シ ル ジ シ青 銅 の燒 鈍 脆 性 に 就 て*(II)

38
研
究
シ ル ジ シ 青 銅 の燒
第3巻
鈍 脆 性 に 就 て*(II)
黒
Saburo
Report
Kuroda
I [This journal,
III.シ
: Anneal-Brittleness
of the
Silicon-bronze.
Annealing
Hardness
synopsis
郎**
of this work
see the
鈍 脆 性 が あ るで あ ら う と豫 想 され るの で,次 の 如 き成 分
ル ジ ン 青 銅鑄 物 の燒 鈍 脆 性
15,
the
三
2 (1938), 619]
の 第1種
(1)シ ル ジ ン青 銅砂 型鑄 物 の燒 鈍脆 性
シル ジ ン青 銅 の 主要 用途 は鑄 物 で あ る が,鑄 物 に も燒
Table
For
田
Temperature,
Number
of No.
Izod
Impact
1 Silzin-bronze
シル ジ ン青 銅 の砂 型鑄 物 の燒 鈍 濫 度 及び 時間 と
衝撃 値 及び 硬 度 との關 係 を試驗 した.
Cu 85.4%„Si 4.1%, Zn 10.5% (Bal).
Figure
Sand
and
Brinell
結 果 はTable
Castings.
58∼68の
15及
びFigs,
如 くで 押 出 し 棒 の 場
合 と 全 く同 様 で あ る.
Fig.
57.
Annealing
ure
and
Izod
of Silzin-bronze
(2)300°
Impact
Sand
TemperatFigure
Castings.
以下 の温 度 で 長
期燒 鈍 の 影 響
300°以 下 で長 期 間燒 鈍 した場
合 の 影 響 を試驗 した.其
はTable16及
*神
戸 製 鋼所 門 司 工 場 .
**本
研 究 は 昭 和12年5月15日
る本 學 會 第1回
東 京
講 演 大 會 に て發
びFig.59曲
の 結果
線に
に 於 て開催せ
られ た
表 し た も ので あ る
.
第1號
シ ル ジン青 銅 の燒 鈍 脆 性 に就 て(II)
示 す 如 くで これ
Table
16.
も棒 の 場 合 と同
39
Long
Time
below
300•‹
Annealing
and
1 Silzin-bronze
Izod
Sand
at
the
Impact
Temperature
Figure
of No.
Castings.
様 で あつ た.
(3)鑄
物 の燒
鈍 と顯 微鏡
組織 の變 化
鑄物 の燒 鈍 と
顯 微 鏡 組織 との
關 係 を調 べ た.
共 の結 果 はFigs.
60∼68の 如 く
Fig.
58.
Brinell
bronze
Annealing
Temperature
Hardness
Number
of
Sand
Castings.
and
Silzin-
で300∼500° の
間で は温 度 が 高
い 程 又時 間 が長
い程異相が 多 く
析 出 す る,只 棒
の 場合 と異 るの
は 部 分 的 に甚 だ
しい 事 で押 出 し
棒 の場 合 の様 に
結晶の境界全面
に分 布 して居 な
い.こ れ は鑄 物
Fig.
59.
Long
Time
Temperature
below
Annealing
300•‹
at
and
の 性質 上 致 し方
the
Izod
な い もの で 熔湯
ジ ン青 銅 の 燒 鈍 脆性 はCu-Si系
か ら凝 固す る際
Siの 溶 解 度 が減 じ γが 析 出 す る た め で あ る と考 へ て居
珪 素 及び亞 鉛 量 が部 分 的 に濃 度 が異 るた め で あ る.同 じ
500°で2時 間燒 鈍 した 試料 で もFig.82の 如 く多 く析 出
限 度 まで 少 くす るか 又 は何 か の 方法 でSiの 溶 解 度 を増
した 所 もあ り少 く出 て居 る所 もあ る.
加 す るかせ ね ば な らぬ と考 へ て 居 る.Alを2%添
Impact
Sand
(4)燒
Figure
of No.
I
Table17及
るの で 良 い と言 はれ て居 る.著 者 は後 に述 べ る如 くジル
1,2,3%宛
(No.
Sand
1),
not
Casting
Annealed
•~ 250
Fig.
61.
Annealed
200•‹ •~250
Sand
for
加し
た壓
延 板 に就 て の試驗 で は燒 鈍 時 間 が 少 し長 くな る と
も
鈍脆 性 に及 ぼ す第 四添 加元 素 の 影 響
60.
入つ た爲 に
るの で燒 鈍 脆 性 を無 くす るに はSi含 有 量 を 固溶 し得 る
鑄 物 用 シ ル ジ ン青 銅 を改善 せ ん とす る企 は今 まで に 度
々な され た.Alを 少量 加 へ る 事 は 機 械 的性 質 を改 善 す
Fig.
合金 にZnが
Silzin-bronze
Castings.
3 hrs.
at
線 の 如 く燒 鈍 脆 性 を呈 す る.
著 者 は 銅 と 最 も良 く固 熔體 を 作 るNi及
Fig.
Casting,
びFig.69曲
62.
Annealed
300•‹ •~250
びMnを
添 加 した 合 金 を 作 り,厚 さ20mm,巾200mm,
Sand
for
Casting,
3 hrs.
Fig.
at
63.
Annealed
350•‹ •~250
Sand
for
Casting,
3 hrs.
at
夫 々
40
研
Fig.
64.
Sand
Annealed
for
Fig.
Casting,
3 hrs.
at
65.
究
Sand
Annealed
for
Fig.
Casting,
5 hrs.
at
Sand
for
Fig. 67.
Casting,
3 hrs.
at
Annealed
450•‹ •~250
400•‹ •~250
400•‹ •~250
66.
Annealed
第3巻
Sand
for
Casting,
2 hrs.
at
500•‹ •~250
Table 17. Annealing Temperatures
and Mechanical Properties
of No. 1 Silzin-bronze Containing 2% of Aluminium.
Fig.
68.
Sand
Annealed
Casting,
for
2 hrs.
Fig. 69. Annealing Temperatures
and Mechanical Properties of No.
1 Silzin-bronze Containing 2% of
Aluminium.
at
550•‹ •~250
Table
18.
Annealing Temperature
Silzin-bronze
Containing
and Izod Impact Figure
Nickel or Manganese.
of
Fig. 70.
Annealing
Temperature
and Izod Impact
Figure of Silzinbronze
Containing
Nickel
or
Manganese.
長 さ250mmの
砂 型 鑄 物 と な し これ よ り衝 撃 試驗 片 を 削
り出 し て 試驗 した.Table18及
びFig.70は
その 代 表 的
もNi及
びMnで
は改 善 し 得 られ なか つ た の は 當然 か も
知 れ な い.
合 金 の 性質 を 示 し た も の で,燒 鈍 し た もの は 衝 撃 値 が 低
IV.燒
下 し て 居 る.
一 般 に 一 つ 元 素 の 溶 解 度 は 他 の 元 素 が 入 い る程 少 な く
な る の が 普 通 で あ る.Cuに2%のA1を
ゥ ム 青 銅 にCuと
る とA1の
加 へた アル ミニ
最 も良 く固 溶體 を 作 るNiを10%加
固 溶 限 度 外 に な る 事 か ら 考 へ る と,Siの
鈍 脆 性 の 原 因 及 び 銅,亞 鉛 合 金 に
對す る 硅 素 の 固 溶 限 度
(1)燒
鈍脆性の原因
へ
以上 の 實驗 結果 に依 れ ば シル ジ ン青 銅 の 押 出 又 は 鍛造
場合
した 棒 及 び鑄 物 は何 れ も500° 以 下 の 温 度 で 燒 鈍 すれ ば
第1號
シ ル ジ ソ青 銅 の燒 鈍脆 性 に就 て(II)
伸 及 び 衝 撃値 を減 じ て 脆 性 を 呈す る.其
未 だ 論 述 せ られ た も の は 少 な い,著者
よ り成 る 三 元 系 合 金VZ於
つ て 居 る爲,Siの
の 原 因 に就 て は
時 間が 短 か けれ ば 一部 分 の結 晶 に 甚 だ し い 双 晶が 現 は
て は, CuにZnが10∼15%入
程度で も
結 晶 粒 境 界 に 異 相 を析 出 す る か ら で あ る と考 へ る.著
はCu-Si系
Cu-Zn系
Fig. 71. Cu-Zn-Si System Ternary
Equilibrium Diagram that the
Author Quessed.
この様 に押 出 法 に依 つ て作 つ た もの を燒 鈍 すれ ば異 相
は結 晶の 境 界 に析 出 し,鍛 造 し た もの を燒 純 すれ ば 燒純
は こ のCu-Zn-Si
溶 解 度 が 減 じ,Si 4∼4.5%の
41
者
及 び
れ,こ れ を更 に長 時 間燒 鈍 すれ ば 其 の部 分 に異 相が 現 は
れ る.今Fig.80試
見 る とFig.84の
料 を倍 率 を 小 さ く して60倍
に して
如 く鑄物 の鑄 造 組 織 の 様 であ る.こ の
の 二 元状
事 か ら考 察 す るに,鍛 造 物 は鍛 造 前 の燒 鈍 時 間が 短 か
態 圖 よ り想 像 し て
く,從 て擴 散 が 充分 で な い のでSiに 富 んだ 部 分 と 少 い
Cu-Zn-Si系
部 分 とが あ り,鍛 造 温 度 で は共 にα 組 織 で は あ るが,同
のCu
隅 に 於 け る 常温 の
じα で もSiに 富 だ α は硬 度 も高 く加 工の 際 に 歪 を 多 く
平衡 状 態 圖 は 略
受 け るで あろ う事 は想 像 し 得 る 所 で 、鍛 造 後 種 々の温 度
で燒 鈍 した 際温 度 が低 かつ た り時 間 が 短 かか つ た りす る
Fig.71の
様 になる
で あ ら う と考 へ て 居 る。 從 つ て こ の状 態 圖 か ら す れ ば,
と,鍛造 の 際 歪 を 多 く受 けた部 分 に最 初 に 双 晶 を生 じ,
シ ル ジ ン 青 銅 の 燒 鈍 中 に 析 出 す る異 相 は,次 の 様 に し て
更 に 燒 鈍 時 間 を長 くすれ ば この 部分 に 異 相 を析出 す る
γ 相 で あ る こ とが 云 は れ る.
もの で あ る と考へ る.
Cu-Si系 に於 て は 高温 度 に 於 け る αの固 溶體 範圍 廣
く,Cu-Zn系
に於 て は反對 に高 温 よ りは常 温 に 於 け る 固
試 みに鍛 造 した 試料 で部 分的 に異 相 を 析出 した 試 料
を,擴散 を充 分 な ら し め る た め800° で8時間燒
鈍 し,
線 の 様 になり,常温 に於 け る固溶
急 冷 すれ ばFig.85の 如 く完 全 に αの み と なり こ れ を
500°で1時 間 燒 鈍 すれ ばFig.86の 如 く結 晶 の境 界 に異
限度曲 線 と交 る點 が出 來 る筈 で あ る.而 して シ ル ジ ン青
相 を析出 し,押出 し法 に依 つ て作 つ た もの と全 く同一 組
銅 は高 温 度 に於 て は固溶 限度 内 に あ るで あ ら う事 は,前
織 に な る.
記 の實驗 結 果 よ りして 又 前記 の状 態 圖 よ りして も想像 出
要 す る に双 晶 の甚 だ しい α と双 晶 の 見 え ないα とが 生 ず
來 る.然 るに シル ジ ン青銅 が 十 分 に燒鈍 され る と溶 解度
の變 化 に よ りて γ を析 出 す る,從 つ て常温 に於 てはa十 γ
るの は,鍛 造 前 の 加熱 時 間 が短 か く擴散 が 不充分 で あ つ
た もの を,鍛 造 後 短 時 間燒 鈍 す るた めに現 はれ る もの で
の組 織 を示 す べ きで あ る.而 して鑄 造,押出 し,鍛造 に依
あつ て,更 に 長 時 間 燒 鈍 すれ ば其 の部 分 に
り製造 した もの は何 れ もa組 織 を有 し靱 性 に 富 で居 るの
る もの で あ る.從 つ て著 者 はα´な る 組 織 の 存 在 を考 へ
は,γ の析 出 速 度 が甚 だ遅 く,鑄造 又 は鍛 造 時 等 か らの 冷
て居 ない.
溶體 範圍 が廣 いの で,三 元 系 の 高 温 度 に 於 け る固溶 限 度
曲線 を書 け ばFig.71點
却 條 件 で は γが析 出 し得 ず,高 温 度 での 組織αの 儘 で常
温 に 持 ち來 され る爲 で あ る.又500°
以 下 の燒 鈍に よ り
(2)Cu-Zn合
相 を析 出 す
金 に對 す るSiの 固 溶限 度
以上 の實驗 結 果 で は,シ ル ジ ン青銅の 燒 鈍 脆 性 は,Zn
脆 化 す るの は,溶 解 限 以 下 の 温度 で の 燒 鈍 に より 次第 に
が 入つた 爲 に單 な るCu-Si系
平衡 に近 づ き γが 析 出 す るか らで あ る.
度 が減 じ,比較 的Si含 有 量 の 少 な い合金 で も γ相が 析 出
五 百旗 頭博 士 はZn
5∼20%の
範圍 内 にα´な る組 織
合 金 に較 べ てSiの 溶 解 限
す る もの と考 へ られ,然 か も100∼150° の如 き低 温度 で
を考 へ られた 事 が あ る様 で あり,田邊 博 士等 も甚だ しく
も長 時間 加 熱 す る時 は 析 出が 進 行 す る 事が 認 め られ る.
双 晶の發 達 した α と双 晶 の 見 えな い α と を區 別 され,前
從 つ てCu-Zn合
者 をα´と考 へ て 居 ら れ る様 で あ る.著 者 は鍛 造 した
溶 解 限 度 を定 め る 事は 工業 上 甚 だ有 意 義 な事 と考 へ る.
シル ジン青銅 棒 の 燒 鈍 温 度 と組 織 を調 査 中 田邊博 士 等 の
單 な るCu-Si合
金 に於 てZn含
有 量 に應 じて夫 々のSi
金 に 於 て はCUに對
す るSiの 溶 解 限
言はれ る α´
に 類 似 した も の を 見 出 し た.Fig.72よ
り
Fig.77ま で の冩 眞 は これ を示 し,双 晶 の甚 だ し く發達 し
度 はTable19の
た もの と然 ら ざ る もの とが あ る,こ れ 等 の 試料 は各温 度
4.2%,350° で は3.9%位
で1時 間 宛燒 鈍 し た もの で あ る.こ れ を更 に夫 々の 温度
に その値 の 異 る のは,燒 鈍 の際 合金 内 のSiの擴 散 が甚 だ
で2時 間 宛 再 加 熱 す る とFig,78よりFig.82の
如 く入 に依 つ て 可成 り差 異 が あ る.
これ 等 の 内Smithに
依 る もの が最 も 少 な く400° で 約
で あ ら うと言 つ て居 る.此 の様
如 くな
し く遅 く,比 較 的 低 温 度 で は長 時 間加 熱 して も容 易に 平
り,先 に双 晶 が甚 だ しか つ た 部分 に點 々 と して異 相 が 析
衡 状 態 に達 せ ない爲 で あ る.著 者の 場 合 に は單 純 な る
出 し,温 度 の 高 い もの程 甚 だ しい事 は前 の 押 出 し棒 又 は
Cu-Si合 金 のSiの 溶 解 度 は 左程 重要 で は な い ので これ
鑄 物 の場 合 と同様 で あ る.最 も甚 だ し く析 出 し たFig.
80試 料 を800倍 に擴 大 して見 る と,其 の 組 織 はFig.83
に關 す る實驗 は省 略 し,最 も少 な いSmithの
の 如 くで,前 の棒 の場 合 の もの と全 く同 一 で あ る.
の で はな いか と考 へ て居 る.
結果 が正確
に近 い もの と考 へ100∼150° で は恐 ら く もつ と 少 くな る
42
研
實驗 はZnを
究
含む もの に就 て行 つた ので あ るが,Zn量
Table
第3巻
19.
Solubility
Limit
of Silicon
to Copper.
を一 定 な ら しめ るた め,七 三 眞 鍮 と銅 及 び硅素 銅 を配 合
した.Zn量
は5,10,15,20%で,Si量
は夫 々1∼5%の
範圍 に變 化 せ し め た.こ れ 等 の 各 を 二 分 し て,一 半 は
250° で6日 間保 ちた る後 顯 微 鏡組 織 を調 ベ,他 の半 分 は
750° で2日 間 保 ち 水 冷 し て擴 散 を十分 な ら しめ ,次 に
250° で6日
間 保 ち 出 來 得 る限 り平衡 状 態 を得 る に努 あ
て そ の 顯 微 鏡 組 織 を調 べ,硅 素 量 何%よ
り異 相 を析 出 す
るや を調 べ た.そ の 結果 はTable 20及 びFigs.87∼96の
如 くでFig.97は
著 者 の 結 果 と從來 の結 果 と を比 較 した
もの で あ る.
Fig.
72.
of
Fig.
76.
1 hr.
Fig.
Microstructure
a forged
80.
2hrs.
Annealed
at
400•‹ •~250
73.
1hr.
for
Fig.
500•‹ •~250
Annealed
at
Fig.
bar. •~250
77.
1h r.
for
more
Fig.
at
81.
2hrs.
at
Annealed
Fig.
Annealed
500•‹ •~250
74.
Annealed
at
350•‹ •~250
hr.
for
Fig.
600•‹ •~250
Annealed
at
for
300•‹ •~250
78. Annealed
2hrs.
for
more
Fig.
82.
2hrs.
at
600•‹ •~250
Fig.
1 hr.
for
more
for
more
300•‹ •~250
Annealed
at
for 1
Fig. 79.
2hrs.
Fig. 83.
View
Fig.
75.
Annealed
at
for
400•‹ •~250
Annealed
for
at 350•‹ •~250
A Large
of
a
98 •~800
more
Magnified
Specimen
in
第1號
シ ル ジン青 銅 の燒 鈍 脆 性 に就 て(II)
Fig.
84.
A Small
View
of
a
Fig.
98 •~60
Magnified
Fig.
Specimen
in
85.
imen
at
in
Heated
a
Fig.98
for
Spec
Fig.
8hrs.
86.
After
Specimen
800•‹ •~250
8hrs.
in
at
for 1hr.
Fg.
88.
on
Specimen
Table
No.2
92.
on
Specimen
Table
89.
on
Annealed
Fig.
Fig.
20 •~250
No.
for
5 Days
3
Fig.
at
93.
on
20 •~250
Specimen
Table
Table
No.
10
20 •~250
250•‹,
after
Specimen
20 •~250
Fig.
90.
on
Annealing
No.
4
Table
for
Fig.
on
94.
Table
Fig.
Fig.
96.
on
Table
Specimen
20 •~250
No.
30
43
Heated
Fig.
800,
a
98
Fig.
for
87.
on
Table
Specimen
No.
1
No.
29
20 •~250
Annealed
at 500•‹ •~250
Specimen
No.
19
20 •~250
2 Days
at
Specimen
Fig.
on
750•‹
and
No.
11
Specimen
20 •~250
Quenching.
Fig.
20 •~250
97.
91.
Table
Solubility
Limit
in Cu-Zn-alloy.
95.
on
Specimen
Table
20 •~250
Curve
of Silicon
No.
20
44
研
Table
20.
究
第3巻
種 共 に,300∼500°
の 温 度範圍 で燒 鈍 すれ ば 抗 張 力 は殆
ど變化 は 無 いが,伸 及 び 衝撃 値 は燒 鈍温 度 及び 時 間 に比
例 して 降下 し脆 性 を 呈 す る.こ の 原 因 はCu-Zn-Si合
金 に於 て は,單 な るCu-Si合
金 の 場 合 より は,Siの 溶解
度 が 少 くな り結晶 粒 境 界 に γが 析出 す るか らで あ る。 又
押 出 し,鍛 造 等 の 儘 で は α組 織 で 脆 性 を 呈 しな い の は,γ
の 析出 速度 遅 く,加 工 又 は鑄 造 後 の 冷 却 條 件 で は燒 入れ
と同様 で過 飽 和 の状 態 に あ るが 爲 で,500° 以 下 の 温度 で
の燒 鈍 は γ相 の析 出 を助 け る もの で あ る.こ の様 に異 相
を析出 した材 料 は 疲勞 限 界 及 び 耐 蝕 性 が 下 りはせ ぬか と
考 へ た が,實驗 の結 果 で は却 つ て 反對 で あ つ た.
シル ジ ン青 銅 の 脆性 はSiの 溶 解 度 減 少 に依 る もの故
これ を防 ぐに はSi量 を少 くす る事 が 考 へ られ る,そ して
實驗 の 結 果 に依 れ ば この 溶 解 度 は,Zn10%で
は1.8%
Si,又Zn1.5%の
場合 に は1.6%Siで
あ る,併 し これ ま
でSiを 減 ず る 事 は シ ル ジ ン青 銅本 來 の 性 質 を失 ふ 事 に
な りは せ ぬ か と考 へ る.又Zn及
びSi量 を 從 來 の 儘 と
し,他 の元 素 を加 へ る事 も考 へ られた 様 で あ るが,現 在 の
所 で は概 ね他 元 素 を加 へ る程Siの
溶 解 限 度 は減 ず る も
の で,脆 性 を減 ぜ ず却 つ て,こ れ を甚 だ し くす る ものゝ様
に推 察 され る
要 す るに シル ジ ン青 銅 の燒 鈍 脆性 は防 ぎ
得 な い もので あ る と考 へ る.從 つ て 加 工 又 は鑄造 内 力等
を除 くた め燒 鈍 す る必 要 あ りとせば,出 來 得 る限 り低 い
温度 で短 時 間 行ふ べ き もの で あ り,又 使 用 上 に於 て も過
熱 蒸 氣 等 に長 時 間曝 され る様 な 場 所 に使 用 す る事 も避 く
べ き もの と思 はれ る.
然 し シル ジン青 銅 はSnの
産出 量 の 少 い 本邦 に 於 て そ
の 代用 合 金 と して發 明 せ られ た合 金 で あ り,強 力 で 耐蝕
性 を有 しその 性 能 は 優秀 で あ るか ら,前 記 の 如 き加 熱 を
受 け る部 分 以 外 に は,青 銅 代 用 と して 使 用 す る事 は 大い
に推 奨 す べ き もの と考 へ る.
V.實驗
結 果の 考 察 及 び 結 言
以 上 の實驗 結果 に依 れ ば,鍛 造 又 は押出 し法 に依り
製造 した シ ル ジ ン青 銅 棒 も鑄造 した る鑄 物 も,第1種 第2
終に 臨 み,本 研 究 に對 し色 々 と有 益 な る御 教 示 と御
助 言 を賜 はつ た 西村,井 上,今 井 三博 士 に對 し衷 心感 謝 の
意 を表 す る