国内外の学会やシンポジウムなどでの教員や院生、学部学生の研究発表を推進して
いる。具体的には、大学院指導基準への国際会議での発表論文件数の考慮、院生・学
部学生の国内学会発表時の交通費の一部補助(2008 年度で終了)、各研究室のホームペ
ージでの英語による情報提供の推進、英語発表を指導する大学院科目の開講、大学院
生向け奨学金に雑誌論文、国内外の学会発表件数の考慮などの諸制度を整備し実施し
てきている。
5)FD 等授業改善の取り組み
・「IT 人材育成のための実践的キャリア教育」(2006 年度∼2008 年度)
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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2006 年文部科学省「現代的教育ニーズ取組支援プログラム」に採択され、情報理工
学部のキャリア養成プログラム等の充実に取り組んだ。
・「大学における組込み技術キャリア教育プログラムの開発」
(補助事業は 2006 年度のみ。2007 年度以降は正課科目として開講)
2006 年度経済産業省「産学協同実践的 IT 教育訓練基盤強化事業」に採択され、情報
技術に秀でた学部学生および大学院生を対象として、組み込みソフトウェア技術の講
座を開講し、我国の今後の IT 技術の中心的技術となる組み込みソフトウェア関連の技
術者を育成している。
・
「高度なソフトウェア技術者育成と実プロジェクト教材開発を実現する融合連携専攻
の形成」
(2006 年度採択。2007 年度以降も継続実施)
2006 年度文部科学省「先導的 IT スペシャリスト育成推進プログラム」に大阪大学な
ど 9 大学連携で採択され、現実の開発プロジェクトそのものを教材としたソフトウェ
ア技術者の教育プログラムを開発している。
改善が必要な事項
1)カリキュラム改革の概要・進捗状況
①1回生科目の共通化
2009 年度に向けては、共通科目である演習、基礎科目のカリキュラム内容の改良と
教科書化の検討とクラス間の質の均衡化を図るため、提示、各クラス担当教員のミー
ティングの回数を増やすなどの対応を行う予定である。
②2008 年度入学生に対して学科選択制を導入
2008 年度入学生全員に対して、学科配属を実施した。配属の結果、約 9 割の学生が
第 1 希望の学科を選択することができた。しかしながら、1 割の学生は希望通りの配属
とならず、学科を中心としてフォローアップを行う必要があると考える。さらに、学
科の教育内容については情報理工学序論2において説明を行ってきたが、学科の研究
室のオープンラボなどのより丁寧な情報の提供が必要である。
2)基礎専門科目・専門科目
①専門科目
2009 年度については、学科配属後の専門科目に履修については、より精選された科
目の履修を行う。
②資格対策講座
資格対策科目1については、試験実施団体である「情報処理推進機構(IPA)」が定
める「午前試験免除対象科目履修講座」の認定を受けるところであったが、手続き上
のミスにより午前試験免除の認定を受けることができなかった。
3)教養教育科目・基礎科目・基礎教育科目
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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①英語能力の強化
カリキュラム改革で確かな結果を生み出した一方で、かなりの数(232 人・53%)の
1 回生が未だに 400 点をクリアしておらず、次年度に向けた課題として残っている。
②教養教育科目
2009 年度においては、2010 年度の全学の教養教育科目のカリキュラム改革と連動し
ながらカリキュラムの見直しを検討する方向を追求していく。
【改善方策】
長所の伸長方法
1)カリキュラム改革の概要・進捗状況
1 回生カリキュラムの共通化、学部一括入試の導入、2 回生進級時における学科選択、進
級制度改革の継続と、学科配属後の専門科目に履修については、より精選された科目の履
修を行う。
2)基礎専門科目・専門科目
①到達度検証
到達度検証試験の意義を学生に周知させ受験率 100%を目指すと共に、卒業研究指導
教員から学生一人一人への到達度検証結果のフィードバックにより到達度検証試験の
実を挙げる。
②資格対策講座
資格対策講座の意義を学生に周知させ、全国平均の2倍、情報系の大学の平均的な
合格率の倍の達成を目指す。
3)外国語科目
①英語能力の強化
1 回生、2 回生での確かな結果を生み出した英語能力の強化のためのカリキュラム改
革をさらに推進する。
②海外研修プログラム
夏期のワシントン大学(米国)、インド・プネおよび春期のクイーンズランド工科大
学(豪州)の情報理工学部の国際化を支える教学プログラム「海外 IT 研修プログラム」
の確実な推進を行う。
③その他の国際化に関わる取組み
学部独自の短期留学制度の実施や留学生の積極的な受け入れ、大学院 GP などによる
院生の海外インターンシップの確実な推進を行う。また、南台科技大学、大連理工大
学、ハノイ工科大学を始めとするアジア諸大学と教育研究連携の確実な推進を行う。
さらに、大学院指導基準への国際会議での発表論文件数の考慮、院生・学部学生の国
内学会発表時の交通費の一部補助(2008 年度で終了)、各研究室のホームページでの英
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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語による情報提供の推進、英語発表を指導する大学院科目の開講、大学院生向け奨学
金に雑誌論文、国内外の学会発表件数の考慮などの諸制度の整備を継続して実施して
いく。
4)FD 等授業改善の取り組み
文部科学省、経済産業省などの国の助成事業による高度専門人材養成プログラムに
積極的に取り組み、学部におけるFD活動の推進を行う。
問題点の改善方法
1)カリキュラム改革の概要・進捗状況
①1回生科目の共通化
各クラス担当教員のミーティングの回数を増やすなどの対応を行い、共通科目であ
る演習、基礎科目のカリキュラム内容の改良と教科書化の検討とクラス間の質の均衡
化を図る。
②2008 年度入学生に対して学科選択制を導入
学科の教育内容については情報理工学序論2での説明と共に、学科の研究室のオー
プンラボなどのより丁寧な情報の提供を行う。また、希望通りの配属とならなかった
学生のフォローアップを行う。
2)基礎専門科目・専門科目
資格対策講座
手続き上のミスにより午前試験免除の認定を受けることができなかった事態の反省
の上に立った、確実な認定取得を行う仕組みづくりを行う。
3)教養教育科目・基礎科目・基礎教育科目
①英語能力の強化
400 点をクリアしていない学生の原因究明と対策の立案を行う。
②教養教育科目
2010 年度の全学の教養教育科目のカリキュラム改革と連動しながらカリキュラムの
見直しを検討する。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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(10)映像学部
【到達目標】
(1)映像についての芸術的、工学的、経済的、法学的な理解と、(2)今後も急速
に進展するデジタル映像技術や情報ネットワーク技術に対応できる能力を備え、
(3)
映像を文化的、産業的、地域振興的文脈において有益な社会的資源として利活用でき
る「プロデューサー・マインド」を有した人材の育成を目指すことにある。
具体的に、学部の育成すべき人材像を教育目標としては、①第一に、デジタル時代
に対応した卓見と豊かな教養を背景に、映像生成から受容までの現場を理解し、企画・
法的対応・資金調達・配給・販売支援などを総合的にリードできる映像コンテンツお
よび映像産業のプロデューサーであり、②第二に、豊かな教養をもち、柔軟かつ鋭い
感性と確かな技術を携え、世界に通用する優れた映像を制作できる映像クリエイター、
③第三には、映像および映像文化に関する深い理解とリテラシー能力を有し、一般社
会や地域において映像の受容や生成を身近なものへと変え、豊かな人間性をはぐくみ
国民生活を豊かにしうる映像文化の創造を、通常の社会生活において担いうる受容者
や教育者、である。
【現状の説明】
①教育課程等
1)学士課程の教育内容・方法
(学部・学科等の教育課程 コード 1301)
130101 教育目標を実現するための学士課程としての教育課程の体系性(大学設置基準第 19 条
第 1 項)
学部教育目標については、映像学部設置委員会および教授会にて検討と決定を行ない、
学部設置届出書および学則第 73 条に定めている。また、観点別教育目標を教授会にて定め
ており、具体的な人材育成目標としている。 学校教育法 52 条ならびに大学設置基準 19 条
との関係では、映像学部のカリキュラムに基礎(教養教育と外国語教育)教育、基礎専門
科目、専門科目、講義科目、実習科目を置き、それぞれをバランスよく学ぶための必修科
目の設置と、要卒必要単位数の設定と、それぞれの分野の関連性を持たせるために、分野
ごとの学習内容について調整を行なってきた。さらには、多層的な、多元的な映像教育が
組み込まれた立体的なカリキュラム設計であることを鑑み、学生の視点からも自らの関心
に従い見通しよく履修できるよう、「映像文化」「映像ビジネス」「映像制作」「映像技術開
発」それぞれの方向に即した履修モデルを提示するために4つの「学びのフィールド」を
設定し、履修要項やガイダンスにおいて説明している。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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映像学部は、社会的ネットワークの中での教育がそもそもビルトインされている学
部であり、現場での実習、インターンシップ等、社会との接点を持つ機会が多い。そ
のような教育を行なう準備段階として、社会が求める人材像についても大学と学外団
体、組織と協議を行ない、両者が合意した人材像を実現する教育プログラムを企画、
実施している。映像学部は、美術、工学、経済学の3分野が融合した文理融合型の学
部であるが、それぞれの分野で修得可能な知識、技能に基づき、学部の教育目標を構
成している。
以上を踏まえ、学部の教育目標に関して、その継続的改善のために、学校教育法・
大学設置基準、建学の精神、教学理念、社会のニーズ、本学の教育機関の機能、学問
分野の特性から、妥当性、適切性を組織的に検討することを目標にし、教授会をはじ
めとする各委員会において討議し、現状の検証、改善すべき点の共有をおこない、実
施した。今後は、教育目標、人材育成目標に関して、全員参加の企画委員および教授
会にて検討を行ない、合意の下に設定しているものの、年度ごとに調整すべき点につ
いてさらなる検討をおこない適宜修正していくことを継続する。
また、2007年度より採択された現代GP「映像文化の創造を担う実践的教育プ
ログラム」では、外部評価委員会による評価を行なうこととしており、その委員会で
寄せられた意見を教授会に報告し、その意見も含め、改善を行なう。また、社会的ネ
ットワークの中での教育課程の中で、同様に意見を貰い、反映させていく。
130102 教育課程における基礎教育、倫理性を培う教育の位置づけ
映像学部の教育目標である、「映像と人間の関係に対する広い理解」(③)を得るた
めに、基礎教育の体系化を図る課題を達成した。
初年次教育の中心的科目である基礎演習について、基礎演習担当者会議を開講期間
中、毎週開催し、オリターおよびクラスリーダーを含め、授業内容、進め方を協議し、
その上で実施し、改善をおこなった。
さらに、学部の理念に照らして、情報モラルをはじめ、倫理性を培う教育に取り組
む目標に設定し、関連授業をとおして、倫理観の育成をはかった。とくに、情報リテ
ラシー科目の中で、情報倫理に関する授業を実施した。また、著作権に関して、学生
との間で覚書を締結するとともに、3回生配当科目で知的財産論を置き、知的財産を
守ることの重要性について教授した。
次年度においても、引き続き、倫理観の育成・強化の重要性を各種会議で確認のう
え、課題とすることの意識共有をおこなった。
130103「専攻に係る専門の学芸」を教授するための専門教育的授業科目とその学部・学科
等の理念・目的、学問の体系性並びに学校教育法第 83 条との適合性
人材育成に関わる教育目標(①②③)のさらなる充実化のために、設置届出および
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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履修要項等で記載した、順次科目の開講と詳細の決定を行うことを目標に、調整を進
めた。
とりわけ、3 回生を設ける年度にあたり、専門教育の授業科目に関して科目精選・充
実、コア化をはかり、系統的履修、選択・必修の配分等の開講方針を明示し、周知す
ることを目標に取り組み、ガイダンス、アンケートの実施をして 達成した。今後は、
学生が目標とする進路就職目標を類型化し、カリキュラムモデルを示すことによって、
各回生で修得すべき科目を効率よく指定することが課題のひとつである。また、全学
生が修得すべき科目を必修科目、登録必須科目として指定し、最終目標を達成するた
めの専門教育を学習する共通土台として示すことも同時に改善すべき課題である。
また、内容に設置届出との齟齬は生じていないが、教学上の補足を意図した特殊講
義の開講数がやや多い状況(9 科目、2009 年度開講を含む)となっている。学部届出
における映像教育の趣旨と内容を踏まえた補強措置ではあるが、既存カリキュラムの
密度がかなり高い状態であることとあわせて、多くが並行受講ができない夏期集中に
ならざるを得ない特殊講義の多数開講は教学設計上の問題を残していることが今後の
課題として認識された。これを受け、次年度は、多くが夏期集中で実施される専門特
殊講義の開講状況、受講生数等の実態を踏まえつつ、学部設置届出との整合性、教学
的な補強効果などの検証を行う。その結果については、学部完成年度である次年度以
降に実施される、初回の学部教学改革、カリキュラム改革の際に反映させるかたちで
改善したい。
130104 一般教養的授業科目の編成における「幅広く深い教養及び総合的な判断力を培い、
豊かな人間性を涵養」するための配慮の適切性
映像学部の教育目標である、「映像と人間の関係に対する広い理解」を得るための教
養教育課程を適切に設置することが必須であり、それはカリキュラムの設計時、既に
意図され組み込まれている。具体的には、専門教育との関連の中でも、専門教育過程
で得られた専門的知識および専門的技術を有効に活用するためには、その土台として
の教養教育が重要であることを意識できる教育内容とする。また、教養教育科目を高
回生まで対置しており、4年間の学士教育を通じて計画的に取得が可能なカリキュラ
ムを構築する。08 年度は、映像学部における一般教養科目の位置づけと担当体制につ
いて教授会等で審議し、継続的な注視と審議の必要性が確認されるとともに、映像学
にとっての「教養」とは何かという学部独自に取り組むべき課題についても意識がは
かられ、共通の課題であることが認識された。
130105 外国語科目の編成における学部・学科等の理念・目的の実現への配慮と「国際化等
の進展に適切に対応するため、外国語能力の育成」のための措置の適切性
学部の教育目標(①②③)のためには、英語に重点を置いた能力の強化が必須であ
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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るというのが、映像学部の外国語教育に対する考え方であり、それを実現するため持
続的改善をおこなうことが目標である。
08 年度は、TOEFL-ITP 団体受験の受験率 80%を目指し、授業内での受験促進のため
の周知を行なうこと、2回生英語の外書講読について、取得率を 50%の目標とするこ
と、さらには、新たに開設される3回生英語に関して、英語担当教員を中心に検討を
行ない、学部の専門に引き付けた内容を構築することが目標であった。
これらについて、一定の成果は達成されたものの、課題ものこった。TOEFL-ITP 団体
受験については、昨年同様に小クラスでの個別説明等の周知を進めていたが、受験率
は目標に遠く及ばなかった。この結果を踏まえ、①到達度検証テスト受験の成績化の
可能性と課題、②映像学部の設置趣旨における英語教育の方向と到達度検証テストと
の根本的な整合性、について FD 活動として検討した。また、2回生英語の外書講読の
取得率については、実数で 12%強であった。
これを踏まえ、以下の暫定改革を検討していくこととされた。①到達度検証テスト
の受験結果は、英語教育の基礎到達指標およびクラス分けの基礎指標として重要性が
高く、受験率を上げるため学生の受験実績を成績化する。②現状の会話を中心とした
必修英語では、「読む」
、
「書く」という基礎力が十分養われておらず、そのまま映像学
部的な専門内容の英語教育を行うという飛躍には改善の余地があり、暫定的措置とし
て 2009 年度から「英語講読」(1年生対象の選択科目)を新設する。③映像学部のよ
うに会話に重点を置く英語の授業のあり方と、アカデミックな色彩の濃い TOEFL の基
準は整合性という点で課題を残しており、TOEIC のようにビジネスシーン向けのテスト
を採用する方が妥当であると考えられるため、検証テストの種類を TOEIC に変更する
ことを検討する。
外国語教育の授業科目に関して、必修・選択配分や系統的履修等の開講方針を明示
し、周知するとともに、外国語(英語)運用能力に関して卒業時に想定する指標・基
準を検討し、適切な教育的措置をとることを目標に実施した。今後は外国語教育に関
して、外国語担当カリキュラム担当教員をおき、学部の教育目標に準じてカリキュラ
ムを作成する。国際的な映像に関わる分野でディファクトスタンダードとなっている
英語に教育資源を重点化し、また、6∼7名の小集団で行なわれるチュートリアル的
語学教育を実施して、英語の運用能力の向上を図る。また、映像分野に引き付けた英
語教育は、3回生に配置し、チュートリアル的英語と3回生の英語の橋渡しとなる科
目を2回生に配置する。到達目標の達成に点検については、毎年 TOEFL-ITP の受験を
学生に促し、受験率 100%を目指す。
130106 教育課程の開設授業科目、卒業所要総単位に占める専門教育的授業科目・一般教養
的授業科目・外国語科目等の量的配分とその適切性、妥当性
学部の育成すべき人材像を教育目標(①②③)のためには、カリキュラム上の各種
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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科目の配分については常時見直しと改善が必要であることは映像学部教職員に共有さ
れた認識となっており、定期的なチェックをおこなうことが目標とされている。
08 年度は、とりわけ、専門演習が次年度よりはじめることを踏まえ、教養科目、専
門科目、外国語科目等に関して、それらの量的配分の適切性、妥当性を確保すること
を目標に、教授会、執行部会議、企画委員会等で回を重ね、審議をおこない、合理的
かつ円滑なシステムの設計がおこなわれた。
また、必修科目、登録必須科目について、重複が発生しないよう、時間割上の配慮
を行なった。教室環境についても、科目の特性上必要とされる機器備品の整備を行な
い、適正な教室での授業実施を行なうこと、実習科目を中心に適正な規模を考慮し、
クラス分割の措置を取ることなどがなされたが、これらの点については、さらなる改
善の必要性も確認された。具体的には、シラバスに関する全学会議での議論を企画委
員会で共有すること、また、学部執行部および事務局にて次年度シラバスの点検、担
当教員との協議を実施することが毎年度目標となっており、これをおこなった。さら
に、08 年度、シラバスについては、全学会議体での方針提起ごとに教授会で詳細に説
明と意見交換を行った。また、次年度シラバス点検についても学部執行部と事務室が
中心となって集中的に取り組み、間違いやすい記述やその訂正方法について簡単なマ
ニュアルを作成した。その結果、学部開設初年度と比べて、訂正を必要とする内容が
大幅に減少した。今後は、シラバスについては昨年度と同様に厳密に点検しつつ、情
報を共有していく。また、映像学部での学びの総仕上げとして取り組まれる次年度か
らの卒業研究(卒業必修科目)について、映像制作から映像関連研究論文まで幅のあ
る内容をどのように客観性、公平性をもって評価、卒業認定していくかを検討し、ル
ール化をはかっていくことが今後の課題として認識された。
130107 基礎教育と教養教育の実施・運営のための責任体制の確立とその実践状況
08 年度は、人材育成に関わる教育目標(①②③)のさらなる充実化のために、教養
教育委員会の方針を点検しつつ、学部教育目標より外れる内容に関して、その内容に
沿うよう、各種会議体にて意見表明を行なうことが課題であった。
教養教育委員会が提起した教養教育科目の改革方針について、教授会等での議論を
通して以下についての問題意識を学部で共有し、全学の会議体においても意見表明を
おこなった。具体的には。①映像学部の教養教育科目の教学理念との調整。②現在の
基本担当者斡旋科目「映像と表現」の次年度開講体制について。③新規に提起された
教養教育科目に対する映像学部の開講責任と体制について、意識の共有と担当体制の
調整がはかられた。
次年度に向けた課題は、教育委員会が提起した教養教育科目の改革方針について、
以下の通り、整理・検討である。①映像学部の教養教育科目の設計について。教養教
育科目の改革方針と学部教学理念とを調整し、読み替え可能な科目と完成年度までの
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Ⅲ.教育内容・方法
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継続開講を求める現行科目の洗い出しをおこなう。完成年度以後の教養科目の設計を
検討する。②新規に提案された科目に対する映像学部の開講責任と体制について。基
本担当者を斡旋する科目の有無の確認と、それに即して、基本担当者体制および授業
内容の策定を検討する。
130108 カリキュラム編成における、必修・選択の量的配分の適切性、妥当性
人材育成に関わる教育目標(①②③)のために、カリキュラム編成上、必修・選択
科目が教育目標との関係から配分されることが教職員の共通の意識となっており、す
でに届け出申請時に策定されたカリキュラム・デザインの適切な運用が目指され実施
がすすめられている。
これについては、130106 の項目でも記されているとおり、08 年度においては、次年
度開講される専門演習を中心とされる3回生配当の科目のバランスのよい配当が第一
の課題であり、各種会議や担当教員のヒアリングを適宜おこない、すすめられた。ま
た、各種科目の受講が学生において混乱のでないよう、ガイダンスの実施と、個別相
談がおこなわれた。
次年度以降、 カリキュラムに関わるコンプライアンスを十分に実施していくことの
できるよう、全学レベルでの教学企画が策定されるたび、企画委員会にてその教育内
容とともに確認を行なうこと、企画委員会には、映像学部が所属する全教員と事務長
が参加し、職員には毎週全職員が参加して行なわれる業務会議を通じて徹底を行なう
ことが、今後の目標として認識された。
(カリキュラムにおける高・大の接続 コード 1302)
130201 学生が後期中等教育から高等教育へ円滑に移行するために必要な導入教育の実施状
況
学部の教育目標(①②③)の実現のためには、導入教育の効果的かつ円滑な実施は
必須であり、そのための目標を 08 年度、次のようなに設定し、これをおこなった。学
部選出のオリター、クラス代表による安定的な基礎演習の実施のための基礎的パター
ンを構築し、マニュアル化を目標に、基礎演習の運営について、開設年度の経験と総
括を踏まえ、自治単位としての小クラス運営を支援するオリターと、教学単位として
の小クラス運営を支援するヘルパーを切り分けて配置するとともに、その役割分担を
明確にした。
また、基礎演習担当者会議を毎週定例化し、授業担当者としての教員相互の方針確
認と情報共有、およびオリター、ヘルパーたちとの連携を図った。それらの結果、映
像学部新入生に対する初年次教育の柱としての基礎演習の運営方法、教学内容につい
てほぼ共有しうる基礎的パターンが確立したと評価できる。
これを踏まえ、次年度は、基礎演習の運営システムの確立を目指し、引き続き課題
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Ⅲ.教育内容・方法
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を検証する。また、学部設置から 2 年間同一であった授業担当者を交替することから、
運営方法および教育内容と方法について、昨年度までの経験と総括に基づいて、クラ
ス担当教員の属性に過度に依存しないレベルでの統一をはかることとする。その結果
については、基礎演習マニュアル等の形式で可視化しうるように検討することを課題
とした。
また、入学前教育をより充実化するため、プレエントランス立命館デーにて12月
時点での合格者に基礎演習のシミュレーション授業を実施するとともに、 指定図書、
映像作品の指定を行い、全員にレポートを作成させ、入学後、基礎演習にて講評を行
なうなどをした。
これのフィードバックをもとに、次年度は、さらなる改善を行ないつつ継承してい
くことが確認された。
(インターンシップ、ボランティア コード 1305)
130501 インターンシップを導入している学部・学科等における、そうしたシステムの実施
の適切性
映像学部においては、インターンシップは、育成すべき人材像に対する教育目標①
と③の観点からきわめて重要なものと位置づけている。
これを受け、映像学部とし
ては、インターンシップの学部独自科目を設置し、学外団体との協定に基づき、短期・
中期のインターンシップを実施する。中期のインターンシップを実施するため、クォ
ーター制度を導入し、学生の 4 年間の学習計画がスムーズに行なえるようにしている。
具体的には、08 年度開講予定である授業科目「学外映像研修」の学部運用について、
パターンを構築し、学外映像研修の協定団体 10 社との間で締結すること、および「学
外映像研修」および全学インターンシップ・プログラムへの参加を 2 回生の 30%とす
ることが、目標とされた。
これらについて、「学外映像研修」の運用ルールについて仔細を検討し、受講登録方
法、受入先企業・団体との覚書、受講生の誓約書、事前・事後研修の内容、研修時の
記録および成績評価ルール等について、詳細をルール化した。研修の受入先として計 3
企業・団体と協定を締結した。学外映像研修、全学インターンシップへの参加は、全 2
回生ののべ 27 名、対 2 回生学生数比率で約 15%に止まったが、これは学外映像研修に
ついては受入先が十分に開拓できなかったためである。今後、「学外映像研修」につい
ては、実施機関および実施時期等について受入先企業・団体からの意見も含めて慎重
に検討する。また、量質ともに一層の充実を追求し、協定団体を現行の 3 企業・団体
を 10 程度に拡大することができるよう改善していくことが課題である。
130502 ボランティア活動を単位認定している学部・学科等における、そうしたシステムの
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Ⅲ.教育内容・方法
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実施の適切性
映像学部においては、インターンシップは、育成すべき人材像に対する教育目標③
の観点から重要なものと位置づけている。
これを受け、映像学部としては、ボラン
ティアセンターと協力し、ボランティア関連科目を1科目開講している。具体的には、
ボランティアセンターと協議し、映像学部に固有性のあるボランティア関連科目とし
て、「地域活性化ボランティア」科目の中に産学公地連携による地域映像産業活性化を
目的とした「太秦戦国祭りプログラム」を開設した。同プログラムは同科目の中でも
最も多い 48 名の志望者を集めて実施され、受入団体からも高い評価を得た。次年度以
降は、ボランティアセンターとの協力関係を強化し、地域活性化ボランティア科目へ
の提供プログラムを現行の1つから2つへ拡大するよう改善への努力をおこなうこと
としたい。
(授業形態と単位の関係 コード 1306)
130601 各授業科目の特徴・内容や履修形態との関係における、その各々の授業科目の単位
計算方法の妥当性
教育目標①②③すべてに関わる点として、1.単位制度の実質化や授業外学習時間
をカリキュラム運用において担保すること、および2.大学設置基準に則し、各授業
の形態に合わせ、認定単位を適正化することは重要であり、これを目標に設定し、随
時、カリキュラムのチェックと、その運用について、教授等で審議をおこなうととも
に、電子メールおよび文書による周知を逐次おこなっている。08 年度もこれを十分に
おこなった。
また、演習系科目、実習形科目を中心に、授業外で行う課題を与える
こと、また、単位数の設定にあたっては、大学設置基準第21条に従い、設定を行な
う。開講期間の制約も考慮し、授業時間を確保するとともに、授業時間外での学習の
ための課題を与えた。次年度以降もこれを引き続きおこなうものである。
(単位互換、単位認定等 コード 1307)
130701 国内外の大学等での学修の単位認定や入学前の既修得単位認定の適切性(大学設置
基準第 28 条第 2 項、第 29 条)
映像学部においては、育成すべき人材像に対する教育目標②と③の観点から、他大
学での学修の重要性を強く認識している。これを受け、映像学部としては、国内外の
大学、大学以外の教育施設と適切に単位互換・認定を行ことを目標に、以下のものを
実施した。 大学コンソーシアム科目をより円滑に受講できるようにするため、学部教
授会にて、申請された認定科目の内容を確認し、相当する科目に対し単位認定を行な
うこと、また、これらについて、認定される上限単位数について、学則上に定めるこ
とをおこなった。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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また、海外の大学との学生交流協定については、全学で施行されているものを学部
カリキュラムに取り入れ、単位認定の位置づけなどを、教授会を通しておこなった。
ではあるものの、学部独自の学生交流協定については、その数などについて不十分な
ところも残っており、そのことが課題として残っていることが確認され、そのための
改善に向けての努力が確認されている。
(開設授業科目における専・兼比率等 コード 1308)
130801 全授業科目中、専任教員が担当する授業科目とその割合
学部の教育目標に貢献する中核的授業に関して専任率を向上させることが 08 年度の
目標であった。前者については、すでに学部の専任率が大学全体のなかでもすでに相
当程度高い水準で達成されているものの、他方で、その分、多くの専任教員の負担に
もなっており、全学に向けて学部カリキュラムの十全な履行のための専任教員数の改
善の必要性を随時表召した。
130802 兼任教員等の教育課程への関与の状況
学部の教育目標に貢献する中核的授業に関して、専任率が高いとはいえ、兼任教員
の教育課程への関与の改善はそれ自体として大きな目標であることを映像学部は目標
として認識しており、08 年度これについて、一層の充実化をすすめることが課題であ
った。これを受け、ガイダンスやヒアリングさらに案内文書やメールによる十全な周
知を逐次おこなっている。次年度以降は、兼任教員に対し、学部の教育目標、人材育
成目標をより丁寧に説明し、理解を求めること、また、一部科目について、授業実施
回ごとに意見交換を行なうなどフィードバックの回路の十全化などを通して、授業内
容を改善していくことが望ましいだろうことが確認されている。
(社会人学生、外国人留学生等への教育上の配慮 コード 1309)
130901 社会人学生、外国人留学生、帰国生徒に対する教育課程編成上、教育指導上の配慮
学部の教育目標は、より多様な学生に対する教育の実現により一層の充実化がはか
られるというのが映像学部の考え方であり、そうした考え方から、学部とて、特に、
外国人留学生に対する入学、教育指導上の配慮施策を整備することが目標とされてき
た。これを受け、社会人学生、留学生、帰国生徒などの学籍状況および履修状況につ
いて、教授会等で周知をはかるとともに、個別教員による個別学生への対応も効率的
かつ円滑にすすめることができるよう学生委員会を通じて、随時検討とチェックをは
かった。次年度以降、留学生が入学した場合、履修科目の把握と、必要に応じた授業
配慮を行なう。短期留学生に対し、留学生カリキュラムを適用し、スムーズな学習を
促すことが課題として確認された。また、社会人学生、帰国生徒については、入学試
験を行っていく方針である。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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②教育方法等
(教育効果の測定 コード 1310)
131001 教育上の効果を測定するための方法の有効性
学部の教育目標を達成するためには、教育効果を測定することは極めて重要な課題
であることは教授会で定期試験ごとに確認されており。数値化できるものは数値化し
つつ、経年評価もできるだけかぎり取り入れ、検証と改善への努力をすすめている。
また、隔週で開催される企画委員会において、学生実態の把握と共有、学生に与える
課題の内容についての調整等を行なっている。
加えて、学部の理念および教育目標を鑑みても、この学部での教育効果の測定が必
ずしも数値化に馴染まない、より柔軟で、立体的な方法が要請されることから、多元
的かつ、個別対応型の成果測定がおこなわれている。具体的には、<学習側>の視点
からは、中間・期末試験はもちろんのこと、映像学部では、多くの授業において学生
による共同プロジェクトを取り入れるとともに、その発表会を兼ねたプレゼンテーシ
ョンに対する評価もおこなっている。また、学部SNSもすでに採用しており、オン
ライン上でのディスカッションも積極的に推進している。さらには、実習科目を中心
に、作品の制作過程に担当教員が個別指導を行ない、教育目標の達成のための支援を
行なう。卒業制作、研究を必修化する。実習科目を中心に、作品の制作過程に担当教
員が個別指導を行なっている。また、学生によるフィードバック型の自己分析も基礎
演習などで積極的に採用されている。08 年度も、こうした立体的な測定方式が継承さ
れた。課題としては、学生のグループ・プロジェクトに対するり多元的な指標の確立、
マニュアル化が指摘されている。
また、<教授側>の視点からは、詳細なシラバスの義務化はもとより、授業アンケ
ート実施/コミュニケーションペーパーなどのほぼ全クラスでの実施、さらには、分
野ごとの教員による学期期間中の定期的ミーティングの開催などをおこなっているが、
これも 08 年度において、積極的に継承された。
外国語教育については、TOEFL-ITP 団体受験をおこなっており、昨年度同様に小クラ
スでの個別説明等の周知を進めていたが、受験率は目標に遠く及ばなかったことが課
題である。この結果を踏まえ、①到達度検証テスト受験の成績化の可能性と課題、②
映像学部の設置趣旨における英語教育の方向と到達度検証テストとの根本的な整合性、
について FD 活動として検討した。また、2回生英語の外書講読の取得率については、
実数で 12%強であった。今後は、以下の暫定改革を実施あるいは検討する。①到達度
検証テストの受験結果は、英語教育の基礎到達指標およびクラス分けの基礎指標とし
て重要性が高く、受験率を上げるため学生の受験実績を成績化していく方向で検討し
ていくこと、②現状の会話を中心とした必修英語では、「読む」、「書く」という基礎力
が十分養われておらず、そのまま映像学部的な専門内容の英語教育を行うという飛躍
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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には改善の余地があり、暫定的措置として 2009 年度から「英語講読」
(1年生対象の
選択科目)を新設すること、などである。
131002 卒業生の進路状況
映像学部は、卒業生をまだ送り出していないので、明記することはない。
(成績評価法 コード 1311)
131101 厳格な成績評価を行う仕組みと成績評価法、成績評価基準の適切性
学部の教育目標を達成するためには、厳格な成績評価をおこなうことが必須である
ことは教授会で定期試験ごとに確認されており、そのための教員に対する意識向上お
よび必要な情報の周知は、各種会議および文書・報告書で最大限の注意をもっておこ
なわれている。成績評価基準に関しては、131001 の項目でも述べたように、映像学部
は、立体的、多元的な指標を採用すべき教育上の特性があり、その点をどのように客
観的に保証さらには制度化するかが課題となっている。そうした観点から、授業の到
達目標や学部の教育目標との整合性、妥当性、適切性を保証するためシラバスでの細
目にわたる学習内容とその到達度の設定、また多元的な成績評価指標の導入がこれま
でおこなわれてきており、08 年度もこれをさらに充実化させた。とりわけ、08 年度は、
科目群ごとに授業担当者会議を実施し、授業内容の調整と共有を行なう。学部全体と
して、企画委員会を実施し、授業内容の調整と共有を行なう。演習科目を中心に、受
講学生との協議を行なった。さらに、学部カリキュラムとの関連性を考慮しながら、
選択と履修の指導を行なうこと、また、履修結果については、企画委員会等で情報共
有と対応の検討を行なうこと、さらには、英語に関するクラス変更のルールについて
明確化を行ない履修要項に明記することが目標とされ、これをおこなった。
また、入学前の教育においても、大学全体が導入している Web 講座を、日本語文章・
英語語彙などの指定科目については、その受講を推奨し、実用英語関連の試験および
TOEFL 受験を推奨するとともに、学部指定図書等の指定をおこない、映像関連の入門的
な文献についてアート、ビジネス、テクノロジーの三分野のバランスを考慮した選定
を行い、講評の責任を学部執行部で負うことをルール化した。また、2回生の英語ク
ラス分けのルールについて再検討を行い、基本的に「1年次の成績及び到達度検証テ
ストにて判定」という形で明確化し、2009 年度履修要項に明記した。
今後も、厳格な成績評価のために、前年度と同様に取り組み、引き続き効果と課題
を検証していくことが確認されているが、評価方法について、教授会で意見交換の上、
検証、調整などを行ない、より多面的でありながら客観的な成績評価体制のシステム
化がはかられることがのぞましいとの方向性も指摘されている。
131102 履修科目登録の上限設定等、単位の実質化を図るための措置とその運用の適切性
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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学部の教育目標を達成するために、
履修科目登録の上限設定や GPA を導入しており、
これを適切に運営することを目標にして、これを実施している。具体的には、年間の
登録上限単位数を44単位に設定し、学生の履修登録を、学期ごとかつ年度ごとにチ
ェックするシステムを完成させている。
131103 各年次および卒業時の学生の質を検証・確保するための方途の適切性
学部の教育目標を達成するために、年次ごとの学生の履修状況および単位取得状況
のチェックをおこなっている。注意を要する学生については、学生委員会で検討の上、
必要な場合は面談をおこない、対応している。また、授業への出席状況についても必
修科目などを中心に学期ごとに確認しており、これもまた注意を要する学生に対して
は、学生委員会で検討の上、面談などの対応をおこなっている。さらには、次年度、
専門演習が開講されることを鑑み、演習担当教員による履修状況はじめとする学修の
チェックを義務化し、これを周知していくことが課題として確認された。
(履修指導 コード 1312)
131201 学生に対する履修指導の適切性
学部の教育目標を達成するために、履修指導を、新入生を含め、各学年ごとに、学
期ごとに集団ガイダンスを学部執行部を中心におこなうとともに、事務室において学
生の履修相談に関して個別対応をする体制を確立している。また、開講期間中を通し
て、個別の授業科目については、質疑応答や日常的な履修指導を初め、きめこまかい
対応を行い、実施し、学生の学習意欲向上を図る>を目標にして、これを実施してい
る。08 年度もこれを継続するとともに、学期ごとに、必要な場合、学部執行部以外の
教員も参加の上、個別授業科目についてガイダンスにおいて説明をおこなう体制をお
こなうことが確立された。また、特に、新入生に対しては、履修ガイダンスをはじめ、
ピア・サポーターなどを活用するなど、オリエンテーションを充実し、細目にわたる
有効かつ適切な履修指導を行うことを毎年度目標としているが、08年度もこれを実
施した。次年度以降は、 オフィスアワーを設けること、基礎演習の発表内容の事前準
備を行なうこと。単位僅少者、出席不良者への面接をさらにきめ細やかに行うこと、
学生委員会にて学生実態の把握と対応を協議し、教授会にて共有を図るなどして、一
層の充実化をはかることが確認されている。
131202 留年者に対する教育上の措置の適切性
映像学部においては。08 年度は、開設以来2年目であるので、大学のシステム上、
留年者まだいない。とはいえ、今後の対応を鑑み、学部事務室を中心に5年以上の在
学生の履修状況、出席状況を把握するシステムづくりをすすめるとともに、本人並び
に担当教職員との継続的な相談体制を作ることを目標に、随時体制づくりをすすめて
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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いる。
131203 科目等履修生、聴講生等に対する教育指導上の配慮の適切性
学部の教育目標、とりわけ②と③を達成するために、多彩な学生の参加は強くのぞ
まれることであり、それに向けての体制づくりを学部は目標としている。科目等履修
生、聴講生についても、積極的に受け入れをはかるとともに、学習上の利便を図る取
り組みを行うことを目標とし、これを実施している。これらの学生の履修状況につい
ては、教授会で随時報告され審議の上で承認がはかられている。今後は、必要に応じ
て事務職員にて履修相談を行なうなどものぞましいかもしれないとの指摘もされてい
る。
(教育改善への組織的な取り組み コード 1313)
131301 学生の学修の活性化と教員の教育指導方法の改善を促進するための組織的な取り組
み(ファカルティ・ディベロップメント(FD))およびその有効性
学部の教育目標(①②③)を達成するためには、学生の学修の活性化と、教員の教
育指導法の改善について、組織的な取り組みが必要であることは学部教員により教授
会などを通して共通意識づくりがすすめられてきている。
学生の学修の活性化については、日常的に、大規模授業ではコミュニケーションペ
ーパーやオンライン・ディカッション・システムの積極的な活用を通して推進してい
くこと、また定期的に、学生との継続的に意見交換を行い、教育改善に反映する目標
を設定し、学部自治会と協力し、五者懇談会をはじめとした様々な形態および議題で
の懇談会等を行なうこととしていて、08 年度もこれをおこなった。
課題としては、学生による研究発表の場を、授業外で社会的に開かれたかたちで実
施する可能性を検討していくことが指摘されている。
教員の教育指導法の改善に向けては、学部企画委員会、FD 委員会にて、学生の履修
状況・意見を把握し、専門分野間の情報共有、ゼミ等、小集団授業の開講内容・開講
クラス数の調整、授業の内容や課題に関するバランス調整、ガイダンス内容の調整等
を行なうことを目標にし、2008 年度も学部企画委員会を全教授会メンバーで運営し、
学年進行中の教学事案、カリキュラム執行、学部課程後期の教学執行(専門演習、学
外映像研修など)、クォーター的運用にともなう成績課題等のバランス調整等について、
実質的に FD 委員会としての内容を含む形で開催した。
学部設置進行中のため、諸課題について全教員として情報および課題を共有すると
いう点ではこの形式は有効であったが、反面、日常的、突発的な課題対応や問題解決
に対してはやや柔軟性に欠ける面があった。今後は、これを課題として、学部課程後
期の教学設計の調整はほぼ終了していることもあり、2009 年度からは全教授会メンバ
ーで学部企画委員会を運営することは行わないことを確認している。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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FD 活動については、内容に応じて教授会における議題設定の上、効率的にすすめて
いくこと、および基礎演習担当者会議、実習系科目担当者会議において日常的に実施
することも今後の目標としたい。とりわけ、FD 委員会については、これを定例化し、
学生の履修状況・意見を把握し、専門分野間の情報共有、ゼミ等、小集団授業の開講
内容・開講クラス数の調整、授業の内容や課題に関するバランス調整、ガイダンス内
容の調整等を行なっていくこととしたい。また、学部FD委員会が教育開発推進機構
あるいは共通教育推進機構と連携し、学生の学修の活性化や教育指導方法の改善、学
生の学修支援方法に関する会議、ピア・レビュー、研修会、講演会、実技講習会を毎
年年度当初に企画・公表し、計画的に実施することも次年度以降の目標である。
131302 シラバスの作成と活用状況
学部の教育目標(①②③)を達成するために、シラバスの実質化がきわめて重要で
あることは学部教員により教授会などを通して共通意識づくりがすすめられてきてい
る。
学習内容、到達目標、授業スケジュールをはじめとする項目で、教員間に偏り
がないよう統一した形式における記載の推進は、全学レベルで施行されているが、映
像学部においては、シラバスに関する全学会議での議論を企画委員会で共有し、かつ
学部執行部および事務局にて次年度シラバスの点検、担当教員との協議を実施する体
制づくりを目標にして、これを 08 年度も実施した。
具体的には、シラバスに関し
ての全学会議体での方針提起ごとに教授会で詳細に説明と意見交換を行った。また、
次年度シラバス点検についても学部執行部と事務室が中心となって集中的に取り組み、
間違いやすい記述やその訂正方法について簡単なマニュアルを作成した。その結果、
学部開設初年度と比べて、訂正を必要とする内容が大幅に減少した。
今後は、シラバスについては昨年度と同様に厳密に点検しつつ、情報を共有してい
く。また、シラバスの到達目標に関して、全学の会議体にて示された内容について、
企画委員会ならびに教授会にて討議を行い、徹底を行なう。学部執行部ならびに事務
局にて、記載された内容について確認を行い、修正すべき点についてカリキュラムの
分野ごとに担当となった教員が中心となって科目担当者に修正を依頼していくことと
したい。
131303 学生による授業評価の活用状況
学部の教育目標、とりわけ①、を達成するため、学生による授業評価は有効な方法
であることは共有された意識となっており、これをより効果的かつ効率的にすすめて
いくことが目標となっている。具体的には、授業アンケート、インタラクティブシー
ト、コミュニケーションペーパーをはじめとする学生の声を集約する仕組みが整えら
れ、その結果が教授会等で議論されて、改善に向けて具体的対応が取り組まれている
が、08 年度も、これをさらに充実化することが目標とされ、これを実施した。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
159/331
今後は、 専任教員全員参加の学部 FD 委員会を設置し、授業アンケートの内容につ
いて協議を行なっていくことを課題としたい。
131304 卒業生に対し、在学時の教育内容・方法を評価させる仕組みの導入状況
映像学部にまだ卒業生はいないが、今後の課題として、卒業生に対する調査(アン
ケート、インタビュー、意見交換会など)を経年的に行うための仕組みを整えていく
ことを課題としたい。
131305 教育評価の結果を教育改善に直結させるシステムの確立状況とその運用の適切性
学部の教育目標を達成するために、教育改善のプランに、学生による授業評価を反
映させていくことは重要であることが教授会を通して周知がはかられてきている。
具体的には、全学的に書式が統一された、学生による授業評価(授業アンケート、
インタラクティブシート、コミュニケーションペーパー)の集計結果について、教育
目標の達成状況の指標のひとつとして把握する回路を教授会などを通して確立してい
る。
今後は、調査結果を取り入れた具体的な改善策の策定に関して、FD 委員会や教授会
での議論を通じて、すすめていく体制づくりが課題となっている。
(授業形態と授業方法の関係 コード 1314)
131401 授業形態と授業方法の適切性、妥当性とその教育指導上の有効性
学部の教育目標を反映させるため、適切性と妥当性に留意した上で、授業形態が多
面的に設計されているが、これを年度ごとにチェックし、改善して作業をすすめるこ
とが目標となっており、08 年度もこれがすすめられた。 具体的には、教育目標①「映
像生成から受容までの現場を理解」することを推進するために、映像の理論・歴史を
学習する講義系科目を配置するとともに、制作能力を現場的実践の場で習得する実習
系科目が配置されている。教育目標②「豊かな教養をもち、柔軟かつ鋭い感性と確か
な技術を携え」ることを目的して、一般教養科目および他学部開講の科目を受講する
システムを整え、複眼的思考を陶冶するとともに、集団作業に習熟できるようプロジ
ェクト型の課題を設定する実習系科目も配置している。また、教育目標③「第二には、
映像および映像文化に関する深い理解とリテラシー能力を」育成するためし、学外で
の活動を促進するための「学外映像研修」や「特殊講義」などの学部独自の特色ある
科目も多く配置している。
こうした科目の配置を踏まえ、完成年度までは、授業の到達目標と照らし合わせ、
各授業の内容、方法の適正化に関して必要なピア・レビュー(例:公開授業・研究会、
担当者会議の充実等)を実施し、個別授業の改善を図っていくことが目標であるが、
08 年度もこれを実施した。今後は、科目分野ごとに担当者会議を実施し、授業内容に
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
160/331
ついて検討と共有化を行なっていくことを推進していくとともに、完成年度以後への
カリキュラム改善へ向けて問題点などの調査をすすめていくことが課題である。
131402 多様なメディアを活用した授業の導入状況とその運用の適切性
映像学部は、学部の教育目標に即して設計された授業科目において、各種映像機器
を駆使した制作に関連する内容が多く、そのための環境整備は開設以来の最重要の課
題であり目標としてこれをすすめてきている。実写映像制作に関連するMAルーム、
編集作業に特化した教室、CGアニメーションやインタラクティブ映像の技術開発の
ための教室、さらには映像を大画面で鑑賞できる大講義室など、多岐にわたる教室環
境が整備されている。
08 年度は、これらのさらなる設備の十全化をおこなうともに、学部が連携する京都
松竹撮影所内にスタジオを兼ねた教学施設の設置が大きな課題であり、これがすすめ
られた。
今後の課題は、こうした先端技術を設置した設備を、各種授業科目でどのようなル
ールで学生に提供していくかの一層の整備である。
また、授業科目一般の実施に対して、コースツールやICTの活用を促進し、適切
に運用することを目標としてきているが、08 年度もこれをさらなる十全化を図りなが
ら実施した。今後は、より細やかな必要に応じた、コースツールの利用、具体的には、
授業資料の配布、アサインメントの指示等の円滑な運用についての十全化へ向けての
改善である。
131403「遠隔授業」による授業科目を単位認定している大学・学部等における、そうした
制度の運用の適切性
映像学部は、
「遠隔授業」を設定していない。
【点検・評価】
目標の達成度
完成年度を迎えていない映像学部は、08 年度においてはいまだ1、2回生しか在学して
いないため、この年度、学部の教育目標については、主たる目標が、以下の点に集中して、
教育内容・方法の質的向上の努力がはかられたといえ、ある程度の成果が達成された。
具体的には、①に関しては「デジタル時代に対応した卓見と豊かな教養を背景に、映像
生成から受容までの現場を理解」するという点、②に関しては「豊かな教養をもち、柔軟
かつ鋭い感性と確かな技術を携え」るという点、③に関しては「映像および映像文化に関
する深い理解とリテラシー能力を有」するという点、が焦点化されることとなった。
(具体的なレベルで効果があがった点、改善が必要な点については次の欄を参照)一般
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
161/331
にいえば、これらについて、第一に、開設年度に引き続き、前年度よりさらに効果的かつ
効率的にカリキュラムの履行に取り組むこと、第二には、新たに迎えた2回生の配当授業
を、来るべき専門教育への接続を考慮した上で安定的に実施すること、第三には、多種類
の授業科目が立体的にすすむカリキュラムを支える教員の連携システムを確立すること、
が目指されたといえ、これらについては、かなりの成果があったといえる。
効果があがっている事項
導入教育の充実化(130201)、教育上の効果の測定のための多元的指標の確立(131001)、
履修における単位の上限設定とその指導および厳格な成績評価の実施(131101/131102/
131201)、学修の活性化と教員の教育法(シラバスの質的管理・授業評価の実施を含む)の
促進(131301/131302/131303)、授業形態・方法への取り組みおよび多様なメディア機器
の積極的活用(131402)
、の面において、大きな達成が認められた。
改善が必要な事項
国内外、とりわけ国外の大学との学術交流(130701)、専任教育の授業科目担当の割合
(130801)、国際化への取り組み(131601/131602)、などの点において、改善すべき点が
みられた。
【改善方策】
長所の伸長方法
長所については、継続して教授会をはじめとする会議体で、教員の意識の活性化をはか
るとともに、適宜FDの取組などを開催して、維持および管理につとめたい。ただし、他
方では、いまだ2回生までの学生数しか在籍していないがゆえに可能であった達成である
かもしれないという反省もなされており、その意味では、改善すべき点でも言及した専任
教員率の増強についても努力しながら、今後も安定的な教育実施について取り組みたい。
問題点の改善方法
問題点については、専任教員率については、随時、全学の会議体などで改善の必要性を
表明し、実質的な向上につながるよう努力する。また、国内外の大学の学術交流、および
国際化については、教員個人のレベルでは相当程度取り組まれている向きもあるので、そ
れらのネットワーク化をはかるとともに、さらには、海外の大学との積極的交流の開始に
向けて取り組むこととしたい。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
162/331
(11)生命科学部
【到達目標】
生命科学部が養成する人材像を端的に言えば、
「豊かな教養と生命科学分野の幅広い素養
を背景に、確かな専門力量を有する人材」である。
具体的には、第 1 に人文・社会科学分野を擁する総合大学である本学における、これま
での教学の到達点を基礎として、国際化や科学技術の進展に対応できる素養や豊かな教養
を持った人材を養成する。第 2 に、理工学部および情報理工学部での人材養成の実績や到
達点を活かし、技術者・科学者として必要な数学や自然科学の素養を確実に修得させる。
第 3 に、日進月歩の進歩を遂げる生命科学の基盤的知識と言える化学、生物学、さらに基
礎医科学を所属学科に関係なく修得させ、今後の生命科学の動向にも柔軟に対応できるよ
う幅広く知識を修得した人材を養成する。第 4 に、生命科学に携わる者として相応しい倫
理観を有する人材を養成する。第 5 に、各学科の専門性にあわせた専門力量を養成する。
これらの学部教学理念に従い、また設置計画に従い確実に教学を遂行する。
【現状の説明】
①教育課程等
1)学士課程の教育内容・方法
(学部・学科等の教育課程 コード 1301)
130101 教育目標を実現するための学士課程としての教育課程の体系性(大学設置基準第 19
条第 1 項)
設置届け出書類に記載した教育課程を次の①∼⑤として実施した。
①豊かな教養や国際化の進展に対応できる素養の修得
大学で学ぶ専門的知識を社会に適切に還元するには各々の専門分野だけでなく幅広
い教養が必要であり、また豊かな教養は人生を豊かにしてくれる。このため、生命科
学部では、4 年間を通して、専門を学びながら、各々の目的・興味に応じた教養科目を
学んでいくカリキュラムとなっている。
社会で能力を生かすには、十分なコミュニケーション能力が必要とされる。特に、
国際化の流れの中で、英語運用能力は今後益々重要になってくる。従って、英語教育
については、1・2 回生時に基礎科目の英語を継続して学修し、3 回生時に専門分野に
引き付けた英語運用能力を修得することを目的とした専門英語を学修するカリキュラ
ムとなっている。そして、4 回生時には、卒業研究において英語論文を用いてゼミを展
開するなど、発信型英語教育に重点を置いて教育を行っている。また、基礎固めとし
て重要な 1・2 回生時では、発信型英語クラスであるプロジェクト英語授業とそれを支
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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えるスキルワークショップ英語授業で発信型英語の基礎を学ぶこととなっている。
②数学・自然科学の基本原理の十分な理解
専門基礎科目区分では専門教育への橋渡しとなる数学・自然科目を配置している。
生命科学部では、ライフサイエンスの専門教育において基盤となる数学・自然科目を
精選して、科目を設定している。したがって、すべての科目の履修が期待され、その
ような履修推奨を行っている。
数学においては、講義科目(数学 1∼4)と演習科目(数学演習 1・2)を関連付けて開講
し、より理解を深めることができる。物理学、化学、生物科学はそれぞれ 2 科目で基
礎を包括的に学ぶ。また.情報科学の基礎的知識は現在の情報化社会においては、生命
科学を学ぶものにとっても、必要といえるため、そのような履修推奨を行っている。
③生命科学を学ぶ上で基礎となる基盤的知識(化学、生物学、基礎医科学など)の
修得
生命科学は化学、生物学、医科学、物理学などの総合科学であるため、生命科学分
野での専門を極めるには、この総合科学を支える基盤を学ぶ必要がある。このため、
生命科学部では、化学と生命・医科学を 2 つの柱と位置づけ、これらの分野での基盤
科目を配置している。各学科の履修モデルにしたがって、履修することが重要だが、
幅広い専門性を身につけるにはできるだけ多くの科目を積極的に履修することを推奨
している。
④生命科学がヒトや環境に及ぼす影響やその結果についての社会的責任の理解
最近の生命科学の進歩は大変めざましく、社会がそれに追いついていけない速度で
展開しているともいえる。この分野は人間を含む生物(生命体)を研究・実験の対象に
するものであり、研究者ならびに技術者は研究開発だけでなく、その技術が社会や環
境に与える影響に対しても的確な認識を持つ必要がある。そのため、生命科学部では
生命科学・医療分野における技術者倫理教育を目的とする科目「生命科学と倫理」を
学部共通の専門科目と位置づけ、配置し、様々な専門分野の立場から、多角的に生命
科学分野における科学者倫理を学ぶ
⑤各学科の専門性に合わせた専門力量の修得
専門基礎科目、共通専門科目の履修後、それぞれの学科の学問領域を掘り下げてい
くための専門科目を配置している。各学科の履修モデルに従い、専門的力量をつけて
いく。実習・演習科目と講義課目は密接に連携して学び、4 年間の集大成である卒業研
究につなげていく。なお、卒業研究の履修条件には、実習・演習科目の修得などを課
している。生命科学部では、専門科目区分においても、各学科の独自の専門科目だけ
はなく、境界領域の専門科目(学科横断科目)を複数の学科で履修することができる。
これにより、幅の広い専門力量を養成し、学際領域を切り開いていく力量を身につけ
ていくことの出来るカリキュラムとなっている。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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130102 教育課程における基礎教育、倫理性を培う教育の位置づけ
学部の人材育成目標における「豊かな教養や国際化の進展に対応できる素養の修得」
を実現するための科目群として、『基礎科目』を位置付けている。
全学提供の基礎科目(教養科目)を精選し、生命科学分野に重要である科目を配置
した。
一方、専門分野の基礎となる科目(専門基礎科目)及び社会性を身につけさせる科
目(生命倫理等)は、1回生時にバランスよく履修できる構造を作り実施開講した。
2009 年度も同様の体制で実施する。また、教養科目等の精選は教務委員会で議論し、
適宜改善していく。
130103「専攻に係る専門の学芸」を教授するための専門教育的授業科目とその学部・学科
等の理念・目的、学問の体系性並びに学校教育法第 83 条との適合性
学部の教育目標と、科目区分の関係としては、
『専門基礎科目』で「数学や自然科学
の基本原理を十分に理解する」を、
『共通専門科目』で「生命科学を学ぶ上で基礎とな
る知識(化学、生物学、医科学など)を修得する」「生命科学技術がヒトや環境に及ぼ
す影響やその結果等についての社会的責任を理解する」を、『専門科目』で「各学科の
専門性にあわせた専門知識・技術を修得する」を実現するように、教育課程の編成を
行った。
専門教育の授業科目に関して科目精選・充実、コア化を図り、系統的履修、選択・
必修の配分等の開講方針を明示した。また、設置届け出書類に基づき、共通専門科目、
専門科目、実習科目のコア化を行い、学科ごとに系統履修図を作成している。本履修
図は 2008 年度の履修要項に掲載し、履修ガイダンス時において周知を行い、さらに基
礎演習の第 1 回目の授業で教員から詳細な説明を行った。また、成績返却時には再度
教学担当から後期に向けて説明を行い、今期末においても 2 回生時の開講方針の説明
を行った。2009 年度の履修要項の作成にあたっては、より科目の位置づけが明確にな
るように系統履修図の改訂も行っている。今後は、継続して計画を実施していく。
130104 一般教養的授業科目の編成における「幅広く深い教養及び総合的な判断力を培い、
豊かな人間性を涵養」するための配慮の適切性
教養教育の授業科目は、系統履修図に基づき履修ガイダンス時において周知した。
2009 年度も同様に継続する。
一方、生命科学部が担当する、生物・生命系の教養科目は、専門教員による教科書
作成を含め具体化を目指す(2010 年度)。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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130105 外国語科目の編成における学部・学科等の理念・目的の実現への配慮と「国際化等
の進展に適切に対応するため、外国語能力の育成」のための措置の適切性
外国語教育の授業科目に関して、必修・選択配分や系統的履修等の開講方針をガイ
ダンス時に明示し周知した。外国語(英語)運用能力に関して、卒業時に想定する指
標・基準を検討し、学部独自の系統的教育体系を構築した。具体的には卒業研究論文
のアブストラクトを英語で作成すること。英語でプレゼンテーションを実施すること、
また、TOEIC(r)600 点に達する事を目標としている。2008 年度は、4 月(プレイスメン
トテストのためのブリッジ)、6 月、12 月の計 3 回の TOEIC®受験を実施した。その結果、
全学において最も平均点の向上が認められた(約 40 点の向上)。TOEIC®に関しては、
引き続き 2009 年度も実施する。一方、生命科学部における外国語運用能力を向上させ
るため、セメスターごとに、英語スキルワークショッププログラムの評価・検討を実
施した。また、生命科学部長、各学科代表、英語担当教員、教学担当副学部長、事務
室担当者からなる「英語教育・運営連絡委員会」を定期的に開催した。今後は、課題
を整理し改善できる点から順次改善を図っていく。2009 年度も引き続き、計画通り外
国語教育の系統的履修を実施する。
130106 教育課程の開設授業科目、卒業所要総単位に占める専門教育的授業科目・一般教養
的授業科目・外国語科目等の量的配分とその適切性、妥当性
生命科学部設置に際し、基礎(教養科目、外国語科目)、専門科目及び、実習科目を
精査し、生命科学部の教学理念に合致した科目配置を行った。卒業必要単位(132 単位)
のうち、科目区分ごとの必要単位数は、「基礎科目」24 単位以上(うち、外国語科目 8
単位)、「専門基礎」20 単位以上、「共通専門」24 単位以上、
「専門」56 単位以上、「自
由選択」8 単位以上としている。これらは、学部の人材育成目標との関係で、バランス
の取れた配置となっている。2008 年度以降これらを実施していく。
130107 基礎教育と教養教育の実施・運営のための責任体制の確立とその実践状況
生命科学部開設に際し、教養教育の充実発展のため、全学共通推進機構と学部の教
育目標を実現するために連携して科目精選を行った。
生命科学部が担当する基礎科目及び基礎教育科目に際しては、学部として明確な方
針を立て教材作成等を行い講義を実施した。今後は、2 回生配当科目の専門科目および
実習科目が大幅に増えるため確実な運用および実施を行う。
130108 カリキュラム編成における、必修・選択の量的配分の適切性、妥当性
生命科学部設置に対し、専門科目、専門基礎科目、外国語科目、教養科目において
学部の理念に照らし合わせ科目精選を行い、必修・選択の量的配分を行った。基礎科
目群のうち「外国語科目」8 単位は全科目必修、共通専門の「英語 JP1」(2 単位)、専
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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門(学科固有系)の「卒業研究 1・2」(各 2 単位)を必修科目とした。2008 年度は計
画に基づき実施した。2009 年度も継続して実施する。
(カリキュラムにおける高・大の接続 コード 1302)
130201 学生が後期中等教育から高等教育へ円滑に移行するために必要な導入教育の実施状
況
生命科学部では、多様な入試形態により学生を選抜し受け入れている。入学者にお
いては到達度にばらつきがあるため、高等教育へ円滑に移行するため、入学前教育、
リメディアル教育、導入期教育(基礎演習等を含む)などにより、導入教育を実施し
ている。
入学前教育として、全学のプログラムに加え学部独自のプログラム(物理、英語)
を実施した。生命科学部で実施している高大連携協定校プログラムは、プログラム計
画に従い実施した。同プログラムのスクーリングにおいては、各学科の特色を丁寧に
説明し、理解させた上で学科選択等を促した。なお、本入試方式で入学した学生に関
して、プレイスメントテストの結果から特別入試と一般入試の入学者の間に学力差が
みられた点については、今後のプログラムの課題である。
2008 年度の入学者は、高校理科の到達度にばらつきがあったため、リメディアル教
育として「初修物理」、「初修化学」、「初修生物」を随意科目として設定した。この科
目の受講推奨について、新入生オリエンテーション時に実施した理科(物理、化学、
生物学)の「プレイスメントテスト」の結果に基づいて、基礎レベルに達していない
学生には対して該当部分の初修科目の履修推奨を行い、「初修物理」、
「初修化学」
、「初
修生物」の各科目で履修指導を行った。生命科学部と薬学部において「初修物理」(2
クラス 143 人が受講し 104 人が C 以上の有効評価を取得)、
「初修化学」
(1 クラス 38 人
が受講し 26 人が C 以上の有効評価を取得)、
「初修生物」
(1 クラス 98 人が受講し 38 人
が C 以上の有効評価を取得)は、いずれも積極的な履修状況であり、受講者の満足度
も高かった。履修希望者が予想以上に多かったためクラス増を行った。今後は、適切
なクラス規模を確保しつつ継続して実施する。
2008 年度の実施状況を踏まえ、入学前教育の充実が必要であると判断したため、2009
年度は新たな入学前入試を実施する。高大連携協定校プログラムにおいては、より厳
密な講義を行うため、レポート課題の評価システムを導入する。一方、立命館大学附
属校へは、生命科学部執行部を中心に積極的な学部独自講義を実施し、合わせて学部
紹介を行い各学科の理解を深めていく。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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(インターンシップ、ボランティア コード 1305)
130501 インターンシップを導入している学部・学科等における、そうしたシステムの実施
の適切性
インターンシップ制度を充実させ、適切に運用する事を目標に実施した。また、教
学部と連携して 1 回生を対象とした「特殊講義(キャリア形成科目)」を開講しており、
今後も、実施していく。
130502 ボランティア活動を単位認定している学部・学科等における、そうしたシステムの
実施の適切性
教学部と連携し、「特殊講義(地域活性化ボランティア))」を開講し、ボランティア
活動を単位認定しており、今後も実施していく。
(授業形態と単位の関係 コード 1306)
130601 各授業科目の特徴・内容や履修形態との関係における、その各々の授業科目の単位
計算方法の妥当性
各授業の特徴、内容、履修形態からそれぞれの授業科目に適した単位計算方法を実
施している。
(単位互換、単位認定等 コード 1307)
130701 国内外の大学等での学修の単位認定や入学前の既修得単位認定の適切性(大学設置
基準第 28 条第 2 項、第 29 条)
2008 年度海外の大学との国際プログラム等に関しては、全学基準に基づき単位認定
を行った。入学前の既習単位認定に関しては大学設置基準第 28 条第 2 項、第 29 条に
従い適切に単位認定を行った。今後は、学部独自の海外プログラムの開発等を進めて
いく。
(開設授業科目における専・兼比率等 コード 1308)
130801 全授業科目中、専任教員が担当する授業科目とその割合
生命科学部の基盤となる専門科目、専門基礎科目、外国語科目に関しては専任教員
による担当を原則としている。2008 年度に関しては確実に対応ができた。2009 年度に
関しても継続して専任教員を中心として担当していく。
130802 兼任教員等の教育課程への関与の状況
生命科学部においては薬学部と共にライフサイエンスの教学を展開している。薬学
部の教員は生命科学部の教員と同様に学部の理念や教育目標について十分に理解して
教学に関与している。2008 年度は新任の兼任教員に対し研修を実施し、学部の理念や
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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教育目標について十分な説明を行った。今後も引き続き同様の研修等を実施する。
(社会人学生、外国人留学生等への教育上の配慮 コード 1309)
130901 社会人学生、外国人留学生、帰国生徒に対する教育課程編成上、教育指導上の配慮
生命科学部においては、外国人留学生を積極的に受け入れている。日本語教育に関
しては、外国人留学生を対象とした特別科目を配置し日本語能力の向上に努めている。
また学部として留学生に対する教育上の指導や生活上の問題点等を聞く懇談会を実施
している。2009 年度も引き続き同様の配慮を継続する。
②教育方法等
(教育効果の測定 コード 1310)
131001 教育上の効果を測定するための方法の有効性
本学は多様な学生を獲得するため、入試方式が多岐にわたる。従って、入学者の基
礎学力の把握と充実が重要である。生命科学部では、入学時に独自に基礎学力診断テ
ストを実施し、新入生の基礎学力把握・分析を詳細に行った。その結果を判定材料と
し、専門科目の基盤となりうる基礎学力の向上が必須な学生に対して初修科目(「化
学」・「物理」
・「生物」)を 1 回生前期に開講した。これらの取り組みにより、生命科学
部の専門科目にスムーズに入ることができた。今後は、更なる改善を加え継続する方
針である。
生命科学部の教育理念や教育システム、また各学科の専門教育体系を深く理解させ
るため、各学科をさらに分割した少人数クラスで、演習を通年実施した。また、本演
習の取組みの延長として担当教員による学生への成績返却と個人学修指導を行うなど
のきめ細かい教学指導を実施した(1 回生において前期末と後期末の 2 回)。その結果、
自主学習時間が大幅に増え、学生の学修に対する意識の向上が明確に見られた(図書
館の利用率と滞留時間は全学でトップであった)。
英語教育においては、生命科学部で独自に開発した新たなカリキュラムを実践した。
具体的には英語の基本スキルの習得を目指した「英語 S」では、入学後のプレイスメン
トテストの結果をもとに、能力別に少人数クラス(16-20 人)にて授業を実施した。英
語でのコミュニケーション能力・発信力の育成を目指したプロジェクト型科目「英語 P」
では、専任の講師陣により英語運用能力の基礎を養う授業を展開した。また、英語教
員と生命科学部専門教員で構成する英語教育運営・連絡委員会を設置し、密に連携を
取ることにより、この教育システムの適切かつ効果的な運用を行った。その結果、生
命科学部において、大幅に TOEIC®の点数が向上した(6 月と 12 月に試験を実施し、学
部平均で約 40 点向上した)。
生命科学部では、1回生時から専門基礎教育を実施している(化学系、生物系、お
よび医療系に分類し実施)が、担当教員や授業評価アンケート結果から、生命科学部
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
169/331
の理念に合致した学修成果が得られた。また、授業を改善することを目的として実施
した授業評価アンケートの分析結果は、教員会議および各学科で議論し、共有化を図
った。
131002 卒業生の進路状況
現在(2009 年度)は2回生までであるため、キャリア支援やキャリア教育を中心に
実施した。継続して同様の取り組みを行う。
(成績評価法 コード 1311)
131101 厳格な成績評価を行う仕組みと成績評価法、成績評価基準の適切性
シラバス記載項目に従って厳格に成績評価を実施し、講評・公表を行った。今後は、
2008 年度と同様に成績評価を厳格に行う。成績評価基準に関して、授業の到達目標や
学部の教育目標との整合性、妥当性、適切性を保証するための成績評価を改善し、オ
ンラインシラバスに記載した到達目標に基づいて各教員が適切な成績評価を行った。
今後も成績評価は、公正・厳格に行い教育効果を高めていく。
131102 履修科目登録の上限設定等、単位の実質化を図るための措置とその運用の適切性
履修科目登録の上限設定や GPA を導入し、適切に運営し、上限科目を 50 単位として
設定し運用した。単位取得僅少者には、個別面接を行い改善を促した。2009 年度も同
様に取組んでいく。
131103 各年次および卒業時の学生の質を検証・確保するための方途の適切性
各科目、実習科目等、公正かつ厳格に成績評価を行った。学生個人の科目における
質を検証するため、小集団担当者におけるチェックを実施した。全体の質を検証する
ため、個人成績表に GPA を各期に明示した。それらに基づき、小集団各にレベルアッ
プを促進するための個別面談等を実施した。
(履修指導 コード 1312)
131201 学生に対する履修指導の適切性
開講方針の説明をはじめ、ピア・サポーターを活用するなど、オリエンテーション
を充実し、有効適切な履修指導を目標に実施し、授業への取組み態度等を改善した。
各授業においては、質疑応答や日常的な履修指導をはじめ、きめ細かい対応を行い、
学生の学習意欲向上を図り、理解をより確かなものとした。今後も同様の取組みを実
施する。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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131202 留年者に対する教育上の措置の適切性
学部事務室、教務委員、及び教学担当副学部長を中心に個別対応を実施し、問題解
決を図った。今後もきめ細かい対応を実施し、実効性を高めていく。
131203 科目等履修生、聴講生等に対する教育指導上の配慮の適切性
科目等履修生、聴講生の学習上の利便を図る取り組みを行う事を目標に実施し、学
部事務室を中心に個別対応を実施し、配慮を行った。今後も同様の取組みを行ってい
く。
(教育改善への組織的な取り組み コード 1313)
131301 学生の学修の活性化と教員の教育指導方法の改善を促進するための組織的な取り組
み(ファカルティ・ディベロップメント(FD))およびその有効性
生命科学部の全ての科目で授業評価アンケートを実施した。なお、項目に関しては、
講義科目と実習科目において別々の内容にて実施した。結果のフィードバックは、各
担当教員への返却を行うと共に学生への公表も行った。全体の評価に関しては、学部
執行部として分析し、問題点毎に丁寧に対応した。個別の講義に関しても適宜対応を
行い、次年度へ向けた具体的な改善を実施した。今後も引き続き同様の対応を行う。
131302 シラバスの作成と活用状況
シラバスの必要項目に適切に情報を記入する事を目標に実施し、全科目において教
学部が定めるガイドラインに沿ってオンラインシラバスの作成を行った。各教員によ
るシラバス執筆の後、学部執行部による詳細なチェックを行い、不適切な個所を適切
に改訂した。また、授業評価アンケートから、受講生のシラバスの活用状況を把握し、
科目における状況を解析した。今後は、シラバスの活用状況の向上を目指し、学生へ
の周知を徹底する。
131303 学生による授業評価の活用状況
全ての科目において、講義科目と実習科目に分けて、統一した項目にて授業評価ア
ンケートを実施した。それらの結果は、全学で統一して統計処理を行い、科目担当教
員に返却すると共に学生にも公表した。授業の改善に関しては、学部執行部を中心に
対応した。また必要に応じて個別対応も実施した。今後も同様の形態で実施する。
131304 卒業生に対し、在学時の教育内容・方法を評価させる仕組みの導入状況
卒業生が出ていないため特に対応していない。今後は、卒業生に対するアンケート
やインタビュー等を経年的に行うための方法を検討する。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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131305 教育評価の結果を教育改善に直結させるシステムの確立状況とその運用の適切性
学生による満足度調査を多角的・経年的に行うための仕組み、自らの教育目標や育
成する学生像の達成状況を把握するシステムを確立し、調査結果を教員会議等での議
論を通じて、教育改善に生かす取り組みを進める。この2点を目標に全ての講義にお
いては授業評価アンケートを実施し、各教員において適切に教育改善を行った。今後
も継続して取組んでいく。
(授業形態と授業方法の関係 コード 1314)
131401 授業形態と授業方法の適切性、妥当性とその教育指導上の有効性
外国語科目については、公開授業を実施し専門家からの意見を適宜取り入れている。
専門基礎科目、共通専門科目においては、担当者会議を実施し、シラバスの充実お
よび授業内容の議論等を行い、課題の整理と 2009 年度へ向けた対応策を決定した。
小集団科目については、学部として、担当者会議を実施し、課題の整理と 2009 年度
へ向けた対応策を決定した。今後も引き続き同様の対応を実施していく。
専門科目については、前期セメスターに「基礎演習1」を、後期セメスターに「基
礎演習2」と「分析化学実験」を実施し、専門科目への導入を図った。その結果、共
通専門科目の教材作成等(生物科学関連)の進展が見られた。一方、2008 年度は入学
者数が多かったため、基礎演習科目のクラス数増を行った。1 回生科目は継続して実施
すると共に、2 回生科目の確実な実施を図っていく。
131402 多様なメディアを活用した授業の導入状況とその運用の適切性
外国語科目に関しては積極的に Web コースツールと ICT の活用をした。その結果、
授業外の学習時間が大幅に増え、語学力の向上につながった(TOEIC®平均点向上等)。
他の講義に関しては、各教員の判断により、導入を行った。今後は、効果的なメディ
アがあれば積極的に導入を検討する。
131403「遠隔授業」による授業科目を単位認定している大学・学部等における、そうした
制度の運用の適切性
特に実施していない。
③国内外との教育研究交流
(国内外との教育研究交流 コード 1316)
131601 国際化への対応と国際交流の推進に関する基本方針の適切性
生命科学部としては積極的に外国人留学生を受け入れ、日本の文化に対して親しむ
環境を整えた(2008 年度入学者:4 人、2009 年度入学者:8 人)。また、日本語能力の
向上を学部としてサポートした。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
172/331
一方、日本人学生に関しては、使える英語を目指し、現在行っている「スキルワー
クショップ」と「プロジェクト英語」を確実に実施した。
今後は、更なる教育内容の教学内容の充実とその実践を行い、国際化へ対応してい
く。
131602 国際レベルでの教育研究交流を緊密化させるための措置の適切性
生命科学部では、基礎科目の履修を通じて「豊かな教養や国際化の進展に対応でき
る素養の修得」を目指している。その中でも、外国語科目を通じて、プロジェクトを
するために必要な技能を、スキルワークショップで身につける、という構成を取って
いる。これは、学生が将来、国際化の最も進んだ先端分野である「生命科学」の専門
家として、世界中の専門家と一緒にプロジェクトを組み、情報交換、議論、プロジェ
クトの成果の発表をする際に必要とされる能力である。さらに、共通専門科目に配置
した「専門英語」(2 単位必修、3 回生配当)におくことで、言語運用能力と専門力量
を融合させるカリキュラムとした。
2008 年度は、正課教育の到達点を踏まえつつ、各教員の国際的ネットワークを活用
しつつ、英国の大学との間で Language Exchange Program(正課外プログラム)をパイ
ロット的に実施するなど、国際レベルでの教育的交流活動を行い、2010 年度から始ま
る「専門英語」をはじめとした、正課プログラムの開発にフィードバックしていくこ
ととした。
131603 国内外の大学との組織的な教育研究交流の状況
国内外の大学と組織的な教育研究交流を行い、外国語科目を中心に、英国、ニュー
ジーランド、カナダとの連携を深めた。今後は、学生も参加できるプログラム開発を
実施する。
【点検・評価】
目標の達成度
本学は多様な学生を獲得するため、入試方式が多岐にわたる。従って、入学者の基礎学
力の把握と充実が重要である。生命科学部では、入学時に独自に基礎学力診断テストを実
施し、新入生の基礎学力把握・分析を詳細に行った。その結果を判定材料とし、専門科目
の基盤となりうる基礎学力の向上が必須な学生に対して初修科目(「化学」
・
「物理」
・
「生物」
)
を 1 回生前期に開講した。これらの取り組みにより、生命科学部の専門科目にスムーズに
入ることができた。今後は、更なる改善を加え継続する方針である。
生命科学部の教育理念や教育システム、また各学科の専門教育体系を深く理解させるた
め、各学科をさらに分割した少人数クラスで、演習を通年実施した。また、本演習の取組
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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みの延長として担当教員による学生への成績返却と個人学修指導を行うなどのきめ細かい
教学指導を実施した(1 回生において前期末と後期末の 2 回)。その結果、自主学習時間が
大幅に増え、学生の学修に対する意識の向上が明確に見られた(図書館の利用率と滞留時
間は全学でトップであった)。
英語教育においては、生命科学部で独自に開発した新たなカリキュラムを実践した。具
体的には英語の基本スキルの習得を目指した「英語 S」では、入学後のプレイスメントテス
トの結果をもとに、能力別に少人数クラス(16-20 人)にて授業を実施した。英語でのコミ
ュニケーション能力・発信力の育成を目指したプロジェクト型科目「英語 P」では、専任の
講師陣により英語運用能力の基礎を養う授業を展開した。また、英語教員と生命科学部専
門教員で構成する英語教育運営・連絡委員会を設置し、密に連携を取ることにより、この
教育システムの適切かつ効果的な運用を行った。その結果、生命科学部において、大幅に
TOEIC®の点数が向上した(6 月と 12 月に試験を実施し、学部平均で約 40 点向上した)。
生命科学部では、1回生時から専門基礎教育を実施している(化学系、生物系、および
医療系に分類し実施)が、担当教員や授業評価アンケート結果から、生命科学部の理念に
合致した学修成果が得られた。
開設 1 年目ということもあり、細かい修正は余儀なくされたが、概ね計画通り実施でき
たと考えている。
効果があがっている事項
外国語教育、小集団教育等、他学部と比較しても大幅に授業外学習時間が増えており(図
書館利用率等)目に見えた効果が確認された。学生の出席状況や授業態度等から、今後の
成長が大いに期待できる。
改善が必要な事項
授業評価アンケート等からごく一部の科目で改善を望む意見が出された(詳細は本文中
に記載)。
【改善方策】
長所の伸長方法
完成年度迄、計画に基づいた運営を確実に実施していく。成果の上っている科目につい
ては、可能な限り学部としてサポートできる体制を引き続き継続していく。
問題点の改善方法
学部執行部を中心に個別教員へきめ細かく対応する。また、各種委員会において積極的
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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に FD 活動を進めていく。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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(12)薬学部
【到達目標】
薬学教育の到達目標
薬学教育が目標とするのは次のような人材像を育成することである
1)医療人としての使命感、倫理観を有する薬剤師の養成
医療や医薬品開発に関わる科学技術が目覚しく高度化する中で、専門的な知識や技
能を身に付けるだけでなく、豊かな教養と人間性、高い倫理観、医療人としての使命
感を有した人材を養成。
2)医療チームの一員として活躍できる薬剤師の養成
医師、看護師その他医療従事者と協力して疾病の治療にあたる際に、薬物の専門家
として薬物治療に積極的に参画できる臨床知識や技能、態度、コミュニケーション力
等を有する薬剤師を養成。また、今後の社会のニーズを踏まえ、医療人として医療シ
ステムや医療マネジメントなど、医療と社会の橋渡しの役割を果たすことができる人
材を養成。
3)薬剤師として求められる薬学知識や生命科学の素養を持ち、医療の高度化や生
命科学の進展に対応できる薬剤師の養成医療現場で遭遇する様々な問題を解決できる
能力を身に付けさせるだけでなく、深い探究心や新しい問題発見能力を持った人材を
養成。
4)地域社会に貢献できる薬剤師の養成
キャンパスコンセプトの一つである「地域貢献」に基づき、地域における医療の担
い手として貢献できる薬剤師を養成。薬剤師は地域における在宅医療の支援、公衆衛
生の確保、医療品等に関する情報の収集、住民への啓蒙活動の中心的役割が期待され
ている。滋賀県内の関連団体や自治体の支援を受けつつ、また薬局管理の基礎知識を
持った、地域の健康相談ステーションとしての薬局を基盤として活躍できる薬剤師を
養成。
【現状の説明】
①教育課程等
1)学士課程の教育内容・方法
(学部・学科等の教育課程 コード 1301)
130101 教育目標を実現するための学士課程としての教育課程の体系性(大学設置基準第 19
条第 1 項)
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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設置申請に記載した教育課程を実施した。 具体的には低回生では広く教養基礎科目、
専門基礎科目(数学、自然科学系科目)を中心に教育を実施した。加えて専門科目と
しては前期セメスターに「基礎演習1」、
「薬学概論」、後期セメスターに「基礎演習2」
と「分析化学実験」を実施し、2 回生以降の専門教育への導入を図った。 演習1で実
施した早期体験学習については、学生による成果のプレゼンテーションを、薬学部教
員に加え見学先の先生方を招待し、報告会を実施した。またその後、交流会を実施し、
合わせて課題の整理を行った。本学の学生の早期体験学習についてはまじめな印象を
もたれた一方で、少しおとなしすぎるとの意見もあった。共通専門科目では独自の教
材(生物科学関連)を作成することとし、その進展が見られた。
130102 教育課程における基礎教育、倫理性を培う教育の位置づけ
学部の理念に照らして、情報モラルをはじめ、倫理性を培う科目、社会制度を学ぶ
科目など30科目を開講し、そのうち述べ26科目を学生は履修した。また、最近は
国語力を伸ばすことが重要視されているが、本学部でも日本語表現法に関する科目を
1回生で開講したところ、49 名の受講登録がありそのうち 40 名が履修した。2009 年
度は、さらに多くの学生に履修させ、低回生の内に国語力を高めることを目標とした
い。
130103「専攻に係る専門の学芸」を教授するための専門教育的授業科目とその学部・学科
等の理念・目的、学問の体系性並びに学校教育法第 83 条との適合性
薬学部の専門教育は、文部科学省の定める薬学教育モデルカリキュラムに沿って実
施することが求められており、本学部の専門科目の教育課程はこれに基づいて設置申
請時に設計したものである。
設置時の専門教育の教育課程については履修要項に詳しく記述し、学生へは履修ガ
イダンスで周知した。さらに将来の薬剤師をめざす導入教育として位置づけられる早
期体験学習では、基礎演習の第 1 回の授業で教員から詳細な説明を行い、自覚をもた
せた。一方、前期の成績返却時には再度教学担当副学部長から、後期に向けての学習
要項についての説明を行い、セメスター末においても 2 回生時の開講方針の説明を行
った。なお、取得単位数の少ない学生の中には、進級要件を理解しているものが少な
いことが伺えた。今後は進級に関する取り決めの周知が早い段階で必要であるため、
実施を検討する。
130104 一般教養的授業科目の編成における「幅広く深い教養及び総合的な判断力を培い、
豊かな人間性を涵養」するための配慮の適切性
履修ガイダンス時に、教養教育の授業科目に関して系統的履修、選択・必修配分等
の開講方針を明示した。また、生命科学の基礎と応用、さらには生命倫理にわたる教
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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育を実施するために独自の教科書作成を開始した。ただし、時間割編成上一日に4コ
マの講義しかおけないため、共通科目の系統履修が困難な場合のあることも明らかに
なった。これは全学的課題のひとつであると考える。
130105 外国語科目の編成における学部・学科等の理念・目的の実現への配慮と「国際化等
の進展に適切に対応するため、外国語能力の育成」のための措置の適切性
外国語教育の授業科目に関して、必修・選択配分や系統的履修等の開講方針を明示
し、周知するとともに、薬学部設置において策定した方針(発信型英語の推進)に従
い確実な実施を行った。全学の教育力強化予算を利用し、4 月(プレイスメントテスト
のための TOEIC®ブリッジ)、6 月、12 月の計 3 回の TOEIC®受験を実施した。その結果、
薬学部の TOEIC®平均点において大幅な向上が認められた。この結果も踏まえ、セメス
ター毎に、英語スキルワークショッププログラムの評価・検討を、共同で開講してい
る生命科学部も含めた両学部長、各学科代表、英語担当教員、事務室担当者からなる
「英語教育・運営連絡委員会」を開催して行った。2 回生に関しても授業計画に基づき
確実な実施を行う。
130106 教育課程の開設授業科目、卒業所要総単位に占める専門教育的授業科目・一般教養
的授業科目・外国語科目等の量的配分とその適切性、妥当性
6 年制薬学教育の大学設置基準を踏まえ、本学薬学部薬学科の卒業要件は、195 単位
を修得するものとしている。基礎科目、基礎専門科目(28 単位以上)
、専門科目(123
単位以上)では各科目区分でそれぞれ 24 単位以上、28 単位以上、123 単位以上という
要件単位を設定することにより、幅広い知識を偏らず修得する工夫をしている。その
上で「履修モデル」を設定した。この「履修モデル」は、2008 年度はオリエンテーシ
ョンの担当者による履修指導や、クラスごとに担任教員による個別の履修指導・相談
等の際に活用された。
130107 基礎教育と教養教育の実施・運営のための責任体制の確立とその実践状況
教養教育を充実し、受講利便性の確保のために全学共通教育推進機構と連携して基
礎科目精選を進め、教員の質を確保した。また、基礎科目の評価法についても明確に
シラバスに記載し、受講生に周知した。生命科学系科目では教材作成等を実施し、本
学独自の教育体制を整えることとした。また 2 年目には 2 回生配当科目の専門科目お
よび実習科目が大幅に増えるため、一日の科目配置授業時間数を増やすなどして確実
な運用および実施を行う。
130108 カリキュラム編成における、必修・選択の量的配分の適切性、妥当性
基礎科目については英語科目を必修科目とし、その他の一般基礎科目は 30 科目配置
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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し選択科目としている。
基礎専門科目は自然科学系科目を 14 科目で 26 単位分開講し、
20 単位以上を履修することで専門を学ぶ上の基礎学力の形成と位置づけている。ただ
し、これまでの薬学教育を鑑み、必修科目として「化学I」,「化学Ⅱ」を指定してい
る。一方、専門科目は 103 科目開講するが、そのうち 60 科目が必修、履修指定科目が
7 科目ある。また、同時に化学系科目 16 単位以上、生物系科目 22 単位以上、医療薬学
系科目 20 単位以上、学部横断アドバンスト科目 6 単位以上、演習・実習科目 55 単位
以上を履修することとしており、以上の必要条件を満足することでコアカリキュラム
を網羅した編成となっている。2008 年度は 1 回生科目として、英語(4 科目)、教養科
目(30 科目)
、基礎専門科目(14 科目)、共通専門科目(7 科目)、専門科目(5 科目)
を開講した。その結果、ほとんどの学生は要卒単位として 40 単位を取得していた。
(カリキュラムにおける高・大の接続 コード 1302)
130201 学生が後期中等教育から高等教育へ円滑に移行するために必要な導入教育の実施状
況
2008 年度は、新入生オリエンテーション時に「プレイスメントテスト」を実施し、
基礎レベルに達していない学生には、該当部分の初修科目の履修推奨を行い、履修さ
せた。薬学部において「初修物理」を 28 人が受講し 24 人が C 以上の有効評価を取得
した。また、
「初修化学」は 10 人が受講し 9 人が C 以上の有効評価を、
「初修生物」で
は 26 人が受講し 7 人が C 以上の有効評価を得た。
ただし、生命科学部と薬学部の合同クラスとして当該科目を開講したが、履修希望
者が予想以上に多かったためクラス規模が大きくなってしまった。次年度以降はクラ
ス増を行い対応する。
「プレイスメントテスト」の結果から、特別入試と一般入試の入学者の間に大きな
差がみられた。2008 年度の特別入試による新入生については入学前教育とし、全学共
通のプログラムに加え薬学部独自のプログラム(物理、英語)を実施したが、十分で
はなかったと考えられる。今後は高校と連携して入学前教育の充実化と強化を行わな
ければならない。既に、2010 年度に向けて、附属校へは執行部教員を中心に積極的な
学部独自講義を実施し、合わせて学部紹介を行い薬学部の理解を深める手立てをとっ
ている。
(カリキュラムと国家試験 コード 1303)(担当次長から別途集約のある可能性)
130301 国家試験につながりのあるカリキュラムを持つ学部・学科における、カリキュラム
編成の適切性
本学薬学部の教育課程では 6 年制薬学部のモデル・コアカリキュラムに沿った教育
科目を精選し、薬学の基礎から臨床応用へと系統的・段階的に学ぶカリキュラムを設
定している。1、2 回生までに薬学を学ぶための導入科目および基礎的な専門科目を履
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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修し、4 回生終了時までに化学系薬学・生物系薬学の基礎専門科目、さらに医療系薬
学の専門科目および病院・薬局実務実習に向けた科目群を履修する仕組みをとってい
る。5 回生での病院・薬局実務実習を行うにあたり、全国統一の共用試験に合格しな
いと実務実習の履修が許可されないが、それに合格すると 5 回生で病院・薬局での長
期実務実習(各 2.5 ヶ月)を習得し、最終年度に薬学・薬剤師養成の総仕上げを行う
こととしている。
本学薬学部においては、節目となる段階においての知識・技能の習得の到達度を確
実にするため、3 回生、5 回生への進級条件を課している。また、「進級制度」をより
有効な制度とすることを目的として、専門必修科目には「再試験制度」を実施してい
る。2008 年度は 8 科目に延 148 人が再試験を受け、117 人が合格している。
(医・歯・薬学系のカリキュラムにおける臨床実習 コード 1304)
130401 医・歯・薬学系のカリキュラムにおける、臨床実習の位置づけとその適切性
薬剤師の業務を実際に体験することにより、基本的な知識、技能を修得するととも
に医療の現場(病院、薬局)において薬剤師の果たすべき職責の重要性を認識させ、
医療人としての職業倫理や責任感を身につける。そのための制度の骨子は 2008 年度現
在、次の通り確認している
学外での実務実習(病院・薬局実習)を行う前に、薬学部内において模擬実習を行
いこの学習の到達点を客観的臨床能力試験で評価する。その後、共用試験を受験し、
合格者を病院・薬局実務実習の履修許可者とする。実務実習は、4 年次の「実務前実習
(4 単位)」
、5 年次の「病院実務実習(10 単位)」および「薬局実務実習(10 単位)」
である。
実務前実習は、
「実務実習モデル・コアカリキュラム」における「実務実習事前学習」
に対応し、病院実務実習は「病院実習」、薬局実務実習は「薬局実習」に対応した内容
を実施する。
病院実務実習および薬局実務実習は、近畿地区調整機構との連携の下、滋賀県内を
中心とした近畿地区の病院薬局および薬局において薬学実務実習を行なう。
病院・薬局実務実習を効果的かつ円滑に実施するために「実務実習委員会」を設置
している。また、学生へのオリエンテーション、実習までの抗体検査等、損害賠償責
任保険等対策を行うこととなっている。実習までの抗体検査等の受診徹底をはかり、
未受診の学生は実習の許可をしないこととしている。
実習指導体制と実習施設との連携のため、
「病院・薬局実務実習指導者会議」を今後、
組織する。同会議へは、病院実習基幹病院、滋賀県薬剤師会、滋賀県病院薬剤師会の
各実務実習担当者の参加を要請する。また、実務実習の一層の充実や教育効果の向上
を図るために「近畿地区実務実習調整機構」と連絡を密に取る。なお、薬局実務実習
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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については、滋賀県薬剤師会と協力して取り組みを強化していく。
実務実習委員会委員は、病院および薬局での実務実習内容に施設間での格差を可能
な限りなくすために、実習施設を巡回し、各施設の指導薬剤師と実習内容について調
整を行なう。
実習期間中に実習施設を巡回して指導薬剤師と学生の実習評価等について協議を行
なう。巡回指導は、1 実習施設につき前半、中間、後半の 3 回実施することを基本と考
えている。
巡回指導においては、なれない環境で学生は不安や悩みを抱えつつ、実習に励んで
いることが予想されるため、時間的余裕を持って実習施設を訪ね、面談・指導を行な
う予定である。
実習先の指導薬剤師は、専門的な知識、技能、態度、記録・報告の能力、探究心、
出席状況をあわせて評価を行なう。知識の習得については、指導薬剤師および薬学部
教員が測定者となり、口頭による形成的評価を行なう。技能、意欲、態度の習得に関
しては、実習中に指導薬剤師が測定者となり評価を行なう。
実習先の指導薬剤師は、学生の実習状況について、「実習評価シート」に基づき、各
評価項目を 3 段階で評価を記入する。評価項目については、実務実習モデル・コアカ
リキュラムの到達目標等に準じるものとする。具体的な評価基準、評価方法に関して
は薬学教育改革大学人会議、薬学教育協議会などから提案される統一事項を参照し、
「実務実習委員会」において決定する。
実習先から提出された評価と学生が記入する「実務実習日誌」、「病院実務実習終了
報告書」、「薬局実務実習終了報告書」および巡回指導を行った教員の記録をもとに、
実習に参加した全学生の成績評価および調整を行い、単位を認定する。ただし、各実
務実習日数の 5 分の 1 以上を欠席した学生は、当該科目を不合格とする。また、不合
格とする場合は、評価結果を学生にフィードバックし、どの項目でどのような改善が
必要かを認識できるようにする。
(インターンシップ、ボランティア コード 1305)
130501 インターンシップを導入している学部・学科等における、そうしたシステムの実施
の適切性
教学部と連携してインターンシップを単位化し、また 1 回生を対象とした「特殊講
義(キャリア形成科目)」を開講しており、今後も実施していく。
130502 ボランティア活動を単位認定している学部・学科等における、そうしたシステムの
実施の適切性
教学部と連携して自由選択科目群にボ ラ ン テ ィ ア コ ー デ ィ ネ ー タ ー 養 成 プ ロ グ
ラム科目群を開講しボランティア活動を単位認定しており、今後も実施していく。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
181/331
(授業形態と単位の関係 コード 1306)
130601 各授業科目の特徴・内容や履修形態との関係における、その各々の授業科目の単位
計算方法の妥当性
開講した授業および実習においては、確実に 15 週の講義を実施した。また定期試験
および再試験も確実に実施し、特に問題はなかった。専門科目ではレポートや体験学
習のまとめとなる発表準備を課し、授業時間外の学習を促進した。一方、授業評価ア
ンケートから判断すると、全般的に授業外学習において、時間数の不足が認められた。
今後、授業時間外の学習をどのように確保させるかが課題である。
(単位互換、単位認定等 コード 1307)
130701 国内外の大学等での学修の単位認定や入学前の既修得単位認定の適切性(大学設置
基準第 28 条第 2 項、第 29 条)
立命館大学では、海外の大学・機関と大学間協定を締結し、世界 46 ヵ国・地域、219
大学・機関と協定等に基づく国際交流を行なっている。プログラムは留学の目的と語
学力のレベルに応じて編成され、具体的には、①交換留学、②1セメスター留学、③
ショートステイプログラム、④立命館・UBCジョイント・プログラム等が設置され
ている。これらのプログラムは全学部の学生の参加が認められているものであるが、
薬学部については教学の都合上④以外のプログラムへの参加を奨励した。2008 年の参
加者は 0 名であった。
(開設授業科目における専・兼比率等 コード 1308)
130801 全授業科目中、専任教員が担当する授業科目とその割合
兼任教員に対する学部の理念や教育目標についての十分な説明を実施し、学部の教
育目標に貢献する中核的授業に関しては、2008 年度は 93.75%という高い専任率の到
達をみた。
130802 兼任教員等の教育課程への関与の状況
基礎科目、基礎専門科目の一部に非常勤講師による授業が開講されている。学部の
設置趣旨、薬学生の学外実習について個別に説明し、15回の講義と公平で正確な評
価の実施を依頼した。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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②教育方法等
(教育効果の測定 コード 1310)
131001 教育上の効果を測定するための方法の有効性
2008 年度は薬学部の開設初年度であるが、モデル・コアカリキュラムに準拠した薬
学教育を実施した。専門科目では、導入教育として早期体験や PBL をそれぞれ基礎演
習 I,II で行った。これらは教育効果を総括し、その有効性を確認するために公開の発
表会や複数の教員による評価を行った。PBL の実施に関しては、事前に学部教員会議に
おいて岐阜大学の編集した DVD などで、まず教員がプロジェクト型学習(Problem Based
Learning/PBL)の基本的構成と実施方法を習得し、その評価法を学んだ。
131002 卒業生の進路状況
まだ卒業生はいない。
(成績評価法 コード 1311)
131101 厳格な成績評価を行う仕組みと成績評価法、成績評価基準の適切性
シラバス記載項目に従って厳格に成績評価を実施し、講評・公表を行った。すなわ
ち、科目により評価法は異なるが、定期試験による評価、レポート試験による評価、
平常点による評価、およびこれらを合わせた総合点による評価をあらかじめシラバス
に記載し、それぞれを確実に実施した。今後は、第 3 者評価項目を精査し、それに対
応して成績評価の検証が行えるような体制を立ち上げる。
131102 履修科目登録の上限設定等、単位の実質化を図るための措置とその運用の適切性
学科の特殊性から、年度における履修登録の上限数を設定していないが、アドバイ
ザー教員から履修科目登録時に、適切な学習ができるように個別指導した。また必修
科目には再試験制度を導入し、科目に対応した到達目標を必ず達成することで単位化
することとした。その結果、学年進行に合わせた学び効果が得られるようにした。
131103 各年次および卒業時の学生の質を検証・確保するための方途の適切性
必修の専門科目においては再試験制度に基づき再試験を実施した。それでも学習効
果が現れない学生(単位僅少者)については面談を実施し、個々に学習指導を行った。
今年度の単位僅少者は 6 名であり、全員と面談することができた。
(履修指導 コード 1312)
131201 学生に対する履修指導の適切性
薬学部教学理念に従い決定した科目分を適切に配置し履修指導した。オリエンテー
ションでは開講方針の説明をはじめ、ピア・サポーターなどを活用するなどして内容
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
183/331
を充実させ、有効適切な履修指導を行った。今後は授業への質疑応答や日常的な履修
指導をはじめ、きめこまかい対応を実施し、学生の学習意欲向上を図る。
131202 留年者に対する教育上の措置の適切性
留年生はいない。
(教育改善への組織的な取り組み コード 1313)
131301 学生の学修の活性化と教員の教育指導方法の改善を促進するための組織的な取り組
み(ファカルティ・ディベロップメント(FD))およびその有効性
オンラインシラバスの適正化、充実化を図るために教員会議での説明および学部執
行部による詳細なチェックを行った。また、講義においては授業アンケートをすべて
実施し、教育改善を行った。ただし、授業アンケートの分析結果を教員会議および各
学科で議論し共有化を図るにはいたっていないため、改善の検討が必要である。
「薬学
基礎演習1」に関しては、独自のアンケートを実施し、早期体験学習を主な内容とす
る本科目内容の改善に向けた課題の整理を継続的に行っていくこととした。2008 年度
には薬学部FD委員会を立ちあげ、全学における教育開発推進機構および共通教育推
進機構と連携し、学生の学修の活性化や教育指導方法の改善、学生の学修支援方法に
関する会議、ピア・レビュー、研修会、講演会を企画・公表し、計画的に実施するこ
ととする。そこでは、学生参加も企画し、教員との相互の意見交換を行い、教育改善
に反映する。
131302 シラバスの作成と活用状況
全科目において教学部が定めるガイドラインに沿ったオンラインシラバスの作成を
行った。学部執行部による詳細なチェックを行い、不適切な個所を適切に改訂した。授
業アンケートからシラバスの活用状況を把握し、科目における状況を解析したところ、
シラバスを予習復習に有効に利用している学生は少数であった。今後は、学生にシラバ
スを活用する指導が必要であるため検討する。
131303 学生による授業評価の活用状況
全学で、授業アンケート、インタラクティブシート、コミュニケーションペーパーを
はじめとする学生の声を集約する仕組みが全学で整えられており、薬学部でもそのアン
ケート結果を各教員にフィードバックさせた。今後は、授業改善に向けて結果の共有化
の対応が必要であり、その方法を検討する。
131304 卒業生に対し、在学時の教育内容・方法を評価させる仕組みの導入状況
卒業生がでていないため特に対応していない。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
184/331
(授業形態と授業方法の関係 コード 1314)
131401 授業形態と授業方法の適切性、妥当性とその教育指導上の有効性
小集団科目について、薬学部担当者会議を実施し、「早期体験」の引率のあり方やプ
ロジェクト型学習PBLにおけるテーマの設定、アドバイスのタイミングなど課題の整理
と、次年度へ向けた対応策を議論し、方針を決定した。また、シラバスの記載事項が
コアカリキュラムの諸項目と対応して記載されていることが望まれることも提案され
た。次年度以降は、FD委員会を通して各授業の内容、方法の適正化に関して必要な
ピア・レビュー(公開授業・研究会、担当者会議の充実等)を実施し、個別授業の改
善を図る。
131402 多様なメディアを活用した授業の導入状況とその運用の適切性
授 業 で コ ー ス ツ ー ル や 情 報 通 信 技 術 ( Informaition and Communication
Technology:ICT)の活用を促進し、適切に運用した。特に英語教育に関しては積極的
にコースツールと ICT の活用をし、その結果、TOEIC®試験の成果が認められた。
131403「遠隔授業」による授業科目を単位認定している大学・学部等における、そうした
制度の運用の適切性
遠隔授業は実施していない。
【点検・評価】
目標の達成度
設置申請に記載した教育課程を確実に実施した。
1 回生では学部の理念に照らして、情報モラルをはじめ、倫理性を培う科目、社会制度を
学ぶ科目など広く 30 科目の教養基礎科目を開講し、そのうち延べ 26 科目を学生は履修し
た。また、最近は国語力を伸ばすことが重要視されていることから日本語表現法に関する
科目を 1 回生で開講したところ、49 名が履修した。また、基礎専門科目(数学、物理、化
学、生物科学、情報科学)については全員が受講登録し、ほとんどは履修できたが、物理、
数学では 10 名近くの未履修者がでた。
専門科目としては前期セメスターに「基礎演習 1」
、「薬学概論」、後期セメスターに「基
礎演習 2」と「分析化学実験」を実施し、2 回生以降の専門教育への導入を図った。
いずれの科目も評価についてはシラバス記載項目に従って厳格に成績評価を実施し、講
評・公表を行った。科目により評価方法は異なるが、定期試験による評価、レポート試験
による評価、平常点による評価、およびこれらを合わせた総合点による評価等をあらかじ
めシラバスに記載し、それぞれを確実に実施した。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
185/331
本学薬学部の教育課程では 6 年制薬学教育の節目となる段階において、知識・技能の習
得の到達度を確実とするため、3 回生、5 回生への進級条件を課している。また、「進級制
度」をより有効な制度とすることを目的として、専門必修科目には「再試験制度」を実施
している。2008 年度は予定通り専門必修 8 科目で実施した。その結果、取得単位数が 40 単
位に満たない学生数は非常に少なかった。
効果があがっている事項
2008 年度は、新入生オリエンテーション時に「プレイスメントテスト」を実施し、基礎
レベルに達していない学生には、該当部分の初修科目の履修推奨を行い、履修させた。薬
学部において「初修物理」、「初修化学」、「初修生物」を開講し、基礎の強化を行った。
また、小集団科目について開講前に薬学部担当者会議を実施し、「早期体験」の引率のあ
り方や PBL におけるテーマの設定、アドバイスのタイミングなど課題の整理と次年度へ向
けた対応策を議論し、方針を決定することでスムーズな導入教育を開始することができた。
薬学部教育の特性から年度における履修登録の上限数を設定していないが、アドバイザ
ー教員が履修科目登録時に、適切な学習ができるように個別に受講の指導を行った。必修
専門科目においては再試験制度に基づき再試験を実施した。それでも学習効果が現れない
学生(単位僅少者)については面談を実施し、個々に学習指導を行った。その結果、今年
度の単位僅少者は数名であり、面談したところ、単位僅少者のほとんどの学生が要卒単位
として 40 単位近くを取得していた。
また、将来の薬剤師をめざす導入教育として位置づけられる早期体験学習では基礎演習
の第 1 回目の授業で教員から詳細な説明を行い、自覚をもたせることとした。学生による
早期体験成果のプレゼンを薬学部教員に加え派遣先の先生方をお招きし、報告会を実施し、
教員と受け入れ機関と合わせて課題の整理をすることができた。本学の学生の早期体験に
ついてはまじめに行っているとの印象をもたれた。
外国語教育の授業科目に関して、薬学部設置において策定した方針(発信型英語の推進)
に従い確実な実施を行った。大学の教育力強化予算を利用し、4 月(プレイスメントテスト
のための TOEICⓇ ブリッジ)、6 月、12 月の計 3 回の TOEICⓇ 受験を実施した。その結果、
薬学部の TOEIC(r)平均点において大幅な向上が認められた。
前期の成績返却時には再度教学担当から後期に向けての学習要項についての説明を行い、
学期末においても 2 回生時の開講方針の説明を行った。
改善が必要な事項
履修ガイダンス時に、教養教育の授業科目に関して系統的な履修、選択・必修配分等の
開講方針を明示した。しかし、BKC キャンパスでは一日に4コマの講義しかおけないので、
共通科目の系統的な履修が困難な場合のあることも明らかになった。これは全学的課題の
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
186/331
ひとつである。
入学時に「プレイスメントテスト」を実施し、基礎レベルに達していない学生には、該
当部分の初修科目の履修推奨を行い、履修させた。これらの科目については、生命科学部
と薬学部が合同クラスとして開講したが、履修希望者が予想以上に多かったためクラス規
模が大きくなってしまった。次年度以降はクラス増を行い対応する。また、「プレイスメン
トテスト」の結果から特別入試と一般入試の入学者の間に大きな差がみられた。
講義内容を適正に記載したオンラインシラバスを徹底化するために教員会議での説明お
よび学部執行部による詳細なチェックを行った。また、講義においては授業アンケートを
すべて実施し、教育の実体の把握に努めた。アンケート結果からシラバスの活用状況を解
析したところ、シラバスを予習復習に有効に利用している学生は少数であった。今後は、
学生にシラバスを活用する指導が必要である。また、全般的に授業外学習において、時間
数の不足が認められた。
【改善方策】
長所の伸長方法
2008 年度の外国語教育の結果も踏まえ、セメスター毎に、英語スキルワークショッププ
ログラムの評価・検討を、両学部長、各学科代表、英語担当教員、事務室担当者からなる
「英語教育・運営連絡委員会」を開催して行っており、2 回生に関しても授業計画に基づき
確実な実施を行う。
2 回生初期の履修オリエンテーションでは、学年進行に合わせた学び効果が得られるよう
に 2009 年度の開講方針の説明をはじめ、有効適切な履修指導を行う。アドバイザー教員、
ピア・サポーターなどを活用するなどして適切な学習ができるように指導を行う。
さらに、必修の専門科目においては再試験制度に基づき理解が進んでいない学生につい
ては再試験を実施するが、それでも学習効果が現れない学生(単位僅少者)については今
後も個別の面談を行う。このようにして、日常的な履修指導、きめこまかい対応を実施し、
学生の学習意欲向上を図る。
早期体験学習を主な内容とする薬学基礎演習1に関しては学生からの評価も高いが、科
目独自のアンケートを実施し、引率などの課題の整理を継続的に行っていくこととした。
また、シラバスの記載事項がコアカリキュラムの諸項目と対応して記載されていること
が望まれることから、その対応についても提案する。
2009 年度には薬学部FD委員会をたちあげ全学における教育開発推進機構および共通教
育推進機構と連携し、学生の学修の活性化や教育指導方法の改善、学生の学修支援方法に
関する会議、ピア・レビュー、研修会、講演会を企画・公開し、計画的に実施することと
する。そこでは、学生参加も企画し、教員との相互の意見交換を行い、教育改善に反映す
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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る。
問題点の改善方法
BKC キャンパスでは一日に 4 コマの講義しかおけないため、共通科目の系統的な履修が困
難な場合のあることも明らかになった。2009 年度は 1 日 5 コマ開講を実現させる必要があ
る。
「プレイスメントテスト」の結果から特別入試と一般入試の入学者の間に大きな差がみ
られた。特別入試による新入生については入学前に、全学共通のプログラムに加え薬学部
独自のプログラム(物理、英語)を実施したが、十分ではなかった。今後は出身高校と連
携して入学前教育の充実化と強化を行わなければならない。
また、2008 年度の全ての講義系科目においては授業アンケートを実施し、教育改善を行
ったが、授業アンケートの分析結果を教員会議および各学科で議論し共有化を図るにはい
たっていないため次年度はそれを確実に実施したい。また、授業アンケートのほか、イン
タラクティブシート、コミュニケーションペーパーなど、学生の声を集約する仕組みが全
学で整えられており、薬学部でもそのアンケート結果を各教員が共有し、授業改善に向け
て学部としての対応するしくみを考える。
授業内容を適正に記載したオンラインシラバスを徹底化するために教員会議での説明お
よび学部執行部による詳細なチェックを行った。また、講義系科目においては授業アンケ
ートをすべて実施し、教育改善を行っているが、授業アンケートの分析結果を教員会議お
よび各学科で議論し共有化を図るにはいたっていないのでこれの改善を行う。また、アン
ケート調査から全般的に授業外学習において、時間数の不足が認められたため、授業時間
外の学習をどのように確保させるかが課題であるが、レポートの作成、PBL を通した自習の
実践などを工夫し改善していきたい。
また、今後は、第三者評価項目を精査し、それに対応して成績評価の検証が行えるよう
な体制を立ち上げる。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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(13)文理総合インスティテュート
【到達目標】
文理総合インスティテュートにおける、教育研究上の目的・教育目標は下記のとおりで
ある。この目的および目標にもとづいた人材の育成を到達目標とする。
1.文理総合インスティテュートにおける「教育研究上の目的」
(1)ファイナンス・情報・インスティテュート
⇒ ファイナンス・情報・インスティテュートは、経済学、経営学、理工学を基
盤としながら、ビジネス・ファイナンス、数理ファイナンス、ファイナンシ
ャル・エコノミクスの3つの視点からファイナンスを教育研究し、社系・理
系にとらわれない発想を持って、広くファイナンスの問題全体にアプローチ
することができる財務・金融のスペシャリストの養成を目的とする。
(2)環境・デザイン・インスティテュート
⇒ 環境・デザイン・インスティテュートは、経済学、経営学、理工学を基盤と
しながら、未来の環境とデザインをプロデュースするための経済学的手法、
工学的手法とマネジメントについて教育研究し、社系・理系にとらわれない
発想を有し、環境問題への対応能力、政策立案能力や製品デザイン感覚を身
につけた人材の養成を目的とする。
(3)サービス・マネジメント・インスティテュート
⇒ サービス・マネジメント・インスティテュートは、サービスに関わる経済活動、
サービスを提供する企業のマネジメント、および観光、レジャー、スポーツ、
健康に関わる組織の運営や諸活動のあり方について学際的に教育研究し、ヒ
ューマン・ウェルネスの意味を理解し、サービス事業におけるサービスの質
的向上を追及することのできる人材の養成を目的とする。
2.文理総合インスティテュートにおける「領域別教育目標」(認知的領域:知識・理
解)
※ 文理総合インスティテュートに配置された科目群は、インスティテュートを構成す
る各学部における専門科目(理工学部では一部基礎科目分野に配置されたインスティ
テュート科目)であるため、「認知的領域:知識・理解」についてのみ記述する。
(1)ファイナンス・情報・インスティテュート
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
189/331
<経済学部>
① 経済学の基本的な理論体系を数学的に理解する。
② 現実的な経済問題の考察だけでなく理論的な分析ツールを活用できる能力を身
につける。
<経営学部>
① 伝統的な経営学における金融分野の内容および企業財務分析の手法を理解する。
② マクロ経済の仕組みを理論的に理解する。
<理工学部数理科学科・情報数理コース>
① 学科専門分野として、数学についての体系的素養を身につける。
② 数理科学の一分野として、数理ファイナンスの学問内容を理解する。
(2)環境・デザイン・インスティテュート
<経済学部・経営学部>
① 経済学・経営学の基礎的・総合的な知識を基盤として、環境経済や環境マネジメ
ントに関する専門的能力を身につける。
② 環境やデザインに関する自然科学的な考察・分析手法を身につける。
③ 文理総合の視点で、環境問題に対応する能力や製品デザイン感覚を身につける。
<理工学部環境システム工学科/建築都市デザイン学科>
① 環境工学をはじめとする学科専門分野に関する知識を身につける。
② 経済学や企業経営の基礎を理解し、グローバルな立場の技術者として、マネジメ
ントや経済分析に応用できる能力を身につける。
(3)サービス・マネジメント・インスティテュート
<経済学部・経営学部>
① 経済学・経営学の基礎的・総合的な知識を基盤として、サービスに関わる経済活
動や企業マネジメントについて理解する。
② 観光、レジャー、スポーツ、健康の各産業分野における組織の活動や運営に関す
る知識を身につける。
③ サービス事業分野においてサービスの質的向上を追及できるマネジメント能力
を身につける。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
190/331
【現状の説明】
①教育課程等
1)学士課程の教育内容・方法
(インターンシップ、ボランティア コード 1305)
130501 インターンシップを導入している学部・学科等における、そうしたシステムの実施
の適切性
文理総合インスティテュートでは「実習・演習、フィールドワークなど、少人数・
双方向型の体験的・実践的教育を通じて文理総合を具体化し、社系・理系にとらわれ
ない発想をもつ、複眼的な思考・発想ができる人材育成」を教学目標において、独自
のインターンシップ教学を展開してきている。
インターンシップは、文理総合インスティテュートの正課科目として開設しており、
現在 18 の企業・NPO 法人に学生を派遣している。事前指導・現地実習・事後指導の過
程を経て単位認定を行っている。大学設置基準等を根拠に、開講のあり方の再検証(当
該授業の具体的な内容、シラバスの記載内容、単位授与のあり方について再検証を実
施。あわせて、当該科目を開講するための、派遣先との協定書を締結した上で、イン
ターンシップを実施している。継続的に、派遣先での具体的なインターンシッププロ
グラム、派遣先の数、派遣先の業態、受講生の数、受講生からのアンケート、等にも
とづき当該科目の検証を実施している。
【派遣企業・法人例】㈱滋賀銀行、地球デザインスクール、大津市「おおつ環境フ
ォーラム」、NPO 法人 豊穣の郷、郡上八幡 山と川の学校、農事組合法人伊賀の里モク
モク手づくりファーム 、びわ湖ホール、ミズノ㈱、志摩スペイン村、ウェスティン都
ホテル京都、ホテル日航プリンセス京都、近畿日本ツーリスト㈱、㈱湖光など
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
191/331
(14)国際インスティテュート
【到達目標】
国際インスティテュートは、参加学部と協力し、専門教育と国際教育の両方の必要性に
ついて応えようとするものである。衣笠キャンパスにある法、産業社会、国際関係、政策
科学、文学部の各学部に所属する学生が、それぞれの学部で培う専門性を、国際社会でも
遺憾なく発揮するために必要な国際教養と語学力を獲得するのを支援することを国際イン
スティテュートの使命としている。そのため、第一に実践的英語力養成と専門内容に即し
た英語教育を提供する「専門英語」を開講している。第二に国際的視座から高い専門性を
身につけるため、4 つのプログラム(国際法務、国際公共、国際社会、国際福祉各プログラ
ム)ごとに専門科目を提供している。第三に高い国際教養を英語で学ぶ専門科目群(Japan
and World Perspectives Program, JWP)をアドバンスド・プログラムとして設置している。
JWP は世界中からの留学生と共に学ぶ仕組みとなっており、ここでは文字通り小さな国際社
会を経験することになる。このように国際インスティテュートでは、専門教育と国際教育
間の融合の他に、①他学部の学生と共に学ぶ学部横断性、②英語と専門、③日本人学生と
国際学生間の三つのフュージョン(融合)が進行している。これらプログラム全般の高度化
および留学派遣者数の増大、TOEFL スコアの上昇が国際インスティテュートの具体的な目標
になる。
【現状の説明】
①教育課程等
1)学士課程の教育内容・方法
(インターンシップ、ボランティア コード 1305)
130501 インターンシップを導入している学部・学科等における、そうしたシステムの実施
の適切性
国際インスティテュートでは国内外の企業や機関で就業経験をし、実務を通じてキ
ャリア形成を考える機会として、独自のインターンシップ先を開設している。実施後
は国際インスティテュート専門科目「国内インターンシップ」
「海外インターンシップ」
として単位授与している。海外インターンシップについては、タイ(バンコク)が 1
箇所、シンガポールが 2 箇所あり、さらに東南アジアに所在する日本企業を中心に今
後充実させる予定である。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
192/331
【点検・評価】
目標の達成度
多くの学生が海外でビジネス活動を行う大手企業に就職しており、学部教育との相乗効
果によって良好な就職実績を残すことができている。また国際インスティテュートに所属
できる 5 つの学部ではいずれも、入試段階で国際インスティテュート枠の方が合格基準が
高い状態が続いており、社会的にも評価されていることを裏付けている。
効果があがっている事項
国際インスティテュート専門英語科目が本格化する 2 回生以降の学生は、入学時と比例
して TOEFL-ITP 団体受験のスコアが伸張しており、英語力については確実に効果があがっ
ている。また国際インスティテュートが JWP 交換留学を本格化させた 2005 年度以降は交換
留学に行く学生の数が飛躍的に増えており、学生の国際性の涵養についても成果があがっ
ている。
改善が必要な事項
近年、留学派遣者数が頭打ちになっており、派遣枠を満たさない状況となっている。新
しいタイプの TOEFL(iBT)の試験方式に学生が対応できず、留学に必要なスコアの取得が
できていない点が主な原因であると考えられる。
【改善方策】
長所の伸長方法
上回生になるほど TOEFL 団体受験の受験率が低い傾向にあり、それらの学生の TOEFL 受
験を徹底することにより、より正確な英語力の向上度合について把握することが可能にな
る。また同様に卒業時の語学力を入学時に比較することにより、学部と国際インスティテ
ュートそれぞれの語学教育が最終的にどれほど成果をあげているのかを確認できるように
なる。これらの分析をもとにより社会が求める実践的な英語力や国際感覚を身につけるこ
とができるように科目の内容、教授方法を継続的に改善する。
問題点の改善方法
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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国際インスティテュートの専門英語科目を改善することにより、TOEFL-iBT 試験のスピー
キング・セクションやライティング・セクションで確実にスコアが獲得できるように改善
を図る。そのため国際インスティテュート任期制教員のうち専門英語科目のコーディネー
ター役の教員 1 名とともに改善の方法について議論を開始している。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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(15)共通教育推進機構
【現状の説明】
①教育課程等
1)学士課程の教育内容・方法
(学部・学科等の教育課程 コード 1301)
130104 一般教養的授業科目の編成における「幅広く深い教養及び総合的な判断力を培い、
豊かな人間性を涵養」するための配慮の適切性
本学での教養教育は 2004 年「教養教育カリキュラム改革」に基づいて実施されてい
る。
それは、従来の一般教育の概念から脱却し、学士課程教育における教養教育の役割
を本学の建学の精神・教学理念を具体化する「地球市民」にふさわしい「各学部専門
教育の知識体系と価値について、専門以外の幅広い分野から考察するための価値観の
習得」及び「幅広い教養と確固たる世界観を形成することによって、人生の指針とも
なるような知性と知恵、そして価値観の獲得」を目指すものである。具体的には、教
養教育の目的を、①政治、経済、社会、文化、自然に関する人類が培ってきた知識と
理論を体系的に深めると同時に、現代世界の状況を的確に理解して判断する力の涵養
を図る、②人間社会と自然環境からなる世界について、適切に設定された科目群によ
って広範な領域にわたって深く理解する、③学生の主体的学習を促し、現代を生きる
ための知識と知恵の獲得を目指すとしており、教養科目を「総合学術科目」と命名し、
科目を6つの分野(「思想と人間」「現代と文化」「社会・経済と統治」「世界の史的構
成」「自然・科学と人類」
「数理と情報」)に編成・配置して実施している。
しかし、その具体的な展開は、高等教育をとりまく環境変化に伴い、教養科目の階
層性の明確化、科目名称の整理統合、初年次教育としての教養科目の新たな解決すべ
き課題・方向性が採りあげられ、この「方向性」を具体化するために、2008 年度から
以下の取組をおこなった。
1)1 回生の状況に応じて「じっくり、ゆっくり」学べる授業として実施することを
目標に、教養総合学術A群の科目分野として、
「初年次教育」を主眼とする第 7 分野「大
学で学ぶ」を設置し、1 回生のみを配当回生とする科目(「日本の近現代と立命館」、
「立
命館で平和を学ぶ」「現代の人権」)を配置した。
2008 年度は1回生のみの配当回生として開講していたが、学部内で統一的に 1 回生
が受講できる時間割設定が現実的には困難な状況もあり、2009 年度開講方針において
1・2 回生のみとする配当回生の修正をおこなった。
今後も継続して、学士課程教育における初年次教育のあり方を踏まえた上で、全学
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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共通教育としての教養教育での役割の検討を深める。
2)2008 年度から、教養科目における学部・学年の枠を超えた学びの交流を目指す
小集団授業としての「教養ゼミナール」を衣笠 9 クラス・BKC8 クラスの合計 17 クラス
で開講した。
この「教養ゼミナール」は、異なる専門からの知的刺激を受けて学生相互に交流し
あいながら学べるように、学部横断型で回生の異なる学生によって構成された 35 名以
下の少人数のクラスに編成されている。各クラスは、教養教育に相応しいテーマが設
定され、授業を通じて、諸問題を複眼的に見る力や、各自の専門を超えて総合的に考
える力を培い、さらに、豊かな教養力を身につけることができることを獲得目標にし
ている。
担当教員による授業実践の情報交換・共有を図るために教養ゼミナール担当者懇談
会を定期開催しており、これらの実践を積み重ねることによって教養ゼミナールの内
実化を図る。また、さらに、教養にふさわしい幅広いテーマでクラスを開講し(40 ク
ラス程度)、学生へ提供する。
3)大規模講義の解消課題を目的に、事前登録設定により、400 名を超える規模のク
ラス数は 2007 年度の 75 クラスから 36 クラスと半減した。
今後も引き続き、時間割配置を考慮するとともに経年の受講登録状況から判断して、
学生の受講機会確保に配慮しながら授業規模が過大 (400 名以上) とならないことを
追求する。
今後は、基礎学力の質的担保の課題状況のもとで引き続き、全学的な基礎教育とリ
ンクした教養教育の新たな展開が求められており、学士課程教育における教養教育の
果すべき役割の議論を深め、現行教養科目の到達点を明らかにすることを踏まえた上
で、2012 年度を目処として改革の議論を進めることとしている。
130107 基礎教育と教養教育の実施・運営のための責任体制の確立とその実践状況
1)2008 年度の共通教育推進機構の発足に伴い、この機構の下に「教養教育センタ
ー」を設置し、各学部副学部長や教養科目基本担当者(詳細後述)と教養教育センタ
ーとの連携を深めることとした。
「教養教育センター」は、第一に各教学機関からの教養教育に関する課題を集約し、
第二に教養科目基本担当者と連携して教養教育の FD を推進し、かつ、教養科目基本担
当者会議からの要請を機構会議に反映させることに務める、第三に教養教育の新たな
課題に対する政策を、必要に応じてワーキンググループを設置し取りまとめ、これら
を共通教育推進機構に提起する―これら主要な役割を持って整備された。
「教養教育セ
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
196/331
ンター」は、教養教育センター長および副センター長を中心として構成され、定例開
催の「教養教育センター会議」において、これら教養教育に関する教学課題を審議し
て各学部と連携して遂行を図っている。
今後は、共通教育推進機構の下での各学部担当副学部長と教養教育センターとの連
携が制度的に整備されたことで、以下に述べる教養科目基本担当者体制の確立と合わ
せて、一層の教養教育課題の改善を図る。
2)本学の教養科目の多くは各学部に1クラスないしは2クラスずつでの全学に複
数クラス開講している。2008 年度より各科目に 1 名の教養科目基本担当者(以下、基本
担当者)を置き、各科目担当に基礎を置いてFD活動を推進することを目的として「教
養科目基本担当者制度」を発足させた。基本担当者は、自ら授業を担当しつつ、当該
科目の各授業担当教員の日常的な教学実践と連携をしながら FD を推進することが主要
な役割であり、具体的には、シラバス・講義内容の標準化、授業進捗状況の把握、成
績評価基準・方法の調整、授業担当者の斡旋協力等である。64 科目中 3 科目を除き各
科目で選任された。
この教養科目基本担当者制度においては、年 4 回開催を基本とする基本担当者会議
を通して、科目概要―シラバスの整備、成績評価の改善、学生による授業アンケート
の分析、年間活動のまとめを中心に、FD活動を推進している。2008 年度を通して、
教養教育センター会議−基本担当者会議−科目担当者会議の組織的な整備とその実質
化に向けた取り組みを行った。基本担当者は、各科目において原則として担当科目を
担当した上で、複数開講するクラス全体をコーディネートし、FD 活動の中心的な役割
を担うこととしている。そのために、基本担当者が中心となって、「科目担当者会議」
を開催し、それぞれの授業実践取組の情報交換なども含めてFD推進をおこない、年
度末には科目における年度総括を実施した。
今後も、教養教育における教養科目基本担当者を中心とした一層の日常的な授業改
善の取組と科目総括をおこない、教養教育センターとして教養教育改革に取り組む。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
197/331
(16)言語教育推進機構
【現状の説明】
①教育課程等
(学部・学科等の教育課程 コード 1301)
130105 外国語科目の編成における学部・学科等の理念・目的の実現への配慮と「国際化等
の進展に適切に対応するため、外国語能力の育成」のための措置の適切性
英語においては適切なレベルでの科目受講と学力の伸長度を測り、継続学習への動
機づけをするとともに、プログラムやカリキュラムの検証と改善に資することを目的
として、外部試験を用いたプレイスメントテストおよび到達度検証テストを実施して
いる。初修外国語においても、継続学習の動機付けと学力伸長度を測ることを目的と
し、検定試験に準じた到達度検証試験を実施している。また卒業時に必要な外国語運
用能力をミニマム基準として設定しており、英語では衣笠平均 85.3%、BKC 平均 50.1%
がクリアしている。初修外国語においては、衣笠では 80%以上、BKC では 90%以上が
クリアしている。各学部においては英語到達度検証テストの結果をもとに検証を行い、
必要に応じてカリキュラムの見直しも行っている。今後受験率の向上を引き続き図り、
外部試験では測定できない部分については多角的な到達度検証のあり方を検討してい
く。初修外国語に関しても、より客観化された検証方式を追求する。
(成績評価法 コード 1311)
131101 厳格な成績評価を行う仕組みと成績評価法、成績評価基準の適切性
成績について、語種間や、学部間で格差が生じないように、BKC においては、A+、F
評価の分布状況について検証した。英語では、傾斜評価の適正な取り組みについても
報告した。今後は、実態分析を行い、担当者懇談会を通じて一層の認識の共有に努め
る。
(教育改善への組織的な取り組み コード 1313)
131301 学生の学修の活性化と教員の教育指導方法の改善を促進するための組織的な取り組
み(ファカルティ・ディベロップメント(FD))およびその有効性
教授法、教育システムの高度化に向けて、テスト結果分析、言語比較、学習到達目
標、中国語にかかわる WEB 利用、CEFR の利用法と活用可能性についての FD 研究会を開
催した。今後も授業改善に向けた意見交換、研究会の場を設けていく。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
198/331
(17)法学研究科
【到達目標】
法学研究科は、法学ないし政治学の研究者育成にかかわる「研究コース」、司法書士、
税理士、裁判所調査官など、広義のいわゆる準法曹の養成をめざす「リーガルスペシャ
リスト・コース」、そして、学部段階での学習を基礎に、特定のテーマ研究を専門的に
深める「法政リサーチ・コース」を置いている。 法学研究科教学の特色は、少人数教
育、高度な専門性の陶冶、そして幅広い研究機会の保障という点に見出される。 クラ
ス規模の小さいスクーリングは、院生と教員の間の対話を促進し、双方向型授業の充実
した実践を可能にする。それによってまた、法学・政治学の専門知識をより実質的なも
のとし、特定の研究を中心とした研鑽を通して、専門性を確実に高めていくことができ
る。さらに、専攻領域深くへの導入だけでなく、場合によっては、関連する他分野ない
し他研究科科目などの履修によって、広い視野と多面的な考察の能力が培われるように
もしている。 社会は困難な状況にある。複雑な課題に適切に対処し、社会を健全な発
展へとみちびく有能な人材の輩出が求められている。とりわけ、社会秩序の形成にかか
わる法学政治学領域の使命は大きいと言える。
【現状の説明】
2)修士課程・博士課程・専門職学位課程の教育内容・方法
①教育課程等
(大学院研究科の教育課程 コード 1318)
131801 大学院研究科の教育課程と各大学院研究科の理念・目的並びに学校教育法第 99 条、
大学院設置基準第 3 条第 1 項、同第 4 条第 1 項との関連
法学研究科は、研究者および高度職業人の養成を目的としている。研究者養成につ
いては、博士課程前期課程および同後期課程に「研究コース」を設置し、実定法を中
心に研究者養成機関として実績を上げている。また、博士課程前期課程においては「リ
ーガルリサーチ・コース」および「法政リサーチ・コース」を設置し、国家公務員、
民間企業、税理士、司法書士等の高度職業人を輩出している。
131802「広い視野に立って清深な学識を授け、専攻分野における研究能力又は高度の専門
性を要する職業等に必要な高度の能力を養う」という修士課程の目的への適合性
法学研究科では、研究コースと「リーガルリサーチ・コース」および「法政リサー
チ・コース」を設置し、研究者志望には専門分野における研究能力を養うためのゆる
やかな五年一貫制プログラムを提供し、高度職業人志望者には、各種の資格試験や専
門分野の力量を高めるために各種プログラムを提供している。
131803「専攻分野について、研究者として自立して研究活動を行い、又はその他の高度に
専門的な業務に従事するに必要な高度の研究能力及びその基礎となる豊かな学識
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
199/331
を養う」という博士課程の目的への適合性
研究コースはゆるやかな五年一貫制プログラムを採用しており、修士課程後期から
修士論文の指導がはじまり、修士論文指導には個別指導のほか、研究会による集団指
導も行われる。また、後期課程では個別指導に基づき、研究会で個別報告を行い、そ
の研究成果を毎年、立命館法学に掲載し、博士論文執筆を促進している。
131804 学部に基礎を置く大学院研究科における教育内容と、当該学部の学士課程における
教育内容との関係
法学研究科は、法学部に基礎を置いているが、とりわけ、リーガルリサーチ・コー
スにおいては、学部段階での基礎法学・政治学の学習の上に接合させて、より高度な
法学・政治学の教育研究を行うために、基本となる憲法、民法、刑法、会社法のほか
に、企業法務、ビジネス法、不動産法務、税務、公共法務などの各種プログラムを提
供している。
131805 修士課程における教育内容と、博士(後期)課程における教育内容の適切性および
両者の関係
修士課程においては、講義科目を中心に履修し、修士論文の作成が中心的な教育研
究内容となるが、博士後期課程では、研究コースであり、前期課程での基礎的な研究
能力を前提として、専ら専門的な研究能力の力量を上げるために指導教授による個別
指導が行われ、立命館法学に論文・資料を掲載できるように研究科全体で支援する。
131807 博士課程における、入学から学位授与までの教育システム・プロセスの適切性
法学研究科では、入学後に「研究コース」、「リーガルスペシャリスト・コース」、
「リーガルリサーチ・コース」に別れ、それぞれのコースの所定の科目を履修し、前
期課程では二年目の後期に修士論文を提出し、公開研究会で報告させ、主査・副査(教
員二名以上)で口頭試問を行い、研究科委員会、大学院委員会の審査を経て、最終的に
修士の学位の授与が決定されている。また、博士課程後期においては、研究指導が専
門領域において行われ、立命館法学に研究成果を公表し、後期課程の三年目後期に博
士論文を提出させ、公開研究会で報告させ、主査・副査(教員三名以上)で口頭試問を行
い、研究科委員会、大学院委員会で審査し、博士号を授与している。
(授業形態と単位の関係 コード 1319)
131901 各授業科目の特徴・内容や履修形態との関係における、その各々の授業科目の単位
計算方法の妥当性
法学研究科では、博士前期課程の入学後、大学院事務員による履修指導が行われ、
「研究コース」、「リーガルスペシャリスト・コース」、「リーガルリサーチ・コー
ス」のそれぞれのコースごとの履修モデルに基づいて各院生の主体的な教育研究が行
われている。「研究コース」では、合計 30 単位以上を履修し、特別研究を受講し、修
士論文を提出する。「リーガルスペシャリスト・コース」では、同科目より 16 単位以
上を履修し、かつ合計 30 単位以上を履修して、特別演習を受講して、修士論文を提出
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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する。「法政リサーチ・コースでは」、30 単位以上を履修し、個別演習を受講して、
修士論文を提出する。
(単位互換、単位認定等 コード 1320)
132001 国内外の大学院等での学修の単位認定や入学前の既修得単位認定の適切性(大学院
設置基準第 15 条)
関西四大学(関大、関学、同社、立命)単位互換制度を導入しており、相互に積極的に
単位互換を行っている。また大学全体として大学院科目早期履修制度を導入している。
(社会人学生、外国人留学生等への教育上の配慮 コード 1321)
132101 社会人、外国人留学生に対する教育課程編成、教育研究指導への配慮
社会人に対しては、担当者と協議し、可能な限り夕方以降の時間帯に開講するよう
に努力している。また、外国人留学生については指導教授とのコンタクトとを密接に
して、事務職員と共同して日本語能力に関してサポート体制をとっている。
②教育方法等
(教育効果の測定 コード 1325)
132501 教育・研究指導上の効果を測定するための方法の適切性
毎年授業アンケートを行い、大学院教務委員会で分析し、その結果を研究科委員会
で協議し、改善策を提起している。また、FD 活動を通して先進的な教育研究方法につ
いて研修を行っている。
132502 修士課程、博士課程、専門職学位課程修了者(修業年限満期退学者を含む)の進路
状況
2008 年度は博士課程前期課程 51 名が修士論文を提出し、民間企業、法律事務所、税
理士・会計士事務所、特許事務所などに就職している。
132503 大学教員、研究機関の研究員などへの就職状況と高度専門職への就職状況
博士課程後期課程では2名が課程博士を取得し、満期退学を含めて、札幌学院大学、
沖縄大学、帝塚山大学、大阪工業大学等に教員として採用されている。
(成績評価法 コード 1326)
132601 学生の資質向上の状況を検証する成績評価法の適切性
法学研究科では、講義科目を中心に A',A,B,C,F(不可)という評価制度を導入し、成績
評価を明確にしている。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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(研究指導等 コード 1327)
132701 教育課程の展開並びに学位論文の作成等を通じた教育・研究指導の適切性
修士論文の作成は、博士課程前期課程1回生後期から特別演習・特別研究が開始さ
れ、指導教授による論文指導が行われ、二回生後期には公開の研究会で報告会が行わ
れ、複数名による教員が指導に関与している。博士課程後期課程では、指導教授を中
心に指導を行い、立命館法学に論文を公表させ、公開の研究会で報告させ、博士論文
を作成指導している。
132702 学生に対する履修指導の適切性
履修要綱・講義要綱を作成し、各コースの履修モデルを提示し、大学院事務員を中
心に履修ガイダンスを行っている。
132703 指導教員による個別的な研究指導の充実度
各指導教授とはメールやオフィスアワーを用いて個別指導をしている。
132704 複数指導制を採っている場合における、教育研究指導責任の明確化
基本的には、主査となる大学院担当資格教員を指導教授とするが、研究休暇やその
他やむをえない事情により、副査となる可能性のある教員が一部指導することも予定
している。
132705 研究分野や指導教員にかかる学生からの変更希望への対処方策
原則としては、可能な限り早い段階で指導教授および研究テーマを確定すべきであ
るが、諸般の事情で、研究テーマや指導教授を変更する場合には、教務委員会で協議
し、研究科委員会で決定する。
(教育・研究指導の改善への組織的な取り組み コード 1330)
133001 教員の教育・研究指導方法の改善を促進するための組織的な取り組み(ファカルテ
ィ・ディベロップメント(FD)
)およびその有効性
授業アンケートを行い、院生との懇談会を行い、その結果を大学院教務委員会で検
討し、改善策につついて研究科委員会に図り、検討する。学部と連携した FD 活動を通
して先進的な教育研究の取り組みについて協議し、研究科委員会に紹介して共有化す
る。
133002 シラバスの作成と活用状況
「研究コース」と「リーガルリサーチ・コース」および「法政リサーチ・コース」そ
れぞれのシラバスを作成し、履修の際に院生に講義内容等について明確に伝達できる
ように履修ガイダンスを行う。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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133003 学生による授業評価の活用状況
院生の授業評価は、講義科目を中心に授業アンケートを検証し、教務委員会で改善
案をまとめて、研究会委員会で協議する。
133004 修了生に対し、在学時の教育内容・方法を評価させる仕組みの導入状況
現在のところ、講義科目の授業アンケートで代替している。
③国内外との教育研究交流
(国内外との教育・研究交流 コード 1331)
133101 国際化への対応と国際交流の推進に関する基本方針の適切性
基本方針としては外国の著名な研究者を招聘し、できるだけ多くの院生を短期間で
も留学させ、院生の教育・研究レベルを国際化する。
133102 国際レベルでの教育研究交流を緊密化させるための措置の適切性
法学研究科においては、外国人客員教授による英語などによる集中講義を開催して
きた。
133103 国内外の大学院との組織的な教育研究交流の状況
また、ドイツ学術交流会によるミュンヘン大学法学部との交換留学プログラムによ
り 2006 年から 2008 年まで毎年三名程度の院生がミュンヘン大法学部で在外研究を行
っている。
④学位授与・課程修了の認定
(学位授与 コード 1332)
133201 修士・博士・専門職学位の各々の学位の授与状況と学位の授与方針・基準の適切性
学位の授与方針・基準を適切に運用し、研究科の目標に沿った学位授与者を輩出す
ることを目標にしている。
133202 学位審査の透明性・客観性を高める措置の導入状況とその適切性
主査・副査などの複数研究者による審査、口頭諮問・審査の公開など、適切な審査
体制を構築する,学位審査にかかわる、内部通報制度やハラスメント相談制度などに
ついて、院生に周知することを目標にしている。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
203/331
(課程修了の認定 コード 1334)
133401 標準修業年限未満で修了することを認めている大学院における、そうした措置の適
切性、妥当性
標準修業年限未満の修了に関して、大学・研究科内で制度措置を設け、適切な運用を
目指している。
【点検・評価】
目標の達成度
2008 年度修了者では、前期課程において合計 51 名が修士論文を提出し、修了してい
る。後期課程では、2 名が修了し、両名とも課程博士号を取得している。修了者の多く
は、民間企業、法律事務所、税理士・会計事務所、特許事務所などに就職している。
効果があがっている事項
研究コースでは、少人数名ではあるが、在籍している院生は博士論文を提出し、博士
号を取得している。また、リーガルリサーチ・コースでは、民間企業に就職する者が大
部分であるが、それぞれの専門分野における修士論文を丁寧に作成し、就職先でも専門
知識を活かして活躍している。さらに、法政リサーチ・コースでは、リカレント教育と
して社会人の継続的な法学教育に貢献している。とりわけ、税務プログラムは関西でも
最も充実した内容となっており、学外からも注目されている。さらに、不動産法務プロ
グラムも現役の司法書士との実務的な科目が提供され、司法書士合格を目指したより実
践的な講義内容となっている。
改善が必要な事項
前期課程の収容定員が 100 名のうち 32 名の在籍であり、後期課程の収容定員 15 名の
うち 4 名が在籍となっており、収容定員に関しては 2009 年度末までに改革案を提起す
る。
【改善方策】
長所の伸長方法
法学研究科では、「金融と法」東京講座として、若手官僚、金融業関係者等を対象と
した講座を展開しているが、将来的には東京キャンパスにおいて修士号を取得できる制
度設計を目指して行きたい。さらに、京都府行政書士会との司法研修講座についても、
高度職業人等が専門的な力量をつけるために修士課程において専門的な研究ができる
ような制度設計を検討している。いずれも 2009 年度中に改革案を提起する。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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問題点の改善方法
京都衣笠キャンパスと東京キャンパスとの双方向的な講義がスムーズに行われるよ
うなシステムの導入を検討している。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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(18)経済学研究科
【到達目標】
経済学研究科は、経 済 学 の 高 度 な 専 門 性 を 有 す る 有 為 の 人 材 を 育 成 す る こ と を
目 的 と す る 。ま た 、こ れ に も と づ き「 経 済 理 論 ・ 政 策 コ ー ス 」
「 税 理・財 務 コ
ー ス 」「 MPED: Master's Program in Economic Development」の3つのコース・プロ
グラムを置き、各々下記の目的にそった人材育成を行うことを目標とする。
①「経済理論・政策コース」
学部で学んだ経済学を基礎として、
・経済学の基礎理論を踏まえたより高い水準の理論研究を実施する
・経済学の諸理論をもとに、経済システムやその歴史的な展開も含め、幅広く経済
現象を研究し、問題解決のための具体的政策提言を行える能力の形成をめざす
・理論と数量分析的手法(統計・計量経済学)を修得・研究するとともに、それら
を用いて経済現象を分析・研究し具体的な経済政策の有効性について評価しうる
能力の形成をめざす
②「税理・財務コース」
税制をより理論的に研究しながら、税の専門家の養成をめざす
③「 MPED: Master's Program in Economic Development」
市場経済移行国からの留学生が、本プログラムでの研究を通じて、帰国後、母国の
経済発展のため、リーダーとして活躍できるような人材となることをめざす
【現状の説明】
2)修士課程・博士課程・専門職学位課程の教育内容・方法
①教育課程等
(大学院研究科の教育課程 コード 1318)
131801 大学院研究科の教育課程と各大学院研究科の理念・目的並びに学校教育法第 99 条、
大学院設置基準第 3 条第 1 項、同第 4 条第 1 項との関連
経済学研究科は、経済学のディシプリン教育、高度職業人教育、留学生や国際性に
富んだ人材の教育の 3 つの目標を持って教育を行っている。このため、博士前期課程
においては
2002 年より 3 つのコースを設け、「経済理論・政策コース」では経済学デ
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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ィシプリン教育により、経済システムや歴史を含め、理論とともに数量分析的手法を
用いて経済現象を分析し、問題解決能力や政策提言能力を養う。「税理・財務コース」で
は経済学を基礎としつつ、法学研究科や経営学研究科とも連携しながら資格取得を支
援し、企業税理・財務に関する専門知識を習得し、時代のニーズに合った高度職業人の
養成を行う。「MPED」(Master’s Program in Economic Development)では、オール
英語の教育により、留学生及び国際性に富んだ日本人の研究者や高度職業人を養成す
べく、経済学ディシプリン教育、理論・数量分析による問題解決能力・政策形成能力を
養う。博士後期課程においては、さらに高度な経済学の理論・実証分析により、研究者
及び高度職業人を養成する。
これらの到達目標に適合した整合的・体系的カリキュラムを用意しており、「経済理
論・政策コース」においては理論・歴史を中心とする 14 科目、「税理・財務コース」に
おいては租税論・税法・会社法など 11 科目、またコース共通の応用経済分野を中心とす
る 22 科目を設けている。また「MPED」においては、理論・応用を含め 30 科目を英語
で開講している。このほか、経済学特別演習、経済学研究演習などのゼミ形式での個
別指導をきめ細かく行う。博士後期課程においては、5 つの系に分けて計 9 科目を開講
するほか、演習による個別指導をきめ細かく行っている。(いずれも 2009 年度)
以上のようなカリキュラムにより、上記の到達目標を達成している。
今後は、カリキュラムのコンプライアンスについて、研究科執行部において毎年点
検し、適宜改革を行う。また、各コースに担当専任教員の会議を設けて行っている FD
活動を強化し、授業の改善を進める。
131802「広い視野に立って清深な学識を授け、専攻分野における研究能力又は高度の専門
性を要する職業等に必要な高度の能力を養う」という修士課程の目的への適合性
前期課程の各コースの授業は、経済学の体系に沿って基礎理論から応用理論へ、さ
らに現実経済分析および法学等関連分野へと、整合的・体系的に組み立てられている。
また後期課程についても、理論と応用とが整合的に養育される。また、ゼミ形式によ
る研究指導により、問題解決能力や政策形成能力が磨かれる。以上により、院生の研
究能力又は高度な専門性を要する職業等に必要な能力が育成される。
131803「専攻分野について、研究者として自立して研究活動を行い、又はその他の高度に
専門的な業務に従事するに必要な高度の研究能力及びその基礎となる豊かな学識
を養う」という博士課程の目的への適合性
上記のように、各授業及び研究指導により、自律した研究者又は高度な専門性を要
する職業等に必要な研究能力の育成という到達目標を達成した。今後は、(1)前期課程
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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では、「MPED」でのオール英語の教育と、他のコースの日本語での教育の相互乗り
入れによる研究科教育全体の国際性の一層の強化、(2)後期課程では、オール英語での
コース「DPED(Doctoral Program in Economic Development)」の新設と留学生を含
む多様な院生への教育、さらに高度職業人材の育成に特に力を入れる。
131804 学部に基礎を置く大学院研究科における教育内容と、当該学部の学士課程における
教育内容との関係
経済学は社会科学の中でももっとも体系的に構築されたディシプリンであり、その
習得も体系的に行われる。すなわち、学部での入門・基礎・中級の各段階での教育、さ
らに大学院レベルでの中級・上級という段階を踏んで教育が行われる。したがって、大
学院での教育は、学部段階での十分な学習を前提として、その基礎の上に行われる。
このため、大学院入試に当たっても、学部での科目習得や研究成果などを審査し、
また試験においても経済学の基礎知識を十分確認した上で合否判定する。
このほか、優秀な学部生を対象として飛び級入試を実施している。さらに、大学院
の科目の早期履修制度や、学部の早期卒業制度を利用した、5 年での学士・修士の取得
プログラムを検討しているが、まだ実現していない。
また、中国の大連外国語学院日本語学院から 3 年次を終了した学生を、交換留学の
形で学部 3 回生に半年間短期留学生として受け入れ、経済学を習得させた上で、協定
にもとづく特別飛び級入試を行って前期課程に受け入れる「大連プログラム」を、2006
年度から開始している。
今後の課題は以下の通り。
1)5 年で学士と修士の学位を取得できるプログラムの具体化。
2)大連プログラムの学部での短期留学の 1 年への延長による経済学教育の一層の
強化と、同プログラムの対象大学の、中国等の他大学への拡大。
3)学部の国際経済学科の学生が、学部で英語を用いた専門科目を受講したあと、
MPED に進学することを奨励し、国際性に富んだ人材を輩出することを目指す。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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131805 修士課程における教育内容と、博士(後期)課程における教育内容の適切性および
両者の関係
博士学位授与実績は、2006 年度は甲号 2 名、乙号1名、2007 年度は甲号 1 名、乙号
1 名と課程博士、論文博士、両方が輩出されてきたが、2008 年度は乙号 2 名の論文博
士のみとなった。
課程博士への重点移行に伴う、後期課程の改革は、学内・学外から緊急課題として投
げかけられている。後期課程の拡充は国策でもあり、また立命館大学全体としての基
本方針でもあるが、他方で研究者としての就職先は限られており、将来進路を考える
と積極的に院生数を増加させる方向をとるかについては慎重な検討も必要である。
しかし、後期課程在籍者数が少ないことは、経済学研究科におけるプロジェクト研
究活動や、TA としての前期課程及び学部学生への教育指導への大きな制約となってい
ることも確かである。
またグローバルにみると、後述のように、博士号を取得した高度職業人への需要は
着実に高まっている。日本人院生についても、留学生や国際舞台で活躍することを目
指す層のニーズに応えることができないと、後期課程はもとより前期課程の存続も危
うくなりかねない。
このように、社会科学全体の中では、博士号を取得した高度職業人への需要も存在
している。もとより国内ではそうしたニーズは極めて限られているが、世界的に見れ
ば博士号の取得は調査研究機関、政府機関、国際機関などでは当然の要件とされる方
向にあり、日本人学生でもそうした進路を考える者にとって博士号取得は一つの選択
肢に入ってくると考えられる。
実際に中国政府の留学生派遣プログラムでは博士課程後期課程が対象になり、国費
留学生やインドネシアの円借款プログラム(インドネシア・リンケージ・プログラム関
連)においても、経済学研究科博士課程後期課程への志願者や関心を持つ者が複数名
現れている。2010 年度には国費留学生 1 名及び中国政府派遣プログラム 2 名の入学が
決まっている。
従来、博士課程後期課程は、アカデミックな研究者養成を中心とした教育を行って
きた。このため、講義科目は一定程度あるものの、教員による個別指導を中心とし、
また博士論文完成までに 3 本の研究論文を公刊することを義務づけてきた。
今後は、後期課程の教育を、研究者養成を目指す課程と、高度職業人を目指す課程
の 2 本立てにした上で、それぞれの明確な履修モデルを提示することを検討する。高
度職業人を養成するモデルでは、ある程度カリキュラムを明確にし、多少のコースワ
ークを含む履修モデルを提示することが必要になる。3 点以上の学術論文刊行という条
件も緩和を検討する。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
209/331
131807 博士課程における、入学から学位授与までの教育システム・プロセスの適切性
博士課程後期課程では、入学後 2 年 7 ヶ月たった D3 の 11 月上旬までに博士論文を
完成させ、博士学位を取得することを目標として指導を行っている。またその間、国
内外の他の研究組織や大学院・研究科などとの交流を深め、広い視野を持ち学際的な研
究力量を養うことを勧奨している。また、学位取得までに原則として 2 ヶ国語の外国
語に堪能となることを期待しており、外国文献科目の 2 ヶ国語以上での受講、国際コ
ミュニケーション能力を高めるための外国人講師による外国語開講科目の受講、など
を指導している。
1・2回生は「研究計画書」を、3回生は「博士論文執筆計画書」を年度当初に提出さ
せ、研究科委員会で指導教員体制を確定する。
課程博士論文については、原則としてその主題に関して、学会誌に掲載済みまたは
掲載予定の 3 点以上の論文を素材にしなければならず、少なくともそのうち 1 本の論
文は学会誌に掲載済みであることを原則としている。
このように、従来、博士課程後期課程は、アカデミックな研究者養成を中心とした
教育を行ってきた。このため、講義科目は一定程度あるものの、教員による個別指導
を中心とし、また博士論文完成までに 3 本の研究論文を公刊することを義務づけてき
た。
今後は、後期課程の教育を、研究者養成を目指す課程と、高度職業人を目指す課程
の 2 本立てにした上で、それぞれの明確な履修モデルを提示することを検討する。高
度職業人を養成するモデルでは、ある程度カリキュラムを明確にし、多少のコースワ
ークを含む履修モデルを提示することが必要になる。3 点以上の学術論文刊行という条
件も緩和を検討する。
(授業形態と単位の関係 コード 1319)
131901 各授業科目の特徴・内容や履修形態との関係における、その各々の授業科目の単位
計算方法の妥当性
博士課程前期課程においては、32 単位の取得が修了要件になる。このうち、M1 に
おける「経済学特別演習Ⅰ・Ⅱ」(計 4 単位)、M2 における「経済学研究演習」(4 単位)、
および「論文指導」(6 単位)または「課題研究」(2 単位)が必修であり、残りは自由選
択科目を履修する。自由選択科目の中には、各コースの履修指定科目が含まれる。こ
のうち、「論文指導」は修士論文を選択した者が、「課題研究」は課題研究レポート
を選択した者が、それぞれ履修する。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
210/331
単位については大学院設置基準に則して適正に運用されているが、単位に見合った
学習が行われるようさらに指導を徹底していく。
「論文指導」及び「課題研究」については、修士論文ないし課題研究レポートの執
筆に対して単位を付与してきた。この点については全学的な見直しが行われるので、
本研究科もそれに沿って再検討していく。
修士論文等の成績評価については、従来必ずしも明確な基準がなかった。2009 年度
からは、A+は学術誌への投稿可能な水準、Aはそれに準じて先行文献のサーベイ、分析
研究の質や斬新さなどにおいて十分な評価ができるもの、Bは先行文献のサーベイ、分
析研究の質が標準的水準を満たすが新規性に乏しいもの、Cは修士論文に求められる最
低水準をクリアしているもの、という暫定基準を設ける。この基準についてはさらに
見直していく。なお、各科目の成績評価についても、修士論文の成績評価に準じて、
客観的な基準を設けることを検討する。
(単位互換、単位認定等 コード 1320)
132001 国内外の大学院等での学修の単位認定や入学前の既修得単位認定の適切性(大学院
設置基準第 15 条)
国内他大学院との単位互換については、同志社大学大学院、関西大学大学院、関西
学院大学大学院との間で「関西四大学大学院単位互換制度」にもとづく科目の履修に
よる単位取得が可能である。
また、経済学研究科では、現在海外の複数の大学院との間で、DMDP の協議を進めて
おり、英ランカスター大学とは協定締結に達している。
さらに、日本政府の円借款プログラムによるインドネシアとのリンケージ・プログラ
ムでは、インドネシアの大学院前期課程で 1 年間講義科目中心に履修したのち、経済
学研究科に編入して若干の講義科目を履修する一方、経済学研究演習および論文指導
の科目を履修、修士論文を完成させ、修士学位を付与するダブル・マスター・プログラ
ムを実施している。このプログラムでは、インドネシア側の指導教員と緊密な連携の
下に先方での院生の履修内容を十分コントロールしたうえで、インドネシアの大学院
での取得単位を 16 単位まで認定している。
(社会人学生、外国人留学生等への教育上の配慮 コード 1321)
132101 社会人、外国人留学生に対する教育課程編成、教育研究指導への配慮
留学生については、経済学研究科全体の留学生比率は約 71%(61/86 名)(2009 年
5 月 1 日現在)に達しており、本研究科は外国人院生の存在なしには存続できない状況
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
211/331
にある。国際化への真剣な対応が絶対的に必要である。とくに日本人院生と留学生と
の間のピア・エデュケーションその他の交流が少ないことは、研究科の一体としてのま
とまりを弱める結果になっている。
博士課程前期課程の留学生のうち、日本語基準留学生は 1 年次に約 10 名強で、その
過半数は大連プログラムによる留学生である。他の日本語基準留学生の多くが立命館
大学または国内他大学で学部教育を受けたあとに入学してくるのに対し、大連プログ
ラムの院生は現行では学部に半年間短期留学するだけであり、経済学専門科目ととも
に日本語の習得も課題となっている。このため、短期留学生受け入れのための面接等
の選考を行うとともに、飛び級入試として大学院への入試を行い、知識・能力を判断し
て合否を決定している。また、学部では専門演習に受け入れて日本語での経済学の学
習、ピアエデュケーションを体験させている。
MPED の英語基準院生は、2009 年現在までのところ、ほとんどが国費留学生、JICA
や ADB などによる奨学金プログラムによる留学生であり、ごく一部が私費留学生であ
る。それぞれのプログラムには明確な合否判定基準と選考過程があり、厳格な合否判
定が行われる。例えば JICA プログラム(JDS)の場合は、大学による面接も含めて5
段階程度の選考が行われる。また国費留学生の場合、書類審査のほか、1 名の志願者に
対し、もし面接できない場合は、3 名の教員が各 3 回にわたってインターネットや電話
でインタビューすることが義務づけられている。本研究科では、各大学に選考が任さ
れているプログラムにおいても、3回程度のインタビューを行い、厳格な選考を目指
している。
英語基準での留学生に対しては、全学プログラムとして、生活に必要な日本語の修
得コース、および論文を書くための英語指導コースが設けられている。本研究科では
さらに、アカデミック・ライティングの科目を設け、またネイティブの経済学者を招い
て論文プルーフを行っている。しかしこうした措置によって修士論文全体の英文プル
ーフができるわけではなく、この点が課題となっている。奨学金プログラムによって
は、付帯経費からそうした費用を捻出できるものもあるが、同じ MPED 院生間にこう
した基本的サービスの格差ができることは教育上好ましくなく、全学的な検討が必要
である。
今後は博士課程後期課程にも英語基準留学生が入学してくることが確実であり、さ
らに高度な英文プルーフも必要になる。
②教育方法等
(教育効果の測定 コード 1325)
132501 教育・研究指導上の効果を測定するための方法の適切性
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
212/331
修士論文の評価については、従来は指導教員が各院生の状況について日常的に十分
に掌握していることから、口頭試問を省略するケースが多かったが、コンプライアン
スの問題もあり、2008 年度からは口頭試問を義務づけている。方法はコースにより異
なるが、「経済理論・政策コース」「MPED」では、主査・副査のみならず他の関係教員
も参加し、質疑することができる。
院生へのアンケート調査は各セメスターに1回、科目単位ではなく教学全体への意
見というかたちで実施しているが、大部分の授業は少人数で双方向であるため、教員
と院生との意思疎通は十分行われていると考える。その上で、教員間の FD や情報交換
は、研究科委員会はもとより、
「税理・財務コース担当者会議」、
「MPED 運営委員会」、
「大連委員会」などの公式な会議体、および非公式な話し合いの場で十分行われ、各
院生の状況などの情報を共有している。
なお、大連プログラムの院生については、上述のように、日本語能力の一層の向上、
及び学部レベルの経済学専門科目のより十分な履修が必要と考えられるため、学部へ
の短期留学期間の1年間への延長という案を軸に、大連外国語大学と協定改定交渉に
入る予定である。
(成績評価法 コード 1326)
132601 学生の資質向上の状況を検証する成績評価法の適切性
シラバスには授業の概要、到達目標、授業の方法、成績評価方法等を明示しており、
成績評価方法については学期途中での変更は認めない。2007 年度以来、シラバスの記
載内容については事前に研究科執行部でチェックし、記載の不備については改善して
いる。
しかし、授業評価の多くを定期試験に依存する学部とは異なり、大部分の授業が平
常点評価(期末レポートを含む)であるため、評価基準にはどうしても不明確な部分
が残る。この点については、学内外の大学院成績評価に関する FD 活動などに参加しな
がら改善の方法を追求する。
(研究指導等 コード 1327)
132701 教育課程の展開並びに学位論文の作成等を通じた教育・研究指導の適切性
前期課程の院生の学修状況については、日本語基準院生については第 1 セメスター
から、MPED については第 2 セメスターから、院生ごとに指導教員(主査・副査)を決め、
つねに学修状況の把握をするとともに、研究科委員会、税理・財務コース担当者会議、
MPED 運営委員会、大連委員会等の FD 活動単位で、講義課目の履修状況も合わせ教
員間の情報交換を行い、必要な対応を協議し、指導に生かしている。なお、MPED 院
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
213/331
生は来日前の研究計画が来日後大幅に変わるケースが多いため、第 1 セメスターにお
いては主査・副査を定めないが、1 年次に 1 クラス 7 名程度の基礎セミナーを開講し、
ディスカッションによる研究方法の習得、研究計画のブラッシュアップを行わせると
ともに、その担当教員が各院生の状況を把握している。
研究指導については、日本語基準院生に対しては、1 年次の「経済学特別演習Ⅰ・Ⅱ」、
2 年次の「経済学研究演習」(通年)、などを通じて個別ないしグループ指導を行っている。
MPED については、上記の基礎セミナーのあと、2 年次には主査による「Special
Seminar」(通年)による個別指導、副査による「Research Seminar」(通年)によるグル
ープ指導とピア・エデュケーションを組み合わせ、指導の効率化を図っている。こうし
た授業科目に加え、外部からの講師を招いた講演会やセミナーを随時開催している。2
年次には研究の進捗状況を発表し討論するため、オープン・セミナー、中間報告会等を
各セメスター1 回程度行い、論文提出 1 ヶ月ほど前には最終報告会を開催することで、
研究遂行へのモチベーションを高めるとともに、院生間のピア・エデュケーションの場
を提供している。
研究インターンシップとして、日本エネルギー経済研究所、九州経済調査協会など
に各1,2名の院生を派遣し、それぞれの専門分野の研究を深めさせている。
今後は、コースごとに分かれて行っている発表会やセミナーを研究科全体として行
う方法を試行していく。また、研究インターンシップの受け入れ先を拡大するよう努
力する。
132702 学生に対する履修指導の適切性
日本語基準院生に対しては第 1 セメスター当初から指導教員を特定し、MPED 院生に
対しては第 1 セメスターでは基礎セミナーの担当教員が、第 2 セメスター以降はさら
に指導教員が、院生の入学以前の学修状況や入学後の状況を把握し、研究計画を立て
させるとともに履修指導を行っている。さらに、研究科内の FD システムにより、教員
間の情報共有が行われている。オフィスアワーの実施は各教員に任せているが、上記
の方法により、教員と院生との意思疎通は十分に行われている。メンタルケアについ
ては、教員のみならず、研究科事務室、全学の関係事務局、保健センターなどの連携
によって対応している。
FD に関しては、研究科委員会がほぼ 2 週間に 1 回開かれるほか、税理・財務コース
担当者会議、MPED 運営委員会、大連委員会がそれぞれ 1 セメスターに 2∼3 回程度開催
され、構成教員はほぼ出席する。非公式の関係教員会議も随時開かれる。
院生に対するアンケートについては、各授業の履修人数が極めて少数なため、個別
授業ごとではなく、授業や授業外学習など全般について行っている。また、年に 1 回
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
214/331
程度、研究科執行部と院生の代表との懇談会を開催し、授業や学習環境改善への合意
形成に努めている。このほか、院生と個々の教員との話し合いは、日常的に行われて
いる。
今後の課題は、院生がメンタルヘルスの問題を抱えた場合などにより、標準修業年
限での修了が困難な状況になった場合の対応である。通常の院生に対しては、学内外
の組織や医療機関と連携して、本人や家族との合意を前提に休学をはじめ必要な措置
を講ずることになるが、MPED のように公的機関の奨学金で来ている院生は、通常標
準修業年限での修了が義務づけられているため、早期にその可能性を判断し、困難と
判断された場合には退学を勧告することが必要になる。このための客観基準や手続き
を全学的に用意することが課題である。
132703 指導教員による個別的な研究指導の充実度
院生への指導時間は、「経済学特別演習Ⅰ・Ⅱ」「経済学研究演習」等を担当コマ数に
カウントすることにより確保されている。
ただ、留学生比率が極めて高くなった現状では、経済学や現実経済への知識などの
バックグラウンドが院生間で大きなばらつきがあり、語学能力(日本語・英語)はもち
ろんのこと、研究テーマの多様化が一層進んでいるなど、従来からの個別指導だけで
は対応しきれなくなってきている。このため、MPED では基礎セミナーやリサーチ・
セミナーを設けてグループ単位で指導し、院生相互間の学びあいも促進するなどの措
置をとってきた。
今後も、こうした集団指導のシステムを拡大し、指導の効率化を図っていく。なお、
担当教員にとって、経済学研究演習などの担当コマ数は、担当する院生の数にかかわ
らず 1 コマでカウントされるが、特に主査の場合、院生の研究テーマの多様化が進む
ということは、すなわち担当する院生数だけ指導の時間と手間を要するということで
あり、それに見合った担当コマ数をカウントすることが必要である。
132704 複数指導制を採っている場合における、教育研究指導責任の明確化
研究指導体制は、主査・副査の複数指導体制をとっており、主査が研究指導の責任
を負う。副査の役割はコースや個々の院生の状況によって異なり、主査と共同で個別
指導に当たるケース、主査とは一応別に個別指導するケース、副査となっている院生
に対するグループ指導をするケース、及びそれらの組み合わせ、と言う形をとる。い
ずれの場合でも、主査と副査は密接な情報交換を行っており、両者の指導間に矛盾が
生ずることのないよう配慮されている。担当教員の決定は前期課程の日本語基準院生
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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は第 1 セメスター最初に、英語基準院生は第 2 セメスター最初に、後期課程は第 1 セ
メスター最初に行う。決定は研究科委員会で行う。
今後もこの体制は変えないが、院生の多様化の中で、特に副査はグループ指導体制
をとることで指導を効率化する方向を目指す。
132705 研究分野や指導教員にかかる学生からの変更希望への対処方策
日本語基準院生の場合、第 1 セメスター(経済学特別演習Ⅰ)の指導教員は、入学
試験時に提出された研究計画書を参考に決定する。第 2 セメスター(経済学特別研究Ⅱ)
の指導教員は、特別研究Ⅰの指導教員と相談の上、院生の研究テーマに即して決定す
る。通常はそのまま継続されるが、変更はありうる。2 年次への進級時に、院生は研究
計画書を提出し、それに基づき 2 年次(経済学研究演習)の指導教員を決定する。通
常は 1 年次の指導教員が継続するが、変更はありうる。
研究課題の変更は、基本的には 2 年次進学時の研究計画書をもって行われるが、も
とより院生と指導教員との十分な協議によって合理的理由で変更が必要と判断された
場合には認める。
院生からの指導教員変更希望については、学修上の合理的理由がある場合について
は、個別に対応しており、まずは指導教員と院生との話し合いを待って決定している。
いずれにしても、院生の側からの研究課題の変更や指導教員の変更は、安易に認め
ると申請が頻発する恐れがあり、院生の体系的研究遂行にとっても、教員の指導体制
にとっても、きわめて非効率で無理のある結果を招くことが懸念される。あくまで院
生と指導教員との話し合い、変更への合理的な理由の存在などを条件にケースバイケ
ースで限定的に認めており、その方針を変える予定はない。
(教育・研究指導の改善への組織的な取り組み コード 1330)
133001 教員の教育・研究指導方法の改善を促進するための組織的な取り組み(ファカルテ
ィ・ディベロップメント(FD)
)およびその有効性
教員間の FD や情報交換は、研究科委員会はもとより、「税理・財務コース担当者会
議」、「MPED 運営委員会」、「大連委員会」などの公式な会議体、および非公式な
話し合いの場で行われている。研究科委員会はほぼ 2 週間に 1 回開かれるほか、税理・
財務コース運営委員会、MPED 運営委員会、大連委員会がそれぞれ 1 セメスターに 2∼3
回程度開催され、構成教員はほぼ出席する。また、非公式の関係教員会議も随時開か
れる。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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これら FD の場では、各コース・分野の運営に関する基本的な議論が行われるほか、
各院生の修学状況、各授業の進捗と問題点、教育指導方法の改善の方向などが議論さ
れ、教員相互の意思疎通と情報共有が確保されている。
院生代表とは、年に 1 回程度、研究科執行部との懇談会を開催し、授業や学習環境
改善への合意形成に努めている。ただし、問題は院生代表の選任であり、特に本研究
科のようにコース間の院生の交流が言葉の障壁や分野の違いなどにより限られている
場合、個別の院生が院生全体を代表することは容易でない。このため、院生代表との
協議は重視しつつも、院生と個々の教員との話し合いもまた重視するという方針を研
究科として持っており、日常的に実施している。
修了生の進路については、日本語基準の院生については概ね把握できている。MPED
については、従来は帰国後連絡が十分行われない例があったが、JICA など奨学金プロ
グラムの提供機関からも修了後の院生とのネットワーク構築への要請が強いこともあ
り、帰国後の連絡体制構築が課題となっている。
133002 シラバスの作成と活用状況
シラバスには授業の概要、到達目標、授業の方法、成績評価方法等を明示しており、
成績評価方法についてはセメスター途中での変更は認めない。2007 年度以来、シラバ
スの記載内容については事前に研究科執行部でチェックし、記載の不備については改
善させている。
院生が進路に従った科目の選択に当たって、また履修時の学習の指針として、シラ
バスを活用すべきことは言うまでもなく、指導教員や執行部としても、履修指導に当
たってシラバスの熟読を指導している。
シラバスの入稿については、最近数年間のシラバス記載ガイドラインの徹底の動き
のなかで講義内容の説明についてはかなり充実したと評価できる。今後は単位の実質
化のため、授業外の学習・研究の課題をさらに明確にすることが必要で、「受講及び研
究に関するアドバイス」の記述を詳しくするよう指導していく。
133003 学生による授業評価の活用状況
授業はほぼすべてが受講者 1 ケタ台の少人数なため、教員と院生との意思疎通は円
滑に行われている。そこでの院生の意見やクレームは、FD の会議体を通して、または
当該教員から直接に、研究科執行部及び事務室に伝達され、研究科委員会で紹介され、
必要な対応策が検討される。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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ただし、「経済理論・政策コース」は分野が多岐にわたるため自らの FD 会議体を持
たず、この点を改善する予定である。また、授業に出てこない院生の意見や問題点を
把握することが難しく、事務室を含めてそうした院生との連絡体制をつくる。
133004 修了生に対し、在学時の教育内容・方法を評価させる仕組みの導入状況
MPED については、従来は帰国後連絡が十分行われない例があったが、JICA など
奨学金プログラムの提供機関からも修了後の院生とのネットワーク構築への要請が強
いこともあり、帰国後の連絡体制を構築する。
③国内外との教育研究交流
(国内外との教育・研究交流 コード 1331)
133101 国際化への対応と国際交流の推進に関する基本方針の適切性
国際化と国際交流の推進は、経済学研究科の基本方針の中心の一つである。国際化
の第 1 は、留学生の受け入れ拡大であり、現に留学生比率は約 71%(61/86 名)(2009
年 5 月 1 日現在)で、研究科の理念を超えて国際化が進行しているとも言える。留学
生のうち 39 名(2009 年 5 月 1 日現在)はオール英語コースである MPED 院生、13 名
(2009 年 5 月 1 日現在)は大連プログラムにより学部に短期留学して飛び級入試で入
学した留学生、残りの 6 名は一般の日本語基準留学生である(博士課程前期課程)。
これに比べると、第 2 の留学生の送り出しは極めて限られており、交換協定を締結し
ている大学院の派遣数の再検討が必要となっている。第 3 の、教員間の教育・研究交
流については、中国の吉林大学と教員の短期交換協定を結んでおり、毎年相互の教員
を派遣・受入れている。
今後の国際化対応、国際交流に関する基本方針は、研究科委員会を中心に議論し、
実施している。ただし MPED や大連プログラムの固有の課題については、それぞれの
FD 会議体で具体的に議論したうえで、研究科委員会に報告、必要な決定や周知を行っ
ている。
今後も基本的にはこの仕組みを続けるが、学部(特に国際経済学科)と研究科との
共通課題が増加しているため、経済学部全体として国際化を扱う場での議論を活発化
することが望ましい。
133103 国内外の大学院との組織的な教育研究交流の状況
国内の大学との間では、とくに MPED を構成する公的奨学金プログラムを共有する
大学との間で、当面する問題について情報交換・意見交換・交流を行う場を設定して
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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きた。JICA のプログラム(JDS)では、JICA が中心になって、対象国への志願者面
接のための出張が参加大学一緒に行われ、そこで情報交換を行っている。また、JDS を
ともに行っている一橋大学と、院生の交流のためのセミナーを開催したことがあるが、
現在まで 1 度しか行われていない。
国外の大学とは、海外の大学院に留学して本研究科と先方大学院の2つの修士学位
を取得することができる DMDP について、海外の 3 大学と交渉しており、うち英ラン
カスター大学とは協定に調印した。とくに、学部の「国際経済学科」に入学して語学及
び英語での専門科目を多く履修した上で、MPED に進学して 2 つの修士学位を取得す
る学生を育成することがこれからの重点課題である。このほか、国費留学生特別枠に
よる留学生受け入れに当たっては、教員交流、研究交流を行っている海外の大学から
の留学生を重点として受けいれている。また JICA プログラムが新制度となり、対象国
の具体的経済開発プログラムのための人材育成を目的とするようになったため、当該
国の大学や研究機関と共同研究の場を設け、当該開発プロジェクトにとって必要な手
段・戦略を明らかにすることが必要になっている。
今後は、国内の大学院と英語基準留学生の教育・研究交流の場を広げていくととも
に、国外大学院と DMDP の開拓及び教員交流・共同研究を進めることとする。
④学位授与・課程修了の認定
(学位授与 コード 1332)
133201 修士・博士・専門職学位の各々の学位の授与状況と学位の授与方針・基準の適切性
学位の授与方針・基準を適切に運用し、研究科の目標に沿った学位授与者を輩出す
ることを目標に取り組んだ。今後は、修士学位の審査基準を明確にするとともに、そ
の質的保証を担保し、「経済学の高度な専門性を有する有為な人材を育成する」とい
う教学目標に沿って学位授与者を輩出することを一層めざす。
133202 学位審査の透明性・客観性を高める措置の導入状況とその適切性
修士論文(または課題研究レポート)の評価については、主査・副査の評価について
かなりのばらつきがあり、内容の評価のみならず、学術論文として必要な様式を満た
していないものにも合格点を付けるケースも散見される。このため、内容及び形式に
ついて、ある程度柔軟性のある基準を設定し、それに見合った成績評価を行うととも
に、院生に対し、日ごろの指導の場や、ガイダンス、基礎セミナーなどの場で周知徹
底する。
論文の内容については、A+は学術誌への投稿可能な水準、Aはそれに準じて先行文献
のサーベイ、分析研究の質や斬新さなどにおいて十分な評価ができるもの、Bは先行文
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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献のサーベイ、分析研究の質が標準的水準を満たすが新規性に乏しいもの、Cは修士論
文に求められる最低水準をクリアしているもの、といった基準を設ける。
形式要件を満たさないことで修士論文が不合格となり、修了ができなくなるという
事態をできるだけ避けるため、2009 年度後期修了生より、修士論文原案を最終締切日
より 2∼3 週間程度早く提出させ、様式等を修正させる機会を設けることとした。さら
に、論文の縦覧期間を設け、主査・副査以外の教員も最終審査のための研究科委員会の
前に各論文をチェックする機会を設けた。
博士課程後期課程では、入学後 2 年 7 ヶ月たった D3 の 11 月上旬までに博士論文を
完成させ、博士学位を取得することを目標として指導を行っている。またその間、国
内外の他の研究組織や大学院・研究科などとの交流を深め、広い視野を持ち学際的な研
究力量を養うことを勧奨している。また、学位取得までに原則として 2 ヶ国語の外国
語に堪能となることを期待しており、外国文献科目の 2 ヶ国語以上での受講、国際コ
ミュニケーション能力を高めるための外国人講師による外国語開講科目の受講、など
を指導している。
課程博士論文については、原則としてその主題に関して、学会誌に掲載済みまたは
掲載予定の 3 点以上の論文を素材にしなければならず、少なくともそのうち 1 本の論
文は学会誌に掲載済みであることを原則としている。
しかしながら、博士号を取得した高度職業人への需要は着実に高まっている昨今の
情勢を踏まえ、今後は、後期課程の教育を、研究者養成を目指す課程と、高度専門職
業人を目指す課程の 2 本立てにした上で、それぞれの明確な履修モデルを提示するこ
とを検討する。高度専門職業人を養成するモデルでは、ある程度カリキュラムを明確
にし、多少のコースワークを含む履修モデルを提示することが必要になる。3 点以上の
学術論文刊行という条件も緩和を検討する。
133203 修士論文に代替できる課題研究に対する学位認定の水準の適切性
経済学研究科では、「海外経済調査実習」「国内経済調査実習」を設け、学外での調
査実習活動、インターンシップへの参加を研究科として推進する体制を整えてきた。
「課題研究レポート」はこうした諸活動に積極的に参加し、課題研究を行う新たなタイ
プの院生の育成を図ろうとする意図で設けられた。「修士論文」に比べて分量のミニマ
ム基準などで異なるが、研究の水準という観点からは必ずしも低位な基準というわけ
ではなく、むしろ分野の違いと考えている。
「修士論文」「課題研究レポート」のどちらを提出するかは、院生と指導教員との間で
相談して決めるが、教員の側からは上記のような主旨を十分説明し、伝統的な経済学
の研究の分野の院生には、修士論文執筆を強く促してきており、その結果「課題研究レ
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
220/331
ポート」は、2004 年度 2 名、2006 年度 1 名、2007 年度 2 名が提出しただけで、あとは
すべて「修士論文」で修了している。
なお、従来修士論文執筆には 6 単位(「論文指導」)、課題研究レポート執筆には 2
単位(「課題研究」)が付与されてきた。この区分は、課題研究を行う院生はより多
くの講義科目をとることを前提としてきたためである。しかしこの単位付与は、コン
プライアンス上問題があるとされ、次期のカリキュラム改革からは抜本的に変更する
予定であるので、「修士論文」と「課題研究レポート」との水準格差は、この面からも
ますます容認されなくなると考える。
133204 留学生に学位を授与するにあたり、日本語指導等講じられている配慮・措置の適切
性
2008 年度から、全学のプログラムとして、日本語基準の留学生への日本語教育、英
語基準留学生への英語での論文指導および生活に必要な日本語の教育がスタートし、
経済学研究科の院生も活用している。しかし、実際に高度な修士論文等を執筆しよう
とすると、より一層のサポートが必要である。
大連プログラムについては、当初は研究科に入学するまでに日本語能力検定試験 1
級を取得することを入学試験の要件としていたが、日本語能力のより高い学生を集め
るため、来日前の同資格取得を 3 期生からは新たに義務付けた。また現在は、学部へ
の短期留学期間を半年から 1 年に延長することで、日本語と経済学専門科目の能力を
さらに高めようとしている。短期留学した大連生は、学部の専門ゼミナールに受け入
れることで、経済学の議論と、日本語能力強化を狙っている。
MPED 院生に対しては、修士論文の英文プルーフを保証する体制を早急に整備する必
要がある。経済学研究科では、ネイティブの他大学経済学教員を招いて、英語論文の
指導を年2回ほど行っている。また上述のように 2008 年度には、全学的に、英語基準
の院生に対し、英文の指導を行うスキームが開始され、経済学研究科ではのべ 14 名が
利用するなど、ある程度の改善が見られた。
英文プルーフのための財源は、JDS や ADB などのプログラムでは付帯経費から支出
することは可能である。しかしその場合、他の奨学金プログラムや私費での留学生は
その恩恵に浴さず、MPED 院生間に不公平が生じることになる。英文プルーフに限らず、
プログラム間の条件の差異をそのまま教育プログラムに反映させることは、MPED 院
生間に階層的区別を持ち込むことになり、教育効果から見てきわめて不適切である。
このため、英文プルーフなど教学面から必要不可欠なサービスについては、すべての
MPED 院生が受益できるよう、財源の手当てが課題になる。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
221/331
(19)経営学研究科
【到達目標】
経営学研究科は、経営学の高度な専門力量をもったビジネスパーソンおよ
び研究者を養成することを目的とする。
【現状の説明】
2)修士課程・博士課程・専門職学位課程の教育内容・方法
①教育課程等
(大学院研究科の教育課程 コード 1318)
131801 大学院研究科の教育課程と各大学院研究科の理念・目的並びに学校教育法第 99 条、
大学院設置基準第 3 条第 1 項、同第 4 条第 1 項との関連
本研究科は、「ビジネスを発見し、ビジネスを創造する経営学」という理念を掲げ
て企業経営の研究教育を進めている。
131802「広い視野に立って清深な学識を授け、専攻分野における研究能力又は高度の専門
性を要する職業等に必要な高度の能力を養う」という修士課程の目的への適合性
本研究科は、特定の分野に特化することなく、幅広い分野において豊富な専任スタ
ッフを有し、教育面における「総合性」を持っているところに特色がある。そうした
資産をもとに、将来の研究者を目指す学生はもとより、経営学部出身の学生でさらに
経営学を深く学びたい学生、あるいは他学部の学生で経営学を学びたい学生など、幅
広い学生ニーズに応えるところ教育目標を置いている。
養成すべく人材目標としては、出身学部における学問分野と入学後に習得する経営
学分野との学際的領域をアカデミックな側面から新しく切り開くことのできる人材、
国際的な視野と知見を有する人材(特に留学生の場合)、専門的で高度な学術レベルの
研究能力とリサーチと統計的処理の能力を身につけさせることによって、シンクタン
ク・コンサルティング・リサーチを目指すことができる人材、将来の研究者などの養
成を目標としている。
131803「専攻分野について、研究者として自立して研究活動を行い、又はその他の高度に
専門的な業務に従事するに必要な高度の研究能力及びその基礎となる豊かな学識
を養う」という博士課程の目的への適合性
博士課程後期課程は、従来からの伝統の上に立った研究者養成を主眼として展開し
ている。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
222/331
各授業及び研究指導では、自立した研究者又は高度な専門性を有した職業等に必要
な研究能力を育成することを目標に体系性、適切性を有した教育を実施している。
131804 学部に基礎を置く大学院研究科における教育内容と、当該学部の学士課程における
教育内容との関係
本研究科の教育内容が、全般的に学部教育にその基礎を置いていることは言うまでな
い。また、本大学経営学部から大学院へ進学して来る学生について、大学院進学後、学
部課程での演習担当の教員を、前期修士課程での修士論文指導教員として選ぶことも少
なくなく、その意味では、学部課程から継続した研究指導教育を受けることになる。
131805 修士課程における教育内容と、博士(後期)課程における教育内容の適切性および
両者の関係
本研究科においては、博士課程へ進学の学生の指導担当教員は、修士課程での修士論
文指導教員があたることが一般的であり、その意味では、継続して前期・後期課程での
研究指導がなされている。
131807 博士課程における、入学から学位授与までの教育システム・プロセスの適切性
例年5月初めに、1回生および2回生は「研究計画書」を提出し、3回生は研究の目
的、研究の進捗状況、論文の基本構想、論文完成の見通し等を綿密に記した「博士学位
論文執筆計画書」を提出する。
(授業形態と単位の関係 コード 1319)
131901 各授業科目の特徴・内容や履修形態との関係における、その各々の授業科目の単位
計算方法の妥当性
外国人留学生に対しては、外国人留学生入学試験を実施し、特にアジアからの留学生
を積極的に受け入れており、2008 年度においては、前期課程の在学生 98 名のうち 68
名が外国人留学生である。外国人留学生には、日本語で論文執筆するための研究方法科
目として「アカデミックライティング」を開講しており、修士論文については TA によ
る日本語添削を行っている。こうした取り組みにより、多くの外国人留学生において質
の高い修士論文の執筆が達成されている。今後は、9 月における外国人留学生の入学を
視野に入れ、英語で行う講義科目の開講を予定している。
社会人については、交通の利便性を考慮した大阪でのサテライト・キャンパスでの開
講等、社会人への配慮がされてきたが、プロフェッショナルコースが経営管理研究科と
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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して独立して以降、社会人に対する配慮が十分にできていない状況がある。在籍の前期
課程社会人は 4 名と少なくはあるが、社会人にも無理なく修了可能な開講形態等の改善
を検討する。
(社会人学生、外国人留学生等への教育上の配慮 コード 1321)
132101 社会人、外国人留学生に対する教育課程編成、教育研究指導への配慮
外国人留学生に対しては、外国人留学生入学試験を実施し、特にアジアからの留学生
を積極的に受け入れており、2008 年度においては、前期課程の在学生 98 名のうち 68
名が外国人留学生である。外国人留学生には、日本語で論文執筆するための研究方法科
目として「アカデミックライティング」を開講しており、修士論文については TA によ
る日本語添削を行っている。こうした取り組みにより、多くの外国人留学生において質
の高い修士論文の執筆が達成されている。今後は、9 月における外国人留学生の入学を
視野に入れ、英語で行う講義科目の開講を予定している。
社会人については、交通の利便性を考慮した大阪でのサテライト・キャンパスでの開
講等、社会人への配慮がされてきたが、プロフェッショナルコースが経営管理研究科と
して独立して以降、社会人に対する配慮が十分にできていない状況がある。在籍の前期
課程社会人は 4 名と少なくはあるが、社会人にも無理なく修了可能な開講形態等の改善
を検討する。
②教育方法等
(教育効果の測定 コード 1325)
132501 教育・研究指導上の効果を測定するための方法の適切性
修士(前期)課程において、前期・後期、各一回ずつ、教育効果を測定するための教
育評価学生アンケートを実施している(但し、アンケート実施は、登録学生数10人以
上のクラスを対象としている)。加えて、平成21年度から、前期・後期各一回ずつ、
修士(前期)課程の講義科目、および修士論文指導にあたっているすべての教員を対象
に、当初の教育計画が達成できたかどうか自己評価する教員アンケートを実施している。
132502 修士課程、博士課程、専門職学位課程修了者(修業年限満期退学者を含む)の進路
状況
2008 年度に前期課程を修了した 46 名のうち、社会人入学者や家業継続等で就職活動
をしなかった者を除く 43 名中、30 名が就職内定、4 名が本学後期課程へ進学した。就
職内定企業は、自動車や電機などのなどの製造業、金融機関、商社など多様な業種にわ
たっている。主な進路・就職先は以下の通りである。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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沖縄振興開発金融公庫、(株)堀場製作所、ソフトバンクモバイル(株)、(株)村
田製作所、(株)イオン、ダイハツ工業(株)、東海リース(株)、(株)ドワンゴ、
TAC(株)、本田技研工業(株)、監査法人・税理士事務所、資格試験・進学準備、後
期課程進学、等
進路就職支援においては、M1 前期に在籍者全員に対してキャリアオフィスでの面談
を実施し、大学院入学早期の段階から就職意識を高めている。また、授業においては、
「キャリア開発演習」という就職支援科目を開講し、授業の一環として多くの M2 内定
者や卒業生・社会人にキャリア講演会や就職体験報告会を実施し、キャリアについて考
える動機付けとなっている。厳しい就職状況の中、健闘できたのはこのような支援の結
果であり、今後も継続して支援を行う。
なお、後期課程については、論文の執筆や学会等に所属しての積極的な活動を奨励し、
教員公募の情報については情報提供をして応募を促している。しかしながら、研究者と
しての就職には困難な状況があり、今後、就職支援を強化することが課題である。
(成績評価法 コード 1326)
132601 学生の資質向上の状況を検証する成績評価法の適切性
教育課程に位置づけられた各授業の役割・目的に応じた成績評価基準を設定するこ
と、成績評価基準をシラバスに明示し、院生に周知することを行い、所期の成果を
達成した。今後は、さらに、資質の向上を客観的に測定する方法があるか検討を続
けたい。
(研究指導等 コード 1327)
132701 教育課程の展開並びに学位論文の作成等を通じた教育・研究指導の適切性
修士論文の作成および指導のあり方について
一回生前期中に指導教員を決定し、一回生後期に指導教員の指導に基づき「特論」科
目を受講し、各自の研究テーマに沿った修士論文作成の準備を行う。その上で、2回生
時に修士論文を執筆する。2回生9月中旬に中間報告会が行われる。
132702 学生に対する履修指導の適切性
履修指導は、入学時に履修要項を基本にガイダンスを実施し、本研究科のカリキュラ
ムについての丁寧な説明を行っている。
研究指導においては、1 回生前期に指導教員を決定するが、「研究計画書」「志望理
由書」提出させ、教員との懇談会および希望教員との個別面談を経て、指導教員とのミ
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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スマッチが生じないよう、丁寧なプロセスを踏んで決定している。1 回生前期の時点で
は、研究計画についての明確なビジョンを持てない場合もあるが、懇談会における教員
との交流により、教員の研究分野を知り、自身の興味・関心に基づき、研究テーマを絞
り込む機会となっている。また、その後の個別面談により、より学生の研究テーマに合
った指導教員が配置される。2 回生後期には、修士論文中間報告会を実施、修士論文の
進捗状況を把握している。
また、留学生に対してはより丁寧な指導体制が必要であり、本人ならびに指導教員・
職員との継続的な指導体制ができるよう改善する。
授業については、セメスターごとに学生に対する授業アンケートを実施し、教員へフ
ィードバックしているが、今後は、研究科として個々の授業の成果を検証する仕組みを
検討する。
132703 指導教員による個別的な研究指導の充実度
研究指導のための科目である特別演習は、厳密に前期後期、各15回ずつの実施を義
務づけ、学生は最低そのうちの3分の2の出席をもって、単位取得の条件としている。
132705 研究分野や指導教員にかかる学生からの変更希望への対処方策
後期課程においては、指導教員が変更となる場合の原則を研究科委員会において確認
し、この原則に基づき対応している。前期課程においては、指導教員決定の際、指導教
員候補者との交流会、希望指導教員との個別面談など、指導教員とのミスマッチが起き
ないよう、丁寧なプロセスを踏んでいるため、基本的に指導教員の変更は認めていない。
(教育・研究指導の改善への組織的な取り組み コード 1330)
133001 教員の教育・研究指導方法の改善を促進するための組織的な取り組み(ファカルテ
ィ・ディベロップメント(FD)
)およびその有効性
例年以下のような取り組みを行っている。
・ 教育評価学生アンケートを実施し、学生の意見を吸い上げて授業改善につな
げている。
・ 当初の教育計画が達成できたかどうか自己評価する教員アンケートを実施し
ている。
・ 国際化テーマについては、委員会との合同会議を開催し、国際化に関する授
業改善について議論を深めている。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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・ 留学生や日本人院生とのクラス懇談会を開き、意見を吸い上げて授業改善に
つなげる努力を行っている。
133002 シラバスの作成と活用状況
教育課程に位置づけられている各授業の役割に応じたシラバスを作成し、院生が自ら
の学修計画に応じ適切にシラバスを活用するよう適切な履修指導を行うことについて
は、十分に行われている。今後は、さらにシラバスの内容の記述、変更の即時性を改善
する。
③国内外との教育研究交流
(国内外との教育・研究交流 コード 1331)
133101 国際化への対応と国際交流の推進に関する基本方針の適切性
近年の経済社会のグローバル化に鑑み、本研究科においても、大学院教育の国際化は
重要課題のひとつとして位置づけている。本学研究科の学生の海外への留学や学位取得、
また海外の学生が本研究科で学び、本研究科の学位取得をするという、相互の国際乗り
入れの活発化が欠かせない将来要件と考えている。そのため、海外大学の大学院、ある
いはビジネススクールとの提携、また、受け入れのための9月入学条件の整備や、英語
での履修可能な科目整備が急務と考えている。
133103 国内外の大学院との組織的な教育研究交流の状況
2009 年度よりフランスの ESCEM ビジネススクールと DMDP を協定締結し、本学から
1 名の派遣を決定した。今後は、さらなる派遣者拡大および受入を目指すとともに、新
たな DMDP 締結についても検討する。DMDP 導入に伴い、英語基準による留学生に対応
するため、2009 年度は英語による専門科目を新設した。2010 年度は、研究指導科目を
英語名称にて新設し、9 月入学に対応できるようセメスター配置とする。
また、大連外国語学院との協定に基づく留学生の受入れが 2010 年度で 4 年目となる。
④学位授与・課程修了の認定
(学位授与 コード 1332)
133201 修士・博士・専門職学位の各々の学位の授与状況と学位の授与方針・基準の適切性
学位の授与方針・基準を適切に運用し、研究科の目標に沿った学位授与者を輩出する
ことを目標に実施し、46名に修士号を、3名に博士号を授与した。今後は、さらに、
研究科の目標に沿った学位授与者を輩出することを目標とする。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
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133202 学位審査の透明性・客観性を高める措置の導入状況とその適切性
修士学位審査については、修士論文の分量、評価基準等を研究科委員会において申し
合わせとしてまとめ、履修要項およびホームページにて明示している。また、修士論文
の執筆にあたっては、
「論文の書き方」冊子を学生に配布している。審査にあたっては、
主査・副査の 2 名による審査体制をとり、申し合わせの基準に則して、研究科委員会に
おいて審査結果を審議し、学位の授与を決定している。審査にあたっては口頭試問を実
施しているが、今後は、口頭試問等の公開により審査の透明性を高める検討をする。
博士学位審査については、立命館大学学位規程、文・社系研究科における課程博士の
学位授与に関する申し合わせ、および経営学研究科における「立命館大学学位規程」の
運用要項に基づき審査される。これらには、学位申請の要件、受理審査体制、学位授与
の要件、学位授与の審査体制等について明示している。学位規程および申し合わせはホ
ームページに公開している。学位授与の審査体制は、主査を含む 3 名以上の複数体制を
構築しており、口頭試問、公聴会が実施される。今後は、学位授与の要件等の客観性を
より高める措置を検討する。
133204 留学生に学位を授与するにあたり、日本語指導等講じられている配慮・措置の適切
性
本研究科において、ここ数年、入学者に占める留学生の割合は7∼8 割に達している。
こうした留学生が日本語で論文を書くための「アカデミックライティング」科目を設置
し、指導している。加えて、2008 年度からこうした留学生が修士論文を書くにあたって、
ライティング指導の TA スタッフの充実をはかっている。
【点検・評価】
目標の達成度
目標に向かっての教育活動の推進は、幅広い分野における豊富な専任スタッフとカリ
キュラム編成により、相当の評価を得ているものと考える。
効果があがっている事項
手厚いキャリア開発支援により、学生のキャリア意識が早い段階で高まっている。ま
た、中間報告会の実施等により、中間段階での学生の学修状況の把握ができ、その後の
効果的な指導へと引き継ぐことができている。
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改善が必要な事項
未だに定員が完全に充足されていない状態であり、「適正定員」がどうかの検討も含
め、その改善の方向を明確にした取り組みを開始する。
また、学位審査基準の明確化が必要である。
【改善方策】
長所の伸長方法
後期課程における学生の学修状況を把握し、適切な指導体制を確立する仕組みが必要
である。また、後期課程のキャリア開発支援も強化する取り組みが必要である。
問題点の改善方法
定員充足率の向上については、根本的には研究・教育活動の充実が必要であるが、
さらに、研究科の理念、目的、教育目標等の周知方法を改善していきたい。
また、学位審査基準の策定に取り組んでいきたい。
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(20)社会学研究科
【到達目標】
社会学研究科は、社会諸科学の視点から国内外の諸課題に応え、社会に
その成果を還元しうる優秀な研究者と各専門領域における専門家を養成す
ることを目的とする。また、この人材育成目的達成のため、下記の 4 点の
具体的な目標を掲げる。
第一に、社会学の最新成果に依拠しながら、現代社会の諸現象・諸問題を解明する研
究拠点を形成していくこと、
第二に、理論研究とともに、調査・統計学による実証分析を重視すること、
第三に、それぞれが独立性を追求しがちであった諸科学、すなわち社会学の他、経済
学・政治学・心理学・福祉学・歴史学・環境学などの現代的な問題をホリスティックな
アプローチを通して協同化・総合化し、新たな学問の地平を切り拓いていくこと
【現状の説明】
2)修士課程・博士課程・専門職学位課程の教育内容・方法
①教育課程等
(大学院研究科の教育課程 コード 1318)
131801 大学院研究科の教育課程と各大学院研究科の理念・目的並びに学校教育法第 99 条、
大学院設置基準第 3 条第 1 項、同第 4 条第 1 項との関連
社会学研究科は、社会学をはじめとする諸科学の協同によって、現代社会を総合的に
把握し、現代社会が直面する諸課題に立ち向かおうとする高い志に基づき、1972 年に開
設(博士課程後期課程は 1974 年開設)され、「現代社会が提起する諸問題を社会学と
既存の学問諸分野との協同によって解明し、社会に要請される実践的課題にこたえる研
究者と専門職業人の育成」を目的・理念としている。
131802「広い視野に立って清深な学識を授け、専攻分野における研究能力又は高度の専門
性を要する職業等に必要な高度の能力を養う」という修士課程の目的への適合性
社会学研究科の目指すところは、第一に、社会学の最新成果に依拠しながら、現代社
会の諸現象・諸問題を解明する研究拠点を形成していくこと、第二に、理論研究ととも
に、調査・統計学による実証分析を重視すること、第三に、それぞれが独立性を追求し
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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がちであった諸科学、すなわち社会学の他、経済学・政治学・心理学・福祉学・歴史学・
環境学などの現代的な問題をホリスティックなアプローチを通して協同化・総合化し、
新たな学問の地平を切り拓いていくことである。これらにより高い能力を備えた人材の
育成が実現すると考えている。
131803「専攻分野について、研究者として自立して研究活動を行い、又はその他の高度に
専門的な業務に従事するに必要な高度の研究能力及びその基礎となる豊かな学識
を養う」という博士課程の目的への適合性
博士課程においては専攻分野についての個別研究指導を中心とした教育カリキュラ
ムとなっている。集団的な指導体制を確立するとともに、各年次における研究発表によ
って研究者としての自立を促している。個別研究指導においては、研究計画の形成、研
究報告・論文作成に関する具体的指導が行われている。
2008 年 9 月に採択された大学院GPプログラム(海外大学共同による比較調査研究方
教育)について、2009 年4月からのスタートに向け、より高度で専門的な学識を養う体
制を整えた。本プログラムでは受講生は調査プロジェクト(ゼミ)に所属し、英国・韓
国・本学の 3 大学の教員の講義により、比較研究の前提となる基礎理論およびアジア社
会論を学ぶとともに、3 大学の教員の指導のもと、東アジアを中心とする国際的なフィ
ールド調査の設計と実施を行い、アジア社会の流動的な現状を把握し、国際的に通用し
うる社会調査メソッドの修得を目指している。
また、同時に調査・研究の分野における基礎英語力を培い、より実践的な語学運用能
力を強化するための科目を受講させることとしている。英語による研究成果報告、論文
作成をバックアップし、世界に向けて研究成果を発信できる人材の輩出を目指す。
今後の改善の方向性に関しては以下を考えている。現在は英国・韓国の大学との提携
であるが、さらに台湾など東アジアを中心に新たな提携を増やし、プログラムの充実を
目指している。加えて、プログラム内容も現在の国際福祉にかかわる問題からさらに広
げ、文化的側面に関する問題もテーマとして検討している。
131804 学部に基礎を置く大学院研究科における教育内容と、当該学部の学士課程における
教育内容との関係
社会学研究科は立命館大学産業社会学部に基礎を置いている。産業社会学部は「現代
社会」「メディア社会」「人間福祉」「スポーツ社会」「子ども社会」1 学科 5 専攻を
有し多様な教学を展開している。これに即し「社会形成研究系」「社会文化研究系」「環
境社会研究系」「メディア社会研究系」「教育社会研究系」「スポーツ社会研究系」6
研究系を有する「現代社会研究領域」、「福祉社会研究系」と「福祉実践研究系」を有
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する「人間福祉研究領域」、そして「国際社会研究系」と「国際福祉研究系」を有する
「国際社会研究系」の3つの研究系を持ち学際的な教学を展開している。
社会学研究科で指導を行う教員は基本的に産業社会学部所属であり学部教学を十分
理解し指導にあたっている。
131805 修士課程における教育内容と、博士(後期)課程における教育内容の適切性および
両者の関係
修士課程においては、現代社会の諸問題に対し、社会学を中心としつつも、先端的で
多面的・学際的な理論と実証的な研究が可能なカリキュラム構成となっており、院生の
視野の拡大を助けると同時に、後期課程に向けての研究テーマの絞り込みと研究方法の
検討・確立を助けるものとなっている。後期課程の指導教員は原則として前期課程と同
一であり、学会発表・論文作成のそれぞれに対し、指導教員からの指導が行われている。
131806 博士課程(一貫制)の教育課程における教育内容の適切性
前期課程研究コースで修士論文を作成し審査を経て修士学位を獲得したものについ
ては、一般的入学試験の試験科目の免除および修士論文口頭試問による代替等により後
期課程への入学を許可する「ゆるやかな5年一貫制」を採用している。前期課程の3年
間では博士論文の作成を通じて専攻分野について自立した研究者をめざしている。
現状の評価は以下の通りである。2002 年からのデータでは 17 名中 10 中が前期課程研
究コースから後期課程に進み、5 年間での学びを着実に行っている。またすでに 5 名の
課程博士学位取得者を前期課程研究コースから輩出している。
今後の改善の方向性に関しては以下を考えている。5 年一貫した教員の指導を通し、
着実な研究力の向上がみられていると考えられるが、特に前期課程から論文の執筆、研
究発表を促すため、院生を中心にした研究発表会の開催を 2009 年度秋から計画してい
る。
131807 博士課程における、入学から学位授与までの教育システム・プロセスの適切性
社会学研究科博士後期課程を満期退学する際に必要な単位は 12 単位である。「応用
社会学特殊研究」(必修科目)を単年度4単位×3ヶ年(計 12 単位)を修得する必要
がある。
「応用社会学特殊研究」では、1回生時より指導教員の個別の指導が行われる。
後期課程1回生では、修士論文を基盤としこれまでの成果の整理とこれからの課題の
絞り込みを指導教員と共に行う。12 月には研究報告書および次年度の研究計画書の提出
を行う。2回生では、論文の作成と投稿、学会発表等の取り組みを行い、11∼12 月に2
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
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回生での研究経過報告会、12 月での研究報告書の提出、また「博士学位請求論文執筆計
画書」(博士学位請求論文の概要)の提出が行われる。3回生時でも引き続き、論文の
作成と投稿、学会発表等の取り組みを行いながら博士学位請求論文の作成に当たる。12
月に博士学位請求論文の提出が行われる。3年間を通し所属専門学会で報告を行い、そ
れを公表論文として、主に『産業社会論集』に掲載し、3本以上の公表論文を基礎に博
士論文に仕上げている。
現状の評価は以下のとおりである。指導教員の細やかな指導に加え、研究科委員会の
責任による進捗状況の把握がなされている。
今後の改善の方向性に関しては以下を考えている。更なる後期課程院生の研究力の向
上を目指し、『産社論集』への投稿の際の事前での学会等の研究会での発表の義務化、
および院生を中心とした研究会の開催、特に他国の大学の院生との合同研究会の開催を
さらに進めていく予定である。
132502 修士課程、博士課程、専門職学位課程修了者(修業年限満期退学者を含む)の進路
状況
社会学研究科では、研究コースと高度専門コースという2つのコースがあり、これら
のコースは「現代社会」「人間福祉」「国際社会」の3研究領域に分類でき、多様な大
学院生が多様な学びを享受している。それだけに修了後の進路・就職についても公的機
関から民間企業にいたるまで幅広く、1学年修士課程 60 名、博士課程 15 名の定員規模
を有するため様々活躍の場に進んでいる。また院生の就職活度を促進させるため、院生
の中にPL(Placement leader/就職活動のリーダー)を置き、取り組んでいるのも本
学の中では社会学研究科のみである。
現状の評価は以下の通りである。大学院生の進路・就職をサポートするために設けら
れているキャリアオフィスでは、毎年、修了する院生の進路・就職状況を個別に調査を
行っている。この作業の中で研究科としてもキャリアオフィスと一丸となり、院生の進
路・就職のサポートとそして実態調査に取り組んでいる。また課題解決型産学連携型教
育である「コーオプ演習」をはじめとしたユニークなインターンシップ活動にも積極的
に取り組むように指導を行っている。2008 年の終了の修士学取得者 37 名のうち 23 名が
就職し、進学をしたものを含めれば、31 名が明確な進路を決めている。
今後の改善の方向性に関しては以下を考えている。これまでも、キャリアオフィスと
ともに院生の進路・就職のサポートにはあたってきたが、100 年に一度とも言われる景
気の低迷から院生の就職活動は大変厳しい状況を迎えており、それにそって、さらなる
進路・就職にサポートが必要と考えている。具体的にはこれまでも実施したOB・OG
を招聘してのキャリアセミナーの実施回数を増やすことやなど今後も積極的に取り組
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
233/331
む予定である。またインターンシップを通して、「総合的な人間力」を高める取り組み
などに積極的に参加できるよう全学と連携をとり、社会学研究科の院生のニーズを踏ま
え、さらに展開を図っていく予定である。
132503 大学教員、研究機関の研究員などへの就職状況と高度専門職への就職状況
多岐にわたる研究領域もあり、大学教員を含め、シンクタンク・特殊法人・官庁関係
ならびに福祉事務所など、高度な専門職に従事する者も多い。2002 年度から 2008 年度
までの過去 7 年間に 13 名が専任教員の職についている。
現状の評価は以下の通りである。専門性を高める資格取得には力を入れている。教員
職員免除に関する専修免許所の取得、社会調査士資格および専門社会調査士資格の取得
についても積極的に取得のためのサポートを行っている。
今後の課題としては、より多くの大学教員・研究員を輩出していくことが挙げられよ
う。そのため、大学教員・研究員としてのキャリアを目指す院生を支援すべく、キャリ
ア支援セミナー等の開催を検討している。
③国内外との教育研究交流
(国内外との教育・研究交流 コード 1331)
133101 国際化への対応と国際交流の推進に関する基本方針の適切性
中央教育審議会『新時代の大学院教育−国際的に魅力ある大学院教育の構築に向け
て』(2005 年 9 月)に見られるように、昨今の大学院改革においては「大学院教育課程
における組織的な展開の必要性」と「国際的に通用する教育の質」が強く求められるな
ど、多様な大学院教育のあり方が問われている。立命館大学の大学院教育もこのような
方向を模索し、展開が図られてきている。とりわけ社会学研究科は、「現代社会が提起
する諸問題を社会学と既存の学問分野との協同によって解明し、社会的に要請される実
践的課題にこたえる研究者と専門職業人の養成」を目的・理念として教学の組み立てを
考えてきており、国際化の諸課題を「現代社会の提起する諸問題」として位置づけ、こ
の基本方針のもとに教学の国際化とそれを推進する国際交流を大学院教学の柱のひと
つに据えさまざまな教学の展開を行うことを方針としている。
133102 国際レベルでの教育研究交流を緊密化させるための措置の適切性
社会学研究科では 2007 年度より「国際化」「資格取得」「プロジェクト型研究」等
をキーワードにカリキュラム改革を進めてきており、とりわけ「国際化」を基本とする
<国際社会研究領域>を加え、<国際社会研究領域>への英語講義科目を導入するに至
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
234/331
っている。また、本研究科の複合的な研究分野を統合するプロジェクト型の科目として
「先進プロジェクト研究」を開講して、複数の教員による集団指導と院生の参加という
協同的で横断的な学びの可能性を開いており、さらに、資格取得に関しては、2007 年度
から専門社会調査士課程を設置して対応しているが、これらの教学の集積を国際化課題
とむすびつけ 2008 年度大学院教育改革支援プログラム採択に伴い、2009 年度より「海
外大学共同による比較社会調査研究方教育;アジアと欧米をつなぐ国際展開を可能にす
る社会調査研究の専門家育成大学院先進教育(大学院 GP)」を展開しており、国際化教
学の展開を図っている。また大学院 GP 以外でも 2007 年度より韓国中央大学、ランカ
スター大学を中心に海外数大学と連携して大学院生フォーラムを韓国中央大学または
立命館大学を舞台に毎年持ち回りで開催しており、院生の研究成果の報告と交流の機会
を設けている。この成果は毎年英、韓国語、日本語による抄録集として公刊している。
133103 国内外の大学院との組織的な教育研究交流の状況
2008 年度、ランカスター大学および韓国中央大学大学院と DMDP に関する締結を行
い、双方向の交流の条件を設けている。また 2009 年度後期より英国ランカスター大学
のポスドクの参加により、社会学研究課院生の国際的な情報発信および海外比較研究の
サポートシステムを構築している。ランカスター大学大学院ではこのサポートを
Assistant teachers’ program(ATP)のトレーニング課程に位置づけ、多文化教育プログ
ラムの一環としている。さらに大学院 GP プログラムを中心に、2010 年度日韓英院生合
同で韓国と日本の都市若年層の共同調査を行うことが予定されている。また、2007 年度
より韓国中央大学、ランカスター大学を中心に海外数大学と連携して大学院生フォーラ
ムを韓国中央大学または立命館大学を舞台に毎年持ち回りで開催しており、院生の研究
成果の報告と交流の機会を設けている。この成果は毎年英、韓国語、日本語による抄録
集として公刊している。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
235/331
(21)文学研究科
【到達目標】
履修要項に掲げている到達目標(前期課程の項に書かれているが後期課程にも通じる
内容である)は、以下のとおり。すなわち、(1)現代の学問的要請に応えつつ、既存の
専攻の垣根を低くすることにより、これまでにない人文科学の新しい分野を創出し、既
存分野を超えた魅力ある大学院教学のあり方を創出すること。(2)研究者を目指すもの
だけでなく、職業人を目指す、あるいは教養を深める、といった多様な要請に対応して
いくこと。(3)本研究科修了者が幅広く人文学研究への社会的・現代的要請にもこたえ
ていくために、専門研究力量のみならず、実践的語学力をはじめとした様々な能力を身
につけるプログラムを置くこと。
【現状の説明】
2)修士課程・博士課程・専門職学位課程の教育内容・方法
①教育課程等
(大学院研究科の教育課程 コード 1318)
131801 大学院研究科の教育課程と各大学院研究科の理念・目的並びに学校教育法第 99 条、
大学院設置基準第 3 条第 1 項、同第 4 条第 1 項との関連
文科省の定める大学院設置基準に則ったカリキュラムの適正化を行うことを目標に、
修士論文の研究指導体制の実態に即した科目編制を行った。今後は、すでに実施してい
る執行部によるシラバス点検をさらに入念に行うことを通じて、各授業および研究指導
の到達目標と研究科の教育目標との間の整合性、体系性をより確実なものとする。
131802「広い視野に立って清深な学識を授け、専攻分野における研究能力又は高度の専門
性を要する職業等に必要な高度の能力を養う」という修士課程の目的への適合性
自立した研究者または高度な専門性を有した職業等に必要な研究能力を育成するこ
とを目的に、執行部でシラバスを点検し、各授業担当者との間で必要な検討を行った。
複数担当を基本とする「特別研究」のカリキュラム改正と成績評価の適正化もその成果
の一つだが、今後も、そのような改善に不断に取り組む。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
236/331
131803「専攻分野について、研究者として自立して研究活動を行い、又はその他の高度に
専門的な業務に従事するに必要な高度の研究能力及びその基礎となる豊かな学識を
養う」という博士課程の目的への適合性
自立した研究者または高度な専門性を有した職業等に必要な研究能力を育成するこ
とを目的に、各授業および研究指導を実施した。今後も、個別の授業や指導の高度化を
図りつつ、その成果の研究科全体としての共有にも取り組む。
131804 学部に基礎を置く大学院研究科における教育内容と、当該学部の学士課程における
教育内容との関係
学部の教育内容と教育目標を踏まえ、修士課程の指導体制・指導方法を構築した。今
後は、そのさらなる改善のために、学部学生の大学院志望ニーズや学力等をさらに綿密
に把握・分析する。
131805 修士課程における教育内容と、博士(後期)課程における教育内容の適切性および
両者の関係
前期課程に置かれた 3 コースのうち、とくに研究者養成コースが、後期課程に接続す
るものとして構想されている。そこでは、修士論文も課程博士取得に至る 1 プロセスで
あり、それを挟んだ両課程の緊密な接合のための改善に、今後も不断に取り組む。
131807 博士課程における、入学から学位授与までの教育システム・プロセスの適切性
学位授与までのプロセスを明示し、周知することを目標に、各専修にマニュアルを配
布し、学位論文提出の要件とともに、学位授与記録簿の記載方法に関して周知・徹底さ
せた。今後は、3 コース制をとっている点にも鑑み、人材育成目標を学位授与までのプ
ロセスに反映する仕組みや組織的な検証プロセスの改善にも取り組む。
(授業形態と単位の関係 コード 1319)
131901 各授業科目の特徴・内容や履修形態との関係における、その各々の授業科目の単位
計算方法の妥当性
大学院設置基準に則した適正な単位認定を行う目標はおおむね達成されてきたが、博
士課程前期課程「特別研究」(通年科目・4 単位)と博士課程後期課程「特別研究」(通
年科目・6 単位)については、各授業の形態にそぐわない点があったためそれらを廃止
し、それぞれに代わる「前期課程
特別研究 I∼IV」(各半期 2 単位)」と「後期課程
特別研究 I∼XII」(各半期 2 単位)を新設した(施工は 2009 年度から)。また、「高
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
237/331
度技能展開コース」と「高度教養人養成コース」において学部科目を 4 単位まで修了要
件として認定していたものを、いずれのコースにおいても学部科目は修了要件としない
ものとした。今後も、大学院教学の改善のために、必要に応じた同様の検討を行う。
(単位互換、単位認定等 コード 1320)
132001 国内外の大学院等での学修の単位認定や入学前の既修得単位認定の適切性(大学院
設置基準第 15 条)
国内外の大学、大学以外の教育施設と適切な単位互換協定を結び、学外の教育資源の
活用をカリキュラムの中に位置づけている。今後も、院生の研究力量の向上に資する協
定締結に前向きに取り組む。
(社会人学生、外国人留学生等への教育上の配慮 コード 1321)
132101 社会人、外国人留学生に対する教育課程編成、教育研究指導への配慮
社会人学生に対して、入学、教育指導上配慮することを目標とした。しかし教員の指
導上の配慮はなされているが、今後はその組織的な取り組みを模索する。
②教育方法等
(教育効果の測定 コード 1325)
132501 教育・研究指導上の効果を測定するための方法の適切性
修了時の到達度を検証することを目標に、学位論文提出時には口頭試問を行っている。
今後は、十分な回収率に至っていない教学改善アンケートの内容や方法を改善して、院
生の学びの実態により即した教育効果測定のための指標の開発に取り組む。
132502 修士課程、博士課程、専門職学位課程修了者(修業年限満期退学者を含む)の進路
状況
各課程修了者の進路状況の把捉は各専修に委ねられており、研究科全体として詳細な
データを持ち合わせない。今後は、データを執行部に集約し、いわゆる「出口問題」を
研究科として検討する素材とするなどの改善を行う。
132503 大学教員、研究機関の研究員などへの就職状況と高度専門職への就職状況
各課程修了者の研究者就職状況の把捉は各専修に委ねられており、研究科全体として
詳細なデータを持ち合わせない。今後は、データを執行部に集約し、いわゆる「出口問
題」を研究科として検討する素材とするなどの改善を行う。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
238/331
(成績評価法 コード 1326)
132601 学生の資質向上の状況を検証する成績評価法の適切性
教育課程に位置づけられた各授業の役割・目的に応じた成績評価基準を設定し、それ
をシラバスに明示・周知することを目標として、2009 年度開講科目のシラバス点検にお
いてその適切性について点検を行った。今後も、この作業をさらに入念なものとする余
地が残されている。
(研究指導等 コード 1327)
132701 教育課程の展開並びに学位論文の作成等を通じた教育・研究指導の適切性
院生の学修状況の客観的な把握と組織的な指導体制を構築することを目指している
が、研究科としてその実施状況と有効性を検証するシステムを構築するには至っていな
い。今後は、顕著な成果を上げている専修と協働した FD を実施するなどして、研究科
全体としてこの力量の向上に努める。
132702 学生に対する履修指導の適切性
入学時における院生の学修履歴を把握し、個々の院生に対する指導方針を策定のうえ、
メンタルケアも含めた履修指導を行うことを目標に取り組んでいる。「特別研究」を通
じて、目標はおおむね達成されていると思われるが、院生を対象に実施した教学改善ア
ンケートの回収率が低く、効果を検証するに至っていない。今後は各種ハラスメントへ
の対応も想定した改善が必要である。
132703 指導教員による個別的な研究指導の充実度
院生に対して十分な指導時間を確保することを目標に取り組み、おおむねそれは達成
されている。今後は、オフィス・アワーの活用を検討する。
132704 複数指導制を採っている場合における、教育研究指導責任の明確化
通常の研究指導における主たる指導者を明確化し、院生本人はもとより事務室として
もその把握に努めた。この主たる指導者は、論文審査における主査となり、そこに複数
の副査が加わって審査体制が組織される。「特別研究」についても、専修単位で同様の
複数指導体制がとられることをシラバス点検によって確認したが、専修ごとにその運用
には差異もあり、今後は、その実態把握と必要に応じた改善が求められる。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
239/331
132705 研究分野や指導教員にかかる学生からの変更希望への対処方策
執行部が点検を行ったうえでのシラバス修正依頼、任意提出の自由記述形式での教学
改善アンケートの実施、博士学位授与記録簿マニュアルの配付による学位授与記録簿の
適切記述の促進が、主たる FD 活動だが、大学院 FD 委員会を新たに組織し、活動する
までには至らなかった。今後は、大学院教学にとって何が FD に相応しいかの指針を示
したうえで、大学院 FD 委員会を始動させる。
(教育・研究指導の改善への組織的な取り組み コード 1330)
133001 教員の教育・研究指導方法の改善を促進するための組織的な取り組み(ファカルテ
ィ・ディベロップメント(FD)
)およびその有効性
執行部が点検を行ったうえでのシラバス修正依頼、任意提出の自由記述形式での教学
改善アンケートの実施、博士学位授与記録簿マニュアルの配付による学位授与記録簿の
適切記述の促進が、主たる FD 活動だが、大学院 FD 委員会を新たに組織し、活動する
までには至らなかった。今後は、大学院教学にとって何が FD に相応しいかの指針を示
したうえで、大学院 FD 委員会を始動させる。
133002 シラバスの作成と活用状況
教育課程に位置づけられている各授業の役割に応じたシラバスが書かれているかを
執行部が点検し、2009 年度科目の成績評価基準等についての厳正化を行なった。しかし、
こうして作成されたシラバスも、院生が自らの学修計画に応じて適切にそれを活用して
初めて有用なものとなるので、今後は、教学改善アンケートによってその実態を調査し、
必要と認められる場合はその改善の指導を行いたい。
133003 学生による授業評価の活用状況
任意提出の自由記述形式で教学改善アンケートを実施したが、回収率が 6%程度と低
かった。今後は、アンケート項目、回答方法、回収方法等を再検討し、その回収率を高
め、引いては教学改善のための重要な資料としたい。
133004 修了生に対し、在学時の教育内容・方法を評価させる仕組みの導入状況
修了生に対する特別な調査を行わなかった。今後は、その経年的な実施と結果分析を
検討したい。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
240/331
③国内外との教育研究交流
(国内外との教育・研究交流 コード 1331)
133101 国際化への対応と国際交流の推進に関する基本方針の適切性
修了生に対する特別な調査を行わなかった。今後は、その経年的な実施と結果分析を
検討したい。
133102 国際レベルでの教育研究交流を緊密化させるための措置の適切性
国際的な教育研究機関との交流を進め、教育研究の活性化・国際化を図ることを目標
に実施しているが、2009 年度に向けても、新たに広東外語外貿大学東方語言文化学院(中
国)および高麗大学校文科大学(韓国)とは共同学位プログラム(DMDP)協定を、全
北大学校(韓国)とは大学間包括協力協定を、それぞれ締結した。また、ロムアルドデ
ルビアンコ財団(イタリア)と「海外インターンシップの実施に伴う覚え書き」を締結
し、イタリア現地での海外インターンシップを可能にした。さらに、2008 年度「大学院
国際化推進プログラム」の採択を受け、マレーシア科学大学(USM)との共同学位プロ
グラム(DMDP)および海外実習科目の開発のための協議を行った。
133103 国内外の大学院との組織的な教育研究交流の状況
共同学位プログラム(DMDP)をはじめとする組織的国際交流の素地が整いつつある
が、まだ実際の院生の送り出しと受け入れが制度に追いついていない。今後は、語学力
の向上を図る科目の豊富化を図るとともに、奨学金制度の充実の方途も探りたい。
③国内外との教育研究交流
(国内外との教育・研究交流 コード 1331)
133101 国際化への対応と国際交流の推進に関する基本方針の適切性
修了生に対する特別な調査を行わなかった。今後は、その経年的な実施と結果分析を
検討したい。
133102 国際レベルでの教育研究交流を緊密化させるための措置の適切性
国際的な教育研究機関との交流を進め、教育研究の活性化・国際化を図ることを目標
に実施しているが、2009 年度に向けても、新たに広東外語外貿大学東方語言文化学院(中
国)および高麗大学校文科大学(韓国)とは共同学位プログラム(DMDP)協定を、全
北大学校(韓国)とは大学間包括協力協定を、それぞれ締結した。また、ロムアルドデ
ルビアンコ財団(イタリア)と「海外インターンシップの実施に伴う覚え書き」を締結
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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し、イタリア現地での海外インターンシップを可能にした。さらに、2008 年度「大学院
国際化推進プログラム」の採択を受け、マレーシア科学大学(USM)との共同学位プロ
グラム(DMDP)および海外実習科目の開発のための協議を行った。
133103 国内外の大学院との組織的な教育研究交流の状況
共同学位プログラム(DMDP)をはじめとする組織的国際交流の素地が整いつつある
が、まだ実際の院生の送り出しと受け入れが制度に追いついていない。今後は、語学力
の向上を図る科目の豊富化を図るとともに、奨学金制度の充実の方途も探りたい。
④学位授与・課程修了の認定
(学位授与 コード 1332)
133201 修士・博士・専門職学位の各々の学位の授与状況と学位の授与方針・基準の適切性
主査と副査による厳格な審査と公開による口頭試問を経て、2008 年度は、53 名に修
士学位を、14 名に博士学位(甲号 9 名、乙号 5 名)を授与した。
133202 学位審査の透明性・客観性を高める措置の導入状況とその適切性
論文審査の厳格性と透明性を確保するために、主査・副査による複数研究者による審
査、口頭試問・審査の公開を実施した。今後も、学位審査にかかわる内部通報制度やハ
ラスメント相談制度の存在を院生により徹底して周知するなど、可能な改善を試みる。
133203 修士論文に代替できる課題研究に対する学位認定の水準の適切性
修士論文に代替できる課題研究に対する学位認定の水準に関して、研究科としての適
切な基準を設定することを目標に、「高度教養人養成コース」と「高度技能展開コース」
における「修士論文に代わる研究成果」の規程中の条件・用語・表記を修正し、各専修
間で統一をはかった。今後も、現行制度の運用の過程で問題点が認識された時点で、す
みやかな修正を検討する。
133204 留学生に学位を授与するにあたり、日本語指導等講じられている配慮・措置の適切
性
留学生については、これまではおおむね指導教員の裁量で語学面での学修支援がおこ
なわれていたが、国際センターを通じて実施される留学生支援サポートについての広報
も積極的に行った。こうした組織的支援のさらなる拡充を、研究科として要望してゆく。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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(課程修了の認定 コード 1334)
133401 標準修業年限未満で修了することを認めている大学院における、そうした措置の適
切性、妥当性
標準修業年限未満の修了の適切な運用を目標に、大学・研究科内で制度を設けた。本
研究科としては、学部の 4 回生時に大学院科目を受講できる「学内進学プログラム」を
適切に運用し、2008 年度は 3 名の早期修了生を輩出したが、今後、同プログラム受講者
以外にも早期修了を適用する構想はない。
【点検・評価】
目標の達成度
専攻制をとることで目指した、既存分野を超えた魅力ある大学院教学のあり方の創出
という目標は、おおむね達成されていると考えられるが、3 コース制は、在学生から十
分な満足感を引き出せていない。各コースの設計と運営に改善が求められる。
効果があがっている事項
シラバスの点検によって、個別科目が研究科の教育課程の理念との間で齟齬をきたす
ケースは見られなくなっている。また、これまでも問題なく行われてきた論文審査が、
博士学位授与記録簿マニュアルの配布によって、より厳格かつ公正なものとなった。
改善が必要な事項
教学改善アンケートの回収率が低く(6%)、実施にあたって掲げる目的が達成され
ていない。ただ、その少ない回収分の中に、「研究者養成」と「高度技能展開」の 2 コ
ースの在学生からの、他コースとの差別化が十分でないという反応が読まれる。
【改善方策】
長所の伸長方法
専攻制をとることで同じ人文学の徒であるという意識は教員と学生いずれにおいて
も高まったが、各専修にはなおそれぞれの学問分野に相応しい研究・教育の手法があり、
そのなかには研究科として共有されるべきものも少なくない。この共有化を可能とする
のは、ひとえに積極的な FD 活動であるだろう。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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問題点の改善方法
教学改善アンケートについては、質問項目や回答方法、配布と回収の方法に至るまで、
さまざまな改善が考えられる。また、3 コース制の問題点については、「研究者養成コ
ース」を選んだ者の意欲を減衰させないための達成目標も高度な授業科目の開設や、
「高
度技能展開コース」の名にふさわしいツール系科目の豊富化によって、コースごとの特
徴を前面に打ち出すことが必要だろう。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
244/331
(22)理工学研究科
【到達目標】
理 工 学 研 究 科 は 、理 工 学 の 専 門 領 域 に 関 す る 高 度 な 理 論 と 技 術 に 加 え 、創 造
的発見能力を兼ね備えた研究者、高度専門職業人を養成することを目的とす
る。
【現状の説明】
①教育課程等
(大学院研究科の教育課程 コード 1318)
131801 大学院研究科の教育課程と各大学院研究科の理念・目的並びに学校教育法第 99 条、
大学院設置基準第 3 条第 1 項、同第 4 条第 1 項との関連
【目標】
理工学研究科では、大学院学則に定める理念・目的を実現するための教育課程(カリ
キュラム)および研究指導体制を整備している。
博士課程前期課程および博士課程後期課程においては、研究科の理念・目標を実現する
ために、具体的な教育目標を設定しており、以下の指標でその到達度を検証する。
1.理工学研究科の教育課程(カリキュラム)が体系的に構築されているかどうか。
2.理工学研究科の各講義および研究指導科目について、それぞれ到達目標を明確
にしているかどうか。
3.理工学研究科に各講義および研究指導科目の到達目標と研究科・専攻の教育目
標との間に整合性、体系性があるかどうか。
【達成状況】
1.博士課程前期課程および博士課程後期課程の教育課程(カリキュラム)では、
講義科目には配当回生を設定していない。専門科目の系統履修を明確にするため
の取り組みが不十分である。
2.博士課程前期課程および博士課程後期課程の各授業科目については、到達目標
をシラバスに明示している。しかし、研究指導科目の到達目標については、2008
年度はシラバスに明示できていなかった。
3.大学院学則には各専攻の理念・目的を定めておらず、履修要項において具体的
に明示している。各授業および研究指導科目の到達目標が、研究科・専攻の教育
目標と整合性・体系性をもっているかどうかの検証は不十分であり、さらに検証
を進めていく必要がある。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
245/331
【改善に向けた今後の取り組み】
1と3については、現在理工学研究科において理工系大学院課題検討集中ワーキング
を設置し、そのワーキングで検討作業を行っている。策定は専攻・コースごとに行い、
2012 年度を策定期限としている。
2については、2009 年度シラバスにおいて、研究指導科目の到達目標を明示すること
とし、改善を行った。さらに、指導教員全員に対して担当する研究指導科目の到達目標
を明示することについて議論を進めている。早ければ、2011 年度シラバスから順次到達
目標を明示することにしている。
131802「広い視野に立って清深な学識を授け、専攻分野における研究能力又は高度の専門
性を要する職業等に必要な高度の能力を養う」という修士課程の目的への適合性
【目標】
大学院設置基準第3条第1項に定める目的を実現するため、理工学研究科博士課程前
期課程では、下記の教育課程(カリキュラム)の目標を定めている。
科学技術の動向や社会のニーズを踏まえて、教育課程(カリキュラム)の目標を実現
する。そのために、必要に応じて教育課程(カリキュラム)の改革を実施する。
<教育課程(カリキュラム)の目標>
高度化、複雑化する社会状況に対応すべく、総合的かつ学際的な専攻を設置し、高度
な専門的知識を修得するために履修方法を体系化する。異なる価値観を理解し得る広い
視野で物事を見つめられるように、柔軟な発想力を培うための科目を設置する。また、
研究内容を充分に表現できる科学技術に関する表現能力や国際的な視野を養成するた
め、研究科あるいは専攻に共通の科目群を設置する。
【達成状況】
高度化、複雑化する社会状況に対応すべく、総合的かつ学際的な専攻を設置し、高度
な専門的知識を修得するために履修方法の体系化を進めている。しかし、カリキュラ
ム・ツリーや履修モデルなどが履修要項には記載されておらず、学生に対する系統履修
の明示が不十分である。
異なる価値観を理解しうる広い視野でものごとを見つめられるように、柔軟な発想力
を培うための科目を設置している。しかし、開講科目数および受講者数はそれほど多く
なく、研究科としての取り組みは不十分である。
研究内容を十分に表現できる科学技術に関する表現能力や国際的な視野を養成する
ため、研究科あるいは専攻に共通の科目群を設置している。しかし、開講科目数および
受講者数はそれほど多くなく、研究科としての取り組みは不十分である。また、英語で
講義している科目(国際産業工学特別プログラム)については、学生のニーズにしたが
って開講を行うため、学生の受講機会が充分でない。英語開講科目の見直しが必要であ
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
246/331
る。
2008 年度(2009 年度から実施)には以下の通りカリキュラムの見直しを行った。
①文化遺産防災学教育プログラム実施に伴う科目新設と研究分野再編
②STARC 寄附講座の教学内容充実
③コンプライアンスに基づく開設科目の見直し
④研究指導科目のシラバス整備
【改善に向けた今後の取り組み】
博士課程前期課程ついては、カリキュラム改革や系統履修の明示等を進めるため、理
工学研究科において理工系大学院課題検討集中ワーキングを設置し、作業を開始した。
2012 年度を策定期限としている。
131803「専攻分野について、研究者として自立して研究活動を行い、又はその他の高度に
専門的な業務に従事するに必要な高度の研究能力及びその基礎となる豊かな学識を
養う」という博士課程の目的への適合性
【目標】
大学院設置基準第4条第1項に定める目的を実現するため、理工学研究科博士課程後
期課程では、下記の教育課程(カリキュラム)の目標を定めている。
科学技術の動向や社会のニーズを踏まえて、教育課程(カリキュラム)の目標を実現
する。そのために、必要に応じて教育課程(カリキュラム)の改革を実施する。
<教育課程(カリキュラム)の目標>
博士課程後期課程においては、前期課程において修得した基礎的研究能力を活かして、
より独創的な研究を、さらには将来研究指導を行いうる能力を涵養することを目標とす
る。同時に、産業界からの要請にこたえるべく、様々なマネージメント能力を身につけ、
幅広い人間教育を伴う人材育成も目標の1つに加えている。
【達成状況】
前期課程で修得した体系的な高度専門知識と柔軟な発想力を駆使して、指導教員のも
と独自の研究を通して自己研鑽に励んでいる。しかし、博士課程後期課程では、講義科
目を設置していないので、体系的な高度専門知識をさらに深めていくための仕組みが必
要である。
学内外での研究成果の発表や議論を通して、さらなる専門知識や幅広い考え方などを
修得し、研究者、高度専門職業人としての力量を高めている。しかし、学内外での研究
成果の発表は、必ずしも充分ではなく、研究成果発表の機会を増やしていくための支援
が必要である。
2008 年度(2009 年度から実施)には、研究指導科目のシラバス整備を行い、科目内
容の明確化を行ったが、個々の教員が担当する研究指導科目のシラバスが作成できてい
ない。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
247/331
【改善に向けた今後の取り組み】
博士課程後期課程においては、講義科目の設置、研究成果発表支援、個々の研究指導
科目のシラバス作成などを実施するため、現在理工学研究科において理工系大学院課題
検討集中ワーキングを設置し、作業を開始した。2012 年度を策定期限としている。
131804 学部に基礎を置く大学院研究科における教育内容と、当該学部の学士課程における
教育内容との関係
【目標】
1.理工学部および情報理工学部に基礎を置く理工学研究科では、両学部の教育目
標・教育内容を踏まえ、博士課程前期課程の教育目標・教育内容を構築する。
2.各学部で修得した専門科目や研究テーマと関連させて、履修指導を行ない、指
導体制・指導方法を構築する。
【達成状況】
1.学部はそれぞれの専門分野に立脚する学科・学系に基づいて教育がなされてい
る。それに対して、博士課程前期課程では専攻としては、基礎理工学専攻、創造
理工学専攻、情報理工学専攻という3専攻となっている。そのため、各専門分野
の関連がわかりにくくなっているが、各専攻において専門分野を「コース」として
設置することにより、学部教育内容と大学院教育内容が連携する仕組みをとって
いる。
2.博士課程前期課程の履修指導や指導体制・指導方法については、基本的に指導
教員に委ねられているのが現状であり、組織的な取り組みが不十分である。
【改善に向けた今後の取り組み】
1.については、現在の3専攻を見直し、基礎となる学部・学科・学系に連携する
研究科・専攻を設置することを含めて、理工系大学院課題検討集中ワーキングを
設置し、検討を開始した。2012 年度を策定期限としている。
2.については、指導体制・指導方法のあり方を含めて、理工系大学院課題検討集
中ワーキングを設置し、作業を開始した。2012 年度を策定期限としている。
131805 修士課程における教育内容と、博士(後期)課程における教育内容の適切性および
両者の関係
【目標】
1.博士課程前期課程の教育目標・教育内容を踏まえて、博士課程後期課程では高
度職業人(技術者)、研究者を養成するための教育目標・教育内容を構築する。
2.博士課程前期課程で修得した専門科目や研究テーマ(修士論文)と関連させて、
研究指導を行う。
【達成状況】
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
248/331
1.博士課程前期課程は3専攻で構成されており、専攻ごとにそれぞれの専門分
野・研究内容に立脚した教育がなされている。それに対して、博士課程後期課程
では専攻としては、総合理工学専攻1専攻のみとなっている。そのため、前期課
程と後期課程の各専門分野の関連がわかりにくくなっているが、専攻において専
門分野を「型」として設置することにより、前期課程教育内容と後期課程教育内容
が連携する仕組みをとっている。
2.博士課程後期課程の履修指導や指導体制・指導方法については、基本的に指導
教員に委ねられているのが現状であり、組織的な取り組みが不十分である。
【改善に向けた今後の取り組み】
1.については、現在の1専攻を見直し、博士課程前期課程と連携した専攻を設置
することを含めて、理工系大学院課題検討集中ワーキングを設置し、検討を開始し
た。2012 年度を策定期限としている。
2.については、指導体制・指導方法のあり方を含めて、理工系大学院課題検討集
中ワーキングを設置し、作業を開始した。2012 年度を策定期限としている。
131806 博士課程(一貫制)の教育課程における教育内容の適切性
【目標】
1.博士課程(一貫制)であるフロンティア専攻においては、先導的・独創的な学
術研究を推進する研究者・技術者を養成するため、教育課程の目標を定めている。
2.さらに、高度な専門性を身につけ、境界領域および応用領域の開拓を展開する
資質を有する人材を育成することを目標としている。
【達成状況】
当初設定した目標が充分に達成しきれなかったことから、2006 年度に募集停止を行っ
た。現在 7 名が在籍している。
【改善に向けた今後の取り組み】
すでに募集停止をしているので、現在在籍している大学院学生に対して、個別に指導
を行なっている。
131807 博士課程における、入学から学位授与までの教育システム・プロセスの適切性
【目標】
博士課程において入学から学位授与までの教育システム・プロセスを教育理念や人材
育成目標に従って、適切に実施する。
【達成状況】
博士課程では、教育システム・プロセスが、指導教員の判断をもとに実施されており、
研究科として多様なキャリアパスに向けた取り組みを含めて、不十分である。
【改善に向けた今後の取り組み】
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
249/331
現在、理工学研究科において、理工系大学院課題検討集中ワーキングを立ち上げ、ア
ドミッションポリシーの策定やキャリアパス支援制度、学位授与基準の見直しを含めて、
後期課程の教育システム・プロセスの改革に向けた作業を開始した。2012 年度を策定期
限としている。
(授業形態と単位の関係 コード 1319)
131901 各授業科目の特徴・内容や履修形態との関係における、その各々の授業科目の単位
計算方法の妥当性
【目標】
講義科目、演習科目、研究指導科目など各授業科目において、大学設置基準および大
学院設置基準に則して適正に授業時間の単位計算を行うとともに、単位制度を実質化す
るため授業外学習時間を担保する。
【達成状況】
講義科目については、厳格な基準に基づいて授業を開講しており、シラバスにも授業
スケジュールを明示している。
ただし、演習科目、研究指導科目については、厳格な基準に基づいて授業を開講し
ているが、シラバスに開講スケジュールが明示されていないという問題がある。
【改善に向けた今後の取り組み】
演習科目、研究指導科目についても、2012 年度を期限にシラバスに開講スケジュール
を明示し、授業外学習も含めて単位認定を適正に行う。
(単位互換、単位認定等 コード 1320)
132001 国内外の大学院等での学修の単位認定や入学前の既修得単位認定の適切性(大学院
設置基準第 15 条)
【目標】
国内外の大学院等での学修の単位認定に関しては、協定書や覚書を締結し、単位認定
の基準を厳格に定めて運用する。また、入学前単位認定(科目等履修生や他研究科から
の転入学)においても、単位認定の基準を厳格に定めて運用する。
【達成状況】
これらの単位認定については、海外大学の場合は協定書や覚書を締結し、単位認定の
基準を定めている。入学前単位認定についても事前に単位認定基準を定めている。実際
の単位認定にあたっては、この基準にしたがって、執行部が原案を作成し、教授会で承
認を得るという手続きを行っている。
【改善に向けた今後の取り組み】
今後海外大学との協定が広がることが予想されるため、適切な単位認定が行えるよう
運用を厳格に実施していく。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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(社会人学生、外国人留学生等への教育上の配慮 コード 1321)
132101 社会人、外国人留学生に対する教育課程編成、教育研究指導への配慮
【目標】
1.社会人学生に対して、教育課程(カリキュラム)や教育研究指導上において配慮
できるよう対応する。
2.留学生に対して、教育課程(カリキュラム)や教育研究指導上において制度を整
備し、適切な配慮が行えるように対応する。
【達成状況】
1.2008 年度時点では、社会人に対する制度上の配慮はない。しかし、土日・夜間に
指導を行うなど個別教員が配慮している。
2.留学生に対しては、英語基準での留学生に対しては、国際産業工学プログラムと
いう英語で授業を行うコースを設置し、英語開講科目のみによる単位取得で修了で
きる制度を実施している。また、教育研究指導については、主として英語による研
究指導を受け、修士論文も英語で作成するなどの配慮がなされている。ただし、開
講科目の受講機会や教員負担の面から問題もあり、改善が必要である。
日本語基準での留学生に対しても、教育課程(カリキュラム)上の制度はないが、
日本語力の向上のために日本人学生が個別に支援する制度を構築している。
しかし、これらの教育研究指導上の配慮は、やはり指導教員に依存する面が大き
く、研究科全体としての支援体制は不充分である。
【改善に向けた今後の取り組み】
1.社会人に対する配慮に関して、制度的な改善が必要かどうかを検討している。
2.英語基準留学生(国際産業工学特別プログラム)の教育課程(カリキュラム)
については、受講機会を増やすと同時に教員負担を軽減できるように教育課程
(カリキュラム)の見直しを理工系大学院課題検討ワーキングで議論している。
策定期限は 2012 年度である。
また、研究科全体としての留学生支援体制が不充分であるため、教学部の予算
上の支援だけでなく、研究科としての取り組みを強化することを検討している。
(「連携大学院」の教育課程 コード 1324)
132401 研究所等と連携して大学院課程を展開する「連携大学院」における、教育内容の体
系性・一貫性を確保するための方途の適切性
【目標】
「連携大学院」で実施する研修指導が、理工学研究科の教育内容との間で体系性・一
貫性を確保できるよう適切に運用する。
【達成状況】
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
251/331
「連携大学院」における研究指導の実施については、研究指導内容を含めて協定書に
明記をしており、理工学研究科の教育内容との間で体系性、一貫性を担保できるように
運用を行っている。しかし、個々の研究指導の内容が、理工学研究科の研究指導にふさ
わしい形で実施されているかどうかは指導教員にまかされており、研究科としての検証
が充分にできているとはいえない。
【改善に向けた今後の取り組み】
「連携大学院」における個々の研究指導の内容が、理工学研究科の研究指導にふさわ
しい形で実施されているかどうかの検証を研究科として実施する。
②教育方法等
(教育効果の測定 コード 1325)
132501 教育・研究指導上の効果を測定するための方法の適切性
【目標】
1.研究指導については、学位論文審査や口頭試問等を用いて修了時の到達度を検
証する仕組みを構築する。
2.講義科目については、授業アンケート等を用いて、個々の授業の成果を検証す
る仕組みを構築する。
3.教育・研究指導上の効果を測定するために、指標を開発し、その有効性を検証
する(修了生調査や院生実態調査など)。
【達成状況】
1.主査および副査よりなる審査委員会を構成し、この場において論文審査、口頭
試問などを通じた到達度検証を実施している。
2.個々の授業の効果については、その評価は各教員に委ねられているが、研究科
で実施しているコミュニケーションペーパー(授業アンケート)などにより、授
業の効果に関する学生の意見を確認できるようにしている。
3.2008 年度は、11 月に大学院における教育・研究評価アンケートを行い、結果の
集約を通して次年度の課題設定を行ったが、指標の開発についてはまだ確定でき
ていない。
【改善に向けた今後の取り組み】
1.到達度の評価項目および評価基準が必ずしも明確でないため、明確にする。
2.コミュニケーションペーパー(授業アンケート)やインタラクティブシートな
どにより、授業の効果に関する学生の意見を授業の改善につなげられるように取
り組みを進めて行く。
3.教育効果を測定する指標は必ずしも明確になっていないため、別途この点につ
いて検討を進めていく。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
252/331
(成績評価法 コード 1326)
132601 学生の資質向上の状況を検証する成績評価法の適切性
【目標】
1.教育課程(カリキュラム)に位置づけられた各授業の目的および到達目標にし
たがって、シラバスに成績評価法(基準)を明記する。
2.シラバスに明示された成績評価法(基準)について、必要に応じて理工学研究
科の執行部と授業担当者との間で調整をはかることにより、適切性を確保する。
【達成状況】
個々の授業科目における授業目的および到達目標、成績評価基準はシラバスに明記さ
れており、それにしたがって評価されている。ただし、研究指導科目については、個々
の科目についてシラバスでは明示されていない。
シラバスに明示された成績評価法(基準)に関する理工学研究科執行部との調整は充
分になされているとはいえない。
【改善に向けた今後の取り組み】
個々の研究指導科目についても、2012 年度を期限としてシラバスを作成し、成績評価
基準を明記する。
また、シラバスに明示された成績評価法(基準)の適切性を確保するため、理工学研
究科執行部と授業担当者との調整を行うことを検討している。
(研究指導等 コード 1327)
132701 教育課程の展開並びに学位論文の作成等を通じた教育・研究指導の適切性
【目標】
1.教育・研究指導の適切性を確保するため、学生の履修状況や論文作成状況を把
握し、組織的な指導体制を構築する。
2.学生に対して研究会・セミナー等の参加を積極的に推奨し、教育・研究に関す
る学生の学問的刺激を高める。
【達成状況】
1.現時点では、学生の履修状況や論文作成状況の把握は、研究指導教員に委ねら
れており、客観的に把握し、組織的に指導するような体制は構築できていない。
2.学内外で種々の研究会、セミナーなどが開催されており、そこで発表する学生
も多い。参加した学生については、プロジェクト遂行能力およびプレゼンテーシ
ョン能力の向上が見られ、学生の学問的刺激が高まっていると評価できる。
【改善に向けた今後の取り組み】
1.現在、理工学研究科では理工系大学院課題検討集中ワーキングを立ち上げ、研
究科として学生の状況を把握するため、
「学修ドクター」などの制度を検討いる。
2.今後も、研究科として研究会・セミナーへの参加を推奨していく。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
253/331
132702 学生に対する履修指導の適切性
【目標】
1.入学時においては、事務室と連携しながら、学生の学部での(博士課程後期課
程では前期課程での)履修状況を把握するとともに、指導教員・担当職員を含め
た履修指導体制を構築し、適切に実施する。
2.在学中は、授業への質疑応答や日常的な履修指導やメンタルケアも含めたオフ
ィスアワー等を実施し、学生の学習意欲向上をはかっていく。
【達成状況】
1.現時点では、学生の履修状況は、各指導教員が個々に把握しているが、指導教
員・担当職員を含めた履修指導体制は構築できていない。
2.各指導教員を中心に、学生に対する日常的な履修指導やメンタルケアが実施さ
れているが、1 教員あたりの学生数が多いため、すべての学生を指導しきれてい
ないのが現状である。
【改善に向けた今後の取り組み】
学生の履修状況を把握し、適切に履修指導を行うために、「学修ドクター制度」を試
行的に開始することを検討する。この制度により、学生に対するきめ細やかな指導・ア
ドバイスを与えることができる。また、事務室との連携を進め、学生の履修状況を分析
するための仕組みをつくり、履修指導につなげていく。
132703 指導教員による個別的な研究指導の充実度
【目標】
指導教員の時間を確保し、個別の学生に対する研究指導を充実できるようにする。
【達成状況】
現状では教員1人当たりの学生数が多い場合、個別の学生に対する十分な研究指導が
できないことがある。
【改善に向けた今後の取り組み】
指導教員による個別指導の充実度を評価するアンケートを実施するとともに、指導教
員が研究時間を確保しながら、学生に対する研究指導できるよう時間的な保証ができる
ように、学生数に対する教員数比率の改善も含めた提案を行うことを検討する。
(教育・研究指導の改善への組織的な取り組み コード 1330)
133001 教員の教育・研究指導方法の改善を促進するための組織的な取り組み(ファカルテ
ィ・ディベロップメント(FD)
)およびその有効性
【目標】
1.カリキュラムに定める教育目標にしたがって教育・研究指導方法の改善するた
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
254/331
めに、組織的な取り組みを実施し、その有効性を評価する。
2.学生の履修状況や教育指導方法の改善などについて、教員間で意見や情報の交
換ができる場を継続的に設ける。
3.学生の代表と研究科執行部との間で、定期的に意見交換を行う場を設定し、そ
の結果を教育改善に反映できるようにする。
【達成状況】
1.2008 年度は大学院教育・研究アンケートを実施し、その結果にもとづき履修内
容、研究指導、研究環境等に関する状況を改善するため、執行部を中心に議論を
進め、シラバスの充実(研究指導科目についてもシラバスを作成)をはかってい
る。しかし、理工学研究科における組織的な取り組み(FD)については、充分
になされていない。
2.各学科や学系において、個別に教員間で意見や情報の交換を行っているが、理
工学研究科としての取り組みはできていない。
3.研究科懇談会を設定し、学生代表との定期的な意見交換を実施しており、早急
な対応が必要な事項があった場合は可能な限り対策を講じている。
【改善に向けた今後の取り組み】
1.研究科における組織的な取り組み(FD)体制を構築し、その有効性を評価す
るための仕組みを検討する。
2.各学科・学系だけでなく、研究科として教員間で意見や情報交換を行う場を設
定するよう取り組みを進める。
3.研究科懇談会で出された意見については、研究科で共有できるよう各学系とも
連携を深める。
133002 シラバスの作成と活用状況
【目標】
1.大学院で開講している全科目に対して、教育課程(カリキュラム)に位置づ
けられている各授業の目的や到達目標、授業スケジュール、成績評価規準を明記
したシラバスを作成する。
2.学生自らが適切にシラバスを活用するように指導を行う。
【達成状況】
1.講義科目に関しては適切にシラバスが作成されている。ただし、2008 年度は
研究指導科目に関してはシラバスが作成できていない。
2.学生に対しては、次期セメスターの前にガイダンスを開催し、シラバスの活
用について説明・指導を行なっている。
【改善に向けた今後の取り組み】
1.研究指導科目についても、各教員がシラバスを作成し、学生に到達目標や授
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
255/331
業スケジュールを明示するよう検討を進める。
2.学生のシラバスの利用状況を把握し、さらに活用がはかられるようシラバ
スの内容を改善する。さらに、シラバスの活用に関する指導を強化する。
133003 学生による授業評価の活用状況
【目標】
コミュニケーションペーパーや授業アンケートで出された意見(評価)を集約し、そ
の結果を研究科執行部が活用できる仕組みを構築する。学生による意見(評価)につい
ては、必要に応じて執行部会議や教授会等でも議論し、改善に向けた取り組みを行う。
【達成状況】
各授業に関する学生からの意見は、コミュニケーションペーパーなどによって各教員
により集約されている。ただし、大学院における授業における受講者は少ないケースが
多く、学生が意見を述べにくいという状況もある。また、現時点では、学生の意見の活
用は各教員によってなされ、研究科としての活用はできていない。
【改善に向けた今後の取り組み】
授業に対する学生からの意見を集約するやり方や研究科としての活用方法を検討し
ていく。
③国内外との教育研究交流
(国内外との教育・研究交流 コード 1331)
133101 国際化への対応と国際交流の推進に関する基本方針の適切性
【目標】
地球規模での学びとキャンパスの国際化を進め、理工学研究科における国際交流を推
進する。
【達成状況】
・2007 年度∼2009 年度に大学院 GP「理工国際プログラム」を実施し、合計約 100
名の学生の英語コミュニケーション力の向上、海外派遣を実施した。英語力は TOEIC
スコアで平均約 100 点の上昇が見られた他、英語でのプレゼンテーションを積極的
に行う院生が増加した。また、海外派遣では、原則として一人一カ所、3 週間∼4
ヶ月の期間の派遣を実施し、国際力の涵養を図った。
・海外の大学院との連携では、カナダの UBC との連携による研究留学を実施した。
大学院 GP においても海外の大学研究室に院生を派遣している。
・国際産業工学特別プログラムを実施し、毎年二十数名の英語基準による留学生を
受け入れている。
・教員の国際交流については、制度的に利用しづらい面もあり、充分とはいえない
【改善に向けた今後の取り組み】
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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・大学院 GP プログラムを文科省補助終了後も大学独自プログラムとして実施する。
・英語基準(国際産業工学特別プログラム)留学生や日本語基準留学生数を増加さ
せ、留学生との交流機会をさらに拡大していく。
・教員の国際交流を推進する。
④学位授与・課程修了の認定
(学位授与 コード 1332)
133201 修士・博士・専門職学位の各々の学位の授与状況と学位の授与方針・基準の適切性
【目標】
1.大学院学則に定める人材育成目標、教育課程(カリキュラム)に定める教育目
標にしたがって、単位認定および論文の評価を適切に実施し、学位授与を行う。
また、博士号に関しては、学位論文作成指導を含めた指導体制を充実させ、研究
水準の向上をはかるとともに、博士課程後期課程学位取得者を増加させる。
2.学位の授与方針・基準を適切に定め、その方針・基準にしたがって運用する。
【達成状況】
1.理工学研究科全体では、修士学位については、在籍者の約9割が標準修業年限
(2年)で学位が授与されている。博士学位については、在籍者の約2割が早期
(1年以上3年未満)で、約4割から5割(3年)が標準修業年限で学位が授与
されている。この学位授与状況についてはおおむね適切である。
2.学位授与方針・基準は、理工学研究科の規程および内規にもとづき、適切に定
められている。しかし、現在は学生に対して学位授与基準を公開できていない。
【改善に向けた今後の取り組み】
1.博士学位については、在籍者数が減少しているため、学位授与数がここ数年低
迷している。今後は、博士課程後期課程在籍者数を増加させる取り組みが必要で
ある。
2.学位授与方針(学位申請基準)については、2010 年度から学生に公開する予定
である。また、学位授与基準を見直しについては、理工系大学院課題検討ワーキ
ングにおいて議論をしている。2012 年度を策定期限としている。
133202 学位審査の透明性・客観性を高める措置の導入状況とその適切性
【目標】
学位審査においては、主査・副査などの複数研究者による審査、口頭試問、審査の公
開などを実施することにより、学位審査の透明性・客観性を高める。
【達成状況】
学位審査の透明性・客観性を高める取り組みをしており、学位授与基準も定められて
いるが、実際に学位授与にふさわしいかどうかの判断基準は明確でない。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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【改善に向けた今後の取り組み】
理工系大学院課題検討ワーキングにおいて、学位授与にふさわしいかどうかの判断基
準をどのように設定するかを検討する作業を開始している。
(課程修了の認定 コード 1334)
133401 標準修業年限未満で修了することを認めている大学院における、そうした措置の適
切性、妥当性
【目標】
博士課程後期課程において、標準修業年限未満の修了するための要件を明確にし、適
切に運用する。
【達成状況】
博士課程後期課程においては、学位授与基準および学力基準を満たせば、標準修業年
限未満で修了することができる。しかし、標準修業年限で修了を認める明確な評価基準
がないのが現状である。
【改善に向けた今後の取り組み】
標準修業年限未満の修了を認める明確な評価基準を設定することを検討する。
【点検・評価】
目標の達成度
理工学研究科では、大学院学則に定める教育研究上の目的を達成するために、その目
的を具体化した教育目標・教育内容を履修要項等に明示している。
教育目標・教育内容に沿って、教育課程(カリキュラム)の体系化し、各科目の到達目
標を明確化するなどの取り組みを進めており、2008 年度においては目標が一定到達でき
ている。
しかし、博士課程前期課程および後期課程の専攻の枠組み(学部と前期課程、前期課
程と後期課程の関連性)、講義科目の設置と受講者の関係、系統的履修の明示、研究指
導科目のシラバスの作成、学位授与基準の公開等において課題があり、今後はそれらの
課題を解決していく取り組みが必要となっている。
その意味では、目標の達成度は一定の前進はありつつも、まだ不十分な点が多いと評
価している。
効果があがっている事項
2008 年度には総合理工学院に理工学研究科自己評価委員会を設置、2009 年度には理
工系大学院課題検討集中ワーキングを設置し、各課題に向けた取り組みを進めるための
仕組みを構築した。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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また、学生のニーズを踏まえたカリキュラムの一部見直しやコンプライアンスに関わ
る見直しを進めることができた。
改善が必要な事項
・博士課程前期課程および後期課程の専攻の枠組み(学部と前期課程、前期課程と
後期課程の関連性)の見直し
・前期課程における系統的履修の明示、研究指導科目のシラバスの作成
・後期課程における学位授与基準の公開、学位授与基準の見直し、キャリアパス支
援制度の実施
【改善方策】
長所の伸長方法
理工学研究科は規模が大きく、教育課程(カリキュラム)や研究指導体制、研究施設
も充実している。この長所を伸長させるためには、大学院担当体制を充実および研究施
設条件を改善が不可欠である。
また、理工系の課題を全学に提起し、検討するための仕組みを構築する必要がある。
問題点の改善方法
改善が必要な事項の多くは、理工系大学院課題検討集中ワーキングで議論している。
今後、ワーキングでの議論を具体化し、これらの問題点を改善していくためには、執行
部と理工系各学部・学科との調整機能が不可欠であり、組織の運営方法の見直しを進め
ていく必要がある。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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(23)国際関係研究科
【到達目標】
国際関係研究科は、国際関係分野における専門的研究者と高度な知識を備えた専門的
職業人の養成を目的とし、創設以来、時代の変化や多様なニーズに対応し、様々なカリ
キュラムの改革や研究指導体制の改善を鋭意行なってきた。このうち、2000 年以降の大
きな改革としては、
「グローバル・ガバナンス」
「国際協力開発」
「多文化共生」
「Global
Cooperation Program」の 4 プログラム制への改革(2003 年度)や、国際機関ワークシ
ョップの立ち上げ(2005 年度)などがある。また、2007 年度には、GCP 関連科目の充
実と留学生向けの英語による専門演習(アドバンスト・セミナー)の設置、DMDP 提
携先の拡充、他大学や他学部出身院生を対象にしたレメディアル科目の設定、博士後期
課程における複数指導体制の強化等の取り組みを行なった。2008 年度には、広島大学と
共同申請して文部科学省に採択された「大学院国際連携プログラム」に基づき、INU 加
盟大学との間での DMDP の締結交渉を進め、慶煕大学と DMDP を締結し、現在も INU
加盟 2 大学と交渉中である。2010 年度には、既存の 7 つの DMDP に加え、新たに 2 つ
の大学院と DMDP を締結する予定で、留学生の送り出し・受け入れがさらに拡大する
見通しである。また、2008 年度より、本研究科の「国際協力の即戦力となる人材育成プ
ログラム」が文部科学省の「大学院教育改革支援プログラム」に採択されている。
2009 年度は、こうした流れを受け、国際関係研究科は一層の国際化を進めていきたい。
また、GCP を通じて受け入れている院生の数も増加し続けており、コースとしての体
系性や講義内容の充実が求められている。現に、国際関係研究科の院生を対象に実施し
たアンケートでは、指導教員によって行なわれている専門演習ならびに論文指導に関し
ては、総じて高い満足度が見られるものの、各コースのカリキュラムの構成や体系性、
演習科目が 1 単位であることに伴うコースワーク負担の重さなどへの不満が示されてお
り、特に GCP 所属の院生の間にこうした不満が強い。また、国際化推進の観点からは、
6 年目に入る国際機関ワークショップの充実も重要課題といえる。
【現状の説明】
①教育課程等
(大学院研究科の教育課程 コード 1318)
131801 大学院研究科の教育課程と各大学院研究科の理念・目的並びに学校教育法第 99 条、
大学院設置基準第 3 条第 1 項、同第 4 条第 1 項との関連
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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【実態】
本研究科は、博士課程前期課程(以下、前期課程という。)ならびに博士課程後期課
程(以下、後期課程という。)を設け、それぞれの入学定員は 60 名、10 名となっている。
前期課程の中核理念は、国際的なガバナンス問題、国際協力分野、異文化理解・多文化
共生分野において学問と実務教育の統一的推進を図ることである。社会的な関係でとら
えると、今日の国際社会では、国際機関職員、外交官、国際的ビジネスマン、国際分野
の研究者、国際NGO活動の担い手など多くの分野で修士学位取得が最低条件として認
知されつつあり、本課程はこの要望(課題)に応えるものである。前期課程のみで修了
する院生に対しては、実務経験と留学体験を組み合わせることで、社会的に有為な人材
育成を図っており、後期課程進学希望者に対しても、専門研究能力の育成に重点を置き
つつも、同様の実務経験と留学体験の組み合わせを可能とする総合的カリキュラムを提
供している。
また、後期課程については、国際的なガバナンス問題、国際協力分野、異文化理解・
多文化共生分野において、高度な専門的研究力量を養成するとともに、今日の国際社会
で国際機関職員、外交官、国際的ビジネスマン、国際分野の研究者,国際NGO活動の
担い手になりうるだけの実務的力量をかねそねた人材をできうる限り3年間で養成し、
博士学位を授与できる研究・教育体制を構築している。
(1)前期課程の概要
上記の理念のもと、前期課程においては、
① 複眼的な国際感覚と現代国際社会に対する専門知識を基にした深い分析力洞
察力
②すぐれた外国語運用能力と情報活用能力
を総合的に併せ持つ院生養成を目指し、2003 年度には「グローバル・ガバナン
ス」「国際協力開発」「多文化共生」「Global Cooperation Program」の 4 プロ
グラム制への改革を行い、2005 年度には国際機関ワークショップを立ち上げた。
また、2007 年度には、GCP 関連科目の充実と留学生向けの英語による専門演
習(アドバンスト・セミナー)の設置、DMDP 提携先の拡充、他大学や他学部出
身院生を対象にしたレメディアル科目の設定、博士後期課程における複数指導
体制の強化等の取り組みを行なった。2008 年度には、広島大学と共同申請して
文部科学省に採択された「大学院国際連携プログラム」に基づき、INU 加盟
大学との間での DMDP の締結交渉を進め、慶煕大学と DMDP を締結し、現在も
INU 加盟 2 大学と交渉中である。次年度以降については、既存の 7 つの DMDP
に加え、新たに数校の大学院と DMDP を締結すべく交渉を行っており、留学
生の送り出し・受け入れがさらに拡大する見通しである。また、2008 年度より、
本研究科の「国際協力の即戦力となる人材育成プログラム」が文部科学省の「大
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
261/331
学院教育改革支援プログラム」に採択され、こうした人材育成のためのプログ
ラム開発に乗り出したところである。
なお、3プラス1プログラム制の概要は以下のとおりである。
1) グローバル・ガバナンス・プログラム
冷戦の終焉により、それまで二分されていた世界は文字通りグローバル化し、情
報革命や世界市場の自由化によって世界の統合化の流れはますます加速している
が、グローバリゼーションは平和の増進や経済の拡大を進める一方で、地球規模の
危機を発生させるリスクをはらむようになった。その結果、情報や金融システムの
崩壊、核兵器の拡散と核戦争の可能性の増大、環境や生態系の破壊、地域的限定の
ないテロ事件の発生等の問題が世界各地で生じている。
「グローバル・ガバナンス・
プログラム」は、そうした問題に対するグローバル・ガバナンスの確立・維持の研
究に焦点を当てたものである。
2) 国際協力開発プログラム
東西関係の消滅は、南北間の協力の重要性を高めることにもなったが、一方で、
今日に至っても貧富の格差は縮小しないばかりか、情報革命などによっていっそう
拡大する様相すら示している。森林伐採など貧しさゆえの環境・生態系破壊の問題
も重要となってきているほか、開発の最低条件として社会の安全確保が唱えられる
ようになり、予防外交や人間の安全保障という研究領域も誕生し始めている。こう
した問題を踏まえたプログラムが「国際協力開発プログラム」である。
3) 多文化共生プログラム
冷戦の終焉は一旦イデオロギー対立の時代に終わりを告げたが、それによって
人々は新たな精神的拠り所として民族・宗教・文化といった、ある意味では伝統的
で、属地的、血縁的なアイデンティティを求めるようになった。残念ながらその1
つの結果は民族対立や地域紛争の頻発である。こうした文化的な軋轢は世界中で数
限りなく発生しており、グローバル化しているからこそ文化間の共生が困難になっ
ている側面もある。果たして、世界は多様な文化を共生させることができるような
了解を創り出すことができるのか。そうした可能性を研究するのが「多文化共生プ
ログラム」の課題である。
4) Global Cooperation Program(GCP)
前述の3プログラムに加えて「Global Cooperation Program(GCP)
」では、
学生構成のいっそうの国際化に対応するために英語による専門科目のみの履修を
通じて前期課程を修了できるようにしている。また、GCP以外のプログラムに所
属する院生に対しても、原則として英語力養成の観点からGCPで開講される科目
より4単位以上を登録することを義務づけるようにしている。
(2)後期課程の概要
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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前期課程の基礎的研究力量の養成を踏まえつつ、そこで習得した学際的・総合的研究
能力と実務能力をいっそう展開すべく、連携的・体系的・履修システムを構築している。
また、入学時点から3年間の博士学位取得計画を作成させ、毎年1回研究報告体制のも
と、専任指導方式と集団的な指導方式を有機的に組み合わせた研究指導を行っている。
【これまでの到達点】
3プラス1プログラム制の展開によって、一つのディシプリンに偏ることなく、様々
なディシプリンから「グローバル・ガヴァナンス」
「国際協力開発」
「多文化共生」の課
題に迫るべくカリキュラムを組んでいる。その結果、複眼的な国際感覚と現代国際社会
に対する専門知識を基にした分析を行う修士論文が執筆されており、そのことは、2008
年度の修士論文タイトル一覧(別紙)からも見て取れる。
また、日本語プログラム所属の院生に対しても、英語プログラムである GCP 科目 2
科目を登録必修としている。これは、英語によって専門科目を履修することで、単なる
語学力の向上にとどまらず、英語によって専門科目を受講できる高い英語運用能力の獲
得に資することを目的としている。約 70%が 4 単位以上を登録し有効評価を得ており、
登録必修制度は有効に機能している。
また、こうした3プラス1プログラム制の展開と、国際機関を中核とする国内外イン
ターンシップを広範に展開することで、高度な学術能力と実務能力の結合を図っている。
この国際機関でのインターンシップ制度や本研究科におけるデュアル・マスター・ディ
グリー・プログラムなどを組み入れたカリキュラムは、全国でも初めての試みとして、
学内からはもちろん学外からも高い評価を受けている。インターンシップの派遣に際し
ては、①事前学習の徹底、②派遣期間中の定期的な報告の義務づけ、③派遣後での、派
遣先の監督者からの実習実績に関する評価の実施、等を行っている。なお、派遣先の決
定に関しては、院生の希望や語学力などのほか研修先からの要望も十分に考慮している。
これらの結果、派遣後の院生の満足度や派遣先での評価はきわめて高い。国際機関ワー
クショップの成果とも相まって、国際機関への就職にまでつながるケースも見られる。
【問題点】
国際関係学の研究対象は世界であるが、その世界そのものが変化を続けている。そう
した変化に応えていくためには、次々と発生してくる問題群を的確に分析・解明する新
たな取り組みを不断に進めていく必要がある。特に、人材の養成面においてはより高度
な専門知識を備えた職業人の養成に努め、新しい問題群に対応できる研究者の養成に努
めていくことが必要である。この点に関連して、現状では以下のような問題点がある。
学部卒院生は、さまざまな学部からの出身となっている。これは、幅広い学問的・社
会的な興味関心を共有することには役立っているものの、基礎的知識や研究の前提条件
の面で不均衡が見られる点。また、一部の進学者のあいだに学力の不足が見られる。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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法律・人文社会諸分野を含む幅広いカリキュラムを展開する必要上から、法学研究科、
社会学研究科、経済学研究科等と綿密に連携をとっている。管理運営については、学部・
大学院一体となった管理運営を行うべく 2003 年に大学院運営委員会を解体した経緯が
あるが、この間大学院独自の課題・問題が頻発するようになった。大学院独自の教育プ
ログラム(大学院 GP)にも複数採択されるなど、大学院業務は増加の一途にある。大
学院の管理運営体制については、かつての大学院運営委員会以上の業務を担っているこ
とに鑑み、しっかりとした運営体制を再構築することが喫急の課題である。
インターシップ先の拡大に努めているとはいえ、まだまだ学生の高い要望に十分応え
きれるだけ開拓しきれていない。前期課程修了後に社会に巣立つ院生に好評なインター
ンシップの内容が、後期課程に引き続き進学を希望する院生の研究テーマにかならずし
もマッチしないケースが散見される。
前期課程では、前期課程修了希望者と後期課程進学希望者の総合的カリキュラムを展
開しているため、実際の授業現場では、両者の指向・関心に多少のずれが見られる。
【次年度以降の取り組み】
日常的・定型的業務に関しては執行委員会的な意味をもつ運営委員会(7名程度で組
織)を改めて組織し、重要な決定事項は研究科横断的な国際関係研究科委員会にて議論
する。
131802「広い視野に立って清深な学識を授け、専攻分野における研究能力又は高度の専門
性を要する職業等に必要な高度の能力を養う」という修士課程の目的への適合性
今日の国際社会では、国際機関職員、外交官、国際的ビジネスマン、国際分野の研究
者、国際NGO活動の担い手など多くの分野で修士学位取得が最低条件として認知され
つつあり、本研究科前期課程はこの要望(課題)に応えるものである。前期課程のみで
修了する院生に対しては、実務経験と留学体験を組み合わせることで、社会的に有為な
人材育成を図っており、後期課程進学希望者に対しても、専門研究能力の育成に重点を
置きつつも、同様の実務経験と留学体験の組み合わせを可能とする総合的カリキュラム
を提供している。
達成度については、実際の進路などのデータが必要か?
国際協力の即戦力となる人材育成をさらに強化すべく、現在「国際協力の即戦力とな
る人材育成プログラム」(文部科学省の「大学院教育改革支援プログラム」に採択)を
展開しており、今後も一層こうした人材育成を強化していく。
131803「専攻分野について、研究者として自立して研究活動を行い、又はその他の高度に
専門的な業務に従事するに必要な高度の研究能力及びその基礎となる豊かな学識
を養う」という博士課程の目的への適合性
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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後期課程については、国際的なガバナンス問題、国際協力分野、異文化理解・多文化
共生分野において、高度な専門的研究力量を養成するとともに、今日の国際社会で国際
機関職員、外交官、国際的ビジネスマン、国際分野の研究者,国際NGO活動の担い手
になりうるだけの実務的力量をかねそねた人材をできうる限り3年間で養成し、博士学
位を授与できる研究・教育体制を構築している。
ここ数年は、定員充足を達成しているが、それだけに各学年のよりきめ細やかな指導
体制を確立し、研究指導を強化していくことが重要である。
131804 学部に基礎を置く大学院研究科における教育内容と、当該学部の学士課程における
教育内容との関係
【実態】
本研究科は国際関係学部に基礎を置き、学部での教学を基礎とする応用的教学を研究
科で展開するというように、学部の教学内容と研究科の教学内容との有機的連携を強く
打ち出している。具体的には、それぞれがイシュー(問題群)別のプログラムを編成し、
かつ、学部のもつプログラムに対して、さらに高い専門性を付けるべくプログラムが研
究科で設置されている。また、学部3回生終了後の飛び級制度の導入や 2003 年度から
行われている飛び級AO入学試験、2008 年度から行われている早期卒業制度の新規導入
といった学部と研究科の連携の推進、大学院入学前教育の充実を進めている。
また、国際関係学は学際的学問領域であるため、国際関係学部に基礎を置く一方で、
諸研究科の支援を受けて法律・人文社会諸分野を含む幅広いカリキュラムを展開してい
る。
【長所】
飛び級入学試験方式、またそのAO入学試験方式、早期卒業制度の導入は、今日の社
会で求められている高度に専門化した知識を5年間の教育で取得する点において大き
なインパクトをもつ。
【問題点】
教育面での学部と大学院の連携強化は進展しつつあるものの、そのポテンシャルを最
大限生かすためにも、5 年一貫的な教育プランを整備していく必要がある。
また、飛び級制度、早期卒業制度を利用して入学した院生に対するキャリア支援の新
たな展開が求められている。
【改善の方法】
本学キャリアセンターと連携を図って、至急、キャリア支援の新たな展開を開拓する。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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131805 修士課程における教育内容と、博士(後期)課程における教育内容の適切性および
両者の関係
【実態】
博士後期課程では、前期課程の基礎的研究力量の養成を踏まえつつ、そこで習得した
学際的・総合的研究能力と実務能力をいっそう展開すべく、連携的・体系的・履修シス
テムを構築している。
【長所】
前期課程で養成した基礎的研究力量を土台とし、後期課程では、博士論文執筆に向け
た研究指導を中心に据えて、博士論文執筆に専念できている。
【問題点】
他大学・他研究科から進学してくる学生が増加傾向にあるが、こうした学生に対して
は、前期課程の科目等を履修するよう指導をしているが、体系的な履修システムが十分
に構築されているとは言い難い。
【改善の方法】
後期課程から新たに国際関係研究科に進学してきた学生を対象とするカリキュラム、
研究指導体制の在り方について、検討を進めていく。
131807 博士課程における、入学から学位授与までの教育システム・プロセスの適切性
【実態】
後期課程への入学は、一般入学試験、GCP 修了者入学試験、社会人入学試験、外国
人留学生入学試験によって受け入れている。本研究科の前期課程3月末修了見込みの者
で引き続き後期課程に進学しようとする者については、各入学試験に課せられる試験科
目のうち口頭試問を免除している。その際、修士論文の審査が同時に後期課程進学審査
の一部を兼ねることとされており、これは、後期課程における研究課題と残された問題
点の明確化に役立っている。なお、本研究科の前期課程在籍者の約1割が後期課程に入
学している。
学位授与にいたる研究指導は複数指導体制が敷かれている。入学者は、後期課程入学
後3年間の博士学位取得計画を作成し、毎年の研究報告会での報告義務を負うことにな
る。博士学位申請前には事前報告会を持ち、審査過程は外部審査委員を含めた公開審査
としている。例年数名の博士学位取得者を輩出している。
【長所】
複数指導体制、および集団的研究報告体制によって、研究科の全教員が一人一人の院
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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生の成長の具合を確認する機会をもっている。また、本研究科前期課程在学生で後期課
程への進学を希望するものについては、前期課程1回生の時点から毎年積み上げ方式で
研究報告会での報告義務を負うことによって、研究成果の着実な蓄積を可能にしている。
【問題点】
国際関係学が学際的学問領域であるため、一人の教員の専門指導力量を越えるテーマ
が設定された場合、それにかかわる教員が有機的連携体制をとる点でまだ経験の蓄積が
不足している。また、ここ数年定員が充足される中で、後期課程院生に対して一層のき
め細やかな指導が必要となってきている。
【改善の方法】
複数指導教員制度に加えて、研究科全体としての研究指導を強化していくために、学
会方式の導入が検討の俎上に上がっている。また、よりきめ細やかな研究指導を実現す
るべく、後期課程の院生に対して学年ごとの指導の在り方についての整理・検討を進め
ている。
(授業形態と単位の関係 コード 1319)
131901 各授業科目の特徴・内容や履修形態との関係における、その各々の授業科目の単位
計算方法の妥当性
【実態】
講義科目は 2 単位、特別演習、および Advanced Seminar は 1 単位、論文指導 4 単位
となっている。
【問題点ならびに改善の方法】
現在、特別演習、Advanced Seminar が 1 単位となっているため、コースワーク負担が
重いという指摘がなされている。本来、演習科目は 2 単位にすべきものであるため、こ
れら科目を 2 単位科目とする方針である。あわせて、講義時間を設けていない「論文指
導」を廃止し、それに伴い修了要件の修正を行う。
(単位互換、単位認定等 コード 1320)
132001 国内外の大学院等での学修の単位認定や入学前の既修得単位認定の適切性(大学院
設置基準第 15 条)
【理念・目的】
学際領域の拡大に伴い、単位互換制度は学生にとっては幅広い知見を獲得するうえで
有効であり、また、各大学院間の教育・研究交流の促進につながると考えている。
本研究科では、大学院共通記述にある概要にのっとって以下の運用を行っている。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
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【実態】
すでに述べたとおり、大学院における研究・教育および教育課程をいっそう高度化す
ることを目的にして、5 カ国 7 大学と大学院教育に関する共同学位協定(デュアル・マ
スター・ディグリー・プログラム:DMDP)を締結している。この制度に基づき本研究
科の院生は、最短2年間で本研究科と留学先の大学院双方の修士学位を取得することが
できる。本研究科の院生は、これまで 37 名がこの制度により二つの大学院の修士号を
得ている。また、「外国を含む他大学院等で履修した科目の単位認定」および「関西四
私大の単位互換」については大学院共通記述で示す内容を運用している。
【長所】
単位互換制度は、幅広い知見を獲得する上で有効であり、とりわけ最短2年で立命館
大学大学院と留学先の大学院両方の修士学位の取得が可能となる DMDP は、画期的プ
ログラムである。
【問題点】
最短2年間で両大学の学位を取得するということで、かなりハードなプログラムとな
っており、最後の修士論文の執筆や筆記試験を残して帰国する学生も存在する。また、
関西私大の単位互換制度については、送り出し学生数に比べて、受け入れ学生数が大幅
に超過する状況が続いている。これは、国際関係研究科が魅力的なカリキュラムを提供
している証左でもあるが、四私大の学費が相当程度に異なる中で、このまま送り出しと
受け入れのアンバランスを放置してよいのか検討する必要がある。
【改善の方法】
DMDP については、出発前教育をさらに充実して、十分な予備知識と準備を行う機
会を院生に与える必要がある。また、英語力の充実のためのカリキュラムの強化も課題
である。関西四私大の単位互換制度については、四私大全体にとって魅力ある制度の在
り方について今一度検討する必要がある。
(社会人学生、外国人留学生等への教育上の配慮 コード 1321)
132101 社会人、外国人留学生に対する教育課程編成、教育研究指導への配慮
【実態】
社会人院生に対しては、平日 18:00 以降の開講(6時限目、7時限目)
、土曜日の授
業、夏期・冬期の集中講義、さらには研究指導のスクーリング制などを実施して、どの
コース科目も万遍なく履修できる体制を構築している。加えて、2007 年度より ICT 時
代に対応した開講形態を追求する目的で e-learning を導入している。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
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ま た 、 英 語 に よ る 専 門 科 目 の 履 修 の み で 修 士 学 位 の 取 得 が 可 能 な 「 Global
Cooperation Program(GCP)」を 2003 年度に設置するなど、外国人留学生、帰国子
女、国際機関研修生の受入態勢が完備している。
【長所】
上述の便宜を図ることによって、国際関係の実務に携わる社会人院生が本研究科に入
学してきている。これは、一般院生にとっても教学上の大きな刺激となっている。
また、GCP開設によって、中国、カンボジア、インドネシアなど、多彩な地域・国
からの院生を迎え入れるなど、国際関係ならではの教学環境がさらに進んでいる。
【問題点】
社会人院生が、研究機関、教育機関(中学高校等)に所属する者、あるいは入学後退
職する者に偏った構成となっているなど、多様な院生の受け入れに向けてさらなる取り
組みが必要である。
また、Global Cooperation Program(GCP)に参加する学生の間で学生の学力にか
なりの幅があること、科目の体系性が十分とは言えない点は課題である。
【改善の方法】
社会人については、京都駅前キャンパス・プラザや、大阪淀屋橋にある立命館アカデ
メイア@大阪の活用などを通じて、一般サラリーマンをも対象に含めた広い社会人リカ
レント・プログラムを開発する。また、外国人留学生に関しては、GCP 科目のさらなる
充実を図るとともに、学部で国際関係学部を十分に学んでこなかった院生に対するレメ
ディアル教育の在り方についても検討を行う。
②教育方法等
(教育効果の測定 コード 1325)
132501 教育・研究指導上の効果を測定するための方法の適切性
【実態】
1. 研究指導の概要
入学時の研究室訪問期間の設定と懇談、海外留学・インターンシップ決定の際の当
運営委員による個別面談・審査を通じて、きめ細かな個別&集団指導体制が構築され
ている。
週 1 回の特別演習では、参加院生に共通な文献・資料の輪読と、各自の準備レポ
ート・論文の検討会が組み合わされており、その成果が秋の研究報告週間へとつな
げられ、研究科全体の集団指導体制と有機的に結び付けられている。
実務教育に重点を置く院生に対しては、前期課程を対象とするインターンシップ体験
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Ⅲ.教育内容・方法
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に基づく「インターンシップ報告書」の提出・審査をもって修士論文に代えている(詳
細は<学位授与の状況と、授与方針・基準について>の「2. 修士論文に代替できる
課題研究に対する学位認定の水準の適切性」を参照)。こうすることで、多様な志向
性を持った院生の要求に応えている。
2. 論文指導
研究に対する意欲と論文の質を向上させる目的から、研究レポート(M1レポート
の構想発表と提出)を義務化している。また、3月修了予定者に対しては、修士論文
提出数ヵ月前に他の講義を休講にしたうえで構想発表週間を設定し、指導教員以外の
教員や他の院生から幅広く講評を得て、それを論文に反映させるようにしている(9
月修了予定者にも同様の発表機会を設定)。さらに、院生の研究動機を高める観点か
ら、優秀修士論文および優秀研究レポート(M1研究レポート)を選定したうえで、
院生論集に掲載して公表できる機会を提供している。
指導教員の決定については、研究テーマと指導教員との間に事後的な齟齬が生じな
いように、指導を希望する教員との間で事前に面談を行えるよう面談週間を設定して
いる。面談後、院生は指導教員について第3希望まで申し出るとともに、特定教員に
学生が集中するときめ細かな指導が行えない恐れが生じるため、一人の教員が指導で
きる院生の数についてガイドラインを設定している。さらに、教員の留学予定や定年
などの異動情報については、ホームページなどを活用して入学前の段階から周知徹底
するように努めている。
博士論文の審査に関しては受理および本審査の二審査体制を確立し、それぞれの審
査の役割分担を明確化することによって、審査の透明化と公平化を実現するようにし
ている。また、論文提出前の公開報告を義務化するとともに、研修生の学位申請要項
についても詳細に整備して、取得機会の拡大を図っている。この結果、毎年定期的に
学位取得者が現れるようになったほか、取得後の進路についても専任教員として採用
されるケースが着実に増えている。
なお、前述の理念・目的を実現し、その執行状況を不断に点検するために研究科主
事および 3 名の副主事から成る研究科ミーティングを組織し、年間 30 回程度の頻度
で定期的に会議を開催して研究科の業務を執行している。また、弾力的かつ効率的な
執行を図るために、各副主事には個別に入学試験、インターンシップ、広報、海外大
学、留学などの業務を割り当て、全体を研究科主事、および副主事が総括する体制を
整えている。さらに重要事項については、研究科を担当する専任教員全員から成る研
究会委員会を定期的に開催し、審議のうえ決定している
3. 研究指導に対する教員のかかわり
入学前教育における事前面接の実施、実務経験(インターンシップ)
・海外提携大学
院への留学・共同学位制度への参加等を行う際の担当運営委員による早期の面接実施、
1回生レポート作成(前期課程1回生秋の時点)のための研究報告週間における複数
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
270/331
コメンター制、2回生秋には修士論文構想報告会の複数コメンター制、後期課程院生
の毎年の研究報告会での複数コメンター制など、節目に個別面談・審査方式を貫いて、
一人一人の院生にきめの細かな指導を行い、コースごとのカリキュラム内容の具体化
に努めている。
また、国際関係学の学際的な学問性格から、入学院生の希望研究テーマは多岐に及
んでいる。したがって、4月第1週のオフィスアワーを集中利用して、研究指導教員
の適切な選択を促している。研究指導は週 1 回の特別演習を基本にしているが、修士
論文、博士論文執筆時には、それぞれの教員が特別時間による指導体制を組んで指導
を行っている。
4. 研究分野や指導教員にかかる学生からの変更希望
テーマ変更の際には、研究科主事の面接を踏まえて柔軟な担当変更を可能にしてい
る。
【長所】
成立以来 10 数年の教学蓄積に基づいて、きわめて体系的にカリキュラムや研究指導
体制が構築されている
毎年 50 名におよぶ前期課程入学者をマスとしてとらえるのではなく、各講義以外に
できる限り個別面談の機会を設けて一人一人の院生にきめの細かな指導を行い、コース
ごとのカリキュラム内容の具体化に努めている。
【教育・研究指導上の効果を測定するための方法】
個々の科目の教育効果の測定は、定期試験、レポート指摘をはじめ、各種のレポート、
プレゼンテーション、中間試験により、個々の教員により測定されている。
また、こうした個々の科目の学習を基礎として執筆する修士論文指導(研究指導)の効
果については、上述の通り、M1 の 10 月(9 月入学者は M1 の 5 月)に構想報告会、M2
の 10 月(9 月入学者は M2 の 5 月)に中間報告会を行い、複数教員によって到達点を検
証している。そのうえで、修士論文の口頭試問を複数教員によって行っている。2008
年度については、提出された修士論文はすべて合格しており、この点からも、研究指導
が十分な効果を上げていることが見て取れる。
後期課程についても、毎年一回、3 名の教員を配置した研究報告会を実施し、研究指
導の効果について検証し、さらなる指導を行っている。こうした研究指導の結果、ここ
数年は課程博士を毎年輩出している。
また、研究科が提供するカリキュラムが、学生の教育、研究指導上の効果を発揮して
いるか、院生の意見を聴取する方法として、毎年 6 月ごろに、前期課程、および後期課
程の院生に対して教育評価アンケートを実施している。このアンケート結果については
研究科委員会を通して研究科担当教員に共有され、翌年以降のカリキュラム設計、およ
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
271/331
び講義設計の改善に活用されている。
【問題点】
①体系的なカリキュラム編成・研究指導体制が構築されているにもかかわらず、1
回生レポート、修士論文作成に向けた秋の研究報告週間での報告内容に進展の遅れ
の見られる院生が散見される。就職活動の前倒し傾向のために、早くも1回生前期
課程の冬には就職活動を開始しなければならず、専門性の涵養が不十分なまま進路
を選択しなければならない場合がある。
国内外インターンシップや海外留学、休学制度を利用しての海外渡航(語学留学、
海外NGO参加などが目的)など、さまざまな機会に個別面談を行っているが、院
生の意欲の向上に伴って教員側の負担がうなぎのぼりとなっている。また、各指導
教員が担当する院生数に不均等があり、各院生に割くことのできる指導時間がまち
まちである。
入学時点での研究テーマの絞込みが不十分なまま、安易に指導教員の変更を求め
る院生が昨今散見される
個々の院生が抱える個別的問題に即して機能的な面談・懇談指導が必要とされて
いる。
【改善の方法】
入学前教育をさらに充実し、前期課程院生であれば、2年間をフルに活用した教育を
享受できる体制を強める。こうすることで将来展望の十分に立ったキャリア構築が可能
になると考える。キャリアセンターとの連携を強め、早い時期での専門性の獲得と就職
活動の効率的追及を進める。
入学時点でのきわめて大括り研究テーマを、現行では個別面談を通じて深めている今
後は、この過程でいっそうのテーマの具体化を図り、教員の多様な専門研究分野とのマ
ッチングをさらに進める。
論文の質のいっそうの向上を図るために、学際的な研究テーマが多い国際関係研究科
の特質を考慮して、複数指導教員(主と副の2人)体制の導入、具体的には複数演習履
修制度を検討している。また、後期課程進学希望者や、M2段階で学術振興会特別研究
生に応募する院生に対して研究科全体として支援を行う体制についても議論を行って
いく。さらに、きめ細かな論文指導の実施と、指導教員の実質的な負担を軽減するため
に、複数の特別演習を履修できる制度の導入を検討する。
ここ数年定員充足を達成している後期課程については、毎年一定数(3∼4名程度)
の課程博士の学位取得者を輩出するような指導体制のあり方について早急に検討する。
また、大学以外の研究機関なども対象に入れて、後期課程修了者の就職先の新規開拓を
図るとともに、外部の奨学金への応募についていっそうの奨励を図るとともにその支援
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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についても検討する。
(成績評価法 コード 1326)
132601 学生の資質向上の状況を検証する成績評価法の適切性
【理念・目的】
教育の質の保証、そして専門性の習熟度を対外的にも明示するための指標として、成
績評価の厳密化が重要である。本研究科の基本方針は以下のとおりである。
①成績評価は絶対評価、②きわめて優れている者に対してA+を付与、③個別指導の要
素が強い研究指導科目についても「②」の方針を適用する。
以上と同時に、修士論文・博士論文の質的評価を年次別積み上げ方式で行うことによ
って、教員・院生の双方に研究と教育の自己評価の資料と機会を提供する。
【実態】
最終的な研究指導効果の測定は、修士論文・博士論文の質の判断によらなければなら
ないが、そこにいたるまでに、前期課程1回生秋の時点の研究報告週間での報告によっ
て、指導面、学習面での一定の軌道修正の機会が与えられ、これが、2回生時の修士論
文構想報告会につながっていく。後期課程においても同様に、毎年1回の集団的検討会
に付されることで学際的なコメントを受けて、博士論文執筆にかかわる教員・院生両者
の指導効果測定に資することができる。この結果、例年コンスタントに数名ずつの課程
博士学位取得者を輩出している。
【長所】
年次ごとの学習目標が明確に設定されているため、院生各自の計画的な研究遂行と教
員の指導計画の立案が可能になっている。また、学際領域のさまざまなテーマを持つ院
生や、社会人院生、複数教員からコメントを受けられることで、教員・院生ともに研究
指導効果測定が多面的、総合的に行われている。
【問題点】
秋の研究報告週間が年1回であることもあって、一部の院生に途中で中だるみ傾向が
散見される。また、前期過程では1学年 50 数名の院生を抱えているため、本来であれ
ばコメントを行うべき教員の配置ができない場合がある。
【改善の方法】
研究科紀要への執筆、学会報告、外部のレフェリー付き論文への投稿などを研究報告
週間と有機的に組み合わせることで、中だるみ傾向に対処する。また、従来の研究報告
週間の在り方を再検討し、例えば学会方式の導入についても考える。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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(研究指導等 コード 1327)
132701 教育課程の展開並びに学位論文の作成等を通じた教育・研究指導の適切性
【実態】
週1回行われる特別演習を基本にした研究指導の中で、不断に論文や文献の紹介、議
論などを通して各指導教員が実施している。
【長所】
毎週の定期的な指導を通して学問的刺激を持続できる。
【問題点と改善の方法】
学際的分野に関心を抱く学生に対しては、指導教員だけですべての関心事に対応する
ことが難しく、複数教員による指導も考慮していく。
132702 学生に対する履修指導の適切性
【実態】
入学時については、研究指導を希望する教員と面談できる面談週間を設け、3 名以上
と面談するように指導している。こうした面談を通して、教員によるアドヴァイスをう
けながら、院生が研究計画を練り直し、2 年間の学習計画について再検討する機会を提
供するとともに、研究希望テーマと指導教員との間に事後的な齟齬が生じないようにし
ている。
【長所】
研究計画を、本研究科教員のアドヴァイスを受けながら再検討する機会を入学時に与
えられるとともに、他大学から進学してきた院生にとっても、実際に教員との面談を通
して、研究希望テーマを追求していく上でふさわしい指導教員を選択することが可能に
なっていることは大きな長所である。
【問題点と改善の方法】
入学後研究テーマを変える院生が、近年少なからずみられる。こうした院生への指導
体制の在り方については、検討が必要である。
132703 指導教員による個別的な研究指導の充実度
指導教員による個別的な研究指導は、前期課程では、特別演習(Advanced Seminar)
、
後期課程では、研究指導を中心に行っている。それに加えて、複数教員による指導を毎
年実施するなど、きめ細やかな研究指導を行っている。実際、院生を対象とした教育評
価アンケートでも、特別演習、Advanced Seminar、研究指導に対する院生の満足度は、
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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毎年総じて高い傾向にある。
(教育・研究指導の改善への組織的な取り組み コード 1330)
133001 教員の教育・研究指導方法の改善を促進するための組織的な取り組み(ファカルテ
ィ・ディベロップメント(FD)
)およびその有効性
毎年、6 月ごろに教育評価アンケートを実施し、その結果については、研究科委員会
で共有し、翌年以降のカリキュラムや講義設計に活用している。実際、当該アンケート
で、ここ数年学生から要望の強かった科目の体系性の欠如については、政治学系講義科
目の充実などを行った。その結果、科目の体系性の欠如に対する不満は、減少傾向にあ
る。
133002 シラバスの作成と活用状況
すべての講義科目については、シラバスの作成を行っている。シラバスにおいて、講
義内容、スケジュール、成績評価基準についてはあらかじめ院生に対して明示している。
133003 学生による授業評価の活用状況
毎年、6 月ごろに教育評価アンケートを実施し、その結果については、研究科委員会
で共有し、翌年以降のカリキュラムや講義設計に活用している。また、別途院生との懇
談会を毎年開催し、院生のニーズを聴取している。
こうしたアンケートや聞き取り結果については、カリキュラム改善、講義設計に活用し
ている。
③国内外との教育研究交流
(国内外との教育・研究交流 コード 1331)
133101 国際化への対応と国際交流の推進に関する基本方針の適切性
2008 年度には、広島大学と共同申請して文部科学省に採択された「大学院国際連携プ
ログラム」に基づき、INU 加盟大学との間での DMDP の締結交渉を進め、慶煕大学と
DMDP を締結し、現在も INU 加盟 2 大学と交渉中である。2010 年度には、既存の 7
つの DMDP に加え、新たに 2 つの大学院と DMDP を締結する予定で、留学生の送り出し・
受け入れがさらに拡大する見通しである。また、2008 年度より、本研究科の「国際協力
の即戦力となる人材育成プログラム」が文部科学省の「大学院教育改革支援プログラム」
に採択され、2009 年度よりフィールド・リサーチ科目を開講するなど本格的に教育プロ
グラムを始動させている。
2009 年度は、こうした流れを受け、国際関係研究科は一層の国際化を進めていきたい。
DMDP の提携先が増え、また送り出し強化に向けた取り組みの甲斐あり、2009 年度につ
いては 8 名の DMDP 派遣を予定している。また、GCP を通じて受け入れている院生の
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
275/331
数も増加し続けており、コースとしての体系性や講義内容の充実が求められている。
④学位授与・課程修了の認定
(学位授与 コード 1332)
133201 修士・博士・専門職学位の各々の学位の授与状況と学位の授与方針・基準の適切性
修士課程については、審査する教員に対して、副学部長名で審査基準を明示し、その
基準に従って審査を行うよう依頼している。また、博士課程においては、予備審査、お
よび本審査について審査基準、項目について明示したうえで審査を行っている。
133202 学位審査の透明性・客観性を高める措置の導入状況とその適切性
修士課程においては、履修要項において形式要件については明示するとともに、「社
会的な評価に耐えうる内容を兼ね備えていなければならない」と到達目標を示している。
後期課程においては、形式要件及び、審査の評価基準について明示している。
【点検・評価】
目標の達成度
国際機関を含め、国際的な活躍を行う修了者を輩出してきており、一定の目標達成が図ら
れている。一方で、修士(国際関係学)、博士(国際関係学)に求められている水準は高ま
っており、目標はさらに継続して取り組む必要がある。
効果があがっている事項
DMDP を導入したことにより、国際的に研究を行う環境を整え始めることができた。こ
れにより、院生による研究の国際的発信に寄与している。
改善が必要な事項
修士論文、博士論文の指導形態については、見直しに向けた検討を行っている。
【改善方策】
長所の伸長方法
2011 年改革に向けて検討中である。
問題点の改善方法
2011 年改革に向けて検討中である。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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(24)政策科学研究科
【到達目標】
本研究科の教育・研究の目的は、現代社会の政策課題の発見と解決を促す知識の生産
および人材育成の場であることを通じて、諸学の実践的総合による社会的要請に応答す
ることである。本研究科の到達目標は、このような人材育成を通じてこの目的を実現す
ることにある。
【現状の説明】
2)修士課程・博士課程・専門職学位課程の教育内容・方法
①教育課程等
(大学院研究科の教育課程 コード 1318)
131801 大学院研究科の教育課程と各大学院研究科の理念・目的並びに学校教育法第 99 条
大学院設置基準第 3 条第 1 項、同第 4 条第 1 項との関連
本研究科の教育・研究の目的は、現代社会の政策課題の発見と解決を促す知識の生産
および人材育成の場であることを通じて、諸学の実践的総合による社会的要請に応答す
ることである。この教育目標を実現するための教育体系を検討、策定し、各授業及び研
究指導を通じこれを達成した。今後は、2008 年度採択の大学院 GP「地域共創プロデュ
ーサー育成プログラム」で推進する「地域共創研究プログラム」をさらに推進すること
により、教育体系の更なる改善を目指す。
131802「広い視野に立って清深な学識を授け、専攻分野における研究能力又は高度の専門
性を要する職業等に必要な高度の能力を養う」という修士課程の目的への適合性
各授業及び研究指導が「研究能力又は高度な専門性を要する職業等に必要な能力を育
成する」という目標に沿って、 「公共政策」「環境開発」「社会マネジメント」の3
つの系にそった体系性、適切性を有したカリキュラムの提供と「リサーチプロジェクト」
を中心とした柔軟な研究指導体制の展開を図った。更に、2008 年度採択の大学院 GP「地
域共創プロデューサー育成プログラム」で推進する「地域共創研究プログラム」の充実
を図り、一定の成果を達成した。今後は、海外に開設した研究拠点を軸とした教育プロ
グラム開発の検討と共に、リサーチプロジェクト、リサーチセミナーを中心とした研究
科カリキュラムの充実と発展を図る。さらに、英語のみによる修士学位取得を可能とす
るカリキュラムの充実を図る。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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131803「専攻分野について、研究者として自立して研究活動を行い、又はその他の高度に
専門的な業務に従事するに必要な高度の研究能力及びその基礎となる豊かな学識を
養う」という博士課程の目的への適合性
本研究科博士課程後期課程では、学生が在籍期間を通じた共同研究プロジェクトへの
参加により系統的な指導を受け、研究力の研鑽を図ると共に、自立した政策科学研究者
にとって不可欠な研究プロセスの企画およびマネジメント力を養うことを目標として
いる。各授業及び研究指導では、自立した研究者又は高度な専門性を有した職業等に必
要な研究能力を育成することを目標に体系性、適切性を有した教育を実施し、所期の成
果を達成した。今後は、「地域共創研究プログラム」により参与型研究を遂行すること
で修了後のキャリアパスの開拓力を飛躍的に高め、政府機関、地方公共団体、国際機関、
政策金融機関、インターミディアリー、民間コンサルタント、事業型 NPO などで研究・
企画部門を担う専門スタッフ、実務との架け橋ができる大学教員の養成を引き続き目指
していく。
131804 学部に基礎を置く大学院研究科における教育内容と、当該学部の学士課程における
教育内容との関係
政策科学部の教育内容と教育目標を踏まえ、修士課程カリキュラムを構築している。
この結果、両者間の適切な関連性を確保するとともに、学部生の大学院科目の早期履修
制度、学部生の大学院への飛び級進学制度の運用を通じ、両者間の密接な連携を達成し
た。今後は、引き続き、カリキュラムの改善を図る。
131805 修士課程における教育内容と、博士(後期)課程における教育内容の適切性および
両者の関係
修士課程においては、複数の教員および複数の院生よりなる研究指導科目である「リ
サーチプロジェクト」を中心として、政策科学の研究を進めるために必要な専門的知
識を教授する「政策科学研究科目」講義科目群を配している。一方、博士後期課程に
おいては、研究指導科目である「リサーチセミナー」を中心として、他に、「政策外国
語特別演習」を開講した。これらは、本研究科の設置趣旨、教育目標に合致したものと
評価され、適切な教育効果を挙げている。これらの内容については、本研究科博士
前期課程から博士後期課程に進学する者及び他大学大学院修士課程から受け入れる
者に配慮して設定されており、また、博士後期課程の院生が博士前期課程のリサーチ
プロジェクトに出席すること等により、相互の交流も図られている。今後は、博士前
期課程の英語基準院生に対する指導の強化を図っていく。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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131807 博士課程における、入学から学位授与までの教育システム・プロセスの適切性
博士後期課程においては、セメスター毎に開講される6つの「リサーチセミナー」の
内、3つが必修であり、そこでは、20,000 字相当の研究報告書の提出が義務付けられて
いる。このことによって、院生の研究プロセスの適切な管理が可能となり、着実な研究
活動、ひいては、学位取得に必要な研究レベルのより確実な達成が可能となっている。
今後においては、さらに研究指導方式についての検討を続ける。
(授業形態と単位の関係 コード 1319)
131901 各授業科目の特徴・内容や履修形態との関係における、その各々の授業科目の単位
計算方法の妥当性
博士前期課程においては、研究指導科目である「リサーチプロジェクト」を中心とし
て、政策科学の研究を進めるために必要な専門的知識を教授する「政策科学研究科目」
講義科目群として公共政策関連科目 13 科目、環境開発関連科目8科目、社会マネジメ
ント関連科目 12 科目、英語による国際開発プログラム7科目を含む共通科目 31 科目を
開設した。この他に、外国語科目7科目、政策プロフェッショナル科目5科目を開講し
た。一方、博士後期課程においては、研究指導科目である「リサーチセミナー」を及び
「政策外国語特別演習」を開講した。これらの科目は、それらの前後の学習に要する時
間等を考慮して、いずれも、1セメスター1コマの講義につき、2単位を割り当てるも
のとしている。今後さらに、適切な科目の開設に努めていく。
(単位互換、単位認定等 コード 1320)
132001 国内外の大学院等での学修の単位認定や入学前の既修得単位認定の適切性(大学院
設置基準第 15 条)
同志社大学、関西大学、関西学院大学と関西四大学大学院単位互換協定を結び、この
制度を適切に実施している。これ以外の大学に留学した院生については、その内容に応
じ、個々に先方での取得単位を、本研究科の単位として認定している。今後は、さらに
単位互換制度の改善を指向している。
(社会人学生、外国人留学生等への教育上の配慮 コード 1321)
132101 社会人、外国人留学生に対する教育課程編成、教育研究指導への配慮
現在のところ、社会人学生に対する入学、教育指導上の特別の配慮施策は実施してい
ない。外国人留学生については、修士課程において、英語のみで、履修できる英語基準
コースを開設している。今後は、社会人学生に対する入学、教育指導上の配慮施策を整
備することを検討するとともに、英語基準コースの拡大を図っていきたい。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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②教育方法等
(教育効果の測定 コード 1325)
132501 教育・研究指導上の効果を測定するための方法の適切性
博士前期課程については、修了時に授業等に関するアンケートを行い、その結果を教
育・研究指導上の効果を測定するために役立てている。博士後期課程については、1対
1の指導が中心となるため、このような方策はとっていないが、今後は、何らかの方策
がありうるか検討していきたい。
(成績評価法 コード 1326)
132601 学生の資質向上の状況を検証する成績評価法の適切性
教育課程に位置づけられた各授業の役割・目的に応じた成績評価基準を設定すること、
成績評価基準をシラバスに明示し、院生に周知することを行い、所期の成果を達成した。
今後は、さらに、資質の向上を客観的に測定する方法があるか検討を続けたい。
(研究指導等 コード 1327)
132701 教育課程の展開並びに学位論文の作成等を通じた教育・研究指導の適切性
もとより、大学院での指導は、指導教員による個人指導の比重が高いものであるが、
これをサポートするものとして、「リサーチプロジェクト」「リサーチセミナー」での
研究指導を相互補完的に推進することにより、学位取得のプロセスを明確にしている。
さらに、大学院 GP プログラムでは、研究指導教員と地域共創サイト担当教員が連携し
て院生指導を行うという新たな院生指導体制を確立しつつある。そこでは、地域共創サ
イトのスタッフやポスドクによる日常的な研究サポート体制も確立しつつあり、地域共
創サイトでの研究成果をディスカッションペーパーの形で公表するという仕組を確立
しつつある。今後は、ワークショップ、内覧会の実施を通じた系を超えた指導体制の充
実を目指していく。
132702 学生に対する履修指導の適切性
履修上の必要事項を一覧できる冊子である「履修要項・講義概要」を作成するととも
に、各セメスターの開始時に1時限を割いて、詳細なガイダンスを行っている。この結果、
十分な履修指導、情報提供が出来ていると考えるが、今後さらに、Web 上での即時性の
ある情報提供の充実を図っていきたい。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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132703 指導教員による個別的な研究指導の充実度
院生に対して適切な個別指導時間を確保するとともに、
「リサーチプロジェクト」
「リ
サーチセミナー」等の集団指導の機会に、発表、報告等を課すことにより、進捗状況を
複数の眼で確認することとしている。この結果、適切な指導の進行管理を達成した。今
後は、研究指導自体の更なる改善を推進する。
(教育・研究指導の改善への組織的な取り組み コード 1330)
133001 教員の教育・研究指導方法の改善を促進するための組織的な取り組み(ファカルテ
ィ・ディベロップメント(FD)
)およびその有効性
院生の学修実態や活性化の方法、教育指導方法の改善などについて教員間で意見や情
報の交換ができる「研究指導担当者会議」を定期的に開催する。院生代表と定期的・継
続的に意見交換を行い、教育改善に反映し、院生を交えたFD活動等を支援するシステ
ムを構築する。この2点の取組みを研究科全体で共有し組織的に支援するとともに、機
構等が組織的に実施する在学生満足度調査や、修了生の進路先に対する総合調査を活用
し、改善に活かす ことを行い、一定の成果を得た。今後は、さらにこの取り組みを推
進する。
133002 シラバスの作成と活用状況
教育課程に位置づけられている各授業の役割に応じたシラバスを作成し、院生が自ら
の学修計画に応じ適切にシラバスを活用するよう適切な履修指導を行うことについて
は、十分に行われている。今後は、さらにシラバスの内容の記述、変更の即時性を改善
する。
133003 学生による授業評価の活用状況
修了予定者アンケートを実施し、院生による研究科カリキュラムの検証を行った。今
後は、さらに、各授業に関して、学生の声を集約する仕組が整えられ、その結果研究科
委員会等で議論し、改善に向けて具体的対応を行うシステムの整備に向け検討を進める。
③国内外との教育研究交流
(国内外との教育・研究交流 コード 1331)
133101 国際化への対応と国際交流の推進に関する基本方針の適切性
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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大学院の国際化を推進することを研究科の柱の一つとし、博士前期課程において、
2007 年度より英語基準コースを設置している。今後さらに、英語基準での受け入れの拡
大を目指していく。
④学位授与・課程修了の認定
(学位授与 コード 1332)
133201 修士・博士・専門職学位の各々の学位の授与状況と学位の授与方針・基準の適切性
学位の授与方針・基準を適切に運用し、研究科の目標に沿った学位授与者を輩出する
ことを目標に実施し、32 名に修士号を、3名に博士号を授与した。今後は、さらに、研
究科の目標に沿った学位授与者を輩出することを目標とする。
133202 学位審査の透明性・客観性を高める措置の導入状況とその適切性
主査・副査などの複数研究者による審査、口頭試問・審査の公開など、適切な審査体
制を構築すること、学位審査にかかわる、内部通報制度やハラスメント相談制度などに
ついて、院生に周知すること、授与学位の概要について本研究科の紀要に登載すること
を実施した。今後は、さらに授与学位の概要の更なる公開方法を検討する。
(課程修了の認定 コード 1334)
133401 標準修業年限未満で修了することを認めている大学院における、そうした措置の適
切性、妥当性
標準修業年限未満の修了については、学部在学中に進学プログラムの対象となった
学生につき、博士前期課程に早期修了制度を設けている。これは優秀な学部生に学部
在学中より大学院科目の履修を認め、大学院在籍が標準修業年限未満であっても十分
な学修が行えるようにした制度である。2008 年度については、優秀な成績を収めたも
の2名がその対象となった。対象者の学修振りは十分なものがあり、今後は、制度の
拡大等について検討していきたい。
【点検・評価】
目標の達成度
大学院教育の柱と位置づけている「地域共創プロデューサー育成プログラム」が、文
部科学省の大学院GP(平成20年度組織的な大学院教育改革推進プログラム)に採択
されるなど、目的に向かっての教育活動の推進は、相当の評価を得ているものと考える。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
282/331
効果があがっている事項
上記の「地域共創プロデューサー育成プログラム」による地方自治体等の現地(地域
共創サイト)での研究活動は、本研究科の教育活動を特色づけるものであり、その直接
の政策観察体験は、本研究科の目標達成に大いに貢献している。また、英語基準コース
を設置したことにより、JDS(Japan Development Studies)や、インドネシア・リン
ケージなどの制度による留学生の受け入れが拡大している。
改善が必要な事項
未だに定員が完全には充足されていない状態であり、その改善に取り組む必要がある。
【改善方策】
長所の伸長方法
地域共創サイトでの直接の政策観察(参与観察)が出来ることは、本研究科の大きな
特徴となっており、今後とも、これらサイトの新規開拓を続けていくことにより、この
特徴を維持発展させていきたい。また、海外留学生の存在は、研究科に国際的な研究展
開のきっかけをあたえるものでもあり、その拡大を図っていきたい。
問題点の改善方法
定員充足率の向上については、根本的には、研究・教育活動の充実が必要であるが、
更に、上記長所を積極的にアピールすることにより、解決していきたい。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
283/331
(25)応用人間科学研究科
【到達目標】
大学院学則にも明記された「対人援助等の高度の専門性を要する職業等に必要な高度
の能力を養成する」ため社会学的なマクロ的視野と対人援助技術を有機的に結びつけた
教育内容ならびに方法となっている。
【現状の説明】
2)修士課程・博士課程・専門職学位課程の教育内容・方法
①教育課程等
(大学院研究科の教育課程 コード 1318)
131801 大学院研究科の教育課程と各大学院研究科の理念・目的並びに学校教育法第 99 条、
大学院設置基準第 3 条第 1 項、同第 4 条第 1 項との関連
本研究科は、対人援助等の高度の専門性を要する職業等に必要な高度の能力を養成す
ることを目的としており、上記の法令で述べられている趣旨と合致する。それぞれのク
ラスターあるいは領域毎に院生が所属し、それぞれの専門性を深めながら、クラスター
毎の「連携と融合」により「高度の専門性」を高めるということは、まさしく学校教育
法第 99 条、大学院設置基準第 3 条第1項、同 4 条第1項がそれぞれ目指すものである
と考えている。
131802「広い視野に立って清深な学識を授け、専攻分野における研究能力又は高度の専門
性を要する職業等に必要な高度の能力を養う」という修士課程の目的への適合性
対人援助学の修得はクラスターを越えた「連携と融合」の教育システムにより、単に
特定の専門を深めるだけでなく、院生は「広い視野に立って」が研究を実施していくも
のであると考えている。そして、それぞれの活動領域での高度の専門性を要する人材が
輩出されるものと考えている。
131803「専攻分野について、研究者として自立して研究活動を行い、又はその他の高度に
専門的な業務に従事するに必要な高度の研究能力及びその基礎となる豊かな学識を
養う」という博士課程の目的への適合性
本研究科に博士課程はない。現在、検討途上にある。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
284/331
131804 学部に基礎を置く大学院研究科における教育内容と、当該学部の学士課程における
教育内容との関係
本研究科の場合、学部に基礎を置かない独立研究科である。ただし、本学は総合大学
であり、文学部や産業社会学部との教員交流の面で連携がある。そういった面で教育内
容についてもお互いに共通部分が存在するが、本研究科とそれぞれの教育内容での意図
的な連携を今後は模索できればよいと考えている。
131805 修士課程における教育内容と、博士(後期)課程における教育内容の適切性および
両者の関係
本研究科は博士課程がないため、設問に該当しない。
131806 博士課程(一貫制)の教育課程における教育内容の適切性
一貫制の博士課程ではなく設問に該当しない。
131807 博士課程における、入学から学位授与までの教育システム・プロセスの適切性
博士課程ではなく設問に該当しない。
(授業形態と単位の関係 コード 1319)
131901 各授業科目の特徴・内容や履修形態との関係における、その各々の授業科目の単位
計算方法の妥当性
いずれの授業科目も大学設置基準が定める単位計算に沿って運営している。
(単位互換、単位認定等 コード 1320)
132001 国内外の大学院等での学修の単位認定や入学前の既修得単位認定の適切性(大学院
設置基準第 15 条)
CIIS(California Institute of Integral Studies)との協定があるが単位認定等は行
っていない。関西 4 大学との単位互換はある。海外の大学との協定はCIISのみとな
っているが、今後はCIISとの単位認定やその他の協定校を開拓し多様な形を作って
いきたい。入学前の既修得単位については、毎年度若干事例がある。執行部あるいは教
授会において、研究科既存の科目について内容の面、あるいは院生の今後の履修計画に
も配慮しながら、慎重に判断している。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
285/331
(社会人学生、外国人留学生等への教育上の配慮 コード 1321)
132101 社会人、外国人留学生に対する教育課程編成、教育研究指導への配慮
社会人院生が半数を占める本研究科であり、時間割を、夕方以降(5 時限以降)の時
間、2コマ連続、夏期集中、冬期集中、土曜日集中など多様な形で組むことで、院生の
多様なニーズに対応することに努力してきている。2006 年度以降は「司法臨床研究」が
日曜開講となり、さらに多様な開講形態を実現することとなっており、一段と社会人院
生を受け入れるインフラが整備してきたものと考えている。留学生については、数が少
なく具体的な対応は実施していないが、留学生数の伸びを見込みつつ、日本語論文指導
等についての支援が研究科としても構築できればと考えている。(現在のところ、全学
的な日本語論文指導体制があり、今の留学生数であれば、全学のリソースを使っても対
応できるものと考えている。)
(独立大学院等の教育課程 コード 1322)
132201 学部に基礎を置かない独立大学院、独立研究科における、下位の学位課程の教育内
容・レベルを視野に入れた当該課程の教育内容の体系性・一貫性を確保するための
方途の適切性
本研究科は学部を持たない独立研究科であり、多様な領域からの入学者を受け入れて
いるため、導入期教育において研究リテラシーを扱うとともに、研究法に関わる授業を
開設している。第一セメスターの導入期教育科目の研究科共通の必修科目化を実現し、
研究科の教育理念と教育目標、研究リテラシー、研究倫理についての基礎教育を行って
いる。文学部や産業社会学部といった隣接領域の学内進学を増やしつつ、同学部との連
携をもっともっと図れればと考えている。現状では、本研究科と文学研究科、社会学研
究科とが、学内での競合関係にあり実現していないが、研究科としての特性をそれぞれ
出しながら棲み分けをしつつ、このような取り組みもできればと考えている。
②教育方法等
(教育効果の測定 コード 1325)
132501 教育・研究指導上の効果を測定するための方法の適切性
教育・研究指導上の効果を測定するため、研究科運営委員会に FD 委員会の機能を持た
せ、毎年度教学改善アンケートの内容について協議した上で、アンケートを実施するよ
う努めている。また、毎年シラバスを作成し、学生に周知する。シラバスの適合性を執
行部がチェックしている。さらに、教学改善に関するアンケートの意見を集約し、次年
度以降の教学に反映させるように努めている。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
286/331
132502 修士課程、博士課程、専門職学位課程修了者(修業年限満期退学者を含む)の進路
状況
院生の進路は、心理、福祉、教育、看護・医療などの領域となっており、研究科の教
学を反映した構成となっている。研究職についた院生も数名存在している。
132503 大学教員、研究機関の研究員などへの就職状況と高度専門職への就職状況
教員免許をとって教職になるものが大学教員や研究機関の研究員になるものはいな
い。対人援助学をベースに同分野で高度専門職として様々な分野で活躍している。
(成績評価法 コード 1326)
132601 学生の資質向上の状況を検証する成績評価法の適切性
複数のクラスターそして領域から研究科が構成されており、「連携と融合」を目指し
ながらも、それぞれのクラスターや領域が独自性を持つため、研究科全体として学生の
資質向上の状況を検証する成績評価法というものは構築しにくい。ただし、クラスター、
領域ごとに教員が学生と緊密に接しており、教員が院生の状況を把握できているため、
実質的に院生に対する評価にはそれほど間違いなく評価できるような体制が担保され
ていると考えている。
(研究指導等 コード 1327)
132701 教育課程の展開並びに学位論文の作成等を通じた教育・研究指導の適切性
対人援助という多様性のある領域を5つのクラスター・ゼミとして分化させ、実践と
教育を関連させながら、対人援助専門職者の養成を行うという教育システムを維持して
いる。対人援助に関わるさまざまな領域の講義に加え、研究法を扱う授業、対人援助や
心理臨床の実務を学ぶ授業を必修化して、研究と実践の双方の能力を高めるようなカリ
キュラムを構築している。また、本研究科は学部を持たない独立研究科であり、多様な
領域からの入学者を受け入れているため、導入期教育において研究リテラシーを扱うと
ともに、研究法に関わる授業を開設する。また、アドバイザーを配置し、研究スキルの
向上をはかっている。さらに、研究法に関わる授業科目を開設するとともにアドバイザ
ーを配置し、研究法の指導を行う。また、オフィスアワーによる丁寧な指導を行ってい
る。以上のように非常にきめ細かい教育課程になっている。また、論文指導についても
クラスターやゼミごとに複数指導体制できめ細かい研究指導が一定可能となっている。
研究指導については、ポスターセッション等で学生が論文執筆過程で区切りをつけなが
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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ら、また、他の学生によるピアラーニング等で刺激をうけながら、段階を踏んで、論文
内容を深められるように工夫もこらしている。
132702 学生に対する履修指導の適切性
クラスター毎、領域ごとに複数の指導教員が協力して、学生に対する多面的な履修指
導を行っている。また、オフィスアワーを通じて、学生個人への指導が行き届くように
配慮している。
132703 指導教員による個別的な研究指導の充実度
オフィスアワーを設け、授業時間外の指導の充実を図っている。また、社会人院生に
ついては、土日を含む授業外でのきめ細かい対応をしている。
132704 複数指導制を採っている場合における、教育研究指導責任の明確化
クラスター毎に複数指導制をとっている。各クラスターは約4名の教員によるチーム
ティーチング形式によって、平均して1学年 10 名前後の大学院生を指導している。こ
の場合、研究科の専任教員がリーダー的な役割となり、4 名のチームをリードするなど、
ゆるやかに責任体制を明確にしている。
132705 研究分野や指導教員にかかる学生からの変更希望への対処方策
セメスターごとに、研究分野の変更希望があった場合、変更希望の適切性を判断した
上で希望を受け入れている。大学院の研究教育を通じて、院生が刺激を受け自らの興味
関心を変えていくことは自然であり、研究科でも多様な教員を配置し、これに応えるべ
く努めている。
(教育・研究指導の改善への組織的な取り組み コード 1330)
133001 教員の教育・研究指導方法の改善を促進するための組織的な取り組み(ファカルテ
ィ・ディベロップメント(FD)
)およびその有効性
大学全体では、全学組織として「教育開発推進機構」を設置し、全学の FD 活動の基
本方針を決定し、大学全体として FD 活動を統括している。また、その機構のもとに、
「教育開発推進機構センター合同会議」が設置され、全学的な FD 活動の具体的な実施
方針を審議・検討している。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
288/331
研究科においても、全学方針にもとづき FD 委員会を設置し、FD 活動をこの間推進
してきた。具体的には以下の通りである。
(1)毎年度教学改善アンケートの内容について協議した上で、アンケートを実施
してきた。
(2)全学方針にそって精緻なシラバスを作成し、これを実施する。内容について
は、研究科が責任をもってチェックをする。
(3)教学改善に関するアンケートの意見を集約し現状を把握し、必要な手立てを
とるとともに、次年度以降の教学に反映させてきた。
133002 シラバスの作成と活用状況
全学基準にもとづき、毎年シラバスを作成し、ウェブベースで学生に周知している。
また、よりハンディなものとして、紙ペースの簡易版を配布している。シラバスについ
ては執行部でチェックをし、内容がきちんと記載されているかチェックしている。
133003 学生による授業評価の活用状況
毎年度、教学改善に関するアンケートの意見を実施し、学生の意見を集約している。
133004 修了生に対し、在学時の教育内容・方法を評価させる仕組みの導入状況
修了生に対して、在学時の教育内容・方法を評価させる仕組み等でシステム的に導入
はしていない。ただし、校友会等を通じて個別にフィードバックできるような形となっ
ている。また、教員が修了生とのネットワークを構築しており、教員個々人がある程度
情報を持っている。今後は、こういった情報を集約し、検討していくようなシステムを
研究科としては模索していきたい。
③国内外との教育研究交流
(国内外との教育・研究交流 コード 1331)
133101 国際化への対応と国際交流の推進に関する基本方針の適切性
研究科全体の国際化が必要と考えており、数々の試みをしている。派遣については、
CIIS との協定を締結し、コンスタントに院生を派遣している。また、CIIS を中心に濃
く最先端プログラムの枠組みで教員を招聘し、短期授業やシンポをコンスタントに実施
している。また、修士論文の英文要旨を提出させ、ネイティブによる添削を経た上で研
究科ホームページに掲載することを目標としており、2008 年度は多くの院生から英文ア
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
289/331
ブストラクトを提出してもらっている。次の段階として、HPへの掲載、HP全体の多
言語化に向けて検討している。
133102 国際レベルでの教育研究交流を緊密化させるための措置の適切性
全学プログラムである国際先端プログラムで研究科としての枠を確保し、CIISを
中心とする海外大学から研究者を招聘している。また、その他にも海外の研究者を積極
的に招聘し、それを院生に還元し実質化を図っている。
133103 国内外の大学院との組織的な教育研究交流の状況
派遣については、2006 年 5 月、応用人間科学研究科独自の国際交流として California
Institute of Integral Studies(CIIS)と協力協定と学生交換協定を締結し、その後、本
学の大学院生の派遣を毎年行っている 。
④学位授与・課程修了の認定
(学位授与 コード 1332)
133201 修士・博士・専門職学位の各々の学位の授与状況と学位の授与方針・基準の適切性
クラスター毎の指導を後、テーマにあわせて主査、副査が決定され、論文提出後は、
教授会で主査、副査から内容について説明がなされ、客観的な判断の上決定がなされる。
意見調整が困難な場合、研究科教授会にて協議して最終判断を行うこととしている。
133202 学位審査の透明性・客観性を高める措置の導入状況とその適切性
学位授与にいたる過程において、テーマ選定、ポスターセッションといったプロセス
を設置し、院生が修士論文のテーマを個々人で徐々膨らませ、時間を掛けて醸成できる
よう工夫を凝らしている。とりわけ、実習等への参加を促進し、実践と研究が往復する
ことで、学位の根拠となる修士論文の内容の実質化に取り組んでいる。このような過程
によって、院生は標準修業年限を射程に入れながら修士論文に取り組めることとなる。
また、学位の公平性を担保するために、教授会で学位審査を実施する際に概要を作成し
吟味している。
133203 修士論文に代替できる課題研究に対する学位認定の水準の適切性
修士論文に代替できる課題研究等は、対人援助学領域について制度上担保されている
が(履修要項にも記載)、今のところ実際上の運用ならびに例はないため、学位認定の
水準の適切性は課題として浮上してきていない。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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133204 留学生に学位を授与するにあたり、日本語指導等講じられている配慮・措置の適切
性
本研究科は留学生が少なく、特別な日本語指導は行っていない。個々の教員が留学生
の日本語能力にあわせて個別にフォローしている。
(課程修了の認定 コード 1334)
133401 標準修業年限未満で修了することを認めている大学院における、そうした措置の適
切性、妥当性
本研究科としては早期修了を実施していない。
【点検・評価】
目標の達成度
研究科の目指す人材を養成するため、クラスターやゼミといった少人数主義、あるい
は複数指導体制といった非常にユニークな教育システムを導入し実践している。また、
「連携と融合」というキーワードを研究科として目標に掲げ、クラスターやゼミを越え
た連携を模索している。また、研究科内に留まらず、研究所との連携により、研究科の
教育・研究を深化させるよう努めてきている。こうしたユニークな教育方法を駆使した
結果、意図した高度専門職が輩出できており、研究科の人材目標が一定達成されている
と考えている。
効果があがっている事項
ユニークな教育システムが実践され、対人援助等の高度な専門力量を駆使できる職業
につけている修了生が多数輩出されている。
改善が必要な事項
それぞれのクラスターやゼミによる専門領域の掘り下げや複数指導体制は非常な効
果を上げているが、各クラスターやゼミの垣根を越えた「連携と融合」は一部分に留ま
っている。
【改善方策】
長所の伸長方法
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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ユニークな教育システムを維持するためには、教育システムの長所・短所を構成員で
共有し、意識しながら運営していく必要があるであろう。
問題点の改善方法
非常にユニークな教育システムであるが、研究科設置後、数年経過しており、新しい構
成員を含んだ研究科全体での再確認、さらに新たな状況に対応した改善などが必要となっ
てきている。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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(26)言語教育情報研究科
【到達目標】
言語コミュニケーション能力、言語情報処理能力、言語教育能力といった実践的な知
識と技能を基盤にして、英語教員や日本語教員、また「ことば」のコーパス分析や社会
的な機能の研究を将来のキャリアに生かせる高度専門職を養成すること.
【現状の説明】
2)修士課程・博士課程・専門職学位課程の教育内容・方法
①教育課程等
(大学院研究科の教育課程 コード 1318)
131801 大学院研究科の教育課程と各大学院研究科の理念・目的並びに学校教育法第 99 条、
大学院設置基準第 3 条第 1 項、同第 4 条第 1 項との関連
本研究科は高度な言語コミュニケーション能力、言語情報処理能力および言語教育能
力を身につけた高度職業人の養成を目的とし、これを大学院レベルで実現しようという
ものである。設置目的そのものが、学校教育法第 99 条、大学院設置基準第 3 条 1 項、
同第 4 条第 1 項と直結するものであるし、教育手法やカリキュラムにおいても学校教育
基本法第 99 条にある「学術の理論及び応用を教授研究」するという規定を英語教育、
日本語教育、言語情報のそれぞれの分野で具体化し院生は基本的理論を学ぶとともに、
その上で海外プログラムや実習を通して、自ら応用し、それをまた、研究材料とすると
いう意味でもその目的と合致している。
131802「広い視野に立って清深な学識を授け、専攻分野における研究能力又は高度の専門
性を要する職業等に必要な高度の能力を養う」という修士課程の目的への適合性
本研究科は現代社会のニーズに応えられる高度な言語コミュニケーション能力、言語
情報処理能力および言語教育能力を身につけた高度職業人の養成を目的としており、こ
の点において「専攻分野における研究能力又は高度の専門性を要する職業等に必要な高
度な能力を養う」という点は、まさしく本研究科の目的そのものであり、教育課程もそ
のように組まれている。また、単なる座学に終わらず、広く社会との関わりにおいて自
らの研究能力あるいは高度な専門性を身につけるよう様々な仕組みをもっており、これ
を大学院 GP と連動させながら、英語教育学分野では、国際通用性を高めた人材養成の
ために大学院 GP で計画しているカリキュラムの改革・充実をはかっており、日本語教
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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育学分野においては、同様に国際通用性を高めた日本語教育専門家養成プロジェクトと
して、教育実習等とのコラボレーションをはかっている。具体的には、英語教育学分野
では、TESOL プログラムをカナダの UBC のほか、オーストラリアの USQ でも実施す
るなど、大学院 GP で計画しているカリキュラムの改革・拡充をはかった。そして、学
校インターンシップの科目化やクラスルーム・リサーチ科目の開講なども 2008 年度の
カリキュラム改革として実施した。また、英語での論文作成や、留学生の日本語での論
文作成を支援するために、英語論文・リサーチペーパー執筆指導と日本語の論文ライテ
ィング指導のチューターを配置しその成果は 2007 年度院生論文集として出版できた。
英語教育分野では引き続き GP による改革を実施し、日本語教育についても教育実習等
の機会を増やしつつ充実を図っている。
131803「専攻分野について、研究者として自立して研究活動を行い、又はその他の高度に
専門的な業務に従事するに必要な高度の研究能力及びその基礎となる豊かな学識
を養う」という博士課程の目的への適合性
該当せず。
131804 学部に基礎を置く大学院研究科における教育内容と、当該学部の学士課程における
教育内容との関係
本研究科の場合、学部に基礎を置かない独立研究科である。ただし、本学は総合大学
であり、文学部等の連携を模索している。
131805 修士課程における教育内容と、博士(後期)課程における教育内容の適切性および
両者の関係
現在のところ、本研究科の上位にあたる博士課程はなく、学内で検討している。本研
究科の修了生が他大学の博士課程進学を余儀なくされるケースがあり、本研究科として
は博士課程後期への展開が必要と考えている。
131806 博士課程(一貫制)の教育課程における教育内容の適切性
該当せず。
131807 博士課程における、入学から学位授与までの教育システム・プロセスの適切性
該当せず。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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(授業形態と単位の関係 コード 1319)
131901 各授業科目の特徴・内容や履修形態との関係における、その各々の授業科目の単位
計算方法の妥当性
本研究科は全体としてコースワークによるカリキュラムであり、いずれの授業科目も
大学設置基準が定める単位計算にのっとており、妥当である。
(単位互換、単位認定等 コード 1320)
132001 国内外の大学院等での学修の単位認定や入学前の既修得単位認定の適切性(大学院
設置基準第 15 条)
本研究科は、英語教育学分野において、国外大学との協定による海外プログラムをも
つが、授業時間数を曖昧にすることなく、大学設置基準に沿った時間計算で海外プログ
ラムが設計されている。
(社会人学生、外国人留学生等への教育上の配慮 コード 1321)
132101 社会人、外国人留学生に対する教育課程編成、教育研究指導への配慮
本研究科の設置趣旨のひとつに、現職教員のリカレント教育、キャリアアップのニー
ズにこたえるという目標がある。これからの日本の中等教育における英語教育の高度化
のために、現職の英語教員がTESOL資格を取得するなど、国際的基準で教育理論と
実践方法を学び直すことは重要なことである。日本語教育についても、これまで系統的
に日本語教員を養成する機関が少なかったこともあって、あらためて学習し直したいと
いう要望が強かった。これらの社会的要請にこたえるために新しい教育システムを取り
入れた研究科を設置した。
また、これら教育経験のある社会人学生は、学部から大学院に入学してきた教員志望
の学生の目標およびよきアドバイザーとなっていて、研究科の教育研究の活性化に大き
な貢献を果たしている。
社会人学生に対する教育課程編成、教育研究指導への配慮として、昼夜開講、土曜日
開講により、勤務と学業を両立できるようにしている。2008 年度において夜間時間帯(第
6時限 18:00∼19:30・第7時限 19:40∼21:10)に配置している科目は、全開講科目
(夏季集中科目を除く)中 49%であり、昼間のみの授業を基本としている日本語教育学
関連科目を除いた比率は、66%となっている。土曜日は午前の時間帯(第 1 時限 9:00
∼10:30、第 2 時限 10:40∼12:10)に 5 科目開講しており、英語教育学と言語情報コ
ミュニケーションコースを学ぶ社会人学生は、基本的には夜間と土曜日の講義および夏
期集中講義のみで修了に必要な 36 単位を取得することができる。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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また大阪市内や滋賀県南部に勤務する社会人学生の受講条件を確保するために、双方
向の質疑が可能な遠隔授業システムを導入している。京都衣笠キャンパスでの授業を大
阪淀屋橋にある本学サテライトキャンパス(立命館アカデメイア@大阪)とびわこ・く
さつキャンパス(以下、BKCという)の2拠点でも受講できるようにしている。
開講科目の内容についても、現職教員の学校現場での実践的な課題を講義内容に生か
すために、アクション・リサーチや英語授業分析指導演習、学校(教育)インターンシ
ップ、早期英語教育など、授業実践に結びついた科目を開講している。
さらに各種ガイダンスやセミナーなども、夜間や土曜日に行うことを基本にしている。
(独立大学院等の教育課程 コード 1322)
132201 学部に基礎を置かない独立大学院、独立研究科における、下位の学位課程の教育内
容・レベルを視野に入れた当該課程の教育内容の体系性・一貫性を確保するための
方途の適切性
本研究科は、学内進学者もいるが、多くの院生は学外を中心とした社会人学生であり、
また、下位の学位も多様である。このため、研究科のカリキュラムで、コース共通科目
で多様な学生が基本的な理論をおさえ、その上で個々人の興味関心に沿った研究の積み
上げができるようなカリキュラムをとっている。
(連合大学院の教育課程 コード 1323)
132301 連合大学院における、教育内容の体系性・一貫性を確保するための方途の適切性
該当せず。
132302 複数の異なる大学の大学院課程からなる連合大学院における、下位の学位課程の教
育内容・レベルを視野に入れた当該課程の教育内容の適切性
該当せず。
(「連携大学院」の教育課程 コード 1324)
132401 研究所等と連携して大学院課程を展開する「連携大学院」における、教育内容の体
系性・一貫性を確保するための方途の適切性
該当せず。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
296/331
②教育方法等
(教育効果の測定 コード 1325)
132501 教育・研究指導上の効果を測定するための方法の適切性
本研究科では、高度職業人の養成を目的にしており、専門分野に関連した進路・就職
となっているかをひとつの指標としている。
132502 修士課程、博士課程、専門職学位課程修了者(修業年限満期退学者を含む)の進路
状況
修了者については、研究科教員が一定進路就職の支援を通して把握できているが、全
体としては本学キャリアオフィスにて一括集約するようなシステムとなっている。
132503 大学教員、研究機関の研究員などへの就職状況と高度専門職への就職状況
本研究科では、教員志望のものが多いが、主に、中等教育の教員となっている。大学
教員もテニュアではないが一定いる。
(研究指導等 コード 1327)
132701 教育課程の展開並びに学位論文の作成等を通じた教育・研究指導の適切性
本研究科では、修士論文に代わるものとして課題研究の成果として作成したリサーチ
ペーパーと必要単位の充足により修士学位を授与している。例えば、社会人学生である
現職の教員の現場での教育実践経験を踏まえた教育現場の課題にこたえる実践的なテ
ーマ設定による課題研究や、CALL(Computer Assisted Language Learning)教材・
学習者コーパスなどの研究成果物とその作成報告などがテーマとして扱われている。リ
サーチペーパーは修士論文に代わるものであるから、学生は、1 年次からスーパーバイ
ザーや研究領域が関連する教員から指導を受けつつ、2 度にわたるコロキュアムという
形式の教授会メンバーが参加する研究報告会を行うことにより、教授会としての指導が
行われ、水準の維持・向上に繋がっている。
学生は、1 年次には研究課題に必要な技術を習得し、必要な文献を読み、基礎的な力
を蓄積する。研究課題により、スーパーバイザーの引率による中等教育の授業参観や、
学会出席なども行う。1年次のスーパーバイザー制による指導・助言は、オフィスアワ
ーなどを利用した個別面談という形式で、すべてのスーパーバイザーにより行われてお
り、1年次における系統的履修と課題研究テーマの選定のほか、基礎的なスキルの習得
を促すなど有効に機能している。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
297/331
2 年次には、主査と1名ないし2名の副査の指導を受け、1対1の個人指導の弊害を
防いでいる。また 2 年次の前期授業終了時および後期授業終了時に研究科の全教員およ
び学生に開かれたコロキュアムという形式による研究報告会を行い、集団的なフィード
バックや指導が得られるように工夫している。
学生は、2回の研究報告会における教員からのフィードバックやピアレビューを通じ
て、リサーチペーパーの作成を進め、完成度を高めていく。研究指導の中心的な観点は、
学校現場や社会において活きた力となる実践的な知識とスキルを獲得した高度専門職
業人にふさわしい学力の養成である。最終の審査は、主査と副査により提案された評価
を、教授会として集団的に討議して行う。
132702 学生に対する履修指導の適切性
各セメスター開始前に、教授会において、学生の教育研究の動向や学力実態、授業内
容への要望などの情報を共有するとともに、学生指導の方法や評価方法についても客観
化・公正化をはかっている。教授会メンバー以外の科目担当者に対しては、教授会の方
針を開講前に伝え、学生指導の方法や評価方法を科目担当者全員で共有してシラバス執
筆にあたるようにしている。
【入学時】入学試験時に提出された「志望理由書」に記載された研究テーマにもとづき、
教授会において、指導担当教員(スーパーバイザー)を決定すると同時に、指導内容に
ついても確認する。入学直後のオリエンテーションでは、事務局と教授会が作成した「履
修要項」にもとづき、各プログラムの履修方法についてプログラム責任者が説明した後、
具体的な手続きを事務局が説明する。スーパーバイザーの決定は、研究科掲示板とホー
ムページにより学生に周知している。
学生のテーマが複数の教員の専門領域に関わる場合、複数の教育研究指導担当者を配置
することもある。その場合は、発表の際に主担当者を明示し、研究指導に中心的な役割
を果たすようにしている。副担当者は、カバーできる専門分野について日常的に学生と
面談して、指導をするとともに、主担当者と必要に応じて指導方針について協議するこ
ととしている。スーパーバイザーは、オフィスアワーなどの時間を活用して、系統的な
履修と研究課題選定のための助言・指導を行う。基礎的な文献の紹介と読了点検、教材
作成のための基礎技術の習得指導、研究テーマの選定の適切さや研究進行のスケジュー
ル管理などを行い、1年次の 10 月に「研究計画書」の作成・提出ができるように指導す
る。「研究計画書」には研究目的、研究内容、研究の特色、独創性などを記載すること
になっている。
【進級時】1 年次後半の 11 月∼12 月の時期にリサーチペーパーのテーマ確定に向け
た個別指導を行う。この指導をもとに学生は1月までに、研究計画の進行状況の点検と、
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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2年次に引き継ぐ研究課題の確定のための研究計画書(中間報告書)、課題研究演習担
当教員の希望申請書を提出する。研究テーマや指導教員に関わる変更の希望があった場
合には、教授会は柔軟に対応する方針をとっている。この研究計画書(中間報告書)を
もとに、課題研究演習担当教員は個別面接指導などにより、2年次開講時期までの準備
とアサインメントなどの達成を指導する。
132703 指導教員による個別的な研究指導の充実度
それぞれの教員が違った専門性を有しており、学生のリサーチペーパーのテーマに応
じて、院生を振り分けながら、指導を行っている。
132704 複数指導制を採っている場合における、教育研究指導責任の明確化
2回生における研究指導においては主査と副査との複数による点検、またコロキュア
ムにおいては、多くの教員・学生の公開の場での相互批判や評価、助言など、学生と指
導教員との一対一の薫陶的な指導ではなく、集団的な指導を目指している点、学位授与
評価基準のガイドラインを作成し(申し合わせ)、この基準をもとに、リサーチペーパ
ーを評価し、教授会メンバーによる評価検討会議を実施して、集団的な議論のもとで学
位審査を行なうことなどが主要な特徴となっている。
132705 研究分野や指導教員にかかる学生からの変更希望への対処方策
変更希望については、院生の研究分野が若干変更することも想定して、ある程度柔軟
に対応している。
(教育・研究指導の改善への組織的な取り組み コード 1330)
133001 教員の教育・研究指導方法の改善を促進するための組織的な取り組み(ファカルテ
ィ・ディベロップメント(FD)
)およびその有効性
本研究科の教員集団として、組織的に院生への教育・研究指導方法の改善を促進する
ため、①教学改善アンケートの実施とその結果のフィードバック、②学生の自治組織で
ある院生連合協議会の代表(各研究科の代表)と研究科執行部が研究科懇談会を開催、
③優れた教育経験を共有するための公開セミナーなどを開催することにより研究科教
授会としてのFD活動を行っている。また、研究科教員によるマルチメディア利用やコ
ーパス分析の手法を学ぶなど先進的授業への応用実践研究会を随時開催するほか、教育
実践に関する評価の高い教員の授業に参加するなど教員集団としての教育力の向上に
努めている。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
299/331
133002 シラバスの作成と活用状況
シラバスは全学方針に沿って、全てウェブで公開される。また、内容については、研
究科執行部がチェックをし、必要とされる項目が網羅されているかなどをチェックする
ようにしている。
133003 学生による授業評価の活用状況
①教学改善アンケートは教授会の中に設置されたFD委員会において集計、分析され、
その結果は教授会に報告されることになっている。後述②の研究科学生との懇談会に
おいても結果を報告し、意見交換を行っている。個別科目の結果については科目担当
者に報告し、改善を促している。なお、ホームページへの公開のあり方についてはF
D委員会で検討中である。
②研究科学生代表と研究科教授会執行部との懇談を 1 セメスターに 1 回以上開催、前
記アンケートの結果を報告するほか、学生側からの授業の内容や指導方法への改善の
要望や意見を聴取し、その内容を教授会や大学に報告して教学改善に向けた取り組み
を行っている。
133004 修了生に対し、在学時の教育内容・方法を評価させる仕組みの導入状況
現在のところシステムとしてはない。修了生を対象としたシンポジウムもあり、その
際に一定フィードバックしてもらっている。
③国内外との教育研究交流
(国内外との教育・研究交流 コード 1331)
133101 国際化への対応と国際交流の推進に関する基本方針の適切性
本研究科は言語教育情報に関する研究科であり、国際交流は欠かせない。研究科とし
て、多くの国際交流協定を締結しており、また、内容についても単なる異文化交流を目
的とした国際交流ではなく、研究・教育の内容との関連をもつ高度な国際交流プログラ
ムとなっている。
133102 国際レベルでの教育研究交流を緊密化させるための措置の適切性
英語教育学については TESOL プログラム、日本語教育学については日本語実習とい
ったように教育研究内容と直結する内容となっている。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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133103 国内外の大学院との組織的な教育研究交流の状況
英語教育学における UBC と USQ の国際プログラムは研究科全体として取り組んで
おり随時プログラムに関する改善等を組織として行っている。また、日本語教育学の国
内外における教育実習も、研究科全体でオリエンテーションを行い、事前、事後のフォ
ローアップを行うなど組織的な対応を行っている。
④学位授与・課程修了の認定
(学位授与 コード 1332)
133201 修士・博士・専門職学位の各々の学位の授与状況と学位の授与方針・基準の適切性
本大学院研究科に 2 年以上在学し、所定の単位を取得のうえ、修士論文に代わるもの
として位置づけているリサーチペーパーを提出して、その審査に合格したものに修士
(言語教育情報学)の学位を授与する。
学生は 2 年次における 2 度のコロキュアムでの集団指導および複数の指導教員の指導を
通じて、リサーチペーパーを完成させることにしている。また、英語教育学、言語情報
コミュニケーションコースの英語を専攻した学生には、原則として英語によるリサーチ
ペーパーの作成を義務付けている。
審査は大学院学則第 3 条に謳われている修士課程の目的に適っているかを基準に、次
の順序で実施される。これは「立命館大学学位規程」に明記されており、大学院学則と
ともに「大学院要覧」に記載し、全学生に入学時に配布している。
133202 学位審査の透明性・客観性を高める措置の導入状況とその適切性
① 主査である指導教員、および、副査教員により審査を厳正に行い、英語教育・言
語情報コミュニケーション合同教員会議、日本語教育教員会議を開催して全体の評価
の客観性・公平性を考慮し調整を行う。
② 審査委員は学生ごとに論文の概要、審査結果を「学位授与記録簿(修士)」にま
とめ、研究科教授会に提案する。研究科教授会はこれをもとに合否を決定する。
③ 合格判定報告書を作成し、学長が委員長を務める「大学院委員会」に報告、審議
のうえ学位授与を決定する。
研究指導体制については、先に述べたとおりである。毎年配布する「履修要項」に研
究計画書作成の指示やコロキュアムの時期、提出要領等を詳細に記載し、徹底をはかっ
ている。なお、リサーチペーパーの作成要項はホームページにも公開している。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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133203 修士論文に代替できる課題研究に対する学位認定の水準の適切性
本研究科では修士論文ではなくリサーチペーパーという形態をとっている。
133204 留学生に学位を授与するにあたり、日本語指導等講じられている配慮・措置の適切
性
日本語力を一定満たしていることを要求しているが、特に留学生を対象として、アカ
デミックライティング、アカデミックスキルの 2 科目を設置している。加えて、日本語
ライティングの講師による個別の指導が行われている。
(課程修了の認定 コード 1334)
133401 標準修業年限未満で修了することを認めている大学院における、そうした措置の適
切性、妥当性
早期修了制度はない。
【点検・評価】
目標の達成度
研究科の意図した高度専門職が輩出できており、研究科の人材目標が一定達成されて
いると考えている。
効果があがっている事項
教員採用は非常に競争が激しいが、英語教育については TESOL 資格を所持しコーパ
スの知識があるもの、日本語教育については実習経験を持つものが、非常に就職の面で
貢献しており、研究科の教学内容ならびに人材輩出が社会に受け入れられている。
改善が必要な事項
修了生の全てが自らの目指すキャリアに進めているわけではないため、この層へのフ
ォローアップが必要。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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【改善方策】
長所の伸長方法
本研究科で身につけた特性をどのようにアピールするか、また、どのような分野に効
果的であるか市場調査をすることでより効果が上がると思われる。
問題点の改善方法
志向したキャリアに進めた場合、進めなかった場合のヒアリング調査等が必要である。
それをもとに教学改善の検討も必要である。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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(27)テクノロジー・マネジメント研究科
【到達目標】
21 世紀の科学技術開発に際して、人類が直面する多くの課題は、個別技術の枠組みだ
けでは解決できないものが多くあり、立命館大学MOT大学院テクノロジー・マネジメ
ント研究科は、これらの問題解決のため、既存の枠を越えた「連携・融合」による教育・
研究・サービスを推進し、新しい学問領域の構築をめざす。これにより日本の産業の未
来を担う次世代リーダー、経営の俯瞰的感覚を持つ技術者養成を狙って、立命館大学理
工学部、情報理工学、生命科学部出身者、他大学出身者、技術を理解したマーケティン
グ・企画マン養成を狙って、社会科学系学部出身者、産業のグローバル化への対応とし
て、海外からの留学生など幅広い層に対して、理論と実践を融合することによりMOT
に関する教育と実践の場を提供する。
【現状の説明】
①教育課程等
2)修士課程・博士課程・専門職学位課程の教育内容・方法
(大学院研究科の教育課程 コード 1318)
131801 大学院研究科の教育課程と各大学院研究科の理念・目的並びに学校教育法第 99 条、
大学院設置基準第 3 条第 1 項、同第 4 条第 1 項との関連
授業アンケートを実施、その結果を分析し、改善策を検討した。その結果、各教員に
対する改善ポイントが示され、個々の授業運営にフィードバックされた。
研究科全体へのアンケートを実施、その結果を分析し、改善策を検討した。その結果、
研究科としての改善ポイントが示され、教育目標を反映した開講方針にフィードバック
された。
年二回 FD 委員会を実施し、改善案を検討した。その結果、全教員のシラバスに対す
る点検が実施され、教育目標を反映すべく各授業運営にフィードバックされた。
今後も引き続き、授業ならびに研究科に対する FD 活動を推進していく。
131802「広い視野に立って清深な学識を授け、専攻分野における研究能力又は高度の専門
性を要する職業等に必要な高度の能力を養う」という修士課程の目的への適合性
修士課程学生に対してはキャリアセンターと連携して情報交換を行うとともに、研究
科独自にアンケートを行い教育目標に即した進路選択をしているかどうかを把握して
いる。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
304/331
131803「専攻分野について、研究者として自立して研究活動を行い、又はその他の高度に
専門的な業務に従事するに必要な高度の研究能力及びその基礎となる豊かな学識
を養う」という博士課程の目的への適合性
博士課程学生は基本的に社会人であり、就職を支援する必要は生じていない。
131804 学部に基礎を置く大学院研究科における教育内容と、当該学部の学士課程における
教育内容との関係
当研究科は学部の無い独立研究科であるが、理工学部にMOT入門科目がある。現在
のMOT入門科目を見直し、科目内容は変更しないものの、2科目については、適切な
担当者(教員)の斡旋を行った。MOT入門科目を担当することが学部学生の大学院志
望ニーズや学力等を把握することに繋がっている。修士課程カリキュラム構築に際して
は、つねに学部の教育内容と教育目標を念頭において検討を進める。
131805 修士課程における教育内容と、博士(後期)課程における教育内容の適切性および
両者の関係
実務家教員を要した理論と実践の両輪をポリシーとしたカリキュラムで運営してい
る博士課程前期課程において実践教育を行っているのに対して、博士後期課程では研
究者養成と企業の将来の幹部候補となる中核的人材を育成することを目的とし前期課
程のカリキュラムを踏襲した高度な実践教育を行っている。
131806 博士課程(一貫制)の教育課程における教育内容の適切性
博士論文中間発表会などを実施している。博士論文中間発表会の場での学生・教員が
一体となった質疑応答の中から高度な研究能力の練磨をしてもらうことが狙いである。
自立した専門職としての能力を獲得してもらうことを狙いとして論文作成のための研
究方法論の講義も実施している。さらに広範な学識を獲得してもらうことを狙いとして
全学生に対して、複数指導体制を実施している。今後は当研究科主催のシンポジウムな
どの場を設けて更に能力に磨きをかける場を設定したい。
131807 博士課程における、入学から学位授与までの教育システム・プロセスの適切性
学位取得には年2回の機会があることなど学位授与までのプロセスを明示し、ホーム
ページやパンフレットなよって周知している。査読付き論文が少なくとも2件あること
が博士論文提出の必須要件になっているので、論文投稿のタイミングの適切化を図るこ
とが今後取り組むべき課題である。
131808 専門職学位課程の教育課程と、専門職学位課程制度の目的並びに専門職大学院固有
の教育目標との適合性
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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(授業形態と単位の関係 コード 1319)
131901 各授業科目の特徴・内容や履修形態との関係における、その各々の授業科目の単位
計算方法の妥当性
単位制度の実質化や授業外学習時間を担保すること及び大学院設置基準に則し、各授
業の形態に合わせ、認定単位を適正化することを目標に、執行部会議にて適宜、点検と
検討を行った。今後は、ピア・レビューや学生との懇談会を実施することなどにより全
授業の適正化を徹底する。
(単位互換、単位認定等 コード 1320)
132001 国内外の大学院等での学修の単位認定や入学前の既修得単位認定の適切性(大学院
設置基準第 15 条)
国内外の大学、大学以外の教育施設と適切な単位互換協定を結び、学外の教育資源の
活用をカリキュラムの中に位置づけることを目標に、執行部会議において、適宜、検討
を行った。今後は、さらに検討を重ね、単位互換、単位認定の充実化と学外の教育資源
の積極的な活用を図る。
(社会人学生、外国人留学生等への教育上の配慮 コード 1321)
132101 社会人、外国人留学生に対する教育課程編成、教育研究指導への配慮
社会人学生に対する入学、教育指導上の配慮施策を整備することを目標に、社会人院
生に配慮したカリキュラムの拡充を図るべく、集中科目を増加させた。今後は、社会人
院生に配慮したカリキュラムの拡充を継続的に行う。
留学生に対する入学、教育指導上の配慮施策を整備することを目標に、執行部会議にお
いて検討を行い、研究科において問題意識の共有化が得られた。今後は、留学生の知識
レベル等に合わせた適切なカリキュラムの整備など組織的な取り組みを推進する。
(独立大学院等の教育課程 コード 1322)
132201 学部に基礎を置かない独立大学院、独立研究科における、下位の学位課程の教育内
容・レベルを視野に入れた当該課程の教育内容の体系性・一貫性を確保するための
方途の適切性
想定学部の教育内容と教育目標を踏まえ、修士課程カリキュラムを構築することを目
標に、執行部会議にて検討を行い、研究科において問題意識の共有化が得られた。今後
は、想定学部のカリキュラムの内容と変化に応じてカリキュラムの見直しを行う。
(連合大学院の教育課程 コード 1323)
132301 連合大学院における、教育内容の体系性・一貫性を確保するための方途の適切性
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
306/331
132302 複数の異なる大学の大学院課程からなる連合大学院における、下位の学位課程の教
育内容・レベルを視野に入れた当該課程の教育内容の適切性
(「連携大学院」の教育課程 コード 1324)
132401 研究所等と連携して大学院課程を展開する「連携大学院」における、教育内容の体
系性・一貫性を確保するための方途の適切性
「連携大学院」の研修指導を研究科カリキュラムに体系的に位置づけることを目標に、
執行部会議において、連携候補先に関する予備調査の実施を検討した。今後は、連携候
補先についての予備調査を行い、候補先の抽出を行う。
②教育方法等
(教育効果の測定 コード 1325)
132501 教育・研究指導上の効果を測定するための方法の適切性
「修了時の到達度を検証する仕組や個々の授業の成果を検証する仕組をもち、教育効
果を測定する結果指標を開発し、その有効性を検証する(修了生調査や院生実態調査
など)」ことを目標に、すべての科目の科目別アンケートを実施し、結果を分析、FD
委員会にて公表し改善に向けての議論をおこなった。さらに、議論に基づき各担当教
員が改善に向けたコメントを発信し次期科目改善につなげた。
今後は、ひきつづき授業アンケートを実施し、その結果を分析して改善を図るとと
もに、研究科全体へのアンケートも実施することとしたい。
(成績評価法 コード 1326)
132601 学生の資質向上の状況を検証する成績評価法の適切性
教育課程に位置づけられた各授業の役割・目的に応じた成績評価基準を設定した。そ
のために成績評価基準をシラバスに明示し、院生に周知することを目標に実施し、すべ
ての専任教員による基準の明確化を達成した。今後は、非常勤講師や客員教員に対し基
準明確化を徹底させる。
(研究指導等 コード 1327)
132701 教育課程の展開並びに学位論文の作成等を通じた教育・研究指導の適切性
院生の学修状況の客観的な把握と組織的な指導体制を構築した。そのために創造的な
プロジェクトを推進することを促す研究会・セミナー等を開催し、学生の学問的刺激を
誘発させる措置を実施することを目標に、前期課程に対しては秋季および春季の2回報
告会を実施した。報告会では独自の指標による数値評価を行い、達成度の低い学生に対
しては研究科全体で集中主導を行っている。これにより指導教員以外の教員や他の院生
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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との議論も行うことができ有意義な議論の展開を実現した。加えて後期課程学生に対し
ては、報告会を年 3 回実施し、論文購読会を毎月定期的に開催した。今後は、数値評価
の低い学生に対する監視に留まることなく、達成度の高い学生数を増やす活動を進めて
いく。
132702 学生に対する履修指導の適切性
入学時における院生の学修履歴を把握し、個々の院生に対する指導方針を策定した。
入学と同時に全学生に対する履修相談会を実施している。 授業への質疑応答や日常的
な履修指導を初め、メンタルケアも含めたオフィスアワー等を実施し、学生の学習意欲
向上、メンタルケアを図っている。事務室を中心に院生の履修状況、出席状況を把握し、
本人並びに指導教員・担当職員との継続的な相談体制を確立した。今後は履修相談上の
観点を明確化し、教員間でのばらつきを均一化するように努める。
132703 指導教員による個別的な研究指導の充実度
院生に対して適切な指導時間を確保するという目標に対し、月2回∼4回の指導機会
を設けることが定着してきており、不可能な場合もITツールによる連絡や議論を行う
ことでカバーすることを達成した。今後は、オフィスアワー・IT などを駆使して、最低
でも院生と月 1 回以上のコンタクトを取り研究指導を行えるよう改善する。
132704 複数指導制を採っている場合における、教育研究指導責任の明確化
指導分野・主-副の分担等を明確にして院生と共有するとともに、事務室もその状況
を把握するという目標に対し、研究室によっては学生のテーマ決定が遅れている関係で
副査決定が遅れたところも見受けられるが、 比較的早い段階で副査も決定して主査-副
査体制の構築することを実現した。今後は、院生が副査と研究相談をする機会を増やし、
正−副教員による充実した研究指導体制を実現に努める。
132705 研究分野や指導教員にかかる学生からの変更希望への対処方策
院生の研究分野等の変更について、制度的に対応できる体制を確立するという目標に
対し、結果的には執行部および指導教員了解のもと、1名の学生が研究室移籍を行うこ
とを実現した。今後は、課題演習から、課題研究もしくは特別研究へ移行する際に指導
教員の変更を随時認めるよう改善する。
(教育・研究指導の改善への組織的な取り組み コード 1330)
133001 教員の教育・研究指導方法の改善を促進するための組織的な取り組み(ファカルテ
ィ・ディベロップメント(FD)
)およびその有効性
年2回(前期・後期セメスター終了後)に FD 委員会を開催し、授業アンケートの集
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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計結果をもとにカリキュラム改善のための議論を行うことを目標とした。そして、目標
通り、年2回 FD 委員会を開催し、授業アンケート結果を集計し、点数表記により分析
を行い、各担当教員からのコメントのフィードバックをもらい、改善に向けた議論を行
った。 今後は、年2回以上のFD委員会を開催し、科目別及び研究科全体のアンケー
ト結果の集計を報告し、各教員からのフィードバック受け、科目改善を行う。
133002 シラバスの作成と活用状況
教育課程に位置づけられている各授業の役割に応じたシラバスの内容を作成し、院生
が自らの学修計画に応じ適切にシラバスを活用するよう適切な履修指導を行うことを
目標とした。そして、目標通りの指導を院生に実施した。今後は、研究科として、こう
した指導の取り組みを継続的に行う。
133003 学生による授業評価の活用状況
全授業に対して、授業評価アンケートを実施して問題点を分析し、FD委員会に提示
し改善案を検討することを目標とし、前期・後期修了後、2回のFD委員会を開催した。
そして、授業アンケート結果を集計し分析結果を配布、改善案を議論した。各教員から
改善に向けたフィードバックをもらった。今後は、こうした組織的な取り組みを継続的
に実施する。
133004 修了生に対し、在学時の教育内容・方法を評価させる仕組みの導入状況
年一回研究科全体に関してアンケートを実施し、改善案を検討することを目標に、本
年度も研究科全体に関してアンケートを実施し、FD 委員会において、改善案を検討した。
今後は、こうした組織的な取り組みを継続的に実施する。
③国内外との教育研究交流
(国内外との教育・研究交流 コード 1331)
133101 国際化への対応と国際交流の推進に関する基本方針の適切性
国際連携プログラム推進組織の設置及びワークショップ、研究会による教員・学生の
交流、教育プログラムの開発を目標に、中国武漢の華中科技大学との学術交流、学生・
教員協定の締結による院生・教員を交えたセミナーや研究交流を行った。しかし、国際
連携推進組織の設置には至らなかった。今後は、国際連携推進組織の設置、国際連携大
学の拡大、教員・学生の交換を図る。
133102 国際レベルでの教育研究交流を緊密化させるための措置の適切性
国際連携プログラム推進組織の設置及びワークショップ、研究会による教員・学生の
交流、教育プログラムの開発を目標に、博士後期課程院生が華中科技大学へ交換留学に
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
309/331
向かうなど海外研究機関との交流を盛んに行った。今後は、華中科技大学との交流を中
心に、教員、学生の相互交流を継続し、年間数人の研究・教育交流を実現する。
133103 国内外の大学院との組織的な教育研究交流の状況
国際連携プログラム推進組織の設置及びワークショップ、研究会による教員・学生の
交流、教育プログラムの開発を目標に、博士後期課程院生が華中科技大学へ交換留学に
向かうなど海外研究機関との交流を盛んに行った。今後は、国内の教育機関との連携に
ついては、北陸先端科学技術大学との交渉に入るとともに、華中科技大学との交流を中
心に、教員、学生の相互交流を継続し、年間数人の研究・教育交流を実現する。
④学位授与・課程修了の認定
(学位授与 コード 1332)
133201 修士・博士・専門職学位の各々の学位の授与状況と学位の授与方針・基準の適切性
学位の授与方針・基準を適切に運用し、研究科の目標に沿った学位授与者を輩出する
ことを目標とし、全学生に対する周知を実現した。今後は、G30 の採択に伴い英語基準
学生に対しても理解されうるような方針・基準の明確化を図れるよう努めていく。
133202 学位審査の透明性・客観性を高める措置の導入状況とその適切性
主査・副査による審査、口頭諮問・審査の公開など、適切な審査体制を構築している。
学位審査にかかわる、内部通報制度やハラスメント相談制度などについて、院生に対す
る周知を実現した。今後は、外部研究機関から副査を招聘するなど、客観性を高める。
また通報・ハラスメントに関しては英語基準学生に対応するべく国際基準に準拠した制
度の実現に努める。
133203 修士論文に代替できる課題研究に対する学位認定の水準の適切性
修士論文に代替できる課題研究に対する学位認定の水準に関して研究科としての適
切な基準を設定した。今後は、特別研究(修士論文)との相対的な位置づけや評価方法
などの明確化に努める。
133204 留学生に学位を授与するにあたり、日本語指導等講じられている配慮・措置の適切
性
留学生の指導について、特に語学の面における組織的な支援体制を構築した。今後は
G30 採択にあたり、英語基準学生のために必要な教員の確保ならびに教材開発に努める。
(専門職大学院の修了要件等 コード 1333)
133301 法令上の規定や当該専門職大学院の教育目標と、修了認定に必要な在学期間および
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
310/331
修得単位数との適合性
(課程修了の認定 コード 1334)
133401 標準修業年限未満で修了することを認めている大学院における、そうした措置の適
切性、妥当性
標準修業年限未満の修了に関して、大学・研究科内で制度措置を設け、適切な運用を
目指すことを目標にし、特に後期課程に関しては明確な基準の下で短期修了者を輩出し
た。またダブルマスター志望学生は、ある種、短期修了的運用が必要となりこれについ
てはすでに明確な基準が設定されている。今後は、G30 採択に伴い、英語基準学生に対
しても理解されうる基準設定に努めたい。
⑤通信制大学院
(通信制大学院 コード 1335)
133501 通信制大学院における、教育研究指導方法・単位認定・学位授与の適切性とそのた
めの条件整備の適切性
【点検・評価】
目標の達成度
既存の枠を越えた「連携・融合」による教育・研究・サービスを推進し、新しい学問
領域の構築という目標に対しては、多様な教員とカリキュラム編成により十分達成され
ている。幅広い層に対して、理論と実践を融合することによりMOTに関する教育と実
践の場を提供するという目標に対しては、多様な企業におけるプラクティカムや社会人
学生による現場の切実な問題を題材とした課題研究などを数多く取り扱うことにより
高いレベルで達成できている。
効果があがっている事項
学位審査基準の明確化や学修状況の把握などについては高い達成度を示している。
改善が必要な事項
G30 の採択に伴い、グローバルな観点に立脚した英語基準における評価指標の確立や
学位授与の審査基準の明確化などが必要となる。
【改善方策】
長所の伸長方法
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
311/331
基準のさらなる明確化や学生の学修などに関する情報収集の効率化に努める。
問題点の改善方法
英語基準プログラムの確立に際し、FD 活動を通じて新基準を策定するとともに、担
当教員の補充ならびに強化が必要。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
312/331
(28)公務研究科
【到達目標】
公務研究科は、時代が直面する課題に対してグローバルな視野を伴い、
政策立案および政策実施に関わる情報収集・処理、コミュニケーション
等の能力を備えた人材の育成を目的とする。
【現状の説明】
2)修士課程・博士課程・専門職学位課程の教育内容・方法
①教育課程等
(大学院研究科の教育課程 コード 1318)
131802「広い視野に立って清深な学識を授け、専攻分野における研究能力又は高度の専門
性を要する職業等に必要な高度の能力を養う」という修士課程の目的への適合性
2008 年度の一年をかけてこれまでのカリキュラムの問題点を明らかにし、カリキュラ
ム改革に取り組んだ。その成果を「2009 年度開講方針」に示した。また、公務研究科で
は、学部卒業段階で、法学部・経済学部・政策科学部のそれぞれの出身学部の教学内容
についてはそれなりの水準に到達していることを前提としてカリキュラムを構築して
きたが、実際に入学してきた学生がその期待に充分に応えるだけのものを備えていると
は言い難いというのが、科目を実際に担当して院生たちに対してきた者としての実感で
ある。これは、公務研究科に如何なる院生を迎えるかという入学政策に関わる問題であ
ると同時に、公務研究科の方からそれぞれの学生の出身学部に対して提示すべき問題で
もあると考え、2008 年度カリキュラム改革の作業の中でこの点も勘案した改革を考えた。
131803「専攻分野について、研究者として自立して研究活動を行い、又はその他の高度に
専門的な業務に従事するに必要な高度の研究能力及びその基礎となる豊かな学識
を養う」という博士課程の目的への適合性
2008 年度の一年をかけてこれまでのカリキュラムの問題点を明らかにし、カリキュラ
ム改革に取り組んだ。その成果を「2009 年度開講方針」に示した。また、公務研究科で
は、学部卒業段階で、法学部・経済学部・政策科学部のそれぞれの出身学部の教学内容
についてはそれなりの水準に到達していることを前提としてカリキュラムを構築して
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
313/331
きたが、実際に入学してきた学生がその期待に充分に応えるだけのものを備えていると
は言い難いというのが、科目を実際に担当して院生たちに対してきた者としての実感で
ある。これは、公務研究科に如何なる院生を迎えるかという入学政策に関わる問題であ
ると同時に、公務研究科の方からそれぞれの学生の出身学部に対して提示すべき問題で
もあると考え、2008 年度カリキュラム改革の作業の中でこの点も勘案した改革を考えた。
131804 学部に基礎を置く大学院研究科における教育内容と、当該学部の学士課程における
教育内容との関係
2008 年度の一年をかけてこれまでのカリキュラムの問題点を明らかにし、カリキュラ
ム改革に取り組んだ。その成果を「2009 年度開講方針」に示した。また、公務研究科で
は、学部卒業段階で、法学部・経済学部・政策科学部のそれぞれの出身学部の教学内容
についてはそれなりの水準に到達していることを前提としてカリキュラムを構築して
きたが、実際に入学してきた学生がその期待に充分に応えるだけのものを備えていると
は言い難いというのが、科目を実際に担当して院生たちに対してきた者としての実感で
ある。これは、公務研究科に如何なる院生を迎えるかという入学政策に関わる問題であ
ると同時に、公務研究科の方からそれぞれの学生の出身学部に対して提示すべき問題で
もあると考え、2008 年度カリキュラム改革の作業の中でこの点も勘案した改革を考えた。
(研究指導等 コード 1327)
132701 教育課程の展開並びに学位論文の作成等を通じた教育・研究指導の適切性
リサーチ・プロジェクトにおける問題点は、各院生が入学時点で表明している研究計
画に沿ってなされたクラス配置が、その後の当該院生個人の成長の結果とも言える研究
上の問題意識の展開の中で、必ずしも配置されているクラスに完全にフィットしている
とはいえないと院生が感じる状況を呈する事態が散見されたことであり、それは公務研
究科院生クラス会との懇談会(研究科懇談会)においても「リサーチ・プロジェクトの
クラスの途中変更の可能性」が議題として提起されたことにも現れた。この点は、基本
的には、限られた人的資源の中、各クラスの指導の現場において担当教員と所属院生と
の協働の場で解決されるべきことである(現実に研究科執行部も関わるなどして各クラ
スにおける論議が深まり、かなりのレベルでの改善が見られている)が、なお検討すべ
き問題であることは公務研究科教授会としても自覚している。また、政策科学研究科開
講クラスについては、政策科学研究科の開講方針に合わせて公務研究科開講クラスより
早い時間帯で運用され、また院生各自の対する指導教員の配置が公務研究科と異なった
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
314/331
方針で行われていること、開講場所が衣笠であること等に起因して様々の問題点が明ら
かとなってきたため、2009 年度修士課程 1 回生からは公務研究科開設クラスに一元的
に配属させるという方針で臨みたい。
132702 学生に対する履修指導の適切性
リサーチ・プロジェクトにおける問題点は、各院生が入学時点で表明している研究計
画に沿ってなされたクラス配置が、その後の当該院生個人の成長の結果とも言える研究
上の問題意識の展開の中で、必ずしも配置されているクラスに完全にフィットしている
とはいえないと院生が感じる状況を呈する事態が散見されたことであり、それは公務研
究科院生クラス会との懇談会(研究科懇談会)においても「リサーチ・プロジェクトの
クラスの途中変更の可能性」が議題として提起されたことにも現れた。この点は、基本
的には、限られた人的資源の中、各クラスの指導の現場において担当教員と所属院生と
の協働の場で解決されるべきことである(現実に研究科執行部も関わるなどして各クラ
スにおける論議が深まり、かなりのレベルでの改善が見られている)が、なお検討すべ
き問題であることは公務研究科教授会としても自覚している。また、政策科学研究科開
講クラスについては、政策科学研究科の開講方針に合わせて公務研究科開講クラスより
早い時間帯で運用され、また院生各自の対する指導教員の配置が公務研究科と異なった
方針で行われていること、開講場所が衣笠であること等に起因して様々の問題点が明ら
かとなってきたため、2009 年度修士課程 1 回生からは公務研究科開設クラスに一元的に
配属させるという方針で臨みたい。
132705 研究分野や指導教員にかかる学生からの変更希望への対処方策
リサーチ・プロジェクトにおける問題点は、各院生が入学時点で表明している研究計
画に沿ってなされたクラス配置が、その後の当該院生個人の成長の結果とも言える研究
上の問題意識の展開の中で、必ずしも配置されているクラスに完全にフィットしている
とはいえないと院生が感じる状況を呈する事態が散見されたことであり、それは公務研
究科院生クラス会との懇談会(研究科懇談会)においても「リサーチ・プロジェクトの
クラスの途中変更の可能性」が議題として提起されたことにも現れた。この点は、基本
的には、限られた人的資源の中、各クラスの指導の現場において担当教員と所属院生と
の協働の場で解決されるべきことである(現実に研究科執行部も関わるなどして各クラ
スにおける論議が深まり、かなりのレベルでの改善が見られている)が、なお検討すべ
き問題であることは公務研究科教授会としても自覚している。また、政策科学研究科開
講クラスについては、政策科学研究科の開講方針に合わせて公務研究科開講クラスより
早い時間帯で運用され、また院生各自の対する指導教員の配置が公務研究科と異なった
方針で行われていること、開講場所が衣笠であること等に起因して様々の問題点が明ら
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
315/331
かとなってきたため、2009 年度修士課程 1 回生からは公務研究科開設クラスに一元的に
配属させるという方針で臨みたい。公務研究科は、第一義的には公務員をはじめとする
公務従事者として活躍できる人材を養成することを念頭において開設され、カリキュラ
ム編成も研究指導もこの目的を追求するものとして取り組まれてきた。社会人として受
け入れる院生であっても、既に従事している仕事に公共政策の観点から必要なスキル等
に磨きをかける場と考えている。従って、進路問題に対しては、上述の科目編成とその
運用においてこそ最も端的に示される取組実績である。また、公務員試験対策という点
に関しては、所謂受験指導を旨とするものではない公務研究科として、試験対策講座を
多数開設するエクステンションセンターとの協働協力関係を構築して連絡を密にして
きたが、2009 年度においては、講座設計についての協議も含め、この方面での取組を一
層強化したい。ただ、公務研究科を受験する時点では「公務員として公務に従事する」
旨を志望していた院生が、その後の人間としての成長過程の中で進路志望を柔軟化して
ゆく場合が多々見られる。国家公務員Ⅰ種のみならず、同Ⅱ種を志望することも、この
両者の関係が職務遂行のあり方についての違いと解するならば、志望変更とまでいうこ
とは不適切である。また、地方公務員を志望することも公務に従事する場を目指してい
ることに変わりはない。裁判所職員や家庭裁判所調査官あるいは司法書士や行政書士を
目指す場合も、要は職務に従事する上での姿勢ないし見識をどのように備えて行くかと
いう問題であって、公務研究科の開設趣旨とのかかわりでこうした進路志望を云々すべ
きではない。この点は、所謂民間事業者ないし民間企業就職を志望する場合であっても
同じである。公務研究科としては、その限りで研究科に特異的な進路問題への取組を構
想するということではなく、正規カリキュラムの編成と運用に於いてこそ、上述した意
味での公務従事者としての優れた人材を育成し、各人の進路期待に応えていくという課
題に正面から取り組んで行きたい。2−2 2008 年度の進路問題への取組の成果 2008
年度においても前年度に引き続き、国家公務員Ⅰ種試験に合格するのみならず省庁に実
際に採用されるという人材を、在学一年の期間で修了することができる特別に優秀な成
果を修めた院生として輩出することが出来た(2008 年度修了生の進路の概要は資料 3
に示す通りである)。2−3
2009 年度の取組
基本的には、広い意味での優れた公務
従事者となる人材を育成するという教学目標に即し、キャリアセンターやエクステンシ
ョンセンターを含む、歴史ある総合大学としての立命館大学の広範な資源を活用した進
路問題への取組を展開したい。
(教育・研究指導の改善への組織的な取り組み コード 1330)
133001 教員の教育・研究指導方法の改善を促進するための組織的な取り組み(ファカルテ
ィ・ディベロップメント(FD)
)およびその有効性
公務研究科のカリキュラムの内容は、狭義の専門性を追及するものというよりは、寧
ろ専門的な基礎的知識の応用、複合的な知識相互の関連づけという上述した教学課題認
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
316/331
識に基づいて開設され、運用されている(開設科目の設置と配置並びに担当者について
は資料 1)。公務研究科で取り組みを進めてきた FD 活動としては、定例教授会でリサー
チ・プロジェクトを中心として各自の担当科目の現状把握に基づいた評価を説明し、相
互の体験交流と経験・情報の共有化を進めてきた。また、政策科学研究科と共同で申請
した「地域共創プロデューサー育成プログラム」が採択され、これに関わる科目を開設
し、院生の積極的参加を見た。
院生の学修実態や活性化の方法、教育指導方法の改善などについて教員間で意見や情
報の交換ができる場を継続的に設ける 院生代表と定期的に継続的に意見交換を行い、教
育改善に反映し、院生を交えたFD活動等を支援するシステムを構築する 上記2点の取
組みを研究科全体で共有し組織的に支援する 機構等が組織的に実施する在学生満足度
調査や、修了生の進路先に対する総合調査を活用し、改善に活かす。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
317/331
(29)先端総合学術研究科
【到達目標】
私立大学としての立命館大学固有の伝統と経験と蓄積、とりわけ活発に展開されてき
た研究所・センター群における研究活動の蓄積、京都という世界文化におけるきわめて
ユニークな立地条件を最大限に生かし、人文科学および社会科学の分野における研究と
教育の活発な融合をめざす衣笠総合研究機構連携の研究科とする。すなわち、本学が展
開してきた研究所・センター群におけるプロジェクト研究と、大学院教育との結合をめ
ざす。
この結合によって院生を研究の現場において養成し、研究組織者としての経験を得る
機会を提供するとともに、院生の新しい問題意識との緊張関係のもとで研究プロジェク
トを展開することで、研究機関そのものの不断の自己更新をはかる。
また、新たなタイプの教育機関として、複数言語使用、外国語による発信、海外の同
等機関との研究教育協力といった国際標準を達成するものをめざすとともに、既存の各
研究科との切磋琢磨をはかるため、設置科目、プロジェクト研究を一定の条件のもとで
既存研究科所属の院生にも受講可能なものとすることで、相互に交流し刺激しあう教育
システムを構築する。
【現状の説明】
2)修士課程・博士課程・専門職学位課程の教育内容・方法
①教育課程等
(大学院研究科の教育課程 コード 1318)
131801 大学院研究科の教育課程と各大学院研究科の理念・目的並びに学校教育法第 99 条、
大学院設置基準第 3 条第 1 項、同第 4 条第 1 項との関連
本研究科は、「プロジェクトを基礎とした新たなタイプの研究者」としてそのベース
となる「学術の理論及び応用を教授研究」し、また、研究者としてのみならずシンクタ
ンクに代表されるような高度な専門性が求められる職業を担う人材を輩出するという
点で、学校教育法、大学院設置基準等に合致する。また、新たなタイプの研究者養成に
よって、「文化の進展」に寄与するという点でも、各種法令の趣旨に合致している。
131802「広い視野に立って清深な学識を授け、専攻分野における研究能力又は高度の専門
性を要する職業等に必要な高度の能力を養う」という修士課程の目的への適合性
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
318/331
本研究科は、修士課程ではないが、修士学位取得の道も用意されている。院生のキャ
リアパス、アカデミックパスの変更により、博士修了をまたずに社会に出ていくことは
十分に想定される。ただし、この場合も、本研究科の特色である、専門性を有しながら
学際的な知識ならびに能力を有する人材を育成するという教育カリキュラムの中で教
育研究をするため、自らら、「広い視野に立って清新な学識を授け、専攻分野における
研究能力又は高度の専門性を要する職業等に必要な高度な能力」を備えた人材として養
成される。
131803「専攻分野について、研究者として自立して研究活動を行い、又はその他の高度に 専
門的な業務に従事するに必要な高度の研究能力及びその基礎となる豊かな学識を
養う」という博士課程の目的への適合性
本研究科は、インターディシプリン型であり、それぞれの院生が自らの専攻分野を持
ち寄りながら、他分野と融合させながら新たな学問領域を作りあげていくことを理想と
している。したがって、各人の持ち寄る専攻分野の熟成度は異なるものの、全体として
自らの専攻分野で研究者として自立した研究活動を行えることを期待している。むしろ、
本研究科では「その他の高度に専門的な業務に従事するに必要な高度な研究能力及びそ
の基礎となる豊かな学識を養う」という部分に研究科としての特長を有する。つまり、
各人がそれぞれの専門分野も持ちつつも、他の分野と融合させ新たな研究分野を切り開
くためには、専攻分野での研究以上の高度な研究能力や他分野への豊かな学識がなくて
はできないものであり、これらを育成に努めているのが本研究科の特色であるからであ
る。
131804 学部に基礎を置く大学院研究科における教育内容と、当該学部の学士課程における
教育内容との関係
本研究科は独立研究科であり、学部に基礎がない研究科である。ただし、学部段階で
修得したディシプリンを深めつつ、大きなテーマに即した具体的な主題に取り組むこと
でディシプリンを横断する新たな研究領域を切り開くという研究科の狙いからすると、
学部段階でのディシプリン修得をも重視している。研究科は学際的領域を研究対象とし
ており、学部段階での広いディシプリンを許容する。
131805 修士課程における教育内容と、博士(後期)課程における教育内容の適切性および
両者の関係
本研究科は一貫制博士課程であり、修士課程と博士課程という区別は明確にはとって
いない。しかし、1、2 年次が博士論文を執筆するための基礎的能力の開発にあたり、
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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以後 3 年間が博士論文の執筆ならびに研究となっている点を見れば、修士課程と博士課
程の関係と類似している。ただし、一貫制であるため、1、2 年次と 3 年次以降はカリ
キュラムあるいは教育システムとしてはより緊密性と一貫制をもっている。また、年次
に縛られない柔軟性も持っている。なお、各人のキャリアパスやアカデミックパスが多
様であることに配慮して、制度として、2 年での修了(修士課程での修了)をもってい
る。また、修士課程的なものを想定したものとして、逆に、3 年次入学を制度として用
意している。
131806 博士課程(一貫制)の教育課程における教育内容の適切性
本件については研究科完成年度の 2007 年 4 月に設置した自己評価委員会の中で具体
的に検証した。教授会で教育改善について議論し、カリキュラム内容を改善した。具体
的には、基礎講読演習の重要性を再度確認し、2008 年度開講から基礎講読演習を専任教
員による共同担当制にすることになった。また、アカデミックライティングⅣの内容を
具体的な論文作成トレーニングにすることになった。さらには、リサーチマネジメント
Ⅲを「人を対象とした研究倫理」に対応する内容にすることになった。今後、新カリキ
ュラムの適切な実施と FD 委員会および教授会でカリキュラム改善の検証を継続して行
っている。また、研究科独自の内部評価と外部評価を実施し、教育内容を新ためて検証
したところであり、今後、同評価で出された課題を教育システムの改善につなげるべく
検討していく予定である。
131807 博士課程における、入学から学位授与までの教育システム・プロセスの適切性
まず、学位授与までのプロセスの明示と周知に関しては、2003 年 4 月の開設以来、入
学から学位授与までのフローチャートの明示および周知に努めてきた。また、それとと
もに見直しにも努めてきた。例えば、2005 年に採択された「魅力ある大学院教育」イニ
シアティブにより、当初に比べてより高度化したモデル例を取り入れている。やや詳細
にプロセスを説明すれば以下のとおりである。入学試験で提出する研究計画は日本学術
振興会申請書の書式を基本的に踏襲している。入学者は 4 月入学の時点で指導教員と相
談の上、より精緻化した研究計画を再提出し、それにもとづいて研究準備を開始する。
履修単位はないが、一年次生も上回生を中心にした予備演習に参加し論文準備段階の報
告を聞き質疑に参加する。後期からは予備演習Ⅰにおいて論文の準備にとりかかる。二
年次になると原則として全員が日本学術振興会特別研究員の申請の準備をする。それは
研究計画の見直しでもある。その際には「魅力ある大学院教育」イニシアティブの諸活
動の一環で作成した「日本学術振興会特別研究員申請マニュアル」(別送資料)を活用
する。これと並行して博士予備論文の構想をより深め、7 月末の博士予備論文構想発表
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
320/331
会への準備を進め、予備演習Ⅱにおける報告および指導教員による個別の指導をうける。
構想発表会での構想およびそれへのコメントを基礎に後期には博士予備論文の執筆を
進める。そして翌年 1 月には博士予備論文を提出して口頭試問をうけるのである。博士
予備論文の審査に合格したものはプロジェクト演習において準備中の論文について報
告し、また個別に指導をうける。指導の内容には博士論文との関連で、所属学会等でお
こなう報告あるいは投稿論文についての作成方針をふくめた検討もおこなわれる。そし
て博士論文提出予定の最低 5 ヵ月ないし 1 年前に博士論文構想発表会(予備論文構想発
表会と同時開催)において博論構想を報告する。
また、2006 年度からは「博士論文構想発表会」の発表内容から博士論文の執筆準備が
十分に整っていると判断された者には、「博士候補者」(Ph.D. candidate)を対外的に名
乗る資格を与える制度を新設した。これは院生からの要望に応える形で制度化を試みた
ものである。今後は研究科 HP での明示も視野に入れ検討したい。
つぎに、学位授与までのプロセスへの教育目的の反映に関しては、本研究科では博士
論文受理条件としてレフェリージャーナル掲載相当の論文 3 本以上を執筆していること
としている。それをサポートするために、2005 年 3 月に外部査読付き(論文のみ)研究
科紀要『コア・エシックス』第 1 巻を刊行以来、現在まで毎年 1 巻、計 4 巻を刊行して
いる。その『コア・エシックス』掲載に向けて院生が執筆する論文の指導および編集委
員会での諸活動を実施してきた。
(授業形態と単位の関係 コード 1319)
131901 各授業科目の特徴・内容や履修形態との関係における、その各々の授業科目の単位
計算方法の妥当性
3 年次以降の研究プロジェクトに参加するための準備期教育として、「基礎共通科目」
(講読)、「基礎専門科目」(講義)、「サポート科目」(スキル養成)、「プロジェク
ト予備演修了に必要な単位は、プロジェクト演習(8 単位)を含めて 38 単位以上である。
プロジェクト演習を除いた 30 単位は一部の科目を除き所属領域に関係なくすべての科
目分野から選択・履修できるが、博士予備論文・博士論文の執筆に向けた計画的な履修を
促す。学位の要件として、原則として 1・2 年次で 30 単位以上を取得し、2 年次終わりに
は博士予備論文を提出する。3 年次からはプロジェクト演習を履修し、課程博士学位の
取得に値する国際的水準に達した論文を作成・提出する。博士論文提出の条件として、
学術雑誌において論文 3 篇以上刊行されていることが必要としている。
(単位互換、単位認定等 コード 1320)
132001 国内外の大学院等での学修の単位認定や入学前の既修得単位認定の適切性(大学院
設置基準第 15 条)
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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在籍者に対しては学内の他研究科や国際先端プログラム、あるいは関西四大学履修交
換科目やその他の大学院の開講科目(外国の大学院を含む)での履修単位を、10 単位を
上限として、修了に必要な単位として認定する場合を認めているほか、2005 年度以降は、
3年次入学生に対しては 30 単位を上限とする読み替えを教授会の判断でおこなってい
る。2008 年度以降は、3 年次入学生に対しては、本研究科での履修を促進するために、
原則的に 22 単位を上限とする読み替えを教授会の判断でおこなっている。海外の同等
機関との研究教育協力としては、2006 年 3 月に台湾の佛光人文社会学院、2007 年 2 月
にはイタリアのベルガモ大学複雑性認識論人類学大学院と包括的研究協力協定を締結
し、現在共同学位構想に向けて交渉中である。さらに、国立高雄第一科技大学との交流
協定、パリ第七大学(ドニ・ディドロ大学)ならびに世界的にも高等教育機関として高位
にランクされるエコール・ノルマル・シュペリウールとの包括的な協力および教員、院
生の交換協定も本研究科が窓口となって締結した
また執行部ならびに 2007 年度設置した自己評価委員会でも単位互換・単位認定の意義
について再度検討した。
(社会人学生、外国人留学生等への教育上の配慮 コード 1321)
132101 社会人、外国人留学生に対する教育課程編成、教育研究指導への配慮
留学生を獲得することは、研究科が国際標準に値するかを知る試金石としてきわめて
重要であるばかりでなく、日本人大学院学生にとっても外部にひらかれた研究のあり方
を考えるヒントともなる。いいかえると、留学生の獲得は「国際化」なるものの重要な
礎石と位置づけられる。そうした考えから研究科開設当初は、立命館大学にとって重要
な資源でもある APU(立命館アジア太平洋大学)の留学生獲得をめざして特別説明会
も開催したが、残念ながらはかばかしい反響をえることができなかった。海外大学で日
本語科のある大学(たとえばパリ第七大学)との協力協定締結もまたこうした方針に沿
っておこなったものである。こうした経験を総括して留学生獲得の基本的な方針を見定
める段階にきていると考える。協定校に対する恒常的な広報活動、専任教員の研究活動
の周知、生存学センターの活動の周知などの方針を検討したい。本研究科は基本的に土
曜開講や夜間開講は行っていないので、現職社会人の場合には、勤務との両立は本人と
指導教員それぞれの工夫と努力が不可欠である。集中講義の活用やメーリングリスト
(ICT)を使った研究指導、合宿等も行いながら、限られた登校日数で教育効果を挙げ
るよう努力している。
先述したが、2005 年度の「魅力ある大学院教育」イニシアティブ(大学院 GP)採択
により、論文指導に専念できる日本語・英語の論文指導スタッフの雇用が可能になり、
面談や E メール、メーリングリスト(ITC)などを使用したきめ細かな指導を通じて有
職社会人や遠隔地在住の社会人院生に対する論文指導で効果をあげている。また、大学
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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院 GP 予算を使って購入した図書・シンポジウムのビデオ・DVD は遠隔地院生にも送
付する体制を整えており、一定の配慮をしている。今後も引き続き行っていく。また、
国際的水準の論文の輩出を目指して、英語論文の執筆も奨励していく。 また、外国人
留学生に対しては、研究に必要な日本語能力を求めているが、英語による講義・演習も
開講されている。また、大学院共通の英語プログラムも用意されており、多様な内容を
英語で修得することも可能となっている。それに加えて、当研究科紀要『コア・エシッ
クス』に英語論文を投稿することを認め、国際シンポジウムなどでの英語での発表の機
会も与えている。
(独立大学院等の教育課程 コード 1322)
132201 学部に基礎を置かない独立大学院、独立研究科における、下位の学位課程の教育内
容・レベルを視野に入れた当該課程の教育内容の体系性・一貫性を確保するための
方途の適切性
本研究科は独立研究科でしかも学際的な研究科であるため、レベルも専攻も違う様々
なバックグラウンドをもった院生が入学することを想定している。院生の学力あるいは
能力の違いにより、研究科内での研究活動が博士課程で要求されるレベルで実施できな
いことを避けるため、特に、1、2 年次にアカデミックな部分での基礎的能力が培える
ようカリキュラムを整備している。つまり、特に、3 年次以降の研究プロジェクトに参
加するための準備期教育として、「基礎共通科目」(講読)、「基礎専門科目」(講義)、
「サポート科目」(スキル養成)、「プロジェクト予備演習」(演習)の 4 科目群が準
備され、また、随時行われる指導教員による個別指導によって、基礎的学力の底上げを
教育システムとして備えている。
②教育方法等
(教育効果の測定 コード 1325)
132501 教育・研究指導上の効果を測定するための方法の適切性
全学方針に沿った評価活動を実施するだけでなく、研究科独自の評価活動を実施して
いる。具体的には、2007 年度に内部評価と外部評価を実施、2008 年度には評価報告書
を作成した。全学の自己評価のみを行う教学機関が多い中、研究科の内発的な試みであ
ると自負している。今後は、評価報告を教学改善につなげるべく検討に入りたいと考え
ている。
132502 修士課程、博士課程、専門職学位課程修了者(修業年限満期退学者を含む)の進路
状況
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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本研究科では、プロジェクトを基礎とした新たなタイプの研究者養成を目指し設置さ
れた。その際のキャリアパスは、研究者や教員はもちろんのこと、シンクタンク等民間
の研究機関等もキャリアパスとなることを想定し、そういった社会が、研究科の完成年
度には訪れるであろうことを期待した。しかし、こういった意図とは裏腹に、日本経済
の不況、博士課程の急増によるポスドクの就職問題等、逆風が吹いており、実際、研究
科が意図したキャリアパスへそれぞれの修了生が進めているわけではない。研究生とし
て学内にとどまっている修了生もいる。また、研究科が予想したようなプロジェクトを
マネージメントできる研究者の受け皿が日本社会で広く認知され、その機会が広がって
いるということも今のところ一部にとどまっている。そのため、研究科としては、これ
らの状況にどのようない対処するか検討の必要に迫られている。全学レベルでも後期課
程修了者の就職問題が課題提起され、検討に入った。研究科としては今後、全学と連動
しながら、この問題に取り組んでいく必要を感じており、検討をしている。
132503 大学教員、研究機関の研究員などへの就職状況と高度専門職への就職状況
テニュアがまだまだ少ないが、一定、大学教員等への就職の道も開かれてきている。
今後は、非常勤ではなく、専任がどの程度増えるか、また、新卒の修了生がどの程度、
本人希望で、教員となれたが課題である。以下は例である。立命館大学産業社会学部教
授、奈良文化女子短期大学専任講師、京都市立看護短期大学専任講師、(北京)清華大
学常勤講師、京都文教大学人間学部臨床心理学科准教授、京都造形芸術大学通信教育部
非常勤講師、姫路日ノ本短期大学非常勤講師兼立命館大学大学院先端総合学術研究科非
常勤講師兼「生存学」創成拠点 PD、日本学術振興会特別研究員(京都大学)及び「生存
学」創成拠点 RA。
(成績評価法 コード 1326)
132601 学生の資質向上の状況を検証する成績評価法の適切性
成績評価基準については、2007 年度の研究科完成年度に自己評価委員会で適切性の尺
度を見出せるように話し合い、自己評価書を作成するなど FD 活動に着手した。
また、毎年度、院生の授業アンケートを実施するとともに、院生との懇談会を年 2 回
定期的に実施し、意見交換を行っている。
(研究指導等 コード 1327)
132701 教育課程の展開並びに学位論文の作成等を通じた教育・研究指導の適切性
本研究科は開設以来、博士号取得の基礎となるレフェリーつき論文執筆の機会を与え
るため、研究科紀要『コア・エシックス』(CE)を現在まで計 4 巻(毎年 1 冊)刊行
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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しているが、論文執筆数は確実に伸びてきている。また、2007 年 8 月には初の試みとし
て CE 研究報告会(投稿者連続集団検討会)を開催した。2008 年度以降も継続していく
予定である。この論文指導および英文要旨の指導にあたっては、2005 年度に採択された
「魅力ある大学院教育」イニシアティブで雇用した日本語・英語の論文指導スタッフが
大きく貢献した。英語論文については、現状数は少ないが、引き続き執筆を奨励してい
くようにしている。 課程博士取得者の数も順調に伸びてきている。 また、日本学術
振興会特別研究員採択数も増加してきており、全学の採択の牽引ともなっている。2008
年度以降、CE 投稿支援および編集委員会活動、CE 研究報告会の開催、論文指導スタ
ッフによる日・英論文指導支援継続、留学生の日本語論文支援の着手、個人別論文指導
「カルテ」システムの開発とその運用を行っている。
132702 学生に対する履修指導の適切性
本研究科では、開設以来、入学試験の際の研究計画書を重視し、指導教員が主となっ
て院生個々の指導を行ってきている。
具体的には、プロジェクト予備演習・プロジェクト演習、そして研究科紀要の『コア・
エシックス』論文執筆の共同指導を行っている。また、院生の幅広い知的好奇心を満た
すため、ML などを活用した研究会などの開催情報の提供も試みている。また毎年研究科
の彙報を発行・配布することで院生と教員の情報共有を図ってきている。
院生の履修状況などについては、原則として毎週金曜日に開催している執行部会議な
らびに隔週の火曜日に開催している教授会などで確認する場を設けている。
132703 指導教員による個別的な研究指導の充実度
教員ごとにさまざまな方法で指導を行っている。オフィスアワーを使った対面指導お
よび個人メールやメーリングリストを介した遠隔地や有職社会人の院生に対しても丁
寧に個別に適切な指導を行っている。しかしながら、テーマ責任者を中心とした指導方
針、指導内容の共有化についてはまだ十分にはかられていない部分があり、研究科とし
て課題を共有し、改善に努めている。
132704 複数指導制を採っている場合における、教育研究指導責任の明確化
研究科としては、入学時に院生に文書で所属領域・指導教員(主 1 名・副 2 名)を記
入させて事務室に提出させている。また、指導教員の変更がある場合は変更届が事務室
に提出された後の、直近の執行部会議および教授会で、追認する体制を整えている。ま
た、実際の指導では、年度ごとに年次計画書を書かせ、指導教員が共有する方法や「カ
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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ルテ制」の試行など、部分的には行っているが、研究科としての統一的な方式は見出し
ていない。とはいえ 2 回生時、および 3 回生時に基本的に院生全員に求められている日
本学術振興会特別研究員への申請の際に必要となる研究計画の作成の過程とその評価
書の作成によって計画書作成についての共同の指導と評価書作成者による総括的指導
責任というかたちで一定の役割分担、責任分担が明確になっている。
132705 研究分野や指導教員にかかる学生からの変更希望への対処方策
本研究科開設以来、執行部による相談体制を確立している。また、院生の希望を尊重
した指導体制変更制度を設け、実施している。
(教育・研究指導の改善への組織的な取り組み コード 1330)
133001 教員の教育・研究指導方法の改善を促進するための組織的な取り組み(ファカルテ
ィ・ディベロップメント(FD)
)およびその有効性
院生との懇談会(年 2 回)を実施している。この中で、院生からの課題提起を受け止
め、研究科教授会で検討し、改善を実施している。また、これに加えて、自己評価委員
会を 2007 年 4 月に発足して自己評価書を作成した。この評価は大学基準協会の定めた
認証評価項目に沿った詳細なものであり、これを院生や教授会のメンバーにフィードバ
ックすることにより、さらに議論を深めた。また、その後、外部評価者による外部評価
を行い、評価報告書を研究科独自で完成させた。今後はこの自己評価書を踏まえた FD
委員会の活動を行う予定であり、研究科で課題を共有しながら今後進めていく予定であ
る。
133002 シラバスの作成と活用状況
全学基準に沿って実施している。また、研究科発足時点からシラバスの必要性は自明
として、むしろシラバスに予定された内容が実施されたかどうかの検証が重要であると
考え開設以来毎年度「彙報」(各授業の事後報告である「講義実施概要」、および研究
社会活動等の実績報告)を作成してきた。したがってシラバスの適切性はシラバスと実
施報告とを対応させる方式を採用・実施している。
133003 学生による授業評価の活用状況
毎年、カリキュラムごとの授業アンケートを実施し、その結果分析と内容点検をおこ
なっている。即座に対応が可能なものは研究科執行部を中心に対応し、研究科の中長期
的課題については研究科教授会で検討するなどして対応方法について検討し実行する
ような方式をとっている。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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133004 修了生に対し、在学時の教育内容・方法を評価させる仕組みの導入状況
現在は、修了生に対して在学時の教育内容・方法を評価させる仕組みは正式には導入
していないが、修了生がポスドクとして学内に在籍しており、ポスドク生からのフィー
ドバックを実質的には受けながら、研究科としての改善をはかるような形となっている。
修了生の意見は貴重な情報源となっているが、今後、修了生が増えてくるにあたって、
システムとして修了生の意見をもっと研究科の改善に活かすようなシステムの検討が
必要であると研究科も認識している。
③国内外との教育研究交流
(国内外との教育・研究交流 コード 1331)
133101 国際化への対応と国際交流の推進に関する基本方針の適切性
研究科の「国際化」については 4 つのレベルで判断している。①海外からの講師、研
究者の招聘、②担当教員の研究レベルでの国際共同研究の深化、③機関間の協力協定の
締結とその実質化、④院生レベルでの在外研究および研究交流である。一般には
①→②→③→④という過程で国際化が深化すると考えている。実際、①②として以下の
事例があり、③、④への深化が課題であると認識している。
①については旧大学院部が中心となって組織運営してきた「国際プログラム」の枠組
みによる海外研究者の招聘、集中講義の開催をあげることができる。本研究科は開設当
初から「国際プログラム」のうち広く倫理を主題とした集中講義 2 科目分について開講
責任を担ってきている。研究科開設以来 5 年間に様々な著名な研究者を招聘している。
次に機関間の協力協定の締結については、国際部、研究部との連携の中で多方向的に国
際交流を推進する体制の構築を目指し、2006 年 3 月に台湾の佛光人文社会学院、2007
年 2 月にはイタリアのベルガモ大学複雑性認識論人類学大学院と包括的研究協力協定を
締結し、現在共同学位構想に向けて交渉中である。さらに、国立高雄第一科技大学との
交流協定、パリ第七大学(ドニ・ディドロ大学)ならびに世界的にも高等教育機関として
高位にランクされるエコール・ノルマル・シュペリウールとの包括的な協力および教員、
院生の交換協定も本研究科が窓口となって締結した。今後も引き続き国際部、研究部と
連携をとりつつ国際化への対応をとっている。また、グローバル COE の「生存学」創成
拠点とも連携をとりつつ新たな国際交流を進めているところである。
133102 国際レベルでの教育研究交流を緊密化させるための措置の適切性
国内外の研究機関、特に国外の研究機関との共同学位プログラム設立などを目指し、
国際部、研究部との連携の中で、2006 年 3 月に台湾の佛光人文社会学院、2007 年 2 月
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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にはイタリアのベルガモ大学複雑性認識論人類学大学院と包括的研究協力協定を締結
し、現在共同学位構想に向けて交渉中である。さらに、国立高雄第一科技大学との交流
協定、パリ第七大学(ドニ・ディドロ大学)ならびに世界的にも高等教育機関として高位
にランクされるエコール・ノルマル・シュペリウールとの包括的な協力および教員、院
生の交換協定も本研究科が窓口となって締結した。今後も引き続き国際部、研究部と連
携をとりつつ国際化への対応をとっていく。また、グローバル COE の「生存学」創成拠
点ならびに「日本文化デジタル・ヒューマニティーズ」拠点とも連携をとりつつ新たな国
際交流を進めている。
133103 国内外の大学院との組織的な教育研究交流の状況
国内外の研究機関、特に国外の研究機関との共同学位プログラム設立などを目指し、
国際部、研究部との連携の中で、2006 年 3 月に台湾の佛光人文社会学院、2007 年 2 月
にはイタリアのベルガモ大学複雑性認識論人類学大学院と包括的研究協力協定を締結
し、現在共同学位構想に向けて交渉中である。さらに、国立高雄第一科技大学との交流
協定、パリ第七大学(ドニ・ディドロ大学)ならびに世界的にも高等教育機関として高位
にランクされるエコール・ノルマル・シュペリウールとの包括的な協力および教員、院
生の交換協定も本研究科が窓口となって締結した。今後も引き続き国際部、研究部と連
携をとりつつ国際化への対応をとっていく。また、グローバル COE の「生存学」創成拠
点とも連携をとりつつ新たな国際交流を進めている。
④学位授与・課程修了の認定
(学位授与 コード 1332)
133201 修士・博士・専門職学位の各々の学位の授与状況と学位の授与方針・基準の適切性
「課程博士」の審査対象となる要件として、本研究科は次の 4 項目を設けている。
1) 修了に必要な単位数(38 単位)を取得見込みであること。(うち 8 単位分に相
当する「プロジェクト演習」の単位取得のためには当該科目を 1 年以上履修して
いることが必要である。
2) 主題に関する学術論文について、次の要件を満たしていること。
申請の時点で、学術雑誌において論文3編以上が受理決定(掲載決定)されて
いること。
刊行予定については、掲載決定証明を添付すること。
3) 原則として学位授与申請を行う 5 ヶ月前までに、「博士論文構想発表会」を行
っていること。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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4) 学位論文は、国際的水準に達していること。
研究科発足後、年々、課程博士号の取得の数が増加してきている。 また、本研究科に 2
年以上在学し、かつ所定の単位(30 単位)を取得し、博士予備論文の論文審査をへて、プ
ロジェクト演習のフルメンバーの資格を得た者が、やむを得ぬ事情によって退学せざる
をえない場合、本人の希望があれば再度の論文審査・試験を行った上で、修士学位を授
与するケースも認めている。
133202 学位審査の透明性・客観性を高める措置の導入状況とその適切性
学位審査にあたっては公聴会を実施しており、審査の透明性・客観性を高めている。
また、学位授与までのプロセスの明示と周知に関しては、2003 年 4 月の開設以来、入学
から学位授与までのフローチャートの明示および周知に努めてきている。さらに、審査
にあたっては指導教員、本研究科教員および学外研究者の参加を得て厳正に行うことと
している。具体的には、博士論文審査体制に関する「申し合わせ」では以下のようにな
っている。つまり、主たる指導教員、主たる指導教員の所属するテーマ領域以外から 1
名の先端研専任教員、博士論文の課題に近い学外の学識者、その他、立命館大学の教員、
最低 4 名による審査体制を組むこととしている。上記のようにすることで、「国際的水
準」と「厳正さ」を担保できる。また、論文執筆の段階から幅広い知見と研究者との接
触が望ましいとの判断が徹底できる。現実に、課程博士取得者の多くは学外教員との接
触を通して、学内では十分に得られない知見や助言を早くから得ている。また、『コア・
エシックス』における外部審査員の登用も同じ趣旨に則ったものである。
133203 修士論文に代替できる課題研究に対する学位認定の水準の適切性
研究科は一貫制博士課程であり、基本的スタンスとしては修士学位取得を奨励してい
ない。そういった趣旨であるため、修士論文に代替できる課題研究に対する学位認定の
制度を設けていない。やむを得ず、修士号をとって修了する場合も、博士予備論文に修
正・加筆をした上で修士論文として水準を備えたものを提出する必要がある。
133204 留学生に学位を授与するにあたり、日本語指導等講じられている配慮・措置の適切
性
本研究科では、最近、留学生が多くなってきている。研究科では数年前からこれらの
ものに対する論文指導の課題を認識しており、現在では日本語論文指導の教育システム
を研究科として構築している。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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(課程修了の認定 コード 1334)
133401 標準修業年限未満で修了することを認めている大学院における、そうした措置の適
切性、妥当性
これまで早期修了制度を活用して早期に課程博士を取得したものは、入学時点で修士
学位を有していた者に限られている。最短の修了者は在学 3 年で学位を取得した。2005
年度以降、修士学位保有層は3年次入学制度を活用して入学するようになり、彼ら彼女
らにも最短 2 年での学位取得が可能になっているものの、今のところその事例はない。
なお、本研究科では「博士論文構想発表会」をおこなった者で、「プロジェクト演習」
以外の修了要件単位(30 単位)を取得見込みの者に対しては、博士候補者(Ph.D.
candidate)の資格を与え、また仮に学位請求論文の提出がなかった場合にも単位取得
退学を認める方向で考えている。したがって、本措置と早期修了制度とを併用すること
で、満期退学ではないが、単位取得退学を認めるケースがこれからはあらわれてくると
考えられる。
【点検・評価】
目標の達成度
非常なユニークな目的、教育目標、人材目標をもった研究科であるが、これにあった
教育システムを試行錯誤しながら生み出して、今日に至っている。既存の研究科と内容
も取り組みも違うため、いまだに教育システムが進化しており、本当の意味での目標達
成はまだまだ先にあると考えている。しかし、学内外の厳しい環境の中で研究科として
は奮闘してきたと考えている。
効果があがっている事項
外部資金なども獲得しながら、新たな教育システムを構築してきた。
改善が必要な事項
研究科で養成した人材をいかに社会に送り出し、そこで受容され、社会貢献できるか
が大きな課題となっている。教育システムの構築という内へのベクトルのみならず、社
会との関わりで、いかに修了生を送り出していくかが課題であり、それに向けて改善が
必要である。
【改善方策】
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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長所の伸長方法
現在の教育システムは非常に財政的な負担が掛かるため、有限の財政補助を考えると、
効率的な教育システムの運営をしないと、財源を理由に教育システムがとまってしまう。
教育システムの効率性を検証する必要がある。そうしていけば、現在ある研究科のユニ
ークな教育システムを今後も継続していける。
問題点の改善方法
実態を調査し、課題を研究科全体で認識し、その上で外部ヒアリングを進めていく必
要がある。その上で、全学のサポートを受けながら、研究科としての方策、全学的な方
策をパラレルで進めていく必要がある。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)
Ⅲ.教育内容・方法
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【点検・評価】
重点課題として設定した「学習者を主語にした」取り組みの浸透を図り、教学政策は
常に各学部・研究科の人材育成目標に立ち返った検討を進めてきた。この中で、カリキュ
ラム構築の原則として「ディシプリン化・体系化・可視化」を確立した。また、シラバス
についても学習者の立場から到達目標を記載するように標準化を進めるとともに、FD とし
て新任教員を対象とした研修を定着させた。このような取り組みを通じて、学部・研究科
等教学機関が中心となる「教学優先」という従来からの表現を、学習者中心の「学修優先」
という表現に転換を図りつつある。
【改善方策】
大学教育の質保証にむけた取り組みを一層強化するために、教学政策を規定する重要な
変数群、すなわち、①予習・復習時間の確保、②均衡のとれた開講科目数とクラス数の設
定、③シラバスの充実、④低回生配当基礎科目内容の統一、⑤非常勤依存率改善、⑥履修
登録制限単位数の強化、⑦成績評価の標準化・厳格化等と連動させる必要がある。そのた
めに、機軸となる政策を 4 年間の一貫した小集団教育の実現に置き、責任時間等の教員条
件や、施設設備等の教育環境条件も含めた改善を行う。また、教育の質保証の前提となる
教学実態の総合的把握を進め、根拠にもとづく教学実践の展開につなげる。
2008 年度 自己点検・評価報告書(未定稿)