CHEMOTHERAPY T-1982の 細 菌 学的評 価 才 - 日本化学療法学会

DEC.
CHEMOTHERAPY
112
T-1982の
才川
1982
細 菌 学的評 価
勇 ・保 田
隆 ・福 岡 義 和 ・高 畑 正 裕
松 原 信 之 ・四辻
彰 ・岡 本 直 子
富山化学工業株式会社綜合研究所
新 し く開 発 され たCephamycin系
抗 生 剤T-1982の
細 菌 学 的 評 価 を 行 な った 結 果,次
の成 績 が
得 られ た。
1)T-1982はCephalosporin系
抗生 剤 に 耐性 な菌 を含 む グ ラ ム陽性 お よ び グ ラ ム 陰 性 菌 に幅
広 い抗 菌 スペ ク トラ ムを 有 して い た。 特 にEscherichia coli,Klebsiella pneumoniae,Serratia
censお よ びProteus属
に 対 して優 れ た抗 菌 力 を有 し,ま た嫌 気 性 菌 で あ るBacteroides
marces-
fragilisに
対 して も優 れ た 抗菌 力 を有 して い た 。
2)T-1982の
MIC付
抗 菌 力 は培 地 の 変 動,血 清 の共 存,接 種 菌 量 の 多少 な どの影 響 を 比 較 的 受 け難 く,
近 で殺 菌 的 に作 用 した 。
3)T-1982はpenicillinaseお
よびcephalosporinaseに
対 し て,他 のCephamycin系
抗生
剤 同様,非 常 に安 定 で あ った 。
4)E.coliのpenicillin
binding
Proteins(PBPs)に
性 が 最 も強 く,次 い でPBP-1B,PBP-1Aで
5)実
T-1982は
治療 効 果 が 比 較 薬 剤 中 最 も優 れ て い た。 ま た
性菌 に対 して優 れ た治 療 効 果 を 示 した 。
富 山 化 学 工 業(株)綜 合 研 究 所 に お い て 開 発 さ
れ た 新 規 な 注 射 用 半 合 成 セ フ ェ ム 系 抗 生 剤 で
あ る1)
。 化
学 名 はSodium7β-〔(2R,3S)-2-(4-ethy1-2,3-dioxo-1-
今 回 著 者 らは,T-1982に
た の で 報 告 す る。
I.実
methoxy-3-〔(1-methyl-1H-tetrazol-5-y1)thiomethyl〕3-cephem-4-carboxylateで
NH2基
1)使
そ の 構 造 は 先
よ びCefoperazone8)が
3-dioxo-1-piperazhle-carbonyl
に 導 入
し た7α-メ
に 開 発 さ れ た
有 す る4-ethy1-2
moietyを
,
ス レ オ ニ ル の
トキ シ セ フ ァ ロ ス ポ リ ン 系 化 合
物 で あ る(Fig.1)。
T-1982は
phalosporinに
Serratia
験材料 および実験方法
用薬剤
T-1982は
当社 綜 合 研 究 所 で製 造 され た 凍 結乾燥品を
用 い,そ
の 他Cefmetazole(CMZ:三
(CFX:第
一 製 薬),Latamoxef(LMOX:塩
Cefazolin(CEZ:藤
し,な
耐 性 なKlebsiella
に 対
し
,広
範 囲
か で もPenicillinやCepneumoniae,Protms属
marcescens,Enterobacterな
ど に 優 れ た 抗 菌 力 を 有
す る 。
野 義製薬),
penicillin(PCG:明
治製菓)
を用 い た 。
2)試
,
共),Cefo曇d血
沢 薬 品) ,Cephaloridine(CER;
鳥 居 薬 品)お よ びBenzyl
グ ラ ム 陽 性 お よ び 陰 性 菌 群
な 抗 菌 ス ペ ク トラ ム を 有
関 す るin vitroお よびin viu
で の 細 菌 学 的 評 価 を 既 知 の セ フ ェ ム 系薬 剤 と比 較検討し
piperazinecarboxamido)-3-hydroxybutanamido〕-7α-
Piperacillin2)お
対 す る親 和
あ っ た。
験 的 マ ウス感 染 症 に対 して は,T-1982の
CEZ耐
対 す る親 和 性 は ,PBP-3に
験菌 株
標 準 菌 株 は 当社 研 究 所 保 存 株 を使 用 した。 臨 床材料由
来 の 菌 株 は主 と して1977年6月
∼1978年4月
までに分離
され た もの で あ る。
Fig.
1
Chemical
structure
of T-1982
3)抗
菌 力 測 定法
日本 化 学 療 法 学 会標 準 法 。 に 準 じ,寒 天 平 板希 釈法で
最 小 発 育 阻 止 濃 度(MIC)を
測 定 した 。 す な わ ちtrypto-
soy broth(TSB:栄
研)中
で37℃18時
(約108cells/ml)お
よ び そ の100倍
ml)の1白
間 培 養 した菌液
希 釈 液(約106ce1ls/
金 耳 を,薬 剤 の 倍 数 希 釈 濃 度 を 含 むheart
infusion agar(HLへ:栄
研)平 板 上 に接 種 し
,37℃18時
間 培 養 後 ・菌 の 増 殖 が 認 め られ なか つた 最 小 濃 度 をMIC
VOL.30
とした 。 た だ し,Pseudomonas
養液 に0.4%KNO3を
aeruginosaの 場 合 は 前培
添 加 し,Streptococcus
は前 培 養液 にtodd
MIC測
羽3
CHEMOTHERAPY
S-3
hewitt
pyogenesで
broth(Difco社)を
用 い,
定平 板 に10%羊 血 液 を 添 加 し た 。Haemophilus
B2)1Lに
接 種 し37℃5時
間振 と う 培 養 し た 後,遠
心
に よ り集 菌 し た 。 た だ しProtmsml8arisGN76で
PCGO.5mg/m1を
Mリ
は
振 と う培 養 時 に添 加 した 。 菌 体 を0.1
ン酸 塩 緩 衝 液(pH7.0)の
適 当 量 に 懸 濁 し,20kHz
influenzaeで は,前 培 養 液 にヘ ミン(シ グ マ社)を10μ9/
5分 間 氷 冷 下 で 超 音 波 処 理 した破 砕 液 を12,000×G,20
ml,β-NAD(シ
分 間 遠 心 し,そ の 上 清 を酵 素 液 と した。 β一1actamaseに
グ マ社)を2μ9/m1加
infusion broth(BHIB:栄
にFILDESの
え たbrain
heart
研)を 用 い,MIC測
ペ プ シ ン消 化 血 液 を5%添
定平板
加 し た。ま た
Bacteroides fragilisの 場 合 は前 培 養 液 にGAMブ
ン(日 水),MIC測
定用 平板 にGAM寒
イヨ
天 培 地(日 水)
を使用 し,嫌 気 条 件 下 で培 養 した 。
4)殺
ヨ ー ド法5)に 基 づ い て
測 定 した。
7)位
相 差 顕 微 鏡 に よ る菌 の 形 態 変 化 の 観 察
TSBで37℃1夜
培 養 し た 菌 液 を,HIBで100倍
な った 菌 液1白 金 耳 を,ス
ラ イ ドグ ラ ス上 に作 製 した 薬
剤 の 倍 数 希 釈 濃度 を 含 む フ ィル ム寒 天(HIA)上
TSBで37℃1夜
量 が106お
培 養 した 菌液 を 適 宜 希 釈 し,最 終 菌
よび104cells/m1と
濃 度 を含 むnutrient
な る よ う薬 剤 の 倍 数 希 釈
broth(NB:栄
研)に 接 種 し,37
間 培 養 後 肉 眼 的 に 菌 の 増 殖 が 認 め られ なか っ た
最 小 濃度 をMICと
し た。MIC測
定 後 各 培 養 液 の1白
金 耳 を,薬 剤 を 含 ま な いHIAに
移 植 し,37℃20時
培 養 後 コ ロニ ーを 全 く認 め な い濃 度 をMBCと
間
した 。
(2)増 殖 曲 線 に お よ ぼ す 影 響
TSBで37℃1夜
接 種 し37℃
な っ た時
点 で 薬剤 を添 加 し,経 時 的 に 生 菌 数 を測 定 し た。
8)Penicillin
T-1982の
infusion
agar(BHIA:栄
研),tlypto-soy
栄 研)お よ びMueller-Hinton
agar(TSA:
agar(MHA:栄
用 い,接 種 菌 量 は約106ce11s/m1と
研),
binding
してMICを
測定 し
た。
PBPsに
対 す るT-1982の
10%HCIま
影響
Radio
51mCi/m
mole)と
T-1982を
拮 抗 的 に 結 合 させ,SDS一
1982の
た は10%NaOHでpH調
整 したHIAを
してMICを
た。
Chemical
分 離 した。 フ ル オ ロ
結 合 した14C-PCGを
検 出 し た 。Tの結 合 が 阻 害 され
各PBPsに
対 す る 親和 性 を 比
較 した 。
9)マ
ウ ス実 験 的 感 染 症 に対 す る治 療 効 果
重19±1g,1群5匹
で37℃1夜
よ び50%添
井 化 学)に 懸 濁 し,腹 腔 内 に 接 種 し
た。 薬 剤 は 感 染1時
ihfusion broth(HIB:栄
cells/mlと
加 し たheart
研)を 用 い,接 種 菌 量 は 約104
して 液 体 希 釈 法 でMICを
測 定 し た。
間後 に1回 背 部 皮 下 投 与 した。 治 療
の100倍 お よ び10,000倍
で18時 間 培 養 し た菌 液 とそ
希 釈 液 を接 種 し てMICを
定 した。
6)β-lactamaseに
BHIBで37℃1夜
1)抗
測
抗 菌 ス ペ ク トラ ムを既 知 セ フ ェ ム系抗 生 剤
し,そ の 結果 をTable1に
培 養 した 菌 液50m1を,Medium
対 照 薬 剤 と して比 較 検 討
示 し た 。T-1982の
は グ ラム陽 性 菌 に対 して 弱 い が,グ
強 い抗 菌 力 を 示 し,特
対 す る安 定 性
示 した 。
菌 ス ペ ク トラム
のCMZ,LMOX,CFX,CEZを
用 い,TSBで37℃
DERWAERDEN
II.結 果 お よ び考 察
T-1982の
(4}接 種 菌 量 の 影 響
を
培 養 し た 後5%
法 に よ り算 出 し,ED50値(mg/mouse)で
ヒ ト血 清 を0,10,25お
の
ポリ ア ク リル ア ミ
効 果 は7日 後 の マ ウ ス生 存 匹 数 か らVAN
(3)血 清 の 影 響
Centre:
フ イル ムに14日 間 乾 燥 ゲ ル を 密
添 加 で14C-PCGとPBPsと
gastric mucin(半
測定し
方法
膜 分画 に
モル比 で α2,1,5,25,125倍
用 い た。 感 染菌 はmA上
用 い,接 種 菌 量 は 約106cells/m1と
対す る
親 和 性 はSpRATT6)の
moleの14C-PCG(The
マ ウ ス はSLC/ICR系,雄,体
(2)培 地pHの
proteins(PBPs)に
に従 って 調 べ た。Ebcherichia coli JE1011の
る程 度 か ら,T-1982の
研)を
よ って 形
親和性
着 させ,PBPsに
heart
nutriellt agar(NA:栄
HIAを
37℃ 恒 温 装 置 付 の 位 相 差 顕 微 鏡(日 本 光 学)に
ドス ラ プ ゲル 電 気 泳 動 でPBPsを
菌力におよぼす諸因子の影響
に塗抹
ラ フ ィンで 封 じた 後,
態 観 察 を行 な った。
グ ラ フ ィーに よ ってX線
(1)培 地 の 影 響
HIA,brain
した 。 カバ ー グ ラ スを か ぶ せ,パ
84m
培 養 した 菌 液 を,NBに
で振 と う培 養 した 。 生 菌 数 が 約106cells/mlに
5)抗
希
釈 して37℃ で 約2時 間 振 と う培 養 を 行 な い 対 数 増 殖 期 と
菌力の測定法
(1)MBC
℃18時
よ る加 水 分 解 速 度 はPERRETの
抗菌 力
ラ ム陰 性菌 に 対 して
にE.coli,K.pneumoniae,Sal-
monella,Shi8ella,S.marcescms,Proteus,Enterobacterに
対 しCMZ,CFX,CEZよ
り優 れLMOXと
同程 度 で あ
114
CHEMOTHERAPY
DEC.
1982
VOL.30
Fig. 2
Fig. 4
S-3
115
CHEMOTHERAPY
Antibacterial
activity
against
Staphylococcus sp. (25 strains)
Antibacterial
activity against
K. pneumoniae (15 strains)
Fig. 3
Antibacterial
(25 strains)
Fig. 5
activity
against
E. coli
Antibacterial
activity against
S. marcescens (20 strains)
116
CHEMOTHERAPY
Fig. 6
Fig. 8
Antibacterial
activity against
P. mirabilis (25 strains)
Antibacterial activity
P. rettgeri (25 strains)
against
DEC.
Fig. 7
Fig. 9
Antibacterial
activity against
P. vulgaris (20 strains)
Antibacterial
activity against
P. morganii (25 strains)
1982
VOL.
30
Fig. 10
CHEMOTHERAPY
S-3
Antibacterial
activity against
C. f reundii(20 strains)
っ た 。Streptococcusfaecalisお
Fig. 11
よ びRaerugino3aに
し て,T-1982はCMZお
よ びCFXと
対
同様 ほ とん ど感
受性を示 さなか った。
sp.,E.coli,K.
Enterobactersp.,H.influenzaeお
よ びB.fragilisに
対
抗 菌 力 を 接 種 菌 量108cells/mlと106
検 討 し,CMZ,LMOX,CFXお
cells
よ びCEZと
較 し て そ の 結 果 をFig.2∼13に
Staphylococcus
比
示 し た。
響 は あ ま り認 め ら れ ず25μg/ml以
下 で100%阻
よ び106cells/mlの
度 で あ っ た 。108cells/m1で
mlで
は0.39μg/mlで100%阻
(3)K.pneumoniae
り1∼2管
分 布 し,
優 れ てい た。 ま た接
種 菌 量 に よ る 影 響 が や や 見 受 け られ た 。
(4}Smarcescms
Smarcescms20株
に 対 す る 抗 菌 力 をFig.5に
T-1982は108cells/m1お
示 した 。
よ び106cells/mlの
に お い て もCMZ,CFXお
よ びCEZよ
いずれ
りは る か に 優 れ
り一 管 ほ ど劣 っ て い た 。 そ のMIC
止 した 。
示 し た。
は1.56μg/ml,106cells/
止 した 。
同程
止濃度
示 した 。
(5)Rmirabilis
に 対 す る 抗 菌 力 をFig.6に
T-1982は108cells/mlお
いずれ に おいて も
り優 れ,LMOXと
広 く分 布 し,50%阻
は 両 接 種 菌 量 と もにa25μg/mlを
Rmirabilis25株
25株 に 対 す る 抗 菌 力 をFig.3に
T-1982はCMZ,CFX,CEZよ
は ≦0.1∼0.78μg/mlに
よ びCMZよ
mlで0.39∼100μg/mlと
(2)E.coli
108 cells/mlお
いずれ
値 分 布 は108cells/mlで0.39∼200μg/ml,106cells/
に 対 す る 抗 菌 力 は,Fig.2に
示 す よ うに対 照薬 剤 に比 較 して 弱 か った が 接 種 菌 量 の 影
E.coli
示 した 。
よ び106cells/mlの
て い た が,LMOXよ
sp.
sp.25株
15株 に 対 す る抗 菌 力 をFi縁4に
T-1982は108cells/m1お
LMOXお
Pneumoniae, S. marcescens, Proteus mirabilis, P. vulgaris,
Proteus morganii, Proteus rettgeri, Citrobacter freundii,
(1)Staphylococcus
K.pneumoniae
お い て そ のMIC値
臨 床 的 に 分 離 さ れ たStaphylococcus
/mlで
Antibacterial
activity against
Enterobacter sp. (14 strains)
に お い て も最 も優 れ た 抗 菌 力 を 示 し た 。106cells/m1に
2)臨 床分離株 に対す る抗菌 力
す るT-1982の
117
お い て もCMZ,CFXお
LMOXよ
り1∼2管
よ び106cells/mlの
よ びCEZよ
量 の影 響 を受 け なか っ た。
positive
いずれに
り優 れ て い た が,
劣 っ て い た 。 し か しT-1982は
i接種 菌 量 に お い て も6.25μg/mlで100%阻
(6)Indole
示 した 。
Protms
sp.
両
止 し接 種 菌
DEC.
CHEMOTHERAPY
118
Fig. 13
Fig. 12 Antibacterial
activity against
H. influenzae (24 strains)
P.vulgaris
のindole
20株,Rrettgeri25株,P.morganii
7∼9に
positive
Proteus
1982
Antibacterial
activity against
Bacteroides,fragilis (29 strains)
25株
70株 に 対 す る 抗 菌 力 をFig.
示 した 。
い ず れ の 菌 種 に お い て もLMOXが
を 示 し,次
最 も優 れ た 抗 菌 力
い でT-1982,CMZ,CFX,CEZの
た 。T-1982は
順 であっ
い ず れ の 菌 種 に お い て も接 種 菌 量 の 影 響
は 受 け に く く,106cells/mlに
お け る50%阻
止 濃 度 は
Rrettgeriで0.78μg/ml,P.vulgarisで1.56μg/mlお
よ びRmorganiiで1.56μg/mlと
低 値 を 示 した 。
(7)C.freundii
C.freundii20株
に 対 す る 抗 菌 力 をFig.10に
108cells/mlに
200μg/mlに
mlま
お い てT-1982のMIC値
示 した 。
は ≦0.1∼>
広 く分 布 し,LMOXと
比 較 し て6.25μg/
で は 同 等 で あ る が そ れ 以 上 の 濃 度 で は1管
っ て い た 。T-1982お
よ びLMOXの50%阻
もに6.25μg/mlでCMZ,CFXお
累 積 百 分 率 は106cells/mlの
T-1982,CMZ,CEZの
は1.56μg/mlの
ほ ど劣
B.fragilis29株
は108cells/mlと
≦0.1∼200μg/mlと
同 様 にT-1982のMIC
広 く分 布 し,LMOXよ
り1
種 に お い て50%阻
に 対 す る 抗 菌 力 をFig.11に
示
3)殺
した 。
同 様,T-1982のMIC値
量 と もに,0.2∼200μg/mlに
は 両接 種菌
低 値 を 示 した
106cells/m1で0.39μg/mlと
(1)MICとMBCの
関係
2,S.marcescens
次 ぐ抗 菌 力 を
示 した 。
E.coli
GN
(9)H.influenzae
示 し
IID620の3株
と,臨
TK-16,K.pneumoniaeY-50お
3027の3株
104cells/mlで
に 対 す る 抗 菌 力 をFig.12に
関係
標 準 株 と し てS.aurmFDA209P,EcoliNIHJJC-
低 値 を 示 し,CMZ,CFX
り は る か に 優 れLMOXに
殺 菌 作 用 に つ い て,MICとMBCの
お よ び菌 の増 殖 に 及 ぼ す 影 響 につ い て検 討 した。
広 く分 布 し た 。 し か しT-
止 濃 度 が108cells/m1で3.13μg/ml,
H.influenzae24株
止 濃 度 が1.56μg/mlと
菌作用
T-1982の
お よ びCEZよ
次 ぐ強
れ る 抗 生 剤 と思 わ れ る 。
Entmbactersp.14株
1982は50%阻
り優 れ,LMOXに
こ と よ り好 気 性 菌 の み な ら ず 嫌 気 性 菌 に 対 し て も期待 さ
(8}Enterobactersp.
Cfreun4iiと
示 した。
い 抗 菌 力 を 有 し て い た 。 ま たT-1982は106cells/ml接
管 ほ ど 劣 っ た が 他 の 薬 剤 よ り優 れ て い た 。
た。
に 対 す る 抗 菌 力 をFig.13に
T-1982はCMZ,CEZよ
106cells/mlで
止 し 優 れ た 抗 菌力を
(10)B.fragilis
り優 れ
ていた。
値は
低 濃 度 で100%阻
有 して い た。
止濃度 は と
よ びCEZよ
み を 示 し た がLMOX,
順 に 優 れ た 結 果 を 示 し,T-1982
を 用 い,接
各 薬 剤 のMICお
の 結 果 をTable2に
様MICとMBCが
床 分 離 株 として,
よ びP.mlgaris
種 菌 量106cells/mlお
よ びMBCを
示 し た 。T-1982は
よび
比 較 し,そ
他 の 薬 剤 と岡
よ く一 致 し,殺 菌 的 に 作 用 した 。しか
VOL.30
119
CHEMOTHERAPY
S-3
Table 2
Correlation
Fig.
T-1982
CFX
14
between
Bactericidal
MICs and MBCs of T-1982 (MBC/MIC)
effect
against
E. coli NIHJ
CMZ
LMOX
JC-2
120
DEC.
CHEMOTHERAPY
Fig.
15
Bactericidal
effect
against
S. marcescens
LMOX
CFX
しS.aureusFDA209Pに
IID 620
CMZ
T-1982
お い て の み106cells/m1で
MIC12.5μg/血1に
1982
対 しMBCが100μg/ml以
を対 照 と して検 討 し た。
上 と大
培 地 の影 響 に つ い て はTab1e3に
示 す 通 り,T-1蟷
きな差 を 示 した が 、 この 傾 向 は他 剤 に お い て も同様 に認
は各 種 菌 株 に お い て全 く影 響 を 受 け な か った。一方,
め られ た 。
CMZ,CFXはEcoliNIHJ,S.marcescmsIID6201こ
(2)増 殖 曲 線 に 及 ぼ す 影 響
EcoliMHJJC-2お
数 増 殖 期 途 上 の菌 に 薬剤 を作 用 させ,そ
変 化 を24時
Fig15に
お いて 若 干 のMICの
よびS.marcescensIID620の
対
の後 の 生 菌 数 の
間 ま で 観 察 し そ の 結 果 をFig.14お
よび
示 した 。
EcoliNIHJJC-2に
pHの
影 響 に つ いて はTa-1e4に
は各 種 菌 株 にお い て全 くpHの
CMZはS.aurms
CFXはS.mrms
対 して3.13μg/m1でT-1982
は 殺 菌 的 に 作 用 した が,CMZ,CFXお
変 動 が 認 め られ た 。
FDA
FDA
示 す 通 り,T-1982
影 響 を 受 け な か ったが,
209PとKPneumoniae
209PとEcoli
Y4で
TK-16で
わず
か に 影 響 を 受 け た が 有 意 の差 は な か った 。
よ びLMOXは
ヒ ト血 清 添 加 の 影 響 に つ い て はTa-1e5に
示す通 り
、
菌 の再 増 殖 が 認 め られ たoま た,S.marcescmsIID620
T-1982はEcoliNIHJとS.marcescmsllD620に
に対 してT-1982は
お い て1管 以 内 の 抗 菌 力 の低 下 が 認 め ら れ た。 一方,
低 濃度 で 殺 菌 的 に作 用 し,LMOXと
類 似 し た パ タ ー ンを示 し た が,CMZ,CFXの
両剤 は 高
濃 度 にお いて も24時 間 内 に 菌 の 再 増 殖 が 認 め られ た 。
4)抗
菌 力 に 及 ぼ す 諸 因子 の影 響
T-1982の
抗 菌 力 に 及 ぼ す 培 地 の 種 類,培 地pH,ヒ
血 清 添 加 お よ び接 種 菌 量 の 影 響 に つ い て,CMZ,CFX
CMZ,CFXに
NIHJに
つ い て もSmreusFDA209PとE.6cli
お い て抗 菌 力 の 低 下 が わ ず か に 認 め られた。
接 種 菌 量 の 影 響 につ いて はTable6に
ト
示 す 通 り,い
ずれ の 薬 剤 に お い て も接 種 菌 量 の増 加 に 伴 い 抗菌 力はや
や低 下 す る傾 向 が み られ た。
VOL.30
121
CHEMOTHERAPY
S-3
Table
3
Effect
of various
medium
on antibacterial
activity
of T-1982
Inoculum size: One loopful of bacterial suspension (106 cells/nil)
Medium:
HIA , Heart infusion agar (Eiken)
BHIA; Brain heart infusion agar (Eiken)
NA; Nutrient agar (Eiken)
TSA; Trypto-soy agar (Eiken)
MHA; Mueller-Hinton
agar (Eiken)
Table
Inoculum size:
Medium:
size:
Effect
of medium
pH on antibacterial
One loopful of bacterial suspension
Heart infusion agar (Eiken)
Table
Inoculum
4
5
S.
aureus
E.
coli
S.
marcescens
Effect
FDA
of human
209P
NIHJ
IID
620
serum
activity
of
T-1982
(106 cells/ml)
on antibacterial
(5.0•~104
cells/nil)
(7.
5 x 104
cells/ml)
(5.
5 x 104
cells/m1)
Medium:
activity
Heart
of T-1982
infusion
broth
(Eiken)
Table
6
Effect
of inoculum
Inoculum size: One loopful of bacterial
Table
Method:
DEC.
CHEMOTHERAPY
122
Todometric
assay
size
on antibacterial
suspension
7
Stability
*Hydrolysis
Medium:
against
of each
activity
Heart
of T-1982
infusion agar
8
Antibacterial
Inoculum size: upper;
lower;
activity
substrate
against
(Eiken)
j9-lactamase
by PCase
and CSase
relative
rate of hydrolysis
taking
the absolute
CER hydrolysis
as 100, respectively
**Specific
activity;
Units per mg protein
Table
1982
jS-lactamase
One loopful of 106 cells/ml
One loopful of 108 cells/ml
producing
is expressed
rate
strains
of PCG
as
and
123
CHEMOTHERAPY
VOL.30S-3
Fig.
16
Morphological
changes
at various
concentrations
of T-1982
Fig. 17 Affinity of T-1982 to E. coli JE 1011 PBPs
DEC.
CHEMOTHERAPY
124
Table
9
In
vivo antibacterial
activity
of T-1982
against
systemic
infections
1982
VOL.30
Table 9
Animal:
SLC/ICR mice, male
5)β-1actamaseに
お よ びpenicillmaseに
れ らの β-1actamase産
圭剤 と同様 β-1actamaseに
これ らの β-1actamase産
上 で はfilamentを
安 定 性 をTable
生 菌 に対 す る 抗 菌 力 を
他 のCephamycin系
抗
対 して 安 定 で あ っ た 。 ま た
生 菌 株 に 対 す るT-1982の
菊力 はP.aeru8inosa
GN
3379を
司等 であ り,CMZお
よ びCFXよ
除 い てLMOXと
抗
ほぼ
り優 れ て い た 。
相差 顕 微 鏡 に よ る菌 の形 態 変 化 の 観 察
E.coli NIHJ
JC-2,K
pneumoniae
narecscens IID 620に 各 濃 度 のT-1982を
Y-4お
示 した 。E.coli NIHJ
作 用 させ ,培
比 較 して そ の 結 果 をFig.16に
JC-2に
s. c. injection
お い てT-1982はLMOX
形 成 し た が,MIC以
形 成 し た 後 溶 菌 し た 。K.pneumoniae
Y-4で
もE.coli
MIC以
下 の 濃 度 に お い て も溶 菌 が 認 め ら れ た 。 一 方,
S。mrcesms
mentを
NIHJ
IID
JC-2と
620に
同 様 な 結 果 で あ っ た が,
お い て はLMOXと
形 成 す る 濃 度 範 囲 はEooli
KPneumoniae
Y-4よ
り広 く,溶
NIHJ
同様
創a-
JC-2お
よび
菌 の 認 め られ る 濃 度
も高 か っ た 。
以 上 の 結 果,T-1982はLMOXと
形 成 能 は 低 くfilamentを
よ びS
養5時 間後 の菌 の形 態 変 化 を位 相 差 顕 微 鏡 下 に 観 察 し
OMz,LMOx,CFxと
Therapy:
と 同 様 広 い 濃 度 範 囲 で 丘lamentを
対 す るT-1982の
Table 8に 示 した。T-1982は
(Continued)
i. p. injection
の 菌 体 か ら得 ら れ たcephalosporinase
マ
6)位
Infection:
対 す る安 定 性
臨 床 分 離 菌7株
fに,こ
125
CHEMOTHERAPY
S-3
同 様spheroplast
形 成 させ た後 溶 菌 させ る もの
と思 わ れ る。
7)Penicillin
binding
Proteins(PBPs)に
対 す る
親 和 性i
T-1982のE.coli
をSPRATTの
JE
1011のPBPsに
方 法 に 従 い,14C-PCGとT-1982と
対 す る 親 和{生
の競
126
DEC.
CHEMOTHERAPY
合 に よ っ て調 べ,そ
の結 果 をFig.17に
JE1011のPBP-3に
1Bsお
そ れ に 続 い た がPBP-2お
阻害 す るPBP-3に
中
よび
隔 壁 の 形成 を
p.vulgaris
よ びCEZを
2)
LMOX,
才川
3)
9に
4)
5)
りは るか に優 れLMOX
と同等 か また は それ 以 上 の 効 果 を 示 した 。 ま たCEZ耐
6)
治 療 効 果 を 示 した 。 この様 にT-1982
vivo効 果 がin
保 田
勇,保
隆,
田
α-(4-Alkyl-2,
滝
3-dioxoaceta-
acid類 の合成
秀 雄,
629∼645,
渡 辺 泰 雄, 加須
金 川 心 子;
25:
隆,
滝
T-1220の
789∼796,
秀 雄,
細菌
1977
渡 辺 泰 雄 、 田井
1980
日 本 化 学 療 法 学 会:
PERRET,
Nature
のin
福 岡 義翻,
β-ラ ク タ ム 系 抗 生 物 質 の薬
安 川 久 美 子,
最 小 発 育 阻 止 濃 度 (MIC) 測定
法 。Chemotherapy
ラ ム陰 性 菌 に対 して は優 れ た治 療 効 果 を
性 菌 に もT-1982は
賢,
賢, 福 岡 義 和, 高 畑 正 裕: Cefoperazone
(T-1551)
の 細 菌 学 的 評 価 。Chemotherapy
(S-6):
131∼
対 して他 の 薬剤 と比 較 して劣
よ びCEZよ
勇,
才川
144,
示 し,CMZ,CFXお
勇:
学 的 評 価 。Chemotherapy
CFXお
対 照 として 検 討 し その 結 果 をTable
T-1982はS.aureusに
才川
屋 興 子,
示 し た。
って い た が,グ
秀 雄,
桃 井 海 秀, 田
隆, 田 井
な ら び に 構 造 活 性 相 関 。薬 学 雑 誌102;
3株 を 用 い た マ ウ ス実
験 的感 染 症 に対 す る治 療 効 果 をCMZ,
清, 藤 堂 洋 三, 保 田
1982
E.ooli 3株,K.pnmmoniae5株,
1株,S.mrcescens
落合裕一
mido〕-7α-methoxycephalosporanic
処 理 され た菌 が
形 成 す る こ とを裏 付 け て い た。
1株,
勇,
1-piperazinecaτboxamido)-α-substituted
ウ ス実 験 的 感 染 症 に対 す る治療 効果
S.mrms
献
高倉
学 的 研 究 (第13報)。7β-〔
高 い 親 和 性 を 示 す こ とは 位 相差 顕微
鏡 下 で観 察 され た よ うに,T-1982で
高 野 俊 太 郎,
滝
一4に対 す る親 和 性 は低 か っ た。T-1982が
8)マ
1)
対 す る親 和 性 が 最 も高 く,PBP-
よ びPBP-1Aが
filamentを
文
示 した 。E.aeoli
1982
J.:
174:
SPRATT,
binding
vitroに 比 較 して優 れ て い る 原 因
C.
B.
23:
G.:
for
penicillinase
1954
Properties
of
1975
assay
1012•`1013,
proteins
Biochem,72:
1∼2,
Iodometric
of
Escherichia
341•`352,
the
coli
penicillinK12.
Eur, J
1977
に つ い て は現 在 検 討 中 で あ る。
T-1982,
A NEW
IN
CEPHAMYCIN
VIVO
ISAMU SAIKAWA,
MASAHIRO
TAKASHI
TAKAHATA,
Laboratory,
IN
VITRO
AND
ACTIVITIES
YASUDA,
NOBUYUKI
and
Research
ANTIBIOTIC
ANTIBACTERIAL
YOSHIKAZU
MATSUBARA,
FUKUOKA,
AKIRA YOTSUZI
NAOKO OKAMOTO
Toyama
Chemical
Co.,
Ltd.
The in vitroand in vivoantibacterial activities of T-1982 were compared with those of cefmetazole
(CMZ), latamoxef(LMOX), cefoxitin (CFX) and cefazolin(CEZ). The followingresults were obtained.
1) T-1982 had a broad spectrum with a high degree of activity against gram-positive and gain.
negative bacteria, including those which are resistant to the other cephalosporins. Especially, T-1982
showed potent activity against Escherichiacoli,Klebsietlepneumoniae,
Serratiamarcescens
and Proteussp. andiso
against Bacteroides
fragilis.
2) The antibacterial activity of T-1982 was bactericidal at the MIC, and was hardly changedbypH
of medium, inoculum size of cells and addition of human serum into the medium.
3) T-1982 had the same stability as CMZ, CFX and LMOX against penicillinase and cephalosporinase.
4) Competition of T-1982 with benzylpenicillin for penicillin-binding proteins of E. coliwas strong
in relative order of PBP-3> lA>
5) The therapeutic effects of T-1982 on intraperitoneal infections in mice with various gainnegative bacteria, including resistant strains to CEZ, were superior to those of CMZ, CFX, LMOX and
CEZ.