コンクリート工学年次論文集 Vol.27 - 日本コンクリート工学協会

コンクリート工学年次論文集,Vol.27,No.1,2005
論文
膨張コンクリートのマス養生温度履歴を考慮した膨張応力算定法
三谷
裕二*1・谷村
充*2・佐久間
隆司*3・佐竹
紳也*4
要旨:一般的な収縮補償用の膨張コンクリートについて,種々の拘束鋼材比・一定養生温
度下における拘束膨張ひずみの実験値より,応力算定に用いるための見かけの膨張ひずみ
と見かけのヤング係数を定める方法を提案した。さらに,これら見かけの物性値の温度依
存性を考慮した膨張応力の算定法を提示し,マスコンクリート様の温度履歴を受ける場合
の適用性を検証し,概ね推定可能であることを示した。
キーワード:膨張コンクリート,マスコンクリート,温度依存性,膨張応力,算定法
1. はじめに
表-1に使用材料,表-2に配合を示す。水
近年,コンクリート構造物の大型化・大断面
/(セメント+膨張材)比 55%,普通ポルトラ
化に伴う温度ひび割れ対策として,膨張材の適
ンドセメントに石灰系膨張材を 30kg/m3 内割置
用を検討するケースが増える中,その使用効果
換した一般的な収縮補償用コンクリートを用い
を実際に即して定量的に評価する手法の確立が
た。設計基準強度は 30N/mm2 ,スランプおよ
望まれている。すなわち,マスコンクリート部
び空気量はそれぞれ 15±2.5cm,4.5±1.5%と
材内部は温度の分布を生じ,その結果,膨張ひ
した。
ずみの発現速度やその最大値は断面内の位置に
2.2 養生方法
養生温度は 20,40,60℃の 3 水準,および
よって異なるものと考えられる。しかしながら,
過去この点を考慮した膨張応力の評価法に関す
マスコンクリート様の温度履歴 3 水準とした。
る検討はほとんど行われておらず,膨張材の使
練混ぜは 20℃,R.H.80%の試験室内で行い,打
用効果を明確化する上で研究が必要である。
込みからブリーディングがある程度終了するま
この観点より,筆者らはこれまでに,種々の
で 20~25℃の室内に静置した後,仕上げ面に
養生温度下における拘束鋼材比 0.5~1.5%の拘
ポリエステルフィルムを被せ,さらにその上を
束膨張ひずみを実験的に把握した上で,応力算
湿布で覆った状態で,所定温度の恒温槽内に投
定に資するための膨張ひずみとヤング係数の定
入した。
め方を検討し,さらに,マス養生温度履歴を受
2.3 作製供試体および測定方法
ける場合の膨張応力の算定法について基礎的に
1 ), 2 )
図-1に拘束供試体および無拘束供試体の
。本研究では,既往の研究に対
形状,寸法を示す。拘束鋼材比は 0.2,0.5,
して,より広い範囲の拘束鋼材比の基で拘束膨
1.0,1.5,3.0,8.0%の 6 水準とし,0.2~1.5%
張特性を把握し,既往の考え方の適用範囲を拡
の場合 は拘 束棒が1 本 のタイ プ I を,3.0,
張するとともに,実マスコンクリート体を想定
8.0%の場合は拘束棒が 4 本のタイプ II を用い
した温度履歴を与えた際の膨張応力の推定精度
た。拘束棒には,0.2%ではφ5mm の丸鋼を,
について検証を行った。
0.5~1.5%ではそれぞれ呼び名 9.2mm,13mm,
検討した
17mm の PC 鋼 棒 を , 3.0 , 8.0% で は 呼 び 名
2. 実験概要
11mm および呼び名 17mm の PC 鋼材 4 本を用
2.1 使用材料および配合
い,中央部 40mm が所定の拘束鋼材比になる
*1 太平洋セメント(株) 中央研究所研究開発部 工修 (正会員)
*2 太平洋セメント(株) 中央研究所研究開発部主任研究員 工修 (正会員)
*3 太平洋マテリアル(株) 開発研究所 (正会員)
*4 太平洋マテリアル(株) 開発研究所 工修 (正会員)
-1141-
ように円断面に切削加工した。鋼材のひずみは
~8.0%のより広い範囲においても同様の関係
鋼材中央部に貼付した自己温度補償型ひずみゲ
が確認できた。
ージ(拘束鋼材比 0.2~1.5%:対称面に 2 枚,
次に,上記実験結果を基に,膨張応力算定に
3.0,8.0%:各鋼材に 1 枚づつの計 4 枚)を用
表-1
いて測定した(以下,拘束膨張ひずみ)。無拘
材料
記号
セメント
C
膨張材
高性能
AE 減水剤
EX
細骨材
S
粗骨材
G
束供試体のひずみは,供試体中央部に設置した
低弾性型の埋込み型ひずみ計(見かけのヤング
2
係数 40N/mm )を用いて測定し,コンクリー
-6
トの線膨張係数を 10×10 /℃と仮定して温度
使用材料
物理的性質など
普通ポルトランドセメント/密度:3.16g/cm3 ,
比表面積:3310cm2/g
石灰系膨張材/密度 3.14g/cm3
ポリカルボン酸系/
密度:1.09g/cm3
小笠産陸砂/表乾密度:2.59g/cm3 ,吸
水率:1.63%
岩瀬産砕石/最大寸法 20mm,表乾密
度:2.64g/cm3,吸水率:0.84%
SP
ひずみを補正した(以下,自由膨張ひずみ)。
表-2
3. 実験結果および考察
3.1 拘束鋼材比と膨張ひずみ
図-2に 20,40,および 60℃で養生した場
W/B
(%)
55
合の膨張ひずみと拘束鋼材比の関係の経時変化
を示す。材齢の起点は注水時点とし,最終値は
s/a
(%)
47
単位量 (kg/m3)
C
EX
S
G
288
30
830
951
W
175
19
40
SP
0.636
19
400
鋼製端板
100
測温機能付きひずみゲージ
100
各温度下で膨張ひずみがほぼ最大となった時点
PC鋼棒(拘束鋼材比0.2%では丸鋼)
拘束供試体タイプI: 拘束鋼材比 0.2,0.5,1.0,1.5%
である。また,表-3には膨張ひずみの最大値
19
<断面>
19
400
を示す。自由膨張ひずみは,養生温度の上昇に
伴 っ て 急 激 に 大 き く な り , 20 ℃ と 比 較 し て
配合
100
25
鋼製端板
100
40
PC鋼棒
40℃で約 2 倍,60℃で約 4 倍であった。一方,
測温機能付きひずみゲージ
拘束供試体タイプII: 拘束鋼材比 3.0,8.0%
<断面>
400
100
拘束膨張ひずみは,0.2%の場合に 60℃で 20℃
100
の約 2 倍であったものの,拘束鋼材比が大きく
埋込み型ひずみ計(見かけの弾性係数40N/mm2)
なるに従って,養生温度による差は小さくなり,
単位:mm
無拘束供試体
図-1
自由膨張ひずみと比較して,相対的に温度依存
性が小さくなっている。
表-3
筆者らは,拘束鋼材比 0.5~1.5%の範囲にお
かな凸となる曲線的な関係にあることを報告し
2)
,本実験結果より,拘束鋼材比 0.2
0.4日
0.5日
0.6日
0.7日
0.9日
1.0日
1.5日
250
200
150
100
600
500
400
300
200
100
0
0
2.0
4.0
6.0
8.0
拘束鋼材比 (%)
図-2
10.0
0.2
367
493
733
0.5
320
339
407
1.0
252
240
283
1.5
182
173
198
3.0
130
106
118
8.0
55
57
68
単位:×10-6
0.2日
0.25日
0.27日
0.29日
0.3日
0.35日
0.5日
700
50
0.0
拘束鋼材比(%)
0
437
802
1858
2000
養生温度40℃
800
膨張ひずみ (×10- 6 )
)
膨張ひずみ (×10
300
-6
350
900
養生温度20℃
400
温度
20℃
40℃
60℃
養生温度60℃
1800
膨張ひずみ (×10- 6 )
450
膨張ひずみの最大値
養生
いて,拘束膨張ひずみと拘束鋼材比が下に緩や
ているが
拘束供試体および無拘束供試体
0.18日
0.19日
0.2日
0.21日
0.23日
0.25日
0.3日
1600
1400
1200
1000
800
600
400
200
0
0.0
2.0
4.0
6.0
8.0
拘束鋼材比 (%)
10.0
0.0
2.0
4.0
6.0
8.0
拘束鋼材比 (%)
拘束膨張ひずみおよび自由膨張ひずみと拘束鋼材比の関係
-1142-
10.0
用いる膨張ひずみ,およびヤング係数を定め,
生温度の関係,および両者の関係式を示してお
各々の温度依存性について検討する。
り,これより,任意の一定養生温度下における
両者の算定には,既に筆者らが提示した
2)
,
見かけの膨張ひずみ曲線を定めることが可能で
拘束膨張ひずみと拘束鋼材比の関係に力の釣合
ある。
いとひずみの適合条件に基づく式(1)を適用
3.3 見かけのヤング係数
した。図-3にその概略図を示す。
図-6に膨張ひずみがほぼ最大に達する時点
∆ε s (t i ) = ∆ε cfa (t i ) /{1 + p ⋅ E s / E ca (t i )}
(1)
までの見かけのヤング係数と有効材齢の関係を
ここに, ∆ε s (t i ) :ステップ ti での拘束膨張
ひずみの増分量, ∆ε cfa (t i ) :ステップ ti での見
自由膨張ひずみ
500
かけの膨張ひずみの増分量, Eca (ti ) :ステップ
見かけの膨張ひずみε cfa
)
(拘束鋼材比0%)
2
膨張ひずみ (×10
-6
ti での見かけのヤング係数(N/mm ), Es :鋼
400
2
材のヤング係数(N/mm ),p:拘束鋼材比
式中の 2 つの未知数εcfa および Eca は実測値
の回帰より算出することができ,εcfa は拘束膨
張ひずみを基に定められた拘束鋼材比 0%にお
ける膨張ひずみを示しており,Eca は時々刻々
:実測値
養生温度40℃
材齢0.3日
300
見かけの膨張ひずみ
に基づく拘束ひずみ
曲線回帰式
Δεs(ti)=Δεcfa(ti ) / {1+p・Es /Eca(ti )}
200
100
0
と変化する膨張応力による弾性ひずみとクリー
0
プひずみの影響を含んだヤング係数と見なすこ
とができるものである。以下,ε cfa ,Eca を見
図-3
2
4
6
8
拘 束 鋼材 比 ( % )
10
拘束膨張ひずみと拘束鋼材比の関係
かけの膨張ひずみ,および見かけのヤング係数
1600
3.2 見かけの膨張ひずみ
1400
見かけの膨張ひずみ (×10 - 6 )
と称し,各々の温度依存性について検討する。
図-4に養生温度 20,40,60℃における見
かけの膨張ひずみと有効材齢の関係を示す。有
効材齢は特に若材齢における評価に有効とされ
る積算温度方式による式(2)を用いた。図中
には,終局膨張ひずみとひずみの進行速度の積
1200
800
600
400
200
で表される式(3)による回帰曲線を併記する。
(2)
i =1
図-4
ε cfa (t e ) = ε cfa∞ [1-exp{-α(t e-t e0 )β}] (3)
こ こ に , te : 有 効 材 齢 ,
ε cfa : 見 か け の 膨 張 ひ ず み ,
ε cfa ∞ :見かけの膨張ひずみの終
局値,α,β:見かけの膨張ひ
ずみの進行特性を表す係数,
t e 0 :凝結始発時点の有効材齢
また,図-5は回帰係数と養
1600
ε c f a ∞ (×10 - 6 )
∆t i : 温 度 が Ti で あ る 期 間 ,
70
1200
60
1000
α = 0.477exp(0.083T)
63
50
711
800
471
600
40
30
400
15
20
ε cfa∞ = 262exp(0.027T)
0
10
2.3
0
0
20
40
60
80
養生温度T(℃)
図-5
-1143-
0
1.5
見かけの膨張ひずみの経時変化
80
1394
1400
200
0.5
1.0
有効材齢 (日)
β
t e = ∑ (Ti + 10) ⋅ ∆t i / 30
0
0.0
α
n
20℃
40℃
60℃
1000
20
40
60
養生温度T(℃)
80
2.0
1.8
1.6
1.4
1.2
1.0
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
1.83
1.76
1.34
β = 0.011T + 1.217
0
20
40
60
養生温度T(℃)
回帰係数と養生温度の関係
80
示 す 。 図 中 に は , 養 生 温 度 20 ℃ に お け る ,
概ね上層<中層≒下層となっている。計算値に
(3)式と同様な見かけのヤング係数の終局値
ついて,上層の温度履歴を与えた際には実測値
と進行速度の積による回帰式を併記する。
を若干過大に評価しているものの,中層や下層
では良く表現できている。すなわち,温度履歴
4. 温度履歴下における材料特性の推定
下における見かけの膨張ひずみの発現性状は,
4.1 温度履歴の設定
見かけのヤング係数Eca (×103 N/mm2 )
見かけの膨張ひずみおよび見かけのヤング係
数の発現性状に及ぼすマス養生温度履歴の影響
を検討するに際し,3 パターンの温度履歴を設
定した。すなわち,JCI マスコンクリート委員
会報告書
3)
に示されている壁状構造体(高さ
2000mm,幅 1800mm)について,断面中央の
上層(高さ 1800mm),中層(高さ 1000mm),
および下層(高さ 200mm)位置における温度
4.0
養生温度
20℃
40℃
60℃
3.5
3.0
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
Eca = 3.23[1-exp{-3.64(t e-t e0)0.70}]
0.0
履歴を 2 次元 FEM 温度解析より求め,これに
0.0
0.5
1.0
有効材齢t e (日)
基づいて制御した恒温槽内で供試体を養生した。
図-7に供試体中心部の温度計測結果を示す。
図-6
4.2 見かけの膨張ひずみの発現性状
1.5
見かけのヤング係数と有効材齢の関係
70
任意の温度履歴下における見かけの膨張ひず
数を式(3)に代入して求めた一定温度下にお
ける見かけの膨張ひずみ曲線を,図-8に示す
方法で重ね合わせて算出することを検討した。
図中では,有効材齢 ten までは温度 T1,有効材
齢 ten~ten+1 は温度 T2 の場合における重ね合わ
せの方法を例示している。まず,有効材齢 ten
までは,温度 T1 の膨張ひずみ曲線ε(te,T1)上を
ひずみが増大し,A 点に達する。次に,有効材
齢 ten で温度が T2 となった後は,温度 T2 の膨
張ひずみ曲線ε(te,T2)上をひずみが増大する。
その際,温度が変化した直後のひずみの膨張速
度は,その時点の温度と有効材齢に依存すると
した。従って,有効材齢 ten+1 には,温度 T2 の
膨張ひずみ曲線ε(te,T2)上の曲線 CD を A 点に
平行移動して B 点に達する。
供試体内部の温度(℃)
みは,図-5より温度に対応して決まる回帰係
中層
60
50
40
下層
30
上層
20
10
0
0
1
材齢(日)
図-7
膨 ε(t)
張
ひ
ず
み
10
供試体内部の温度履歴
ε(ten+1)=ε(ten,T1)+{ε(ten+1,T2)-ε(ten,T2)}
D
ε(te , T2)
C
ε(ten+1)
ε(ten)
A
0
ten
B
ε(te , T1)
ten+1
有効材齢
図-9は実測値に基づく見かけの膨張ひずみ
と膨張ひずみ曲線を重ね合わせる手法による計
算値を比較した結果である。実測値に基づくひ
ずみの発現速度およびその最大値の大小関係は
-1144-
図-8
te
膨張ひずみの重ね合わせの概要
膨張ひずみ曲線の重ね合わせにより概ね評価で
見かけのヤング係数は有効材齢との関係のみを
きると考えられる。
用いる場合とそれに温度による低減を加味する
4.3 見かけのヤング係数の発現性状
場合の両者について検討した。見かけの膨張ひ
図-10 は,見かけのヤング係数の計算値と
ずみおよびヤング係数を用い,膨張応力は式
温度履歴下の拘束膨張ひずみの実測値に基づく
(4)より求める。
見かけのヤング係数を比較したものである。図
n
n
i =1
i =1
σ c = ∑ ∆σ c ( t i ) =E s ⋅ p ⋅ ∑ ∆ε cfa ( t i ) /{1 + p ⋅ E s / E ca ( t i )} (4)
中の計算値 1 は図-6に示した有効材齢との関
係式で算定した結果であり,実測値に基づく見
ここに, σ c :膨張応力(N/mm2 ), σ c (ti ) :ス
かけのヤング係数を過大評価している。
テップ ti での膨張応力
図-11 は養生温度 20,40,60℃における見
ここで,応力算定における始発時点の有効材
かけのヤング係数の平均値(注水時から膨張ひ
齢 te0 には,本実験結果より養生温度による始
ずみが最大に至るまでの範囲)と養生温度の関
発時点の有効材齢の差が小さいことから,その
係を示しており,図中には各養生温度における
平均値 0.227 日を用いた。
見かけのヤング係数の 20℃に対する比とその
図-13 は拘束鋼材比 0.2,1.5,8.0%の膨張
回帰式を併記した。これより,養生温度の上昇
応力の実測値と計算値を比較して示したもので
に伴って,見かけのヤング係数が小さくなる傾
ある。まず,実測値に及ぼす温度履歴の影響に
向が認められる。この点を考慮し,図-10 に
ついて,膨張応力の発現速度は明らかに異なる
おける計算値 2 は,有効材齢に基づく見かけの
が,その最大値は大差ない結果となっている。
ヤング係数(計算値 1)を,図-11 に示した回
この傾向を,見かけのヤング係数の温度による
度に依存させて低減した
場合であり,実測値と良
く対応している。すなわ
ち,温度履歴下における
見かけのヤング係数は有
効材齢との関係に温度に
よる低減を加味すること
見かけの膨張ひずみ(×10 - 6 )
帰式によりその時点の温
700
実測値
計算値
600
400
300
200
100
0
0.0
きていると考えられる。
ス養生温度履歴下におけ
る膨張応力の算定法は図
-12 に示すようである。
すなわち,見かけの膨張
ひずみは,一定温度下の
膨張ひずみ曲線を重ね合
わせる方法より算出し,
0.2
0.4 0.6
材齢(日)
0.8 0.0
図-9
見かけのヤング係数Eca (×103 N/mm2 )
本研究で提示する,マ
下層
500
により,概ね良く評価で
5.膨張応力の算定
中層
上層
3.5
計算値1:温度による
低減なし
計算値2:温度による
低減あり
3.0
0.2
0.4 0.6
材齢(日)
0.8 0.0
0.2
0.4 0.6
材齢(日)
0.8
見かけの膨張ひずみの推定結果
中層
上層
下層
2.5
2.0
1.5
1.0
実測値
計算値1
計算値2
0.5
0.0
0.0
0.2 0.4 0.6
材齢(日)
図-10
-1145-
0.8 0.0
0.2 0.4 0.6
材齢(日)
0.8 0.0
0.2 0.4 0.6
材齢(日)
見かけのヤング係数の推定結果
0.8
低減比を加味した計算値 2 はほぼ良く評価でき
ている。一方,見かけのヤング係数に温度によ
る低減比を加味しない計算値 1 の場合は,膨張
応力をかなり過大に評価している。
6.まとめ
以下,本研究から得られた知見を示す。
pp.156-160,2003
2)三 谷裕 二,谷 村充 ,佐久 間隆 司,佐 竹 紳
也:マス養生温度下における膨張コンクリ
ートの膨張応力評価法について,コンクリ
ー ト 工 学 年 次 論 文 集 , Vol.26 , No.1 ,
pp.225-230,2004
3)日本コンクリート工学協会,マスコンクリ
ートソフト作成委員会報告書,pp.124-126,
2003
見かけのヤング係数Eca (×103 N/mm2 )
(1) 種々の養生温度下における拘束鋼材比 0.2
~8.0%の拘束膨張特性を実験的に把握した。
その結果,拘束膨張ひずみと拘束鋼材比に
は曲線的な関係が認められた。
(2) 拘束膨張ひずみと拘束鋼材比の関係に力の
釣合いとひずみの適合条件に基づく曲線式
を適用して算出した,見かけの膨張ひずみ
と見かけのヤング係数を用いた膨張応力算
3.0
(1.0)
2.5
2.0
1.5
1.0
(0.42)
(0.33)
0.5
E c a /E c a (20) = 1.744exp(-0.0278T)
0.0
定法を提示した。
0
(3) 一定温度下における見かけの膨張ひずみの
重ね合わせと温度による低減を加味した見
( )内は20℃の見かけ
のヤング係数に対する比
図-11
20
る膨張応力を概ね評価できた。
今後は,膨張コンクリートを用いた実構造物
温度履歴の実測値
見かけの膨張ひずみの算定
見かけのヤング係数の算定
見かけのヤング係数
と有効材齢(図-6)
一定温度下における
見かけの膨張ひずみ
(図-5)
低減の考慮なし
の応力評価に本算定法を取り入れ,検証を進め
る予定である。
1. 2
膨張応力(N/mm2 )
1. 0
0. 8
0. 6
0. 4
実測値-0.2%
実測値-1.5%
実測値-8.0%
計算値1-0.2%
計算値1-1.5%
計算値1-8.0%
計算値2-0.2%
計算値2-1.5%
計算値2-8.0%
温度による見かけの
ヤング係数の低減
(図-11)
膨張ひずみ曲線の
重ね合せ(図-8)
参考文献
1)三 谷裕 二,谷 村充 ,佐久 間隆 司,佐 竹 紳
也:膨張材を混和したコンクリートの拘束
膨張特性に及ぼす養生温度の影響,コンク
リ ー ト 工 学 年 次 論 文 集 , Vol.25 , No.1 ,
膨張応力算定
図-12
膨張応力算定のフロー
中層
上層
80
見かけのヤング係数と養生温度の関係
かけのヤング係数を用いた膨張応力算定法
により,種々のマス養生温度履歴下におけ
40
60
養生温度T (℃)
下層
計算値1:温度による
低減なし
計算値2:温度による
低減あり
0. 2
0. 0
0 .0 0 .1 0 .2 0 .3 0 .4 0 .5 0 .6 0 .7
材 齢 ( 日 )
0. 0 0.1
図-13
0.2 0 .3 0 .4 0. 5 0.6
材 齢 ( 日 )
膨張応力の推定結果
-1146-
0.7
0. 0 0.1
0.2 0 .3 0 .4 0. 5 0.6
材 齢 ( 日 )
0.7