「一般廃棄物処理施設整備事業環境影響評価準備書」に係る知事意見 1

「一般廃棄物処理施設整備事業環境影響評価準備書」に係る知事意見
1 全体的事項
(1) 事業の実施にあたっては、自然環境に与える影響を可能な限り回避、低
減できるよう、環境保全に最大限配慮すること。
(2) 環境保全措置の効果の不確実性の程度が大きいものについては、詳細な
工事実施計画を検討する際に、影響が最小限となるよう慎重に環境保全
措置を実施すること。
(3) 事後調査計画等、以下の意見を踏まえて内容を検討の上、わかりやすく
評価書に記載すること。
2 個別的事項
【大気質・騒音・振動・悪臭】
(1) 騒音の予測方法として公に認められている(社)日本音響学会の道路交
通騒音の予測モデル「ASJ RTN-Model 2008」を予測式として用いている
が、準備書に記載してある補正項は、広く妥当性が確認されていない。
評価にあたっては「ASJ RTN-Model 2008」に準拠した方法で行うこと。
(2) 微小粒子状物質の健康被害への影響が考えられるため、稼働後のモニタ
リング計画として微小粒子状物質の測定を追加し、環境基準との比較に
より影響の程度を確認し、迅速な保全対策措置を講じること。
(3) ゴミ処理施設の工事や稼働に伴い車両からの排気ガスが増加し、光化学
オキシダントの発生が考えられるため、大気質の車両に関する予測・評
価の項目に光化学オキシダントを追加すること。
(4) ゴミ処理施設の稼働後、排ガスの発生による土壌汚染の影響が考えられ
るため、大気質調査地点(6地点)における土壌のダイオキシン類以外
の有害物質についても現況調査を行うこと。
(5) ボイラー、送風機などから低周波音が発生する可能性が考えられるため、
事前に「消音器(サイレンサー)」、「ダクトの補強」などの対策を講じ、
事後調査(低周波音測定)を実施して、問題がある場合は、追加の対応
策を講じること。
(6) 廃棄物の搬出入に係る環境保全措置として,「廃棄物の搬出入時間の分
散・管理」について、十分な検討を行うとともに、浮遊粒子状物質の排
出軽減を図るため、出来るだけ低公害車の導入に努めること。
【水質】
(1)防災調整池へ流入しない後山川西側の造成地においても、取付道路
と同様に仮設沈砂池を設けるなど濁水の流出防止について配慮す
ること。
(2)防災調整池を工事中の濁水流出防止施設(沈砂池)として利用する
計画であるが、調整池へ流入した濁水について、土砂の沈降に必要
な滞留時間が確保されるよう適切な対策をとること。
(3)施 設 整 備 に 伴 う 雨 水 の 流 出 増 対 策 と し て 防 災 調 整 池 が 計 画 さ れ て
いるが、現地調査を十分行ったうえで、調整池の貯水容量や構造等
について、関係する設計基準に準拠し、下流域に悪影響を及ぼさな
いよう十分な検討を行うこと。
(4)松浦川の下流は伊万里市や唐津市の水道の取水源となっているので、特
に有害物質の流出防止について配慮すること。
(5)ゴミピットの設置にあたっては地下水位が影響を受けることがないよう
に十分な検討を行うこと。
(6)工事中にはコンクリート工事に伴ってアルカリ排水の影響が考えられる
ため、水素イオン濃度の監視を行うとともに、アルカリ排水が見られる
場合には、中和措置を実施後に排水するなど適切な環境保全対策を講じ
ること。
【地形及び地質】
(1) 造成工事においてスレーキングが起こる可能性があるため、施工方法を
十分に検討すること。
(2) 事業計画地の谷底部にパイピングの痕跡がみられるため、降雨時に湧水
が生じる恐れのある箇所等については、水平排水孔や排水を考慮した法
面保護工によって安定を確保するとともに、盛土箇所については、表面
排水工や地下排水工等の十分な排水施設を設置することにより、降雨の
作用に対する盛土の安定性を図ること。
【動物・植物・生態系】
(1) 生態系への影響に対する環境保全措置を講じるにあたり、細心の注意を
払うこと。また、創出されるビオトープについては、適切に事後の追跡
調査を行うとともに、事後調査実施後も適切な維持管理を行い、動植物
の生息・生育の場として継続して保全すること。
(2) 付替河川域が魚類等の生息環境として機能するためにも、遡上阻害とな
らないように、代替河川域と既存河川域との落差を解消できるような構
造を十分検討し、魚類等の生息環境の保持に努めること。
【その他】
(1) 一般廃棄物を資源化して同時にエネルギー回収を行う本施設は、地球環
境の保全という見地から大変意義深いものであり、本施設の見学を受け
入れるなど環境教育に貢献するよう努めること。