天体硬X線偏光検出器PoGOプロトタイプの ビーム試験 水野恒史、釜江常好、田島宏康、Johnny Ng (SLAC)、 片岡淳、河合誠之 (東工大)、郡司修一 (山形大)、 斎藤芳隆、高橋忠幸 (宇宙航空研究開発機構)、深沢泰司 (広島大)、 John W. Mitchell、Robert Streitmatter(NASA GSFC)、 Richard C. Fernholz、Edward Groth(プリンストン大学) cf. 片岡 et al., w51a 日本天文学会 2003年秋の年会 ASJ_2004-03-24.ppt 1 硬X線偏光観測:意義と手段 •偏光はシンクロトロン放射やコンプトン散乱で生じ、磁場や散乱体の構造 を反映する。 パルサーの放射機構や、ブラックホール周りの降着円 盤のジオメトリを決める新しいプローブ。 •我々は、2007年頃に気球による偏光観測をめざし、国際協力のもとPoGO (Polarized Gamma-ray Observer)の開発を進めている。 •~200本のプラスチックシンチレーター(有効 面積~230cm2 for 40-50keV)を並べ、コンプト ン散乱の散乱角の異方性から偏光を計る。 •Welcome気球実験やASTRO-Eおよび ASTRO-E II HXDで培われた井戸型フォス ウィッチのデザインを採用し、徹底した低バッ クグラウンドを実現。 passive/active collimator side BGO PMT ASJ_2004-03-24.ppt bottom BGO 2 PoGOで期待される成果 期待される感度 かにパルサーからの偏光観測 100mCrabの強度の天体から の信号 phase=0.342+-0.045 (polar cap model) phase=1.54+-0.10 (caustic model) Phase=-0.22+-0.10 (outer gap model) 大気γによるバックグラウンド 20 MF=3.10+-0.65% 散乱の方位角 100 keV •25-100keVの領域で10mCrabまでの 強度の天体からの偏光が観測可能 •6時間のフライトで、かにパルサーの 放射モデルを区別することができる •その他のパルサー、ブラックホール連星、AGNのJet等からの偏光を、世界に 先駆けて観測することを目指す。 ASJ_2004-03-24.ppt 3 プロトタイプのビーム試験 •これまでの議論はシミュレーションに依存 •実験室での偏光観測やビーム試験を通し、装置の性能を確認しシミュ レーターを評価する必要がある PoGO: 約200ユニットのfast/slow プラスチックシンチレーターと bottom BGO、およびside BGOからなる プロトタイプ: fastプラスチックシンチレーター7本 (主検出部) beam direction •2003年11月、米国アルゴンヌ国立 研究所にて実験 •60 keV, 73 keV, 83keVの3つのエ ネルギーのシンクロトロンビームを 中心のシンチレーターに照射。 •ビームの偏光ベクトルは水平方 向:装置を15度刻みで回転。 ASJ_2004-03-24.ppt 4 73.2 keV Run •中心でコンプトン散乱し、周りの シンチレーターの一つで光電吸 収した事象を選択 得られた異方性と、Geant4によるシ ミュレーションの比較 Geant4 全エネルギー (keV) 2 scintillators detected a hit 中心のシンチレーターでのエネルギー (keV) •プロトタイプで偏光を測定できること を確認。 •Geant4によるシミュレーションで、 データを、10%程度で再現することに 成功。 ch1 ch2 ch3 ch7 ch6 ch5 Modulation Factor: ~43%(data) vs. 47%(simulation) Geant4 ver 5.1のG4LowEnergyPolarizedComptonを 使用。EGS4との比較にもとづき、ユーザーによるfix を行っている。 ASJ_2004-03-24.ppt 5 60.2/83.5 keV Run 60.2keV ch1 ch7 Geant4 ch3 ch2 ch6 ch5 83.5 keV ch7 ch6 ch1 ch2 Geant4 ch3 ch5 Modulation Factor: ~42%(data) vs. 47.5%(simulation) Modulation Factor: ~41%(data) vs. 46%(simulation) •残る2つのエネルギーでも、10%程度以内でデータを再現。 •Modulation Factorがエネルギーにほぼよらないことを確認。 ASJ_2004-03-24.ppt 6 Summary •硬X線による偏光観測は、パルサーの放射機構や降着円盤のジオメトリなどを調べる新し いプローブとなる。 •気球による偏光観測を目指し、日本を含む国際協力でPoGO (Polarized Gamma-ray Observer)の開発を進めている。 •井戸型フォスウィッチカウンターのデザインを採用し、大面積・低バックグラウンド化により、 6時間のフライトでCrabパルサーの放射機構の解明ほか、様々な天体の観測が可能。 •装置の性能確認と、シミュレーションプログラムの評価のため、昨年11月に米国アルゴン ヌ国立研究所で、ビーム試験を行った。 •プロトタイプで偏光が観測できることを示すとともに、Geant4によるシミュレーションでデー タを10%で再現することに成功。またEGS4との比較に基づき、Geant4の偏光プロセスを修 正。Geant4チームへのレポートを行った。 •今年・来年に、ユニットを増やし、slow scintillator、bottom/side BGOを取り付けたプロトタ イプでのビーム試験を行う。 •2007-8年の気球観測を目指し、各機関で協力、分担して開発中である。 ASJ_2004-03-24.ppt 7 Geant4 vs. EGS4 •プラスチックシンチレーターでできた箱に100%偏光したCrabのスペクトルを入射し、 EGS4とGeant4とでModulation Factorを比較。EGS4はNamito et al. (1993)によ るコンプトン散乱(偏光)の拡張がなされたものを、Geant4はver5.1 with low energy extensionを使用。 •Geant4が~30%低いMFを返した。コードを確認し、EGS4のドキュメントを元に行った 修正をGeant4に施す。 10%程度で両者は一致。 Geant4チームへ報告済み。 (it was ~15% without “fix”) ASJ_2004-03-24.ppt 8
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