1.34MB - 三愛石油

社員CSR 地震対策を考える
座談会
エネルギーを取り扱う
企業の社会的役割
テーマ
01
宮城県で東日本大震災を体験した社員2名の体験談から、業
東日本大震災の体験から学ぶ
務再開までの経緯と過酷な条件下における判断の難しさに
ついて説明があり、出席者は拠点責任者として「もし自分が、
その立場にいたらどうするか」を考える機会となりました。
東日本大震災発生当時、関東三愛石油社長として
オブリステーション利府で陣頭指揮
東日本大震災発生当時、
仙台産業エネルギー販売支店長として
仙台市街の事務所で被災
お客様の感謝の言葉が
励みに
災害時に備え“公私”
共に準備を怠らない
東日本大震災では宮城県利府町も
今回の被災体験を通じて、安全安
甚大な被害を受けました。復旧に
心の確保の重要性を強く感じまし
取り組む中で、お客様から感謝の
た。その中でも、公私における“私”
言葉をいただいたことは今でも忘
れません。震災の体験でSSは、地
域の方々の生活を支えていること
を再認識させられました。
三愛石油(株)
石油事業部 卸売販売部
中国支店長
加藤 健一
の安全確保は、災害時における速
やかな業務遂行には欠かせないこ
とを身をもって経験しました。
三愛石油(株)
エネルギーソリューション事業部
産業エネルギー部
東京産業エネルギー販売支店長
福田 哲也
東日本大震災体験談〜利府SS〜
宮城県利府町にあるオブリステーション利府は、
大地震に
現場を預かる責任者としては、
過酷な状況で営業再開の判
よる停電の影響で営業再開は3日後となりました。
近隣で
断を迫られる難しさがありました。
幸いにして大きな事故
は閉鎖SSが多い状況でしたが、
「地域に貢献したい」
「地域
もなく営業を続けられましたが、
余震が続く中での二次災
の役に立ちたい」という強い使命感で、自宅が被災したス
害が一番気がかりでした。
今後発生が予測される地震に対
タッフやアルバイトOB等10名を超えるスタッフが集
して、東日本大震災で経験したことを活かせるように、自
まってくれたお蔭で営業を再開できたと考えています。
らの体験を積極的に発信していきたいと思います。
東日本大震災の体験で、
営業再開のためには、施設や設備の安全確保、大勢のお客
私たちは改めて
様が来店した場合の給油・精算のフォーメーション、燃料
エネルギーサービスの
社会的役割の重要性を認識しました。
地震発生の際に適切に行動する
ためには、平時からの備えと訓練が
の供給量やお客様の誘導手順、
給油待ち車両が災害支援車
両の妨げにならないよう、
交通整理をすることも必要でし
た。スタッフと事前に打合せをしていたことに加え、気づ
いたことは日々改善したため、
大きな混乱を発生させるこ
となく営業を継続することができました。
必要不可欠となります。
三愛石油グループの事業活動を
現場で支える各拠点の責任者が
三愛石油本社に集まり、
「地震対策」をテーマに、
社員CSR座談会を開催しました。
3
SSの地震対応策
三愛石油石油事業部では、東日本大震災発生後に営業を
再開した SS の体験談、教訓を基に地震対応策を策定し
ました。これは、地震災害が発生した場合に現場主導で
施設や設備の安全を確保し、再開を目指すものです。
SS地震
対応策資料
●地震対応BCPフローシート
●S S 地震対応マニュアル
・安否確認シート
・地震後目視点検チェックリスト
●S S 営業休止と再開手順
・地下タンク点検、報告シート
・再開確認シート
・お客様告知用資料 等々
4
地震対策を考える
社員CSR
座談会
参加者からの意見
テーマ
元売として
BCMでの対策を進める
南海トラフ巨大地震に備え
グループ間で連携を
当社では元売として、供給面の対応策を含め
当社は中部地区や関西地区に数多くのSSを
BCP(事業継続計画)に取り組んでいます。
所有しており、南海トラフ巨大地震に備えて
また、計画に止まることなく継続できるよう
グループ間での連携を強化していく必要が
に、BCM(事業継続マネジメント)としてリ
スク管理に組み込んでまいります。
キグナス石油(株)
管理部
総務統括部長
あると思います。また、SSの非常用のバッテ
リーを用意するなどの準備も必要です。
増田 元男
危機対応訓練の実施で
地震発生時の対応を再確認
主要拠点が東海地区にあり、LPガスの充て
インフラの拠点となるSSは、地震発生時に
ん所を構えているため南海トラフ巨大地震
は大変な混乱が予想されますが、先日実施し
の対応に取り組んでいます。但し、本当に対
た危機対応訓練や実体験のお話を聞けたこ
策が有効なのか不安を抱えており、座談会で
とで、実際に地震が発生した場合の対応等が
地震対策を共有できたことで見直しの機会
となりました。
國際油化
(株)
浜松支店長
イメージでき、非常に参考になりました。
石井 浩一郎
地震災害の対応策は
重要課題
茨城県も東日本大震災で被害の大きかった
当社は三愛石油グループの受発注業務を
地域です。水道は1ヶ月断水、電気は1週間停
担っています。地震災害に対する備えは重要
電の中で事業再開のために、取引先・関係各
な課題として取り組み、地震災害レベルを3
社と協力して復旧に取り組みました。今回の
つに分け、受発注業務を継続するために、レ
を確認し、災害時の協力体制を見直します。
三愛オブリガス東日本(株)
茨城支店長
ベル毎の対策を立てました。
浦田 匡一郎
危険物を取り扱う企業
として地震対策は万全に
研究所のある茨城県潮来市では液状化の被
油槽所の屋外タンクで燃料油(ガソリン、灯
害が発生し、多くの家が傾きました。研究所
油、軽油、LSA重油)を貯蔵しており、地震災
では薬品や化学機器が転倒しましたが、毒劇
害時の対応は重要課題です。2012年には、埼
物や試薬類などに被害はなく、普段からの備
玉県八潮市消防本部と連携した合同防災訓
三愛石油
(株)
化学品事業部研究所
所長
鴻巣 正幸
練を実施しました。今後も、防災訓練実施計
画に基づき、万全な体制を整えます。
東日本大震災時には
1時間以内の業務再開を実現
帰宅困難となった場合の
備蓄品の重要性
羽田支社の給油施設は80ガル(相当震度5
東日本大震災の経験を経て、危機対策本部の
弱)以上になると緊急停止されます。東日本
事務局を担う管理部門のスタッフは定期的
大震災発生時には日頃の訓練の成果もあり、
にミーティングを行っています。また、昨年
緊急停止から業務再開までを1時間以内に完
了することができました。
三愛石油
(株)
羽田支社ISO安全推進室
課長
大平 力
スクは避けられないものです。
キグナス石油(株)
管理部
課長
三愛石油販売(株)
東海第一カンパニー社長
三愛石油カスタマーサービス(株)
販売業務部
潤滑油課係長
森澤 晃
液状化により
多くの家屋が被害に
えの大切さを感じました。
日本国内で事業活動を継続する企業にとって、地震のリ
今泉 一司
被災によりライフラインが
途絶える体験を
座談会を参考に常備品に不足はないかなど
現場の地震対策について
井内 一夫
南海トラフ巨大地震に
備えるものの不安も
度は危機管理に関わる規程等を見直し、本社
館内の常備品の備蓄を再検討しました。
02
三愛石油(株)
需給部
東京オイルターミナル所長
南里 明
座談会では、東日本大震災の体験談の後に、地震対策を現
場で支える責任者から現状の対応策について意見交換が
行われました。
石井●これまでも地震対策として様々なことを実施して
れらが倒壊しないように揺れ対策として天井に固定する
きましたが、被災されたSSの体験談を伺い、実際に現場
器具を取り付けました。また、津波の被害を想定し、三愛
を機能させるための備えの重要性を強く感じました。
石油本社内に緊急受発注センターの機能を移す対策を準
増田●本日の加藤支店長からのお話にもありましたが、
備し、その立ち上げ訓練と移動訓練を行いました。
地震発生後にSSを再開するタイミングや準備について
井内●関東地区で地震が発生した際は、災害対策本部や
は、状況に応じた現場の判断に委ねられる部分が大きい
製品供給チームをどこに設置するかが重要です。BCP策
と感じていますので、今後BCMの構築と共に現場でいか
定当初は、神奈川県に事務所を準備していましたが、東日
に対応すべきか検討が必要です。
本大震災発生以降は、神奈川県にあるホテルと提携して
南里●油槽所には、8基の屋外タンク(容量7,240kℓ)が
会議室や部屋を確保するプランを進めています。また、当
あります。今後、これら屋外タンクの基礎部分、さらにタ
社は中部地区や関西地区に多数のSSを所有しているた
ンクローリー出荷設備の耐震補強工事を計画しています。
め、南海トラフ巨大地震への備えも進めていかなければ
また、2013年には、埼玉県八潮市と「災害時に於ける燃
ならないと考えています。
料油の確保等に関する協定」を締結しました。
石井●当社はLPガスの充てん所を構えていますので、各
井内●事務所では、各机の下に保護帽子を置く、停電時の
営業所との連絡用に無線を準備し、停電を想定して発電
非常用バッテリーやスマートフォン用の充電器を準備す
機を3台(プロパン用1台、ガソリン用2台)備えています。
るなど基本的な取り組みを行っています。また、2012年
また、浜松支店は海岸線から近い営業所がありますので、
のオフィスレイアウト変更時には、一部のハイキャビ
東日本大震災クラスの津波が押し寄せたことを想定した
ネットをロータイプキャビネットへと変更しました。
避難計画を練っておかなくてはなりません。
鴻巣●当社では薬品を扱っているため、化学反応しない
浦田●被災地は電話等がつながりにくくなりますので、
緊
試薬を近くに置き、化学反応を起こす薬品についてはで
急連絡網が機能しない場合もあります。
被災地以外の事業
きるだけ離すなど試薬を分けて保管しています。また、壁
所経由で連絡を取り合うこと等も考えておくべきです。
面が石膏ボード製で、キャビネットなどを固定すること
大平●羽田支社は災害時の対応や準備が細かく規定され
ができないため、天井とキャビネットの間を荷物で埋め
ており、施設の点検や訓練などを定期的に実施していま
るなどの工夫を施しています。
す。この訓練の継続が防災意識や緊急時の対応能力の向
森澤●皆さんの職場と同様に、社内には書類などを保管
上に役立っていると思います。
する背の高いキャビネットがいくつもあるのですが、そ
三愛石油(株)
人事総務部
総務課長
佐藤 孝志
座談会を終えて
[事務局より]
今回はグループ会社の社員が集まり、東日本大震災の体験談を聞いて、地震対
策の重要性を再認識する機会となりました。今後さらに、三愛石油グループの
連携を深め、地震対策に取り組んでまいります。
※2013年6月時点の所属および役職を記載しています。
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