風水力機械カンパニー - 荏原製作所

事業概要
風 水 力 機 械 カンパニー
風水力機械カンパニープレジデント
鈴木厚郎
積 極 的 にアフター サー ビス事 業 を 展 開
ALL スーパー二相ステンレス製
一 般 工 事 排 水 用 水中ポンプ E Z 型(左)
するエリオットグループ
缶製立型ポンプ
残水排水用水中ポンプ EZQ 型
未利用温水のプロセス蒸気化システム
当期の概要
業においては、案件の管理強化と固定費削減を一層推進し
風水力事業における事業環境は、海外市場において、オイル
ました。
&ガス業界の設備投資は、好調であった2007年度と比べる
当事業の売上高は、為替変動や世界景気の大幅な後退
と世界景気後退や原油価格下落等の要因により減速しました
の 影 響 等により、2007年 度 を下 回りました。しかし、営
が、電力業界の投資は景気後退の影響が比較的少なく、特に
業利益は、為替変動の影響はあったものの、海外調達の推
中国の原子力発電プラント建設は増加しました。国内市場で
進や案件ごとの採算管理の徹底などのコスト削減に努めた
は、民間部門が大幅な景気後退を受け、自動車・素材産業を
結果、増益となりました。
中心に設備投資が停滞し建築着工件数も落ち込みました。一
方、公共部門では、数年来の市場の縮小が収まり安定的に推
市場環境と基本戦略
移しました。
海外市場では、オイル & ガス業界の設備投資は停滞した
このような 状 況において、気体 機 械 事 業 ではオイル & ガ
ものの、電 力業 界や海水淡水化等 への事業の投 資は景 気
ス業界の2007年度から年度前半における積極的な投資
減速の影響が比較的少なく推移しています。国内市場では、
を 受 け 受 注 を 伸 ばしましたが、為 替 の 影 響 によりほぼ
民間部門の投資が上向く時期は不透明ですが、公共部門に
2007年度並となりました。水力機械事業では電力業界向
おいては数年来の市場の縮小が収まり安定的に推移するこ
けは堅調であり、中国の原子力発電所向け等の大型ポンプ
とが見込まれます。
案件を受注しましたが、大型案件の減少や国内市場の設備
このような市場動向の中で、風 水力機械カンパニーは収
投 資 抑制の影 響により全 体としては 2007年度を大幅に
益基盤を確保するため、海外では電力業界や海水淡水化等
下回りました。汎用風水力機械事業は建築着工件数の落込
への事業展開を推進し、国内ではより一層アフター事業を
みの影響により、受注は伸び悩みました。風水力プラント事
強化していきます。
12 株式会社 荏原製作所 アニュアルレポート 2009
今後の課題
し、またこれらを一 体化した事業体制の構築を推 進してい
風 水力事 業では、世界景 気が 後 退し改善 の見 通しが 不
きます。
透明な現在の状況において、受注の大幅な増加を見込むこ
気体 機 械 事 業 では、グループのネットワークを 活用した
とは困難 な 状 況です。そうした中、風 水 力 機 械 カンパニー
グローバル調達を推進し、為替変動の影響を受けにくい事
が着実に収益を上げていくためには、事業ごとに明確な戦
業体制を構築します。また、受注確度向上のため、グループ
略を策定し、遅滞無く実施していく必要があります。
一丸となって案件対応を徹底します。
水力機械事業では、原子力発電、海水淡水化向け等の事
このほか、風 水力プラント事業では、収 益改善策として、
業領域に注力します。そして、富津工場への移転・稼動を確
個別案件の管理の強化を行います。冷熱機械事業では、省
実に進めるとともに、中国などの海 外生 産 拠 点を強化し、
エネルギー型のターボ冷凍機を市場に投入することにより、
富津工場をマザー工場とした生産の水平分業体制を進める
国内製品市場の巻き返しを図り、中国拠点との協業を進め
ことによって、豊富な受 注残 への 確 実な対応・生 産を行っ
グローバル市場への販売を拡大していきます。
ていきます。また、グローバル拠 点 整 備や IT 強 化 などによ
りサービス体制の強化を進め、アフターサービス事業を拡
大していきます。
汎用風 水力機械事業では、中国拠点の生産供給力や機
種別競争力に見合った販売計画とその管理を徹底し、併せ
て中国国内での調達・生産を推進します。また、日本を含む
世界各地の販 売・生 産・物流 拠 点 及びネットワークを強化
EBARA CORPORATION ANNUAL REPORT 2009 13
事業概要
環 境 事 業 カンパニー
環境事業カンパニープレジデント
廣瀬政義
黒 部 市 下 水 道 バイオマスエネルギー 利
刈谷知立環境組合クリーンセンター向け
神 之 池 バイオエネルギー(株)向 け 内 部
活用施設整備運営事業(BTO 方式によ
ストーカ式焼却・灰溶融設備の竣工
循環型流動床ボイラ発電設備の竣工
宮城県阿武隈川下流流域下水道施設を
「指定管理者業務 」として協定締結
るPFI 事業)の受注(図)
当期の概要
削減と業務 改善に成果が見られたため、営業 損 失が改善
エンジニアリング事 業における事 業環 境は、主 力である
しました。
国内公共部門は年度を通じて厳しい競争が続きましたが、
O&M の業務範囲拡大や複数年契約等が増加するなどアフ
市場環境と基本戦略
ターサービス分野の市場は着実に拡大しています。一方、民
2009年度の市場動向は 2008年度後半と同様に厳し
間部門は急激な経済情勢の悪化によりプロジェクトの先送
い状況が継続すると見込まれます。特に民需分野において
りが見られ、企業の設備投資が減退しました。
は極めて厳しい状況が継続すると予想されます。公共事業
その中で「E-Plan 2010」における最重要課題である収
は、国内の社会インフラが既に成熟してきたので新設 EPC
益 基盤再 構築の達 成に向け、前年度に引き続き固定費削
の受注増加はあまり期待できませんが、老朽化した施設の
減と業務改善を実行しました。また、国・地方公共団体にお
大 規 模 更 新 等 の 案件 は 増 加 することが 予 想されます。な
いてPFI 方式(DBO、BOT 等)による発注が拡大し、EPC
お、公共事業の発注時期は、不況対策として例年よりも前
技術とO&M 技術の融合の重要度が更に高まる中、市場環
倒しされると思われます。また、国・地方の財政逼迫や技術
境と顧客ニーズの変化への対応を強化するため、2009年
系職員の不足もあり、施設建設から運転管理・事業運営を
度に水処理、廃棄物処理両事業の再編を行うことを決定し
含めた発注形態となる「官から民への流れ 」が更に増えて
ました。
いくと考えられます。
当事業の売上高は O& M が好調だったため 20 07年度
このような市場環境の変化を踏まえ、環境事業カンパニー
を 上 回りました。営 業 損 益 は、ドイツ・インフラサーブ・プ
は 2009 年度に環境事業の再編を行い、EPCとO&Mと
ロジェクトにおいて工事損 失引当を行ったものの、固定費
いう区分で分かれていた水処理プラント事業及び環境プラ
14 EBARA CORPORATION ANNUAL REPORT 2009
ント事 業 をそれぞれ EP C とO& M を統 合し一 体運営する
て今後の増加が見込まれる、委託契約の包括化や複数年化
会 社へ 再 編します。それにより荏 原の 持つ EP C の 豊富な
にもこの統合による効果を活かしていきます。
納入実績と技術力、O&M の全国サービス網を更に融合さ
また、技術・設計のパッケージ化推進により、業務効率を
せて、市場環境と顧客ニーズの変化に的確に対応していき
改善するとともに、コスト競争力を更に強化します。独自コ
ます。
ンポーネント、ユニット機 器 のラインアップを増やすことに
よって技術力を磨き、製品の付加価値を高めることにより
今後の課題
利益創出力を強化します。
2009年度は厳しい事 業環 境が継続するという認識の
更に主に間接部門における固定費重複部分の圧縮や、主
もと、2007年度より進 めてきた収 益 基 盤 再 構 築 の施 策
に建設技術部門、支店営業部門のリソース配置の適正化を
を更に発展させるとともに、「収益力向上 」に重点をおく諸
進め、経営効率を高めます。経営目標の数値化と、その進
施策を実行します。
捗の計測と共有により、経営管理精度を高めて利益水準の
2009年 度よりスタートする「水 処 理 事 業 会 社 」と「廃
向上を目指します。
棄物処理事業会社 」は、それぞれの事業において EPC から
O&Mまで一貫して実 行できる事 業体となり、事 業 効率の
向 上 を 一 層 図 ることが 可 能 となります。また、これまで
EPCとO&M で分かれていた顧客情報と蓄積したノウハウ
を融合させることにより、顧客ニーズを正確に反映し顧客に
とって魅力溢れる提 案を行い、受注拡大を図ります。加え
EBARA CORPORATION ANNUAL REPORT 2009 15
事業概要
精 密・電 子 事 業 カンパニー
精密・電子事業カンパニープレジデント
中尾幸蔵
CMP(chemical mechanical
ドライ真空ポンプ・排ガス処理装置一体
polishing)装置:
型装置
新型ドライ真空ポンプ EV-Sシリーズ
バンプめっき装置
F ★ REX 300 SⅡ
当期の概要
当事 業の売上高は、市況の低 迷 及び客先からの出荷 延
精密・電子事業における事業環境は、主要市場である半
期要請などにより前年度を下回りました。営業 利益は、固
導 体 業 界 において、2007年 度 後半から続 いている半 導
定 費削減に注 力しましたが 売 上 減 少による損 益 の 悪化を
体製品市況低 迷に加えて、2008年度 後半からは世界景
カバーすることができず、大幅な営業損失を計上しました。
気後退による影響が重なったことにより、設備投資の中断
又は延期が続き、極めて厳しい状況となりました。
市場環境と基本戦略
このような状況において、シリコンサイクルに左右されな
2008年度は世界的な景 気低迷を受けて、主要顧客の
い事業基盤構築のため、客先既存ラインの生産性向上ニー
新規設備 投 資は中断や延 期が続きました。また、10月以
ズの掘り起こしを中心としたアフターサービス事 業の強化
降、顧客の合併・提携などの事業再編の加速や倒産という、
を進めるとともに、人件費の削減、研究開発の絞 込 み、設
半導体製造装置メーカとしては非常に厳しい状況となりま
備投資の抑制、生産ラインの一部操業停止を行い、固定費
した。
削 減に注 力しました。しかしながら、売 上 減 少による損 益
精密・電子事業カンパニーは主力製品の競争力強化を進
の悪化を固定 費の削減ではカバーすることができず、大幅
めていますが、一方で、この厳しい状況に対処するため、パー
な営業損失を計上することとなりました。
トナー社員削減などの固定費削減を進めています。また同
16 株式会社 荏原製作所 アニュアルレポート 2009
時に、シリコンサイクルに左 右されない事 業基盤 の構築も
また、この厳しい状況に対処するため、パートナー社員の
図っています。
削減や生産ラインの一部停止、研究開発テーマの絞込みな
どを中心とした固定費の削減を更に進めていきます。また
今後の課題
同時に、今後成長が見込まれる太陽電池業界に対して、ド
半導体業界は、世界的な景気低迷を受け、今後も顧客の
ライポンプを中心としたコンポーネント製品の拡 販 活動を
新規設備投資の抑制がしばらく続くと予想されます。
行うなど、シリコンサイクルに左 右 されない 事 業 基 盤 の 構
このような 環 境 のもと、精 密・電 子 事 業 カンパニーでは
築も強化していきます。
CMP 装置やドライ真空ポンプなどの主力製品の競争力強
化を進めていくとともに、顧客の工場における既存ラインの
生 産 性向上ニーズの 掘り起こしを中心としたアフターサー
ビス事業を強化していきます。
株式会社 荏原製作所 アニュアルレポート 2009 17