日本標準商品分類番号 874300 薬価基準収載 放射性医薬品・局所脳血流診断薬 処方せん医薬品(注意−医師等の処方せんにより使用すること) 〈放射性医薬品基準塩酸N-イソプロピル-4-ヨードアンフェタミン(123I)注射液〉 製 品 情 報 概 要 目 次 目 次 特 徴 ……………………………………………………… 1 開発の経緯 製品概要 ………………………………………………… 2 ………………………………………………… 2∼3 商品名 一般名 組成・性状等 効能又は効果 用法及び用量 使用上の注意 メジシリンジRKタイプについて…………………………… 4 臨床成績に関する事項 ……………………………………… 5 臨床成績 臨床薬理 臨床例 ……………………………………………………… 6∼7 左頸部内頸動脈狭窄症(一過性脳虚血発作) Alzheimer病 薬物動態 ……………………………………………………… 8 体内動態 吸収線量 非臨床試験/取扱い上の注意/包装/関連情報/引用文献/……… 9 資料請求先 特 徴 放射性医薬品・局所脳血流診断薬 処方せん医薬品(注意−医師等の処方せんにより使用すること) 〈放射性医薬品基準塩酸N-イソプロピル-4-ヨードアンフェタミン(123I)注射液〉 1 鮮明な脳血流シンチグラムが得られます。 2 脳血流障害の診断、治療効果の判定に極めて有用です。 3 無用の被曝が防げ、操作が簡便です。 4 本剤は静注後、高率に脳に取り込まれ、局所脳血流に比例して脳内に分布し、その 初期分布が一定時間保持されるため、鮮明な脳血流シンチグラムが得られます。 本剤を用いたシンチグラフィにより、脳血流障害の部位、範囲の把握が可能で、 X線CTでは検出困難な急性期の脳梗塞をはじめ、様々な病態における局所脳血流の 状態を知ることができ、脳血流障害の診断、治療効果判定に極めて有用です1∼8)。 本剤の包装形態はメジシリンジRKタイプで、シールドに装着する手間が省け術者の 被曝を軽減することができます。また、プランジャーと針を取り付けるだけでその まま投与でき、より操作が簡便です。 副作用 臨床試験及び使用成績調査(全11558例)において副作用が認められた例はありま せんでした(再審査終了時) 。 その他の副作用 頻度不明※ 過敏症 発疹、紅斑状皮疹、小丘疹、注射部発赤、かゆみ 消化器 嘔気 循環器 血圧低下、胸痛 精神神経系 痙攣 ※自発報告につき頻度不明 1 開発の経緯/製品概要 ● 開発の経緯 本剤は、1980年米国メジフィジックス社のWinchellらによって開発された脳血流シンチグラフィ用製剤 である。彼らは40種のヨード標識アミン化合物について、その構造とラットでの脳への集積性について 相関性を検討し、塩酸N-イソプロピル - 4 -ヨードアンフェタミン(123I) (以下、123I-IMP)が最も有望で あることを示し9)、また動物実験によって局所脳血流(rCBF)の評価に123I-IMPが有用との結果を得た10)。 その後、通常のガンマカメラによるrCBFの非侵襲的評価に123I-IMP SPECTが有用との結果1, 2)により、 I-IMPは販売名「パーヒューザミンR注」として1986年4月に製造承認を得た。その後、放射能濃度を 123 3倍にした現規格品の製造承認を1994年3月に得た。 ● 製品概要 商品名 和 名 パーヒューザミンR注 洋 名 PerfusamineR Injectable 和 名 放射性医薬品基準塩酸N-イソプロピル-4-ヨードアンフェタミン(123I)注射液 洋 名 ・N-Isopropyl-4-Iodoamphetamine(123I)Hydrochloride Injection ・Iofetamine(123I)(INN) 一般名 組成・性状等* 本剤は、水性の注射剤で、ヨウ素-123を塩酸N-イソプロピル-4-ヨードアンフェタ ミンの形で含む。 1mL中 塩酸N-イソプロピル-4-ヨードアンフェタミン( 123 I ) (検定日時において) 111MBq 塩酸N-イソプロピル-4-ヨードアンフェタミン 0.45mg アスコルビン酸-リン酸緩衝液 0.34mL, 日本薬局方生理食塩液, pH調整剤2成分 添加物 性 状 pH 浸透圧比 有効成分に関する 理化学的知見* 無色澄明の液 4.0∼7.0 約1(生理食塩液に対する比) 1. 構造式 123 CH3 CH2 CH NH CH HCl CH3 CH3 I 2. 放射性核種の特性(123Iとして) 物 理 的 半 減 期 :13.27時間 主γ線エネルギー:159keV(83.3%) 効能又は効果 局所脳血流シンチグラフィ R:登録商標 2 製品概要 「効能又は効果」 、 「用法及び用量」 、 「使用上の注意」についてはP.2∼3をご参照下さい。 用法及び用量 通常、成人には本剤37∼222MBqを静脈内に注射し、投与後15∼30分後よ り被検部にガンマカメラ等の検出部を向け撮像もしくはデータを収録し、脳血 流シンチグラムを得る。必要に応じて局所脳血流量を求める。 投与量は、年齢、体重により適宜増減する。 使用上の注意 1. 重要な基本的注意 診断上の有益性が被曝による不利益を上回ると判断される場合にのみ投与することと し、投与量は最少限度にとどめること。 2. 副作用 臨床試験及び使用成績調査(全11558例)において副作用が認められた例はなかった (再審査終了時) 。 その他の副作用 頻度不明※ 過敏症 発疹、紅斑状皮疹、小丘疹、注射部発赤、かゆみ 消化器 嘔気 循環器 血圧低下、胸痛 精神神経系 痙攣 ※自発報告につき頻度不明 3. 高齢者への投与 一般に高齢者では生理機能が低下しているので、患者の状態を十分に観察しながら 慎重に投与すること。 4. 妊婦、産婦、授乳婦等への投与 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人及び授乳中の婦人には、原則として投与しな いことが望ましいが、診断上の有益性が被曝による不利益を上回ると判断される場合 にのみ投与すること。 5. 小児等への投与 小児等に対する安全性は確立していない(現在までのところ、十分な臨床成績が 得られていない) 。 6. 適用上の注意 本剤を投与するにあたっては、放射性ヨウ素が甲状腺に摂取されることを防止するた め、投与前から試験後も数日無機ヨウ素1日20mg以上を投与し、甲状腺ヨウ素摂取 能を抑制しておくことが望ましい。 また、膀胱部の被曝を軽減させるため、撮像前後できるだけ患者に水分を摂取させ、 排尿させること。 7. その他の注意 (社)日本アイソトープ協会医学・薬学部会放射性医薬品安全性専門委員会の「放射性 医薬品副作用事例調査報告」において、まれに血管迷走神経反応(動悸、嘔気) 、アレ ルギー 反応(発赤など)があらわれることがあると報告されている。 3 について ● 本体及び付属品 メジシールド キャップ (フリーチョイス) メジシリンジ専用針 メジコンテナ Kタイプ メジシールド Kタイプ メジシリンジ メジシリンジ専用 プランジャー メジニードル メジルアー針 ● 使用方法 1 2 上蓋を外す。(反時計回りに回すと 自然に外れます。) 注意:上蓋を上方に引っ張って 外さないで下さい! セイフティバンドを矢印の 方向に引っ張って切り取る。 注意:上方向には 引 っ張 らな い で 下さい! 3 4 メジシリンジ専用 プランジャーを 取り付ける。 5 メジコンテナKタイプ から取り出す (メジシー ルドキャップを持って 取り出せます)。 先端のゴムキャップを 取り、メジシリンジ専 用針(メジニードル又 はメジルアー針)を取 り付ける。 6 患者に投与する。 ● 取扱い上の注意 1. プランジャーをねじ込む前に、メジシリンジ専用針を取り付けないで下さい。 2. メジシリンジ専用針を取り付ける時に、プランジャーを押し込まないようにして下さい。 3. プランジャーは真っ直ぐに挿し込み、軽くねじ込めば取り付けられます。斜め方向に無理に押し込んだ場合、 ガスケットが変形し薬液が漏れる恐れがありますので、ご注意下さい。 4. メジシリンジ中にごくわずか気泡が含まれている場合があります。注射液を患者に投与してもこの気泡はメジ シリンジ中に残り、患者に投与されることはありませんが、気泡の位置に注意しながら投与して下さい。 ● 使用後の廃棄方法 1. 誤刺に注意して、針を外す。 2. メジシリンジ専用針を取り付ける時に、プランジャーを押し込まないようにして下さい。 3. メジシールドキャップを回して取り外し、シールドからシリンジを抜き廃棄する。 4 臨床成績に関する事項 「効能又は効果」 、 「用法及び用量」 、 「使用上の注意」についてはP.2∼3をご参照下さい。 ● 臨床成績 臨床試験において本剤が有効と報告された適応症は次のとおりである。 脳梗塞(急性期、慢性期) 脳動脈閉塞・狭窄 TIA(一過性脳虚血発作) RIND(可逆性虚血性神経学的脱落症状) 脳内出血 くも膜下出血 モヤモヤ病 脳動静脈奇形 その他 〈臨床試験から得られた情報〉 1. 用法及び用量について ●通常、成人には111MBq投与で良好なシングラムを得られたが、検査に長時間かけられない重篤な患者 には222MBqを投与することによって、より短時間で良好なシンチグラムが得られ有用であった。 ●1 8歳未満の患者には37∼111MBq投与された。 ●撮像はプラナー像のみでもかなりよい成績が得られるが、SPECT装置を用いることにより、プラナー像より 病変の三次元的把握、深在性病変の検出能が優れる。 ●持続採血した末梢動脈血の放射能(オクタノール抽出で脂溶性成分を補正)とガンマカメラで実測した脳 内の放射能を相互較正することにより、局所脳血流値を算出できる6 ,11)。 2. 適用について ●脳血流障害の部位、広がりの把握に有効である。 ●X線CT像では異常が現れない早期の脳血流障害の検出に有効である。 ●X線CT像の低吸収域では説明できない神経症状の責任病巣の検出に有効である。 ●X線CT像の低吸収域周辺における回復可能な低血流域を検出できるため、外科的手術適応の決定や術後の 評価に有効である。 ●X線CT像では現れないLuxury perfusionやcrossed cerebellar diaschisisなどの遠隔効果(remote effect)を検出でき、病態把握に有効である。 ●病巣が小病変、 又は脳深部に存在するものは、機器の分解能により検出困難なこともあるが、この場合においても、 他の部位の血流変化の評価は可能であり、臨床的意義を低下させるものではない。 ● 臨床薬理9) 本剤の脳への集積機序は、脳内での血管内/脳実質組織のpH勾配、脂質/水分配係数並びに脳及び脳内毛細血管 内膜に局在する相対的非特異的な高容量アミン結合部位への親和性などの作用が複合しているのであろうといわ れている。 5 臨床例 ● 左頸部内頸動脈狭窄症(一過性脳虚血発作) (59歳、男性)12) 軽作業中に突然右上下肢にしびれ感と脱力が生じたが、5∼10分間で回復した。入院時には神経脱落症状は認め ず、右頸部にbruitが聴取された。脳血管造影にて、左頸部内頸動脈に高度の狭窄所見を認め、発作2週間後に左 内頸動脈内膜剥離術が施行された。術後経過は良好で新たな脳虚血発作はみられていない。 術 後 術 前 脳血管造影像 術前の左内頸動脈造影では、左頸部内頸動 脈起始部に高度の狭窄所見が認められる (左図)とともに、左中大脳動脈頭頂枝及び 側頭枝の造影遅延が認められた。術後、左 頸部内頸動脈の狭窄は消失し、中大脳動脈 分枝の造影遅延は消失し正常となった。 側面像 正面像 正面像 CT像 CT上は左大脳半球には、明らかな低吸収域 は認められなかった。 123 I-IMP SPECT像 術 前:左頸部内頸動脈内膜剥離術前では、左前 頭・側頭・頭頂葉に無症候性の低灌流域が 認められた。 術後2週:術後2週目では、術前にみられた低灌流状 態が明らかに改善していた。 解 説 本例のように、頸部内頸動脈に強い狭窄を有するTIA症例では、発作消失後も、CT上脳梗塞のみられ ない領域にSPECT上無症候性の低灌流域が持続する場合がある。こうした低灌流域は内膜剥離術後ほ ぼ消失することから、その出現機序としては同領域の脳灌流圧の低下がTIA後においても持続すること によると考えることができる。術前のSPECT所見のみでは微小塞栓(microembolism)による末梢動 脈の閉塞の可能性も否定できないが、術前のSPECT所見と脳血管造影所見より本例のTIAの発現機序 は主として脳循環不全(hemodynamic crisis)によるものであったと考えられた。 6 臨床例 ● Alzheimer病(52歳、男性)13) 50歳頃より物忘れ、計算力の低下が目立つようになり、徐々に進行している。高度の視覚構成障害がみられるが、 失語は明らかでない。 123 I-IMP SPECT像 両側頭頂葉連合野及び側頭葉連合野に高度の集積低下がみられ、 同部位での血流低下があると考えられる。一方、前頭葉、後頭 葉、視床、基底核の血流は比較的保たれている。 CT像 正常所見である。 MRI像 正常所見である。 解 説 Alzheimer病では、CTやMRIで形態学的変化が現れる以前に、すでに生理的、生化学的変化がはじまって おり、123I-IMP SPECTでは、こうした病初期の変化を鋭敏に捉えることができるものと考えられる。 7 薬物動態 ● 体内動態14) 〈分 布〉 健常成人男性(1例)に本剤111MBqを静注し、ガンマカメラを用いて計測し、脳、肺、肝及び全身について 時間-放射能曲線を作成した(下図) 。 肺へは、投与後40秒で投与量の48%が集積し、以後、急速に減少して30分で20.3%となった。肝臓へは 投与後30分で投与量の9.5%が集積し、1.5時間でプラトー(14.7%)に達した後、生物学的半減期35時間 で減少した。脳へは、投与後1.5時間で投与量の8.5%が集積し、その有効半減期は7.8時間及び16.4時間 の2相性であった。 相対 カウント 脳 肝 肺 全身 300,000 全身 200,000 100,000 肺 肝 脳 5 10 20 30 40 50 60 投与後経過時間(時間) 脳、肺、肝及び全身における時間-放射能曲線 〈排 泄〉 尿中への累積排泄率は、0∼6時間で投与量の1.6%、0∼24時間で27.9%であった。 1.5時間後8.5% 以後緩やかに減少 (有効半減期7.8時間) 脳 静脈内投与 血液中 肝臓 腎臓 30分後 9.5% (尿中排泄) 6時間で 1.6% 24時間で27.9% 肺 40秒後48% 30分後20.3% ● 吸収線量 (MIRD法により算出) 脳 0.84 肺 1.60 肝 臓 1.76 腎 臓 0.46 膀 胱 壁 5.66 甲 状 腺 0.19 精 巣 0.29 卵 巣 0.44 赤色骨髄 0.42 全 身 0.38 123 (ただし、 mGy/37MBq Iを100%として算出した。 ) 8 非臨床試験/取扱い上の注意/包装/関連情報/引用文献/資料請求先 ● 非臨床試験ー急性毒性ー 1. LD50値 種 性別 LD50値(mg/kg) マウスCF-1系 雄 雌 82 94 ラットCD系 雄 雌 46 マウス及びラットの静脈内に塩酸N-イソプピル4-ヨードアンフェタミンを投与して得たLD50値 は右表のとおりであった。 2. 安全性確認試験 マウス及びラットに本剤の成人に対する通常投与量(dose/kg)のそれぞれ1000倍、200倍を投与したが、 いずれも一般症状、剖検所見等について何ら異常を認めず、体重増加率については対照群(生理食塩液を同量 投与)との間に有意差は認められなかった。 ● 取扱い上の注意 〈規制区分〉 処方せん医薬品 注意ー医師等の処方せんにより使用すること。 〈貯 法〉 室温、遮光保存 〈有効期間〉 検定日時から24時間(ラベルに記載) ● 包装 111MBq 、148MBq 、167MBq、185MBq、222MBq ● 関連情報 薬 価 基 準 収 載 年 月 日 1986年6月19日 承 認 年 月 日 ・ 番 号* 承認:1986年4月30日・(61AM)第3225号 代替新規承認:1994年3月7日・ 20600AMZ00274000 (高濃度化) 承認事項一部変更承認:2003年5月9日 〔包装単位(148MBq・185MBqの追加)〕 販 原承認品:1986年8月4日 現規格品:1994年4月4日 売 開 始 年 月 日 再 審 査 結 果 公 表 年 月 日 再審査終了(1994年9月8日付再審査結果通知(61)第55号) 薬価基準収載医薬品コード 4300431A1021 ● 引用文献 11) Hill TC, et al:J Nucl Med 23:191-195, 1982 12) Kuhl DE, et al:J Nucl Med23:196-203, 1982 13) 松田博史, 他:核医学 21:1587-1596, 1984 14) 松田博史, 他:核医学 22:9 -18, 1985 15) 田崎義昭:脳卒中 6:269-275, 1984 16) 塩崎 宏, 他:核医学 22:229-232, 1985 17) 塩崎 宏, 他:核医学 22:449-458, 1985 18) 比嘉敏明, 他:核医学 22:415-421, 1985 19) Winchell HS, et al:J Nucl Med 21:940-946, 1980 10) Winchell HS, et al:J Nucl Med 21:947-952, 1980 11) 犬上 篤, 他:医学のあゆみ134:53-57, 1985 12) 上村和夫(編):脳のSPECT(機能画像のよみ方・使い方), 南江堂 , 1999, p94-95 13) 百瀬敏光,他:核医学 26:1177-1191, 1989 14) 関 宏恭,他:金沢大学十全医学会雑誌95:279-294, 1986 ● 資料請求先 日本メジフィジックス株式会社 営業業務部 〒661-0976 兵庫県尼崎市潮江1丁目2番6号 0120-076941(フリーダイアル ) 9 〒136-0075 東京都江東区新砂3丁目4番10号 電話(03)5634-7006(代表) http: //www.nmp.co.jp/ 2012.10 改訂 SJG -1210-G03
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