(2) 台湾の現地校との交流学習 台北日本人学校 鉾岩 俊二 1 台北日本人学校の紹介 台北日本人学校は、中華民国(台湾)台北市内の北北東・天母地区にある。昭和 47 年に日本との国交が停止されたため、大使館附属の形から台北市政府教育局より「私 立台北市日僑学校」の名称で許可を受けた日僑協会(台湾日本人会)設立の「台北日 本人学校」となり、現在に至っている。 児童生徒数は、小学部503名、中学部 187名の計690名である。 日本人学校のある天母地区は、日系の デパートが多数ある生活の便利な場所で あり、アメリカンスクールやヨーロピア ンスクールも近くにある、国際色豊かな 治安のよい場所である。 私の担任している5年生の交流につい て紹介する。 2 天母國小との交流 毎年、小学部の高学年は、地元の天母國小と 交流を行っており(昨年度は、新型インフルエ ンザの影響で中止) 、 今年も2日間の交流を行っ た。天母國小は、1学年 12~13クラスある 大規模校である。1日目は、日本人学校のクラ スの半数が、天母國小の各クラスに2、3人ず つ入れてもらい、その代わりに、同じ人数の天 母國小の児童を日本人学校に受け入れた。2日 目は、その逆の体験を行った。天母國小では、 当然であるが、すべて中国語で授業が行われて おり、全くわからない授業を黙って聞いてい辛 さを味わった子がたくさんいたようである。子 どもが感じていた日本の学校との違いは、①す べての教室にプロジェクターとスクリーンが付 いており、 それを利用することが多い。 (写真上) ②ほとんどの先生が、マイクを使って授業をし ている。 (写真中)③昼休みは、遊ばず、お昼寝 の時間がある。 (写真下)などをあげていた。私 も、交流の様子を参観させてもらったが、うわ さには聞いていた「台湾の学校では、昼寝があ る」ということを自分の目で確かめることがで 【下校風景】 きた。ブラインドを閉め、先生も一緒に40分間昼寝をしていた。学級によっては、 選ばれた子どもが、昼寝をチェックしていたり、先生の丸つけの手伝いをしたりして いるところもあった。また、休み時間には、おかしを食べてもよいことになっており、 教室でごく普通に食べている様子が見られた。日本では普通だと思っていることを国 が変わると普通でないことを知ることができる貴重な体験となった。 3 瑞源國小との交流 瑞源國小は、台湾東部の台東県にある小学校 である。瑞源國小の子どもは、アミ族の子ども が多い。 (台湾には、98%の漢人と2%の先住 民が暮らしている。先住民は14種族あって、 アミ族はその中の1つである。 ) 30名の5年生 の児童が電車とバスで4時間かけて、台北日本 人学校を訪問してくれた。内容は、互いの歌や 【瑞源國小の歌とおどり】 踊りを披露した後、テーマごとに5つのグルー プに分かれ、文化の違いを伝え合った。テーマ は、①言葉と学習、②遊び、③食べ物、④衣服、 ⑤物づくりの5つである。 それぞれの学校で、交流に向けてテーマを確 認し、 事前に相手に伝えるための準備を行った。 言葉の通じない相手に、どのように日本の文化 を伝えればよいかをしっかりと考えることがで 【遊びグループ じゃんけん列車】 きた。 ゲームの「だるさんがころんだ」や、 浴衣の着付けなど、よく知っているつもりに なっている事を、実際に教えようとしても、 なかなか難しいことに気付いた子が多かった。 実際に交流してみると、最初は互いに緊張し ていた。グループごとに分かれて一緒に体を動 かしたり、お互いに身振り手振りでコミュニケ 【 だるまさんがころんだ】 ーションをとっていくうちに笑顔が出てきて、 言葉はあまりなくても楽しく過ごすことができ た。 4 まとめ 現地校との交流では、子どもたちは学校で学 習している中国語を、実践の場として使う機会 となり、積極的に話しかけている子もいた。また、 【衣服グループ】 他の文化に触れることによって、初めて、 「日本の文化」について気付かされることが たくさんあった。私自身も、子どもたちと一緒 にいろいろな文化に触れながら、多 様な視点でとらえることのできる「ものさし」を作っていきたいと思う。
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