< 研究室・実践プロジェクトテーマ紹介 > 2011 年 11 月 26 辻 秀一 1.研究室の研究テーマ:「M2Mシステム」とその応用に関する研究 近年、通信やコンピュータ技術の進歩は著しく、携帯端末や IC カードなどを含めてネ ットワークサービスの拡大や展開がなされています。また最近では、遠隔から機器状態、 人間状況や環境状況を自動的にわかりやすくモニターして制御や判断の支援を行う、 M2M(Machine to Machine)システムの考え方が注目を浴びています。この M2M システ ムにおいて中核の役割を担うのは、センサデバイス、無線ネットワークおよび組込みソフ トウェアから成るセンサネットワークシステムです。 個別の研究テーマは以下のようです。 (1)Arduino を用いた屋内位置情報検出方式の研究 GPS などを用いた屋外位置情報サービスは既に行われているが、オフイスや一般家庭に おける屋内位置情報提供サービスは少ない。そこで本研究では、無線センサネットワーク (Zigbee*)と M2M 構築環境(Arduino*)を用いた屋内位置情報検出方式の研究を行って いる。これによりオフィスでの省エネ照明管理や在宅医療・介護での効果的な見守り支援 が可能となる。 具体的には以下の2つの方式を検討している。 ・Arduino と焦電赤外線センサ、圧力センサおよび Zigbee を用いて位置情報検出を行う。 ・Arduino と複数の ZigBee 装置を用いて、Zigbee の電波強度により位置情報検出を行う。 *ZigBee 規格:IEEE802.15.4 、周波数帯 2.4GHz の無線通信機能 *Arduino:入出力ポートを備えたコンピュータ基板と、Processing 言語を実装したもの (2)温度センサを用いた扇風機の自動風量調節方式の研究 従来、今まで扇風機は手動またはリモコンを介して風量や風質を調節していたが、自動 風量調節システムを導入することで、人にやさしい温度を提供し快適な室内環境実現する ことが可能になる。この自動風量調節システムは、室内外に複数の温度センサと Zigbee 装置を設置し、Arduino を用いて温度情報を収集・解析して、自動風量調節を行う。 (3)IC カードを用いた安否確認方式の研究 東日本大震災等の災害時には各地では通信が繋がらない状態となった。特に仕事・通学 に出ている外出者と家族の連絡がつかず、安否確認ができないケースが存在した。そこで、 自分の安否情報を発信し、外部から家族の安否を確認することができる「IC カードを利用 した安否確認方法」を研究する。 (4)在宅医療センサネットワークシステムの研究 この研究では、センサネットワークシステムを用いて、各種の環境情報を収集して環境 状況の判断を行って制御指示を与えることができるものです。図1に示すように各種の患 者情報を収集して患者状況を判断し病院へ転送・報告するものです。これを実現するため に、センサと無線ネットワークの接続方式および患者コンテキスト情報を用いた状況判断 方式を研究しています。 図1 在宅医療センサネットワークシステムのシステム構成 2.実践プロジェクトテーマ 実践プロジェクトの研究テーマは、「M2M システムとその応用に関する研究」となり ます。具体的には、以下のテーマのいずれかまたはその他の希望テーマとなります。 (1)Arduino を用いた屋内位置情報検出方式の研究 (2)温度センサを用いた扇風機の自動風量調節方式の研究 (3)IC カードを用いた安否確認方式の研究 (4)在宅医療センサネットワークシステムの研究 また、実践プロジェクトでは、研究活動の準備として、M2M システムやセンサネット ワークシステムに関する以下の基礎的な勉強や実験を行います。 ・無線通信方式 ZigBee の規格(IEEE802.15.4 規格)の勉強 ・Arduino 環境の利用実験 ・Arduino 環境を用いたセンサ情報収集実験 ・位置情報検出アルゴリズムの勉強 ・センサ情報利用のためのクラウドコンピューティング環境の勉強 以上
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