ヤサイゾウムシの発育に及ぼす温湿度の影響*

ヤサイゾウムシの発育に及ぼす温湿度の影響*
安 江 安 宣 ・河 田 和 雄
筆者は第 1報(19
5
2
)においてヤサイゾウムジ L
i
s
t
r
o
d
e
r
e
sc
o
s
t
i
r
o
s
t
r
i
so
b
l
i
抑制 K
LUG.1829
幼虫の食性を調査した結果,その食餌植物となるものは 1
1科 2
8種をかぞえ,そのうちキク科 7種
,
十字科 6種がもっとも多く,この害虫の海外仁おける食性調査とほぼ同様の傾向をしめしたことを
報告した.わが国仁おけるヤサイゾウムシの発生経過および習性につひては熊代(19
5
0
)
. 白神 ・石
井(19
5
0
)
. 大谷(19
5
1
)
. 吉井(19
5
2
)
. 松沢(19
5
3
)などの一般的な報文が既仁あるので,
この害虫の生態の大要は判明したといえるが,卵期より成虫仁ひたるまでの発育過程仁おいて最も重
要な環境因子である温度と関係湿度の種々な変化仁たいして如何なる生理的反応をしめすかという
課題,ややかえればこの害虫の環境にたいする物理的な好適条件仁ついては現在までのところ内外を
通じて精細な資料を欠いていた.
しかも植物防疫ならび仁生物地理学のうえからみてヤサイゾウムジは日本においても,また世界仁お
いても現在尚その分布区域を漸次拡大しつつある害虫であって,すなわち日本では中聞く1
9
5
4
)に
よれほ東京都以南の表日本仁分布地域が限られていたが,その後日本海上にある隠岐群島へも侵
入するにいたり筆者も 1
9
5
6
.1
9
5
7両年仁わたり現地で確認した.また本害虫の最初の発見地であ
る岡山県下においても当初は県南部仁限られていたが,年々その棲息地域は冷涼な北方地域へと拡
大しつつあって,熊代(19
5
9
)の調査仁よればその北限は津山市,久米郡,英国郡南部に達して
いる.一方海外においては生物地理学でいう旧北区における分布地域はひとり日本のみであったが,
第 2次世界大戦後,アフリカ西北部の太西洋上仁あるカナリー群島仁 1
9
4
8年仁ヤサイゾウムジが
発見されたことを Ho
妊mann(
19
5
0
)が報じている. したがって応用的見地から将来の分布可能限
界を予察する仁あたっても,この害虫の具体的な実験結果をえておくととは必要であると考えたのでこ
の研究を実施した.
実験材料及方法
岡山県倉敷市住吉町にある岡山大学農業生物研究所内の競菜畑から採集してきたヤサイゾウム
0
シ成虫を 2
0
C の定温のもとで飼育産卵させ,この卵を実験l
こ用いた.
卵期および卿化に関する実験につひては各実験区とも供試卵を 1
0
0個とし,すべて産下後 24時
間以内のものを用ひた.実験温度区はー 2.5.0,5.10,1
2
.
5
.
1
5
.
1
7
.
5,20,2
2
.
5
.2
5
.2
7
.
5
.
3
0
,3
2
.
50 Cの 1
3段階を設けて,それぞれの温度区における偏異はおおむね 10 C以内をたもった・
関係湿度の調節には Z
w
o
l
f
e
r(
1
9
3
1
)
. Chapman(
1
9
3
1
)の方法にしたがい,
Cu(NOa)2
・・・
.
.
…4
0-50%
K
B
r
.
..
.
.
.・・・・
..80-90%
.
.
.
.
.
・ ・
.
50-65%
KN
匂
・
.
.
.
・ ・
.
.
.
・ ・
90-95%
N
a
B
r
.
.
.
.・・
NaCl…...・・
.
,
…
…70-80%
H20・・・
.
.
…
.
.
.
・ ・
..100%
H
H
H
H
H
H
H
H
H
H
H
H
H
の飽和溶液を用川容器は直径 8cmの小型デジケーターの上段仁金網をおき,この上仁供試卵を
骨ヤサイゾヲムジの生態仁関する研究第 2報
-114ー
のせて,下段には上記の各種塩類飽和溶液を入れて器内の関係湿度を所定の標準仁たもった.
ごついては供試した幼虫の飼料は山東白菜を与え,
幼虫の発育仁及ぼす種々な環境温度の実験l
直径 5cmのシャーレに定性液紙をしゃてその上で飼育した.この場合帰化をたやすくするために第
3回目の脱皮後におやて土擦を少量入れた. 実験温度は 5
,1
0
,1
5,1
7
.
5,2
0,2
2
.
5,2
5,
0
2
7
.
5,3
0
Cの9通りの定温をえらび各温度区共 10-20頭の幼虫を用ひた. なお定温器内はす
べて暗黒状態仁した. この実験仁おいて関係湿度は設備の都合から特仁考慮しなかったが, ほほ飽
0時仁おこなった.なお本
和状態におかれたものと考えられる.観察およば飼料の交換は毎日 1回 1
957-1959年の期間にわたって実施した成績をまとめたものである.
実験は 1
実
験
結
果
(1)種々な定温定湿のもと仁おける解化率と卵内幼虫体完成率の変化
(i)解
化
率
温度 5
.0-32.50 C. 関係湿度 40-100%の各組合せ全 7
2区について調査したヤサイゾウムジ
0
Cの範
卵の帯化状態をしめすと第 1表の通りである. これによれば解化可能温度は 5.0-30.0
こ
あ
り
,
囲l
m化可能湿度は 70-80%以上であった. 80%以上の良好な解化率をしめした実験区
は関係湿度 90-95%区仁おいてはこれ仁対応する温度は 1
2
.
50-25.00 Cの範囲にあり,また関係
5
.
00-27.50 C となる.また関係湿度 80-90%区では温度
湿度 100%区のもとでは温度範囲は 1
0
5
.
0
-17.50 Cの範囲内で 50%以上の僻化率をしめしたが, これより乾燥した 70-80%区では
0
1
0 C区以外はいずれも 50%以下の悪い解化率となる.これより低湿の 50-60%区および 40-50
%区では実験した全温度とも解化は行なわれなかった.
第 1表
¥ 関係湿度%
4
0
5
0
温度'GC_____
50伺
70前
呼 化 率(%)
I
tる R
80-90
4
4
.
2
2
2
.
6
1
1
.2
51
.2
1
2
.
5
0
••••.•••••
6
4
.
5
5
2
.
5
4
7
.
1
4
3
.
0
3
.
8
0
0
0
0
0
“
,
。
0
Anuqd'ACU a
内 q a n宮 内 。
5
8
.
1
6
4
.
6
6
9
.
6
∞
1
句,唱
1
5
.
0
5
8
.
5
4
0
.
8
的95
'
A
anunu
勿 poa位 向 宮 内
PO '
勾 AU
噌
aueD060603η'oooond
nununununununununununu
nuhunuAunununununununu
3
2
.
5
定 温 定 湿 に お
71
.0
6
8
.
8
8
6
.
5
∞
∞
1 .
0
0
1 .
8
3
.
0
91
.7
8
5
.
0
4
3
.
0
0
各湿度の段階を通じて勝化率の変化をみると,解化率が最高となる温度は高湿になる仁したがっ
0
7
.
50-20.0
Cの範囲では 100%の解化率を維持した.
て高くなり,関係湿度 100%,温度 1
(
i
i
) 卵内幼虫体完成率
解化卵数+卵内幼虫体完成数
っき仁瞬化しなかった残留卵について, 卵内幼虫体完成率=一一一一 一一一一一一~些旦
総、卵数
-115ー
0
0
X100を求めた結果は第 2表の通りである.この結果よりみると卵内幼虫体完成は 5
.
0
-30.0
C
の温度範囲内で行なわれ瞬化率の場合と同様であった.卵内幼虫体完成率を湿度の点からみると
50-60%湿度区では 1
2
.
50 Cの温度のもとで 43.9%を示すほか, 1
0
.
00,1
5
.
00,1
7
.
50,20.0
。
および 2
2
.
50 Cの各温度区においてもわずかながら幼虫体の完成がみられる. 70-80%湿度区では
0
0
2
0
.
0
C 温度区のもとにおいて 9
6
.
6%の卵内幼虫体完成率をえられたのをはじめとし 5.0
.
.
.
.
.
.
.
3
0
.
0
0
。
Cの殆んどの実験温度範囲内で幼虫体の形成が行なわれ, 80-90%区の 2
2
.
5 C,90-95J
磁
区の 1
7
.
50 C,1
∞%区の 17.5-20.00 C ではそれぞれ完成率は 100%仁達した.文湿度 100%
区の 1
7
.
50.
.
.
.
.
.
.
2
0
.
00 Cの温度範囲において卵内幼虫体完成率と卿化率が全く相一致することは注
目すべきである.
第 2表
"
.
.
.
,
_
関
係
湿
度
%
40-50
5
.
0
1
0
.
0
2
0
.
0
2
2
.
5
2
5
.
0
3
0
.
0
3
2
.
5
0
1
4
.
6
4
3
.
9
3
0
.
0
3
0
.
0
1
4
.
0
5
.
4
0
。
。
。
70卸
80-90
••••••••••
6
4
.
4
・・
1
5
.
0
50-60
O V 0 6 7・ 唱 A n o n U F O q U F O i
唱
eorD"'nwuponDAurDFDnunu
ヨ oeFDnd
n 4 " 4 F D 7 7 nEn
nununununUAUAUAUnununu
温度。~
s内 幼 虫 体 完 成 率 ( % )
定混定湿における!J
90-95
7
5
.
0
71
.0
8
1
.7
7
6
.
8
8
7
.
8
6
2
.
5
9
4
.
3
1 .
0
7
8
.
8
8
0
.
0
3
5
.
3
8
2
.
4
9
0
.
7
∞
0
∞
∞
1
7
7
.
4
7
4
.
2
7
8
.
8
91
.7
∞
∞
∞.0
1
∞.0
1
1 .
0
1 .
0
8
4
.
4
8
7
.
0
9
4
.
7
9
5
.
7
7
8
.
5
1 .
0
0
9
5
.
0
8
7
.
7
0
(2)卵,幼虫,踊期間にたいする温度の影響
(i)卵
期
間
卵期間は第 1図および第 3,第 4表に示めしたが,この場合関係湿度 100%区仁おける最長日
0
5日 (
5
.
0
C)で,最短日数は 8日 (
2
7
.
50 C)であった.本実験においては限界温
数をあげると 9
度の低温部は明らか仁しえなかったが, 第 9,第 1
0表に示したように O
OC,-2.50 C仁10日間
曝露しても僻化の能力があることより考えると, ヤサイゾウムジ卵は低温仁対してかなりの抵抗力を
もつものと思われる.発育期間の平均値と温度との関係、は第 1図
, 第 3表および第 7表の通りで,
2で表わされ,これより求めら
発育期間の逆数より求めた比較発育速度直線は Y=0.41Xー1.1
れる理論的発育零点は 2
.
7
60 C となるが,既に定説〈内田俊郎, 1
9
5
7
)の如く実際のそれよりも
幾分高いように考えられる.一方高温限界は卿化率の場合などよりみて 3
0
.
00 C 前後と考えてよい
2
.
50 Cでは匹子の発育は制限され卵内での幼虫体形成は全然行なわれない.な
ようである. しかし 3
お恒温のもとでは瞬化しえない 3
4
.
00 C という致死的高温に一定の短時日をかぎって曝露後,これ
0
5
.
00 Cに移して高温障害の結果を調査したのが第 8表である.この表によると 3
4
.
0
Cに24時
を2
4
4時間で解化率1
1終に 0 %となった.卵期間の発育
間曝すことによって既に其の影響がみられ, 1
2
7
.
9日度であった.
有効積算温度を計算すると 4
,
_1
1
6ー
(
i
i
)幼
虫 期 間
幼虫期聞は第 1図,第 5表および第 7表に示めしたよう仁幼虫期間の最長は環境温度 1
0
.
00C
のもとにおいて 1
2
7日であるが同温度仁おけるヤサイゾウムシ幼虫の平均発育日数は 1
0
8
.
6日であり,
最短は飼育温度 2
7
.
50 C仁おける 1
8日で,同温度における平均発育日数は 2
0
.
5日であった.限
界温度の低温部は 5
.
00 Cで 9
5日間飼育した結果終令迄達したので,恒温器の故障さえなければ
0
或は輔化迄飼育可能であったかもしれない.以上のことより推定すると発育可能限界温度は 5
.
0C
前後と考えられるが,後ほど今一度確かめるつもりである.なお発育速度直線は Y=0.22xー 1
.
3
6
となりこれより求めた理論的発育零点は 6
.
30 Cであった.ヤサイゾウムジ幼虫の高温に対する限界
7
.
50Cであり,これは卵期におけるそれにくらべ 2
.
50C低い.しかし 2
2
.
50C以上の温度区
温度は 2
になると老熟後踊化直前になると弊死する個体が続出して,実験開始時における供試幼虫に対する
止歩りが著るしく悪くなり,解化幼虫が完全仁踊化する個体の割合は第 5表最後の欄にあげたよう
仁卵,踊期の歩止りを下廻って 33%以下仁低下する.なお幼虫の発育有効積算温度は 6
8
4
.
2日
度でこれは卵期の約1.5倍,踊期の 5倍強である.
1
6
幼虫期
卵 期
蝋
期
1
4
w
u
q
ω
1
1
0
b
80 発
発 H
数(日﹀
却
3
(
)
0
1
0
2
0
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2
0
A
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1
0
t
o
n目
3
0
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弘司
20
ω
h
h
•
1
0
書円日
、
(
i
i
i
)踊
zhl
第 1図
h
0
。
:・
、
z
-
‘
・
/f111h
育速
度 4
3
(
)
温 度 (Oc)
ヤサイゾウムジ L
i
s
t
r
o
d
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r
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sc
o
s
t
i
r
o
s
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so
b
l
i
q
u
u
sK
r
.
u
G各世代の発育と祖度との関係
(破線は発育日数,実線l
士発育速度)
期
間
踊期は第 6,第 7表および第 1図のように最長は環境温度 1
0
.
00Cのもと仁おいて 4
9日間,最
短は環境温度 2
5
.
00,2
7
.
50 および 3
0
.
00 Cのもとにおける 6日間である.限界温度は高温部では
0
3
0
.
0
Cであるが, しかしこのような高温度区では羽化率 50%のうち奇型が 10%も発生してやるとこ
7
.
50C以下と考えられる.低温部は 50C区では勢死個
ろよりみて,正常な羽化が行なわれるのは 2
.
6
5x-4.05から求められる理論的発育
体が多<,明らかにしえなかったが,発育速度直線 y=0
0
0
0
.
6
4 Cであった.これは卵期より 3
.
8
8 C,幼虫期より 0
.
3
4
C高し¥なお踊期の発育有
零点は 6
効積算温度は 1
3
2
.
0日度で前二者仁比較して最も短かかった.
-117ー
第 3表
飼育温度
0
5
.
0
C
個体数
と 温 度(関係湿度 1
∞%)
卵期間
発育日数
M+m
E日数
発育量
の閤
標準偏差
平
発x
育1
速
∞均
度
変度等主
"
解化率
5
0
t
:0
.
3
0
7
8
.
0:
76-95
土2
.
1
2
2.69%
1
.2
8
64.5%
8
1
4
6
.
3
0:
t
:0
.
3
1
42-55
2
.
0
6
4
.
4
5
2
.
1
6
7
1
.
0
1
5
.
0
6
3
2
2
.
0
6土0
.
2
5
20-28
2
.
2
7
1
0
.
3
0
4
.
5
9
8
6
.
5
1
7
.
5
叩
1
8
.
2
7土0
.
1
1
17-22
1
.0
1
5
.
4
6
5
.
4
7
∞.
0
1
2
0
.
0
7
9
1
0
.
6
8:
t
:0
.
1
0
10-13
0
.
8
9
8
.
2
9
9
.
3
6
1
0
0
.
0
1
0
.
0
2
5
.
0
卸
9
.
7
9土0
.
0
7
9-11
0
.
5
9
5
.
9
8
1
0
.
2
1
1
.7
9
2
7.
5
68
9
.
1
9土0.
0
1
8-13
0
.
8
3
8
.
7
0
1
0
.
8
9
8
5
.
0
3
0
.
0
2
8
.
2
5
1
0
.
5
7土0
9-14
1
.3
0
1
2
.
2
6
9
.
4
9
4
3
.
1
定温定湿 t
こお け る 卵 期 間 と そ の 変 異
第 4表
l
告
70-80%
0
C
5
.
0
回 -85%
ω-95%
1
0
0
%
A
B
A
B
A
B
A
B
8
9
2
.
3
9
90
0
.
9
3
8
9
2
.
9
4
7
8
2
.
1
2
3
.
5
6
4
7
2
.
6
7
4
7
2
.
0
6
3
0
2
0
1
0
.
0
4
7
3
.
5
7
4
6
1
2
.
5
3
2
4
.
5
2
3
1
2
.
4
2
3
2
2
.
4
2
1
5
.
0
2
9
2
.
1
3
2
7
2
.
5
4
2
2
2
.
2
7
2
.
2
7
1
7
.
5
2
1
3.
2
1
2
1
1
.9
9
1
8
1
.88
1
7
1
.0
1
2
0
.
0
1
9
4
.
9
1
2
0
1
.3
4
1
6
0
.
7
6
1
3
0
.
8
9
2
2
.
5
1
5
2
.
2
0
1
4
1
.5
6
1
2
0
.
4
8
1
2
1
7
1
3
0
.
7
5
1
0
0
.
5
9
2
7
.
5
2
5
.
0
1
0
0
.
8
2
9
0
.
8
3
3
0
.
0
1
1
0
.
8
3
1
0
1
.3
0
-1
発x
育
「1
一
速
0
0
両
度
踊化率
註. A:卵 期間のモード. B :標 準偏差
第 5表
飼育温度
個体数
幼虫期間
発育日数
M+m
と 温 度 (関係湿度約 1
00%)
発育範 日数
の図
標準偏差
土9
.
9
4
変異
C
.係
V数
.
6
1
0
1
0
8
.
6土3.
1
6
104-127
1
5
.
0
7
.
3
2
8
4
.
8
6土0
83-86
2
0
.
0
2
0
3
4
.
2
0土1.4
0
25-44
2
2
.
5
1
0
.
9
9
2
8
.
4
0土0
26-32
3
.
1
2
1
0
.
7
3
0
1
0
.
0
C
9
.
2
1%
0
.
9
2
5
0
.
0
%
0
.
8
5
1
.0
6
1
.1
8
7
0
.
0
6
.
2
6
1
8
.
4
2
2.
9
2
4
4
.
4
1
0
.
9
2
3
.
5
2
3
3
.
3
1
6
.
0
2
4
.
3
3
2
5
.
3
4
.
8
8
2
3
.7
2
5
.
0
2
0
2
3
.
1
0土0
.
8
2
20-31
3
.
6
9
2
7
.
5
2
0
2
0
.
4
5土0
.
4
9
18-26
2.
2
1
-1
1
8ー
第 6表
個体数
飼育温度
蝋期間と温度(関係湿度1
00%)
発育日数
発育範 日数
。劉
様車偏差
変
居
宅
宇
"
0
1
0
.
0
C
2
0
4
2
.
2
0土1.0
2
40-49
土4
.
5
8
1
5
.
0
2
0
.
0
2
5
.
0
2
7
.
5
3
0
.
0
3
1
2
2
16-22
10-12
1
.0
6
0
.
5
8
2
0
24
1
9
.
4
5土0
.
1
9
.
1
4
1
0
.
6
8土0
8
.
2
0土0
.
2
4
6
.
7
2土0
.
1
0
6-10
1
.0
7
2
0
.
0
9
7
.
0
5土0
6
-8
6-8
0
.
4
2
0
.
4
1
第 7表
世
9
.
J
I
代
卵
有効積算温度
回
帰
式
相関係数
由
自
度
期
幼
虫
4
2
7
.
9
Y=0.41X-1
.1
2
oC
間曝露後 2
5
.
0
仁移した時の鮮化率
t
湿度 100%)
仁移した時の卿化率
(湿度 1
00%)
。
91.7%
7
9
.
2
5
7
.
5
4
7
.
6
3
8
.
5
8
.
2
2
4
4
8
7
2
9
6
1
2
0
1
4
4
1
9
2
1
2
.
2
0
1
4
.
8
1
5
.
6
3
1
4
.
1
8
蝋
期
第 9表 低 温 Ooc仁各種時
全且
1
3
.
4
1
7
.
3
5
。
。
50.0%
7
7
.
5
8
8
.
0
6
9
.
0
8
0
.
0
5
4
.
1
曝震時間
。
m
理化率
期
6
.
6
4
1
3
2
.
0
Y=0.22X-1.36
r=+0.941(Pく O
.∞ 5
) r=+0.867(P<0.05)
6
4
卿化率
5
.
1
4
9
.
3
9
6
.
3
0
6
8
4
.
2
oC
時間曝露後 2
5
.
0
曝露時間
2
.
3
7
10.90%
5
.
6
4
5
.
6
1
羽化率
発育速度回帰式発育零点及び有効積算温度
2
.
7
6
発育零点
平
発M
育1
劃
閣均
度
Y=0.65X-4.05
r=+0.988(P<O.05)
4
第1
0
表 低 温 ー2
.
50Cに各種
oC
時間曝露後 2
5
.
0
仁移した時の解化率
〈湿度 l
∞%)
曝"時間
9
1
.7%
。
解化率
9
1
.7%
4
8
7
5
.
6
4
8
3
9
.
0
9
6
7
0
.
8
9
6
3
7
.
0
1
4
4
8
6
.
7
1
4
4
3
3
.
0
1
9
2
7
4
.
0
1
9
2
1
9
.
0
2
4
0
5
6
.
4
240
4
5
.
0
考
察
定温定湿の組合せ仁おけるヤサイゾウムジ卵の解化率及び卵内幼虫体定成率相互の関係、を明ら
80
, 60
, 40
, 20
, 0")を示す温湿図表
かにするため仁両者の等率線 (
(
T
h
e
r
m
o
h
y
g
r
o
g
r
a
m
m
)
をえがいてみると第 2図及び第 3図の通りである.この図表仁よると終始定温湿度組合せ仁ある時の
勝化可能とみられる温度は 5.00~30.00Cであり, m化率 80% 以上を示す最適条件としては温度
0
0
12.5 -27.5 C ,関係湿度 90~1∞%である.文卵内幼虫体完成が可能とみられる温度は 5.0 0
一119ー
~30.00C であり,卵内幼虫体完成
ぉ
率 80%以上を示す温度範囲は 12.00
3
0
~30.00C ,関係湿度 70~100% と
みられる.ここ仁~~,て卵の瞬化と卵
内仁おいて幼虫体が完成する時期との
温21)
温湿度特仁湿度 l
こ対する適応範囲が
異り,卵の静化の方が卵内幼虫体完
度 2
0
成期より低湿高温l
こ対して適応性が
狭やという現象が認められた. ヤサイ
(
O
C
)1
.
5
ゾウムシ卵の解化l
こおよほす温湿度の
1
0
影響につひて他の数種の昆虫マツカレ
ハ,カイコ, サクサン, ニジユウヤホジ
5
'
1
∞
テントウ, ナガチャコガネ, ニカメイチ
ュウと比較すると第 1
1
. 第 12表の通
ω80
7
0
鈎
5
0
4
0
関係湿度(%)
第2図 ヤサイゾクムシ卵解化率温湿図表
りである.この表から考えると本種の
高温限界温度 30.00C の数値は家
蚕卵の 40.00C を除き大差は認めら
35
れないが,やはり最低であり,低温限
3
0
界温度におやてはヤサイゾウムシ卵の
2.80 Cがこれら 7種の昆虫卵のうちで
は1段と低れ一方解化最適条件の
温 25
温湿度関係を比較すると本種とナガ
チャコガネが乾燥に対して最も弱。こ
度
2
0
とが判った.なおヤサイゾウムジの発育 (OC) 1
5
に及 l
ます温湿度の影響につひて本実
験の結果,具体的に精細な資料がえ
1
0
られたのでこれを根拠として日本およ
び世界仁おけるこの害虫の地理的分
5
∞
1
布と之仁およほす気候的要因との関
9
0
8
0
70ω
4
0
咽
関係湿度(%)
第 3図卵内幼虫体完成率温湿図表
係仁ついては次回において論述するこ
とにする.本実験の要旨は昭和 34年
2月 8日
, 日本応用動物昆虫学会中国支部第 1回例会〈倉敷市〉において発表してある.
1表
第1
温¥
¥
度¥
種
、i
¥
名
数種昆虫の発育限界温度どの比較(卵期)
マツカレハカイコサクサ γ
小島〈附)道東1
9
3
5
) 山崎(1側
低温限界
高温限界
コガガ
三
安
ホ
予
ジ
江
Uテ
三
騎
・
シ
河
打
ト
;
"1
図
ク
Fナ
チネ
令
内広広島会ニカ木メ前イチ:ュ談ヲ
1
4
.
20
C
0
1
1
.5
C
1
0
.
00
C
Q
1
2
.
5
C
1
3
.
0
0
C
3
4
.
5
4
0
.
0
3
4
.
5
3
2
.
5
3
2
.
5
-120ー
1
2
.
0
0
C
3
6
.
8
ゐ
r
t
tf
品
話管長
2.80
C
初.
0
第1
2表
種
条
名
ニカメイチュウ
,
マ
ツ
カ レ 、
カ
サ
イ
ク
:
:
:
I
サ
・
数種昆虫の解化最適条件の温湿度(卵期〕
〉〆
ユジュウヤホシ'
テγ ト
ウ
ナガチャコガネ
ヤザイゾウムシ
件
温
勝化率95%以上を期待せられる条件
9
5
"
今
ク
9
0
ク
8
5
シ
'
~
ク
8
5
6
5
'
砂
。
。
ク 別
17.8-33.2QC
16.0-32.2
15.0-28.
。
18.5-28.2
20.0-30.0
2
7
.
5
12.5-27.5
ク
橋
度
関係湿度
∞%
90-1
70-1∞
50-1
∞
68-100
70-100
1
∞
卯 -1
∞
要
(1)種々な恒温恒湿を組合せた人工的環境のもとでヤサイゾウムシ L
i
s
t
r
o
d
e
r
e
sc
o
s
t
i
r
o
s
t
r
i
s
o
b
l
i
q
u
u
sKLUG 卵の牌化状態を実験的に調査した結果l
こよると,勝化は温度 5.00-30.00 C,
関係湿度 70-100%の範囲仁おいて認められた.文明浮化率 100%を示めす最適条件は温度 1
7
.
50
0
-20.0 C,関係湿度 100%である.
0
0
(2) 卵内幼虫体完成は温度 5.0
-30.0
C,関係湿度 50-100%の範囲におやて認められた.
文卵内幼虫体完成率 100%を示すと考えられる最適条件は温度 17.50-25.00 C,関係湿度 80
-100%である.
(3)卵期間は最短 8日 (27.50 C,1
∞%)より最長 95日 (50C, 100%) 仁および,一般
に低温なる程,又同温区仁あっても低湿な程長時日を要する傾向がある.最適条件においては 813日で帰化する.ただし環境温度が低温l
こなる程,また関係湿度が低くなる仁つれて解化は不斉ー
になる.
(4) 勝化可能温度の高温限界は本実験によると 30.00 Cであり,また計算によって求められたそ
の低温限界(発育零点〉は 2.80 C である. この 2数値は既に発表されている他の昆虫卵〈マツ
カレハ, カイコ,サクサγ,二ジユウヤホジテソトウ,ナガチャコガネ, ニカメイチュウ〉やずれよりも低
く,特仁後者即ち発育零点が著るしく数値が小さいことはヤサイゾウムシが上記のすべての昆虫と異
って冬期仁繁殖期間をもっ特性をよく現わしてやるものといえる.
(5) 幼虫および踊の発育適応温度1;):,発育速度直線,発育の正常さおよび飼育時における歩
5
.
00-25.00 Cの範囲と考えられる. しかし発育速度の最
止り〈生育率〉などの点よりみて大体 1
も速いのは卵,幼虫,踊期を通じて飼育温度 27.50 Cの場合である.
引 用 文 献
Chapman.R
.N
.1
1
9
3
1
):
Anima1e
c
o
l
o
g
y
.4
6
4p
p
.
道家信道 (
1
9
3
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):蚕卵の催背温度が解化率に及l
ます影嘗.応動誌 .7巻. 63-69.
,
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i
v
e
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sc
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1
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c
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u
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n
c
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t
.
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o
l
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6日付忠信.久米郡旭町栃原,英国郡作東町川崎,御津郡御津町字甘,津
山市山下に定着(19
5
9
.2
"
"
"3月調査L この外に亀山竹志氏 (
1
9
5
8
)によれば高梁市高梁地区で
も発見.以上の地点Ii岡山県仁おけるヤサイゾヲムジの北限となるが,この限界線拡筆者の調査 (
1
9
5
4
)
によるニジュヲヤホジテントワの北限とほぼ一致する.
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2一