平成 19 年度 環境医学実習 レポート 発表題名 リバウンドに及ぼすライフスタイルの解析 指導教官 坂根直樹(京都医療センター臨床研究センター予防医学研究室) 発表者名 菊地浩輔 酒井晋介 佐賀信之 【はじめに】 近年、糖尿病や高血圧、脂質代謝異常といった生活習慣病の罹患者数の増加が社会的に大きな問題となってい る。食生活の近代化や進退活動量の低下に伴い、糖尿病をはじめとする生活習慣病患者が急増しており、その基 盤となる肥満が注目されている。1)特に内蔵脂肪蓄積型による肥満「メタボリック症候群(内蔵脂肪症候群)」等の 生活習慣病の予備軍の低減が国家的課題として取り組まれている。心筋梗塞、冠動脈疾患の危険因子を軽減し、 個人の健康度増進に伴う QOL の向上と、年々伸び続ける医療費の適正化を目指すために、生活習慣改善による 肥満症の改善が必要である。 生活習慣病とは「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣がその発症、進展に関与する症候群」と定 義され(1)、文字通りライフスタイルが大きく影響する症候群である。具体的にみると、たとえば喫煙については、能 動喫煙により増加するリスクとして悪性新生物(肺がん、喉頭がん、口腔がん、食道がんなど)、循環器疾患(虚血 性心疾患、脳血管疾患、閉塞性動脈硬化症、バージャー病)、COPD、胃十二指腸潰瘍、歯周病など、そして受動 喫煙により増加するリスクとして、小児では肺炎、気管支炎、慢性呼吸器症状など、成人では肺がん、慢性呼吸器 症状、虚血性心疾患などが挙げられる(2)。また飲酒によっては、肝障害や膵障害、高血圧、糖尿病、食道がんや口 腔がん、肝がん、大腻骨頭壊死などのリスクが増加する(3)。 生活習慣病に対する 1 次予防の施策として、「21 世紀における国民健康づくり運動(健康日本 21)」により 2010 年までの生活習慣病に関する目標値が設定され、その目標に向かって国、地方、自治体、マスメディアや企業等 が連携をとり、個人が健康づくりに取り組めるための環境整備を推進し、個人の活動を支援している(4)。2008 年度 からは法律上の義務として、生活習慣病について健康診断とその後の保健改善を行う「特定健診・特定保健指導 事業」が始まった(5)。 また、このような時代の流れ、疾病構造の変化の中でライフスタイルを評価することの重要性が唱えられ、森本 兼曩先生は「8つの健康習慣」として、「喫煙をしない、過度の飲酒をしない、毎日朝食を食べる、7~8時間の睡眠 をとる、9時間以下の労働にとどめる、身体運動やスポーツを定期的に行う、栄養摂取のバランスを考える、自覚 的ストレス量が尐ない」という8項目を、ライフスタイルを評価する指標として提唱している。このうち7~8つに該当 する人はライフスタイル「良好」、5~6つに該当する人はライフスタイル「中庸」、0~4つに該当する人はライフスタ イル「不良」とするものである(6)。 平成 2001 年の国民栄養調査によれば、20 歳以上の日本人における肥満者(BMI≧25.0)の割合は、男性 28.0%、女性 21.6%であった(7)。肥満は様々な生活習慣病の基盤になるとされており、日常臨床において肥満者は 耐糖能障害、高血圧症、脂質代謝異常などの生活習慣病の合併頻度が、正常体重者に比較して高率であること が知られている(8)。 肥満は「体組成に占める体脂肪が過剰に蓄積された状態」と定義され、医学的原因による分類によると、まず 「症候性肥満」に分類される。 a) 食欲中枢の異常すなわち視床下部の障害による肥満 b) 肥満をもたらす内分泌障害による肥満 c) 遺伝因子による先天性障害による肥満 がある。最近、肥満遺伝子レプチンの存在とその分子生物学は注目を集めている。脂肪細胞により分泌されるレプ チンは視床下部の弓状核にあるニューロペプチド Y(NPY)分泌細胞に作用し、摂食ホルモンである NPY を抑制し て食欲を抑制するが、肥満者においてはレプチンに対する抵抗性が見られるという(9,10,11)。 次に、「単純性肥満」に分類される d) 摂食と運動の不均衡すなわちエネルギー収支の陽性平衡による肥満 がある。実際はこちらの、過食や運動不足による単純性肥満が肥満全体の 90%以上を占めるといわれており、特 に内臓脂肪蓄積型の肥満の結果引き起こされるメタボリックシンドロームには昨今注目が集まっている。日本など の先進工業国では食物が容易にいつでも入手できる状態になっており、過食を助長するインフラが整っていること になる。更に、すでに成熟状態になっているモータリゼーションと近年の IT 革命により様々な作業がコンピュータ化 され、個人個人の日常運動量が極めて尐ない状態になり、肥満になりやすく、また、肥満を解消しにくい状態となっ ている(12)。 肥満者の場合、一度は減量に成功しても、長期の減量維持は困難であることが多い。摂食や運動等に関す る好ましくない生活習慣の長期間にわたる継続が主要因となって生じる肥満や減量成功後の体重再増加を 防止するには、適切な生活習慣の維持が必要となる(13)。 平成 19 年度 環境医学実習 レポート しかし、リバウンドに対する対策については詳しく研究されていない。この体重再増加(weight regain) には生活環境要因が関与する可能性が多い。そこで今回我々はグループと個別支援を用いた効果的な減量プ ログラムを実施し、減量成功後の体重再増加に生活習慣について検討を行った 【対象と方法】 平成 18 年度に兵庫県西脇市、同県加東市、福井県高浜町、徳島県美馬市において国保ヘルスアップ事業の一環 として、坂根直樹らを初めとする京都医療センター臨床研究センター予防医学教室によってそれぞれ 3 ヶ月以上に わたって合計 3 回以上の教室を実施し、参加した合計 159 名の男女(30~60 歳台 BMI23.0kg/m2 以上)で教室 中のドロップアウト 13 名と死亡 1 名を除いた 145 名のうち、3%以上の減量成功者 93 名(減量成功率 58.5%)で あった。そのうち 1 年後の追跡が可能だった 76 名に対し郵送し、69 名から返送があった。(回収率 90.8%)。うち 1 名は現在の体重が記入されておらず無効とし、有効アンケート数は 68 名であった。 調査にはアンケートを用い、質問項目には、森本先生の8つの健康習慣に関するものを含めた計 37 項目を採用 した。 教室では減量を目指す参加者に対し食習慣、運動習慣を中心に指導を行った。教室は、医師、管理栄養士、運 動指導者、保健師によるグループ指導と個別指導を組み合わせた個別健康プログラムを行った。講義は一方的な ものにならないよう、行動科学的手法を用いた体験型重視のグループワーク形式で行われた。医師の講義内容 は、病態の説明や目標の設定など、動機付けと健康行動の実施に対する支援に関わるものであった。管理栄養士 による食習慣の指導では、野菜摂取、間食、減塩、アルコール、適正エネルギー摂取などを行った。運動指導者に よる運動習慣の指導では、ストレッチ、ウォーキング、主に下肢の筋肉を鍛える筋力トレーニングの実技指導を行っ た。保健師は、教室の前半で毎回復習を目的とした振り返りを行った。タイムスケジュールとしては、13:00 に受付 を開始し、13:30~15:30 の2時間にわたり、①「前回の振り返り(5 分)」、②「グループワークを取り入れた講義(50 分)」、③「休憩(10 分)」、④「グループワークを取り入れた講義(50 分)」、⑤「Q&A と事務連絡(5 分)」という流れ を基本的な形として行った。セルフモニタリングとして、1 日 2 回の体重測定記録(朝、夕)、歩数、目標の実践状況 の記録を行った。教室中に使用する資料は、実物の間食見本や食材、体脂肪モデルなど視覚的な効果や、体感で きるものなど、媒体の工夫を行った。 今回、教室開始時、教室終了時に体重測定を行い、教室終了 1 年後、アンケートにて郵送法及び 1 年後 フォロー教室にて自己申告体重、ライフスタイル等を調査した。結果は、平均±標準偏差で示した。統計解 析には Excel 及び Dr SPSS を用いて行い、BMI、体重平均値、体重再増加率、それぞれのアンケート結果 を分析した。教室終了時と教室終了1年後の平均値の比較に、対応のある t 検定を用いた。統計学的有意差 は、5%とした。 【結果】 全項目 37 項目を調べた結果、有意差または傾向のあったものを考察する。また、森本先生の健康 8 カ条について の項目に関しても結果および考察をした。 「腹八分を心掛けている」・「間食の回数」の 2 項目について、傾向がでた。 表 1 有意差の傾向があった項目 項目 定義 95%信頼区間 オッズ比 χ 腹八分目 している 0.17~1.21 0.45 1.79 0.090 間食 1 回/日以下 0.04~0.94 0.20 2.76 0.033 2 P値 1、腹八分目とリバウンドの関係 「腹八分目」の回答項目[している・時々している・しない]の3つについて平均体重の変化率と体重再増加率を調べ た。 表 2 腹八分目 介入前 介入後 1 年後 再体重増加率 している(n=29) 64.3±8.8 60.3±9.1 58.8±8.4 -43.7±84.6% 時々している(n=32) 64.3±10.0 60.3±8.8 60.6±9.5 6.2±61.0% していない(n=7) 64.2±8.1 60.9±7.1 62.3±7.8 42.8±81.3% している人ほど体重再増加しにくいという結果となった。(図 1) 2、間食の回数とリバウンドの関係 「間食」の回答項目[1 回・2 回・3 回]のそれぞれについても平均体重の変化率と体重再増加率を調べた。 表 4 間食 1 回(n=14) 介入前 64.2±11.3 介入後 60.2±9.2 1 年後 59.1±10.3 再体重増加率 -38.7±99.1% 平成 19 年度 環境医学実習 レポート 26.6±60.0% 165.0% 2 回(n=14) 60.9±7.8 56.9±6.9 58.1±8.6 52.9 50.9 54.2 3 回(n=1) 食べる回数が多いほど体重再増加しやすいという結果となった。(図 2) 3、男女の違いとリバウンドの関係 男女別の平均体重の変化をみてみると、男性に比べ、女性のほうが有意に体重が再増加していた。(体重再増加 率-48.6±66.3、 -2.5±79.5;p=0.042) 従属変数を体重再増加率にして重回帰分析を用いて解析したところ、年齢、体重減尐量、適切な睡眠時間、運動 習慣と独立して、性別がリバウンドと関連している傾向にあることがわかった。 表 5 性別 介入前 介入後 男性(n=13) 73.5±8.4 69.6±8.8 女性(n=55) 62.1±8.0 58.2±7.2 男性の方が有意に太りにくいという結果となった。(図 3) 1 年後 68.0±8.5 58.1±7.8 再体重増加率 -48.6±66.3% -2.5±79.5% 次に、森本先生の健康 8 カ条について、それぞれ 8 個の項目を分析した。オッズ比、χ 2およびP値を以下にまとめ る。 表 6 森本先生の健康 8 カ条 項目 定義 オッズ比 χ2 P値 0.008 0.544 朝食 食べる 0.412 0.990 0.16 適正な労働時間 8 時間以下 0.549 0.878 0.174 適正な睡眠時間 7~8 時間 0.318 1.105 0.147 喫煙の有無 現在、過去に喫煙 0.474 0.215 0.351 ストレスの有無 多い 0.788 0.083 0.646 適度なアルコール摂取 1合以下 0.409 2.234 0.067 栄養バランス 考えて食べる 0.506 0.733 0.196 運動 週2回以上 これら 8 個の項目のすべてに、統計学的な有意差はみられなかったが、「栄養バランス」の項目には、傾向がみら れた。 4、喫煙のリバウンドとの関係 「喫煙の有無」の回答項目[現在も喫煙している・過去に喫煙していた・喫煙経験はなし]の3つの項目それぞれにつ いて、教室介入前、介入後、1 年後の平均体重変化率を調べた。(介入前を 100%とした)また、それぞれの再体重 増加率の平均を出した。平均体重率の変化を以下の表に示す。 表 7 喫煙 介入前 介入後 1 年後 再体重増加率 現在も喫煙(n=3) 67.2±4.5 63.5±5.0 60.3±5.2 -102.3±47.6% 過去に喫煙(n=6) 69.0±8.3. 65.0±8.8 64.7±9.0 -6.0±15.5% 喫煙経験なし(n=57) 63.9±9.4 59.9±8.7 59.7±9.0 -8.9±82.3% 有意差こそ出なかったが、喫煙している人がその他の人に比べて体重の再増加がおこりにくくなるという結果となっ た。(図 4) 5、栄養バランスとリバウンドの関係 「栄養バランス」の項目に関しても、回答項目[考えずに食事・尐しは考える・考えている]の3つの項目それぞれに ついて、教室介入前、介入後、1 年後の平均体重変化率を調べた(介入前を 100%とした)。考えずに食事すると回 答した人は0名であった。 表 8 栄養バランス 介入前 介入後 1 年後 再体重増加率 尐しは考えている(n=40) 64.1±8.4 60.3±8.5 60.2±8.2 -20.3±91.9% 考えている(n=27) 64.7±10.5 60.5±9.3 59.8±9.9 -5.5±70.3% よく考える人の方が体重の再増加がおこりにくいという結果となった。(図 5) 6、適度なアルコール摂取とリバウンドとの関係 「適度なアルコール」の項目に関しては、回答項目[毎日 1 合飲む・2~4 合飲む・ほぼ飲まない]の3つについて、介 入前、介入後、1 年後の体重変化率の平均と、再体重増加率の平均を出した。すると、再体重増加率は 1 合飲む 人で最も小さな値をとり、次いで飲まない人、2~4 合飲む人の順に増加した。(-38.7 ±75.8、-8.9±81.3、3.9± 17.4)アルコール摂取量の多い人ほど体重が再増加する傾向にあり、逆に適度に嗜んでいる人が最も体重を維持 平成 19 年度 環境医学実習 レポート し、さらに減量しやすいという結果となった。 7、運動とリバウンドとの関係 「運動」について、回答項目[ウォーキング 30 分を毎日する・週 3~5 回・週 2 回・週 1 回・月 1 回・習慣はない]の 6 種類にわけ、それぞれの体重変化率及び再体重増加率の平均を調べた。すると、体重の再増加がみられたのは、 週 1 回(再体重増加率、82.3±98.6)最も体重再増加率の小さかった人は、毎日する人と週 2 回する人で、週 3~5 回する人とウォーキングしない人は、体重の再変化はみられなく、体重維持が認められた。 8、労働時間とリバウンドとの関係 「労働時間」について、回答項目[11 時間以上・10 時間・9 時間・8 時間・7 時間以下・働いていない]の 6 種類にわ け、それぞれの体重変化率及び体重再増加率の平均を調べた。体重の再増加がおこったのは、11 時間以上及び 10 時間労働している人で、体重再増加率 34.7±57.5、14.0±45.6 となった。その他の選択肢では平均の体重再 増加率は、負の値をとっており、体重が再増加するリスクは低い傾向にあった。 9、ストレスとリバウンドとの関係 「ストレス」については、ストレスの多い尐ないでは全く関連性が見えなかったが、回答項目[食べることでストレスを 発散することがよくある・たまにある・ない]の 3 種類について検定してみると、有意差こそ出なかったが、傾向に近く なっていた。それぞれの体重変化率及び体重再増加率の平均を調べた。 表 9 ストレスによる過食 介入前 介入後 1 年後 再体重増加率 よくある(n=6) 69.1±7.9 64.7±6.9 67.3±8.2 50.8±63.0 時々ある(n=21) 62.9±10.2 58.9±8.6 58.3±9.3 -13.4±70.4 ない(n=41) 64.3±8.9 60.4±9.0 59.8±8.4 -19.3±83.7 ストレス食いのある人が体重再増加しやすいという結果となった。(図 6) 10、「朝食」については、1 名を除き全員が食べていると回答したため、有意差をみることはできなかった。 11、適度な睡眠とリバウンドとの関係 「適度な睡眠」に関して、BMI>23では有意差も傾向もみられなかったため、BMI>25 のグループで検定をかけ てみた。すると、オッズ比、χ 2、P値がそれぞれ、0.34、1.72、0.095 となり、統計学的有意差は出なかったものの、 睡眠と体重再増加との間に傾向がみられることが示された。そこで、回答項目[8 時間・7 時間・6 時間・5 時間]の 4 種類について、それぞれの教室介入前、介入後、1 年後の体重変化率及び体重再増加率を調べた。以下の表に 示す。 表 10 睡眠時間 介入前 介入後 1 年後 再体重増加率 -66.3±135.7 8 時間(n=4) 70.3±1.7 66.9±2.6 65.2±4.9 -39.2±73.0 7 時間(n=21) 65.4±8.8 61.5±9.0 60.3±1.4 -28.4±85.3 6 時間(n=7) 68.8±13.1 64.1±9.7 63.6±10.9 24.5±96.5 5 時間(n=10) 72.5±7.8 68.1±7.5 69.2±7.0 また、体重の再増加があったグループと再増加のなかったグループで、その睡眠時間の違いを調べてみた。する と、体重の再増加があったグループでは、5 時間睡眠しかしていない割合が高く、逆に体重の再増加のなかったグ ループでは 7~8 時間睡眠をとっている人の割合が高いという結果となった。(図 7、図 8) BMI25 以上では、睡眠時間が 6,7,8 時間の群に比べ 5 時間の群では、体重再増加率が低い傾向になった(24.5 ±96.5 VS -40.2%±82.2 % P=0.077) 9、リバウンドに及ぼすライフスタイルを示したものを、BMI23 以上と BMI25 以上にわけてオッズ比を示す。(図 9) BMI23 以上においては、リバウンドを進める要因として非喫煙とストレが多いがあげられた。逆にリバウンドしない 要因として、栄養バランスと労働時間があげられた。特に栄養バランスを考えてないものと比べると栄養バランスを よく考えて食べるものがリバウンドするオッズ比は半減していた。 BM25 以上では、リバウンドを進める要因として、適正飲酒とストレスが多いがあげられた。逆にリバウンドしない 要因として、非喫煙と適度な睡眠があげられた。特に適度な睡眠を取っていないものと比べると適度な睡眠をとっ ているものがリバウンドするオッズ比は 3 分の 1 であった。 【考察】 1、食習慣とリバウンドの関係 今回の調査により、常に腹八分目にしている人の再体重増加率は、時々している人や、全くしない人に比べて低く リバウンドしにくいことが示唆された。腹八分目に食事量を抑え、カロリー制限することが生体にどのような影響を 与えているか、最近の下川功らの研究でそのメカニズムが解明されつつある(14)。実験室のマウスやラットを自由に 摂食させた群と、30~40%程度長期間抑制させた群では、後者の方が老化現象や疾病の発生の遅延や平均寿命 平成 19 年度 環境医学実習 レポート が延びるといった結果が示されている。ここでは、平均寿命や健康度は、食事中の栄養素や每物よりも、摂食カロ リーの低下に最も依存していた(15)。なぜ、このようなメカニズムが働いているか、いくつかの仮説がある。酸化スト レス障害を減尐させている、成長ホルモン系のシグナルを減弱させている、神経内分泌物質、特に副腎皮質ホル モンや甲状腺ホルモンなどが複数の神経内分泌経路を介して総合的に効果を発揮している、などが示されてい る。つまり、腹八分目の食事を心がけることは、成長期においては体重減尐や身長の低下など成長障害がみられ てしまうが、肥満患者においては、その寿命を延ばす最も重要な要因の1つと考えられている。体重再増加率が低 いのは、単に摂食量が減った結果、体重が減っているだけではなく、こういったメカニズムにより、適正体重へ体が 順応しているとも考えられる。 一方、満腹時でもついつい食べ過ぎてしまう人は、多くの場合、無意識に食事量が増加していると考えられる。ま た、間食を含め、食事の摂取カロリーを実際より低く認識しているのではないかとも考えられる。食欲の自己コント ロールは、減量において非常に重要性が高いと考えられる。食欲の自己コントロールは、腹八分目を心がけて食 事をする、満腹時には食べ物が目の前にあったとしても食べないことでも満足感を得ることができる、間食の頻度、 などに関係していると考えられる。食欲の調節は視床下部において行われているが、食欲は視覚、嗅覚、味覚、習 慣によってもとらえられ、その情報が大脳皮質感覚野に伝えられ、その刺激が摂食中枢のある視床下部に伝えら れることで食行動がおきている。食欲のコントロールには、食習慣や個人の性格などが反映されるが、多くの人が すぐに実践することができるという点で、“よく咀嚼し落ち着いた気分でゆっくり食べる”ことの必要性が報告されて いる。よく噛むことで、ヒスタミン作動性ニューロンが活性化される。さらに、ゆっくり食事を行うことで血糖値を上昇 させ、満腹感を得ることができる上に、遊離脂肪酸の低下などの末梢組織からの代謝シグナルによっても満腹感を えることができる(16)。これらを心がけることにより、腹八分目の習慣化に至ると考えられている。 今回、これら 3 つの項目で有意差が示されたのは、食欲のコントロールの有無によって摂食量自体を減らし、腹八 分目を習慣化することでさらに余分な摂食を行わないことを可能にするという要因が大きく関与していたと考えられ る。 2、性差とリバウンドの関係 おおよそ、男性は肥満になりやすいが、体重減尐成功率が高く、体重再増加が起こりにくいとされている (17)。一般 に、男性は筋肉量が多く、体の代謝が女性よりも高い。体脂肪率も男性の方が女性より低くなっている。男性が肥 満になる原因は過飲、過食などの不規則な食生活によるものが多く、リンゴ型肥満と称される内臓に脂肪が蓄積 する型の肥満が多い。一方、女性の肥満に多いのが皮下脂肪蓄積型である。女性は妊娠、出産をするために栄養 素を皮下に蓄えておけるようなホルモンが作用しており、男性よりも脂肪を蓄積しやすいメカニズムが働いている。 男性の場合には代謝率もよく、食生活を改善することによって、比較的容易に体重を維持しやすいが、女性の場合 には、栄養素を尐しでも蓄積しようとするメカニズムが働くために、体重維持が男性より困難であると考えられる。ま た、女性では、生理時にもホルモンによるコレステロールのため込みがおこりやすい傾向があるとされているため、 体重の再増加がおこりやすい環境にあると考えられる。今回、男女の比較により有意に差がでたのはこれらの原 因が関連しあっているためであると考えられる。 3、喫煙とリバウンドの関係 喫煙する人は、体重再増加しない傾向にあることがわかった。一般に喫煙する人は、食欲がなくなり、毎日の食事 の摂食量が減る傾向にあるとされる。喫煙と体重には相互に関係するメカニズムがあり、それにより体重の再増加 が抑えられると考えられる(18)。人の満腹中枢は視床下部に存在し、亣感神経の中枢となっている。たばこに含まれ るニコチンは、亣感神経を刺激する作用があるため、その作用により満腹中枢が刺激され、食欲がなくなると考え られる。食欲がなくなると、摂食量も減り、抗肥満作用を示していると考えられる。さらに、この文献によると、喫煙を 始めると平均 2.3kg 体重の減尐がみられるが、体重が落ちるのは腹部脂肪が減尐するのではなく、殿部や大腻部 の脂肪が減尐することによる。そのため、ウエスト/ヒップ比は上がる傾向にある。喫煙による体重減尐は内臓脂 肪が減るわけではないため、肥満が危険リスクとなっている生活習慣病のリスクが下がるわけではない。たばこは HDL コレステロールを下げ、LDL や VLDL を上げ、高血圧や動脈瘤などの疾患の危険率を上げている。 さらに、ニコチンには血流を悪化させる作用がある。血液の循環を阻害して体の代謝機能を低下させ、脂肪の燃焼 されにくい体を作り出す。その一方で、ニコチンは胃腸の機能を落とし、食欲低下を招く。栄養吸収率の低下に加え て、ニコチンを排除しようとする消費エネルギーが高まることにより自然と減量するのが可能になると考えられる。 後の栄養バランスの項で考察するが、栄養吸収が落ちると体重増加をする傾向がありそうである。つまり、喫煙す ると体重減尐はみられるが、長期的にみたら皮下脂肪や内臓脂肪を増大し、体重の増加がみられる可能性が高い とされる。もしこの状態で禁煙をしたら、あっと言う間に体重が増加してしまうであろう。 禁煙を始めると、口寂しさや満腹中枢の刺激がなくなることにより、過食する傾向にある。先ほどの文献では平均 0.9kg 体重が増加するとされる。今回の調査ではそのような体重増加はみられなかったが、平均の体重再増加率 は、過去に喫煙をしていたグループが最も高い結果となった。母集団を上げ、禁煙からの年数やどのくらいの本数 吸っていたか、などの詳しい項目についても検討すれば、このようなデータに近づくことができるかもしれない。 4、栄養バランスとリバウンドの関係 平成 19 年度 環境医学実習 レポート 今回の調査では有意差こそ出なかったが、栄養バランスについてしっかり考えて食事をしている人ほど体重の増 加は低い傾向にあるという結果であった。脂肪組織1g につき約 7kcal あるため、1 日当たり 700kcal 食事量を減 らせば、1 か月で 3kg の減量が可能である。ところが、エネルギー摂取量をそのままの割合で 1000kcal 程度まで 減らしてしまうと、必要な栄養素の摂取不足という問題がおこる (19)。栄養素として特に必要とされているものは、タ ンパク質(標準体重×1.0g/日)、脂質(20g/日以上)、糖質(100g/日以上)、ビタミン、ミネラルの確保などである。これ らの栄養素の働きについて次に述べる (20)。ビタミン、特にビタミンB2は脂肪をエネルギーに変えて燃焼させてくれ る働きがある。また、ビタミンA、B1、Cは運動による疲労回復や精神的ストレスを癒す働きがある。ミネラルである カルシウムは骨をつくるのに有効となり、自律神経を安定させる。このカルシウムの摂取によりビタミンB1は脳にた め込まれる。つまりカルシウムによって精神のイライラを押さえストレスにも強くなることになる。鉄の働きは血液中 にあって酸素を体内にくまなく送り続け、筋肉や細胞の中に存在して筋肉の働きを活性化する。有酸素運動をする には欠かせないものである。これらの栄養素及び蛋白質は筋肉を作るのに必要とされており、栄養素が不足する ことにより、基礎代謝を担っている筋肉量が減り、かえって痩せにくい体になりがちである。体についた脂肪をより 燃焼させてくれるのが筋肉であり、体脂肪を減らす手助けをしてくれている。そのため、筋肉量が減ると食事量を減 らすだけでは減量を続けるのが困難になるのである。 低蛋白状態が続くと、生体に必須なアミノ酸供給が足りなくなり、骨粗鬆症や貧血などの発症が認められることが ある。偏ったバランスでの食事では、栄養素が不足することにより、易疲労感や集中力低下、下痢、嘔吐をはじめと した全身症状から、果てはうつ状態や不整脈、高尿酸血症などの重篤な病気に侵される可能性がある。すると、思 い描いていたように体重減尐がしなくなり、途中で減量をあきらめてしまいがちになると考えられる。また、通常食 事制限を始めると最初の 1~2 週間では順調に減量できるが、ある程度体重が減尐すると、尐しの食事でもいいよう に体が適応してしまうため、基礎代謝量は落ち、減量が停滞してしまう。もし、栄養バランスのとれた食事をしてい ると、減量に意欲的な状態を保つことも可能で、その後の長期的な減量を続けていくことが可能であると考えられ る。反対に栄養不足などで体に違和感を覚える状態が続くと、減量を続けていくことが困難になり、途中であきらめ がちになってしまうと考えられる。 このように、栄養バランスを考えた食事は常にそれを考慮していることが減量成功には必要なことだと考えられる。 5、飲酒とリバウンドの関係 今回の調査では、アルコールを適度に嗜む人の方が減量に成功しているとなっている。アルコールに関しては、炭 水化物や蛋白質の酸化には影響しないが、脂質の酸化を 50%減尐させるとされ、アルコールの摂取は肥満を助 長するとされている(21)。アルコールを適量飲むことで減量が成功したとすれば、アルコール摂取分の食事量を摂ら ないように気をつけていた、適度な摂取によりストレスを解消し、モチベーションを維持することが可能であった、な どの理由が考えられる。 6、運動とリバウンドの関係 今回の調査で、有意に傾向は出なかったが、ウォーキングを週 2 回以上していた人では、その他に比べて体重を 維持できた。過去 20 年間での 1 日エネルギー摂取量はほとんど変化がないが、現在肥満が増大しているのは、 運動消費エネルギーが減尐している事が要因としてあげられており、食事量の改善と併用して運動の特性をいか した体重維持や内脂肪除去の促進を目指すことが望ましいとされている(22)。ウォーキングは体重維持や有酸素運 動であり、適度な心拍を保ちながら行うことができる。健康日本21における目標では、日ごろから散歩や徒歩を心 がけ、週2回以上1回30分以上の尐し息があがる程度でのウォーキングが望ましいとされ、1日平均1万歩以上を 目標としている(23)。週 3~5 回運動をおこなう人での体重再増加率が予想よりも高く出てしまったのは、食事量やウ ォーキングの質が影響している可能性が高い。また、まったくウォーキングをしない人が月 1 回でもする人より体重 再増加していなかったのは、運動していない分、食事に気をつかっていた可能性、月1回や週 1 回の人が間違った ウォーキングをしていた可能性が考えられる。 ところで近年、有酸素運動だけでは骨密度上昇や筋力増強には効果がないため、レジスタンス運動の併用も重要 視されるようになってきている。安静時の代謝量は、1 日代謝量の 60%ほどを占めているが、筋量があがることに よって基礎代謝をあげ、1 日の消費カロリー量をあげることができる。除脂肪体重の維持や増加を目的とする場合 には、中程度のレジスタンス運動を週 2 日以上行うことが望ましいとされている。今回、筋力トレーニングについて もアンケートを実施したが、有意差は出なかった。レジスタンス運動は、適度な指導下での運動が重要であり、併用 効果について実証されてはいないが、ウォーキングなどの有酸素運動との併用によってお互いの特性上の不十分 な点を補い合う関係にある(24)。今回の調査では、筋力トレーニングの質や強度などの詳しいことまで調査しておら ず、有酸素運動との併用に対しての意識レベルについても調べていなかったため、有意差が出るには至らなかっ たと考えられる。 消費エネルギーの観点からみると、日本人は褐色脂肪細胞での熱放散が抑制される遺伝子多型が高く、太りやす い人種とされている(25)。遺伝的にも欧米各国に比べ、肥満になりやすい傾向にあるため、食事量だけでなく運動に よってエネルギー摂取量より、エネルギー消費量をあげて、体重減尐を維持する努力が必要と考えられる。 7、労働時間とリバウンドの関係 平成 19 年度 環境医学実習 レポート 有意差こそ出なかったが、適度な労働時間をとっている人の方が、10 時間以上労働をしている人に比べて太りにく いとう結果になった。労働といっても、職種様々である。そのため、労働条件を時間の区分によってのみ区別するだ けでは、不十分であったと考えられる。長寿県として知られる沖縄で、100 歳まで健康に生きた人の労働歴調査を すると、大工や農業などの肉体労働に従事していた人がほとんどであった(26)。論文では、労働時間こそ明記されて いなかったが、日常で体を動かして筋力を保っている人ほど健康体に近いと考えられる。現代のサービス業では、 体力を使うというよりはディスクワークやストレスのかかりやすい職業に従事している人が多い。また、忙しくなるに つれ、食事のリズムやバランスが崩れやすく、よく噛まないで食べることや、食事と他の事を同時に行うことで、肥 満のリスクをあげてしまう可能性があると考えられる。労働時間が増えるにつれ、ストレスに暴露されやすい環境に おかれ、生活リズムが崩れやすくなり、体重維持をはかるのが困難になっているとも考えられる。 8、ストレスとリバウンドの関係 ストレスにより食事量が変わりやすい傾向にある人は、体重が増えやすいというのは容易に想像できる(27)。ストレ スを感じることの多い人は、生活リズムが一定でない人が多いと考えられる。ストレスの多い人は、尐ない人に比 べて食生活にまで気を使う余裕がなくなると考えられる。栄養バランスを考えないと太る原因になる可能性につい てはで前述したが、今回の場合もストレスにより食生活への意識が薄くなりがちな人では、体重の維持を途中であ きらめ、放棄してしまう確率が高いと考える。また、こういった性格の人は欲の解消に食事を使うことも多いと考えら れ、その他の人よりも摂取カロリーが高いと思われる。今回の調査では主に何を食べたくなるかについてまで質問 しなかったが、多くの場合、甘い物やカロリーの高いものが好まれる傾向にあると考えられるため、消費カロリーと 摂取カロリーのアンバランスから体重が増えやすくなっていると考えられる。 9、睡眠とリバウンドの関係 再体重増加しているグループでは、5時間以下の睡眠しかとっていない場合が多いことがわかる。健康な生活習 慣として推奨されている睡眠時間は7~8時間である。睡眠時間が減尐することにより、体重が再増加する危険性 が高まっていくと考えられる。睡眠時間が減尐することと、体重が増加することの間には、ホルモンが関係したメカ ニズムが働いていると考えられている(28、29、30、31,32)。コロンビア大学の研究発表によると、7~9 時間眠る人と 4 時 間以下の睡眠の人を比べると後者は 73%も肥満になりやすく、5 時間の人でも 50%、6 時間でも 23%肥満への危 険があがった。この肥満の違いは、体内のホルモン(グレリンとレプチン)が関係していると考えられている。レプチ ンとは、10 年前に発見された物質であり、脂肪組織で産生され、脳視床下部の満腹中枢に働きかけて食欲を抑制 する働きをもつ。反対にグレリンは 5 年前に発見された物質であり、胃から産生され食欲を亢進する働きがある。ス タンフォード大学の研究によると、5 時間睡眠の人は 8 時間睡眠の人に比べて、血中食欲刺激物質であるグレリン が 14.9%も高値を示し、食欲抑制物質のレプチンの量は 15.5%も低値を示していることが解明された。この差は 性別や食事習慣には全く関係なくはっきりした結果であった。また、睡眠時間時間を 8 時間未満にした人は、睡眠 時間が減れば減るだけ肥満度が上昇していた。今回の調査でも、睡眠時間が増えるにつれ再体重増加率は減尐 していたため、この結果と一致している。その他にも、シカゴ大学の発表によれば、2晩連続で4時間睡眠の人を 10 時間睡眠の人と比較すると、グレリンの量が増え、レプチンの量が減っている。今回の調査でも、睡眠不足にな りがちな人ほど太りやすい傾向にあることは確かであり、睡眠時間の必要性が示唆される結果となった。 10、リバウンドに及ぼすライフスタイルとの関係 BMI23 以上と BMI25 以上のオッズ比の違いについて、非喫煙と睡眠に大きな差がでた。今回、BMI25 以上(肥 満者)になると、非喫煙より喫煙の方がとリバウンドの促進因子となる理由として、肥満者は健康に対する自覚が尐 なく、肥満になるほどに運動に対して億劫になり、偏った悪い生活習慣を持ち合わせるとともに、タバコの成分が直 接内臓脂肪を蓄積させ、内臓脂肪型肥満になるためと考えられる。厚生労働省でCTスキャンを用いた大規模な疫 学調査が行われた際、BMI25 以上の肥満でかつ内臓脂肪面積が 100 平方センチメートル以上の内臓脂肪型肥 満者では、正常者に比べ喫煙者の割合が男性で 1.73 倍、女性で 1.5 倍と高くなっていた。肥満者においては喫煙 が体重増加のリスクとなりうる結果である。喫煙による体重減尐は、肥満リスクの根本的な解決になることはない。 肥満者ではそのリスクが高いため、かえって体に蓄積する脂肪を燃やしにくい体を作り出していると考える。また、 BMI25 以上で睡眠とリバウンドとの間に傾向が現れた理由は、肥満者は、無呼吸症候群や入眠障害などの睡眠 障害と密接に関係しているため、睡眠時間が減る傾向が強いためと考えられる。 【結論】 間食や腹八分にするなどの食生活習慣に加えて、睡眠時間などの基礎生活態度によっても、リバウンドの起こりや すさが変わってくるため、生活習慣全体を規則正しいものに直していくことが、リバウンド防止になると考えられる。 【反省】 今回の実習で、解析の仕方から、パソコンの使い方まで知識を幅広くつけることができて良かった。(酒井) 今回アンケートという手法を主体として研究を行ったのであるが、何しろ慣れない作業で、大変苦労した。研究に役 立てることのできるデータを効果的にかつ正確に得るための質問内容の検討、そこで必要になる様々な仮説の立 て方、質問を実際の相手にぶつけるにあたっての一つ一つの言葉の選択、結果の集計、解析、考察・評価など、全 ての面で厳密さが求められ、統計学の奥深さを知ることができた。それは普段の講義では味わえないもので、非常 平成 19 年度 環境医学実習 レポート によい勉強になった。同時に、今回は特に生活習慣の改善を中心とする予防医学というものの意義・重要性につい て多くを学べたので充実していた。(佐賀) 実習は環境因子の全般的なスクリーニングでしたが、データの切り口一つで結果がかなり変わり、一般に'夜に食 べたら太る'といった民間伝承的なこと 1 つを再現するのにもかなりの労力がかかっていることがわかりました。もう 尐し早くから時間をかけてやれば十分な結果が出たかも知れませんが、環境医学統計は一朝一夕には行かない ことがわかりました。発表はとりあえず制限時間内に終わらせることが出来たのですが、時間を気にしすぎたあま り、みんなにもわかるくらい時計をチラ見してたらしく、ちょっと発表態度としては減点でした。それと、もうすこしイン パクトのあるスライドが出来れば良かったかと思っています。(菊地) 図 1 腹八分目 図 2 間食 図 3 性差 図 4 喫煙 図 5 栄養バランス 図 6 ストレスによる過食 図 7 睡眠時間 図 8 睡眠時間別の割合 平成 19 年度 環境医学実習 レポート 図 9 BMI23 以上 図 10 BMI25 以上 参考文献 1、大野良之(1999)生活習慣病の概要と予防・健康づくり「健康日本21」. 改訂4版 生活習慣病予防マニュアル 第Ⅰ章 生活習慣病と社会環境 p1 2、大野良之(1999)喫煙. 改訂4版 生活習慣病予防マニュアル 第Ⅲ章 生活習慣病のリスクファクター p98~102 3、大野良之(1999)飲酒. 改訂4版 生活習慣病予防マニュアル 第Ⅲ章 生活習慣病のリスクファクター p103~106 4、櫻井裕(2004)生活習慣病の概念. 社会・環境と健康 Ⅲ主要疾患の疫学と予防 p150 5、小林篤(2007)ヘルスサポートプログラムの概念. ヘルスサポートの方法と実践 p5~7 6、森本兼曩(1991)ライフスタイル研究の意義と展望. ライフスタイルと健康 健康理論と実証研究 p2~32 7、吉池信男 わが国における肥満の疫学―最近の動向と課題― 日本肥満学会誌「肥満研究 2003 Vol.9」p62 8、阪本要一 脂肪蓄積の診断 日本肥満学会誌「肥満研究 2003 Vol.9」p66 9、中田由夫, 田中喜代次, 大蔵倫博, 堀田紀久子(2006)減量後のリバウンドが冠危険因子に及ぼす影響とリバ ウンドを規定する肥満遺伝子の探索. 健康医科学研究助成論文集 21 号 p83-90 10、木村真規, 柴崎敏昭, 吉江文彦, 鈴木政登, 山内秀樹(2005)体脂肪減尐速度とリバウンド現象の関係 中 枢性摂食調節因子からの検討. デサントスポーツ科学 26 巻 p137-144 11、香川靖雄(2003)生活習慣病の予防 健康寿命と遺伝子. 日本病態栄養学会誌 6 巻 1 号 p1-10 12、櫻井裕(2004)代謝疾患(糖尿病、肥満、高脂血症等). 社会・環境と健康 Ⅲ主要疾患の疫学と予防 p164~165 13、中田由夫, 田中喜代次(2007)減量後の体重維持と運動量. 臨床スポーツ医学 Vol.24, No.8 p885-889 14、下川功 (2007)腹八分目の科学 糖尿病の食事・運動療法 89-93 15、Weindruch R 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