2010年8月発行 Hou.net.Report 発行人:福田 第 149 号 正人 発行所:有限会社マーケンネット 〒540-0027 大阪市中央区鎗屋町 1- 3-10-604 HOUSING-NETWORK‐Report [email protected] TEL:06-6942-7121 テーマ:長期優良住宅の推進がキーとなる 昨年 6 月からはじまった長期優良住宅制度、丸一年を迎えて徐々に拡大している。特に、住宅エコポイント制度 の導入によって急拡大した。有力なFC住宅各社は「長期優良住宅対応・次世代省エネ基準標準」をアピールし た新商品を発売し需要喚起に積極的だ。 1.長期優良住宅の拡大、持家注文の 20%を超える? 耐震性(耐震等級Ⅱ以上)や、断熱性気密性(次世代省エネ基準)に優れ、長期にわたって維持管理、メンテナン スの体制が整っている長期優良住宅は、住宅エコポイント制度、税制面や住宅ローンの優遇策などに伴って、確 実に増えている。適合証を取得した住宅会社、ビルダーが 1 棟 1 棟長期優良住宅の計画認定を受けるが、2009 年 6 月から 2010 年の 6 月で累計 80,000 戸となった。(図1) 昨年の秋口には伸び悩んだが、今年にはいって増加傾向が顕著になっている。これは持家住宅の回復もあるが、 住宅エコポイントの導入、長期優良住宅普及促進事業(補助金)、税制面などの優遇制度が拡充されたことが大 きく寄与している。 現在のところ、長期優良住宅は、戸建住宅が主流であり、直近の 5 月、6 月は、7,000 戸から 8,000 戸まで伸びて おり、戸建て注文建築の 30%に届く勢いである。(2010 年 5 月の持家着工戸数は 24,243 戸) 最近は、大手住宅会社だけでなく、住宅FC企業も長期優良住宅の新商品を発売している。長期優良住宅は、家 づくりのスタンダードになると考えられる。地域工務店においても積極的な取り組みによって、この波に乗り遅れ ない対応策が必要ではないでしょうか。 長期優良住宅計画認定戸数 戸数 累計 10000 戸建 100 共同 90 累計 8000 千 80 70 6000 60 50 4000 40 30 2000 20 10 0 4月 6月 8月 10月 12月 2月 4月 6月 ■長期優良住宅の認定件数の推移 (単位:戸) 新規 累計 戸建 共同 計 戸建 共同 計 6月 2,179 187 2,366 2,179 187 2,366 7月 4,639 13 4,652 6,818 200 7,018 8月 4,550 22 4,572 11,368 222 11,590 9月 5,804 36 5,840 17,172 258 17,430 2009年度 10月 11月 7,212 7,077 25 31 7,237 7,108 24,384 31,461 283 314 24,667 31,775 12月 6,567 228 6,795 38,028 542 38,570 1月 5,512 17 5,529 43,540 559 44,099 2月 5,904 14 5,918 49,444 573 50,017 3月 6,754 356 7,110 56,198 929 57,127 4月 6,508 82 6,590 62,706 1,011 63,717 2010年度 5月 6,834 25 6,859 69,540 1,036 70,576 6月 8,475 946 9,431 78,015 1,982 79,997 Housing-network-report t 2.大手住宅主導の長期優良住宅 戸建て住宅の長期優良住宅認定率(=2009 年 6 月から 2010 年 3 月までの戸建て認定件数 56,198 戸÷2009 年度の持家+戸建分譲着工戸数 382,287 戸)は全国平均で 14.7%となる。都道府県別に見ると、山口県が 27.9%と突出して高く、ついで、岡山県(22.3%)三重県(22.1%)愛知県(21.7%)などが高くなっている。逆に、認 定率が低いのは、沖縄県や北海道、東北、北陸などのローカル圏である。 この認定率はプレハブ持家比率と強い相関関係を示しており、プレハブ化率の高い都道府県は、認定率も高くな っている。(図2) このことは、プレハブを中心とした大手住宅会社が長期優良住宅市場を牽引しているということであり、市場の大 半を占める地域工務店では、長期優良住宅の取り組みが未だ十分進んでいないことがわかる。 2009 年度、地域工務店向けの長期優良住宅普及促進事業(100 万円の補助金)は、概ね 7200 社の地域工務店 エントリーし、4400 棟の長期優良住宅を供給している。 今年度は、「木のいえ整備促進事業」とし、地域材を活用した住宅への割り増し補助が設けられた。 7 月 15 日現在はすでに、1951 棟の交付が決定している。地域工務店のより積極的な取り組みが求められる。 住宅市場も厳しさから徐々に回復基調にある。この需要は、低価格より、高品質高性能な住宅を求める層が支 えている。低価格路線に追従するのではなく、同業他社が取り組めていないことだからこそ、自社で取り組むこと に意義があるのではないだろうか。 図2 長期優良住宅認定率とプレハブ化率 35.0% 岡山 30.0% 愛知 三重 プレハブ化率 25.0% 神奈川 20.0% 岐阜 長野 山口 香川 熊本 山梨 徳島 10.0% 0.0% 0.0% 静岡 兵庫 三重 福岡 栃木 15.0% 5.0% 広島 長崎 石川 青森 沖縄 5.0% 10.0% 15.0% 20.0% 25.0% 30.0% 35.0% 長期優良住宅計画認定率 ■ 長期優良住宅計画認定件数 2009年度認定件数 戸建 48 全国 共同 計 2010年4月 認定率 戸建て 2010年5月 共同 戸建て 2010年6月 共同 戸建て 開始からの累計 2010年度累計 共同 戸建て 共同 戸建て 共同 計 参考 持家プレハ ブ化率 56,198 929 57,127 14.7% 6508 82 6,834 25 8475 946 21817 1053 78,015 1,982 79,997 1 北海道 1,118 36 1,154 9.3% 109 1 168 2 231 1 508 4 1,626 40 1,666 18.0% 8.4% 2 東北 3,022 13 3,035 12.6% 411 2 459 0 517 0 1387 2 4,409 15 4,424 12.7% 3 関東 18,307 459 18,766 12.5% 2100 67 2208 6 2660 769 6968 842 25,275 1,301 26,576 17.7% 4 中部 13,783 74 13,857 18.1% 1607 4 1609 5 2139 147 5355 156 19,138 230 19,368 21.3% 5 近畿 9,311 153 9,464 15.5% 1130 2 1079 6 1341 4 3550 12 12,861 165 13,026 20.2% 6 中四国 5,504 22 5,526 18.5% 585 2 624 3 811 4 2020 9 7,524 31 7,555 20.3% 7 九州 5,153 172 5,325 15.4% 566 4 687 3 776 21 2029 28 7,182 200 7,382 14.3% -2- Housing-network-report t 3.最近の住宅FCの新商品は、長期優良住宅対応 住宅、リフォーム業のフランチャイズは全国 60 チェーン、加盟店数は 7900 店舗、末端売上 5700 億円であ る。リフォームチェーンは拡大しているが新築チェーンは減少傾向にある。元祖アイフルホームはバブル期 の 80 年代後半に創業、他のチェーンも 90 年代にあいついで参入している。 規格化商品、低価格路線でローコスト市場を開拓してきたFC住宅であったが、タマホームに代表される自 由設計、低価格、直営システムやアキュラホームのようなVCの出現によって、FC住宅の新鮮味が失われ、 元気がなかった。 しかし、最近のFC住宅の新商品を見ると、次世代省エネ基準を標準仕様にするなど、性能面やデザイン 面でもグレードアップし、新しい工法や機能付加で差別化を図るなど「進化」している。 ■高性能・高品質商品の強化 最近の住宅FCグループの新商品は、大手住宅会社に対抗して、高性能・高品質を訴求した商品が目立っ ている。次世代省エネ基準でエコポイント対応はスタンダードになっており、長期優良住宅対応も増えてい る。断熱材のグレードアップや窓サッシの複層ガラスからLow-Eガラスを標準にした商品も珍しくない。 また、ユニバーサルホームは、太陽熱集熱や地熱床システム(床下に蓄熱層を設けた 24 時間床暖房)。I CAS(空気環境改善システム)などベンチャー企業との連携で商品特長を訴求。 また、FC住宅の多くは、機構の施工基準緩和もあって「省令準耐火構造」に認定され、工業化住宅の優位 性が薄らいでいる。 ■デザイン品質の向上 デザイン品質の高い商品も目立っている。磁器タイルを標準としているメーカーや総二階シルエットであり ながら、素材の異なる外装材の貼り分け、バルコニーやアルコーブ玄関の採用など外観感性を高める工 夫も見られる。 ■中級価格戦略に転換 価格戦略も従来の、規格型低コスト戦略から自由設計中級価格戦略へと転換し、高性能高品質を求める ユーザーへの対応を強化している。坪単価 25.8 万円自由設計のTホームの出現で、元気のなかったFC住 宅各社も、自由設計を基本に転換し、設計提案力を差別化ポイントとしている。 女性の営業担当者を導入、現場見学会、イベントの開催、手づくりニュースレターの発行など、きめ細かい マーケティングを展開することで、地域ナンバーワンを目指した取り組みが見られる。 地域工務店は、大手住宅会社とFC住宅の挟撃のなかでいかに、自社の独自性を発揮したマーケティング を実現するか、今後の大きな課題となっている。地元の木材建材流通業者とのアライアンスで地域材を使 った独自商品の開発や需要開拓のセミナーの実施も求められる。 独自のデザインコードをもつアキュラホーム レオハウスの新商品、太陽光パネル付きで 29.8 万 長期優良住宅仕様で 40 万円/坪 円/坪で 4 万円アップ。 -3- Housing-network-report t ★この夏、車中泊がはやっている。 最強の旅スタイル 誰より早く目的地に着けるから、観光名所も空いた時間に堪能できる。ホテルの予約 も宿泊費も要らない。チェックインもチェックアウトもない。もちろん旅先での移動手段 にも困らない。自由に予定が組める。 温泉巡りも、ご当地グルメの旅も、釣りも自由 自在。渋滞だってへっちゃら。無理に運転せずにパーキングで寝ればいい。 キャンプ で突然の嵐でも無理せず車で寝れるから親も子供も安心・安全。車中泊こそ最強の 旅のスタイルだ! 節約ブームや高速道路無料化実験なども追い風になっている。 ウインドウにかけるカーテンや車中泊ベッド、携帯発電機の車中泊三種の神器が売れ ている。 従来のドライブに「車中泊」というコンセプトを追加して、新しい生活提案をしている。仕 掛け人は誰だ。住宅会社もこんな時代のニーズを引き出す仕掛けが求められる。 mail [email protected] http://www.hi-ho.ne.jp/marken/ http://marken2005.exblog.jp/ (ブログも見てね) 市街地のビルの中に立つ森鴎外旧宅 小倉北区鍛治町にて ★ 近況報告 ★ 猛暑が続いている。先週、北九州市小 倉に行ってきた。出張の楽しみは、その 街の美味しいものとか、景勝地を訪ねる とか、いろいろあるけど、小倉には何も 無さそうであまり期待しなかった。 帰りがけに飲み屋街の真ん中に森鴎外 の旧宅を見つけた。彼は明治三〇年代に 3年間、小倉の連隊に軍医として勤務し ている。旧宅は当時のままで、書院の間 で少し昼寝を楽しんだ。 来週は、また東北へ行くことになってい るので水沢まで足を伸ばして、高野長英 と後藤新平の二つの記念館を訪ねてたい と思っている。 記︶ 先週、発表された﹁経済財政白書﹂に は高齢者の就労促進と現役世代の有給休 暇の完全取得が消費を誘発するとしてい る。未消化の有給休暇は延べ4・5億日 たまっており、一日あたり1000円の 追加支出が生まれればGDPを0.1% 押し上げる。住宅投資部門は中長期的に 振るわないが、単身女性向けや高齢者向 けの需要促進を期待している。これはと いった提案は見られない。 ︵福田 -4-
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