知の知の知の知 - 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会

い~な
あまみ
中 央
しらさぎ
さくら
大阪+知的障害+地域+おもろい=創造
知の知の知の知
社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会 社会政策研究所情報誌通算 1096 号 2012.12.26 発行
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多様化する生徒たち 公立高校定時制が様変わり
信濃毎日新聞 2012 年 12 月 24 日
雇用問題について生徒に教える赤穂高校定時制の宮下教
諭の授業=11月中旬
県内の公立高校定時制に通う生徒が様変わり
している。かつては、中退をした人が学び直した
り、日中働いて学費を稼ぎながら学んだりする生
徒を受け入れてきたが、近年は不登校経験者や発
達障害の生徒も増えている。定時制に通学する理
由が多様化する中、これまで以上に、卒業後の進
路・就職指導に力を入れ始めた学校も出てきてい
る。
南信地方の県立高校定時制では21日まで1週間、4年生が担任教諭との二者面談をし
た。4年生15人のうち、卒業後の就職が決まっているのは家業を手伝う生徒を含めて3
人。他に2人の進学が決まっている。同学年では不登校を経験したり、発達障害の診断を
受けた生徒が全体の3分の1を占め、進路について生徒自身が決めかねているケースもあ
るという。
担任の男性教諭(57)は同校に勤務して10年目。赴任当初は「威勢のいい生徒」が
多く、不登校経験者は学年に1、2人程度。日中は製造業で働き、卒業後もそのまま同じ
会社に勤める生徒が半分ほどいた。
「就職指導に力を入れなくても進路は大体決まった」と
振り返る。
この教諭は、最近増えている発達障害や不登校を経験した生徒にとって毎日学校に通い
同級生と学校生活を送ること自体が「成長」と受け止める。「ようやく歩み出した生徒に、
進学や就職をうるさく迫ってもいい結果にならない」と思う。ただ、一方で、進路が決ま
らないまま卒業させてもいいのか―と、指導に迷いもあると話す。
県教委によると、本年度8月末時点で発達障害と診断されたり、複数の教員が特別な支
援が必要と判断した公立高校定時制の生徒は計478人に上る。定時制の総生徒数の2
1・5%を占め、統計を取り始めた2007年度以降、増え続けている。定時制の教員ら
によると、人間関係でつまずいたり、大人数の授業にはなじみにくいといった理由で定時
制を選ぶ生徒もいるという。
一方、就職環境は厳しい。ことし10月末現在の就職内定率は、全日制が70・1%で
前年度同期と変わらなかったものの、定時制は33・2%で前年同期比14・2ポイント
低下した。
「非正規雇用」
11月中旬、赤穂高校(駒ケ根市)。定時制1年生の国語の授業で、宮下与兵衛(よへえ)
教諭(59)は10人ほどの生徒を前に、黒板にこう板書。
「非正規雇用だと解雇されやす
い。だが、現状は非正規雇用から正規雇用になるのは難しい」などと、生徒たちに説明を
続けた。
国語の授業だが、扱った文学作品などに関連づけては、就職について話すという。同教
諭は「正社員と非正規労働者の生涯賃金の違いや労働者の権利などを教えることで、働く
ということへの意識を高めていってもらいたい」と話している。
発達障害児の円滑就学を県教委指南
保護者向けリーフレット作成
福井新聞 2012 年 12 月 23 日
発達障害児のスム
ーズな小学校就学
を図ろうと福井県
教育委員会が作成
したリーフレット
発達障害児の
スムーズな就学
を図ろうと、福
井県教育委員会
(県教委)は小
学校入学を控え
る5歳児の保護
者向けリーフレ
ットを作成した。
幼・保育園と
小学校の生活の
違いを紹介。多動や集団行動が苦手といった子どもの状況に応じて小学校の教員が行う指
導・支援法を詳しく記載している。
また、子どもが発する小さな“SOS”や発達障害の兆候をとらえ、迅速に幼・保育園に連
絡することなど家庭の対応策も記した。県特別支援教育センターをはじめとする相談先も
付記した。
このリーフレットを参考に保護者が行動することにより、家庭、幼・保育園、小学校の
情報交換が密になり、子どもの特性に応じた指導が早期にできるという。年明け以降、各
小学校で開かれる学校説明会で保護者に配布する。
自閉症の主症状を mTOR 阻害薬「ラパマイシン」で改善可能 - 東京都など
デイビー日高 2012 年 12 月 20 日
東京都医学総合研究所(都医学研)、東京大学、東京都福祉保健局の 3 者は、順天堂大学と
の共同研究により、自閉症の主症状である「社会性相互交流障害」が、抗腫瘍薬、免疫抑
制薬として複数の国で認可されている mTOR 阻害薬の 1 種の「ラパマイシン」により改善
することを、2 種類の「結節性硬化症」モデルマウスを用いた動物実験により明らかにした
と発表した。
成果は、都医学研の池田和隆参事研究員、東大大学院 医学系研究科の水口雅教授、順天
堂大学の樋野興夫教授、同・小林敏之准教授らの共同研究グループによるもの。研究の詳
細な内容は、英国時間 12 月 18 日付けで英国オンライン専門誌「Nature Communications」
に掲載された。
自閉症は社会的相互交流障害、コミュニケーション障害、反復的・常同的行動を主症状
とする発達障害だ。自閉症の有病率は人口の 1%以上ともいわれ、社会適応の困難が強いこ
とが医学的、社会的に問題となっている。
一方、結節性硬化症は自閉症を高率に合併し、自閉症の基礎疾患の中では頻度が最も高
いものだ。結節性硬化症の原因遺伝子は TSC1 と TSC2 の 2 つで、それらのタンパク産物
は mTOR を介した細胞内情報伝達系に属し、細胞の増殖・成長や死(アポトーシス)を制御
している。
またこの系には「PTEN」(PTEN 遺伝子変異は大頭を伴う自閉症の原因となる)、
「FMR」
(FMR 遺伝子変異は脆弱 X 症候群の原因となる)などの遺伝子も属しており、それらの変異
も自閉症の病因となることから、自閉症に関連した脳機能にも関与することが判明済みだ。
そこで共同研究グループは今回、結節性硬化症モデルマウスを用いた行動薬理学的研究を
実施することにしたのである。
ヒト結節性硬化症 1 型および 2 型に対応する遺伝子変異を持つノックアウトマウス(3~7
カ月齢の成獣)に対し社会的相互作用試験を行った結果、新奇マウスに対する探索行動が減
少し、後肢による立ち上がり行動が増加することが判明。ほかの行動解析のデータと総合
した結果、これらの行動異常はヒト自閉症における社会的相互交流障害に相当することが
示されたのである。
ところがラパマイシンを投与すると、探索行動が増加し、立ち上がり行動が減少して正
常(野生型)マウスと差がなくなった。すなわち自閉症様行動異常が改善したものと考えられ
た次第だ。
次に 2 型モデルマウスの脳内の遺伝子発現とタンパクリン酸化状況を調べた結果、mTOR
系の複数の遺伝子発現(メッセンジャーRNA 量)に異常が生じており、mTOR 系下流のタン
パク質「S6K」のリン酸化が亢進していたことが判明。ただし、ラパマイシン投与後には多
くの遺伝子の発現と S6K のリン酸化が正常化することが確認されており、これはラパマイ
シンによる行動の改善が、mTOR 系の遺伝子発現とタンパクリン酸化の正常化を介したも
のであることが示された形となったというわけだ。
自閉症に対する薬物治療は従来、表面的な対症療法がほとんどで、社会的交流障害を改
善する効果は乏しかった。今回の研究で注目したラパマイシンによる薬物治療は、mTOR
系を分子標的として、結節性硬化症など mTOR 系の機能異常に起因する自閉症の病態を是
正する本質的な治療法となりうるもので、今回の成果は、この治療法が自閉症の中核症状
である社会的相互交流を改善すること、発達期を過ぎた大人になってからでも効果を発揮
し得ることを動物実験で示したものとなる。
結節性硬化症モデルマウスの社会的相互作用の実験結果
なお、mTOR 阻害薬はすで
に抗腫瘍薬、免疫抑制薬とし
て複数の国で認可されている
医薬品であり、日本でも近い
将来、結節性硬化症に合併す
る腫瘍の治療薬として認可される見込みがあるという。
今後、mTOR 阻害薬を自閉症治療薬の治療薬として応用できる可能性は大きいと期待さ
れ、今回の研究成果を起爆剤としてトランスレーショナルリサーチ(基礎研究成果を臨床に
実用化させる橋渡し研究)が加速することが期待されると、研究グループは述べている。
環境ダイオキシン、子どもの心にも影響か!?
サイエンスポータル 2012 年 12 月 21 日
東京大学大学院医学系研究科・疾患生命工学センターの遠山千春教授や掛山正心助教ら
のグループは、残留性有機汚染物質のダイオキシン※を微量投与した母マウスから生まれた
マウスが、成長後に脳の柔軟性が低下し、集団行動に異常が生じることを突き止めた。母
体に取り込まれた環境化学物質が子どもの「心の健康」を害し、精神神経症状を引き起こ
す可能性を示す初めての報告だという。研究論文が 12 日、オンライン科学誌「プロスワン
(PLOS ONE)」に掲載された。
遠山教授らは、ヒトの高次脳機能に相当する認知機能と社会性機能を調べることができ
る独自の行動試験技術を開発した。ごく微量(体重 1 キログラム当たり 0.6 マイクログラム
および 3.0 マイクログラム)のダイオキシンを投与した母マウスから生まれたマウス(ダイオ
キシン曝露〈ばくろ〉マウス)について、飼育箱(試験装置)の四隅に置いた水飲み場のうち、
対角にある 2 つを“正解”の水飲み場として使わせる行動習慣を習得させ、その後、水飲
み場を別の対角の 2 つに変更して適応力を評価する「逆転課題」を繰り返し行った。
その結果、ダイオキシン曝露マウスは、行動習慣の習得はできるものの「逆転課題」の状
況変化に対する適応性(行動柔軟性)が低下していることが明らかになった。また、これらの
マウスには、報酬(飲水)獲得のための反応を繰り返す、不必要な「反復行動」も見られた。
この反復行動は、正解の水飲み場において特に多く観察されたことから、欲求の抑制がで
きない時に生じるような行動パターンの異常と考えられるという。
また、12 匹のマウスを集団生活させ、1 日のうち数分間だけ大勢で水飲み場を奪い合う
社会的競争状況を作ったところ、ダイオキシン曝露マウスの活動レベルは低下した。これ
は水飲みに対する欲求よりも、他者との接触に伴うストレスを避けているためと考えられ、
「自閉症スペクトラム障害」や「不安障害」をもつ人の、他者との接触を避ける傾向にも
似ているという。
さらに、神経活動の指標である「Arc」というタンパク質分子の、脳内での発現の分布を
調べた。行動異常が観察されたダイオキシン曝露マウスでは、行動柔軟性や社会性行動な
どの認知機能をコントロールする脳領域の「前頭前皮質」において Arc の量が、減少し、
恐怖や不安といった情動反応をつかさどる「扁桃体」では増加していた。このことは、母
のダイオキシンの曝露によって、その子どもの脳に神経活動のアンバランスが生じている
ことを示す。今回の結果はそのままヒトには適用できないが、「環境化学物質が、自閉症症
状などの「発達障害」の発症や重症化の要因となる可能性を強く示唆するものだ」という。
※ダイオキシン:
「ポリ塩素化ジベンゾジオキシン」
「ポリ塩素化ジベンゾフラン」
「コプ
ラナーポリ塩素化ビフェニル」という 3 種類物質群の総称。地球規模で汚染が広がってお
り、環境中・食品中に広く存在する。微量でさまざまな毒性を有する。
内部障害者の優先席利用、市民理解を 仙台市交通局
河北新報 2012 年 12 月 25 日
仙台市バスと地下鉄の優先席で表示が始まった「ハート・
プラスマーク」
心臓や腎臓などに機能障害を抱える内部障害者
が公共交通機関の優先席を利用しやすくしようと、
仙台市交通局はバスと地下鉄の車内に「ハート・
プラスマーク」の表示を始めた。市の広報やホー
ムページでもマークの意味を説明し、乗客に理解
を求めている。
マークは10年ほど前、内部障害者が集まるN
PO法人「ハート・プラスの会」
(本部・名古屋市)
が作製。優先席に座った内部障害者が他の乗客に
非難されるトラブルがあり、発案した。障害者は
マークをかばんなどに付けて乗車する。
マークは北九州市や熊本市のバスや電車でも採用されている。だが妊婦であることを示
す「マタニティマーク」などと違って国の認定を得られていないため、全国的には普及し
ていない。
ハート・プラスの会の鈴木英司さん(53)=京都市=は「仙台市に活動を理解しても
らい、ありがたい。仙台をきっかけにマークを全国に広め、内部障害者の負担を減らした
い」と話している。
会によると、内部障害者は全国的に増加傾向にあるという。仙台市ではことし3月末現
在で9461人と、身体障害者全体の約3割を占める。
施設にミカンをプレゼント
千葉・松戸
産経新聞 2012 年 12 月 23 日
本郷谷市長(左)にミカンを託す正司理事長(右)と吉
田理事=21日、松戸市役所(江田隆一撮影)
千葉県松戸市青果物商業協同組合は、こども発
達センターや児童館など市内の障害者福祉施設
と児童施設にミカン400キロを贈った。
正司進理事長、吉田修理事が市役所を訪れ、本
郷谷健次市長にミカンを託した。42施設に届け
られるという。
市内の青果市場でミカンの取り扱い量が多い
ことから、昭和48年にスタートした年末恒例の
プレゼントで40回目。正司理事長は「例年を上回る甘さとおいしさを味わってほしい」
と話している。
園児らに一足早いプレゼント 栃木・那須
朝日新聞 2012 年 12 月 23 日
片桐俊輔社長(後列右)から子どもたちに贈られたクリスマスケ
ーキ=那須町役場
那須町高久甲の菓子製造販売「お菓子の城那須ハート
ランド」の片桐俊輔社長が21日、町内の保育園児らに
一足早いクリスマスプレゼントとして、ケーキ100個
を贈った。
「子どもたちに喜んでほしい」と願い、今年で4回目。
片桐社長が高久勝町長を通じて渡し、町立の8保育園と
障害者地域活動支援センター「りんどう作業所」に配ら
れた。
役場での贈呈式には、黒田原第一保育園の園児代表6
人も訪れた。早速ケーキを切ってもらって食べながら「お
いしい」を連発していた。
ことば:チャリティーショップ
毎日新聞 2012 年 12 月 25 日
◇チャリティーショップ
慈善活動の資金を集めるため、家庭で使っていない品物を市民から無償で提供してもら
い、販売する店。65年の歴史を持つイギリスでは国際協力だけでなく、動物や自然保護、
障害者への支援、がん研究を目的とした店が6000店舗以上ある。市民は品物の提供、
買い物、ボランティアによって活動に参加できる。店頭には衣類や食器、日用品、途上国
の女性たちの手工芸品など、あらゆるものが並ぶ。無償のボランティアが活動を支えるが、
有償のスタッフを置く店舗もある。
ローソン、健診受けないと賞与減
来年度から
共同通信 2012 年 12 月 23 日
コンビニエンスストア大手のローソンが、健康診断を受けない社員の賞与を15%減額
する異例の制度を、来年度から導入することが23日分かった。直属の上司も10%カッ
トする。多忙を理由に健診を受けず、健康を害して仕事を続けられなくなるケースを減ら
すのが狙いだ。
企業の医療費負担の軽減にもつなげたい考えだ。2013年度中に健診か、人間ドック
を受けなかった社員とその上司について、14年度の賞与を減額する。
会社の健診を仕事の都合で受けられない場合も、会社の費用負担で別の日に受診できる
ため、どんなに忙しい職場でも健診を受けることは可能とみている。
医療費抑制、国保診療データ活用1割
市区町村
朝日新聞 2012 年 12 月 25 日
【鬼原民幸】国民健康保険に加入する患者の診療データを解析し、医療費抑制にいかし
ている市区町村が約1割にとどまることが分かった。安い薬の使用を求めるなどして年間
1億円以上を減らした市がある半面、多くの市区町村やデータを管理する国民健康保険団
体連合会(国保連)は活用に消極的だ。
国保は自営業者ら3900万人が加入し、1世帯の平均保険料は年間14万4千円。市
区町村に運営責任があると法律で定められ、都道府県ごとの国保連が医療費支払いを代行
する。保険料と別に年間8兆3千億円の税金が投入されている。
医療機関は治療・投薬内容や費用を記す診療報酬明細書(レセプト)を各国保連に送る。
47国保連に取材すると、病名や数値を患者ごとに検索・抽出できる形式で受け取り、生
活習慣病が悪化しないよう指導したり、安い後発医薬品(ジェネリック)の使用を求めた
りして医療費抑制にいかしている市区町村は、11月時点で207で全体の12%だった。
29国保連が「自治体からデータ提供の要望がない」としている。
医療費助成 300種超に拡大
読売新聞 2012 年 12 月 24 日
難病の患者を支え、治療法の研究開発を後押し
する国の難病対策が、大きな転換期を迎えていま
す。医療費の公費助成が受けられる病気を増やす
のをはじめ、制度の大幅な見直しが具体化しつつ
あるのです。
難病対策の見直し どうなる
――「難病」とは、どういう病気のことをいう
のですか。
「医学的に明確な定義はありませんが、治療が
難しい病気の呼び名として、一般的に使われてき
た言葉が『難病』です。国が統一的な難病対策に
乗り出した1972年、難病対策要綱が定められ
ました。そこでの定義は、
〈1〉原因不明で治療法が確立されておらず、後遺症の恐れが少なくない
〈2〉慢性的で家族の介護や経済的負担、精神的な負担が大きい
――といった内容です」
――国の難病対策は、どのようなものなのですか。
「日本の難病対策は71年、整腸剤・キノホルムの薬害であるスモンの患者支援をきっ
かけに始まりました。その後、対象となる病気を徐々に増やしながら、医療費助成、研究
費の助成、医療施設の整備、福祉の充実などを目指す対策が行われるようになってきたの
です。現在、研究費の助成は130の病気が対象で、このうち56の病気は医療費助成の
対象にもなっています」
――なぜ見直しが必要になったのでしょうか。
「時代とともに様々な課題が明らかになり、今のままでは実情にそぐわないことがわか
ってきたからです。助成対象でない病気との公平性や財政難が、見直し論議の大きな要因
になりました。さらには、医療の進歩で、難病を抱えながら長く療養生活を送る人が増え
たことや、病気であっても仕事を続ける患者の社会生活を支援すべきだという考え方が広
がってきたことも背景にあります。社会、経済情勢の変化や患者とその家族のニーズの多
様化に合わせた支援体制づくりが求められているのです」
――見直しの内容は、どういったものですか。
「現在、厚生労働省の審議会(厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会)が具体的
な内容を検討中ですが、医療費助成の対象が300を超える病気に拡大され、それぞれ重
症度に応じて対象患者が認定される見込みになりました。対象になる病気は、新しい基準
に当てはまることが条件です。新基準は、患者数が人口の0・1%程度(約12万人)以
下で、診断基準があることなど、5項目の条件を満たす必要があります。これまで厚労省
が、研究費と医療費の助成をしたことのある482の病気のうち、新基準に照らし合わせ
て分類すると、300超の病気が対象範囲に入るとみられています」
――ほかにはどのような見直しがありますか。
「医療費助成の水準を見直し、これまで自己負担ゼロだった重症患者も含め、すべての
対象患者に、所得に応じた自己負担を求める方針が決まりました。入院した時の食事代や
院外調剤の薬代も患者の自己負担になりそうです。これは、障害者や高齢者を対象にした
他の支援制度とつり合いがとれるようにし、広く国民の理解を得られる制度にするための
対応のようです。ほかにも、難病患者や家族への福祉サービスや就労支援の充実、治療法
開発のための研究促進のあり方が検討されています」
――今後の見通しは。
「厚労省の難病対策委員会は来年1月に最終報告案をまとめる予定で、それを基に、来
年度以降、対策が具体化されることになります。対策のための予算を安定的に確保するに
は根拠となる法律があったほうがよいとの考えから、難病対策の法制化も目指しています。
ただ、難病は5000~7000種類あるといわれ、今回の見直しでも対象から外れる病
気があり、これですべての課題が解決するわけではありません。今後も必要に応じ、改善
が求められていくことになりそうです」
(高梨ゆき子)
支局長評論:周南
職場のコーチ/上
/山口
毎日新聞 2012 年 12 月 21 日
海産物の卸問屋に就職した発達障がいの男性はパソコンが得意でした。経理を任されま
したが、自分流にプログラムを替えてしまい、同僚が使えなくなりました。
別の障がい者は干渉されるのが苦手なのに、同僚が溶け込んでもらおうと声を掛け、か
えって本人の重荷になりました。
こんなときに改善案を提案して、障がい者と企業の潤滑油となるのがジョブコーチです。
独立行政法人の山口障害者職業センター(防府市)を訪れると、緒方昭一郎所長(48)
は「コーチは5人とも出払っています」。30〜40代の女性ばかりで、「フル稼働」と言
います。
県内には同センターを含め、研修を積んだ計15人のコーチがいます。精神保健福祉士
や特別支援学校、福祉施設の勤務経験者らが務めています。
支援は就労前と就職時だけでなく、就労後でもOKです。本人と面談し、苦手な点を把
握し、支援計画を作ります。コーチは職場に同行して、本人の様子を観察し、作業内容の
変更、指示の仕方などを助言します。
指示は具体的に伝える▽困ったときに尋ねるキーパーソンを決めておく▽音、におい、
光に敏感な人の場合、作業環境を変える−−などです。
「特徴の出方は皆さんバラバラ」
。支援計画を作る同センターのカウンセラーの横手真子
さん(33)は「信頼関係が大切です」と話します。支援期間は1〜7カ月(3カ月が一
般的)
。その後のフォローもします。
支援は本人も企業も費用負担がありません。それでも内情を見られるのを嫌うのか、消
極的な企業が多いようです。
県内では昨年、15人のコーチが計97人の障がい者の就労を支援しました。発達障が
い者はうち14人ですが、コーチ派遣に至らない例も結構あります。なぜでしょうか。障
がいが「見えない」のが影響しているようです。<周南・大澤重人>
支局長評論:周南
職場のコーチ/下
/山口
毎日新聞 2012 年 12 月 24 日
発達障がいは、外見上、障がいが他人に分かりません。当人ですら気づいていないこと
があります。
「見えない障がい」といわれるゆえんです。
山口障害者職業センター(防府市)の相談者には、発達障がいをオープンにするかどう
かで悩む人がいます。障がいを受容できていなかったり、障がい者の求人が少ないことか
らあえて公表しなかったりするのです。
同センターは障がいをオープンにしたときのメリット(ジョブコーチの支援、援護制度
の利用)とデメリット(求人数の少なさ)を伝え、最後は本人の判断に委ねます。ただ、
緒方昭一郎所長(48)は「障がいを公表しないまま就労した場合、職場に定着しにくい
のも事実です。失敗を繰り返し、うつ病やひきこもりになることがあるのです」と顔を曇
らせます。
発達障がいの場合、就労後に診断されることもあります。企業がそのつもりで雇ってお
らず、同センターが就職後にコーチを派遣した例は数件にとどまります。
「企業は作業工程
を変えてまで雇いたがらないのです」と緒方所長。
同センターは最近、うつ病になって休職した人の復職を支援しました。職場復帰のため
の「リワーク支援」を行い、うつの背景に発達障がいがあることが医師の診断でわかりま
した。雇用先の企業と相談を重ね、復職の際にコーチを派遣しました。現在、職場に定着
できています。企業の理解があってこそです。
同センター(0835・21・0520)には昨年、障がい者からの就職相談が472
件(うち発達障がい者81件)ありました。相談は無料です。
来年4月、障がい者にとって追い風があります。法定雇用率がアップするのです。
「従業
員56人に1人」から「50人に1人」へ。法律に背中を押されないと雇用が進まないの
も残念ですが、忙しいジョブコーチにはもう一頑張りを期待します。
本年もご愛読ありがとうございました。良いお年をお迎えください。(周南・大澤重人)
月刊情報誌「太陽の子」、隔月本人新聞「青空新聞」、社内誌「つなぐちゃんベクトル」、ネット情報「たまにブログ」も
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