2013.2発行 VOL.24 歯周病と糖尿病の意外⁉な関係 糖尿病の合併症といえば、大血管障害に細小血管障害・・・と、血管障害と認識されている方が 多いと思います。近年、第6の合併症として歯周病が取り上げられています。 歯周病とは、歯肉・セメント質・歯根膜及び歯周組織に起こる炎症性疾患(感染症)の総称です。 ①プラーク(歯垢)が産生する炎症性破壊が歯肉を歯根から剥離しポケットを形成する ②ポケット内は嫌気的環境であり病原菌が増殖する ③歯垢が歯石へと変化すると日常的な口腔ケアでの除去は困難となり、さらにポケットが深くなる という過程で悪化していきます。一般に歯周病は4㎜以上のポケットが存在する状態をいいます。 炎症が存在することでTNF-α という物質が分泌され、このTNF‐α という物質によって血糖は上 昇します。「歯周病=血糖が上がる大きな炎症」とは感じにくいかもしれませんが、20本の歯肉に 5mmのポケットがあるとしたとき、その大きさは片手のひらの大きさに相応します。片手のひらの 炎症が体にあると考えると、治療の必要性のある大きな炎症だと考えるのではないでしょうか。 また、歯周病は進行すると歯の脱落をも起こしえます。 高血糖 歯を失うことで、咀嚼が十分にできなくなり、食事療法が うまくいかなくなってしまったり、なによりも食べる ・唾液分泌量の低下 インスリン 楽しみが制限されるのは避けたいものです。 高血糖状態は免疫力低下をきたし、 免疫力低下が感染を呼び寄せます。 感染が起こることで炎症により血糖値が 高くなるといった負のサイクルが起こります。 ・グルコース増加 分泌の障害 ・好中球機能の低下 ・微小循環障害 歯周病の進行 ・コラーゲンの合成障害 創治癒遅延 血糖値が高い状態が続く時、その原因は生活だけでは 易感染性 ないかもしれません。歯周病の可能性を考えてみてください。 治療を受ける時には、糖尿病治療を行っていることを歯科医に伝えることも大切です。 文責:糖尿病看護認定看護師 初古智美 3月14日は世界腎臓デー 毎年3月第2木曜日は腎臓を大切に思っていただくための日です。毎日の 食生活、生活習慣を見直し、腎臓病の予防、生活習慣病予防に努めましょう。 先日、日本臨床腎移植学会に参加しました。年々腎移植の件数は増えていますが増えたのは 生体腎移植のみで、移植法改定にも関わらず、献腎移植は伸び悩んでいます。生体腎移植は 夫婦間で血液型が違ってもできることから増えています。一方、ドナー登録が浸透していないこ と、家族が臓器提供を拒否されるなど、まだまだ日本独特の風土が根付いており、献腎移植は 増えそうにありません。 この機会に自分の腎臓について、また、臓器提供について関心を持っ ていただく日になるといいですね。 文責:透析看護認定看護師 井本千秋
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