半中空トリエチニルホスフィンの配位子効果に基づく アルキン連結シリルエノールエーテルの金触媒8-エキソ環化反応 Gold-catalyzed 8-Exo-Dig Cyclization of Acetylene-Tethered Silyl Enol Ethers Based on Ligand Effect of Semihollow-Shaped Triethynylphosphines 大河内妃織・岩井智弘・澤村正也(北大理) 中員環化合物は生理活性天然物や医薬品に幅広く見られることから、その効率的合成法の開発 は重要である。しかし、単純な環化による合成は、環化反応における大きなエントロピー負荷や 渡環相互作用のため容易ではない。以前我々は、嵩高いケイ素置換基を分子周辺部に導入した半 中空トリエチニルホスフィン(Si-dtbm)を開発し、金触媒アルキン環化反応において著しい反応 加速効果が発現することを見出している 1)。リン原子上部に形成される巨大な規制空間内におい て、鎖状基質が折れたたまれ、反応点同士の近接効果が得られることによるものと考えられる。 今回我々は、従来のトリアリールシリル基に代えて、トリチル型置換基を持つ半中空トリエチ ニルホスフィン(C-dtbm)を用いることにより、アルキニルシリルエノールエーテルの金触媒環 化反応が効率良く進行し、8員環カルボサイクルが得られることを見出した 2)。触媒量のカチオ ン性金錯体 Au(NTf2)(C-dtbm)と一当量のアルコール存在下、アルキニルシリルエノールエーテル (1a)が 8-exo-dig の様式で環化し、8員環を含む縮環生成物 2a が高収率で得られた。一般的な 単座ホスフィンや Si-dtbm を配位子として用いると、2a はほとんど生成しない。さらに本触媒系 は、鎖状基質(1b)を用いた単環式8員環化合物(2b)の合成にも適用可能である。C-dtbm は Si-dtbm よりも小さなキャビティーを有しており、よりコンパクトに基質を折りたたむことがで き、より効果的な環化を誘起していると考えられる。 MeO X tBu P C C C C C X MeO tBu OMe tBu tBu 1a TBSO MeO Ph tBu tBu Au(NTf2)(C-dtbm) (5.0 mol%) tBuOH (1.0 eq) 1b <参考文献> 1) Ochida, A.; Ito, H.; Sawamura, M. J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 16486. 2) Iwai, T.; Okochi, H.; Ito, H.; Sawamura, M. Angew. Chem. Int. Ed. 2013, 52, 4239. 発表者紹介 大河内 妃織(おおこうち 所属 北海道大学大学院総合化学院 学年 修士 2 年 研究室 有機金属化学研究室 O CO2Et O CO2Me Ph MS 4A, DCE 85 ºC, 1 h C-dtbm (X = C), Si-dtbm (X = Si) 氏名 H 2a 83% CO2Me OMe tBu tBu MS 4A, DCE 85 ºC, 1 h CO2Et OMe tBu OTBS tBu X C DTBM tBu Au(NTf2)(C-dtbm) (5.0 mol%) MeOH (1.0 eq) OMe tBu tBu tBu MeO tBu tBu ひおり) 2b 66%
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