40眼カメラとCT法による乱流予混合火炎反応領域形状の三次元計測

ProceedingsoftheTED−Conf:03,JSME
40眼カメラとCT法による舌儲汗・混合火炎反応蘭域形状の三次元計測法
NewThree−DimensionalMeasurementTechniqueusingMulti−LensCameraandCTmethod
○正 石野 洋二郎(名工大)
学 藤井 健史(名工大院)
正 大岩 紀生 (名工大)
YqjiroISHINO,TakeshiFUJIIandNori00HIWA,NagoyaInstituteofTeclm0logy,Gokiso,Showa−ku,Nagoya
AnoveltechniqueisproposedfbrmeasurlnganinstantaneOuSSPatialreactionzonepronleoftu血lent
premixednames・Theteclmiqueisrealizedbycombiningmulti−lens−CameraPhotographywithcomputer
tomography・The techniqueis developed by uslng a maXimumlikelihood−eXpeCtation maximization
(ML−EM)methodforCTanalysis.Tbree−dimensionalreactionzonepronlesoftud)ulentpremixedflameSare
reconstruCtedusingtheproposedteclmique・Itisshownthatcomplexthinreactionzoneprofileswithflame
extinctionaresllCCeSSfu11yrecoIIStnlCted,indicatingextremeusefulnessoftheproposedtechniqueinstudying
turbulentflamestruCture.
KqJWbrds:旭IentFlame,ReactionZone,3D−CT,ML−EM,MultiLensCamera,3DMeasurement
1.緒 言
本研究ではこれまでに,40個のレンズを有する多眼カメ
ラとCT解析を組合わせた,乱流火炎の瞬間三次元形状の
新計測手法(多眼カメラCT法)を提案してきた(1,2).本報
では,MI.EM法(3)による高精度な画像再構成結果を報告す
る.また無限遠撮影近似による誤差にも言及する.
PRESTOおよび1600PRESTO)が装填される.露光制御
は,火炎自発光撮影時は全レンズ正面を同時通過する幅
5mmのスリット(露光時間:1.2ms),また,トレーサー
粒子撮影時には,フラッシュ光照射(0.1ms)により行う.
2.2.2 画像処理 撮影後のフイルムは標準現像され,デ
ジタルカメラ(ニコンDl,標準ガンマ値)でデジタル画
像データ化される.この画像データは,明暗反転,ネガベ
2.計測方法および計測装置
ース透過度補正,ゴミ像除去が施され,輝度情報としてCT
2.1多眼カメラCT法
解析に用いられる.ただし,光量確保のためラジカル光限
本研究で提案する手法の説明図を図1に示す.観測領域
定採光のための光学フィルターは使用していない.また,
フイルム露光特性の非線形性は未補正である.
には,乱流予混合火炎を設置し,40方向からの同時撮影を
行い,40枚の二次元画像(図1中No.1∼No.40)を獲得
2.2.3 高速度撮影 本実験では,多眼カメラ撮影時前後
する.この各画像の同一垂直位置情報に対しCT法を適用
の乱流火炎の挙動把握のため,No.33レンズの反対方向か
し,その水平断面での輝度分布を再構成する.その水平断
ら高速度ビデオカメラ(500伽S)により高速度撮影を行う.
面再構成画像を高さ方向に積み重ね,観測領域全体の瞬間
2.3 CT画像解析
三次元輝度分布を獲得する.火炎ラジカル発光輝度は反応
2.3.1解析手法 本報では,多方向同時撮影された画像
速度に比例する(4)ため,三次元反応速度分布が得られる.
が,無限遠方から撮影されたと仮定し(無限遠方撮影近似),
2.2 多方向同時撮影
解析を行う.解析手法には,CT解析で通常用いられるフ
2.2.1多眼カメラ 多眼カメラ(図2)には40個の小
ィルタード・バックプロジェクション(FBP)法ではなく,最
型カメラ用レンズ(5群7枚,焦点距離30mm,F3.5,前玉直
尤推定期待値最大化法(MLEM法)(3)を採用する.MLEM法
径10mm)が4.5度間隔で
は,CT解析において投影輝度データを逆
半周にわたり装着され,カ
投影する際に,他方向からの輝度を考慮し,
メラの周囲に35mm銀塩フ
逆投影ビームの奥行き方向に投影輝度デ
イルム(フジネオパン400
ータ値を配分する方法である.予備実験の
結果,MLEM法はFBP法より格段に優れ
た解析精度を有することが判った.
MLEM法の反復回数は8回とした.
2.3.2解析データ 対象データは40枚
の380×550画素画像データであり,CT
解析の結果,550枚の380×380画素の水
平断面輝度画像を得る.演算は,Pentium4
(1.7GHz)CPUのパソコンで約12時間で
終了する.本解析における最小分解能は
Fig.l Schematic diagram of
0.12mmである.
PrOpOSedtechnique Fig・3Imagestakenbyahigh−SPeedcamera
2.4 計測対象
2.4.1 乱流予混合火炎 バーナーは,
多眼カメラの中心軸に同軸に上向きに設
置した,外径16mm,内径14mmの円管
(長さ750mm)である.バーナー上端位
置は,多眼カメラのレンズ高さから下方
20mmである.乱流火炎の設定条件は,
Fig.4Picturestakensimultantaneously
Fig.2Multi−1enscamerauSed
byamulti−1enscamera
Copyright◎2003bytheJapanSocietyofMechanicalEngineers
Fig.5Horizontalcross−SeCtionaldistriblltions
Fig.7Verticalcross−SeCtionaldistributions
プロパン燃料流量0.9L/min,空気流量15IJmin,当量比
1.43,平均流速1.7m/Sである.火炎発光強度および火炎形
状から判断して若干過渡側に設定した.レイノルズ数は
1526であるが,バーナー端上流80mmに設置される乱流
格子により乱れ強さ0.093m/Sの乱流となっている.
2.4.2 トレーサー粒子を含む噴流 ノズルは前述の円管
を使用した.空気流は平均流速1.7m/Sである.トレーサ
ー粒子は平均粒径150I⊥mのPET粉末を用いた.
3.結果および考察
3.1乱流火炎
はじめに計測対象乱流火炎の挙動を図3の高速度写真か
ら把握する.図中の数値は多眼カメラ撮影時刻(Oms,同
期用ストロボ照明あり)からの経過時間を表す.図3から,
火炎基部以外では形状が複雑に変化しており乱流火炎であ
ることが判る.多眼撮影時刻直前(−4ms,−3ms)には火炎は
右方向に移動する.高速度撮影の撮影方向(No.33レンズ
の逆方向)を考慮すれば,反応領域分布がNo.13レンズ方
向に偏位していることが
予測される.
図4に多眼カメラで同
時撮影された火炎画像を
抜粋して掲げる.この一連
の写真からは,暗い縦スジ
の位置関係など詳細な火
炎の三次元形状は不明で
あり,以下に記述するCT
解析結果を待たなければ
ならない.
Fig.6ReconstruCtedimage piled
CT解析結果の例を図5
uptheCT−reSultsindicatedinBg・5
に示す.各図中の白線は,
対応する断面画像を表す.
また水平断面画像(550枚)を積み上げ正面遠方からの映
像を再構成した擬似写真を図6に示す.この映像は,No.20
レンズによる写真(図4)とよく一致する.
図5から,火炎輝度の水平断面分布が明瞭に再現されて
いることが判る.例えば,火炎基底部の輝度分布(図5(i))
では,反応領域が非常に薄い円周形であることが容易に判
断できる.反応帯厚さは3ピクセル(=0.36mm.半値幅)
程度に納まっている.図5(C)∼(のでにおいて,既燃側に凸
の先端領域で輝度が著しく低下し,この領域での消炎が容
易に判断できることが非常に興味深い.さらに,この凸領
域が,棒の先端のような三次元的凸領域ではなく,紙を曲
げたような凸領域であることも,瞬間三次元計測では判断
できるので,乱流火炎構造の解析にとって本計測手法が非
常に有用であることが示される.一方,図5では,火炎面
内側に輝度のにじみが認められる.これは輝度情報の変換
過程でのガンマ補正未処理に由来する.このにじみを抑え
るようにガンマ補正を行う処理も検討に値する.
図7に鉛直断面の輝度分布(図6中,白線1∼7)を示す.
輝度分布はほぼ適切に表現されているが,上部で反応帯の
幅が広がっている.これは,火炎面が水平となる領域では,
不十分なシャッター速度の場合,流されて露出されている
ことに起因する.
3.2 トレーサー粒子による位置精度の検討
トレーサー粒子を含む空気噴流の多眼カメラCT解析結
果を,正面遠方からの擬似的写
真として図8に示す.点像であ
るはずの粒子像は上部および
下部で長く伸び,中程度の高さ
でも画像両端で,再現性が低下
する傾向がみられる.これらの
再現性の低下は,CT解析にお
ける無限遠撮影近似に起因す
る.本報のように二次元CT解
析結果を積み重ねるのではな
く,全領域を三次元的にCT解
析することが望ましい.
文 献
(1)石野ら,機構論No.01−1,
Vol.Ⅱ(2001),297.
(2)石野ら,第40回燃焼シン
ポ講演論文集(2002),199.
(3)横井,第40回核医学分科
会基礎講座(2001),523.
(4)Hurle,Ⅰ.R.,etal.,h∝Rpyal
S∝.bnd.,A303(1968),409.
Fig.$ CT−reCOnStruCted
imageofparticle
Copyright◎2003bytheJapanSocietyofMechanicalEngineers