ѺãÍ - 日本機械学会

2P2-11-006
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,7(55 遠隔保守ビークル型マニピュレータによる
機械接続式ブランケットの着脱基礎試験
Basic Experiments for the Mechanically Attached Blanket Module Installation
by the ITER Remote Vehicle-type Manipulator
○吉見 卓(原研) 角舘 聡(原研) 岡 潔(原研) 桧山 昌之(原研)
田口 浩(原研) 柴沼 清(原研) 小泉 興一(原研)
Takashi YOSHIMI, Satoshi KAKUDATE, Kiyoshi OKA, Masayuki Hiyama, Kou TAGUCHI,
Kiyoshi SHIBANUMA and Koichi KOIZUMI, Japan Atomic Energy Research Institute
We are developing a control system for the heavy object handling manipulator which is used
for the blanket module remote maintenance of ITER (International Thermonuclear Fusion
Experimental Reactor). This control system is based on the task models generated from teaching
points. It is however necessary to apply a force control method to the mechanically attached module
installation because of the strict fitting operations. We have studied to incorporate the force control
method to the position control based task models for its smooth installation. Through the basic
experiments, the force data are acquired by using strain gages for generating force control based task
models.
Key Word : Mechanically Locked Blanket, ITER Remote Maintenance, Force Control
ѺãÍ
ITER(国際熱核融合実験炉)においては,高い放射線環境下
に設置されている大重量,大型の炉内構造物であるブランケッ
トの保守・交換作業を高い精度で行うため,炉内に敷設した軌
道上を走行するビークル型マニピュレータを用いた新しい保守
概念に基づく遠隔保守システムの開発を進めている[1]。
ビークル型マニピュレータによるブランケットの交換作業で
は,炉壁に取り付けられた重さ約3∼4トンのブランケットモ
ジュールの着脱が行われる。これまで,本マニピュレータの制
御システムとして,従来の教示再生制御方式にモデルベースド
制御の概念を取り入れ,マニピュレータが大重量のブランケッ
トの受け渡し動作を行う際に,作業の相手側との間で負荷のな
だらかな受け渡しを行い,マニピュレータに発生するたわみ量
を補償する作業モデルに基づいた,位置制御ベースの制御シス
テムを構成した[2]。しかしながら,現在検討が進められている
機械接続式ブランケットの場合は,支持部がプラズマから受け
る大きな電磁力に耐えられるように,炉壁への固定方法として
キーとピン支持による複雑なはめ合い構造が考えられているこ
とから,従来の位置制御ベースの制御方式だけではそのスムー
ズな着脱は困難で,力制御手法の適用が必要と思われる。ただ
し,重量約3∼4トンの負荷に作用する外力が計測できる力覚
センサで現在実用化されているものは無く,大重量の対象物に
対するはめ合い作業を実現するための力制御手法の確立が必要
となる。
そこで,複雑なはめ合い作業となる機械接続式ブランケット
の交換への力制御手法の適用を考え,マニピュレータのエンド
エフェクタ部に取り付けたひずみゲージの出力信号を利用して,
ブランケット着脱時にマニピュレータに作用する作業反力を計
測し,はめ合いの状況や負荷の受け渡しの状況を把握しながら
作業を進めるための力制御を取り入れた作業モデルの生成につ
いての検討を行っている。本稿では,今回これらの作業モデル
生成の検討に必要なデータの取得を目的として実施した機械接
続式ブランケット着脱基礎試験の結果を示す。基礎試験では,
実規模マニピュレータシステムの手先に単純負荷が作用した時
の反力を歪みゲージで計測するとともに,その時のマニピュレ
ータ手先のたわみ量を計測した。更に,はめ合い作業実施時の
作業反力についても計測を行った。機械接続式ブランケット着
脱のための力制御を取り入れた作業モデルは,これらの基礎試
験において得られた作業反力データをもとに生成される。
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現在検討が進められている機械接続式(ボルト等を利用した機
械締結による固定)ブランケットでは,モジュール(BL)の炉壁
への固定方法として,Fig.1 に示すバックプレート(BP)に設置さ
れた中央の大きな位置決めピンと左右両側面の大きなキーによ
るはめ合い位置決めが行われ,その後にボルトでの固定を行う。
このような複雑なはめ合い構造は,ブランケットがプラズマか
ら受ける大きな電磁力(最大で 100 トン程度)に耐えられる支
持構造とする必要があるためであり,このことが,マニピュレ
ータによるブランケット着脱作業実施時に複雑なはめ合い作業
を要求している。これらの位置決めピンやキーは,はめ合い作
業が容易となるように周囲に 3mm のテーパーが切ってはあるが,
内部のクリアランスが 0.3mm で,かなり厳しいはめ合い構造で
ある。このため,従来の位置制御ベースの作業モデルに基づく
動作では,機械接続式ブランケットのスムーズな着脱は困難で
あり,力制御手法導入が必要と考えられる。
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力制御の手法は通常,ロボット手首部に装着した力覚センサ
により手先に作用する外力を計測し,それに基づいた動作を行
う。しかしながら,ビークル型マニピュレータの場合は,取り
扱うブランケットモジュールの重量が過大なため,手首部に装
着可能な力覚センサで実用化されているものが存在せず,ここ
ではエンドエフェクタ上に取り付けたひずみゲージの出力信号
を利用したマニピュレータ手先反力の計測を行う。各歪みゲー
ジは,エンドエフェクタ(EE)の構造から考えた取り付け容易な
場所を選定した。Fig.2 に歪みゲージの取り付け位置を示す。こ
れらの出力から作業状況の把握を行い,マニピュレータの動作
日本機械学会[No.00-2]ロボティクス・メカトロニクス講演会’00講演論文集 [2000.5.12∼13,熊本]
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を決めることになる。力制御を取り入れた作業モデルには,エ
ンドエフェクタが受けた力に応じた作業シーケンスが記述され,
それに従って作業動作が実行される。具体的には,計測作業反
力とブランケットモジュールの位置・姿勢修正動作の関係(修
正ルール)を生成し,例えばFig.3 に示すようにブランケットの
挿入動作に伴ってキー溝の下面がバックプレートキー上面と接
触したと判断された場合は,ブランケット位置を上方に修正す
るといったルールが適用される。
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力制御を取り入れた作業モデル生成に必要となるデータを取
得するため,以下に示す基礎データ取得試験を実施した。
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Fig.5 に示す。また,歪みゲージ出力の計測結果(接触開始時)
を Table2 に示す。これらの結果から,歪みゲージ出力によりブ
ランケットがキー下面に接触し,バックプレート(キー)から
斜め下向きの作業反力を受けていると判断できることがわかっ
た。また,そのままはめ合い作業を継続したところ,噛み込ん
でしまうような現象は発生せず,厳密な位置合わせを行えば,
マニピュレータのたわみにより位置ズレが吸収され,はめ合い
作業は可能なことが確認できた。ただし,炉内で距離センサ等
を使って位置合わせを行う場合は厳密な位置合わせは期待でき
ず,作業反力に応じたはめ込み動作の修正が必要である。
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Fig.3 のキー溝の下面がバックプレート上面と接触した場合の
接触反力 F は斜め上方向きに作用すると考えられる。そこで,
この反力 F を2方向の成分に分解して考え,Fig.4 に示すように,
実規模マニピュレータシステムの手先に2方向の力 F1,F2(単
純負荷,各1トン)をかけた時の歪みゲージ出力とマニピュレ
ータ手先のたわみ量を計測した。結果を Table1 に示す。試験結
果より,F1,F2 のどちらの方向に負荷を加えても,歪みゲージ
を取り付けたエンドエフェクタのパイプ部には同方向の力/モ
ーメントが作用することがわかる。また,F1 を加えたマニピュ
レータテレスコ軸の曲げ方向には,キーのテーパー部程度の
35mm のたわみが発生していることがわかる。
ビークル型マニピュレータにより複雑なはめ合い構造となっ
ている機械接続式ブランケットの交換作業を実現するために,
ひずみゲージの計測結果から作業状況を把握しながら作業を進
める,力制御手法を取り入れた作業モデルの生成について検討
し,これらの作業モデル生成に必要なデータの取得を目的とし
て,機械接続式ブランケット着脱基礎試験を実施した。今後,
更に大きな位置ズレ状況下でのはめ込み動作試験を行って基礎
データを取得するとともに,機械接続式ブランケット着脱のた
めの力制御を取り入れた作業モデルの生成,作業検証を行って
いく予定である。
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今度は,実規模マニピュレータで実際に機械接続式ブランケ
ットを把持してバックプレートキーへのはめ込み動作を行い,
その時の作業反力(歪みゲージ出力)を計測した。ただし,現
状の制御装置の制約から,ブランケットをバックプレートの手
前で人手により厳密に位置合わせをした上でキー下面が若干ブ
ランケットに接触するように調整し,その状態でマニピュレー
タの手先を位置制御で直線的に動作させた。この時の様子を
1)K.Shibanuma, et. al. :"Development of In-vessel Remote Maintenance
System for Fusion Experimental Reactor (FER)", Proc. '91 Int. Symp. on
Advanced Robot Technology, pp.127, 1991.
2)久保他:”ITERブランケット遠隔保守システムの開発-IV(マニピュ
レータの制御手法)”,日本機械学会ロボティクス・メカトロニク
ス講演会’99講演論文集,1A1-07-017,1999.
BL
Table 1 Results of Loading Test
BP
SideA
Tensile(Y)
BP
Side A
F1
BL
BL
Side B
EE
Bending(Z)
15μstrain
Twisting(My)
-5μstrain
Compressive(Y)
Side B
Fig.1 Mechanically Locked Blanket
Module and Wall Back Plate Side A
-25μstrain
Twisting(My)
–25μstrain
35 mm
Tensile(Y)
2μstrain
Bending(Z)
42μstrain
Twisting(My)
F2
Fig.3 Contact Force between Blanket and key
5μstrain
Bending(Z)
Deflection
BP
Fig.2 Strain Gage
Attachment Points
5μstrain
-18μstrain
Compressive(Y)
Side B
Bending(Z)
3μstrain
-10μstrain
Twisting(My)
Deflection
-3μstrain
5 mm
Table 2 Results of Blanket Installation Test
Side A
Tensile(Y)
0μstrain
Bending(Z)
-5μstrain
Twisting(My)
3μstrain
Compressive(Y)
0μstrain
F
Side B
F2
F1
Fig.4 Loading Test
Fig.5 Mechanically Locked Blanket Installation Test
Bending(Z)
8μstrain
Twisting(My)
4μstrain
日本機械学会[No.00-2]ロボティクス・メカトロニクス講演会’00講演論文集 [2000.5.12∼13,熊本]
2P2-11-006(2)