経済数学 第 11 回 多変数関数:条件付き最大・最小,凸関数・凹関数 経済学への応用 美添泰人 yasuto [email protected] 前回の復習:多変数関数の極値 • 高階微分 • 2 階微分と二次形式 • 合成微分律 • 多変数関数の極値 • 偏微分と停留点 • 極大・極小と 2 階微分 1 合成関数の微分:合成微分律 (1) • ベクトル x が実数 t の関数 x(t) = (x1(t), x2(t), · · · , xn(t)) の とき,関数 f (x) = (x1, x2, · · · , xn) との合成関数 (f ◦ x)(t) = ( ) f x(t) の t による微分 : ( ) ( ) dx d f x(t) = gradf x(t) · = gradf · x′(t) = ∇f · x′(t) dt dt • 例:u = f (x, y) = x2 + xy + y 2,x = r cos θ , y = r sin θ とし て合成関数 g(r, θ) = f (r cos θ, r sin θ) とするときの ∂u/∂θ . ∂x ∂θ ∂u ∂θ = −r sin θ , ∂y ∂θ = r cos θ だから, = (2x + y)(−r sin θ) + (x + 2y)(r cos θ) = r 2 cos 2θ 2 合成微分律 (2) • (x1, x2) が (t1, t2) の関数 x1 = g1(t1, t2), x2 = g2(t1, t2) のと き,関数 u = f (x1, x2) との合成関数 u = f ◦ x が構成できる. • ベクトル表記で x = (x1, x2), t = (t1, t2), g = (g1, g2) とすると, ( ) ( ) x(t) = g(t) = x1(t1, t2), x2(t1, t2) = g1(t1, t2), g2(t1, t2) , ( ) u = f x(t) = (f ◦ g)(t) などと表わされる. • t2 を固定して t1 に関する u の偏微分を評価すれば ∂u ∂t1 = ∂f ∂x1 ∂f ∂x2 ∂f ∂g1 ∂f ∂g2 + = + ∂x1 ∂t1 ∂x2 ∂t1 ∂x1 ∂t1 ∂x2 ∂t1 • 同様に t1 を固定して t2 に関する u の偏微分を評価すれば ∂f ∂x1 ∂f ∂x2 = + ∂t2 ∂x1 ∂t2 ∂x2 ∂t2 ∂u 3 2 次の項までの Taylor 展開 • f (x1, x2) = f (x) に対して, a = (a1, a2) からベクトル h = (h1, h2) の方向に変化して x = a + th, g(t) = f (a + th) とする. g ′(0) = f1(a)h1 + f2(a)h2 = ∇f (a) · h g ′′(0) = f11(a)h21 + 2f12(a)h1h2 + f22(a)h22 d • ベクトル ∇f と行列 D を次のように定義する.ただし x = a で評 価する. ( ) f1 ∇f = , f2 ( ) f11 f12 D = (dij ) = f12 f22 • f (a + h) = f (a) + ∇f · h + 21 h′D h + R と表わされる. (R は剰余項) 4 多変数関数の極値(最大値・最小値) • f (x1, x2) = f (x) が a = (a1, a2) で最小値を取るとき,点 a から h = (h1, h2) 方向への変化 x = a + th = (a1 + th1, a2 + th2) を 考える. • 実数 t の 1 変数関数 g(t) = f (a + th) は,t = 0 で最小値を取る. したがって g ′(0) = 0, g ′′(0) > 0 (板書を参照) • 任意の h = (h1, h2) に対して g ′(0) = f1h1 + f2h2 = ∇f (a) · h • 任意の h と ∇f が直交するためには ∇f (a) = 0 が成立しなければ ならない. • f1 = f2 = 0 は極値(最小値・最大値)を取るための必要条件である. 5 停留点と極大・極小 • f1 = f2 = 0 となる点 x = (x1, x2) を 停留点 (stationary point) と呼ぶ. • 停留点は極大・極小の必要条件であり,十分条件ではない. 2 では (x , x ) = 例: 鞍点 (saddle point),峠道.f (x1, x2) = x2 − x 1 2 1 2 (0, 0) は停留点だが,極大でも極小でもない. Q: 次の関数は (x1, x2) = (0, 0) において,極大,極小,そのいずれでも ないかを判定せよ. (a) f (x1, x2) = x21 + x42 (b) f (x1, x2) = x21 − x32 (c) f (x1, x2) = x21 6 多変数関数の最小値:2 階の条件 • g ′(0) = 0 のとき,g(t) が t = 0 で極小(局所最小)となるための条 件は g ′′(0) > 0. • g ′′(0) = f11h21 + 2f12(x)h1h2 + f22(x)h22 • 2 階微分の係数行列を ( ) f11 f12 D= , f21 f22 とおくと g ′′(0) = h′D h > 0, fij = ∂ 2f ∂xj ∂xj (a) ∀h (for all h) • すべての h に対して h′D h > 0 ⇐⇒ D は正値定符号行列. 2 >0 • f11 > 0, f22 > 0, f11f22 − f12 • g ′(0) = 0, g ′′(0) < 0 (極大)なら h′D h < 0 h′D h < 0 (∀h) ⇐⇒ D は負値定符号行列. 7 最大値問題:例 Q: 周が一定 (2s) の三角形で面積を最大にするものを求めよ. 解:三辺を x, y, z = 2s − (x + y) とする.面積の 2 乗を最小にすればよ い.Heron の公式から最小にする関数は次式となる. f (x, y) = s(s − x)(s − y)(s − z) = s(s − x)(s − y)(x + y − s) [ ] fx = s(s − y) −(x + y − s) + (s − x) = s(s − y)(2s − 2x − y) = 0, fy = s(s − x)(2s − x − 2y) = 0 を解く.0 < x, y < s だから,x = y = 2s/3 すなわち正三角形が必要 条件となる.今の例では,他に停留点が存在しないことから,この点が最大 値を与えることもわかる. 8 陰関数定理 • 陰関数 (implicit function) 定理 : 点 (a, b) の近くで f (x, y) = 0 が連続的に微分可能とする.f (a, b) = 0, fy (a, b) ̸= 0 なら, b = g(a) かつ x = a の近くで f (x, g(x)) = 0 を満たす連続関数 y = g(x) が一意的に定まり,g ′(x) = −fx(x, y)/fy (x, y) となる. • こうして定まる y = g(x) を陰関数 (implicit function) と呼ぶ. • y が 1 変数で x = (x1, · · · , xn) は多変数であっても,同様である. 点 (a, b) = (a1, · · · , an, b) の近くで f (x, y) = 0 が連続微分 可能で f (a, b) = 0, fy (a, b) ̸= 0 なら,b = g(a1, · · · , an) かつ x = a の近くで恒等的に f (x, g(x) = 0 を満たす連続関数 y = g(x) = g(x1, · · · , xn) が一意的に定まり, ∂g ∂f / ∂f =− ∂xj ∂xj ∂y となる. 9 陰関数定理:簡単な例 • f (x, y) = x2 + y 2 − 1 = 0 とする. √ √ 2 • 陰関数は g1(x) = 1 − x と g2(x) = − 1 − x2 の二つ. • 次の関数も f (x, g(x)) = 0 を満たす. √ g3(x) = (−1)[100x] 1 − x2 ([·] は Gauss 記号) √ √ g4(x) = 1 − x2(x が有理数), = − 1 − x2(x が無理数) • 通常,g(x) としては連続な関数を選ぶ. • 適当に (a, b) を選んで,その近くで陰関数が一意的に定まらない場合 は? 板書を参照のこと • 上の f では (x, y) = (0, 0) でどのような問題があるか? 10 陰関数定理 : y = (y1, · · · , ym) の場合 • x = (x1, · · · , xn),y = (y1, · · · , ym) の場合は行列表記が必要と なる.a = (a1, · · · , an), 点 b = (b1, · · · , bm) と表記する. • 点 (a, b) の近くで fi(x, y) = 0 (i = 1, · · · , m) が連続微分可能で fi(a, b) = 0, かつ行列 J = ∂f /∂y が正則と仮定する. • J は ∂fi/∂yj を並べた m 次正方行列で,m = 2 のときは ( ∂f ∂f ) ( ) 1 1 ∂f ∂y ∂y = ∂f21 ∂f22 J = ∂y ∂y ∂y 1 2 • このとき,bi = gi(a) (i = 1, · · · , m) かつ x = a の近くで 恒等的に fi(x, g1(x), · · · , gm(x)) = 0 を満たす m 組の連続関数 yi = gi(x) = gi(x1, · · · , xn) が一意的に定まる.さらに, ) ( ) ( ∂f ∂gi −1 = −J (x) J (x)−1 は J (x) の逆行列 ∂xj ∂xj 11 変数変換と関数行列式 • 変数変換:x = (x1, x2) から y = (y1, y2) への変換を,関数のベク トル表記 g = (g1, g2) を用いて次のように表す. ( ) ( ) y1 g1(x1, x2) = , y = g(x) y2 g2(x1, x2) • b = g(a) として,点 (a, b) における線形近似(微分)を考える. ∆y = y − b, ∆x = x − a とすると, それは ∆y = J (x)∆x と表 わされる. • 次の J (x) を変換(写像)g1, g2 の関数行列とよぶ. ( ∂g ∂g ) ( ) 1 1 ∂g ∂x ∂x J (x) = = ∂g21 ∂g22 ∂x ∂x ∂x 1 2 12 変数変換と関数行列式 • 関数行列の行列式を関数行列式または Jacobian と呼び, J (x1, x2) = ∂(g1, g2) ∂(x1, x2) • 他の記号として と表わす. D(y1, y2) D(x1, x2) や ∂(y1, y2) ∂(x1, x2) も用いられる. ∑ 例: 線形変換の Jacobian : y = Ax のときは,yi = k aij xj とす ∂y ると, ∂xi = aij .したがって J (x1, x2) = {aij } = A j 13 変数変換と関数行列式 Q: 極座標変換 x = r cos θ , y = r sin θ の Jacobian を求めよ. ∂x ∂r ∂y ∂r • 行列式:J = ∂x = ∂θ ∂y = ∂(x, y) ∂(r, θ) ∂θ = = = • 解: r(cos2 θ + sin2 θ) = r 14 逆関数定理 • x = (x1, x2) から y = (y1, y2) への変換 y = g(x) を考える. 成分ごとに書けば yi = gi(x1, x2) (i = 1, 2) • g = (g1, g2) が連続微分可能であり,点 a = (a1, a2) において b = g(a) かつ関数行列 J (x) は正則とする. ( ∂g ∂g ) ( ) 1 1 ∂g ∂x ∂x J (x) = = ∂g21 ∂g22 ∂x ∂x ∂x 1 2 • このとき y = g(x) の連続微分可能な逆関数 x = h(y) ( ) ( ) x1 h1(y1, y2) 成分ごとの表示なら = x2 h2(y1, y2) が存在して, a = h(b) かつ以下の式が成立する. J (y) = J (x)−1 : J (x) と J (y) は互いに逆行列 15 逆関数定理 ( ) • xi = hi(y1, y2) = hi g1(x1, x2), g2(x1, x2) だから ∂x1 ∂x1 ∂x2 ∂x1 = = ∂h1 ∂g1 ∂y1 ∂x1 ∂h2 ∂g1 ∂y1 ∂x1 • 行列表記では + + ( ∂h ∂h1 ∂g2 ∂y2 ∂x1 ∂h2 ∂g2 ∂y2 ∂x1 1 ∂y1 ∂h2 ∂y1 ∂h1 ∂y2 ∂h2 ∂y2 = 1, = 0, ) ( ∂g 1 ∂x1 ∂g2 ∂x1 ∂x1 ∂x2 ∂x2 ∂x2 ∂g1 ∂x2 ∂g2 ∂x2 = = ) ∂h1 ∂g1 ∂y1 ∂x2 ∂h2 ∂g1 ∂y1 ∂x2 + + ∂h1 ∂g2 ∂y2 ∂x2 ∂h2 ∂g2 ∂y2 ∂x2 =0 =1 ( ) 1 0 = 0 1 • これは J (y) J (x) = I を表わしている.つまり J (y) = J (x)−1 で あり,このことから J (x) J (y) = I も成立する. 16 制約条件付き最大・最小問題と Lagrange 乗数法 • g(x1, x2) = 0 という制約条件の下で関数 z = f (x1, x2) の極大・極 小を求める. • もし g(x1, x2) = a0 + a1x1 + a2x2 が 1 次式なら,x2 を x1 で表 わして,1 変数関数の無条件の極値問題に変形することができる. • a2 ̸= 0 なら x2 = −(a0 + a1x1)/a2 を代入して得られる z = f (x1, x2) = f (x1, −(a0 + a1x1)/a2) を x1 で微分すると ( ) dz ∂f ∂f a1 = + − dx1 ∂x1 ∂x2 a2 • これを x1 の方程式として解けばよい. • 一般の関数 g(x1, x2) についても同様の考え方を適用する. 17 制約条件付き最大・最小問題と Lagrange 乗数法 • 簡単のため g の代わりに g1 と書き,関数 f (x1, x2), g1(x1, x2) は いずれも連続微分可能とする.g1(x1, x2) = 0 の下で f (x1, x2) の 極値を求める. • 逆写像が存在するように g2 を選んで,(x1, x2) から (y1, y2) への変 換を y1 = g1(x1, x2), y2 = g2(x1, x2) で定義する. • 逆関数を xi = hi(y1, y2) とすると,目的関数は z = f (x1, x2) = f (h1(y1, y2), h2(y1, y2)) となる.条件から y1 = 0 だから z を y2 だけの関数として極値を求めればよい. • 1 階の条件は次のようになる. ∂z ∂y2 = ∂f ∂h1 ∂x1 ∂y2 + ∂f ∂h2 ∂x2 ∂y2 =0 18 制約条件付き最大・最小問題と Lagrange 乗数法 • y1 = 0 と固定されているため,∂z/∂y1 の値は未知だから,これを λ とすれば,次の式を得る. ∂z ∂y1 = ∂f ∂h1 ∂x1 ∂y1 + ∂f ∂h2 ∂x2 ∂y1 =λ • 先ほどの式と並べて行列で表示する. ( ∂f ∂h ) ( ∂h ( ∂z ) ( ) 1 + ∂f ∂h2 1 λ ∂x1 ∂y1 ∂x2 ∂y1 = ∂y1 1 = = ∂y ∂z ∂f ∂h1 ∂h1 ∂f ∂h2 0 + ∂y2 ∂y ∂x ∂y ∂x ∂y 1 2 2 2 2 ∂h2 ∂y1 ∂h2 ∂y2 ) ( ∂f ) ∂x1 ∂f ∂x2 • 右辺にある行列は J (y) = J (x)−1 だから ( ∂f ) ( ∂h ∂h )−1 ( ) ( ∂g ∂g ) ( ) ( ∂g ) 2 2 1 1 λ ∂x1 λ λ ∂x1 = ∂y1 ∂y1 ∂x ∂x 1 = ∂g11 ∂g21 = ∂f ∂g ∂h1 ∂h2 0 0 λ ∂x1 ∂y ∂y ∂x ∂x ∂x 2 2 2 2 2 2 19 制約条件付き最大・最小問題と Lagrange 乗数法 • 最後の式を再掲すると, ( ∂g ) ( ∂f ) 1 ∂x1 = λ ∂x1 ∂g1 ∂f λ ∂x ∂x 2 2 ( ∂f すなわち ∂x1 − ∂f ∂x − 2 ∂g1 λ ∂x 1 ∂g1 λ ∂x 2 ) ( ) 0 = 0 • この式は,形式的に L(x1, x2, λ) = f (x1, x2) − λg(x1, x2) ∂L ∂L とおいて, ∂x = 0, ∂x = 0 とした結果に等しい.さらに ∂L ∂λ = 0 1 2 は g(x1, x2) = 0 と一致する. • 結局,L(x1, x2, λ) = f (x1, x2) − λg(x1, x2) とおいて,連立方程 ∂L ∂L 式 ∂x = 0, ∂x = 0, ∂L ∂λ = 0 を解くことで制約条件付き極値問題 1 2 の必要条件が得られる. • これが Lagrange の乗数法で,λ を乗数 (multiplier) と呼ぶ. 20 Lagrange 乗数の意味 • 以上の導出過程を見ると Lagrange 乗数の意味が明らかにされる. • ∂z/∂y1 = λ だから,制約式を g(x1, x2) = 0 から g(x1, x2) = y1 へと修正して,y1 を変化させたときの極値の変化を表わすものが λ で ある. 例 効用 u(x1, · · · , xn) を制約条件 y = ∑ ∑ pixi の下で最大化する. pixi) とおくと,∂L/∂xi = ui − L = u(x1, · · · , xn) + λ(y − λpi となり, 「限界効用が価格に比例する」とう条件が得られる.ここで λ = ui/pi は予算 y が 1 単位増加したときの効用の増加を表わして いる. 21 制約条件付き最大問題:練習 問題 g(x, y) = ( )2 x a + ( )2 y b 極値を求めよ.(a, b > 0) = 1 の条件の下で f (x, y) = x + y の 解答 L = x + y + λ{1 − (x/a)2 + (y/b)2} とおく. ∂L ∂x 2λ ∂L 2λ = 1 − 2 x = 0, = 1 − 2 y = 0, a ∂y b したがって x = a2 2λ , y= b2 2λ 2 + (y/b)2 = 1 に代入すると λ を求めるために (x/a) √ 2λ = ± a2 + b2 • 幾何的には楕円と交わる条件の下で,傾き −1 の直線の切片の最大・最小 22 多変数の凸関数・凹関数 • f (x1, · · · , xn) が 2 点 x0 = (x01, · · · , x0n), x1 = (x11, · · · , x1n) を結ぶ線分上ので取る値の比較:0 < s < 1 に対して線分は x = (1 − s)x0 + sx1 であり,その点での関数値は f ((1 − s)x0 + sx1) である. • 任意の x0, x1 に対して次の不等式が成立するとき n 変数関数 f を凸 関数と呼ぶ. f ((1 − s)x0 + sx1) > (1 − s)f (x0) + sf (x1) • 広義の凸関数,凹関数も同様に定義される. 23 同次関数・同次関数に関する Euler の定理 • f (x) = f (x1, · · · , xn) が任意の実数 λ に対して f (λx1, · · · , λxn) = λr f (x1, · · · , xn) という関係を満たすとき,f を r 次の同次関数 (homogeneous fn.) と呼ぶ. • 例:f (x, y) = ax + by (1 次同次),f (x, y) = ax2 + bxy + cy 2 (2 次同次), y , • 例:g を 2 変数関数とするとき f (x, y, z) = g( x z z ) (0 次同次) ∏ α • 例:f (x1, · · · , xn) = i xi i , xi > 0 とすると ∑ ∑ ∏ α α i f (λx1, · · · , λxn) = λ i i xi = λ i αi f (x1, · · · , xn) xi > 0 は ∑ i i αi 次の同次関数.Cobb-Douglas の生産関数 24 同次関数・同次関数に関する Euler の定理 • Euler の定理:f を r 次の同次関数とすると rf (x1, · · · , xn) = n ∑ i=1 xi ∂f ∂xi (x1, · · · , xn) = ∑ fi x i i 証明 f (λx1, · · · , λxn) = λr f (x1, · · · , xn) の両辺を λ で微分すると ∑ xi fi(λx1, · · · , λxn) = rλr−1f (x1, · · · , xn) ここで λ = 1 とおけばよい. 25 経済学における応用例:消費者の行動 ∑ • 効用 u(x1, · · · , xn) を制約条件 y = pixi の下で最大化する.L = ∑ u(x1, · · · , xn) + λ(y − pixi) とおくと,∂L/∂xi = ui − λpi が得られる. ∑ • 効用水準を u(x1, · · · , xn) = u と一定にして,支出金額 pixi を最 ∑ 小化する.Lagrange 乗数を µ として,L = pixi−µu(x1, · · · , xn) ∂L とおくと,必要条件は ∂x = pi − µui となる. i • 効用最大化問題と費用最小化問題はある意味で対称な関係にある(双対 性 duality). • もう少し拡張した問題: ∑ P1 制約条件 pixi ≤ y の下で u(x1, · · · , xn) を最大化する. ∑ P2 制約条件 u(x1, · · · , xn) ≥ u の下で pixi を最小化する. 板書参照 26 経済学における応用例:企業の行動 • 生産関数 y = f (x1, · · · , xn) と,生産物価格 p, 要素価格 wi を所 与とする. ∑ • c(y) は y = f (x1, · · · , xn) の下で最小化された費用.L = wixi+ ∂L λ{y − f (x1, · · · , xn)} とおくと, ∂x = wi − λfi が費用最小化 条件. • 利潤 π = py − i ∑ ∑ wixi = pf (x1, · · · , xn) − wixi の最大化問 ∂π wi = p fi − wi = 0 ,fi = 題(制約条件なし) : ∂xi p • 限界生産物 fi = ∂y/∂xi に価格 y をかけた p fi を限界生産物価値と呼ぶと,これ が要素価格と等しいことが必要条件. • 生産関数が 1 次同次なら,f = ∑ ∑ x i fi = xiwi/p = y/p となる. したがって生産物の販売による収入 py は各生産要素に過不足なく配分 ∑ される:第 i 生産要素への支出 = wixi,その合計 = wixi = py である. 27 その他の話題:今後の学習課題 • 積分とその応用(連続時間の経済動学の問題) • 無限級数とその応用 • 複素関数(数理統計の理解には必須) • 変分法(最適な投資計画など) • 線形計画法,非線形計画法(経済における最大・最小問題) 28
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