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動物用 dual tune coil の使用経験
東北大学医学部附属病院 放射線部
○松崎 智子
渡邊 浩之
(Matsuzaki Tomoko)
(Watanabe Hiroyuki)
永坂 竜男
佐々木正寿
(Nagasaka Tatsuo)
(Sasaki Masatoshi)
山中 一臣
(Yamanaka Kazuomi)
【目的】
当院では、実験用ラットの心臓撮像を目的として、動物用dual tune coil(THKCYL-70DC、高島製作所
製)を購入した。
今回、このコイルの性能評価のため、SNR、空間分解能、感度分布等を検討したので報告する。
【実験方法】
使用MRI装置はGE社製Signa HORIZON LX 1.5T Cvi、コイルは高島製作所製動物用dual tune coil
(THKCYL-70DC、以下rat coilとする)、比較用としてhead coilを使用した。撮像用のファントムとして、洗濯
のり(PVA)入り500mlペットボトル(PVAファントム)と、自作アクリルファントムを使用した。
rat coilをFig.1 に示す。H用、P用の同軸ケーブルが接続されている。H感度範囲のコイル形式は対向
ループ型、検体収容部は内径70mm、長さ160mmである。MRIへの設置は、高さが静磁場の中心になるよう
にし、rat coilの検体収容部が静磁場に直交する方向に置く。
アクリルファントムはMRI用のJISファントムを分解し、界面活性剤溶液を満たしたプラスチック容器に入れ
て作成した(Fig.2)。
使用したrat coilはH(プロトン)とP(リン)のdual tune coilであるが、今回はHの検討のみを行った。PVAフ
ァントムを用いてrat coil、head coil で撮像し、SNR、SNRの再現性の比較を行い、X、Y、Z方向の感度分布
の検討を行った。また、アクリルファントムを使用して空間分解能の検討を行った。
横から見た状態
Fig.1
rat coil
【結果】
SNRはFSE法のdouble echoで、プロトン密度強調画
像とT2強調画像を同時に、multi sliceで5sliceずつ2回
撮像し、差分法にて算出した。TR=3600ms、TE=9.3、
112ms、FOV=8×8、Matrix size=256×256である。rat
coilのSNRは181.67、head coilは60.26となり、rat coilが
約3倍の値となった。また、同一条件で撮像を繰り返し
た時のSNRの再現性は標準偏差で5.18と、良好な値を
示した(Fig.3)。
Fig.2
アクリルファントム
SNR
300
Fig.3 SNR の再現性
200
300
100
SNR
200
100
0
0
1 2 3 4 5 6 7 8 9
SN 249 258 257 254 249 259 256 262 264
.29 .61 .29 .84number
.94 .88 .62 .07 .98
1
2
3
4
5
6
7
8
9
Fig.3
SNR の再現性
257.254.249.
259.256.262. 264.
SN 249.258.
number
アクリルファントムで空間分解能の検討を行った。
Fig.4がrat coil、head coilでの画像である。A点が
実寸2.5mm、B点が0.5mmとなっている。rat coilで
は内腔が識別出来るのに対し、head coilではほと
んどコントラストがついていなかった。
PVAファントムをX、Y、Z方向に、rat coilで撮像
しての感度分布は、Plofile curveにおいてもほぼ均
一であった(Fig.5 )。
Ax
rat coil
head coil
Cor
Fig.4 空間分解能
Pulse Sequence:FSE(PD+T2)
TR=3600 TE=13.5,108(msec)
ETL:14 FOV:80×80(mm)
Slice/gap:6/2(mm)
Matrix size:256×256
NEX:2 Bandwidth:15.26kHz
Sag
Fig.5 感度分布
Fig.6 Plum(上)、Lemon(下)
今回はラットの撮像が出来なかったが、果物(プラム、レモン)の撮像では、rat coilで良好な画像を得るこ
とが出来た(Fig.6)。
【まとめ】
同一条件下で、rat coilのSNRはhead coilの約3倍の値となり、X、Y、Zの3方向において均一な感度分布
を示した。アクリルファントム0.5mmの点でも、解像力は良好であった。
【考察】
今回の実験を行うにあたり、Auto tuningで撮像しようとすると、コイルのMRIへの設置位置やファントム物
質などの条件の違いでtuningできない場合があった。Manualでの送受信ゲインの設定等を検討する必要
があると思われる。