(6) CORINSデータベース活用方策の研究 - 日本建設情報総合センター

(6) CORINSデータベース活用方策の研究
-「CORINSデータベース活用方策研究会」からの提言-
研究第二部
主任研究員 田口 善文
-45-
1.はじめに
工事実績情報サービス(CORINS)は、平成5年12月の中央建設業審議会からの建
議の主旨に基づき、公共工事の入札・契約手続きの透明性、競争性を高めるとともに、
客観的な基準により信頼の置ける建設業者の選定を行うことを目的とし、全国の公共発
注機関及び公益法人等が発注した工事実績を蓄積し、各発注機関に情報提供するシステ
ムとして構築された。
平成6年4月の登録開始以来、現在までに130万件を超える公共工事が実績データベ
ースとして登録されている。
本年10周年を迎えるにあたり、平成15年10月、JACICにおいて、小澤一雅東京大学
大学院助教授を座長とする「CORINSデータベース活用方策研究会」を設置し(表-
1)、CORINSの従来の目的に加え、技術管理、コスト構造改革、品質確保などの技術
的課題や建設行政課題に的確に対応するデータベースとしての今後の活用方策を検討し
た。検討に当たっては、以下の点を特に考慮した。
①
現状のCORINSデータベースの活用において、データベースとしての技術的な構
造 に 起 因 する 課 題 や CORINS の 情報 イ ン フ ラの 核 と し ての 評 価 な ど、 現 状 の
CORINSデータベースの課題を整理するとともにその解決方法を検討する。
②
今後の新たな活用方策として、CORINSの目的やデータ内容と密接に関連があり、
社会的要請が大きい、以下のテーマについて検討する。
・技術者工事経歴データベース
・積算技術に活用可能なデータベース
・経済影響分析等に資するデータベース
本報告は、研究会において検討した項目の内、「CORINSデータベースの分析・解析
事例」及び研究会として取りまとめられた「CORINSデータベース活用方策に関する提
言」の概要について報告する。
表-1 研究会委員(順不同、敬称略、所属はH16.3当時)
氏
座長
委員
委員
委員
委員
委員
委員
委員
委員
委員
名
小澤一雅
草柳俊二
北橋建治
岩崎泰彦
木村昌司
田中 亨
高階實雄
内田興太郎
尾作悦男
豊田高司
(オブザーバー)
三宅 篤
石橋正穂
山本暢人
(事務局)
所
属
東京大学大学院新領域創成科学研究科助教授
高知工科大学大学院工学研究科教授
国土交通省大臣官房技術調査課長
国土交通省大臣官房建設技術調整官
国土交通省関東地方整備局企画部長
東京都建設局企画担当部長
(社)日本土木工業協会積算研究委員会第3専門委員長
(社)全国建設業協会東京建設業協会副会長
(社)全国土木施工管理技士会連合会専務理事
(財)日本建設情報総合センター理事長
(財)全国建設研修センター理事
(社)全日本建設技術協会専務理事
(財)建設業技術者センター業務課長
(財)日本建設情報総合センター(JACIC)
-47-
2.データベースとしてのCORINS
2.1
CORINS の経緯・概要
CORINS のこれまでの経緯を表-2に示す。
CORINS は平成5年12月の中建審の建議を受け、平成6年3月から5,000万円以
上の工事について竣工時の登録を開始した。その後、従事技術者の専任制を確認する
ために、平成7年4月から「受注時」と「途中変更時」の登録が追加され、平成9年
4月には登録対象工事を「請負金額5,000万円以上」から「請負金額2,500万円以
上」へと拡大した。
また、平成12年10月には登録データ項目の大幅な見直しを行い、CORINS2000入
力システムをリリースしている。この登録データ項目の見直しでは、技術力評価への
より一層の活用を目的に「VE」や「ISO」、「夜間工事」、「交通規制」、「近接
施工」といった項目を追加している。近年では、平成14年10月に登録対象工事を
「請負金額500万円以上」に拡大した。
表-2
年
月
平成5年12月
平成6年1月
平成6年3月
平成6年7月
平成6年4月
平成6年4月
平成12年10月
平成13年4月
平成13年5月
平成14年10月
平成16年8月
2.2
CORINSの経緯
内
容
中央建設業審議会の建議(公共工事に関する入札・契約制度の改革に
ついて)
旧建設省の直轄工事でCORINSへの登録義務付け開始
竣工データの登録開始(請負金額5,000万円以上の竣工登録)
都道府県、政令指定都市でCORINSへの登録義務付け開始
受注、変更の登録開始
登録範囲を請負金額5,000万円以上から2,500万円以上に拡大
CORINS2000入力システム(Ver.4.0)リリース
「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」が施行
CORINS2000入力システム(Ver.4.1)省庁再編対応版リリース
CORINS2000検索システムリリース
請負金額500万円以上2,500万円未満工事の受注登録開始
インターネットでの登録検索開始
CORINS活用の現状
発注機関では主として、指名会社選定において当該工事施工における技術的適性
(施工実績等)を判断し、また、一般競争及び公募型指名競争入札の資格要件となる、
①建設会社の同種工事の施工実績、②配置予定技術者の従事工事実績の確認等を行い、
公共事業の入札・契約業務の透明性・競争性・客観性を確保するために活用している。
2.3
CORINSデータベース情報項目
CORINSの登録データ項目を、表-3に示す。
CORINSデータベースには、工事1件毎に、①工事の特定に関する情報、②契約に
関する情報、③工事内容に関する情報、④技術者に関する情報、⑤詳細技術情報、が
登録されている。
-48-
表-3 CORINSの登録データ項目
情報の種類
工事の特定に関する情報
契約に関する情報
工事内容に関する情報
技術者に関する情報
詳細技術情報
情報項目
工事件名
路線・水系名等
施工場所
契約形態
途中変更年月日
請負金額
工期
発注機関
工事契約コード
受注形態(単独かJVか)
請負会社
JVの構成請負会社
VE、ISO対象
工事の分野
工事の業種
工事種別
工種、工法・型式
夜間工事の有無
交通規制
近接施工
役割、生年月日、技術者名
国家資格合格番号、国家資格取得年
監理技術者資格者証番号、従事期間
施工延長、施工面積等
3.CORINSデータベース統計・解析
CORINSのデータベースとしての現状及び課題を把握するために、データベースの統
計・解析を実施した。以下にその概要について述べる。なお、解析の対象としたデータ
は2,500万円以上の工事である。今回の報告では、平成6年~平成8年のCORINSデー
タベースの初期の数値も使用しているが、この期間のデータについては5,000万円以上
の工事がCORINSの登録対象であったため、今後の精査が必要である。
3.1
CORINS登録工事件数と請負金額の推移等のデータ解析
①
発注機関別CORINS登録工事件数の割合
②
CORINS登録工事件数の推移
③
CORINS登録工事請負金額の推移
④
CORINS登録業者数の推移
を図-1~図-4に示す。
国・公団
等
22.3%
都道府
県・政令
指定都市
指定都市
50.7%
50.7%
2,500万円以上
図-1
市区町村
42.8%
C
O
R
I
N
S
登
録
工
事
件
数
国・公団
等
7.8%
都道府
都道府
県・政令
県・政令
指定都市
指定都市
47.9%
47.9%
500万円以上2,500万円未満
発注機関別CORINS登録工事件数
-49-
万
件
20
18
16
14
12
10
図 中 数 値 : H10年 度 を 1.0と し た 場 合 の
6.6億円以上
割合
2億円~6.6億円
1
0.9
1億円~2億円
0.77
1
0.67
5,000万円~1億円
0.88
0.97
0.8
0.6
0.77
2,500万円~5,000万円
1
0.67
0.9
0.82
0.84
0.78
0.7
0.84
8
6
4
2
1.15
0.93
1.01
0.83
0.9
0.8
0.9
0.63
0.59
0.54
0.81
0.74
1
0.96
0.9
0.86
0.78
1
1.02
1
1.02
1
H10
H11
H12
H13
H14
0.86
0.81
0.1
0
)
市区町村
24.4%
その他
1.5%
(
その他
2.6%
H6
H7
図-2
H8
H9
CORINS登録工事件数の推移
これらの分析から次のことが分かる。
・年度別の推移をみると、平成10年度をピークに工事件数、請負金額とも減少し、
特に5千万円以上の工事が減少している (図-2、図-3)。
・登録工事件数、請負金額は減少しているが、登録業者数は増加しており(図-4)、
その結果として1社当りの工事件数及び請負金額は共に減少となり、市場の構造変
化の中で建設業は厳しい環境にある。
このように、CORINSに登録されたデ-タを分析することにより公共事業の実態を
リアルタイムに把握することができる。
25
20
1
1.15
1
0.83
0
0.87
0.79
0.76
0.67
0.94
0.85
0.9
0.59
0.55
0.8
0.82
0.75
0.1
0.81
1
1.01
0.99
1
0.98
H6
H7
H8
H9
H10
H11
H12
H13
H14
0.83
0.64
5
0.5
0.76
0.6
0.97
10
0.86
0.94
1.13
15
図-3
C
O
R
I
N
S
登
録
業
者
数
6.6億円以上
2億円~6.6億円
1億円~2億円
5,000万円~1億円
2,500万円~5,000万円
図中数値:H10年度を1.0とした場合の割合
0.86
1
0.9
0.84
0.78
0.7
1
0.95
0.89
0.86
0.77
万
社
登録業者数
4
3
2
1
0
H6
H7
図-4
CORINS登録工事請負金額の推移
3.2
5
)
H8
H9
H10
H11
H12
H13
H14
CORINS登録業者数の推移
技術者に関するデータ解析
CORINSに登録された技術者データについて、以下に分析結果を示す。
①
登録技術者数と登録業者数・工事件数・請負金額との関係(図-5~図-7)
②
登録監理技術者数と登録工事件数・請負金額の関係(図-8~図-9)
③ 登録技術者の年齢構成比較(図-10)
これらの分析から次のことが分かる。
・登録技術者数は、登録業者数が増加しているにもかかわらず、10年度の21万6千
人から14年度の18万人へと3万人強減少しているが、技術者一人当たりの登録工
事件数は、0.7件/人前後で推移している (図-5、図-6)。
3
者
数
10
5
0
0
H6
当
人 り
技
8
6
4
2
0
(
)
図-5
6.6
H8
H9
6.4
3.9
6.0
5.7
5.3
5.0
事 人
4.5
件 当
数 た
り
件 登
H6
H7
H8
20
15
15
10
10
5
5
H9
0
0
H6
工 一
5.9
H10 H11 H12 H13 H14
録
登録技術者数と登録業者数との関係
-50-
25
20
H10 H11 H12 H13 H14
)
者 業
数 者
H7
登録工事件数
登録技術者数
25
(
術 一
万
件
)
)
1
万
人
20
録
技
術
(
(
万
社
者
数
登
15
2
登
録
工
事
件
数
25
)
4
登
録
業
30
30
(
登録業者数
登録技術者数
1.5
H7
H8
H9 H10 H11 H12 H13 H14
1.07
1.0
0.68
0.63
0.72
0.73
0.71
0.70
0.71
0.73
0.5
0.0
H6
図-6
H7
H8
H9 H10 H11 H12 H13 H14
登録技術者数と工事件数の関係
登
録
技
術
者
数
万
人
)
30
5
(
)
兆
円
30
(
(
C
O
R
I
N
S
登
録
請
負
金
額
・技術者一人当たりの請負金額は、10年度の108百万円から14年度85.5百万円に減
少している (図-7)。
・登録監理技術者一人当たり登録工事件数は、1.2~1.1件/年度であるが、請負金額
は1.8億円から1.3億円に減少している (図-8、図-9)。
・登録技術者の年齢構成について、平成10年度と14年度の傾向をみると、35歳~49
歳の世代が3割強減少している。また、図中には平成10年度に41歳の技術者が平
成14年度には45歳になることを鑑み、各世代についての時間変化の動向をベクト
ルで示しているが、結んだベクトルの傾きから、平成10年度に40~54歳であった
世代が平成14年度に45~60歳にシフトする際の技術者の減少傾向が大きい(図-
10)。
これらの解析結果から、CORINSデータベースから従事技術者情報を抽出し、取得
資格や従事工事実績などを勘案・評価し、技術者工事経歴データベース及び技術者活
動の現状等に関する分析に活用することが考えられる。
登録請負金額合計
登録技術者数
25
10
10
300
156
112
108
99.0
94.2
87.4
85.5
H8
)
H7
登録技術者数と請負金額の関係
図-8
25
(
)
20
15
15
10
10
5
5
H7
H8
録
監
理
技
術
者
数
万
人
H9 H10 H11 H12 H13 H14
C
O
R
I
N
S
登
録
技
術
者
数
(
(
(
負 者
金 一
額 人
6
4.3
4
2.5
2.3
2
1.8
1.8
1.6
万
人
1.6
)
円
1.0
0.9
H7
H8
H9
H10 H11 H12 H13 H14
1.2
1.2
1.2
1.2
1.1
1.1
H9
H10 H11 H12 H13 H14
登録監理技術者数と登録工事件数の関係
登
)
0
0
請 術
H8
30
登録請負金額合計
登録監理技術者数
(
)
億
H7
1.5
H6
事 人
H9 H10 H11 H12 H13 H14
20
り 技
人
件 録 者
工 一 0
H6
た 理
万
登 術 1
0
当 監
0
H6
100
H6
計
0
件
者
数
数 り 技
25
合
5
H9 H10 H11 H12 H13 H14
30
兆
円
5
術
当 監
件 た 理 2
174
図-7
録
請
負
金
額
合
計
10
万
304
200
10
技
(
400
額 人
当
百 た
H8
15
)
金 一
H7
理
15
件
数
録
監
)
)
0
H6
事
)
5
0
登
万
人
20
CORINS登録監理技術者数(万人)
(
15
20
工
(
(
15
5
万 り
円 請
負
登
録
技
術
者
数
20
20
兆
円
登
CORINS登録工事件数(万件)
登
録
(
25
25
25
30
30
登
録
請
負
金
額
合
計
1.4
1.3
4.0
H10
3.5
H14
3.0
2.5
2.0
1.5
3割強減少
1.0
0.5
0.0
~29
30~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~60
技術者の年齢(歳)
0
H6
)
図-9
H7
H8
H9 H10 H11 H12 H13 H14
登録監理技術者数と請負金額の関係
3.3
図-10 登録技術者の年齢構成比較
積算技術への活用に関するデータ解析
CORINSに登録されている舗装工事を抽出し、請負金額に「工事費に占める材料費
-51-
60~
の割合(統計資料)」を乗じて試算した価格と地域ごとの平均資材単価を比較した。
ある整備局における分析結果を図-11に示す。現状では、工種毎の請負金額が登録
されていないため、ばらつきは大きいが、平均値は相関が見られる。
積算技術への活用については、一例として、ユニットプライス型積算システムとの
情報共有において、ユニットプライスデータとCORINSデータとの共通属性情報であ
る工事名、工事期間、工種・工法、夜間工事、交通規制、詳細技術データ等を活用す
るための方法を研究することが考えられる。
積
単位:円/t
12,000
算
資
料
CORINS試算単価
10,000
価
格
及
9,954
9,941
9,986
9,998
9,413
8,500
8,500
8,500
8,500
8,450
7,050
7,050
7,050
7,000
8,000
び
7,756
C
O
6,000
7,250
積算資料価格
R
5,411
I
N
4,776
4,000
S
3,421
試
2,335
2,000
算
単
H10
価
H11
H12
H13
H14
■=積算資料価格平均値 ●=CORINS試算単価平均値
(円/t)
出典:積算資料((財)経済調査会)/アスファルト混合物 (密粒度13 / 300t~3,000t程度)
図-11 建設積算価格とCORINSデータ試算単価
3.4
経済影響分析等に関する解析
CORINSデータベースを用いて地域別の登録請負金額等に関するデータ集計を行っ
た。一例として、平成14年度における「地域別・発注機関別及び人口一人あたりの
CORINS登録請負金額」を図-12に示す。
各専門機関で公表しているマクロ経済と建設投資に関する分析は、統計データ公表
に時間がかかるため1~2年遅れて公開されている。一方、CORINSデータはリアル
タイムでデータベース化されており、投資場所も特定できることから、本データベー
スを用いて、地域的な視点でリアルタイムな経済影響分析及び建設マネジメントに関
する研究等に活用することが考えられる。
50
4
C
市区町村(地域内合算)
政令指定都市(地域内合算)
都道府県(地域内合算)
地方整備局・開発局・総合事務局
人口一人当たり請負金額(円)
O
R
I
3
N
S
負
金
40
人
当
り
C
O
R
2
I
20
額
合
算
口
一
30
請
人
N
S
請
1
負
10
金
(
額
兆
円
(
0
0
北海道 東北
関東
北陸
中部
近畿
中国
四国
九州
万
円
沖縄
)
)
図-12 地域別・発注機関別及び人口1人あたりのCORINS請負金額
-52-
4.CORINSデータベース活用方策研究会からの提言
4.1
CORINSデータベース活用に関する基本的視点
前述のCORINSデータベースの現状及び別途実施したアンケート調査を基に、本研
究会では、現状のCORINSの課題や今後のCORINSの活用方策について、次のような
基本的視点を抽出した。
①
正確で、速い検索、信頼性の向上など、システムの改善が必要
・「検索速度」や「登録から検索可能となるまでのタイムラグ」などの現状の
CORINSの課題に対応し、信頼される効率的なデータベースとするための方策が
必要である。
②
不良不適格業者の排除は、不良不適格技術者の視点が必要
・公共工事の品質確保のためには、適切な技術者評価のための制度及びシステムの
整備が必要である。
③
公共工事の透明性、競争性の向上に資するためには、必要に応じたデータの公
開が必要
・公共工事の入札及び契約の適正化の促進のためには、情報を一般の目に晒すこと
により、不正行為を抑止するとともに、競争性の向上を図り、発注者の説明責任
を果たすことが必要である。
④
新たなニーズに的確に対応したデータベースの展開が必要
・CORINSの従来の目的に加え、「技術者工事経歴データベース」等、新たなニー
ズに的確に対応したデータベースとしての展開が必要である。
⑤
CORINSと他システムとの連携による業務の効率化を図ることが重要
・計画・調査・設計から工事、維持管理の一連のライフサイクルの中で、主として
「工事」の段階において、CORINSと他のシステムとの連携により業務の効率化
を図ることが重要である。
4.2
提言の概要
以上の視点に基づき、本研究会で取りまとめられた提言項目の概要を表-4に示す。
各提言にはその実現に向け、優先順位を分類して提言項目に付している。このうち、
早急に実施を期待するとした項目については、文中に*で示す。
表-4
視点
(1) 信 頼
される
効率的
なデー
タベー
スに向
けて
細目
1)現状シス
テムの改
善
提言の概要(CORINSデータベース活用方策研究会)
活用方策
①検索速度の向上
②収集項目の見直し
及び追加*
③「JACIC NETの自
社検索」の改良*
2)信頼性向
活用方策の詳細
・検索条件指定方法の改善による処理時間の短縮を図る*
・データの分割提供方式の可能性について検討
・通信回線の容量増大を図る
(インターネットに対応したシステム環境*)等
(最適なLAN環境及びサーバ性能の提案*)
・都道府県と複数の市町村との共同利用
(都道府県が利用するCORINSデータベースの共同利用)
・入札参加要件とCORINS登録データの一致を図るために必要
な項目と企業や技術者個人の評価に必要となる項目を追加す
る
・「技術者(カナ)」と「技術データ(高さ、延長数値)」に
よる検索を可能とする
①検索可能までのタイムラグの短縮を図る
-53-
視点
細目
上に向け
た取り組
み
活用方策
② CORINS 登 録 の 簡
略化(建設会社)
③データの信頼性向
上
④市町村への普及促
進
(2)COR
INS デ
ータベ
ース活
用と連
携の展
開方策
1)新たな活
用方策
2)システム
連携に向
けて
3)引き続き
検討すべ
き課題
①技術者工事経歴デ
ータベースの構築*
活用方策の詳細
・マニュアルの見直しを実施する*
・簡素化した入力システムによる受注時登録を検討する
・一般への工事実績情報公開の拡大支援*
・受発注者双方のチェック体制の明確化を図る
・誤記入の防止を推進(発注者管理情報とのシステム連携、訂
正処理事務の効率化)
・市町村の検索システム利用料金の低減を図る*
・市町村支援のための組織化を図る*(公情協に市町村を加え、
意見集約・意思決定を図る組織を提案)
・技術的なシステム支援を実施する*
・CORINS登録義務付けを促進する*(契約図書にCORINS登録
明記の必要性の浸透)
・複数の市町村がサーバ等を共同利用する仕組みを検討する
・公共工事の品質確保のためには、適正な技術者評価の視点が
必要であり、技術者の取得資格、従事工事実績、工事成績評
定などを勘案、評価する仕組みとそれらの情報を集約した技
術者工事経歴データベースの構築が必要である
・技術者工事経歴データベースの構築に向けては以下の項目を
検討する
〔ア)収集項目の検討、イ) 技術者情報の正確性確保、ウ) 過去の
技術者情報の整備、エ) 資格者情報との連携方法、オ) 技術者
情報の共有、カ) 発注監督者の情報の収集、キ) 若年技術者の
情報収集、ク) 下請専門業者および技術者の情報収集、ケ) 個
人情報保護のための対策〕
・ユニットプライス型積算実績データベース構築支援のため、
工事名、工事期間、工種・工法、詳細技術データなどの共通
属性情報の活用方法等の研究を進める
・経済影響分析および建設マネジメントに関する研究等に活用
するため、解析統計情報の公表を進める
②積算技術に資する
データベースとし
ての研究
③経済影響分析等に
資するデータベー
スの研究
① 「 発 注 者 の 記 事 」 ・監督処分情報等の「発注者の記事」を追加する*
等を追加
・「工事成績評定」との連携を図る
② 連 携 、 情 報 共 有 に ・CORINSとPPIとの連携を進める*
よる業務の効率化
・他のシステムとの情報共有を検討する
①新技術(XMLデータベース)の研究
②GISとの連携を検討
③建設会社も活用できるデータベースの検討
④民間工事実績情報データベースの検討
5.おわりに
本文では、 CORINSデータベース の解析結果 例を示し、 研究会から 提言された
CORINSデータベースの新たな活用方策について述べた。
CORINSデータベースは、① リアルタイム情報、② 国及び公団、都道府県、政令市
などの公共工事を網羅、③ 建設投資額や投資した地域や施工場所が特定可能、④ 時系
列による統計解析が可能、⑤ 工事種別等技術データの解析が可能、⑥ 技術者に関する
分析が可能、などの特性を持っており、今後、情報項目の見直し、追加や他のシステム
との連携により、さらなる活用の展開が期待される。特に、技術者工事経歴データベー
スについては、CORINSの特徴を最も活用できる方策の1つであると考えられる。
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