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\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \
堂
近
し
浮
巣
さ
を
―近 詠―
御
高
豊 田 都 峰 心響集 その九
浮
の
ほ
碑
巣
里
の
浮
山
処
た
雨
せ
宮
ま
国
た
き
ぢ
湖
立
遠
す
を
る
柳
虹
茂
や
片
草
風
か
ひ
く
ゐ
す
る
叢
こ
思
づ
筋
り
い
き
け
や
め
の
は
け
虹 消 え て ま た あ て も な き も の 待 ち に
涼
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\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \
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\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \
借
合
勲
景
歓
の
は
咲
邸
ど
い
元
よ
こ
梅
も
正
雨
比
む
面
晴
叡
の
の
三
梅
川
址
風
淀
の
て
の
み
奥
は
の
て
林
沈
文
か
り
庭
落
か
葉
夏
葉
し
落
落
椎
風
る
な
も
に
ま
た
十
雨
す
果
座
六
晴
が
つ
敷
峰
間
た
に
ゑ
ま
こ
夏
夕
の
や
風
き
と
な
こ
も
ま
に
「俳句界十月号特別作品二一句」「ウエツブ俳句通信八一号七句」掲載
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\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \
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\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \
島
よ
へ
る
ぎ
波
の
原
る
が
朝
波
六
始
鵜
追
感
林
の
ふ
や
あ
い
こ
―故 丸山佳子作品―
の
を
へ
手
わた
鵜
柱
か
し
海 の 中
日
の
せ
蝦
の
ま
み
故
鵜
焼
釣
ど
り
り
さ
と
を
海
ぎ
や
愛
釣
の
よ
め
す
る
中
し
ず
わた
鯛
に
目
丸山佳子
日
を
る
鯛
。 。 。 。 。 。 。 。 。 。 。 。 。 。 。 。 。 。
\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \
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\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \
秀華採集
青芝や光と見しは遠会釈 奥 田 筆 子
「遠会釈」のこちらへの思いを「光」と把握するところに、好意を全面的に受
け入れる意図があますところなく出ている。こんな思いの交換があちらこちらで
行われたなら、世の中は明るさに満ちることであろう。
葉ざくらのその後だはだは風の道 内 山 萬 壽
地べたよりはじまる石段梅雨の闇 古 林 美世子
前句は「葉ざくら」の実相が把握されており、「だはだは」の擬態表現がよい。
後句は「梅雨の闇」の根底が「地べた」というしっかりしたものに認識されてい
ることに安心感がある。
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\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \
近 詠 史
し
を
ぐ
追
輝
れ
へ
蝉しぐれ
蝉
︱追懐︱
石
窓
ゆ
を
る
の
の
薫
目
房
菊
へ
宵
雲
今
茶
ば
く
わ
桐
せ
の
る
花
鈴鹿 仁
く
震
[昭和三十六年作〕
(母誕生会)
生
誕
〔昭和三十六年作〕
(母誕生会)
〔昭和四十八年作〕
(黒四吟旅)
薯 満 つ 今 宵 に ひ び く 祝 ひ 唄
岩つばめダム放水を好きとする
近 詠 銃
煙
痕
騒
會津
硝
葉
の
の
青
盛
ひ
と
づ
げ
い
匂
揚
い
水
り
の
飯
ひ
ば
夏
つ
は
を
今
よ
ひ
ぎ
津
武
さ
會
れ
て
隠
士
し
葉
若
花
て
寒
葉
蔦
き
の
若
莪
り
の
ぐ
も
和田 照海
す
と
著
歩
も
し
の
池
眠
夜
す
急
羊
草
藤 岡 紫
よ り の 風 夢 殿 へ 羊
け れ ば 眠 る 老 残 柿 の
の 五 更 風 の 湿 り も 網 戸 越
れ 違 ふ を ん な に 酢 の 香 街 薄
か ぬ ゆ え 先 に お 行 き よ 蝸
水
草
花
し
暑
牛
夢
幻
北 川 孝 子
梅雨穂草捨つるに始まる老ひ支度
ラ ム ネ 抜 く わ が 青 春 の 夢 幻 た り
語 ら ひ の 祖 霊 に 触 れ て 夏 座 敷
ゆ る ゆ る と 残 り 世 思 ふ 汗 の あ と
ほどほどてふ身の処し方や小暑来る
水
ぶ
創
る
風
葩
リラの夜
塩 貝 朱 千
はらはらと薔薇のハートを掌に受けむ
雛 か る が も 冒 険 し て も マ マ の 傍
母 鴨 の 子 を 呼 ぶ こ ゑ や 水 速 し
チエロの音は慕情にも似てリラの夜
花 檸 檬 を ん な 笑 が ほ で 頷 ひ て
洛
南
丸 井 巴
陽 花 の 安 堵 の 円 さ 神 遊
滝 に も 壺 あ り 古 き 懸 の
木 の か 細 き 注 連 や 蝉 生 ま
桶 の 届 き し 郷 の 青 葉
南 の 神 の 裾 絵 と な る 四
紫
小
神
首
洛
る
ひ
る
る
闇
青
虹
て
ど
る
風
芒
都
故
金芒銀芒
竹 貫 示
り な き 夜 永 の は じ め 君 逝 き
出 水 低 き へ 流 る だ け な れ
の葉の露ひとつぶのいのちな
も 口 も 穴 の 埴 輪 を 秋 の
陣
の
風
金
芒
銀
田
の 秋 万 年 補 欠 の 子 が 走
月 闇 恋 は ボ タ ン の 掛 け 違
か 夜 や 夢 の 重 さ で 目 が 覚 め
衣 し て 欝 の 種 取 り 替 へ
二 無 二 の 二 が 離 れ な い 五 月
松
限
秋
竹
目
一
麦
五
短
更
遮
青芝や光と見しは遠会釈 梟に一拍遅れの夏が来る
すかんぽやぽんと竪穴ありにけり
反転し蝶にもありし奪ふ恋
葉ざくらのその後だはだは風の道 法華経諳んず老鶯修行寺
京
鎌
菖蒲湯やタオル絞りはみな父似
旅半ば茶房は新茶に和菓子添へ
青芦や友の奏でしハープ澄む 花みづきアメリカ時間で通話する
枝豆の食べ方巧し米紳士
石畳見えぬ目印蟻の列
オハイオ
水谷 直子
アリゾナ
伊吹 之博
豊 田 都 峰 選
京 鹿 子 集
都 奥田
筆子
倉 内山
萬壽
夏の夜の竜巻警報息をとめ 万緑や大空の青見え隠れ
風薫る頬なづる髪目を閉ぢて
「空」の額写経座敷に緑さす
相
生 古林美世子
緑蔭や小鳥と共に深呼吸
夏落葉地に帰る日のやつてくる
地べたよりはじまる石段梅雨の闇 脇役で通す一生柿の花
若人のためらひもなき夏衣 水の辺に子等のはしやぎて夏に入る
札
幌 野村
鞆枝
青葉若葉きれいな角膜やるといふ
化身への思ひいまだに五月闇
松
佐々木紗知
布川 孝子
高野 春子
岡山 敦子
戸
習志野
上野 紫泉
はまなすの向かうは佐渡よ妣おはす
山鳩の声を残して梅雨の入り
草笛をまつすぐ吹きし子は父に さくらんぼころころ笑ふ人とゐる
夕立や駅に傘持つ妣のこと
原宿やお薦めご膳に初鰹
芝青む姉妹の競ふ二重跳び リラ盛る休み田に生るビルの街
ペンギンの砲弾泳ぎ青い闇
たんぽぽの兄弟今日もアフロヘア
ソーダ水人に狎れるを恐れけり 田 藤波
松山
蝦夷大地一足とびに夏来たる
酒
渋
川 東
秋茄子
薔薇一輪以下省略といふ本気
さ
いたま 神田
惣介
登り来し谷間に仄か余花明かり
葉桜や宴の後の佇ひ 蝸牛葉裏安居と見つけたり
雨蛙鳴けば確かに雨になり
初燕通りを右に折れて飛び
短か夜は夜なべ仕事に時足らず 越後路は与板刃物の初夏ひびく
新潟の米所嬉し田植すみ
日本一米所の田は青々と
薔薇の門シヨパン洩れ来て朝散歩 チンドン屋太鼓に日傘アーケード
地震後の新茶のみどり萩茶碗 妣の声垣根を通し著莪咲けり
聖五月三人寄りて介護論
制服は皆大きめや入学子
千
葉 伊藤
希眸
ラベンダー香りは風に夫遠し
園児達大志抱けよ鯉のぼり
万葉の溶け込む沼や残り鴨 紙魚つれて父の筆跡元気かと 花筏返事は背で押し通す
鳶の羽ぎざぎざかざし花の天
青葉騒ふつと赤ベコの首動く
一瞬の方向音痴黒揚羽
白玉の凹みて何も彼もあした
直江 裕子
蝶生まる人工滝の音とばし
セロフアンの震へ母の日なんてなかつた 花水木ものの境の見えはじむ