「秋田県教育視察 学力日本一の秘密を探る」(胆振 - 北海道小学校長会

北海道小学校長会地区活性化支援事業
秋田県教育視察
‘学力日本一の秘密を探る’
むかわ町立穂別小学校長 片
倉 徳 生
1.視察日時
平成23年1月17日(月)・18日(火)
2.視察校
・大仙市立太田南小学校
・美郷町立千屋小学校
・由利本荘市立西目小学校
3.視察目的
全国調査等の好結果から見られる秋田県の「学力向上のための取組み」について、
2市1町3校の小学校を訪問することにより、学校経営上からその方策を探究する。
4.視察の実際
太田南小学校 小笠原校長から学力向上に向けた取組みは、‘車の四輪駆動にたとえられる’とい
う説明がありました。つまり、
「学校経営」
「授業スタイル」
「家庭・地域の連携」
「教育行政」の四輪
が共にしっかりと機能することで学力も向上する、ということでした。今回、3校を訪問させていた
だきましたが、
『県内どこの学校も実践していること』
『その学校の特色を生かした教育活動を実践し
ていること』の2点が感じられました。
『当たり前のことを当たり前にやる』が秋田県の合言葉ですが、まさに『県内どこの学校も実践し
ていること』は、県教委や市町村教委が中心となり、進められていました。
○学校の教育目標のキーセンテンス化
○学校環境が整然としている
(靴箱、ロッカー、教室)
○全学年で組織的な TT 指導体制
(国や県、市からの加配)
○学校内の掲示物や展示の仕方に統一
感や系統性がある
○ワークショップ型協議会(研修)
学校経営
○あきた型算数授業の展開
終末に評価・練習問題を入れる
○板書とノートが結びついている
○ノート指導の徹底
○組織的な家庭学習の取組み
○学習規律や生活規律を全校で徹底
○子ども一人ひとりを大切にした
ていねいな指導
授業スタイル
学校組織として堅実の機能している
子どもが納得するまで、指導を徹底する
「ともに、最後まで見届けることを徹底する」
「ていねいに教育し、きたえる教育もする」
家庭・地域の連携
○学校支援地域本部の充実
○とても協力的・信頼している
○家庭学習の方法を文章化し、家庭と
学校とが連携して取り組む
(保護者が丸つけ、保護者のサイン)
教育行政
○算数・数学単元評価問題の作成と配信
・単元終了⇒評価問題(10 問程度)⇒結果
分析⇒復習
・単元評価問題をグラフ化
(県平均、市平均、学校平均)
5.各校の概要
(1)大仙市立太田南小学校(児童数145名
学級数7学級(特学1))
① 「連携」をキーワードにした地域社会に開かれた学校づくり『コラボ・スクール』
・夢大きく 思いゆたかに 考えふかく(学校の教育目標)
『コラボ・スクール』
① 国際教養大学との連携協力
異文化交流体験(1・2年)、英語活動(5・6年)
②小中との連携(太田北小、太田南中)
③地域との連携協力(休業中、公民館で太田キッズまなびぃ教室)
④学校支援ボランティア(地域事業所を中心に派遣 100人)
⑤図書館ボランティア(読み聞かせ)
⑥秋田大学教育文化部の先生による出前授業(理科)
⑦家庭との連携(太田南小型家庭学習の手引き発行、保護者も丸つけ)
② 課題解決のための共通実践
ⅰ)「指導のガイドライン」をもとにした教科指導の一層の充実・深化
・
「めあての提示」、「めあてにつながるまとめの提示」
・学習の約束、必要な持ち物、授業の進め方
ⅱ)「フォローアップ強化月間(11月)
」
・12月に県学習状況調査に向けた対策(全職員で)
(6校時、管理職も)
・一人一人のつまずき分析と個に応じたフォローアップ
(全体の底上げと伸びる子を伸ばす指導)
・
「単元テスト」
「フォローアップ問題」
「過去問」
等の徹底した反復実施
ⅲ)学習コーナー等の設置
・算数コーナー、掛け算九九階段の設置
・理科、英語活動コーナー
学力状況調査は4回実施。
・全国学力学習状況 ・県学習状況調査 ・NRT
(2)美郷町立千屋小学校(児童数 228 名
・CRT
9 学級(特学1))
① 学力向上のための具体的対策
ⅰ)学習指導方法の工夫と改善(効果的な TT の展開・少人数学習)
ⅱ)学習形態の工夫(ペア学習・トライアングル学習・グループ
学習等)
・発表の場を多く設定する。
・どの活動で
・
「プラスワンの話し合い活動」~子ども同士の発表や発言を多くする
ⅲ)スキルタイムの充実で基礎学力の定着
・チャレンジ問題(5 月~2 月 月1回 10問 100 点満点で 80 点以上合格 漢字計算)
合格するまで、放課後指導。チャレンジカード
・長期休業中の補充学習
ⅳ)教育環境の整備
・まなびぃロード(廊下に学習ルール、ノートの使い方、家庭学習の工夫、学習コーナー)
ⅴ)幼小中の連携
ⅵ)家庭との連携協力
・年2回の保護者面談の実施(夏休み前:全家庭
冬休み前:希望者)
ⅶ)朝の読書タイムの実施(15分間 地域ボランティア:昔語り、低中高で20回)
ⅷ)学校支援ボランティア(ピアノ、草取り、書写など町で派遣)