高分子材料の劣化評価 (2) 表面近傍の分子量測定

技術レポート No.T1330
2014.04.01
【技術資料】
技術資料】 高分子材料の
高分子材料の劣化評価 (2)
表面近傍の
表面近傍の分子量測定
概要
高分子材料の光照射による劣化は試料表面から生じるため、試料の表面と内部で劣化の状態が異なります。
従って、劣化による濡れ性などの表面特性変化を議論する場合では、試料の表面付近の状態を把握すること
が重要となります。
本報告では表面付近の劣化状態評価の一例として、ポリフェニレンサルファイド(PPS)成型品表面をサンプリ
ングして、GPC 法により分子量測定を行った結果を紹介します。
内容紹介
PPS が空気中で光劣化すると、水酸基等の親水性官能基を持つ構造が生成されるとともに、分子鎖の切断
や架橋が起こります。
ここでは、耐候性試験により光劣化させた PPS について、表面近傍をスライスして採取し、GPC 法によって分子
量測定を行った内容を紹介します。
・サンプル
:ポリフェニレンサルファイド (PPS) 1mm 板 (市場入手品)
・耐候性試験 :サンシャインウェザー試験 ブラックパネル温度 63±3℃
・GPC 分析
装置
: 超高温 GPC SSC-7110(センシュー科学製)
溶離液
: 1-クロロナフタレン
カラム
: TSKgel GMHHR-H(S)HT(東ソー製 7.8mmI.D.×30cm)×2 本
カラム温度 : 210℃
結果
光照射面について、水との接触角を評価した結果を図 1 に示します。図 1 より、光照射時間が長くなるにつれ
て接触角が低下することが確認されました。接触角の低下は、表面の親水性の増加を意味しており、光劣化の
進行によって親水性官能基が増大していることが確認されました。
光照射面の表面付近(100µm 以内)をサンプリングして分子量測定を行った結果を図 2 に示します。
図 2 より、光照射時間が長くなるにつれて低分子量成分が増大していることが示されます。これは、酸化劣
化によって分子鎖が切断したためであると考えられます。
光照射時間に対する Mw と Mz の変化を、図 3 に示します。照射時間が長くなるにつれて Mw が減少する一
方、Mz は増大しました。Mz は高分子量成分を強く反映した分子量であることから、酸化劣化によって分子鎖の
架橋が進んだだめに、高分子量成分が増加したと考えられます。[図 2(a)]。
まとめ
材料表面の劣化状態を評価する手法の一例として、接触角による濡れ性評価と表面近傍の分子量測定につ
いて紹介しました。接触角測定では、材料の劣化による表面の親水性の変化を、分子量測定では光酸化によ
る分子鎖の切断や架橋を評価することができます。
株式会社
東ソー分析センター
営業チーム 四日市事業部 TEL 059-364-5367 FAX 059-364-5258
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接触角 ( ゜)
100
50
0
0
50
100
150
光照射時間 (hr)
200
図 1 光劣化 PPS の接触角(水)
90
微分分布値
0hr照射
50hr照射
150hr照射
(a)
5.5
log M
6.0
0
2
3
4
5
6
7
log M
図 2 光劣化 PPS 表面の分子量分布
35000
80000
Mw
30000
75000
25000
70000
0
50
100
150
Mz
Mw
Mz
200
光照射時間 (hr)
図 3 光劣化 PPS 表面の分子量分布
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