講義資料 - リスク工学専攻

リスク工学概論
~社会のリスクとリスク工学~
岡本 栄司
1
リスク工学専攻




2
博士課程の学際融合的な独立専攻(平成13年4月設置)
高度技術社会のリスク を科学的・工学的に解明
産学官研究・教育機関の中核 を担う研究者の養成
研究・教育の基盤4領域
 トータルリスクマネジメント分野(リスク解析・評価の基礎
理論)
 サイバーリスク分野 (情報セキュリティ、ネットワークセ
キュリティ)
 都市リスク分野(都市域の災害時・平常時のリスク)
 環境・エネルギーリスク分野(地域の環境汚染と地球規
模の環境問題)
人と高度技術のミスマッチ(1)
3
人と高度技術のミスマッチ(2)
4
利便性の陰に潜む危険性(1)
5
利便性の陰に潜む危険性(2)
6
巨大化する都市災害(1)
7
巨大化する都市災害(2)
8
安全・安心を脅かす要因





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
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





犯罪・テロ
迷惑行為
交通事故
公共交通機関の事故
火災
化学プラント等の工場事故
原子力発電所の事故
社会生活上の事故
地震・津波災害
台風などの風水害
火山災害
雪害
戦争
国際紛争


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
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




内乱
コンピュータ犯罪
大規模なコンピュータ障害
病気
新興・再興感染症
子供の健康問題
老化
医療事故
O157などの食中毒
残留農薬・薬品等の問題
遺伝子組み換え食品問題
教育上の諸問題
人間関係のトラブル
育児上の諸問題














生活経済問題
社会保障問題
老後の生活悪化
経済悪化
経済不安定
政治不信
制度変更
財政破綻
少子高齢化
地球環境汚染
大気汚染・水質汚濁
室内環境汚染
化学物質汚染
資源・エネルギー問題
9
出典: 安全・安心な社会の構築に資する科学技術政策に関する懇談会(2003)
安全・安心を脅かす要因の分類
10
出典: 安全・安心な社会の構築に資する科学技術政策に関する懇談会(2003)
喫緊に取り組むべき課題



人々の暮らしの基盤である社会システムの安全・安心
 情報ネットワークの信頼性
リスク工学専攻が
カバーしている課題
 都市防災
 大規模プラントや交通システムの事故対策
人の生存を脅かす感染症や環境問題からの安全・安心
 新興・再興感染症
 科学技術文明が有する負の側面としての環境問題(地球
規模、地域的)
人為的な脅威からの安全・安心
 フィジカル・セキュリティ
(人物の識別、危険物の探知・監視、情報収集 等)
 サイバー・セキュリティ
11
出典: 安全・安心な社会の構築に資する科学技術政策に関する懇談会(2003)
「リスク社会」に生きている


「安全はただ」、「お任せ社会」から「明日にも何か望ましく
ない事態に遭遇するかもしれない」へ
社会を取り巻く閉塞感と将来への不安が広がり、多くの社
会現象を通じてリスクは、われわれの日常の健康・安全問
題から経済不況・雇用問題、地域から地球環境問題、高
齢化社会の進行と福祉年金制度の破綻への不安、次世
代の生存への不安にまで広くかかわりをもってきている。
リスクを客観的に認識・分析し事前事後の対策によって安
全で安心した社会を築いていく能力を身につける。
12
リスクの広がり

多様化


空間的


都市、地域、グローバル
時間的

13
技術事故、自然災害、システム災害、労
働災害、テロ、環境、医療・医薬品、生物
(伝染病、害虫)、食品、化学物質、金融、
情報
短期、長期、超長期
地球規模での重要なリスク群

技術・戦争リスク


エルニーニョ、人為的気候変動
災害リスク

14
生物化学サイクルへの人為的介
入、残留性有機汚染物質、環境
ホルモン、浮遊粒子状物質
気候リスク


生物多様性喪失、生態系機能喪
失、異種侵入・爆発、遺伝子組換
え植物の非意図的拡散
地域環境
大気汚染 有害廃棄物越境移動
開発途上国公害
自然破壊 水質汚染 土壌汚染 廃棄物
化学物質リスク


HIV/AIDS、BSE、インフルエン
ザ-A
生物学的リスク


オゾン層破壊 地球温暖化
森林破壊 砂漠化 野生生物種減少
酸性雨 海洋汚染
感染症リスク


原子力、大規模化学プラント、ダ
ム、情報、電磁界、遺伝子操作、
テロ、核・生物・化学兵器
地球環境
洪水、地震、津波、噴火
都市環境
大気・水質・土壌汚染
騒音 悪臭 振動
地盤沈下
例:環境リスクの種類と空間的広がり
複雑化しているリスク
発生の
不確実性
リスク規模
複雑系
(増進)
伝搬速度
15
影響範囲
人間活動とリスクの拡大
拡大かつ極限化する社会活動
自然現象
・都市化・情報化・グローバル化
・大量資源消費と環境問題
・巨大技術(原子力、コンビナート、航空機・・・)
・極限技術(高速、高温高圧、ナノ・・・)
・バイオ技術(遺伝子操作、クローン、・・・)
・情報技術(インターネット化、多機能化、・・・)
・気候変動(異常気温、大水、旱魃)
・台風・ハリケーン・サイクロン
・地震・津波
・火山爆発
・新型ウイルス
被害の種類と範囲が拡大
テロ行為
地球規模環境問題(地球温暖化、オゾン層破壊、砂漠化、熱帯林破壊、海洋汚染、越境移
動)
水害・旱魃被害、汚染(大気、水質、土壌)、生態系破壊
疫病の流行
重大事故(原子力、航空機、鉄道、・・・)
金融・経済危機、エネルギー危機、サイバー被害
16
阪神・淡路大震災の被害連鎖
土木構造物 建築構造物
17
住宅
火災
ライフライン
情報
リスクの分類




18
自然災害と人工災害
構造的と偶発的
内在的と外在的
過失と故意
例:エネルギー供給の基本要件のリスク要因
基本要件
リスク要因
エネルギー
セキュリティ
の確保
資源枯渇(長期)
資源の偏在性
供給途絶(資源保有国、シーレーン)
燃料価格変動
供給基盤の
整備
立地問題
大型設備投資
離島・僻地への供給(ユニバーサルサービス)
高経年化設備
需要変動(負荷率悪化、季節・時間帯負荷変動)
停電(自然災害、ヒューマンエラー・・・)
社会的な
受容
事故(炭坑事故、タンカー座礁、ガス爆発、ダム決
壊、原子力事故、地震災害、風車への落雷
など)
環境汚染(大気、水、土壌)
地球温暖化
高調波・電磁界
風評被害
テロ行為、核拡散
リスクの種類




19
我々が良く知っている身近で発生確率の高いリスク
 ドライブ,ハンググライダ-などがある。発生確率は豊富
な統計データの解析から推計できる。
発生確率は低いが、その結果が非常に大きいために慎重に
扱う必要のあるリスク
 大地震、洪水、原子力重大事故など。
極めて小さい確率ではあるが、予想される結果が極めて深刻
な事態になるリスク
 温暖化による気候変動が原因で発生する環境破壊、核
戦争、巨大隕石の衝突など。
現在、自然に起きている障害に対して付加的なリスクで、分
離するのが難しいリスク
 微量の環境汚染物質や低レベル放射性物質によって引
き起こされる種々の癌。
リスク問題に対する社会の要求
不確実さの認識方法
 リスクの認知と計測の方法と手段
 リスクの定量的な評価方法
 リスク管理の具体的な実践方法

20
学際的学問であるリスク工学
理学
工学
化学、地学、地球科学、気象学、
宇宙科学、海洋科学など
機械、電気・電子、建築、土木など
システム工学、都市工学、原子力・宇宙工学、
環境工学などの学際的工学
共通基盤
数量科学(統計学や推計学)
情報科学
生物科学
医学、生物学、生態学、人口動態学、疫学、
薬学、農・水産・畜産・林学など
21
社会科学
経済学、政治学、地政学、法学、社会学、
心理学、倫理学、教育学など
リスク工学と関連学問分野
分野
リスク分野
自然科学
工学的リスク
環境科学的
リスク
社会科学
生物学的・医
学的リスク
心理学的
リスク
経済学的
リスク
政治学的
リスク
数量科学(統計学、推計学)・情報科学
主な基礎学・
関連学問領域
と手法の例示
内容
システム
分析
故障頻度
事故確率
災害発生確率
生態学曝露
量測定学
暴露量
実験生物学
基礎/診断
医学、疫学
心理学
社会心理学
確定的・確率
的影響
リスク認知
相対的リスク
社会経済学
厚生経済学
政策科学
費用-効果、費用・便益分析
→最適化・正当化
費用- 効果、費用- 便益、損
害- 便益の評価
社会的合意形成
リスク解析・評価・管理; リスクコミュニケーション
インパクト
リスク容認、リスク管理の科学的妥当性
22
技術のパブ
リックアクセプ
タンス
意思・政策決定
リスクとは何か

「リスク」という言葉は、最近では日常的に使われるようになり、多く
の場合「危険」という意味で使われているが、元来、確率の概念が入
る。





語源:アラビア語のrisq、あるいはラテン語のrisicareといわれている。
rischiareには,「危険に身を曝す」という意味の他に,「成功を目指し
て果敢に試みる」という意味がある。
危ない、恐ろしい、というよりも向かってゆく、切り開く、というどちら
かといえば積極的な言葉
リターンを期待してあえて冒険するといった「選択」を行うという意味
を持つ(利を求めることの代償としての危険)
起こる確率や起こったときの被害をコントロールできる危険

例)自然災害
•
•
23
天災=諦めなければならない厄災:リスクではない
起こったときの被害を減らす努力:リスク
リスクに関連する用語の定義






24
「リスク」という言葉の使われ方:
 分野や対象によって、①損失の可能性、②損失の確率、③損
失の原因(ペリル)、④危険な状態(ハザード)、⑤損害や損失
にさらされている財産・人、⑥潜在的損失、⑦実際の損失と予
想した損失との変動、等
ハザード:いわゆる危険な状態,事情,あるいは潜在している危
険の発生源のこと
 ハザードマップ:潜在的な危険の状態を空間上に表現したもの
リスク:危険がもたらす損失(価値の減少または滅失)とその発
生確率の組(通常は両者の積)と定義されるもの
 ペリル:個々の損失の原因(=事故)
 クライシス(危機):危険が顕在化したもの
安全:リスクに反比例するもの
 損失と発生確率の積が小さいほど安全である。
損失が小さくても発生確率が高ければ安全とは言えない
逆に発生確率が低くても顕在化したときの損失が大きければ,
これも安全とは言えない
安全と安心

安全



安心



25
安らかで危険のないこと。平穏無事。
物事が損傷したり、危害を受けたりするおそれ
のないこと。
心配・不安がなくて、心が安らぐこと。また、安ら
かなこと。
(広辞苑より)
安全→客観的(与える側が提供)
安心→主観的(受ける側が感じる)
リスクの定式化
発生確率
被害軽減対策
影響小
確率小
リスク[影響/(単位時間・事象)]
=起こりうる見込み(P) [1/単位時間]
×影響の大きさ(D)[影響/事象1件]
P:probability, frequency, likelihood
D:health, safety, environment
被害規模
〈ハインリッヒの産業災害防止論の定義〉
リスク=潜在危険性が事故になる確率×事故に遭遇する可能性×事故による被害の大きさ
〈MITによる定義〉
リスク=Hazards/Safety Guards=潜在危険性/安全防護対策
26
リスク分析の段階論

リスク同定(risk identification)


リスク評価(risk assessment)


関係各主体間の情報交流や了解事項の積み重ね
リスクマネジメント(risk management)

27
リスクの科学的な見積もりと評価
リスクコミュニケーション(risk communication)


危害の構造的把握
リスクの軽減、未然防止、回避・避難、補償などの
対応策を構想・評価
リスク評価(1)

経緯



公衆衛生、労働衛生、環境汚染の問題をきっか
けとして発展してきた。
ロンドンの公共水道汚染によるコレラ蔓延(19
世紀)
ロンドンでの大気汚染による4000人の死者
(1950年代)
食品添加物と汚染物質及び残留農薬の安全性
評価(1960年代)
• 国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機構(WHO)

化学物質による発癌リスク評価(1972年)
• 国際癌研究機関(IARC)
28
リスク評価(2)



29
複雑なシステムの「安全性」の評価
 決定論的方法と確率論的方法
決定論的方法
 安全確保のための工夫がどの様に機能するか
を解析し、安全が確保されていることを確認す
る。
 完璧な工学システムというものは存在しないと
いう立場からは、何重にも整備された安全防護
系でも次々に機能しなくなる多重故障を評価し
なくてはならない。
確率論的方法
 システムを構成する機器の故障・破損、システ
ムを取りまく状況の発生を確率的な事象と捉え、
システムにとり不都合な事態(事故)が発生する
確率を定量的に評価する。
リスク評価(3)

確率論的安全評価





30
PSA(Probabilistic Safety Assessment)
被害発生の可能性の程度を明らかにする。
イベントツリー手法という解析方法を用いて、事
故に至るシーケンスからリスクを定量的に評価
する。
事前にシステムの問題となる箇所を摘出して、
対策を施すことが可能。
フォールトツリーにより、各安全機能の故障確
率を算出する。
イベントツリーのイメージ

危機にいたるシークエンスを想定する
発見できるか
成功
0.7
1×10-2回/年
初期トラブル
の発生
初期の段階で
止められるか
報告できるか
成功
0.7
しない
0.9
失敗
0.3
する
0.1
しない
0.9
失敗
0.3
31
拡大を
阻止できるか
する
0.1
成功
0.6
失敗
0.4
成功
0.7
失敗
0.3
予想される
事態
4.9×10-3
小規模トラブル被害
1.9×10-3
危機の発生
小規模被害
8×10-5
危機の発生
2.7×10-3
危機の発生
2.1×10-4
小規模被害
9×10-5
危機の発生
フォールトツリーのイメージ

各安全機能が失敗(故障)する確率を求める
危機の発生 1.3×10-9/年
OR
原因Aによる
危機の発生 2.0×10-10/年
AND
原因Aの発生
1.0×10-6/日
32
原因Bによる
危機の発生 1.1×10-9/年
AND
Aへの対処
Bへの対処
原因Bの発生
ができない
1.1×10-5/年 ができない
1.0×10-4/日
2.0×10-4/日
OR
原因Cの発生
1.0×10-6/日
原因Dの発生
1.0×10-5/日
リスクの定量的評価(2)
(地震リスクを例に)

34
大規模地震災害リスクの特徴
 低頻度であるが避けられない自然災害
(巨大地震の発生や都市を直撃する直下地震は稀であ
る)
低頻度のため経験や知恵の継承が難しい
 被害地震の発生は不確実性が高く予測が難しい
 多様な被害が瞬間的・同時に、多地点で多発する災害
 社会システム全体にインパクトを与える
 被害が連鎖して更に被害を引き起こす
 災害の影響は直接損傷地域にとどまらない
 災害の経験が継承されにくい
 地震活動、被害状況に地域性がある
リスクの定量的評価(4)
(地震リスクを例に)
震災のイベントツリー
35
星谷勝、中村孝明「構造物の地震リスクマネジメント」山海堂
リスクの定量的評価(5)
(地震リスクを例に)
地震災害のリスクカーブ;想定される損害と発生確率
36
(株)竹中技術研究所
リスク認知と意思決定
37
(芳賀,2000)
安心とリスク認知




38
安心とは、「心配・不安がなくて、心が安らぐこ
と」。
心配・不安
→個人がリスクをどのように認知するか
客観的に「安全」であることと、主観的に「安心」
を感じることとは別問題
リスク専門家が評価するリスクと一般の人々が
感じるリスクは違う
専門家と一般市民のリスク認知の違い
39
一般の人々の認識

「怖い」と思う要素

非自発的にさらされる
• 大気汚染 vs スポーツ・喫煙

不公平に分配される
• 原子力発電・ゴミ処分施設

個人的な予防行動では防げない
• 大気汚染 vs スポーツ・喫煙

よく知らない、新奇なもの
• 自動車 vs 飛行機(飛行機に慣れていない人)

人工的なもの
• 地震 vs 原子力発電
40
一般の人々の認識(つづき)

隠れた、取り返しのつかない被害
• 高電圧送電線・携帯電話

子供・妊婦・後世に影響を与える
• 放射線被曝

通常と異なる苦しみ方、死に方をする
• 苦しみながら死ぬような場合(ガン)

被害者がわかる
• 身近な人が被害者になる

科学的に解明されていない
• よくわからないことの恐怖

矛盾した情報が伝えられる
• リスクが解明されていないような印象
41
リスク・イメージの構成要素

リスクイメージの因子




恐ろしさ因子の尺度


制御不可能、恐ろしい、致命的、不公平、将来
への影響、軽減が難しい、増大傾向、受動的
未知性因子の尺度

42
因子Ⅰ:恐ろしさ因子(Dread)
因子Ⅱ:未知性因子(Unknown)
因子Ⅲ:災害規模因子(Number of people
involved)
観察不可能、接触している人が知らない、影響
が遅延的、新しい、科学的に不明
リスクの認知地図
43
人はリスクを正しく認知できる
とは限らない

リスク認知のバイアス

実際の死亡者数と予想
死亡者数
• 一次バイアス:直線と
曲線のズレ
• 二次バイアス:曲線と
各点のズレ:


事象に固有の二次バイ
アス→情報接触に影響
される
カタストロフィックな致
死事象は被害規模大き
く認知
Lichtenstein et al.(1978)
44
リスク認知のバイアス
専門家と一般の人々の判断の違い
 特徴(一般の人々)

記憶のしやすさ・想像しやすさ
 「リスク」の指摘だけでは必要以上に恐
怖を感じる
 最初の印象
 リスク情報の提示の仕方

• フレーミング効果
• ex. ポジティブフレーム vs ネガティブフレーム
45
リスクコミュニケーション
世の中にある「リスク」の情報を伝える
 リスクを受ける側、リスクを管理する側の
双方が正確な情報を共有し、互いに意
志疎通を図ること
 リスク管理者側とリスク受容者側の双方
で納得のいく合意が得られることを目的
とする
 リスクを受け入れるように説得することで
はない

46
リスク・コミュニケーションの理念

双方向の情報伝達
リスクに関する情報
専門家
態度の変容

一般の人々
意見・疑問
• リスク情報の提供と理解

リスクにさらされる人に対して十分な情報
を提供し、理解を深めてもらう
中立的対話
47
態度の変容
リスクマネジメント

目的と意義(災害リスクマネジメントを例に)

目的
• 絶対安全(ゼロリスク)はありえないという前提に立ち、
被害や損失を事前に分析し、損失を最少に抑えるた
めの対応策を選択し実行すること

意義
• 許容する安全目標に対する合意形成に役立つ(説明
責任)
• 安全対策の費用対効果を検討できる
• 合理的な意思決定を促進する
48
リスクマネジメントの流れ
方針の策定
リスクの洗い出し
重要リスクの選別
リスクの定量化
対策の検討
49
対策の実施と監視
リスクマネジメントによるリスク対
応策(地震リスクを例に)
リスク
対応策
50
リスクの保有
●危機管理
- 緊急対応
- 応急復旧
- 復興
リスクの低減
●耐震補強
●重要施設の分散・移転
リスクの転嫁
●地震保険
●代替的リスク転嫁(ART)
- 自家保険(キャプティブ)
- 証券化
リスクの回避費用と対策費用
費用の合計
リスクに伴う
損害
リスクを防ぐ
ための費用
51
最適リスク条件
リスクの大きさ
リスクマネジメント


52
多様な関係者が「当該リスク」の性質に関する
知識や情報をもとに「当該リスク」に対応するた
めの戦略、施策、制度等にはどのような代替案
があり、健康と安全、生態系へのリスクを削減
するために、どのような代替案を選択するのが
適切かを意思決定し、そのための活動を行う。
(平石ほか、1998)
その過程は、客観的、技術的な部分と、文化的、
倫理的な部分の両面を含む統合的科学(メタ
政策科学)の性格をもっている。(池田、瀬尾、
1998)