提案授業発表資料 平 成 23年 2月 9 日 (水 ) 於:高槻市教育会館 「構造を読む―『トロッコ』(芥川龍之介)を学習材として―」 高槻市立冠中学校 一 森 生徒たちは『トロッコ』で初めて「小説」に出会う。第一学年の文学作品のまとめとし て『トロッコ』を位置づけ、既習の読みの方略を活用し、比較法を使って、作家の文体を 意識した読みを体験させようとこの単元を構想した。 恭子 5 学習材名 6 学習材の分析 小説「トロッコ」(芥川龍之介) はじめに 高槻市授業改善プロジェクトワーキンググループ中学校国語部は、全国学力・学習状況 調査の「書くこと」に課題があるという結果を受け、昨年度は意見文を書く授業を提案し この小説は、現在雑誌社の校正係として働いている良平が塵労に疲れ、現在の状況と共 た。その過程で「意見文を書く(表現する)」前提として題材を生徒がどれだけ読み込め 通する八歳のトロッコ体験を回想し、第三者視点で描いたものである。全体は冒頭の状況 ているかが問われ、それが意見文の質的な深まりを左右することから、文章を構成してい 設定とトロッコへのあこがれ、第一回トロッコ体験、第二回トロッコ体験、現在の良平、 る仕組みや仕掛けを意識した、構造を読む力の育成が課題となった。このことから、本年 の四段落に分けられる。 度は「読むこと」をテーマに取り組んでいる。前期は、『小さな手袋』内海隆一郎作(三 第一段落の良平がトロッコへのあこがれをこめてトロッコを眺めている場面と第二段落 省 堂 2 年 )を 題 材 と し て「 雑 木 林 」を キ ー ワ ー ド に し た「 構 造 を 読 む 」読 み 方 を 提 案 し た 。 の第一回トロッコ体験、第三段落の第二回トロッコ体験は行きと帰りに書き分けられてい 引き続き後期もこの観点から『トロッコ』芥川龍之介作(三省堂1年)を題材として比較 る。第一回トロッコ体験の後には現在の良平からの感想が入り、第三段落の第二回トロッ 法を活用した各部分の役割や作家の文体を読み取る授業を提案したい。 コ体験の後に第四段落で現在の良平の心境が語られるのと同じ構成が繰り返される構造に なっている。トロッコ体験の行き帰りの比較から計算され尽くした文章の有り様が分かる 二 学習指導計画の概要 作品である。 1 日 ① 2 対象生徒 3 単元名 4 単元設定の理由 時 平 成 22年 12月 7日 ( 火 ) ~ 12月 22日 ( 水 ) 高 槻 市 立 冠 中 学 校 1年 1 組 ~ 4 組 ( 均 等 分 割 少 人 数 授 業 ) 「構造を読む ―『トロッコ』(芥川龍之介)を学習材として―」 第一学年では小学校で学んだことの確認も含めて読みの基本的な方略を体験させ、第 状況設定とトロッコへのあこがれ 第 一 段 落 は 、 状 況 設 定 と ト ロ ッ コ へ の あ こ が れ を 述 べ る 。 形 式 段 落 ( 1) は 三 文 、 形 式 段 落 ( 2) は 九 文 で 構 成 さ れ る 。 ( 注 1: 以 下 ( ) つ き は 形 式 段 落 番 号 を 示 す 。 ) ( 1) は 状 況 設 定 で あ る 。 1( 注 2: 文 番 号 ) 「 小 田 原 ・ 熱 海 間 に 軽 便 鉄 道 敷 設 の 工 事 が 始 ま っ た の は 、良 平 が 八 つ の 年 だ っ た 。」は 時 間 設 定 で あ る 。小 田 原 ・ 熱 海 間 の 軽 便 鉄 道 は 、 二 ・ 三 学 年 で は 活 用 を 中 心 に し た 授 業 を 考 え て い る 。生 徒 た ち は『 竜 』( 今 江 祥 智 )、『 私 明 治 41( 1908) 年 8月 に 「 湯 河 原 ・ 熱 海 間 」 、 同 年 12月 に 「 小 田 原 ・ 湯 河 原 間 」 が 完 成 し 、 た ち と 古 典 ― か ぐ や 姫 の 物 語 』、『 空 中 ブ ラ ン コ 乗 り の キ キ 』( 別 役 実 )を 学 習 材 と し て 、 「小田原・熱海間」が開通した。『トロッコ』は「小田原・湯河原間」の工事を背景とし 作 品 の 特 徴 を お さ え な が ら「 構 造 を 読 む 」と い う 観 点 で「 読 む こ と 」の 学 習 を 重 ね て き た 。 て い る ( 注 3) の で 、 敷 設 工 事 が 始 ま っ た の は そ れ 以 前 で あ る 。 「 小 田 原 ・ 熱 海 間 」 と 実 在 具体的には、『竜』(今江祥智)では物語の構造とあらすじのまとめ方、反復表現や文末 する地名や軽便鉄道を登場させたことで、現実感のある設定となっている。「明治○年」 表現に着目した読みを体験し、『私たちと古典―かぐや姫の物語』では冒頭と結末を読ん とせず、過去形の文末「だった」でこの小説が回想であること、「小田原・熱海間」で場 でその役割を考えた。『空中ブランコ乗りのキキ』(別役実)では「おばあさん」の役割 所、「軽便鉄道敷設の工事が始まった」で「どうした」、「良平」で主人公(「だれが」) を通して物語の仕掛けを読み解くことをした。 を埋め込み、一文で状況設定としている。 今回学習材としてとりあげた『トロッコ』(芥川龍之介)は、大人になった良平が現在 2は 、 「 良 平 」 ( だ れ ) が 、 「 毎 日 」 ( い つ ) 、 「 村 は ず れ 」 へ ( ど こ で ) 、 「 工 事 を 見 の状況から幼い日の思い出を回想し、意味づけているという特徴をもつ。作者の芥川龍之 物 に 行 っ た 」 ( ど う し た ) と 1の 内 容 を 良 平 の 日 常 生 活 に 焦 点 化 し て お り 、 二 段 構 え の 状 況 介は、結末で良平の現在の状況が「そのときの彼」と同じような状況にあり、この共通性 設定になっている。 を「そのとき」を思い出させるものとして設定している。「そのとき」とは八才の時の第 二回トロッコ体験の帰りである。 3は 良 平 が 毎 日 工 事 を 見 物 に 行 っ た 理 由 を 説 明 し た 文 で あ る 。 工 事 内 容 が ト ロ ッ コ で 土 を 運 搬 す る こ と で あ る と 具 体 的 に 述 べ 、 ト ロ ッ コ を 登 場 さ せ る 。 3は 物 語 の 原 点 を 示 す 文 で あ 作者が思い出すべき「そのとき」に収斂させていく様を、作家の仕掛けを読み取らせる る 。 2「 毎 日 」 と 合 わ せ て 2「 見 物 に 行 っ た 」 、 3「 見 に 行 っ た 」 の 類 似 反 復 が 良 平 の ト ロ ッ ことで各部分の役割や作家の文体把握が容易になると考えている。特に、二回目のトロッ コに対するあこがれの強さを示す。現在形の文末「のである」は、読者を八歳の良平と同 コ体験の行きと帰りの文章量を比較すると、書いてあるところと書いてないところがある。 じ 視 点 に 立 た せ 、 ( 2) へ の つ な ぎ の 役 目 を 担 っ て い る 。 作家は全て同じ比重で書くのではない。ある時だけを切り取る。書いてあるところと書い ( 1) で は 「 工 事 」 が 三 回 繰 り 返 さ れ 、 1 で は 工 事 全 体 を 、 2 で は 良 平 の 住 む 村 外 れ の 工 事 てないところが有りながら、バランスをとっているところが面白い。作家とはそういうも と 場 所 と 規 模 を 焦 点 化 し 、 3で ト ロ ッ コ で 土 を 運 搬 す る と い う 工 事 の 内 容 を 述 べ 、 三 文 で 焦 のだ、文章とはそういうものだという作家ならではの表現手法に気づかせたい。 点化していく書き方になっている。 ( 2) の 4~ 12の 文 末 は す べ て 現 在 形 を 用 い 、 ト ロ ッ コ で 土 を 運 搬 す る 様 子 を 良 平 の 視 点 ③ で読ませ、良平のトロッコへのあこがれを実感させる。 第二回トロッコ体験 第三段落は、第二回トロッコ体験である。行きと帰りの文章量は行きの方が多く、帰り 4で 土 工 が 登 場 し 、 初 め て こ の 小 説 の 舞 台 装 置 が 揃 う 。 土 工 た ち は ト ロ ッ コ に 乗 っ て 登 場 は村外れの工事場から家までの描写を含めても少なくなっている。 す る 。 4は 土 工 、 5は ト ロ ッ コ に 焦 点 を 当 て て 描 き 、 6で 土 工 と ト ロ ッ コ を 統 合 し て 良 平 の 視 行きの方が昼過ぎから夕方までと時間的にも長く、明るいので周りの景色も眺められる 線 に 合 わ せ た 表 現 を し 、7「 良 平 は 、そ ん な 景 色 を 眺 め な が ら 」で 三 人 称 視 点 で 受 け 、7「 土 し、細やかな情景描写が読者を小説の世界へ引き込む仕掛けとなっている。描写されてい 工 に な り た い と 思 う こ と が あ る 」 、 8「 せ め て は 一 度 で も 土 工 と 一 緒 に 、 ト ロ ッ コ へ 乗 り た る場所も多く、場所に合わせた良平の心情描写と相まって多くなっている。 い と 思 う こ と が あ る 」 で 良 平 の 心 情 に 寄 り 添 わ せ た 後 、 良 平 の 視 点 に 戻 し 、 9~ 1 1 は 良 平 の 視線に合わせた表現となっている。 これに対して、帰りは夕闇が濃くなる時間帯で周りの景色が見えにくくなっていること に合わせて、良平が周りを見る余裕もなく必死に走っていることや場所の合間に心情表現 しなる細い線路、あおるように動く車台、ひらつく半纏の裾。トロッコにあこがれる良 平 の 観 察 は 細 部 に ま で 及 び 、 7「 土 工 に な り た い 」 、 8「 せ め て は 一 度 で も 土 工 と 一 緒 に 、 を入れ込んでいること、良平の視点にそわせて読む仕掛け、が相まって文章量は少なくな っている。 ト ロ ッ コ へ 乗 り た い 」 と 思 い を 募 ら せ て い く 。 4 ~ 6 は 「 行 き 」 で あ る 。 「 帰 り 」 は 9 ~ 1 1。 人手を借りずに走ってきたトロッコは村外れの平地で自然と止まる。と同時に、土工たち 112・ 113・ 114は 心 情 の 移 り 変 わ り が 「 泣 く 」 と 言 う 言 葉 を 変 化 さ せ な が ら 短 い 三 文 に 分 けて繰り返し、切迫感を出している。 は ト ロ ッ コ か ら 飛 び 降 り 、 土 を ぶ ち ま け 、 ト ロ ッ コ を 押 し 押 し も と の 道 を 登 る 。 12は 「 良 二 人 の 意 識 が 同 じ 時 は 「 土 工 た ち 」 ( 1 01・ 106) 、 「 二 人 」 ( 45・ 63) 、 「 二 人 の 土 工 」 平は」で始まり、読者を作者の視点に立たせる。が、「そのとき」でトロッコを押す場面 ( 90・ 115) と 二 人 ま と め た 言 い 方 を し 、 個 々 の 対 応 が 異 な る と き は 「 し ま の シ ャ ツ を 着 て に読者を引き戻し、「乗れないまでも、押すことさえできたらと思うのである」とますま い る 男 」 ( 51・ 70) 、 「 耳 の 紙 た ば こ を は さ ん だ 男 」 ( 55・ 94) 、 ト ロ ッ コ を 押 し た り 乗 すあこがれを募らせていく良平の心情に寄り添わせて終わる。 っ た り し て い る 時 は 「 三 人 」 ( 72・ 78・ 83・ 98) 、 88「 彼 ら 」 と 表 現 し て い る の は 第 一 回 ( 2) で 描 か れ た ト ロ ッ コ へ の あ こ が れ が 第 一 回 ト ロ ッ コ 体 験 を 引 き 起 こ し 、 そ こ で の 土 のトロッコ体験と同様である。 工との出会いが第二回トロッコ体験へと繋がって、この小説が成立していることを考える と ( 2) は 文 章 全 体 の 基 盤 と な っ て い る と 思 わ れ る 。 合 わ せ て い る 。「 海 」の 84と 119 、と「 竹 や ぶ 」の 77・ 122は そ れ ぞ れ 同 じ 文 型 で 対 比 さ せ 、 ( 注 3) 出 典 : 三 省 堂 教 科 書 指 導 資 料 「みかん畑」は明るさで対比させている。これに対して、「村外れの工事場」は「見えた」 のりゆき 〈 参 考 〉 『 全 国 軽 便 鉄 道 ― 失 わ れ た ナ ロ ー ゲ ー ジ 物 語 300選 ― 』 岡 本 憲 之 ( JTB) 小 田 原 ・ 熱 海 間 の 軽 便 鉄 道 敷 設 工 事 が 行 わ れ た の は 明 治 28( 1895) 年 ( p 97) ② 行きと帰りは、「海」と「竹やぶ」、「みかん畑」、「村外れの工事場」という場所を と少しずらして対比させている所に細やかさを感じる。 ④ 第一回トロッコ体験 現在の良平 結 末( 31 )は 五 文 で 構 成 さ れ る 。大 人 に な っ た 良 平 は 二 十 六 歳 で 妻 子 と 共 に 上 京 し( 143)、 2月 初 旬 の あ る 夕 方 、 良 平 は 二 つ 下 の 弟 や 、 弟 と 同 じ 年 の 隣 の 子 ど も と ト ロ ッ コ の 置 い て 現 在 雑 誌 社 の 校 正 係 と し て 働 い て い る ( 1 44) 。 塵 労 に 疲 れ た 良 平 は 、 現 在 の 自 分 の 状 況 を ある村外れへ行く。良平と年下の二人という言い方で良平を前面に出し、強調した言い方 振 り 返 っ て 、 145・ 146「 全 然 な ん の 理 由 も な い の に 」 と 「 そ の と き の 彼 」 を 思 い 出 し 、 自 を し て い る 。 13、 1 4 は 三 人 が 見 た 情 景 で あ る 。 第 1 回 ト ロ ッ コ 体 験 の 行 き に お い て 、 問 自 答 す る 。 147「 今 で も や は り 」 が 八 歳 の 時 の 第 二 回 ト ロ ッ コ 体 験 の 帰 り を 思 い 出 し て い 17「 三 人 の 子 ど も 」 、 「 三 人 の 力 」 ( 18・ 23) 、 21「 三 人 の 手 」 と 「 三 人 」 が 繰 り 返 さ れ るだけでなく、重ね合わせていることを表している。最後の「…」が断続することを視覚 ているのは、トロッコを動かすのに必要な人数が「三」であり、三人の力が合わさったと 的に表現している。 き 初 め て ト ロ ッ コ が 動 く の で 、 押 す と き に は 合 体 さ せ た 呼 称 と な っ て い る 。 27「 彼 ら 」 も 同様である。これに対して、帰りは「良平と年下の二人」と書き分けられており、良平を リ ー ダ ー と し て 明 示 し た り ( 25・ 33) 、 39の よ う に 逃 げ 出 す と い う 同 じ 行 動 を し て い て も 良平を前面に出し、強調した言い方をして、第三段落の怒られてもトロッコを眺めている 良平の姿につないでいく。 ま た 「 良 平 は 」 と い う 主 語 に 続 い て 、 良 平 の 心 情 だ け が 描 写 さ れ る ( 19・ 25・ 30・ 40) ことも年下の二人がトロッコを動かすのに必要な力として存在していることを示している。 「 ご ろ り 」 と い う 車 輪 の 音 ( 19・ 21) や 、 土 工 の 足 音 ( 34 ) や 3 6「 こ の や ろ う ! 」 、 37「 だ れ に 断 っ て ト ロ に 触 っ た ? 」 と い っ た 土 工 の 怒 鳴 り 声 等 の 聴 覚 表 現 と 30「 顔 に 当 た る 薄 暮 の 風 、足 の 下 に 躍 る ト ロ ッ コ の 動 揺 」と い っ た 触 覚 表 現 、三 人 称 視 点 に よ る 視 覚 表 現( 1 7 ・ 22・ 27・ 31・ 39) や 良 平 の 視 点 に よ る 視 覚 表 現 ( 15・ 16・ 29・ 38・ 39・ 41・ 42) を 組 み 合 わせて臨場感のある描写になっている。 7 学習目標 ①場面の展開や登場人物の描写に注意して読み、内容の理解に役立てることができる。 (1)ウ ②文章の構成や展開、表現の特徴について、自分の考えを持つことができる。(1)エ ③比較法を使い、物事を関係づけて考えることができる。 8 学習指導計画の概略 次 時 主な学習活動 1 1 ①学習目標の提示と確認 評価規準 3 3 ①学習目標の提示と確認 ・学習目標:第1回トロッコ体験の行きと帰りを比較して気づ きを書くことができる。 ・学習目標:概略をつかむことができる。 ②全文を通読する。(教師の範読) ②第1回トロッコ体験を読み、情景・行動と心情・会話を読み分 ・形式段落に番号をつける。 ける。 ・読みの確認 ・ルール(観点)=述部(~思う)と会話・気持ち ・難語句チェック→意味調べ(宿題) →ワークシート③(資料2) ③概略をつかむ。 ・ 誰 の 視 点 で 書 か れ て い る か ? → 3人 称 視 点 ③第1回トロッコ体験の行きと帰りを比較して気づきを書く。 ・語りの特徴は何か? →大人になった良平が幼い日の思い出を回想し、現実の生活 行きと帰り →ワークシート④ を比較して →班で相談→個人記述→全体交流 気づきを書 から意味づけている。 くことがで 段落相互の ④全体を4段落に分け、小見出しをつける。 →冒頭・トロッコ体験①・トロッコ体験②・結末 *形式段落冒頭の時間表現に着目させる。 きる。 関係を理解 し、小見出 ⑤振り返りを書く。 ④振り返りを書く。 しをつける 4 4 ①学習目標の提示と確認 ・ ・学習目標:第2回トロッコ体験を読み、行きと帰りを比較し て気づきを書くことができる。 ことができ る。 ②第2回トロッコ体験を読み(指名)、情景・行動と心情・会話 2 2 ①学習目標の提示と確認 情景・行動 を読み分ける と心情・会 ・ルール(観点)=述部(~思う)と会話・気持ち 話を読み分 ②意味調べ(宿題)解答配布 ・ 情 景 ・ 行 動 と 心 情 ・ 会 話 に 分 け た 本 文 ( 文 番 号 119~ 13 0 ) けることが ③冒頭を読む。(指名) を4人班で相談してワークシートに貼る。 できる。 ・学習目標:冒頭と結末の関係をつかむことができる。 ・状況設定をつかむ。(いつ・どこで・だれが・どうした) ・時代背景をつかむ。 →ワークシート⑤(資料3) →ワークシート① ④結末を読む。 ③完成した班から②の結果をクラス版に貼る。 *「そのとき」に着目させる。 →1文ごとに確認し、答えのちがう班だけクラス版に貼る。 →班で相談→全体交流 ⑤冒頭と結末を比較して気づきを書く。 →ワークシート② →班で相談→個人記述→全体交流 冒頭と結末 を比較し、 気づきを書 ⑥冒頭と結末はどのように関係しているか?→四人班で話し合う →班ごとに発表 くことがで 5 ④第2回トロッコ体験の行きと帰りを比較して気づきを書く。 →ワークシート⑥ →班で相談→個人記述→全体交流 きる を比較して 気づきを書 くことがで ⑤振り返りを書く。 ⑦振り返りを書く。 行きと帰り きる。 三 5 成果と課題 6 ①学習目標の提示と確認 以下の生徒のふりかえりから、作者の芥川龍之介が結末の思い出すべき「その時」に収 ・学習目標:第1回トロッコ体験を入れた作者の意図を書くこ 斂させていく様を、作家の仕掛けを読み取らせる体験はできたと思う。特に、第二回トロ とができる。 ッコ体験の行きと帰りの比較は、書いてあるところと書いてないところが有りながら、バ ランスをとっている面白さに視覚的に気づかせることができ、作家ならではの表現手法に ②第1回トロッコ体験を入れた作者の意図を書く。 気づかせたいというねらいを達成するのに有効だった。既習の読みの方略を活用し、比較 ・第1回トロッコ体験があるのと、ないのとはどうちがうか。 →ワークシート⑦ →班で相談→個人記述→全体交流 作者の意図 法を使って、作家の文体を意識した読みの試みは『トロッコ』においては成功したと言え を書くこと るだろう。 ができる。 教師がしゃべりすぎず、生徒の活動を中心とした授業をめざし、班学習や個人学習の前 の話し合いを取り入れたり、机の配置を班学習用にするなどした結果、知る楽しさに気づ *作者のしかけ(表現の意図)を考える。 き、意欲的に取り組もうとする生徒が増えたり、普段授業に参加しにくい生徒が作業をし ③単元全体のふりかえりを書く。(資料5) 400字 程 度 たり発表する姿が見られたのが一番の成果であった。しかし、理解が十分でない生徒や理 のふりかえ 解できているが言葉で表現することができない生徒、また言葉にできてもに表現に課題の りが書け ある生徒がおり、彼らへの手だてを今後の課題として考えていきたい。 る。 参考文献 ①『中学校国語科教材研究演習』大河原忠蔵・小田迪夫・草部典一編著 くろしお出版 1982年 4月 30日 ② 三省堂指導書 「芥川龍之介『トロッコ』」田近洵一(『言語行動主体の形成』新光閣書店 1 977年 )
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