水力発電技術事例 第3回 水力発電に関する研究会 平成20年3月7日 1 水力発電技術事例① 【調整池工事おけるIT施工・管理システムの導入】 (工事の合理化、施工精度向上) IT施工のイメージ ※調整池:発電に使用する水を貯めるための小規模な池 3D‐MC(3次元マシンコントロール) システムを搭載したブルドーザの 施工状況 <北海道電力㈱ 2 京極発電所建設工事> 水力発電技術事例② 【立軸バルブ水車の採用】 ◆ 立軸バルブ水車の特徴・効果 ・ 設置スペースの大幅な縮小化 (発電所取水口と直結) ・ 立地条件の制約が少ない (放水方向の任意選択が可) ・ 建設費等の低減(横軸バルブ水車との比較) 建設費 : 約△14% 所要面積 : 約△30% 横軸バルブ水車 立軸バルブ水車 3 <東北電力㈱ 第二上野尻発電所> 水力発電技術事例③ 【高効率ポンプ水車ランナの開発】(スプリッタ型ランナの開発) 長翼と短翼の交互配列により、ランナ翼を従来の6ま たは7枚から10枚に増やすことで、効率を従来ランナ に比べ1.6~4.0% 向上可能とした。 また、ランナに作用する応力及び水圧脈動が半減した。 新型ランナ 従来ランナ 短翼 水流 構造を一新 長翼 (流路出口部) ※ポンプ水車の回転部分の要素で、流水のエネルギーを機械的エネルギーに変換するもの。 4 <東京電力㈱ 神流川発電所> 水力発電技術事例④ 【水圧管路斜坑掘削技術(掘削工程の短縮)】 平成17年12月運開 平成11年12月運開 1工程 2工程 平均月進:71m 全断面TBM パイロットトンネル 切拡げ (6ヶ月,コストダウン約10%) 6.6m 平均月進:52m ※TBM:Tunnel Boring Machine(トンネルボーリングマシン) 10m 50m 全重量:約600t <東京電力㈱ 5 神流川発電所> 水力発電技術事例⑤ 【水圧鉄管用高張力鋼のHT100(鉄管据付工程の短縮)】 ①半割管搬入 半割管 25tトレーラー ②単管製作 (L=3m) ・管が軽くなり、一度に据え付 けられる単位管が長くなった 12m→15m ・管厚が薄くなり、鋼材の使用 量が減った Φ4.6m 3m ③単位管製作(L=15m) ・安全性の向上 ・工期短縮:約4ヶ月 ・コストダウン :約10% 3m 15m ※HT:High Tensile steel(ハイテンシルスチール) 6 <東京電力㈱ 神流川発電所> 水力発電技術事例⑥ 【老朽化水力発電所の改修計画について】 ≪現状≫ ◆最大出力:56,400kW ◆水車発電機:6台 ◆使用水量:270m3/s ≪ 改修後 ≫ ◆最大出力:61,700kW ◆水車発電機:2台 ◆使用水量:270m3/s 改修後 7 <東北電力㈱ 豊実発電所改修計画> 水力発電技術事例⑦ 【ダムの改造により未利用落差の有効利用】 未利用落差( m) 35 従来,設備性能上,利用できなかった落差の有効利用が可能なよう取水方式を変更 <中国電力㈱ 8 新帝釈川発電所再開発工事> 水力発電技術事例⑧(1) 【田子倉発電所4号機一括更新(1)】 ◆ 昭和30年代:大規模水力発電所の開発 ⇒40~50年の維持・運転により電気 設備が老朽化。 ◆ 老朽化設備の対応 ・部分更新:水車ランナ、固定子等、 各部分毎に更新。 ・一括更新:水車・発電機・主要変圧器を 一括で更新。 ◆ 経済的メリット、信頼度向上・建設技術 継承の観点から、田子倉発電所において は一括更新を採用。 9 <電源開発㈱ 田子倉発電所更新工事> 水力発電技術事例⑧(2) 【田子倉発電所4号機一括更新(2)】 工事の特徴と概要 1.ダム・発電所建屋等はそのまま流用。 2.主機4台の内1台ずつ更新。他の3台は通常運転。 3.更新範囲は、水車ランナ・水車本体・入口弁・ 発電機・主要変圧器・制御装置。 4.主機の回転速度の変更、基準有効落差の見直し、 設計技術の向上。 ⇒同一使用水量ながら発電機出力を 95MWから100MWへと増加。 5.ケーシングの外側部分と吸出し管下側部分は 既設品を流用。 10 <電源開発㈱ 田子倉発電所更新工事> 公営電気事業者による水力に係る新技術、コスト低減技術 例 ~金沢市 新内川第二発電所(3,000kW)建設施工時における3つの新技術~ (1)TBMによるトンネル掘削 TBM(トンネル・ボーリング・マシーン)を利用した掘削 工事。在来工法にくらべ、労働災害の防止が図れ、工 期短縮が期待できる。 ヘッドタンク (2)ヘッドタンクの小規模化及び余水路の省略 ヘッドタンクの水位による放流 弁制御にて、ヘッドタンクの小 FRP管を採用(114m) 取水 水圧管路 規模化(容量として通常の約1/5 程度)及び余水路省略を実現。 発電所 水路トンネル TBMにて掘削(約3.4km) 余水路 放流弁 (3)水圧管路にFRP管を採用 水圧鉄管の代替としてFRP管を採用することにより、工期 短縮及びランニングコストの低減が期待できる。11 小規模容量発電所のコストダウン技術 1/2 誘導発電機の採用 同期発電機に比較し約30%の低価格化が図れる 必要により並列時の突入電流を軽減する対策を講じる メリット ・低コスト(同期発電機の約30%の価格低減) ・構造が簡単で保守が容易 ・励磁装置・電圧調整器・速度調整機が不要 ・高回転型機器の採用が可能 速度調整機能の省略(水車) 小容量であり系統周波数の調整が期待できないため 速度調整機能を省略 (簡易型調速機) 機能省略により約30%の低価格化が図れる メリット ・低コスト(省略化により約30%の価格低減) ・調速機の機能,部品の簡略化 ・保守が容易 汎用品の採用 一般産業用として使用されている汎用品を採用する 運転制御装置に一般産業用PLCを採用 メリット ・低コスト(ソフトを自社開発すると約80%の価格低減) ・保守が容易(ソフト変更が容易) 12 ・安定した製品品質 小規模容量発電所のコストダウン技術 2/2 一般市販管の水圧管路等への適合 小水力資源有効活用調査(NEF)にて使用可能 とされている一般市販管を採用する。 (現技術基準では未規定) 硬質塩化ビニル管 ポリエチレン管 耐圧ポリエチレンリブ管 メリット ・低コスト(鋼管比で約75%の価格低減 NEF報告書) ・設置が容易(軽量,ソケット式継手) 取水設備の簡素化 取水えん堤,取水口を簡素化し工事費の低減を図る。 底部取水方式(チロリアン方式) 浸透水取水方式 サイホン管式取水方式 メリット ・設置が容易 ・工事期間の短縮 ・保守対応要員の削減 13 水力発電設備維持・向上への取り組み (大口自家発電施設者懇話会) 1、水車ランナ更新による水車効率の向上と出力UP (形状・材質変更等による) 2、水車ランナ・ライナ類の材質変更・コーティング処理 によるオーバホール周期の延長・コスト削減 3、設備更新に伴う軸受自蔵化・オイルレス化・ブラシ レス化等の推進(各軸受・GV・入口弁・励磁機等)と 発電機の損失低減効率向上 4、水路を含む発電所の総改造・更新による出力増強 14
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