お風呂に浮かべる ワイヤレス見守りセンサ

特集*加速度センサ応用製作への誘い
第 2 章 水面の揺れ方や水位から
入浴者の健康状態を ZigBee で遠隔モニタ!
お風呂に浮かべる
ワイヤレス見守りセンサ
操田 浩之
Hiroyuki Gurita
● 浴室内の事故の件数は交通事故を上回る
インターネットで調べたところ,入浴中の事故で亡
お風呂の浴槽内に人が入っている場合は人が動くこ
とで常に水面は揺れていると考えられます.しかし長
くなられる方は交通事故で亡くなられる方の約 1.5 倍
時間揺れていない場合は浴槽内に人がいないか,事故
で年間約 1 万人以上,そのうち約半分は浴槽内での事
故によるものだそうです.プライバシの問題で浴室内
が起きた可能性があります.
に監視カメラを設置できませんが,事故防止のために
はなんらかのセンサで監視する必要があると思います.
追加工事をすることなく,簡単に状況判断できるもの
として水面の揺れに着目しました.
ZigBee通信
通信
モジュール
ZIG−100B
ZIG−100B設
定用のリセッ
ト・ボタン
USB−Bコネクタ
コネクタ
お風呂の見守りセンサ
(加速度検出& ZigBee
通信モジュール)
ZigBeeアダプタ
基板
パソコン
USB
シリアル−USB変換IC
写真 2 ZigBee アダプタ基板(受信側)
お風呂の見守りセンサから ZigBee で加速度データを受信し,USB でパ
ソコンに加速度の検出データを表示する
図 1 お風呂の見守りセンサの使用例
電池ボックス
(単4型オキシライド電池×2本)
(単4型オキシライド電池×
型オキシライド電池×2本)
中に基板を
入れる
本誌2007年8月号
付録基板
ZigBee通信モジュール
通信モジュール
(a)基板はプラスチック・ケースに入れて防水する
3軸加速度センサ基板
軸加速度センサ基板
(b)内部
写真 1 加速度センサのデータを ZigBee で送信するお風呂の見守りセンサ
2007 年 12 月号
(つづき)代表値のグラフを参照するか,実際に測定します.単位が
m/s2,V, g などの場合は動作温度範囲の最悪値の規定となります.
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使い方
実験結果
● 入浴者の動きと X /Y/Z 軸の加速度変化
● 構成
図 3 に実験結果を示します.
浴槽に浮かべ,水面の波の変化を無線+電池駆動で
リアルタイムに検出し,別室に送信します.製作した
基板は送信用と受信用です.製作したお風呂の見守り
入浴中の人が動いているときと,静止しているとき
とでは信号の変化の仕方が違います.入浴者が動いて
センサ(送信側)を写真 1 に,ZigBee アダプタ基板(受
信側)を写真 2 に示します.図 2 に構成を示します.
いるときは,上下の Z 軸の揺れに加え,前後の Y 軸お
よび左右の X 軸も揺れるようです.
加速度センサを搭載したお風呂の見守りセンサを浴
槽に浮かべておきます.水面の波による揺れを加速度
センサで検出し,無線(ZigBee)で ZigBee アダプタ基
● 水位の変化を加速度センサの傾きで検出する
図 4 に示すように,お風呂の見守りセンサ(3 軸加
板に送ります.
ZigBee アダプタ基板で受け取ったデータはパソコ
速度センサ& ZigBee 通信モジュール)におもりをつけ
て重心をずらし,水位の上昇/下降に伴って加速度セ
ンで表示し,グラフから水面の波の揺れを確認します.
ンサの傾きが変わるようにします.水位の低いときと
長時間揺れがない場合は入浴者に声をかけるなどして
事故がないか確認します.
高いときの傾きをあらかじめ測定しておくことで水位
を検出できます.Y 軸方向の傾きの変動により,水位
の変化を検出した結果を図 5 に示します.
キー・パーツ
製作した回路を図 6 に示します.
基板はプリント基板加工機を使いました.従来のエ
ッチング処理によるプリント・パターンの製作とは異
X軸
3軸
本誌2007年8月号 TX
Y軸
加速度センサ
付録dsPI C基板
RX
KXM52-1050 Z 軸 (dsPIC30F2012)
ZigBee通信
モジュール
ZIG-100B
なり,銅箔部分をドリルで削り出してパターンを作り
ます.溶剤の処理などが不要で手軽に試作できます.
■ お風呂の見守りセンサ
乾電池
(単 4 オキシ
ライド× 2 本)
● 加速度センサ
(a)お風呂の見守りセンサブロック図
ZigBee通信
モジュール
ZIG-100B
RX
TX
USB-シリアル
変換I C
FT232RL
USB
多くの 3 軸加速度センサは,端子がない DFN や
QFN パッケージなどで供給されています.そのまま
でははんだ付けしにくいのですが,基板に取り付けら
パソコン
れたモジュールが販売されています.センサを実装し
た基板のピンにより,センサが不要な振動を拾うこと
(b)ZigBeeアダプタ基板ブロック図
もあるようですが,使い勝手を優先し,モジュールか
−2.5 g
加速度(フルスケール±2.5g )
加速度(フルスケール±2.5g )
図 2 お風呂の見守りセンサと ZigBee アダプタ基板の構成
Z 軸(1 g )
X 軸,Y 軸
3軸ともほとんど揺れ
を検出していない
時間(フルスケール10s)
Z軸
X 軸,Y 軸
−2.5 g
(a)水面の揺れがない場合
時間(フルスケール10s)
(b)水面に揺れがある場合
図 3 お風呂の見守りセンサを浴槽に浮かべたときの 3 軸加速度の変化
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感度(sensitivity)TC[%/℃]Z感度の温度係数です.必ずしも温度に対
し直線的には変化しないので,代表値のグラフを参照するか,サンプルで
評価します.単位が%の場合は動作温度範囲の最悪値の規定となります.
2007 年 12 月号