第 2 回横幹連合コンファレンス 2007 年 11 月 29 日,30 日 京都大学 アカデミックロードマップ:制御・管理技術が先導する未来社会 ○三平満司 (東京工業大学) Academic Roadmap in the Field of Systems, Management and Control ∗M. Sampei (Tokyo Institute of Technology) Abstract– In this report, we will show our attempt to draw an academic roadmap in the field of systems, management and control. In our phase 1, we used C-Plan, which is proposed by METI, to draw a roadmap. We found it useful for the communication among different fields of science and engineering, but it is difficult to draw a time-scaled roadmap for transdisciplinary field. We are now trying to draw a roadmap based on specified time-scaled key factors in transdisciplinary field as our Phase 2. Key Words: Academic Roadmap, Systems, Management 1 はじめに ここでは 「制御・管理技術が先導する未来社会」 を初期課題としたロードマップ作成の途中経過につい て報告する.作成グループは以下の学会のメンバーよ り構成されている. 計測自動制御学会(中心学会),日本統計学会 日本経営工学会,日本バイオフィードバック学会 日本人間工学会,リアルオプション学会 日本経営システム学会,システム制御情報学会 日本オペレーションズリサーチ学会 ここでは第 1 フェーズとして経済産業省により推奨さ れている C-Plan に基づいた「異分野融合」を主題とし た議論の経過を中心に報告する.現在は,このとき定 めた主題での時系列を含めたロードマップの作成は困 難であるとの認識から,第 2 フェーズとして時系列の 主軸を「対象(システム)の複雑化」 「制御・管理目標 の多様化」 「センシングの複雑化・多様化」 「その他」と したロードマップを作成中である. 2 第 1 フェーズ:C-Plan と異分野融合 第1段階では横幹連合での事前打合せをもとに以下 の C-Plan を参考にロードマップの作成を目指した. Fig. 1: Scene of Discussion ソフトウエアとしてフリーソフトの IdeaFragment2 (http://nekomimi.la.coocan.jp/lzh/ideafrg2.htm) を 用いた.IdeaFragment の画面をプロジェクタ3画面に 投影し,広い作業空間をメンバー全員で見ながらディ スカッションを行った (Fig. 1). 2.2 ロードマップの作成 横幹連合の目指す分野におけるロードマップは従来 のものと同様になるとは限らず,完成形がどの様にな るか予想の付かない状態からロードマップ作成を始め ることになった.そこで,第1フェーズのロードマッ プを 横幹型のロードマップがどのようなものに なるかを模索することを目的とした 「横幹メンバーが試行的に作成するロードマップ」 テクノロジー・ロードマッピングを方法論とし て活用した異分野技術融合促進のためのディス カッションマニュアル(Ver.1.0)C-Plan, 平成18年6月 経済産業省研究開発課 と位置づけ,C-Plan に示された丸2日間でのロードマッ プの作成を目標とした.そのため,ロードマップ課題 については中心学会の分野にこだわらず,参加学会の メンバーが興味を持てる横幹らしい課題を設定するこ ととした. 本手法は基本的に 2.2.1 課題実現のための技術の協力・融合 参加者全員が議論できるロードマップにふさわしい 課題を設定するため,ブレーンストーミングを行った. メンバーのシーズとニーズを整理した結果, 「安全安心」 を課題としてロードマップを作成することにした.本 課題は計測・制御,経営,統計,人間,システム,管 理など,メンバー関連分野が融合して築いてゆくべき 未来への課題である. を目的とするもので, 「異分野融合」が主題である.こ れに対して今回のロードマップは ・どのような横幹的技術がいつごろ必要となるか ・横幹技術がどのように縦型分野へ波及するか を示すことが目標であるとの考えから,必要に応じて C-Plan の考え方を柔軟に変更して検討することとした. 2.1 環境 C-Plan のほとんどは KJ-法と呼ばれるブレーンス トーミングの手法を中心としている.そこで,KJ-法 を効率的に行うため,KJ-法をパソコン上で実現する 2.2.2 課題設定 ワークショップ1 C-Plan に従い,まず,課題に対する出席者からの 「ウォンツ」の提出, 「ウォンツ」項目のグルーピング と「コンセプト」作りを行った. 「安全安心」に関する 「ウォンツ」を整理するため, 「安全安心」に関する個々 -201- の「不安要素」を整理した結果, 「安全安心」のために はコンセプトとして「安全安心への予防社会」が大切 であるとの結論に至った. 「安全安心への予防社会」を 形成するために考えるべき不安要素は多岐にわたるに もかかわらず,実現すべき対策は 教育,システム設計,計測,情報,予測 の横幹技術が中心課題であり,横幹連合としてのロー ドマップとしては適切なコンセプトであると考える. 2.2.3 ワークショップ 2 C-Plan に従い,採用されたコンセプトを元に,課題 への変換と機能への展開を実施した.ワークショップ 1で整理した不安要素を取り除く技術的対策を機能と して整理した結果, 危機意識の共有,見える化,情報,計測, システム構築 を大きな機能とし,それらの詳細と関係について Fig. 2 のようにまとめた. ෂᯏᗧ⼂䈱 ᢎ⢒䊶⸠✵䊶ᐢႎᵴേ ෂ㒾䈱ᡆૃ㛎 ᖱႎ ቇ⠌ലᨐ ᖱႎ䈱⫾Ⓧ ⸘᷹ ᖱႎ䈱⊒ା ᖱႎ䈱㓸 ᖱႎ䈱વ㆐ 䈋䉎ൻ 䉲䉴䊁䊛᭴▽ ⁁ᴫᛠី น⢻ᕈ䈱੍᷹ 䉮䊮䉶䊒䊃䋺 ోᔃ䈻䈱੍㒐␠ળ 䉲䉴䊁䊛䈱䊨䊋䉴䊃ൻ䌜䊶 ᄙ㊀ൻ䊶䊈䉾䊃䊪䊷䉪ൻ ੍㒐 ੍⍮䊶੍᷹ 㕖Ᏹᘒ䈎䉌䈱࿁ᓳ ੍㒐ో 解決すべき機能と要素技術 (個々の事案で共通し,かつ中心課題となる) を示した Fig. 3 を 横幹技術は対象によって各要素の 実現時期が異なる ことを明記して,第 1 フェーズの結論(あえて時系列 を示していない)とした. 3 第 2 フェーズ:時系列の主軸の選定 第 1 フェーズではゴールとなる課題を中心に C-Plan を実施した.そのため,個々の事案に関しては時系列の ロードマップは描けるものの,横幹技術としてのロード マップを描くことは困難であった.そこで,第 2 フェー ズではロードマップを描く手法を根本的に変えること とした.ここでは横幹技術の進歩に重要な役割を果た す要素を時系列の主軸として選び,それに肉付けする 方法でロードマップを描くこととした.現時点で時系 列の主軸と考えているものは ᖱႎ䈱ಽᨆ 㛎䈱ሽ 因果関係の時間軸は個々の不安要素により異なり,一 律にロードマップを作成できないことが問題となった. 時間軸を含んだロードマップの例として災害の一例で ある「地震」に関するロードマップの作成も試みたが, これは主題とする「安全安心への予防社会」の一例で しかなく,本ロードマップの結果としてはふさわしく ないとの結論に至った.そこで, 「安全安心への予防社 会」のために 対象(システム)の複雑化 制御・管理目標の多様化 センシングの複雑化・多様化 (その他,検討中) ᔃℂ䈱ਇቯൻ㒐ᱛ Fig. 2: Preventive Society for Safety and Security 2.2.4 ワークショップ 3 C-Plan に従い,課題を解決する要素技術を抽出し, 課題を解決する全体システム等をダイヤグラムやイメー ジ図として展開することを目指した. まず,個々の不安事例に関する要素技術をリスト化 し,さらに,それらをワークショップ2でまとめた機能 の観点から整理することにより Fig. 3 を得た. 2.2.5 ワークショップ 4 C-Plan に従い,ワークショップ1∼3の検討結果を もとに,コンセプト・機能を考慮しながら要素技術及び これらの因果関係を時間軸に照らして整理し, 「ロード マップ完成」を試みた.しかし,要素技術とこれらの である.制御・管理分野においては対象となるシステ ムは年々複雑化し,また,目的も多様化している.ま た,得られる情報は年々多くなることが予想され,そ れらを有効に利用することが必要になってくる.そこ でこれら,複雑さ・多様性の度合い(年々増大してい く)を時系列の主軸とし,これらを中心に 予想されるニーズと必要となるシーズ 予想されるシーズと開発されるニーズ (社会への波及) についてまとめていこうとしている.議論は 9 月より 始まったばかりであるので,本原稿には間に合わない が,シンポジウムにおいてその概要を説明したい. ታ䊂䊷䉺䈱䉝䊷䉦䉟 ෂᯏᗧ⼂䈱 ᗵ䈱䊋䊷䉼䊞䊦䊥䉝䊥䊁䉞 䋳䌄㛎 㫄㫀㫏㪼㪻㩷㫉㪼㪸㫃㫀㫋㫐 䉮䊚䊠䊆䊁䉞䈫䈚䈩䈱ᡆૃ㛎 ᡆૃ㛎 ᕟᔺ䈱ౣ ఝవ㗅 ㆱ㔍䉲䊚䊠䊧䊷䉺 ෂ㒾੍⍮ ᖱႎ ෂᯏ▤ℂ䊂䊷䉺䊔䊷䉴䈱᭴▽ ෂ㒾▎ᚲ䈱⊒ ἴኂᤨ䉕⠨ᘦ䈚䈢ᖱႎવ㆐ 䊈䉾䊃䊪䊷䉪䉶䊮䉲䊮䉫 䊝䊋䉟䊦䉣䊷䉳䉢䊮䊃 䊥䉴䉪䈱⸘᷹ ੱᖱႎ䈫ᕈ 䊥䊝䊷䊃䉶䊮䉲䊮䉫 ⸘᷹ ᗵᕈ䈱⸘᷹ 䈋䉎ൻ 䊝䊂䊥䊮䉫 䉲䊚䊠䊧䊷䉲䊢䊮 䊂䊷䉺䊙䉟䊆䊮 䉲䊚䊠䊧䊷䉲䊢䊮䈱䊂䊷䉺䈱 䊂䊷䉺䊙䉟䊆䊮䉫 ↪䊶ㆊᔕ䈱ᓇ㗀 㕖ធ⸅䉶䊮䉲䊮䉫 䊝䊂䊥䊮䉫䈱ᄢⷙᮨൻ䌜䊶 ⶄ㔀ൻ䊶ᄖੂ䊶ਇ⏕ቯᕈ䌜 䊶䉦䉥䉴 䉲䊚䊠䊧䊷䉲䊢䊮䈱䉿䊷䊦䈱 㐿⊒㩿䋺⥄േਗ⸘▚㪀 䈘䉁䈙䉁䈭䉴䉬䊷䊦䈱䌜䊂 䊷䉺䉕⺑䈪䈐䉎䊝䊂䊦 ᮮᐙᛛⴚ䈲ኻ⽎ 䈮䉋䈦䈩ฦⷐ⚛䈱 ᄙ㊀ൻ ᖱႎ䈱ዋᐕൻ 㓸࿅ᔃℂ䈱䉻䉟䊅䊚䉪䉴䈱 ⸃ᨆ䈫ᓮ 䊈䉾䊃䊪䊷䉪ൻ 䉲䉴䊁䊛ᓳᣥ䋨ੱ㑆䈱䋩 䉥䊮䊤䉟䊮ో 䉲䉴䊁䊛᭴▽ Fig. 3: Functions and Elements for Preventive Society -202- ታᤨᦼ䈏⇣䈭䉎
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